(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】時計、電子機器、および時計の照度判断方法
(51)【国際特許分類】
G04G 19/00 20060101AFI20221213BHJP
G04C 10/00 20060101ALI20221213BHJP
G04C 10/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G04G19/00 A
G04G19/00 Y
G04C10/00 C
G04C10/02 A
(21)【出願番号】P 2018170507
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2017181684
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一雄
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-156158(JP,A)
【文献】特開2013-050329(JP,A)
【文献】実開昭58-004089(JP,U)
【文献】特開2013-156160(JP,A)
【文献】特開2012-145558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04C 1/00-99/00
G04R 20/00-60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルを有する太陽電池と、
前記太陽電池から充電される二次電池と、
前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路と、
前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路と、
前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断する制御部と、
を備え、
前記太陽電池、前記過充電防止回路、および前記照度検出回路が互いに並列に接続されており、
前記制御部は、
前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度未満であると判断し、
前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断する、時計。
【請求項2】
ソーラーパネルを有する太陽電池と、
前記太陽電池から充電される二次電池と、
前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路と、
前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路と、
前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断する制御部と、
表示部と、を備え、
前記所定照度は、前記表示部を駆動可能な電力を供給できる照度である、
を備える時計。
【請求項3】
前記太陽電池、前記過充電防止回路、および前記照度検出回路が互いに並列に接続されており、
前記制御部は、前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された検出値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを判断する、請求項1
または請求項2に記載の時計。
【請求項4】
前記制御部は、
前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された検出値が所定値以上の場合に前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、
前記照度検出回路によって検出された検出値が所定値未満の場合に前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度未満であると判断する、請求項
3に記載の時計。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項の時計を備える電子機器。
【請求項6】
ソーラーパネルを有する太陽電池と、前記太陽電池から充電される二次電池と、前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路と、前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路と、を有する時計の照度判断方法であって、
制御部が、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断するステップ、
を含
み、
前記太陽電池、前記過充電防止回路、および前記照度検出回路が互いに並列に接続されており、
前記制御部は、
前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度未満であると判断し、
前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断する、時計の照度判断方法。
【請求項7】
ソーラーパネルを有する太陽電池と、前記太陽電池から充電される二次電池と、前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路と、前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路と、
