(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】合成材料製のフィルムを少なくとも横方向に延伸するための延伸装置
(51)【国際特許分類】
B29C 55/20 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B29C55/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018165821
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】518317041
【氏名又は名称】マルシャント カロリーナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルシャント カロリーナ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成材料製のフィルム(3)を少なくとも横方向に延伸するための延伸装置(14)であって、
上記フィルム(3)に向けられる第1ガイド面(15.1)および該第1ガイド面(15.1)と反対側の第2ガイド面(15.2)を有するガイドレール(15)と、
それぞれが上記フィルム(3)の同じ縦向き縁部(4)を把持するように構成された第1タイプの複数の第1クランプ(16)および第2タイプの複数の第2クランプ(17)であって、上記ガイドレール(15)に沿って交互に配置されかつ上記ガイドレール(15)によって案内されるように構成された複数の第1クランプ(16)および複数の第2クランプ(17)と、
上記第1および第2クランプ(16,17)に接続され、該第1および第2クランプ(16,17)を上記ガイドレール(15)に沿って駆動するように構成された無端チェーン(22)であって、上記第1および第2クランプ(16,17)が互いに近接する第1状態と、上記第1および第2クランプ(16,17)が互いに遠離する第2状態との間で変形可能な無端チェーン(22)とを備え、
各上記第1クランプ(16)は、上記ガイドレール(15)の上記第1ガイド面(15.1)と協働するように構成された主ガイドローラ(33)を有し、
各上記第2クランプ(17)は、上記ガイドレール(15)の上記第1ガイド面(15.1)と協働するように構成された副ガイドローラ(37)を有し、
各上記第1クランプ(16)の上記主ガイドローラ(33)は、該第1クランプ(16)の隣の各上記第2クランプ(17)の上記副ガイドローラ(37)に対して鉛直方向にずれており、
上記第1および第2クランプ(16,17)は、上記無端チェーン(22)が上記第1状態にある場合に、各上記第1クランプ(16)の上記主ガイドローラ(16)と、該第1クランプ(16)の隣の各上記第2クランプ(17)の上記副ガイドローラ(37)とが少なくとも部分的に重なるように構成されて
おり、
各上記第2クランプ(17)は、少なくとも1つの収容凹部(39)を有し、
各上記第1クランプ(16)の上記主ガイドローラ(33)は、上記無端チェーン(22)が上記第1状態にある場合に、少なくとも一部が隣の各上記第2クランプ(17)の上記収容凹部(39)内を広がる
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項2】
請求項
1において、
上記無端チェーン(22)は、少なくとも、
互いに対してヒンジ式に取り付けられる第1タイプの第1リンク(25)および第2タイプの第2リンク(26)と、
上記無端チェーン(22)に沿って交互に配置されかつ上記第1および第2リンク(25,26)がヒンジ式に取り付けられる第1関節要素(28)および第2関節要素(29)とを有し、
上記第1および第2クランプ(16,17)は、上記第1関節要素(28)に取り付けられている
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項3】
請求項
2において、
上記第1クランプ(16)が取り付けられる各上記第1関節要素(28)は、上記ガイドレール(15)の上記第2ガイド面(15.2)と協働するように構成された支持ローラ(48)を有する
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項4】
請求項
2または
3において、
各上記第2リンク(26)は、上記ガイドレール(15)の上記第2ガイド面(15.2)に当接するように構成された支持ローラ(49)を有する
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項5】
請求項
3に従属する請求項
4において、
上記第1クランプ(16)が取り付けられる各上記第1関節要素(28)により担持される上記支持ローラ(48)は、該第1関節要素(28)の隣の各上記第2リンク(26)の上記支持ローラ(49)に対して鉛直方向にずれており、
上記無端チェーン(22)は、該無端チェーン(22)が上記第1状態にある場合に、上記第1クランプ(16)が取り付けられる各上記第1関節要素(28)により担持される上記支持ローラ(48)と、該第1関節要素(28)の隣の各上記第2リンク(28)の上記支持ローラ(49)とが少なくとも部分的に重なるように構成されている
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項6】
請求項
5において、
各上記第2リンク(26)により担持される上記支持ローラ(49)は、上記第2クランプ(17)が取り付けられる上記第1関節要素(28)の実質的に反対側に広がる
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項7】
請求項
2~
6のいずれか1項において、
上記ガイドレール(15)に沿って延びる保持レール(18)であって、上記ガイドレール(15)に向けられる支持面(18.1)および該支持面(18.1)と反対側の保持面(18.2)を有する保持レール(18)と、
上記保持レール(18)に沿って交互に配置されかつ上記保持レール(18)によって案内されるように構成された複数の第1ガイド要素(19)および複数の第2ガイド要素(21)であって、上記無端チェーン(22)の上記第2関節要素(29)に取り付けられかつ上記無端チェーン(22)により上記保持レール(18)に沿って駆動されるように構成された複数の第1ガイド要素(19)および複数の第2ガイド要素(21)とを備える
