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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】画像診断用カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018194159
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020062079
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512961(JP,A)
【文献】特開2018-033507(JP,A)
【文献】特表2017-529138(JP,A)
【文献】特開2015-217216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に挿入可能な軸方向に延びたシースを備える画像診断用カテーテルであって、
前記シースは、
第1のガイドワイヤが挿通可能な第1のガイドワイヤルーメンが形成された先端側挿通部と、
前記先端側挿通部よりも前記軸方向の基端側に配置され、先端部に撮像ユニットが設けられた撮像シャフトが挿入される撮像用ルーメンが形成された挿入部と、
前記先端側挿通部よりも前記軸方向の基端側に配置され、第2のガイドワイヤが挿通可能な第2のガイドワイヤルーメンが形成された基端側挿通部と、を有し、
前記挿入部は、前記撮像ユニットによる診断画像の取得を可能にする観察用窓部を有し、
前記観察用窓部は、前記基端側挿通部よりも先端側に形成され、
前記第1のガイドワイヤルーメンの中心軸は、前記シースの軸直交断面上において、前記撮像用ルーメンと重なる位置に配置されており、
前記先端側挿通部と前記挿入部は、前記軸方向に離間しており、
前記シースは、前記先端側挿通部と前記挿入部とを接続する補強部材を有し、
前記補強部材は、前記シースの軸直交断面上において、前記先端側挿通部と重ならない位置に配置される、画像診断用カテーテル。
【請求項2】
前記補強部材は、前記シースの軸直交断面上において、前記基端側挿通部と重なる位置に配置される、請求項1に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項3】
前記補強部材の先端部は、前記シースの先端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有する、請求項1又は2に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項4】
前記補強部材の基端部は、前記シースの基端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項5】
生体内に挿入可能な軸方向に延びたシースを備える画像診断用カテーテルであって、
前記シースは、
第1のガイドワイヤが挿通可能な第1のガイドワイヤルーメンが形成された先端側挿通部と、
前記先端側挿通部よりも前記軸方向の基端側に配置され、先端部に撮像ユニットが設けられた撮像シャフトが挿入される撮像用ルーメンが形成された挿入部と、
前記先端側挿通部よりも前記軸方向の基端側に配置され、第2のガイドワイヤが挿通可能な第2のガイドワイヤルーメンが形成された基端側挿通部と、を有し、
前記挿入部は、前記撮像ユニットによる診断画像の取得を可能にする観察用窓部を有し、
前記観察用窓部は、前記基端側挿通部よりも先端側に形成され、
前記第1のガイドワイヤルーメンの中心軸は、前記シースの軸直交断面上において、前記撮像用ルーメンと重なる位置に配置されており、
前記シースは、前記基端側挿通部よりも先端側に配置され、前記基端側挿通部に挿通された前記第2のガイドワイヤを、前記シースの周方向の所定の範囲に保持するためのガイド部を有する画像診断用カテーテル。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記シースの外表面から突出する少なくとも1つの凸部を有する、請求項5に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項7】
前記ガイド部は、前記観察用窓部と前記軸方向の少なくとも一部で重なる、請求項5又は6に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項8】
前記基端側挿通部の先端部は、前記シースの先端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像診断用カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像診断用カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波や光を利用して血管等の生体管腔内の断層画像を取得する画像診断用カテーテルが知られている。一般的な画像診断用カテーテルには、画像情報を取得するための撮像ユニットが先端部に設けられた撮像シャフトと、撮像シャフトが挿通される撮像用ルーメン及びカテーテル先端部を生体管腔内の所望の位置まで送達するために用いられるガイドワイヤが挿通されるガイドワイヤルーメンが形成されたシャフトと、シャフトの基端部に連結されたハブと、が備えられる。
【0003】
また、特許文献1には、血管の本管内でのカテーテル先端部の送達をガイドするためのガイドワイヤ(以下、「第1のガイドワイヤ」とする)を挿通可能な第1のガイドワイヤルーメンと、第1のガイドワイヤルーメンよりもシースの基端側に配置され、血管の側枝に挿入されるガイドワイヤ(以下、「第2のガイドワイヤ」とする)を挿通可能な第2のガイドワイヤルーメンと、が形成されたシースを備える画像診断用カテーテルが記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された画像診断用カテーテルは、例えば、血管の側枝に重なるように血管の本管にステントを留置した後、ガイドワイヤを側枝内に挿入する処置に用いることができる。
