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特許7193320航海情報装置、航海情報処理方法および航海情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】航海情報装置、航海情報処理方法および航海情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20221213BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20221213BHJP
   G08G 3/00 20060101ALI20221213BHJP
   G01S 7/12 20060101ALI20221213BHJP
   G01S 13/66 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G08G3/00 A
G01S7/12
G01S13/66
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018224442
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020086333
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】大久保 広樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真司
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-291184(JP,A)
【文献】特開2018-150024(JP,A)
【文献】特開2014-066630(JP,A)
【文献】特開平06-186058(JP,A)
【文献】特開2001-281331(JP,A)
【文献】特開2011-076542(JP,A)
【文献】特開2002-372583(JP,A)
【文献】特開2003-048595(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/042932(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G06F 3/02- 3/027
H03M 11/00-11/26
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを含む操作部と、
レーダ情報、AIS(Automatic Identification System)情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面を表示する制御を行う状況表示制御部と、
前記操作部における前記複数のキーの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行うマーク群表示制御部と、
押下された前記キーに対応する前記マークである対応マークを、前記周辺画面に表示されている対象に重畳して表示する制御を行うマーク表示制御部と、
を備え
前記マーク表示制御部は、追尾機能に基づく情報および前記AIS情報のうちの少なくともいずれか一方に基づいて表示された、前記対象を示すマークを、前記対応マークに変更する、航海情報装置。
【請求項2】
複数のキーを含む操作部と、
レーダ情報、AIS(Automatic Identification System)情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面を表示する制御を行う状況表示制御部と、
前記操作部における前記複数のキーの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行うマーク群表示制御部と、
押下された前記キーに対応する前記マークである対応マークを、前記周辺画面に表示されている対象に重畳して表示する制御を行うマーク表示制御部と、
を備え、
前記マーク表示制御部は、前記対象が移動する場合、前記周辺画面において前記対応マークを前記対象の移動に応じて移動させる、航海情報装置。
【請求項3】
前記マーク群表示制御部は、ユーザの操作に応じて、前記マーク群の表示態様を変更する、請求項1または請求項2に記載の航海情報装置。
【請求項4】
前記マーク群表示制御部は、前記マーク群の表示態様の変更として、前記マーク群における前記複数のマークの種類を変更する、請求項に記載の航海情報装置。
【請求項5】
前記マーク表示制御部は、前記対応マークに関する情報を表示する制御を行う、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の航海情報装置。
【請求項6】
前記対応マークに関する情報は、前記対応マークの形状、前記対応マークが指す緯度経度、前記対応マークが指す位置の地名、前記対応マークが指す対象の名前、前記対応マークから前記自船までの距離、および前記対応マークから前記自船への相対方位のうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項に記載の航海情報装置。
【請求項7】
前記マーク表示制御部は、ユーザの操作に応じて、前記対応マークの大きさを変更する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の航海情報装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記自船におけるレーダの調整に用いられる操作部である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の航海情報装置。