表示部と、を有する時計の照度判断方法であって、
制御部が、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断するステップ、
を含
み、
前記所定照度は、前記表示部を駆動可能な電力を供給できる照度である、時計の照度判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計、電子機器、および時計の照度判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池により発電された電力を二次電池に充電し、充電された電力によって駆動する時計がある。このような時計では、二次電池への過充電を防ぐために過充電保護回路を有している。また、太陽電池を有する時計では、太陽電池に照射される照度が低いと十分な発電が行われないため、時計を駆動できなくなる。
【0003】
このため、例えば、特許文献1には、太陽電池の出力が所定値以下となった時に、液晶パネルのドライバー回路からの表示出力を遮断する技術が開示されている。
また、特許文献2には、一定時間以上、継続して入射光が得られない時、時刻表示動作を停止する技術が開示されている。
【0004】
また、太陽電池と二次電池を有する時計では、太陽電池に照射される照度が十分であるか否かを、太陽電池の電圧を検出することで照度が十分であるか否かを検出する照度検出回路を有するものもある(例えば特許文献3参照)。このような時計では、太陽電池への照射が不十分な場合に省電力モードに切り換えるものがある。ここで省電力モードとは、時計の表示部が液晶パネルで構成されている場合に表示を行わない動作モード、時計の表示部が指針で構成されている場合に運針の間隔を長くする等の動作モードである。
【0005】
太陽電池によって発電された電力が二次電池に満充電された場合は、二次電池への過充電を防ぐために過充電保護回路がオン状態になる。過充電保護回路がオン状態になると、太陽電池の電極間がショートされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭56-97795号公報
【文献】実開昭61-77788号公報
【文献】特開2013-134167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、太陽電池と二次電池を有する時計において、過充電保護回路がオン状態になり太陽電池の電極間がショートされたときに、時計の他の回路である例えば照度検出回路の検出値が実際値より低下してしまう。このため、従来技術では、太陽電池の発電状態の正確な検出が困難となる。この結果、従来技術では、所定の照度以上であっても、所定の照度未満であると誤判定して省電力モードに制御される場合があった。なお、過充電保護回路がオン状態となるのは、二次電池が満充電に近い状態である。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、二次電池が満充電に近い過充電状態であっても太陽電池の発電状態を精度良く検出することができる時計、電子機器、および時計の照度判断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計(1)は、ソーラーパネルを有する太陽電池(G)と、前記太陽電池から充電される二次電池(E)と、前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路(20)と、前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路(30)と、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断する制御部(104)と、を備え、前記太陽電池、前記過充電防止回路、および前記照度検出回路が互いに並列に接続されており、前記制御部は、前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度未満であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断する。
また、上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計(1)は、ソーラーパネルを有する太陽電池(G)と、前記太陽電池から充電される二次電池(E)と、前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路(20)と、前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路(30)と、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断する制御部(104)と、表示部(40)と、を備え、前記所定照度は、前記表示部を駆動可能な電力を供給できる照度である。
【0010】