【0005】
特許文献1に記載された画像診断用カテーテルは、上記処置で使用される際、第1のガイドワイヤルーメンに挿入された第1のガイドワイヤによりカテーテル先端部を血管の本管内に配置しつつ、第2のガイドワイヤルーメンを介して第2のガイドワイヤを血管の側枝内へ送達することを可能にする。そのため、術者は、上記の画像診断用のカテーテルを使用することにより、血管の本管にステントを留置した後、血管の側枝の様子を確認した上で第2のガイドワイヤを側枝内に挿入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-203249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された画像診断用カテーテルは、第1ガイドワイヤルーメンと第2ガイドワイヤルーメンとが、シャフトの軸直交断面上において撮像用ルーメンを間に挟むように対向した位置に配置されている。つまり、上記の画像診断用カテーテルは、三つのルーメンが軸直交断面上において並設されているため、シャフトの外形寸法(軸直交断面上における上下方向の寸法や左右方向の寸法)が大きい。したがって、上記の画像診断用カテーテルは、血管等の生体管腔内での送達性の面において課題を有する。
【0008】
そこで、本開示は、生体管腔の側枝等へガイドワイヤを容易に挿入することができるとともに生体管腔内での送達性が向上された画像診断用カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様としての画像診断用カテーテルは、生体内に挿入可能な軸方向に延びたシースを備え、前記シースは、第1のガイドワイヤが挿通可能な第1のガイドワイヤルーメンが形成された先端側挿通部と、前記先端側挿通部よりも前記軸方向の基端側に配置され、先端部に撮像ユニットが設けられた撮像シャフトが挿入される撮像用ルーメンが形成された挿入部と、前記先端側挿通部よりも前記軸方向の基端側に配置され、第2のガイドワイヤが挿通可能な第2のガイドワイヤルーメンが形成された基端側挿通部と、を有し、前記挿入部は、前記撮像ユニットによる診断画像の取得を可能にする観察用窓部を有し、前記観察用窓部は、前記基端側挿通部よりも先端側に形成され、前記第1のガイドワイヤルーメンの中心軸は、前記シースの軸直交断面上において、前記撮像用ルーメンと重なる位置に配置されており、前記先端側挿通部と前記挿入部は、前記軸方向に離間しており、前記シースは、前記先端側挿通部と前記挿入部とを接続する補強部材を有し、前記補強部材は、前記シースの軸直交断面上において、前記先端側挿通部と重ならない位置に配置される
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、第1のガイドワイヤルーメンに第1のガイドワイヤを挿通させ、第2のガイドワイヤルーメンに第2のガイドワイヤを挿通させることにより、生体管腔の本管(例えば、血管の本管)にカテーテルを挿入した状態を維持しつつ、生体管腔の側枝(例えば、血管の側枝)へ第2のガイドワイヤを挿入することができる。また、本開示によれば、第1のガイドワイヤルーメンの中心軸は、シースの軸直交断面上において撮像用ルーメンと重なる位置に配置されている。そのため、第1のガイドワイヤルーメンの少なくとも一部と撮像用ルーメンの少なくとも一部は、シースの軸直交断面上において重なるように配置される。それにより、シースの外形寸法は、第1のガイドワイヤルーメンと撮像用ルーメンがシースの軸直交断面上において重ならずに配置される場合と比較して小さい。したがって、本開示に係る画像診断用カテーテルは、生体管腔内での送達性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る画像診断用カテーテルを簡略的に示す図である。
図2】実施形態に係る画像診断用カテーテルの先端部付近の軸方向に沿う断面図である。
図3図2に示す矢印3-3線に沿うシースの軸直交断面図である。
図4図2に示す矢印4-4線に沿うシースの軸直交断面図である。
図5図2に示す矢印5-5線に沿うシースの軸直交断面図である。
図6図2に示す矢印6-6線に沿うシースの軸直交断面図である。
図7】実施形態に係る画像診断用カテーテルの使用例を模式的に示す断面図である。
図8】先端側挿通部の変形例を示す図であり、図3に対応するシースの軸直交断面図である。
図9】補強部材の変形例を示す図であり、図4に対応するシースの軸直交断面図である。
図10】挿入部の変形例を示す図であり、図5に対応するシースの軸直交断面図である。
図11】基端側挿通部の変形例を示す図であり、図6に対応するシースの軸直交断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の一態様に係る実施形態を説明する。以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定しない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
図1図6は、実施形態に係る画像診断用カテーテル10の各部の説明に供する図であり、図7は、画像診断用カテーテル10の使用例を模式的に示す断面図である。
【0014】
画像診断用カテーテル10は、超音波によって診断画像を取得するための超音波カテーテル(IVUSカテーテル)として構成している。画像診断用カテーテル10は、診断画像を取得する際、後述する信号送受信部(イメージングコア)311を駆動させるための外部駆動装置(MDU、図示省略)に接続される。