【請求項9】
航海情報装置における航海情報処理方法であって、
レーダ情報、AIS情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面を表示する制御を行い、
操作部における複数のキーの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行い、
押下された前記キーに対応する前記マークである対応マークを、前記周辺画面に表示されている対象に重畳して表示する制御を行い、
追尾機能に基づく情報および前記AIS情報のうちの少なくともいずれか一方に基づいて表示された、前記対象を示すマークを、前記対応マークに変更する、航海情報処理方法。
【請求項10】
航海情報装置における航海情報処理方法であって、
レーダ情報、AIS情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面を表示する制御を行い、
操作部における複数のキーの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行い、
押下された前記キーに対応する前記マークである対応マークを、前記周辺画面に表示されている対象に重畳して表示する制御を行い、
前記対象が移動する場合、前記周辺画面において前記対応マークを前記対象の移動に応じて移動させる、航海情報処理方法。
【請求項11】
航海情報処理プログラムであって、
レーダ情報、AIS情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面を表示する制御を行う処理と、
操作部における複数のキーの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行う処理と、
押下された前記キーに対応する前記マークである対応マークを、前記周辺画面に表示されている対象に重畳して表示する制御を行う処理と、
追尾機能に基づく情報および前記AIS情報のうちの少なくともいずれか一方に基づいて表示された、前記対象を示すマークを、前記対応マークに変更する処理、
を実行する、航海情報処理プログラム。
【請求項12】
航海情報処理プログラムであって、
レーダ情報、AIS情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面を表示する制御を行う処理と、
操作部における複数のキーの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行う処理と、
押下された前記キーに対応する前記マークである対応マークを、前記周辺画面に表示されている対象に重畳して表示する制御を行う処理と、
前記対象が移動する場合、前記周辺画面において前記対応マークを前記対象の移動に応じて移動させる処理、
を実行する、航海情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航海情報装置、航海情報処理方法および航海情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚群、目的地および他船などの対象を表すマークを、自船の周辺状況を示す画面に重畳して表示する技術が開発されている。たとえば、特許第6122603号公報(特許文献1)には、物標が選択された順番と、当該物標を表すシンボルと、を対応付けた対応情報を予め記憶し、ユーザが選択した物標に対して、前記対応情報に基づいて、当該物標が選択された順番に応じたシンボルを読み出して表示し、ユーザの操作に応じて対応情報を変更し、変更後の対応情報に基づいて、物標が表示された箇所にシンボルを表示する物標追尾装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6122603号公報
【文献】特許第4965035号公報
【文献】特許第6150418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが、対象を表すマークを画面に追加する場合、たとえば、マウスなどを操作して画面上においてカーソルをアイコン等に移動させることにより、追加するマークの形状、色および線種等を選択する。
【0005】
しかしながら、航行中の船舶は揺れることが多いため、たとえば、ユーザが、画面上においてアイコン等にカーソルを移動させる操作を行いながらマークの追加を行うことは容易ではない。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、自船の周辺状況を示す画面にマークを重畳して表示する際の、マークの追加等の作業性を向上させることができる航海情報装置、航海情報処理方法および航海情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る航海情報装置は、複数のキーを含む操作部と、レーダ情報、AIS(Automatic Identification System)情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面を表示する制御を行う状況表示制御部と、前記操作部における前記複数のキーの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行うマーク群表示制御部と、押下された前記キーに対応する前記マークである対応マークを、前記周辺画面に表示されている対象に重畳して表示する制御を行うマーク表示制御部と、を備える。