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項8】
請求項
7において、
上記保持レール(18)は、
上記ガイドレール(15)に対して実質的に平行に延びかつ上記ガイドレール(15)から第1距離(D1)をもって離間した第1レール部(181)と、
上記ガイドレール(15)に対して実質的に平行に延びかつ上記ガイドレール(15)から上記第1距離(D1)とは異なる第2距離(D2)をもって離間した第2レール部(182)であって、上記第1レール部(181)の下流に配置された第2レール部(182)とを有し、
上記保持レール(18)は、上記第1レール部(181)から上記第2レール部(182)へ上記第1および第2ガイド要素(19,21)が移動すると、上記第1および第2状態の間における上記無端チェーン(22)の変形が生じるように構成されている
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項9】
請求項
8において、
上記第2距離(D2)は、上記第1距離(D1)よりも小さく、
上記保持レール(18)は、上記第1レール部(181)から上記第2レール部(182)へ上記第1および第2ガイド要素(19,21)が移動すると、上記第1状態から上記第2状態への上記無端チェーン(22)の変形が生じ、それにより上記フィルム(3)の縦方向延伸が生じるように構成されている
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項10】
請求項
8において、
上記第2距離(D2)は、上記第1距離(D1)よりも大きく、
上記保持レール(18)は、上記第1レール部(181)から上記第2レール部(182)へ上記第1および第2ガイド要素(19,21)が移動すると、上記第2状態から上記第1状態への上記無端チェーン(22)の変形が生じ、それにより上記フィルム(3)の縦方向弛緩が生じるように構成されている
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項11】
請求項
7~
10のいずれか1項において、
各上記第1ガイド要素(19)は、上記保持レール(18)の上記保持面(18.2)と協働するように構成された主保持ローラ(42)を有し、
各上記第2ガイド要素(21)は、上記保持レール(18)の上記保持面(18.2)と協働するように構成された副保持ローラ(45)を有し、
各上記第1ガイド要素(19)の上記主保持ローラ(42)は、該第1ガイド要素(19)の隣の各上記第2ガイド要素(21)の上記副保持ローラ(45)に対して鉛直方向にずれており、
上記第1および第2ガイド要素(19,21)は、上記無端チェーン(22)が上記第1状態にある場合に、各上記第1ガイド要素(19)の上記主保持ローラ(42)と、該第1ガイド要素(19)の隣の各上記第2ガイド要素(21)の上記副保持ローラ(45)とが少なくとも部分的に重なるように構成されている
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項12】
請求項
2に従属する請求項
7~
11のいずれか1項において、
上記無端チェーン(22)は、上記保持レール(18)の上記支持面(18.1)と協働するように構成された支持ローラ(52)を有する第3タイプの第3リンク(27)を備える
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項13】
請求項
7~1
2のいずれか1項において、
上記第1ガイド要素(19)が取り付けられる各上記第2関節要素(29)は、上記保持レール(18)の上記支持面(18.1)と協働するように構成された支持ローラ(51)を担持している
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項14】
請求項1
2に従属する請求項1
3において、
上記第1ガイド要素(19)が取り付けられる各上記第2関節要素(29)により担持される上記支持ローラ(51)は、該第2関節要素(29)の隣の各上記第3リンク(27)の上記支持ローラ(52)に対して鉛直方向にずれており、
上記無端チェーン(22)は、該無端チェーン(22)が上記第1状態にある場合に、上記第1ガイド要素(19)が取り付けられる各上記第2関節要素(29)により担持される上記支持ローラ(51)と、該第2関節要素(29)の隣の各上記第3リンク(27)の上記支持ローラ(52)とが少なくとも部分的に重なるように構成されている
ことを特徴とする延伸装置。
【請求項15】
合成材料製のフィルムを少なくとも横方向に延伸するための延伸システム(13)であって、
上記フィルム(3)の両側に配置された請求項1~1
4のいずれか1項に記載の2つの延伸装置(14)を備え、
一方の上記延伸装置(14)の上記第1および第2クランプ(16,17)は、上記フィルム(3)の第1縦向き縁部(4)を把持するように構成され、
他方の上記延伸装置の上記第1および第2クランプ(16,17)は、上記フィルム(3)の第2縦向き縁部(4)を把持するように構成されている
ことを特徴とする延伸システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成材料製のフィルムを少なくとも横方向に延伸するための延伸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合成材料製のフィルム、例えばポリプロピレン、ポリエステル、または任意の他の熱可塑性材料で構成されるフィルムの製造において、当該フィルムは、その成形後に、縦方向の延伸工程と横方向の延伸工程とに連続的に供される。
【0003】