【0015】
以下の説明では、シース100の生体管腔内に挿入する側を「先端側」とし、シース100のハブ200が配置された側を「基端側」とし、シース100の延伸する方向を「軸方向」とする。明細書の説明において「先端部」とは、部材の先端(最先端)及び先端から軸方向に亘る一定の範囲を含む部分を意味し、「基端部」とは、部材の基端(最基端)及び基端から軸方向に亘る一定の範囲を含む部分を意味する。
【0016】
シース100の軸方向は、各図において矢印Xで示す。また、シース100の軸方向と直交する奥行方向を矢印Yで示し、軸方向及び奥行方向の各々と直交する高さ方向を矢印Zで示す。明細書内において説明するシース100の軸直交断面とは、シース100の軸方向と直交する断面であり、Y-Z平面を意味する(図3図6を参照)。また、シース100の周方向は、シース100の各部の外周面に沿う方向であり、図中において矢印Rで示す。
【0017】
図1に示すように、画像診断用カテーテル10は、生体内に挿入可能な軸方向に延びたシース100と、シース100に接続されたハブ200と、先端部に撮像ユニット310が設けられ、シース100に挿入された撮像シャフト300と、を有している。
【0018】
画像診断用カテーテル10は、図7に示すように、シース100の先端部101付近に配置された先端側挿通部110の第1のガイドワイヤルーメン113に挿通させた第1のガイドワイヤW1により、シース100の先端部101を血管(「生体管腔」に相当する)Bの本管Mの所望の位置へ送達することが可能なラピッドエクスチェンジタイプのカテーテルとして構成している。また、画像診断用カテーテル10は、血管Bの側枝bに挿入される第2のガイドワイヤW2を、ハブ200の挿入口220を介してシース100の軸方向に沿って延びた第2のガイドワイヤルーメン133内に挿通可能な構成を有する。
【0019】
<シース>
図1図2に示すように、シース100は、第1のガイドワイヤW1が挿通可能な第1のガイドワイヤルーメン113が形成された先端側挿通部110と、先端側挿通部110よりも軸方向の基端側に配置され、撮像シャフト300が挿入される撮像用ルーメン123が形成された挿入部120と、先端側挿通部110よりも軸方向の基端側に配置され、第2のガイドワイヤW2が挿通可能な第2のガイドワイヤルーメン133が形成された基端側挿通部130と、を有している。
【0020】
<先端側挿通部>
先端側挿通部110は、図2に示すように、第1のガイドワイヤルーメン113の先端と連通する先端開口部111と、第1のガイドワイヤルーメン113の基端と連通する基端開口部112と、を有している。
【0021】
先端側挿通部110の先端部は、先端側に向けて外径が漸減するテーパー形状に形成されている。先端側挿通部110の基端部は、先端側挿通部110の基端側に配置された補強部材140の外表面に向けて斜めに傾斜した断面形状を有する。基端開口部112は、先端側挿通部110の基端部の傾斜方向と同一の方向に向けて傾斜する断面形状を有する。
【0022】
図3に示すように、先端側挿通部110の軸方向の中心部付近の外周面及び内周面は、略円形の軸直交断面を有している。図中の符号C1は、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸の位置を示している。
【0023】
先端側挿通部110は、例えば、樹脂材料からなる単層構造のチューブで構成することができる。先端側挿通部110の形成材料としては、例えば、HDPE(高密度ポリエチレン)を用いることができる。先端側挿通部110の内径(第1のガイドワイヤルーメン113の径)は、例えば、0.25mm~0.46mmに形成することができる。先端側挿通部110の軸方向の中心部付近の外径は、例えば、0.3mm~0.6mmに形成することができる。先端側挿通部110を形成する材料の種類、先端側挿通部110の軸直交断面上における内径及び外径、先端側挿通部110の軸方向の長さ等について特に制限はない。
【0024】
<挿入部>
挿入部120は、図2に示すように、基端側挿通部130よりも先端側に形成され、撮像ユニット310による診断画像の取得を可能にする観察用窓部125と、撮像用ルーメン123の先端とシース100の外部とを連通する排出口128と、を有している。
【0025】
観察用窓部125は、撮像用ルーメン123内に配置された撮像ユニット310の信号送受信部311から出射された超音波を透過可能に構成している。超音波が透過可能とは、画像診断用カテーテル10を使用して取得される診断画像の画質が大きく損なわれない程度に屈折率が低い(透過率が高い)ことを意味する。
【0026】
排出口128は、撮像用ルーメン123内に充填されるプライミング液(超音波伝達液)を排出するために設けられている。画像診断用カテーテル10を使用した診断画像の取得に際し、撮像用ルーメン123内にはプライミング液が充填される。排出口128は、撮像用ルーメン123内にプライミング液が十分に充填されると、余剰なプライミング液を撮像用ルーメン123の外部へ排出させる。プライミング液には、例えば、生理食塩水を用いることができる。
【0027】
プライミング液を撮像用ルーメン123内に充填した状態でシース100を血管内に挿入すると、信号送受信部311と血管内壁との間にプライミング液が介在するようになる。この状態で信号送受信部311から超音波を出射させることにより、超音波がプライミング液を介して血管内壁まで良好に伝達され、さらに血管内壁から反射して戻ってくることが可能となる。
【0028】