また、本発明の一態様に係る時計は、前記太陽電池、前記過充電防止回路、および前記照度検出回路が互いに並列に接続されており、前記制御部は、前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された検出値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記制御部は、前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された検出値が所定値以上の場合に前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記照度検出回路によって検出された検出値が所定値未満の場合に前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度未満であると判断するようにしてもよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電子機器は、上述したいずれか1つの時計を備える。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計の照度判断方法は、ソーラーパネルを有する太陽電池と、前記太陽電池から充電される二次電池と、前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路と、前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路と、を有する時計の照度判断方法であって、制御部が、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断するステップ、を含み、前記太陽電池、前記過充電防止回路、および前記照度検出回路が互いに並列に接続されており、前記制御部は、前記過充電防止回路が過充電状態ではないことを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度未満であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記照度検出回路によって検出された第1検出値を前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断する。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計の照度判断方法は、ソーラーパネルを有する太陽電池と、前記太陽電池から充電される二次電池と、前記二次電池の充電状態を検出する過充電防止回路と、前記ソーラーパネルの両端の電圧値に基づいて、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であるか否かを検出する照度検出回路と、表示部と、を有する時計の照度判断方法であって、制御部が、前記過充電防止回路が過充電状態であることを検出した場合、前記太陽電池を短絡させ、前記ソーラーパネルに照射されている照度が所定照度以上であると判断し、前記過充電防止回路が過充電状態でないことを検出した場合、前記太陽電池を短絡させずに、前記照度検出回路の検出値に基づいて前記所定照度以上であるか否かを判断するステップ、を含み、前記所定照度は、前記表示部を駆動可能な電力を供給できる照度である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、二次電池が満充電に近い過充電状態であっても太陽電池の発電状態を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る時計の構成例を示すブロック図である。
【
図2】太陽電池Gの出力特性(I-Vカーブ)を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る時計が行う処理手順例を示すフローチャートである。
【
図4】従来技術に係る過充電が発生した場合に太陽電池の電極間が短絡され、その間に照度検出が行われた場合のフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る時計がアナログ時計の場合の構成例を示すブロック図である。
【
図6】第2実施形態に係る時計が行う処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る時計1(電子機器)の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、時計1は、二次電池E、太陽電池G、ダイオードD1、抵抗R1、抵抗R2、制御回路10、および表示部40を備えている。
また、制御回路10は、電源回路101、発振回路102、分周回路103、制御部104、表示駆動回路105、過充電防止回路20、および照度検出回路30を備えている。
過充電防止回路20は、比較器Q1、スイッチング素子Q2、および基準電圧源Vr1を備えている。
照度検出回路30は、スイッチング素子Q3、比較器Q4、および基準電圧源Vr2を備えている。
【0020】
なお、
図1に示す時計1は、計時した時刻を液晶等の表示部40に表示するデジタル時計である。また、時計1は、太陽電池Gに照射された光によって動作する、いわゆるソーラー時計である。なお、実施形態では、電子機器の一例として、時計1を説明している。
【0021】
まず、接続関係を説明する。
二次電池Eは、正極がダイオードD1のカソードと制御回路10の電源端子Vddに接続され、負極がVssに接地されている。
ダイオードD1は、アノードが太陽電池Gの正極と制御回路10の端子Vscに接続されている。
太陽電池Gは、負極がVssに接地されている。
【0022】
抵抗R1は、一端が制御回路10の端子CN1に接続され、他端が抵抗R2の一端と制御回路10の端子CN2に接続されている。