延伸システムは、合成材料製のフィルムを横方向に延伸するように構成されていて、公知の態様で、フィルムの温度をその横方向延伸において調節できる炉と、フィルムの両側に配置された2つの延伸装置とを備える。より具体的に、各延伸装置は、少なくとも一部が炉内を延びるガイドレールであって、フィルムに向けられた第1ガイド面および第1ガイド面と反対側の第2ガイド面を有するガイドレールと、それぞれがフィルムの同じ縦向き縁部を把持するように構成され、かつ各ガイドレールによって並進案内される複数のクランプと、各ガイドレールに沿って延びる保持レールであって、各ガイドレールに向けられた支持面および支持面と反対側の保持面を有する保持レールと、保持レールによって並進案内される複数のガイド要素と、互いに対してヒンジ式に取り付けられた一連のリンク、ならびに関節態様でリンクを接続する第1および第2関節要素を有する無端チェーンとを備え、各クランプは、各第1関節要素にヒンジ式に取り付けられ、各ガイド要素は、各第2関節要素にヒンジ式に取り付けられ、無端チェーンは、各ガイドレールに沿って各クランプを駆動するように、かつ各保持レールに沿って各ガイド要素を駆動するように構成され、無端チェーンは、クランプが互いに近接する第1状態と、クランプが互いに遠離する第2状態との間で変形可能である。
【0004】
有利には、各ガイド要素は、各保持レールの支持面および保持面と協働するように構成された転動ローラを有し、各クランプは、各ガイドレールの第1ガイド面および第2ガイド面と協働するように構成された転動ローラを有する。これらの構成により、各レールにおけるガイド要素およびクランプの案内が実現される。
【0005】
そのような延伸システムは、この延伸システムがフィルムの横方向延伸および縦方向延伸を同時に実現するように構成される場合を含めて、高い生産速度に適する。
【0006】
しかしながら、クランプが幅広であるために、特に各無端チェーンが第2状態にあってクランプが互いに遠離する場合に、フィルムの2つの隣り合う把持領域の間の距離が非常に大きくなるおそれがある。例えば、各クランプが50mmの幅を有して比率8の縦方向延伸を伴う場合、フィルムの隣り合う把持領域の間の距離は400mmになる。クランプ間にそのような距離が存在すると、フィルムの厚みが当該フィルムの縦向き縁部において不均一になり、そのためにフィルムを縦向き縁部において切断することが必要になり、したがって生産性が大きく損なわれる。
【0007】
この欠点を克服するための解決方法は、各クランプの幅を低減することである。例えば、各クランプが25mmの幅を有して比率8の縦方向延伸を伴う場合、フィルムの隣り合う把持領域の間の距離はほんの200mmになる。よって、幅狭のクランプを使用することで、厚みがより均一で無駄の少ないフィルムを得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、そのような解決方法は、チェーンが第1状態にある場合に2つの隣り合うクランプの転動ローラがぶつかるのを回避するために、より径の小さな転動ローラの使用を伴い、したがって無端チェーンの移動速度を実質的に低減することを要する。このため、生産速度が実質的に低下する。
【0009】
本発明は、上述した欠点の全部または一部を克服することを目的とする。
【0010】
したがって、本発明の基礎となる技術的課題は、幅狭のクランプの使用を許容する一方で高い生産速度に適する延伸装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このために、本発明は、合成材料製のフィルムを少なくとも横方向に延伸するための延伸装置であって、上記フィルムに向けられる第1ガイド面および該第1ガイド面と反対側の第2ガイド面を有するガイドレールと、それぞれが上記フィルムの同じ縦向き縁部を把持するように構成された第1タイプの複数の第1クランプおよび第2タイプの複数の第2クランプであって、上記ガイドレールに沿って交互に配置されかつ上記ガイドレールによって案内されるように構成された複数の第1クランプおよび複数の第2クランプと、上記第1および第2クランプに接続され、該第1および第2クランプを上記ガイドレールに沿って駆動するように構成された無端チェーンであって、上記第1および第2クランプが互いに近接する第1状態と、上記第1および第2クランプが互いに遠離する第2状態との間で変形可能な無端チェーンとを備え、各上記第1クランプは、上記ガイドレールの上記第1ガイド面と協働するように構成された主ガイドローラを有し、各上記第2クランプは、上記ガイドレールの上記第1ガイド面と協働するように構成された副ガイドローラを有し、各上記第1クランプの上記主ガイドローラは、該第1クランプの隣の各上記第2クランプの上記副ガイドローラに対して鉛直方向にずれており、上記第1および第2クランプは、上記無端チェーンが上記第1状態にある場合に、各上記第1クランプの上記主ガイドローラと、該第1クランプの隣の各上記第2クランプの上記副ガイドローラとが少なくとも部分的に重なるように構成されていることを特徴とする延伸装置に関する。
【0012】
換言すると、第1および第2クランプは、上記チェーンが第1状態にある場合に、水平基準面において各第1クランプの主ガイドローラが垂直に突出する部分と、当該水平基準面において当該第1クランプの隣の各第2クランプの副ガイドローラが垂直に突出する部分とが、少なくとも1つの共通部分を有するように構成されている。
【0013】
第1および第2クランプのそのような構成、特に第1および第2クランプの主および副ガイドローラが、無端チェーンが第1状態にある場合に少なくとも部分的に重なるという事実により、幅狭のクランプおよび大径のガイドローラを使用することが可能となり、この場合にガイドローラ同士がぶつかる危険性がない。したがって、本発明に係る延伸装置は、高い生産速度(特に、500m/分に及ぶチェーン速度)に適する一方で生産性がほとんど損なわれない。
【0014】
また、大径のガイドローラを用いることにより、本発明に係る延伸装置は、大きな延伸力、特に分厚いフィルムを延伸するための大きな延伸力に適合する。
【0015】
さらに、大径のガイドローラを用いることにより、ガイドローラとガイドレールとの間の摩擦力を低減することができ、したがって当該ガイドローラの摩耗速度を低減することができる一方、ガイドレールに対する第1および第2クランプの良好な案内を実現できる。
【0016】
例えば、本発明に係る延伸装置によると、例えば、25~50mmの幅を有する第1および第2クランプと、約52mm以上に及ぶ直径を有する主および副ガイドローラとを、必要に応じて使用することができる。
【0017】
延伸装置は、1つまたはそれ以上の以下の特徴を、単独でまたは組み合わせて備えていてもよい。