撮像用ルーメン123は、シース100の基端部103まで延びている(図1を参照)。撮像用ルーメン123は、ハブ200の内部空間(図示省略)と連通している。撮像用ルーメン123に挿入された撮像シャフト300は、ハブ200の基端接続部230が外部駆動装置と接続されると、外部駆動装置の駆動源と電気的に接続される。また、撮像用ルーメン123は、ハブ200の内腔を介して、ハブ200のポート210とも連通している。撮像用ルーメン123内へのプライミング液の供給は、ハブ200のポート210を介して行うことができる。
【0029】
図2図5に示すように、シース100は、挿入部120の外周面に形成されたガイド部150を有している。
【0030】
ガイド部150は、図2に示すように、基端側挿通部130よりも先端側に配置されている。そのため、ガイド部150は、観察用窓部125と軸方向の一部で重なる。
【0031】
ガイド部150は、基端側挿通部130の先端開口部131が位置する箇所と周方向において近接した箇所(図5の上部側の箇所)に配置している。
【0032】
ガイド部150は、図5に示すように、シース100の外表面(挿入部120の外表面)から突出する一対の第1の凸部151及び第2の凸部152により構成している。
【0033】
第1の凸部151は、シース100の外表面付近に形成された基部151aと、シース100の外表面から離間した位置に配置された頂部151bと、を有している。第1の凸部151は、基部151aから頂部151bにかけて幅(図5の左右方向の寸法)が漸減している。また、第1の凸部151は、基部151a側から頂部151b側にかけて、第1のガイドワイヤルーメンの中心軸C1から離間する方向へ向けて傾斜している。
【0034】
第2の凸部152は、第1の凸部151と同様に、シース100の外表面付近に形成された基部152aと、シース100の外表面から離間した位置に配置された頂部152bと、を有している。第2の凸部152は、図5に示す軸直断面図において、第1の凸部151と左右対称の形状を有している。
【0035】
ガイド部150は、基端側挿通部130に挿通された第2のガイドワイヤW2を、シース100の周方向の所定の範囲(図5の矢印Aで示す範囲)に案内するために設けている。図7に示すように、基端側挿通部130の先端開口部131から突出した第2のガイドワイヤW2は、血管Bの本管Mから分岐する側枝bへ誘導される。この際、術者は、第2のガイドワイヤW2をシース100の周方向において側枝bが位置する側に保持することができると、第2のガイドワイヤW2を側枝bへ向けて移動させることが容易になる。術者は、第2のガイドワイヤW2を側枝bへ誘導する際、図5に示すように、第1の凸部151と第2の凸部152の間に形成される隙間(空間)に第2のガイドワイヤW2を配置する。術者は、第2のガイドワイヤW2を上記の隙間に配置することにより、第2のガイドワイヤW2がシース100の周方向の所定の範囲(矢印Aで示す範囲)から逸脱することを抑制することができる。そのため、術者は、基端側挿通部130の先端開口部131から突出させた第2のガイドワイヤW2を側枝b側へ容易に誘導することが可能になる。
【0036】
ガイド部150は、第2のガイドワイヤW2をシース100の周方向の所定の範囲に案内することが可能であれば、具体的な形状等は特に限定されない。例えば、ガイド部150は、1つの凸部であってもよく、シース100の外表面に形成した凹状の溝や、側枝b側へ向けて斜めに延びた通路が形成された管状部材等であってもよい。また、本実施形態では、ガイド部150は、シース100の挿入部120と一体的に形成されているが、例えば、シース100に別体の部材を接続して形成してもよい。
【0037】
挿入部120は、例えば、樹脂材料からなる単層構造のチューブで構成することができる。挿入部120の形成材料としては、例えば、HDPEを用いることができる。挿入部120の内径(撮像用ルーメン123の径)は、例えば、0.6mm~0.7mmに形成することができる。挿入部120の観察用窓部125における外径(ガイド部150が形成されていない場合の仮想外径)は、例えば、0.8mm~0.9mmに形成することができる。挿入部120を形成する材料の種類、挿入部120の軸直交断面上における内径及び外径、観察用窓部125の軸方向の長さ等について特に制限はない。
【0038】
<基端側挿通部>
基端側挿通部130は、図2に示すように、第2のガイドワイヤルーメン133の先端と連通する先端開口部131を有している。
【0039】
基端側挿通部130の先端部131aは、シース100の先端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有する。そのため、先端開口部131は、基端側挿通部130の先端部131aの傾斜方向と同一方向に向けて傾斜した断面形状を有する。
【0040】
第2のガイドワイヤルーメン133は、シース100の基端部103まで延びている(図1を参照)。第2のガイドワイヤルーメン133は、ハブ200の内部空間(図示省略)と連通している。また、第2のガイドワイヤルーメン133は、ハブ200に設けられた挿入口220と連通している。
【0041】
前述したように、挿入部120の撮像用ルーメン123は、シース100の基端部まで延びている。そのため、撮像用ルーメン123は、基端側挿通部130の先端部131a付近(観察用窓部125の基端付近)から、第2のガイドワイヤルーメン133と軸方向に沿ってシース100の基端部103まで並設されている。
【0042】
画像診断用カテーテル10は、図6に示すように、第2のガイドワイヤルーメン133と撮像用ルーメン123が、軸直交断面上において、互いに対向する位置に配置されている。上記の対向する位置とは、撮像用ルーメン123と第2のガイドワイヤルーメン133とが並設された部分における軸直交断面上における高さ方向(図6の上下方向)の中心位置Oを基準にして、撮像用ルーメン123と第2のガイドワイヤルーメン133の各々が中心位置Oよりも高さ方向の一端側e1及び他端側e2に偏った位置に配置されることを意味する。