抵抗R2は、他端がVssに接地されている。
【0023】
制御回路10の電源端子Vddは、電源回路101の入力部と比較器Q1の第1入力部に接続されている。
制御回路10の端子Vscは、スイッチング素子Q2のドレイン端子とスイッチング素子Q3のソース端子に接続されている。スイッチング素子Q2は、例えばNチャネルのMOS型FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor;電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子Q3は、例えばPチャネルのMOS型FETである。
【0024】
制御回路10の端子CN1は、スイッチング素子Q3のドレイン端子に接続されている。
制御回路10の端子CN2は、比較器Q4の第1入力部に接続されている。
制御回路10の端子Vssは、Vssに接地されている。
【0025】
比較器Q1は、第2入力部が基準電圧源Vr1の正極に接続され、出力部が制御部104のREG1端子とスイッチング素子Q2のゲート端子に接続されている。
基準電圧源Vr1は、負極がVssに接地されている。
スイッチング素子Q2は、ソース端子がVssに接地されている。
【0026】
スイッチング素子Q3は、ゲート端子が制御部104のCNT端子に接続されている。
比較器Q4は、第2入力部が基準電圧源Vr2の正極に接続され、出力部が制御部104のREG2端子に接続されている。
基準電圧源Vr2は、負極がVssに接地されている。
【0027】
このように、時計1は、太陽電池G、過充電防止回路20、および照度検出回路30が互いに並列に接続されている構成である。
【0028】
次に、時計1の構成要素について説明する。
太陽電池Gは、例えばソーラーパネルを有している。太陽電池Gは、光エネルギーを電力に変換して、変換した電力を二次電池Eおよび制御回路10に供給する。
ダイオードD1は、二次電池Eから太陽電池Gへの逆流防止のために太陽電池Gと二次電池Eとの間に挿入されている。
二次電池Eは、太陽電池Gから供給された電気エネルギーを蓄える蓄電池である。二次電池Eは、蓄えた電力を制御回路10に供給する。
【0029】
電源回路101は、二次電池Eの出力電圧を昇圧または降圧して、制御回路10内部の各回路の内部動作電圧を生成し、生成した内部動作電圧を各回路へ供給する。なお、過充電防止回路20の比較器Q1の第1入力部に供給される電圧値は、二次電池Eの電圧値である。
【0030】
発振回路102は、例えば水晶の圧電現象を利用し、その機械的共振から所定の周波数を発振するために用いられる受動素子である。ここで、所定の周波数は、例えば32[kHz]である。
分周回路103は、発振回路102が出力した所定の周波数の信号を所望の周波数に分周し、分周した信号を制御部104に出力する。
【0031】
過充電防止回路20は、二次電池Eの電圧値Vddと、基準電圧源Vr1の電圧値Vref1とを比較する。過充電防止回路20は、比較した結果、電圧値Vddが電圧値Vref1以上の場合にH(ハイ)レベルの信号を、過充電防止を示す過充電防止信号sg1として制御部104のREG1端子に出力する。また、過充電防止回路20は、比較した結果、電圧値Vddが電圧値Vref1以上の場合に太陽電池Gの電極間を短絡(ショート)するように制御する。過充電防止回路20は、比較した結果、電圧値Vddが電圧値Vref1未満の場合にL(ロー)レベルの過充電防止信号sg1を制御部104のREG1端子に出力する。なお、過充電防止回路20がオン状態となるのは、二次電池Eが満充電に近い状態である。
【0032】
比較器Q1は、二次電池Eの電圧値Vddと、基準電圧源Vr1の電圧値Vref1とを比較する。比較器Q1は、比較した結果、電圧値Vddが電圧値Vref1以上の場合にHレベルの信号を、過充電防止信号sg1として制御部104のREG1端子に出力する。また、比較器Q1は、電圧値Vddが電圧値Vref1以上の場合に、スイッチング素子Q2のゲート端子にHレベル信号を出力して、太陽電池Gの電極間を短絡するように切り換える。また、比較器Q1は、比較した結果、電圧値Vddが電圧値Vref1未満の場合にLレベルの過充電防止信号sg1を制御部104のREG1端子に出力する。
【0033】
太陽電池Gの電極間が開放時の電圧値の最大値が3.6[V]であるとする。また、太陽電池Gに光が照射されていない状態の電圧値は0Vである。この場合、基準電圧源Vr1の電圧値Vref1(基準電圧値Vref1ともいう)は、0[V]と3.6[V]との間の電圧値である。基準電圧源Vr1の電圧値Vref1は、充電時に二次電池Eに印加される許容電圧値の上限値である。
【0034】
照度検出回路30は、制御部104のCNT信号がHレベルのとき、太陽電池Gの電圧を抵抗R1と抵抗R2で分圧する。照度検出回路30は、分圧した電圧値と、基準電圧源Vr2の電圧値Vref2とを比較する。照度検出回路30は、比較した結果、分圧した電圧値が電圧値Vref2以上の場合にHレベルの信号を、照度検出結果を示す照度検出信号sg2として制御部104のREG2端子に出力する。照度検出回路30は、比較した結果、分圧した電圧値が電圧値Vref2未満の場合にL(ロー)レベルの照度検出信号sg2を制御部104のREG2端子に出力する。
【0035】
スイッチング素子Q3は、制御部104のCNT信号がHレベルのとき、オン状態になる。この場合は、端子Vscと抵抗R1の一端が接続される。スイッチング素子Q3は、制御部104のCNT信号がLレベルのとき、オフ状態になる。この場合は、端子Vscと抵抗R1の一端が接続されない。