【0008】
このような構成により、操作部におけるキーを押下することで、マーク群に含まれるマークであって当該キーに対応する対応マークを表示させることができるため、画面上においてカーソルを移動させて対象マークの追加を行う方法などと比べて、自船が航行中であっても対応マークの追加を容易に行うことができる。したがって、自船の周辺状況を示す画面にマークを重畳して表示する際の、マークの追加等の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自船の周辺状況を示す画面にマークを重畳して表示する際の、マークの追加等の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る航海情報システムの構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る操作部の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される文字の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示されるオリジンマークを含む周辺画面の一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される対応マークの一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示されるAIS画面の一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示されるTT画面の一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される、マークの変更前におけるAIS-TT画面の一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される、マークの変更後におけるAIS-TT画面の一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置によるマーク投入モードの流れを示すフローチャートである。
図15図15は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置によるマーク投入モードの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
<構成および基本動作>
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る航海情報システムの構成を示す図である。
【0013】
図1を参照して、航海情報システム201は、航海情報装置101と、モニタ102と、操作部103と、マウス104と、レーダ105とを備える。航海情報装置101は、入力受付部11と、レーダ制御部12と、表示制御部13と、記憶部14とを含む。
【0014】
表示制御部13は、状況表示制御部21と、マーク群表示制御部22と、マーク表示制御部23とを有する。航海情報システム201は、船舶に搭載される。以下、航海情報システム201を搭載した船舶を「自船」とも称する。
【0015】
レーダ105は、レーダ制御部12による制御に従い、送信波を送信し、送信波の反射波を受信し、受信した反射波に基づいて自船の周辺に存在する他船などの対象Tの位置を検出する。そして、レーダ105は、検出結果を示すレーダ情報を表示制御部13へ出力する。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る操作部の一例を示す図である。
【0017】
図1および図2を参照して、操作部103は、複数のキーKを含み、たとえばレーダ105の調整に用いられる。具体的には、操作部103は、キーKとして、12個のキーK1~K12が配列されたテンキーを含む。ユーザは、操作部103を操作することにより、レーダ105における反射波の受信感度等の調整を行う。
【0018】
より詳細には、入力受付部11は、ユーザにより操作部103が操作されると、操作内容を示す操作情報をレーダ制御部12へ出力する。
【0019】
レーダ制御部12は、入力受付部11から出力された操作情報を受けて、当該操作情報に基づいてレーダ105を制御する。たとえば、レーダ制御部12は、反射波に基づく受信信号から雨、雪または波などによるノイズの影響を低減するように、レーダ105における反射波の受信感度等を調整するための制御を行う。
【0020】
表示制御部13における状況表示制御部21は、レーダ105から出力されたレーダ情報を受けて、当該レーダ情報に基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面Gをモニタ102に表示する制御を行う。具体的には、状況表示制御部21は、レーダ情報に基づいて、周辺画面Gを表示するための周辺画像信号を生成する。周辺画面Gには、自船を示すシンボルP、および自船の周辺に存在する対象Tを示すシンボルL等が含まれる。そして、状況表示制御部21は、生成した周辺画像信号をモニタ102へ出力することにより、周辺画面Gをモニタ102に表示する。
【0021】
なお、航海情報装置101が、モニタ102を備える構成であってもよい。
【0022】
図3は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
【0023】
図3を参照して、周辺画面Gには、たとえば、自船の位置を示すシンボルPを中心とした円形の領域R、および自船の周辺に存在する対象Tを示すシンボルLが含まれている。また、周辺画面Gには、後述するマーク設定アイコンIcが含まれている。