【0018】
本発明のある実施形態によると、主ガイドローラは、実質的に第1拡張平面内を延び、副ガイドローラは、実質的に第2拡張平面内を延び、ここで、第2拡張平面は、第1拡張平面に対して実質的に平行でありかつ第1拡張平面に対してずれている。
【0019】
本発明のある実施形態によると、各第2クランプは、少なくとも1つの収容凹部を有し、各第1クランプの主ガイドローラは、無端チェーンが第1状態にある場合に、少なくとも一部が隣の各第2クランプの収容凹部内を広がる。
【0020】
本発明のある実施形態によると、各第1クランプは、クランプ本体を有し、各第1クランプの主ガイドローラは、当該第1クランプのクランプ本体の片側または両側から横方向へ突出している。
【0021】
本発明のある実施形態によると、各第2クランプは、クランプ本体を有し、各第2クランプの副ガイドローラは、当該第2クランプのクランプ本体の片側または両側から横方向へ突出している。
【0022】
本発明のある実施形態によると、無端チェーンは、少なくとも、互いに対してヒンジ式に取り付けられる第1タイプの第1リンクおよび第2タイプの第2リンクと、無端チェーンに沿って交互に配置され、第1および第2リンクがヒンジ式に取り付けられる第1関節要素および第2関節要素とを有し、第1および第2クランプは、好ましくは関節態様で、第1関節要素に取り付けられる。
【0023】
本発明のある実施形態によると、第1および第2関節要素は、実質的に鉛直方向に延びている。
【0024】
本発明のある実施形態によると、各第1クランプの主ガイドローラは、実質的に鉛直向きの回転軸を有する。
【0025】
本発明のある実施形態によると、各第2クランプの副ガイドローラは、実質的に鉛直向きの回転軸を有する。
【0026】
本発明のある実施形態によると、各第1クランプは、ガイドレールの上側面上で転動するように構成された主転動ローラを有する。
【0027】
本発明のある実施形態によると、各第2クランプは、ガイドレールの上側面上で転動するように構成された副転動ローラを有する。
【0028】
本発明のある実施形態によると、各第1クランプの主転動ローラは、実質的に水平向きの回転軸を有する。
【0029】
本発明のある実施形態によると、各第2クランプの副転動ローラは、実質的に水平向きの回転軸を有する。
【0030】
本発明のある実施形態によると、第1クランプが取り付けられる各第1関節要素は、ガイドレールの第2ガイド面と協働するように構成された支持ローラを担持する。
【0031】
本発明のある実施形態によると、各第2リンクは、ガイドレールの第2ガイド面に当接するように構成された支持ローラを有する。
【0032】
本発明のある実施形態によると、第1クランプが取り付けられる各第1関節要素により担持される支持ローラは、実質的に鉛直向きの回転軸を有する。
【0033】
本発明のある実施形態によると、各第2リンクの支持ローラは、実質的に鉛直向きの回転軸を有する。
【0034】
本発明のある実施形態によると、第1クランプが取り付けられる各第1関節要素により担持される支持ローラは、当該第1関節要素の隣の各第2リンクの支持ローラに対して鉛直方向にずれており、無端チェーンは、当該無端チェーンが第1状態にある場合に、第1クランプが取り付けられる各第1関節要素により担持される支持ローラと、当該第1関節要素の隣の各第2リンクの支持ローラとが少なくとも部分的に重なるように構成されている。
【0035】
換言すると、無端チェーンは、当該無端チェーンが第1状態にある場合に、第1クランプが取り付けられる各第1関節要素の支持ローラが水平基準面において垂直に突出する部分と、隣の各第2リンクの支持ローラが当該水平基準面において垂直に突出する部分とが、少なくとも1つの共通部分を有するように構成されている。
【0036】
本発明のある実施形態によると、各第2リンクにより担持される支持ローラは、第2クランプが取り付けられる第1関節要素とは実質的に反対側に広がる。有利には、無端チェーンは、当該無端チェーンが第1状態にある場合に、第1クランプが取り付けられる各第1関節要素により担持される支持ローラの少なくとも一部が、隣の第2リンクの支持ローラと、当該第2リンクの支持ローラの実質的に反対側に位置する第1関節要素に取り付けられる第2クランプのクランプ本体との間を広がるように構成されている。
【0037】
本発明のある実施形態によると、各第2リンクにより担持される支持ローラは、当該支持ローラとは実質的に反対側に位置する第1関節要素と実質的に同軸状に広がっている。
【0038】
本発明のある実施形態によると、延伸装置は、さらに、ガイドレールに沿って延びる保持レールであって、ガイドレールに向けられる支持面および当該支持面と反対側の保持面を有する保持レールと、保持レールに沿って交互に配置されかつ保持レールにより案内されるように構成された複数の第1ガイド要素および複数の第2ガイド要素であって、好ましくは関節態様で、無端チェーンの第2関節要素に取り付けられかつ無端チェーンにより保持レールに沿って駆動されるように構成された複数の第1ガイド要素および複数の第2ガイド要素とを備える。
【0039】
本発明のある実施形態によると、保持レールは、ガイドレールに対して実質的に平行に延び、かつ第1距離をもってガイドレールから離間した第1レール部と、ガイドレールに対して実質的に平行に延び、かつ第1距離とは異なる第2距離をもってガイドレールから離間した第2レール部とを有し、第2レール部は、第1レール部の下流に配置され、保持レールは、第1レール部から第2レール部へ第1および第2ガイド要素が移動すると、第1および第2状態の間における無端チェーンの変形が生じるように構成されている。
【0040】
本発明のある実施形態によると、保持レールは、第1レール部と第2レール部とを接続する移行部を有する。有利には、移行部は傾斜路を構成している。
【0041】
本発明のある実施形態によると、第2距離は、第1距離よりも小さく、保持レールは、第1レール部から第2レール部へ第1および第2ガイド要素が移動すると、無端チェーンが第1状態から第2状態へ変形し、それによりフィルムの縦方向延伸が生じるように構成されている。
【0042】