【0043】
第1のガイドワイヤルーメン113は、撮像用ルーメン123と同様に、軸直交断面上において、第2のガイドワイヤルーメン133と対向する位置に配置されている。図6では、第1のガイドワイヤルーメン113の軸直交断面上の位置を仮想線(二点鎖線)で示している。また、本実施形態では、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1は、軸直交断面上において、撮像用ルーメン123と重なる位置に配置されている。
【0044】
図6に示すように、シース100は、撮像用ルーメン123と第2のガイドワイヤルーメン133が並設された部分では、二つのルーメン123、133が軸直交断面上の高さ方向の異なる位置に配置される。シース100において複数のルーメンが軸直交断面上の高さ方向の異なる位置に配置されるのは、撮像用ルーメン123と第2のガイドワイヤルーメン133が並設された部分だけである。そのため、撮像用ルーメン123と第2のガイドワイヤルーメン133が並設された部分では、シース100の外形寸法(図6の上下方向の長さ)が最大値t1となる。
【0045】
一方、第1のガイドワイヤルーメン113は、前述したように、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1が、軸直交断面上において撮像用ルーメン123と重なる。そのため、第1のガイドワイヤルーメン113の少なくとも一部と、撮像用ルーメン123の少なくとも一部は、軸直交断面上において重なるように配置される。シース100は、軸直交断面上において、第1のガイドワイヤルーメン113の位置と撮像用ルーメン123の位置が大きくずれない。したがって、画像診断用カテーテル10は、撮像用ルーメン123を間に挟んで第1のガイドワイヤルーメン113と第2のガイドワイヤルーメン133が配置される場合(三つのルーメンが軸直交断面上において並設される場合)と比較して、シース100の外形寸法の最大値t1が小さい。
【0046】
第1のガイドワイヤルーメン113と撮像用ルーメン123の位置関係は、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1が軸直交断面上において撮像用ルーメン123と重なる限り、特に限定されない。ただし、シース100の外形寸法を小さくする観点より、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1は、撮像用ルーメン123の中心軸(図示省略)と可能な限り近い位置に配置することが好ましい。例えば、第1のガイドワイヤルーメン113と撮像用ルーメン123は、シース100の軸直交断面上において、第2のガイドワイヤルーメン133と対向する位置に配置されていなくてもよい。
【0047】
基端側挿通部130は、例えば、樹脂材料からなる単層構造のチューブで構成することができる。本実施形態では、基端側挿通部130は、挿入部120と一体的に接続されている。具体的には、基端側挿通部130を形成する樹脂製のチューブと、挿入部120を形成する樹脂製のチューブとを融着により一体的に接続している。基端側挿通部130の形成材料としては、例えば、HDPEを用いることができる。基端側挿通部130の内径(第2のガイドワイヤルーメン133の径)は、例えば、0.25mm~0.46mmに形成することができる。また、シース100において撮像用ルーメン123と第2のガイドワイヤルーメン133が並設された部分の外形寸法の最大値t1は、例えば、0.7mm~1.2mmに形成することができる。基端側挿通部130を形成する材料の種類、基端側挿通部130の軸直交断面上における内径、上記の外形寸法等について特に制限はない。
【0048】
<補強部材>
図2に示すように、先端側挿通部110と挿入部120は、軸方向に離間している。シース100は、先端側挿通部110と挿入部120とを接続する補強部材140を有している。
【0049】
補強部材140は、先端部140aと、基端部140bと、先端部140aと基端部140bとの間に延びた中間部140cと、を有している。
【0050】
補強部材140の先端部140aは、先端側挿通部110の基端部に接続している。補強部材140の基端部140bは、挿入部120の先端部に接続している。補強部材140と先端側挿通部110の接続及び補強部材140と挿入部120の接続は、例えば、融着や接着で行うことができる。
【0051】
補強部材140の先端部140aは、シース100の先端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有している。また、補強部材140の基端部140bは、シース100の基端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有している。補強部材140の中間部140cは、先端部140aと基端部140bの間で略直線状に延在している。
【0052】
シース100は、先端側挿通部110と挿入部120とが軸方向に離間していることにより、先端側挿通部110と挿入部120との間に第1のガイドワイヤW1を配置することが可能な空間部aを有する。そのため、先端側挿通部110の基端開口部112から基端側へ導出させた第1のガイドワイヤW1が挿入部120と干渉することを防止することができる。また、シース100は、先端側挿通部110と挿入部120が補強部材140を介して相互に接続されているため、先端側挿通部110と挿入部120との間で破断等が生じることを防止できる。
【0053】