【0024】
再び図1を参照して、記憶部14は、たとえば不揮発性メモリである。記憶部14は、海図情報DB(Data Base)31を保持する。海図情報DB31には、航行する際の目印となる文字またはシンボルを含む海図情報が登録されている。
【0025】
具体的には、海図情報DB31には、たとえば、地名、特殊マーク、灯標、灯浮標、浮標、等深線、潮流、漁礁、障害物、安全領域下の障害物、漁具、底質、水質、警戒エリア、明弧、山頂、地形、霧笛信号、無線局、サービスおよびハーバー施設等を示す、文字またはシンボル等が登録されている。
【0026】
状況表示制御部21は、レーダ情報に加えて、海図情報に基づいて周辺画面Gを表示する制御を行ってもよい。この場合、状況表示制御部21は、海図情報およびレーダ情報に基づいて、たとえば、レーダ105により検出された対象Tを示すシンボルL、および自船の周辺の海図を含む周辺画面Gを表示する制御を行う。
【0027】
なお、状況表示制御部21は、レーダ情報に加えて、自船の搭載するAIS(Automatic Identification System)によるAIS情報に基づいて周辺画面Gを表示する制御を行ってもよい。この場合、状況表示制御部21は、レーダ情報およびAIS情報に基づいて、たとえば、レーダ105により検出された対象Tを示すシンボルL、およびAIS情報の送信元である、自船の周辺に存在する他船の位置を示すマークを含む周辺画面Gを表示する制御を行う。
【0028】
また、状況表示制御部21は、レーダ情報を用いず、AIS情報および海図情報のうちの少なくともいずれか一方に基づいて周辺画面Gを表示する制御を行ってもよい。
【0029】
再び図3を参照して、ユーザが、たとえばマウス104を操作することにより、周辺画面Gに表示されているカーソルCを移動させて、マーク設定アイコンIcを選択する操作を行ったとする。この場合、入力受付部11は、ユーザがマーク設定アイコンIcを選択したことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0030】
表示制御部13は、入力受付部11から出力された操作情報を受けると、周辺画面Gにマークを追加することのできるマーク投入モードに移行する。
【0031】
ここで、マークとは、自船が航行する際の目印として、ユーザが任意に設定可能であり、周辺画面Gに表示されている目的地または他船等の対象Tに重畳して表示されるマークである。マークには、対象Tの位置またはエリアを示すための通常マーク、および基準地点から自船までの距離および方位を把握するために当該基準地点に付されるオリジンマークが含まれる。
【0032】
周辺画面Gがレーダ105による検出結果を示す場合、画面が煩雑化することを避けるため、地名等の海図情報に基づく表示は行われないことが多い。このため、ユーザが任意に周辺画面Gにマークを追加可能な構成により、画面が煩雑化することを防ぎ、かつユーザにとって有用な周辺画面Gを表示することができる。
【0033】
図2に示す操作部103は、上述のとおり、通常時においてレーダ105の調整に用いられる一方で、表示制御部13がマーク投入モードに移行した場合には、マークに関する操作に用いられる。このように、レーダ105の調整に用いられる操作部103を用いてマークの追加を行うことができる構成により、マークを追加するための新たな操作部を設ける必要がない。
【0034】
なお、航海情報システム201は、マウス104の代わりに、マウス以外のポインティングデバイスを備えてもよい。また、航海情報システム201は、モニタ102を備えない構成であってもよい。
【0035】
[マーク投入モード]
(マークの形状の選択、および表示されているマークの消去)
図4は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
【0036】
図4を参照して、表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、表示制御部13がマーク投入モードに移行すると、複数のマークからなるマーク群であるマーク形状一覧S1を周辺画面Gに追加する。
【0037】
マーク形状一覧S1には、12個のボタンBa1~Ba12が含まれている。12個のボタンBa1~Ba12は、操作部103における12個のキーK1~K12の配置にそれぞれ対応して配置されている。また、ボタンBa1~Ba9には、互いに異なる形状のマークが付されている。ボタンBa10には「マーク消去」の文字が付され、ボタンBa11には「マーク色」の文字が付され、ボタンBa12には「マーク/数字」の文字が付されている。
【0038】
たとえば、ユーザが、周辺画面Gに表示されているカーソルCを移動させて、周辺画面Gに表示されている対象Tを示すシンボルLを選択する操作を行い、さらに、操作部103におけるキーK1~K9のいずれか1つを押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザにより選択された対象T、およびユーザにより押下されたキーKを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0039】
表示制御部13におけるマーク表示制御部23は、入力受付部11からの操作情報を受けて、当該操作情報に基づいて、ユーザにより押下されたキーKに対応する形状のマークである対応マークMを、ユーザにより選択されたシンボルLに重畳させて表示する制御を行う。
【0040】