本発明のある実施形態によると、各第1ガイド要素は、保持レールの保持面と協働するように構成された主保持ローラを有し、各第2ガイド要素は、保持レールの保持面と協働するように構成された副保持ローラを有し、各第1ガイド要素の主保持ローラは、当該第1ガイド要素の隣の各第2ガイド要素の副保持ローラに対して鉛直方向にずれており、第1および第2ガイド要素は、無端チェーンが第1状態にある場合に、各第1ガイド要素の主保持ローラと、当該第1ガイド要素の隣の各第2ガイド要素の副保持ローラとが少なくとも部分的に重なるように構成されている。
【0043】
換言すると、無端チェーンは、当該無端チェーンが第1状態にある場合に、各第1ガイド要素の主保持ローラが水平基準面に対して垂直に突出する部分と、当該第1ガイド要素の隣の各第2ガイド要素の副保持ローラが当該水平基準面に対して垂直に突出する部分とが、少なくとも1つの共通部分を有するように構成されている。
【0044】
本発明のある実施形態によると、各主保持ローラは、ガイドレールによって保持されて各第2関節要素に保持力を適用するように構成され、各副保持ローラは、ガイドレールによって保持されて各第2関節要素に保持力を適用するように構成されている。
【0045】
本発明のある実施形態によると、移行部は、各第2関節要素に適用される保持力を小さくして、無端チェーンを第2状態に変形させるように構成されている。
【0046】
本発明のある実施形態によると、移行部は、各第2関節要素に適用される保持力を大きくして、無端チェーンを第1状態に変形させるように構成されている。
【0047】
本発明のある実施形態によると、各第1ガイド要素の主保持ローラは、実質的に鉛直向きの回転軸を有する。
【0048】
本発明のある実施形態によると、各第2ガイド要素の副保持ローラは、実質的に鉛直向きの回転軸を有する。
【0049】
本発明のある実施形態によると、各第1ガイド要素は、ガイド体を有し、各第1ガイド要素の主保持ローラは、当該第1ガイド要素のガイド体の片側または両側から横方向へ突出している。
【0050】
本発明のある実施形態によると、各第2ガイド要素は、ガイド体を有し、各第2ガイド要素の副保持ローラは、当該第2ガイド要素のガイド体の片側または両側から横方向へ突出している。
【0051】
本発明のある実施形態によると、各第1ガイド要素は、保持レールの上側面上で転動するように構成された主転動ローラを有する。有利には、各第1ガイド要素の主転動ローラは、実質的に水平向きの回転軸を有する。
【0052】
本発明のある実施形態によると、各第2ガイド要素は、保持レールの上側面上で転動するように構成された副転動ローラを有する。有利には、各第2ガイド要素の副転動ローラは、実質的に水平向きの回転軸を有する。
【0053】
本発明のある実施形態によると、無端チェーンは、さらに、第3タイプの第3リンクを有し、各第3リンクは、保持レールの支持面と協働するように構成された支持ローラを有する。
【0054】
本発明のある実施形態によると、第1ガイド要素が取り付けられる各第2関節要素は、保持レールの支持面と協働するように構成された支持ローラを担持する。
【0055】
本発明のある実施形態によると、第1ガイド要素が取り付けられる各第2関節要素により担持される支持ローラは、当該第2関節要素の隣の各第3リンクの支持ローラに対して鉛直方向にずれており、無端チェーンは、当該チェーンが第1状態にある場合に、第1ガイド要素が取り付けられる各第2関節要素により担持される支持ローラと、当該第2関節要素の隣の各第3リンクの支持ローラとが少なくとも部分的に重なるように構成されている。
【0056】
換言すると、無端チェーンは、当該チェーンが第1状態にある場合に、第1ガイド要素が取り付けられる各第2関節要素により担持される支持ローラが水平基準面において垂直に突出する部分と、当該第2関節要素の隣の各第3リンクの支持ローラが当該水平基準面において垂直に突出する部分とが、少なくとも1つの共通部分を有するように構成されている。
【0057】
本発明のある実施形態によると、各第3リンクにより担持される支持ローラは、第2ガイド要素が取り付けられる第2関節要素とは実質的に反対側に広がる。有利には、無端チェーンは、当該チェーンが第1状態にある場合に、第1ガイド要素が取り付けられ各第2関節要素により担持される支持ローラの少なくとも一部が、隣の第3リンクの支持ローラと、当該第3リンクの支持ローラと実質的に反対側に位置する第2関節要素に取り付けられる第2ガイド要素のガイド体との間を広がるように構成されている。
【0058】
本発明のある実施形態によると、各第3リンクにより担持される支持ローラは、当該支持ローラと実質的に反対側に位置する第2関節要素と実質的に同軸状に広がる。
【0059】
本発明は、また、合成材料製のフィルムを少なくとも横方向に延伸するための延伸システムであって、上記フィルムの両側に配置された本発明に係る2つの延伸装置を備え、一方の上記延伸装置の上記第1および第2クランプは、上記フィルムの第1縦向き縁部を把持するように構成され、他方の上記延伸装置の上記第1および第2クランプは、上記フィルムの第2縦向き縁部を把持するように構成されていることを特徴とする延伸システムに関する。
【0060】
本発明のある実施形態によると、延伸システムは、炉を備え、2つの延伸装置のガイドレールは、少なくとも一部が炉内を延びている。
【0061】
本発明のある実施形態によると、2つの延伸装置のガイドレールは、延伸システムの第1領域において互いに遠ざかっている。
【0062】
本発明のある実施形態によると、2つの延伸装置のガイドレールは、延伸システムの第1領域の下流に位置する延伸システムの第2領域において互いに対して実質的に平行に延びている。
【0063】
本発明のある実施形態によると、各保持レールの第2レール部は、少なくとも一部が延伸システムの第1領域に配置されている。このような構成によると、フィルムの横方向延伸と同時に当該フィルムの縦方向延伸または縦方向弛緩を実現することができる。
【0064】
本発明のある実施形態によると、各保持レールの移行部は、少なくとも一部が延伸システムの第2領域に配置されている。このような構成によると、フィルムの横方向延伸の後に当該フィルムの縦方向延伸または縦方向弛緩を実現することができる。
【0065】