【0036】
比較器Q4は、太陽電池Gの電圧が抵抗R1と抵抗R2で分圧した電圧値と、基準電圧源Vr2の電圧値Vref2(基準電圧値Vref2ともいう)とを比較する。比較器Q4は、比較した結果、分圧した電圧値が電圧値Vref2以上の場合にHレベルの信号を、照度検出信号sg2として制御部104のREG2端子に出力する。また、比較器Q4は、比較した結果、分圧した電圧値が電圧値Vref2未満の場合にLレベルの照度検出信号sg2を制御部104のREG2端子に出力する。ここで、基準電圧源Vr2の電圧値Vref2は、所定照度に対応した電圧値である。所定照度とは、表示部40を駆動可能な電力を供給できる照度である。
【0037】
太陽電池Gの電極間が開放時の電圧値の最大値が3.6[V]であるとする。また、太陽電池Gに光が照射されていない状態の電圧値は0Vである。この場合、基準電圧源Vr2の電圧値Vref2は、0[V]と3.6[V]との間の電圧値である。
【0038】
制御部104は、分周回路103が出力する周波数の信号を用いて計時を行い、計時した時間情報を表示駆動回路105に出力する。また、制御部104は、分周回路103が出力する周波数の信号を用いて照度を検出するタイミングを生成する。
制御部104は、過充電防止回路20が出力する過充電状態を示す過充電防止信号sg1がHレベルの場合、二次電池Eが満充電に近い充電状態であると判別する。満充電に近い充電状態であると判別した場合、制御部104は、照度検出回路30に対してLレベルのCNT信号を出力し、スイッチング素子Q3をオン状態に制御せず、過充電防止信号sg1に基づいて照度有りと判別する。
制御部104は、過充電防止回路20が出力する過充電防止信号sg1がLレベルの場合、照度を測定するタイミングのとき、スイッチング素子Q3をオン状態に制御し、比較器Q4が出力する照度検出信号sg2に基づいて、所定照度以上であるか否かを判別する。制御部104は、照度検出信号sg2がHレベルの場合に所定照度以上と判別する。制御部104は、照度検出信号sg2がLレベルの場合に所定照度未満と判別する。制御部104は、例えば所定照度未満が所定時間以上継続した場合に、省電力モードになるように各回路を制御する。ここで、所定時間とは、例えば30分である。なお、省電力モードとは、表示部40に表示を行わないように制御する。
【0039】
表示駆動回路105は、制御部104が出力する時間情報に基づいて表示部40に時刻等の情報を表示させる。
表示部40は、一例として液晶表示装置(LCD)、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置である。表示部40は、表示駆動回路105によって、例えば時刻情報、二次電池Eの残量情報、照度に関する情報等を表示する。
【0040】
次に、太陽電池Gの電極間の開放時と短絡時の電圧値について説明する。
図2は、太陽電池Gの出力特性(I-Vカーブ)を示す図である。
図2において、横軸は電圧、縦軸は電流である。また、
図2は、太陽電池Gに接続される負荷(出力電流I)に応じて、太陽電池Gの電極間に生じる電圧Vが変化することを示す図である。
【0041】
曲線g21は、第1の照度の場合の太陽電池の出力特性であり、接続される負荷に応じて得られる電力が変化することを示すものである。また、曲線g21は、出力電圧値が0[V]の時の電流値が太陽電池の両端を短絡した時の短絡電流を示し、太陽電池に接続される負荷抵抗が0Ωから徐々に増加すると出力電圧が上昇することを示し、負荷抵抗が無限大に相当する出力電流値が0[A]の時の電圧値が太陽電池の両端を解放した時の解放電圧を示す、電圧対電流の特性である。曲線g22は、第1の照度より高い第2の照度の場合の太陽電池Gの出力特性である。曲線g23は、第2の照度より高い第3の照度の場合の太陽電池Gの出力特性である。
【0042】
直線g31は、太陽電池Gの電極間の開放時の負荷線のイメージを表す。点g1が太陽電池Gの出力(端子Vsc、端子CN1の)電圧であり、点g11が抵抗R1と抵抗R2で分圧された(端子CN2の)電圧を示す。直線g32は、太陽電池Gの電極間の短絡時の負荷線のイメージを表す。
【0043】
照度が高い場合に過充電防止回路20によって太陽電池Gの電極間が短絡されると、照度検出回路30で検出する際、太陽電池Gの出力電圧は
図2の矢印g2に示すように、開放時の電圧値(点g1)と比べて短絡時の電圧値(点g3)が低くなる。
【0044】
例えば、照度が200[lux]程度の低い場合に太陽電池Gの電極間が短絡されると、照度検出回路30で検出する際、比較器Q4に入力される端子CN2の電圧は
図2の矢印g12に示すように開放時の電圧値(点g11)と比べて短絡時の電圧値(点g13)が低くなる。なお、ここでは、基準電圧値Vref2(第1検出値)を0.8[V]とする。この場合、太陽電池Gの電極間が開放状態であれば、比較器Q4に入力される電圧値が例えば0.9[V]であり、基準電圧値Vref2(第1検出値)の0.8[V]以上であるため、所定照度以上であると判断される。しかしながら、太陽電池Gの電極間を短絡状態にすると、比較器Q4に入力される電圧値が例えば0.7[V]となり、基準電圧値Vref2(第1検出値)の0.8[V]未満であるため、従来の手法では、所定照度未満であると誤判断される。このため、本実施形態では、過充電状態であると検出された場合に、照度が所定照度以上であると判断する。