また、たとえば、ユーザが、周辺画面Gに表示されている対応マークMにカーソルCを移動させて、さらに、操作部103におけるキーK10を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザにより選択された対応マークM、およびユーザによりキーK10が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0041】
表示制御部13におけるマーク表示制御部23は、入力受付部11からの操作情報を受けて、当該操作情報に基づいて、ユーザにより選択された対応マークMを周辺画面Gから消去する制御を行う。
【0042】
また、自船は、追尾機能であるTT(Target Tracking)の機能を有し、たとえば、レーダ情報に基づいて他船の動きを検出することにより、当該他船の、位置、移動する方向および船速などを示すTT情報を取得することが可能である。
【0043】
マーク表示制御部23は、対応マークMを重畳させる対象Tが移動する他船等である場合、たとえば自船により取得されたTT情報に基づいて、当該対応マークMを当該対象Tの移動に応じて移動させる。
【0044】
(文字の入力)
マーク表示制御部23は、対応マークMを周辺画面Gに表示する場合、当該対応マークMに対応する文字を周辺画面Gに表示することができる。
【0045】
図5は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される文字の一例を示す図である。
【0046】
図5を参照して、マーク表示制御部23は、たとえば、ユーザにより選択された対象Tに対応マークMを重畳して表示する場合、記憶部14における海図情報DB31を参照して、当該対応マークMが表示される位置に基づいて、当該対応マークMに対応する文字を読み出す。そして、マーク表示制御部23は、読み出した文字を当該対応マークMの近くに表示する制御を行う。
【0047】
具体的には、マーク表示制御部23は、図5に示す「オオサカワン」のように、対応マークMが重畳される対象Tの地名、または対応マークMが重畳される他船の船名などを、当該対応マークMの近くに表示する。これにより、周辺画面Gにおける対応マークMの示す内容を容易に把握することができる。
【0048】
また、マーク表示制御部23は、周辺画面Gに新たに表示した対応マークM、および当該対応マークMに対応する文字を、図1に示す記憶部14に保存されている通常マークDB32に登録する。
【0049】
(マークの設定)
図6は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
【0050】
図4および図6を参照して、マーク群表示制御部22は、ユーザの操作に応じてマーク群の表示態様を変更する。より詳細には、マーク群表示制御部22は、たとえば、マーク群の表示態様の変更として、マーク群における複数のマークの種類を変更する。
【0051】
具体的には、ユーザが、図4に示すマーク形状一覧S1が表示されている状況において、操作部103におけるキーK11を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザによりキーK11が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0052】
表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、マーク形状一覧S1を消去する。そして、マーク群表示制御部22は、図6に示すように、ボタンBa11に対応するマーク群であるマーク設定一覧S2を周辺画面Gに追加する。
【0053】
マーク設定一覧S2には、11個のボタンBb1~Bb11が含まれている。11個のボタンBb1~Bb11は、操作部103における11個のキーK1~K11の配置にそれぞれ対応して配置されている。また、ボタンBb1~Bb7には、互いに異なる色が付されている。なお、図6では、ボタンBb1~Bb7に互いに異なる色が付されていることを示すため、互いに異なるハッチングが付されている。
【0054】
また、ボタンBb8には「線種」の文字が付され、ボタンBb9には「魚種設定」の文字が付され、ボタンBb10には「魚種編集」の文字が付され、ボタンBb11には「戻る」の文字が付されている。
【0055】
ユーザが、マーク設定一覧S2が表示されている状況において、操作部103におけるキーK1~K7のいずれか1つを押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザにより押下されたキーKを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0056】
表示制御部13におけるマーク表示制御部23は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、次に対応マークMを周辺画面Gに表示する場合における当該対応マークMに関する設定を行う。具体的には、マーク表示制御部23は、ユーザによりキーK1~K7のいずれか1つが押下された場合、次に表示する対応マークMの色を、ユーザにより押下されたキーKに対応するボタンに付された色に設定する。
【0057】
また、ユーザが、マーク設定一覧S2が表示されている状況において、操作部103におけるキーK8を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザによりキーK8が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0058】