補強部材140の先端部140aは、先端側に向けて外形が小さくなるテーパー形状を有する。そのため、術者は、生体管腔内でシース100を移動させる際、補強部材140の先端部140aが血管内壁等に接触して送達性が低下することを抑制することができる。また、補強部材140の基端部140bは、基端側に向けて外形が小さくなるテーパー形状を有する。そのため、術者は、側枝bへ第2のガイドワイヤW2を送達する際、補強部材140の基端部140bの外表面に沿わせて第2のガイドワイヤW2を移動させることにより、第2のガイドワイヤW2を側枝b側へ容易に誘導することができる。さらに、図2に示すように、補強部材140の基端部140bは、軸方向の先端側へ向けて外形が小さくなる挿入部120の先端部と接続されている。そのため、補強部材140の基端部140bと挿入部120の先端部とが接続された部分では、両者の構成材料(樹脂材料)の増減が軸方向に沿って緩やかに変化する。したがって、補強部材140の基端部140bと挿入部120の先端部とが接続された部分の物性段差は軸方向に沿って緩やかに変化するため、補強部材140の基端部140bと挿入部120の先端部とが接続された部分で破断等が生じることを好適に防止することができる。
【0054】
図4に示すように、補強部材140の中間部140cは、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1から離間する方向へ突出する凸部145bと、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1側に形成された凹部145aと、が形成された断面形状を有している。
【0055】
補強部材140は、内部にルーメンや中空な空間部が形成されていない。そのため、補強部材140は、先端側挿通部110と挿入部120の間で、シース100の剛性を効果的に高めることができる。
【0056】
補強部材140は、例えば、樹脂材料からなる単層構造の部材で構成することができる。補強部材140の形成材料としては、例えば、HDPEを用いることができる。補強部材140を形成する材料の種類、補強部材140の軸直交断面の形状、補強部材140の軸方向の長さ等について特に制限はない。
【0057】
<ハブ>
図1に示すように、ハブ200は、シース100の撮像用ルーメン123内へプライミング液を供給するためのシリンジが接続可能なポート210と、シース100の第2のガイドワイヤルーメン133内へ第2のガイドワイヤW2を挿入するための挿入口220と、外部駆動装置へのハブ200の接続を可能にする基端接続部230と、を有している。
【0058】
ハブ200は、例えば、硬質の樹脂材料等で構成することができる。ハブ200の具体的な構成は特に限定されず、画像診断用カテーテル10の仕様等に応じて適宜変更してもよい。
【0059】
<撮像シャフト>
撮像シャフト300は、例えば、軸周りの巻き方向が異なる多層のコイルによって構成することができる。コイルの構成材料としては、例えば、ステンレス、Ni-Ti(ニッケル・チタン)合金などが挙げられる。
【0060】
撮像ユニット310は、超音波を送受信する信号送受信部311と、信号送受信部311が配置されたハウジング312と、を有している。信号送受信部311は、電圧をかけることにより圧電効果を生じて超音波を発生させる超音波振動子で構成している。ハウジング312の先端部には、撮像ユニット310の回転を安定させるためのコイルを接続してもよい。
【0061】
撮像シャフト300の内部には、外部駆動装置と信号送受信部311との間での電気信号の通信を可能にする信号線(図示省略)が配置されている。信号線は、例えば、ツイストペアケーブルや同軸ケーブルにより構成することができる。
【0062】
術者は、画像診断用カテーテル10を使用する際、ハブ200の基端接続部230を外部駆動装置に接続する。術者は、ハブ200の基端接続部230を外部駆動装置に接続することにより、外部駆動装置から撮像シャフト300及び撮像ユニット310へ駆動力を供給させることが可能になる。撮像シャフト300及び撮像ユニット310は、外部駆動装置から供給された駆動力により、回転(ラジアル走査)し、血管Bを360度の方向で撮像することができる。
【0063】
次に、図7を参照しつつ、画像診断用カテーテル10の使用例について説明する。画像診断用カテーテル10の使用用途は以下に説明する手技に限定されることはない。また、特に説明のない手技手順等については、公知の方法を適宜採用してもよい。
【0064】
図7には、血管Bの側枝bの入口周辺に形成された狭窄部(図示省略)を拡張させるために、血管Bの本管MにステントSを留置した状態を示している。術者は、ステントSによる狭窄部の治療状態を確認する際、ステントSの内腔に画像診断用カテーテル10を挿入し、ステントSの内側から血管内壁を観察する。術者は、側枝bの入口周辺を観察した結果、本管MにステントSを留置した際に狭窄部に含まれるプラーク等が移動して側枝bが閉塞等していることを確認した場合、側枝bまでステントSの一部を広げて配置したり、側枝bに対してバルーンカテーテル等による治療を実施したりする。術者は、治療に先立ち、ステントSのストラットの間隙gを通して、第2のガイドワイヤW2を側枝b内に挿入する。この際、術者は、第2のガイドワイヤルーメン133を介して側枝bへ第2のガイドワイヤW2を送達することができる。また、術者は、撮像ユニット310により取得される診断画像により第2のガイドワイヤW2の位置や先端部の向きを確認しつつ、第2のガイドワイヤW2を操作することにより、ステントSのストラット間の所望の間隙gから第2のガイドワイヤW2を側枝b側へ突出させることができる。術者は、側枝bに第2のガイドワイヤW2を挿入した後、第2のガイドワイヤW2を側枝bに挿入した状態を維持しつつ、画像診断用カテーテル10を生体外へ抜去する。その後、術者は、必要に応じて、第2のガイドワイヤW2に沿わせてバルーンカテーテル等の治療デバイスを側枝bへ送達することができる。以上のように、術者は、画像診断用カテーテル10により画像を取得した後、画像診断用カテーテル10を血管Bの本管Mから抜去することなく、側枝bへ第2のガイドワイヤW2を挿入することができる。そのため、術者は、手技に掛る作業負担を減らすことができ、手技を円滑に進めることができる。