【0045】
次に、時計1が行う処理手順例を説明する。
図3は、本実施形態に係る時計1が行う処理手順例を示すフローチャートである。なお、初期状態では、制御部104が出力するCNT信号がHレベル(スイッチング素子Q3がオフ)であるとする。
【0046】
(ステップS1)制御部104は、過充電防止回路20が出力する過充電防止信号sg1を取得する。続けて、制御部104は、過充電防止信号sg1がHレベルであるかLレベルであるかに基づいて、二次電池Eが満充電に近い充電状態であるか否かを判別する。制御部104は、満充電に近い充電状態であると判別した場合(ステップS1;YES)、ステップS2の処理に進め、満充電に近い充電状態ではないと判別した場合(ステップS1;NO)、ステップS4の処理に進める。
【0047】
(ステップS2)過充電防止回路20の比較器Q1は、スイッチング素子Q2をオン状態に制御することで太陽電池Gの電極間を短絡するように制御する。本実施形態では、この状態を過充電防止回路20がオン状態であるという。制御部104は、ステップS3の処理に進める。
【0048】
(ステップS3)制御部104は、過充電防止信号sg1がHレベルであるため、照度が所定照度以上である、すなわち照度有りと判別する。この場合、制御部104は、時計1の各構成要素を省電力モードに制御しない。処理後、制御部104は、ステップS1に処理を戻す。
【0049】
(ステップS4)制御部104は、照度を検出するタイミングのとき、LレベルのCNT信号を出力することで照度検出回路30をオン状態に制御する。これにより、照度検出回路30のスイッチング素子Q3がオン状態に切り替わる。なお、制御部104は、過充電防止信号sg1がLレベルである場合、スイッチング素子Q2がオフ状態となり太陽電池Gの電極間の短絡が解除される。処理後、制御部104は、ステップS5に処理を進める。
【0050】
(ステップS5)比較器Q4は、太陽電池Gの電圧を抵抗R1と抵抗R2で分圧した電圧値と、基準電圧源Vr2の基準電圧値Vref2とを比較することで照度を検出する。比較器Q4は、分圧した電圧値と基準電圧値Vref2とを比較した結果、分圧した電圧値が基準電圧値Vref2以上の場合、Hレベルの照度検出信号sg2を制御部104に出力する。または、比較器Q4は、分圧した電圧値が基準電圧値Vref2未満の場合、Lレベルの照度検出信号sg2を制御部104に出力する。処理後、制御部104は、ステップS6に処理を進める。
【0051】
(ステップS6)制御部104は、比較器Q4が出力する照度検出信号sg2がHレベルの場合、すなわち検出値が基準電圧値Vref2以上である場合(ステップS6;YES)、ステップS7の処理に進める。制御部104は、比較器Q4が出力する照度検出信号sg2がLレベルの場合、すなわち検出値が基準電圧値Vref2未満である場合(ステップS6;NO)、ステップS8の処理に進める。
【0052】
(ステップS7)制御部104は、所定照度以上と判別して、ステップS10の処理に進める。
【0053】
(ステップS8)制御部104は、所定照度未満と判別して、ステップS9の処理に進める。
(ステップS9)制御部104は、時計1の各構成要素を省電力モードに制御する。処理後、制御部104は、ステップS10に処理を進める。なお、制御部104は、所定時間、照度無しの状態が継続した場合に省電力モードになるように制御してもよい。
【0054】
(ステップS10)制御部104は、HレベルのCNT信号を出力することで照度検出回路30をオフ状態に制御する。これにより、照度検出回路30のスイッチング素子Q3がオン状態からオフ状態に切り替わる。処理後、制御部104は、ステップS1に処理を戻す。
【0055】
図3を用いて説明したように、本実施形態では、過充電防止回路20が過充電状態であると検出したとき所定照度以上であることを検出し、過充電状態ではないとき照度検出回路30を用いて所定照度以上であるか所定照度未満であることを検出している。これにより、本実施形態によれば、太陽電池Gに十分に照射されている場合に所定照度以上であることを適切に判断することができる。
【0056】
ここで、例えば時計1が服の袖等の下にあって太陽電池Gへの照射が遮断されている場合、袖から時計1が露出した場合、すぐに太陽電池Gの発電によって時刻表示を再開させたい。このため、省電力モードであっても、制御部104は、照度検出を、例えば2秒間に1回行うようにしてもよい。なお、制御部104は、通常動作時に、照度検出を、例えば1分間に1回行う。
【0057】
ここで、従来のように過充電が発生した場合に太陽電池の電極間が短絡され、その間に照度検出が行われた場合の処理例を説明する。
図4は、従来技術に係る過充電が発生した場合に太陽電池の電極間が短絡され、その間に照度検出が行われた場合のフローチャートである。なお、従来技術の時計の構成は、例えば
図1の時計1と同じであるとする。
【0058】
(ステップS901)制御部は、過充電防止回路の比較器が出力する信号に基づいて、二次電池が満充電に近い過充電状態であることを検出する。
(ステップS902)制御部は、過充電防止回路を制御して太陽電池の電極間を短絡させるように制御する。この場合は、
図2を用いて説明したように、太陽電池の電極間が短絡されているため、太陽電池の電圧値が実際の電圧値より下がっている。
【0059】
(ステップS903)制御部は、照度検出回路の比較器が出力する信号に基づいて、所定照度未満であると誤検出する。