表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、マーク群の表示態様を変更する。たとえば、マーク群表示制御部22は、互いに異なる線種が付された12個のボタンを含む図示しない線種一覧を表示する。
【0059】
マーク表示制御部23は、線種一覧が表示されている状況において、操作部103におけるキーK1~K12のうちのいずれか1つが押下された場合、次に表示する対応マークMの線種を、ユーザにより押下されたキーKに対応するボタンに付された線種に設定する。
【0060】
また、ユーザが、マーク設定一覧S2が表示されている状況において、操作部103におけるキーK9を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザによりキーK9が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0061】
表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、たとえば、互いに異なる魚種の絵が付された12個のボタンを含む図示しない魚種一覧を表示する。
【0062】
マーク表示制御部23は、魚種一覧が表示されている状況において、操作部103におけるキーK1~K12のうちのいずれか1つが押下された場合、次に表示する対応マークMの形状を、ユーザにより押下されたキーKに対応するボタンに付された魚種の絵に設定する。
【0063】
また、ユーザが、マーク設定一覧S2が表示されている状況において、操作部103におけるキーK10を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザによりキーK10が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0064】
表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、たとえば、魚種一覧に含まれる絵を編集するための図示しない画面を表示する制御を行う。
【0065】
また、ユーザが、マーク設定一覧S2が表示されている状況において、操作部103におけるキーK11を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザによりキーK11が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0066】
表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、図4に示すマーク形状一覧S1を再び表示する制御を行う。
【0067】
(オリジンマーク)
図7は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される周辺画面の一例を示す図である。
【0068】
図4および図7を参照して、ユーザが、図4に示すマーク形状一覧S1が表示されている状況において、操作部103におけるキーK12を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザによりキーK12が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0069】
表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、マーク形状一覧S1を消去する。そして、マーク群表示制御部22は、図7に示すように、ボタンBa12に対応するマーク群であるオリジンマーク一覧S3を周辺画面Gに追加する。
【0070】
オリジンマーク一覧S3には、12個のボタンBc1~Bc12が含まれている。12個のボタンBc1~Bc12は、操作部103における12個のキーK1~K12の配置にそれぞれ対応して配置されている。
【0071】
ボタンBc1~Bc9,Bc11には、同一の形状のマークが付されている。また、ボタンBc1~Bc9,Bc11には、それぞれ1~10の数字が付されている。ボタンBc10には「マーク消去」の文字が付され、ボタンBc12には「マーク切替」の文字が付されている。
【0072】
ユーザが、周辺画面Gに表示されているカーソルCを移動させて、当該周辺画面Gに表示されている対象Tを示すシンボルLを選択する操作を行い、さらに、操作部103におけるキーK1~K9およびキーK11のうちのいずれか1つを押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザにより選択された対象T、およびユーザにより押下されたキーKを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0073】
表示制御部13におけるマーク表示制御部23は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、ユーザにより押下されたキーKに対応するボタンに付された形状および数字を含む、対応マークMの一例であるオリジンマークMoを、ユーザにより選択されたシンボルLに重畳させて表示する制御を行う。
【0074】
また、マーク表示制御部23は、オリジンマークMoが表示される位置に基づいて、当該オリジンマークMoに対応する文字を、当該オリジンマークMoの近くに表示する制御を行う。
【0075】
また、マーク表示制御部23は、周辺画面Gに新たに表示したオリジンマークMo、および当該オリジンマークMoに対応する文字を、図1に示す記憶部14に保存されているオリジンマークDB33に登録する。