【0065】
画像診断用カテーテル10を使用した手技に用いられる第1のガイドワイヤW1と第2のガイドワイヤW2は、製品品種が同一であってもよいし、異なってもよい。
【0066】
本実施形態に係る画像診断用カテーテル10の作用効果を説明する。
【0067】
本実施形態に係る画像診断用カテーテル10は、生体内に挿入可能な軸方向に延びたシース100を備える。シース100は、第1のガイドワイヤW1が挿通可能な第1のガイドワイヤルーメン113が形成された先端側挿通部110と、先端側挿通部110よりも軸方向の基端側に配置され、先端部に撮像ユニット310が設けられた撮像シャフト300が挿入される撮像用ルーメン123が形成された挿入部120と、先端側挿通部110よりも軸方向の基端側に配置され、第2のガイドワイヤW2が挿通可能な第2のガイドワイヤルーメン133が形成された基端側挿通部130と、を有し、挿入部120は、撮像ユニット310による診断画像の取得を可能にする観察用窓部125を有し、観察用窓部125は、基端側挿通部130よりも先端側に形成されている。そして、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1は、シース100の軸直交断面上において、撮像用ルーメン123と重なる位置に配置されている。
【0068】
上記のように構成された画像診断用カテーテル10によれば、第1のガイドワイヤルーメン113に第1のガイドワイヤW1を挿通させ、第2のガイドワイヤルーメン133に第2のガイドワイヤW2を挿通させることにより、血管Bの本管Mにシース100を挿入した状態を維持しつつ、血管Bの側枝bへ第2のガイドワイヤW2を挿入することができる。また、画像診断用カテーテル10によれば、第1のガイドワイヤルーメン113の中心軸C1は、シース100の軸直交断面上において、撮像用ルーメン123と重なる位置に配置されている。そのため、第1のガイドワイヤルーメン113の少なくとも一部と撮像用ルーメン123の少なくとも一部は、シース100の軸直交断面上において重なるように配置される。それにより、シース100の外形寸法は、第1のガイドワイヤルーメン113と撮像用ルーメン123がシース100の軸直交断面上において重ならずに配置される場合と比較して小さい。したがって、画像診断用カテーテル10は、血管B内での送達性が向上される。
【0069】
また、先端側挿通部110と挿入部120は、シース100の軸方向に離間している。シース100は、先端側挿通部110と挿入部120とを接続する補強部材140を有している。先端側挿通部110と挿入部120の間には、第1のガイドワイヤW1を配置することが可能な空間部aが形成されるため、術者は、先端側挿通部110の基端開口部112から基端側へ導出させた第1のガイドワイヤW1が挿入部120と干渉することを防止することができる。また、シース100は、補強部材140を介して先端側挿通部110と挿入部120が接続されることにより、先端側挿通部110と挿入部120の間で破断等が生じることを好適に防止することができる。
【0070】
また、補強部材140の先端部140aは、シース100の先端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有している。そのため、血管B内でシース100を移動させる際、補強部材140の先端部140aが血管内壁等に接触して送達性が低下することを抑制することができる。
【0071】
また、補強部材140の基端部140bは、シース100の基端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有している。そのため、側枝bへ第2のガイドワイヤW2を送達する際、補強部材140の基端部140bの外表面に沿わせて第2のガイドワイヤW2を移動させることにより、第2のガイドワイヤW2を側枝bへ容易に誘導することができる。
【0072】
また、シース100は、基端側挿通部130よりも先端側に配置され、基端側挿通部130に挿通された第2のガイドワイヤW2を、シース100の周方向の所定の範囲に保持するためのガイド部150を有している。術者は、側枝b内へ第2のガイドワイヤW2を挿入する際、ガイド部150により、基端側挿通部130から突出させた第2のガイドワイヤW2がシース100の周方向にずれることを抑制することができる。そのため、術者は、基端側挿通部130から側枝bへ向けて第2のガイドワイヤW2を容易に誘導することができる。
【0073】
また、ガイド部150は、シース100の外表面から突出する少なくとも1つの凸部151、152を有する。そのため、基端側挿通部130から突出させた第2のガイドワイヤW2を、凸部151、152により保持することができるため、第2のガイドワイヤW2がシース100の周方向に沿ってずれることをより確実に抑制することができる。
【0074】
また、ガイド部150は、観察用窓部125と軸方向の少なくとも一部で重なる。そのため、第2のガイドワイヤW2の少なくとも一部は、シース100の軸方向において観察用窓部125と重なる位置を通って側枝bへ向けて案内される。したがって、術者は、第2のガイドワイヤW2の位置を取得した診断画像下でより確実に確認しながら、ガイド部150により第2のガイドワイヤW2を側枝へ向けて容易に案内することができる。
【0075】