(ステップS904)制御部は、時計の各構成要素を省電力モードに制御する。
【0060】
このように、従来技術では、二次電池が満充電に近い過充電状態の時に照度検出を行うと、太陽電池の電圧値が実際の電圧値より下がってしまうので所定照度未満であると誤検出されてしまう。この誤検出によって、時計が省電力モードに制御されてしまう。ここで、二次電池が満充電に近い過充電状態である場合は、太陽電池に十分な光量が照射され、十分な発電が行われている状態である。すなわち、実際には、所定照度以上の状態である。
一方、本実施形態では、満充電に近い過充電状態が検出された場合、制御部が照度検出回路30の検出結果ではなく過充電防止回路20の検出結果に基づいて、所定照度以上であると判別するようにした。これにより、本実施形態によれば、二次電池Eが満充電に近い過充電状態であっても太陽電池Gの発電状態を精度良く検出することができる。
【0061】
このように、従来は、二次電池が満充電状態で過充電防止回路が動作中に照度検出を行うと誤検出して、発電があるにもかかわらず省電力モードに遷移する課題があった。実施形態によれば、満充電状態で過充電防止回路が動作中に発生する照度検出誤判定による省電力モードへの遷移を防止することが可能となる。
【0062】
なお、
図1では、時計1がデジタル時計の例を説明したが、時計はアナログ時計であってもよい。
図5は、本実施形態に係る時計1Aがアナログ時計の場合の構成例を示すブロック図である。
図5に示すように、時計1Aは、二次電池E、太陽電池G、ダイオードD1、抵抗R1、抵抗R2、制御回路10A、および表示部40Aを備えている。
【0063】
表示部40Aは、時針40a、分針40b、および秒針40cを備えている。
制御回路10Aは、電源回路101、発振回路102、分周回路103、制御部104A、過充電防止回路20、照度検出回路30、第1指針駆動部106a、第2指針駆動部106b、第3指針駆動部106c、第1モータ107a、第2モータ107b、第3モータ107c、輪列108a、輪列108b、および輪列108cを備えている。時計1と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0064】
図5に示す時計1Aは、時針40aと分針40bと秒針40cを備えるアナログ時計の例である。なお、指針の数は、3本に限らない。指針は、1本であっても4本以上であってもよい。また、時計1Aは、表示駆動回路105と液晶等の表示部である表示部40を、さらに備えていてもよい。
【0065】
制御部104Aは、制御部104と同様に過充電防止処理と照度検出処理を行う。また、制御部104Aは、計時した時間情報に応じて、第1指針駆動部106aと第2指針駆動部106bと第3指針駆動部106cを制御する。
【0066】
第1指針駆動部106aは、制御部104Aの制御に応じて、第1モータ107aを正転または逆転させるためのパルス信号を生成する。第1指針駆動部106aは、生成したパルス信号によって第1モータ107aを駆動する。
【0067】
第2指針駆動部106bは、制御部104Aの制御に応じて、第2モータ107bを正転または逆転させるためのパルス信号を生成する。第2指針駆動部106bは、生成したパルス信号によって第2モータ107bを駆動する。
【0068】
第3指針駆動部106cは、制御部104Aの制御に応じて、第3モータ107cを正転または逆転させるためのパルス信号を生成する。第3指針駆動部106cは、生成したパルス信号によって第3モータ107cを駆動する。
【0069】
第1モータ107a、第2モータ107b、第3モータ107cそれぞれは、例えばステッピングモータである。第1モータ107aは、第1指針駆動部106aが出力したパルス信号によって、輪列108aを介して時針40aを駆動する。第2モータ107bは、第2指針駆動部106bが出力したパルス信号によって、輪列108bを介して分針40bを駆動する。第3モータ107cは、第3指針駆動部106cが出力したパルス信号によって、輪列108cを介して秒針40cを駆動する。
【0070】
輪列108a、輪列108b、輪列108cそれぞれは、少なくとも1つの歯車を含んで構成される。例えば、輪列108cは、60ステップで秒針40cが1回転する様に構成され、輪列108bは360ステップで分針40bが1回転する様に構成される。
時針40a、分針40b、秒針40cそれぞれは、不図示の支持体に回転可能に支持されている。
【0071】
制御部104Aは、所定照度未満と判別した場合、秒針40cの運針を停止して、時針40aと分針40bの運針のみ行って現在時刻を表示することにより、運針周期が秒針の1秒周期から例えば分針の10秒周期に変更することで省電力モードに制御する。または、制御部104Aは、例えば時針40aと分針40bの運針を停止させることで省電力モードに制御するようにしてもよい。
【0072】
図5に示したアナログ時計である時計1Aにおいても、時計1と同様に、二次電池Eが満充電に近い過充電状態であっても精度良く充電状態を検出することができる。
【0073】
[第2実施形態]
第1実施形態では、過充電防止回路20が過充電状態であると検出したとき所定照度以上であることを検出し、過充電状態ではないとき照度検出回路30を用いて所定照度以上であるか所定照度未満であることを検出する例を説明したが、照度の検出と判断は、これに限られない。
【0074】
第2実施形態の時計1の構成(
図1)は第1実施形態と同様、または時計1Aの構成(