【0076】
図8は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示されるオリジンマークを含む周辺画面の一例を示す図である。
【0077】
図8を参照して、マーク表示制御部23は、ユーザにより複数のオリジンマークMoを追加する操作が行われた場合、これら複数のオリジンマークMoを周辺画面Gに表示する制御を行う。
【0078】
また、マーク表示制御部23は、オリジンマークMoに関する情報を表示する制御を行う。オリジンマークMoに関する情報は、たとえば、オリジンマークMoの形状、オリジンマークMoが指す緯度経度、オリジンマークMoが指す位置の地名、オリジンマークMoが指す対象Tの名前、オリジンマークMoから自船までの距離、およびオリジンマークMoから自船への相対方位のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0079】
たとえば、マーク表示制御部23は、複数のオリジンマークMoが表示されている場合、これら複数のオリジンマークMoの一覧を示すオリジンマークリストLs1を表示する制御を行う。オリジンマークリストLs1には、オリジンマークMoに関する情報として、たとえば、各オリジンマークMoを基準位置とした、自船までの距離および自船の方位、ならびに各オリジンマークMoが付された位置の地名等が含まれている。
【0080】
なお、オリジンマークリストLs1には、自船までの距離および自船の方位の代わりに、各オリジンマークMoを基準位置とした、画面上におけるカーソルCに対応する地点までの位置および当該地点の方位が含まれてもよい。
【0081】
再び図7を参照して、ユーザが、オリジンマーク一覧S3が表示されている状況において、操作部103におけるキーK12を押下したとする。この場合、入力受付部11は、ユーザによりキーK12が押下されたことを示す操作情報を表示制御部13へ出力する。
【0082】
表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、入力受付部11からの操作情報に基づいて、マーク群の表示態様を変更する。具体的には、マーク群表示制御部22は、たとえば、ボタンBc1~Bc9,Bc11に付されている形状は変更せず、ボタンBc1~Bc9,Bc11にそれぞれ付されている数字を11~20に変更する。
【0083】
(対応マークの大きさの変更)
マーク表示制御部23は、ユーザの操作に応じて、周辺画面Gに表示する対応マークMの大きさを変更可能である。たとえば、ユーザが、マウス104を操作することにより周辺画面Gに表示されている対応マークMを選択し、さらに、マウス104における図示しないホイールを回転させたとする。この場合、マーク表示制御部23は、ユーザによる操作に応じて、当該対応マークMの大きさを変更する。
【0084】
図9は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される対応マークの一例を示す図である。
【0085】
図9を参照して、ひし形、四角形、円形、三角形および星形などの内側領域を有する形状の対応マークMが周辺画面Gにおいて表示されている状態において、ユーザがマウス104におけるホイールを回転させて当該対応マークMの大きさを変更する操作を行ったとする。この場合、マーク表示制御部23は、たとえばホイールの回転角度に応じて、周辺画面Gにおいて当該対応マークMの大きさを変更する。
【0086】
これにより、対応マークMに囲まれた領域を当該対応マークMの外部のエリアと区別することができる。このように、内部のエリアを外部のエリアと区別するために付される対応マークMを、以下「エリアマーク」とも称する。
【0087】
このように、1つのエリアマークを追加することにより、危険領域または侵入禁止領域などのエリアを周辺画面Gにおいて表示することができる構成により、たとえば複数のマークを繋げることによりエリアを表示する場合と比べて、当該エリアを表示するための作業性を向上させることができる。
【0088】
なお、マーク表示制御部23は、ユーザによるホイール等の操作に応じて、さらに、対応マークの傾きおよび表示位置の調整等を行うことのできる構成であってもよい。
【0089】
[マークの変更]
自船は、上述のとおり、他船から送信されたAIS情報を受信することが可能である。AIS情報は、当該他船の識別情報および位置情報等を示す。この場合、状況表示制御部21は、自船により受信された1または複数のAIS情報に基づいて、自船の周辺に存在する1または複数の他船の位置を示すマークMaを含むAIS画面を周辺画面Gとして表示可能である。
【0090】
図10は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示されるAIS画面の一例を示す図である。
【0091】
図10を参照して、状況表示制御部21は、たとえば、ユーザによりAIS画面の表示を指示するための操作が行われた場合、複数のAIS情報に基づいて、複数の他船の位置をそれぞれ示す複数のマークMa、および他船ごとのマークMaおよび位置の一覧を示すAISリストLs2を含むAIS画面を表示する制御を行う。
【0092】
また、状況表示制御部21は、自船がTT情報を取得可能である場合、取得された1または複数のTT情報に基づいて、自船の周辺に存在する1または複数の他船の位置を示すマークMtを含むTT画面を周辺画面Gとして表示可能である。
【0093】
図11は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示されるTT画面の一例を示す図である。