また、基端側挿通部130の先端部131aは、シース100の先端側へ向けて外形が漸減するテーパー形状を有する。そのため、基端側挿通部130から突出させた第2のガイドワイヤW2をシース100の外表面から離間する方向へ向けて容易に誘導することができ、側枝b内に第2のガイドワイヤW2を円滑に挿入することができる。
【0076】
<変形例>
次に、シース100の各部の構造についての変形例を説明する。各変形例の説明では、前述した実施形態で既に説明した構成等についての詳細な説明は省略する。また、変形例の説明で特に説明がない内容については、実施形態と同様とすることができる。
【0077】
図8には、変形例に係る先端側挿通部110の軸直交断面図を示している。先端側挿通部110は、例えば、第1の層(内層)110aと第2の層(外層)110bからなる多層構造を有していてもよい。第1の層110aは、例えば、HDPEで形成することができ、第2の層110bは、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)で形成することができる。第1の層110aの厚み及び第2の層110bの厚みは特に限定されない。
【0078】
図9には、変形例に係る補強部材140の軸直交断面図を示している。補強部材140は、例えば、図示するように円形の断面形状を有するように形成することができる。補強部材140の他の変形例として、例えば、中空状の部材の内部に充填材(樹脂製の接着材等)を充填させた構造を採用してもよい。このような構成を採用する場合においても、補強部材140の断面形状は特に限定されない。
【0079】
図10には、変形例に係る挿入部120の軸直交断面図を示している。挿入部120(挿入部120において基端側挿通部130と並設されていない部分)は、例えば、第1の層(内層)120aと第2の層(外層)120bからなる多層構造を有していてもよい。第1の層120aは、例えば、HDPEで形成することができ、第2の層120bは、例えば、LDPEで形成することができる。第1の層110aの厚み及び第2の層110bの厚みは特に限定されない。図10に示す変形例では、ガイド部150が形成されていない形態を示しているが、挿入部120は、ガイド部150が形成されている場合に多層構造で構成してもよい。
【0080】
図11には、変形例に係る基端側挿通部130の軸直交断面図を示している。基端側挿通部130は、例えば、第1の層(内層)130aと第2の層(外層)130bからなる多層構造を有していてもよい。第1の層130aは、例えば、HDPEで形成することができ、第2の層130bは、例えば、LDPEで形成することができる。第1の層130aの厚みは特に限定されない。また、挿入部120(挿入部120において基端側挿通部130と並設された部分)は、基端側挿通部130が上記のように多層構造で構成される場合、図11に示すように、第1の層(内層)120cと第2の層(外層)120dからなる多層構造を有していてもよい。第1の層120cは、例えば、HDPEで形成することができ、第2の層120dは、例えば、LDPEで形成することができる。第1の層120cの厚みは特に限定されない。
【0081】
前述した実施形態において説明したシース100の各部の構造及び各変形例で示したシース100の各部の構造は、発明の効果が損なわれることのない限り、任意に組み合わせてもよい。
【0082】
以上、実施形態及び変形例を通じて本開示に係る画像診断用カテーテルを説明したが、本開示に係る画像診断用カテーテルは説明した各構成のみに限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更してもよい。
【0083】
例えば、実施の形態では、本開示に係る生体管腔の診断画像を取得する超音波カテーテルに適用した例を説明したが、本開示に係る画像診断用カテーテルは、光干渉断層診断法(OCT:Optical Coherence Tomography)などの光を利用して画像を取得する画像診断用カテーテルに適用したり、超音波診断法及び光干渉断層診断法の両方を使用可能なデュアルタイプの画像診断用カテーテル等に適用したりしてもよい。本開示に係る画像診断用カテーテルを上記の光を利用して画像を取得する画像診断用カテーテルに適用する場合、シースに設けられる観察用窓部は光透過性を備えるように構成される。
【0084】
また、画像診断用カテーテルは、診断画像を取得する際に、撮像シャフトをシースの基端側へ移動させるプルバック操作を実施する構成を備えてもよい。
【0085】
また、画像診断用カテーテルを使用した手技対象となる生体管腔は、血管以外であってもよく、例えば、胆管、気管、食道、尿道、耳鼻内腔等であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 画像診断用カテーテル、
100 シース、
101 シースの先端部、
103 シースの基端部、
110 先端側挿通部、
113 第1のガイドワイヤルーメン、
120 挿入部、
123 撮像用ルーメン、
125 観察用窓部、
130 基端側挿通部、
131a 基端側の挿通部の先端部、
133 第2のガイドワイヤルーメン、
140 補強部材、
140a 補強部材の先端部、
140b 補強部材の基端部、
140c 補強部材の中間部、
150 ガイド部、
151 第1の凸部(凸部)、
152 第2の凸部(凸部)、
200 ハブ、
300 撮像シャフト、
310 撮像ユニット、
C1 第1のガイドワイヤルーメンの中心軸、
O 軸直交断面の高さ方向の中心位置、
W1 第1のガイドワイヤ、
W2 第2のガイドワイヤ、
B 血管(生体管腔)、
M 血管の本管、
b 血管の側枝、
S ステント、
g ステントのストラットの間隙、
t1 シースの外形寸法の最大値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11