図5)は第1実施形態と同様である。以下の例では、時計1の構成を用いて処理手順例を説明する。なお、構成が時計1Aの場合は、制御部104の処理を制御部104Aが行う。
図6は、本実施形態に係る時計1が行う処理手順例を示すフローチャートである。なお、初期状態では、制御部104が出力するCNT信号がHレベルであるとする。
【0075】
(ステップS101)制御部104は、過充電防止回路20が出力する過充電防止信号sg1を取得する。続けて、制御部104は、過充電防止信号sg1がHレベルであるかLレベルであるかに基づいて、二次電池Eが満充電に近い充電状態であるか否かを判別する。制御部104は、満充電に近い充電状態であると判別した場合(ステップS101;YES)、ステップS102の処理に進め、満充電に近い充電状態ではないと判別した場合(ステップS101;NO)、ステップS103の処理に進める。
【0076】
(ステップS102)制御部104は、過充電フラグを設定して、ステップS103の処理に進める。
【0077】
(ステップS103)過充電防止回路20の比較器Q1は、スイッチング素子Q2をオン状態に制御することで太陽電池Gの電極間を短絡するように制御する。制御部104は、ステップS104の処理に進める。
【0078】
(ステップS104)制御部104は、照度を検出するタイミングのとき、LレベルのCNT信号を出力することで照度検出回路30をオン状態に制御する。これにより、照度検出回路30のスイッチング素子Q3がオン状態に切り替わる。処理後、制御部104は、ステップS105に処理を進める。
【0079】
(ステップS105)比較器Q4は、太陽電池Gの電圧を抵抗R1と抵抗R2で分圧した電圧値と、基準電圧源Vr2の第1検出値(基準電圧値Vref2)とを比較することで照度を検出する。なお、第1検出値は、一例として200[lux]に対応する電圧値0.8[V]である。処理後、制御部104は、ステップS106に処理を進める。
【0080】
(ステップS106)制御部104は、比較器Q4が出力する照度検出信号sg2がHレベルの場合、すなわち検出値が第1検出値(基準電圧値Vref2)以上である場合(ステップS106;YES)、ステップS109の処理に進める。制御部104は、比較器Q4が出力する照度検出信号sg2がLレベルの場合、すなわち検出値が第1検出値(基準電圧値Vref2)未満である場合(ステップS106;NO)、ステップS107の処理に進める。
【0081】
(ステップS107)制御部104は、過充電フラグが設定されているか否かを判別する。制御部104は、過充電フラグが設定されていると判別した場合(ステップS107;YES)、ステップS109の処理に進め、過充電フラグが設定されていないと判別した場合(ステップS107;NO)、ステップS108の処理に進める。
【0082】
(ステップS108)制御部104は、所定照度未満と判別して、ステップS110の処理に進める。
(ステップS109)制御部104は、所定照度以上と判別して、ステップS110の処理に進める。なお、制御部104は、第1実施形態と同様に、所定照度未満が所定時間継続した場合に省電力モードになるように時計1を制御する。
【0083】
(ステップS110)制御部104は、HレベルのCNT信号を出力することで照度検出回路30をオフ状態に制御する。これにより、照度検出回路30のスイッチング素子Q3がオン状態からオフ状態に切り替わる。処理後、制御部104は、ステップS101に処理を戻す。
【0084】
以上のように、本実施形態では、過充電防止回路20が過充電状態であると検出したときに過充電フラグを設定する。そして、本実施形態では、照度検出回路30が検出した第1検出値を、過充電状態であるとき、すなわち過充電フラグが設定されている場合、照度検出値が第1検出値未満と誤検出しても、所定照度以上であると判断する。これにより、本実施形態によれば、太陽電池Gに十分に照射されている場合に所定照度以上であることを適切に判断することができる。また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、満充電状態で過充電防止回路20が動作中に発生する照度検出誤判定による省電力モードへの遷移を防止することが可能となる。
【0085】
なお、本発明における制御部104(または104A)の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御部104(または104A)が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0086】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0087】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0088】
1,1A…時計、E…二次電池、G…太陽電池、D1…ダイオード、R1,R2…抵抗、10,10A…制御回路、40,40A…表示部、101…電源回路、102…発振回路、103…分周回路、104,104A…制御部、105…表示駆動回路、20…過充電防止回路、30…照度検出回路、Q1,Q4…比較器、Q2,Q3…スイッチング素子、Vr1,Vr2…基準電圧源、106a…第1指針駆動部、106b…第2指針駆動部、106c…第3指針駆動部、107a…第1モータ、107b…第2モータ、107c…第3モータ、108a…輪列、108b…輪列、108c…輪列、40a…時針、40b…分針、40c…秒針