いずれにせよ、本発明は、非限定的な例としてこの延伸システムの実施形態を示す概略的な添付図面を参照する以下の説明からより理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は、合成材料製のフィルムを製造するためのシステムの全体図である。
【
図2】
図2は、
図1の製造システムに属する延伸装置の部分斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の製造システムに属する延伸装置の部分斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の製造システムに属する延伸装置の部分斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2の延伸装置の側面図であって、延伸装置に属する第1および第2ガイド要素をより具体的に示すものである。
【
図8】
図8は、
図2の延伸装置の水平面における部分断面図であって、
図2の延伸装置に属する様々なローラの構成を示すものである。
【
図9】
図9は、
図2の延伸装置の斜視図であって、互いに遠離した延伸装置に属する第1および第2クランプを示すものである。
【
図10】
図10は、
図2の延伸装置の部分縦断面図であって、延伸装置に属する無端チェーンの様々なリンクをより具体的に示すものである。
【
図11】
図11は、
図2の延伸装置の部分平面図であって、互いに遠離した第1および第2クランプを示すものである。
【
図12】
図12は、
図2の延伸装置に属するガイドレールおよび保持レールの部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、2つの実質的に平行な縦向き縁部4を有する合成材料製のフィルム3を製造するための製造システム2を示す。
【0068】
製造システム2は、連続的に、合成材料6供給システム5と、合成材料6の制御された供給を可能とする押出機7と、合成材料6の溶融システム8と、溶けた合成材料6の流れによってその表面にフィルム3が形成されるキャスティングドラム9と、フィルム3を縦方向に延伸するための縦方向延伸システム11であって、フィルム3を担持しかつ延伸するための異周速ローラ12を有する縦方向延伸システム11と、フィルム3を少なくとも横方向に延伸するための延伸システム13とを備える。
【0069】
延伸システム13は、フィルム3の温度をその横方向延伸において調節できる炉(図示せず)と、フィルム3の両側に配置された2つの延伸装置14とを有する。
【0070】
特に
図2~
図4に示すように、各延伸装置14は、より具体的に、少なくとも一部が炉内を延びるガイドレール15であって、フィルム3に向けられる第1ガイド面15.1および第1ガイド面15.1と反対側の第2ガイド面15.2を有するガイドレール15と、それぞれがフィルム3の対応する縦向き縁部4を把持するように構成され、各ガイドレール15に沿って交互に配置され、かつ各ガイドレール15によって並進案内される第1タイプの複数の第1クランプ16および第2タイプの複数の第2クランプ17と、各ガイドレール15に沿って延びる保持レール18であって、各ガイドレール15に向けられる支持面18.1および支持面18.1と反対側の保持面18.2を有する保持レール18と、保持レール18に沿って交互に配置され、かつ保持レール18によって並進案内される複数の第1ガイド要素19および複数の第2ガイド要素21と、各第1および第2クランプ16,17を各ガイドレール15に沿って駆動するように、かつ第1および第2ガイド要素19,21を各保持レール15に沿って駆動するように構成された無端チェーン22であって、第1および第2クランプ16,17が互いに近接する第1状態(
図3および
図7を参照)と、第1および第2クランプ16,17が互いに遠離する第2状態(
図9および
図11を参照)との間を変形可能な無端チェーン22とを備える。
【0071】
図1に示すように、2つの延伸装置14のガイドレール15は、炉内に配置される延伸システム13の第1領域23において互いに対して遠ざかり、延伸システム13の第1領域23の下流に位置する延伸システム13の第2領域24において互いに対して実質的に平行に延びている。ここで、第2領域24は、炉の内部または外部のいずれに配置されてもよい。図示の実施形態によると、各ガイドレール15は、実質的に矩形状の断面を有する。
【0072】
特に
図9および
図10に示すように、各無端チェーン22は、互いに対してヒンジ式に取り付けられた第1タイプの第1リンク25、第2タイプの第2リンク26、および第3タイプの第3リンク27と、無端チェーン22に沿って交互に配置され、第1、第2、および第3リンク25,26,27がヒンジ式に取り付けられる第1関節要素28および第2関節要素29とを有する。
【0073】
図3および
図4に示すように、各第1クランプ16は、各第1関節要素28にヒンジ式に取り付けられるクランプ本体31と、クランプ本体31に回動可能に取り付けられ、フィルム3を把持するように構成された把持フィンガ32とを有する。各第1クランプ16は、さらに、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつガイドレール15の第1ガイド面15.1と協働するように構成された主ガイドローラ33と、実質的に水平向きの回転軸を有しかつガイドレール15の上側面15.3上で転動するように構成された主転動ローラ34とを有する。各第1クランプ16の主ガイドローラ33は、各クランプ本体31の片側から横方向へ突出している。
【0074】
各第2クランプ17は、各第1関節要素28にヒンジ式に取り付けられるクランプ本体35と、クランプ本体35に回動可能に取り付けられ、フィルム3を把持するように構成された把持フィンガ36とを有する。各第2クランプ17は、さらに、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつガイドレール15の第1ガイド面15.1と協働するように構成された副ガイドローラ37と、実質的に水平向きの回転軸を有しかつガイドレール15の上側面15.3上で転動するように構成された副転動ローラ(図示せず)とを有する。各第2クランプ17の副ガイドローラ37は、各クランプ本体35の片側から横方向へ突出している。
【0075】
図8に示すように、各第1クランプ16の主ガイドローラ33は、当該第1クランプ16の隣の各第2クランプ17の副ガイドローラ37に対して鉛直方向にずれている。有利には、主ガイドローラ33は、実質的に第1拡張平面において広がり、副ガイドローラ37は、実質的に第2拡張平面において広がる。ここで、第2拡張平面は、第1拡張平面に対して実質的に平行でありかつ第1拡張平面に対してずれている。
【0076】
第1および第2クランプ16,17は、より具体的には、無端チェーン22が第1状態にある場合に、各第1クランプ16の主ガイドローラ33と当該第1クランプ16の隣の各第2クランプ17の副ガイドローラ35とが少なくとも部分的に、例えば少なくとも各々の縁部において、重なるように構成されている。有利には、各第2クランプ17は、収容凹部39を有し、各第1クランプ16の主ガイドローラ33は、無端チェーン22が第1状態にある場合に、少なくとも一部が隣の第2クランプ17の収容凹部39内を広がるように構成されている。
【0077】
図4および
図5に示すように、各第1ガイド要素19は、各第2関節要素29にヒンジ式に取り付けられるガイド体41と、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつ保持レール18の保持面18.2と協働するように構成された主保持ローラ42とを有する。各ガイド要素19の主保持ローラ42は、各ガイド体41の片側から横方向に突出している。各主保持ローラ42は、ガイドレール18によって保持され、各第2関節要素29に保持力を適用するように構成されている。
【0078】
各第1ガイド要素19は、さらに、実質的に水平向きの回転軸を有しかつ保持レール18の上側面18.3上で転動するように構成された主転動ローラ43を有する。
【0079】
各第2ガイド要素21は、各第2関節要素29にヒンジ式に取り付けられるガイド体44と、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつ保持レール18の保持面18.2と協働するように構成された副保持ローラ45とを有する。各副保持ローラ45は、ガイドレール18によって保持され、各第2関節要素29に保持力を適用するように構成されている。各第2ガイド要素21の副保持ローラ45は、有利には、各ガイド体44の片側から横方向に突出している。
【0080】
各第2ガイド要素21は、さらに、実質的に水平向きの回転軸を有しかつ保持レール18の上側面18.3上で転動するように構成された副転動ローラ46を有する。
【0081】
図5に示すように、各第1ガイド要素19の主保持ローラ42は、当該第1ガイド要素19の隣の各第2ガイド要素21の副保持ローラ45に対して鉛直方向にずれている。有利には、主保持ローラ42は、実質的に主拡張平面において広がり、副保持ローラ45は、実質的に副拡張平面において広がる。ここで、副拡張平面は、主拡張平面に対して実質的に平行でありかつ主拡張平面に対してずれている。
【0082】
第1および第2ガイド要素19,21は、より具体的には、無端チェーン22が第1状態にある場合に、各第1ガイド要素19の主保持ローラ42および当該第1ガイド要素19の隣の各第2ガイド要素21の副保持ローラ45が少なくとも部分的に、例えば少なくとも各々の縁部において、重なるように構成されている。有利には、各第2ガイド要素21は、収容凹部47を有し、各第1ガイド要素19の主保持ローラ42は、無端チェーン22が第1状態にある場合に、少なくとも一部が隣の第2ガイド要素21の収容凹部47内を広がるように構成されている。
【0083】
図4に示すように、各第1関節要素28は、第1クランプ16が取り付けられるものであって、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつガイドレール15の第2ガイド面15.2と協働するように構成された支持ローラ48を担持している。また、各第2リンク26は、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつガイドレール15の第2ガイド面15.2に当接するように構成された支持ローラ49を有する。各第2リンク26の支持ローラ49は、有利には、第2クランプ17が取り付けられる第1関節要素28の反対側に広がり、好ましくは当該第1関節要素28と同軸状に広がっている。
【0084】
第1クランプ16が取り付けられる各第1関節要素28により担持される支持ローラ48は、当該第1関節要素28の隣の各第2リンク26の支持ローラ49に対して鉛直方向にずれている。有利には、第1関節要素28により担持される支持ローラ48は、実質的に第1平面において広がり、第2リンク26の支持ローラ49は、実質的に第2平面において広がる。ここで、第2平面は、第1平面に対して実質的に平行でありかつ第1平面に対してずれている。
【0085】
無端チェーン22は、当該無端チェーン22が第1状態にある場合に、第1クランプ16が取り付けられる各第1関節要素28により担持される支持ローラ48と、当該第1関節要素28の隣の各第2リンク26の支持ローラ49とが少なくとも部分的に、例えば少なくとも各々の縁部において、重なるように構成されている。有利には、無端チェーン22が第1状態にある場合に、各第1関節要素28により担持される支持ローラ48は、一部が、隣の第2リンク26の支持ローラ49と、当該隣の第2リンク26の支持ローラ49の実質的に反対側に位置する第1関節要素28に取り付けられる第2クランプ17のクランプ本体35との間で広がっている。
【0086】
図10に示すように、各第2関節要素29は、第1ガイド要素19が取り付けられるものであって、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつ保持レール18の支持面18.1と協働するように構成された支持ローラ51を担持している。また、各第3リンク27は、実質的に鉛直向きの回転軸を有しかつ保持レール18の支持面18.1と協働するように構成された支持ローラ52を有する。各第3リンク27の支持ローラ52は、有利には、第2ガイド要素21が取り付けられる第2関節要素29の反対側に広がり、好ましくは当該第2関節要素29と同軸状に広がっている。
【0087】
第1ガイド要素19が取り付けられる各第2関節要素29により担持される支持ローラ51は、当該第2関節要素29の隣の各第3リンク27の支持ローラ52に対して鉛直方向にずれている。有利には、第2関節要素29により担持される支持ローラ51は、実質的に第1平面において広がり、第3リンク27の支持ローラ52は、実質的に第2平面において広がる。ここで、第2平面は、第1平面に対して実質的に平行でありかつ第1平面に対してずれている。
【0088】
図6に示すように、無端チェーン22は、当該無端チェーン22が第1状態にある場合に、第1ガイド要素19が取り付けられる各第2関節要素29により担持される支持ローラ51と、当該第2関節要素29の隣の各第3リンク27の支持ローラ52とが少なくとも部分的に、例えば少なくとも各々の縁部において、重なるように構成されている。有利には、無端チェーン22が第1状態にある場合に、各第2関節要素29により担持される支持ローラ51は、一部が、隣の第3リンク27の支持ローラ52と、当該隣の第3リンク27の支持ローラ52の実質的に反対側に位置する第2関節要素29に取り付けられる第2ガイド要素21のガイド体44との間で広がっている。
【0089】
図8および
図9に示すように、各保持レール18は、第1レール部181と、第2レール部182とを有する。第1レール部181は、各ガイドレール15に対して実質的に平行に延びかつ各ガイドレール15から第1距離D1をもって離間している。第2レール部182は、第1レール部181の下流に配置され、各ガイドレール15に対して実質的に平行に延びている。第2レール部182は、各ガイドレール15から第1距離D1とは異なる第2距離D2をもって離間している。各保持レール18は、さらに、各第1および第2レール部181,182を接続する移行部183を有する。有利には、各移行部183は、傾斜状になっている。
【0090】
各保持レール18は、より具体的には、第1レール部181から第2レール部182へ第1および第2ガイド要素19,21が移動すると、第1および第2状態の間における無端チェーン22の変形が生じるように構成されている。
【0091】
実際、無端チェーンは、第1関節要素28において、各ガイドレール15上で各第1および第2クランプ16,17により保持され、第2関節要素29において、各保持レール18上で第1および第2ガイド要素19,21により保持される。各ガイドレール15と各保持レールとの間の距離が変わったり一定になったりすることで、クランプが設けられた第1関節要素とガイド要素が設けられた第2関節要素との間の距離を変えることにより、各無端チェーンの畳み状態を変更し、よってチェーンピッチおよび第1および第2クランプ16,17間の間隔を変えることができる。
【0092】
特に、各無端チェーン2の第1、第2、および第3リンク25,26,27は、当該無端チェーン22が第1状態にある場合に、各ガイドレール15に対して交差する方向に延びる一方、当該無端チェーン22が第2状態にある場合に、各ガイドレール15に対して実質的に平行に延びる。
【0093】
有利には、各保持レール18の移行部183は、延伸システム13の第1領域23に配置される。このような構成によると、延伸システム13の第1領域23における無端チェーン22の第1状態と第2状態との間の変形を実現することができ、したがってフィルム3の横方向延伸と同時に当該フィルム3の縦方向延伸または縦方向弛緩を実現することができる。
【0094】
次に、延伸システム13の動作について、各第2レール部182と各ガイドレール15とを隔てる第2距離D2が、各第1レール部181と各ガイドレール15とを隔てる第1距離D1よりも小さい場合について説明する。
【0095】
延伸システム13にフィルム3を導入する際には、当該フィルム3の縦向き縁部4が、各延伸装置14の第1および第2クランプ16,17によって把持される。第1および第2クランプ16,17は、無端チェーン22により駆動され、ガイドレール15に沿ってフィルム3を搬送する。延伸システム13の第1領域23において、適当な延伸温度に達したフィルム3は、ガイドレール15同士が遠ざかるために、すなわち一方の延伸装置14の第1および第2クランプ16,17と、他方の延伸装置14の第1および第2クランプ16,17との間の間隔が連続的に増大するために、横方向において延伸される。
【0096】
各延伸装置14の第1および第2ガイド要素19,21が各保持レール18の移行部183および第2レール部182に到達すると、各第3リンク27と、第1ガイド要素19が取り付けられる各第2関節要素29とにより担持される支持ローラ52,51は、各保持レール18の移行部183および第2レール部182によってガイドレール15の方へ押しやられ、これには各ガイドレール15に向かう第2関節要素29の移動が含まれる。この第2関節要素29の移動により、チェーンピッチが大きくなり、第1および第2クランプ16,17が各延伸装置14から遠ざかる。よって、このような構成によると、フィルム3の横方向延伸と同時にその縦方向延伸を実現することができる。
【0097】
次に、延伸システム13の動作について、各第2レール部182と各ガイドレール15とを隔てる第2距離D2が、各第1レール部181と各ガイドレール15とを隔てる第1距離D1よりも大きい場合について説明する。
【0098】
各延伸装置14の第1および第2ガイド要素19,21が各保持レール18の移行部183および第2レール部182に到達すると、第1および第2ガイド要素19,21の各々により担持される保持ローラ42,45は、各保持レール18の移行部183および第2レール部182によってガイドレール15から遠ざけられ、これには各ガイドレール15から遠離する第2関節要素29の移動が含まれる。この第2関節要素29の移動により、チェーンピッチが小さくなり、第1および第2クランプ16,17が各延伸装置14に近づく。よって、このような構成によると、フィルム3の縦方向弛緩と同時にその横方向延伸を実現することができる。
【0099】
本発明の変形例によると、ガイドレール15は、延伸システム13の第2領域24において、ガイドレール15が互いに対して近づく部分を有していてもよく、それによりフィルムの縦方向弛緩と同時にその横方向延伸を実現することができる。
【0100】
本発明が、例として上述した延伸システムの1つの実施形態に限定されるものではなく、その全ての変形例を包含するものであることは言うまでもない。