【0094】
図11を参照して、状況表示制御部21は、たとえば、ユーザによりTT画面の表示を指示するための操作が行われた場合、複数のTT情報に基づいて、複数の他船の位置をそれぞれ示す複数のマークMt、および他船ごとのマークMtおよび位置の一覧を示すTTリストLs3を含むTT画面を表示する制御を行う。
【0095】
ここで、ユーザが、AIS画面およびTT画面の両方を表示させるための操作を行ったとする。この場合、状況表示制御部21は、AIS情報に基づく複数のマークMa、およびTT情報に基づく複数のマークMtの両方を含むAIS-TT画面を表示する制御を行う。
【0096】
このとき、同一の他船がAISリストLs2およびTTリストLs3の両方に含まれている場合、AIS-TT画面において、当該他船のAIS情報に基づくマークMaと、当該他船のTT情報に基づくマークMtとが重なって表示される。すなわち、異なる2つのマークが重なって表示される。
【0097】
そこで、マーク表示制御部23は、このような表示を見やすくするため、ユーザの操作に応じて、たとえば、AIS情報およびTT情報のうちの少なくともいずれか一方のリストに基づいて周辺画面Gに表示された対象Tを示すマーク、すなわちマークMaおよびマークMtの少なくともいずれか一方を変更する。
【0098】
図12は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される、マークの変更前におけるAIS-TT画面の一例を示す図である。図13は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置により表示される、マークの変更後におけるAIS-TT画面の一例を示す図である。
【0099】
図12および図13を参照して、状況表示制御部21は、たとえば、図12に示すように、複数のマークMa、複数のマークMt、AISリストLs2およびTTリストLs3を含むAIS-TT画面を表示する。
【0100】
ユーザが、このようなAIS-TT画面が表示されている状態において、マウス104を操作してAIS-TT画面に表示されているカーソルCを移動させて、AISリストLs2に含まれる1つのマークMaを選択する操作を行ったとする。さらに、ユーザが、マーク設定アイコンIcを選択する操作を行ったとする。この場合、マーク群表示制御部22は、ユーザによる操作に従って、たとえば、図4に示すマーク形状一覧S1をAIS-TT画面に表示する制御を行う。
【0101】
そして、ユーザが、マーク形状一覧S1が表示されている状態において、操作部103におけるキーK1~K9のいずれか1つを押下したとする。この場合、表示制御部13は、AISリストLs2においてユーザに選択されたマークMaを、ユーザにより押下されたキーKに対応するボタンに付された形状の対応マークMに変更する。
【0102】
このとき、マーク表示制御部23は、ユーザに選択されたマークMaに対応する他船と同一の他船のマークMtがTTリストLs3に含まれている場合、当該マークMtを、ユーザにより押下されたキーKに対応するボタンに付された形状の対応マークMに変更する。
【0103】
具体的には、図12および図13に示すように、たとえば、三角形状のマークMaおよび四角形状のマークMtが、1つのひし形の対応マークMに変更される。これにより、異なるマークが重なって表示されることを防ぎ、見やすい表示を行うことができる。
【0104】
なお、ユーザはTTリストLs3の中から変更するマークMtを選択してもよい。この場合、マーク表示制御部23は、TTリストLs3において選択された他船と同一の他船のマークMaがAISリストLs2に含まれる場合、ユーザにより選択されたマークMtの変更と共に、当該マークMaの変更を行う。
【0105】
<動作の流れ>
航海情報装置101は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。航海情報装置101のプログラムは、外部からインストールすることができる。また、航海情報装置101のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0106】
図14および図15は、本発明の実施の形態に係る航海情報装置によるマーク投入モードの流れを示すフローチャートである。
【0107】
図14および図15を参照して、まず、表示制御部13における状況表示制御部21は、レーダ情報等に基づいて周辺画面Gを表示する(ステップS11)。
【0108】
次に、表示制御部13は、ユーザがマーク設定アイコンIcを選択したことを示す操作情報を入力受付部13から受けると、マーク投入モードに移行する。そして、表示制御部13におけるマーク群表示制御部22は、図4に示すマーク形状一覧S1を周辺画面Gに追加して表示する(ステップS12)。
【0109】
なお、表示制御部13は、マーク設定アイコンIcが選択される代わりに、操作部103における所定のファンクションキー等が押下された場合に、マーク投入モードに移行する構成であってもよい。
【0110】
次に、表示制御部13は、たとえば、マーク形状一覧S1を表示したタイミングから第1の所定時間以内にユーザによる操作部103におけるキーKの押下が行われたか否かを確認する(ステップS13)。
【0111】
そして、表示制御部13は、第1の所定時間以内にユーザによるキーKの押下が行われなかった場合(ステップS13において「NO」)、マーク投入モードを終了するか否かを判断する(ステップS27)。
【0112】
そして、表示制御部13は、たとえばユーザによりマーク設定アイコンIcを選択する操作が再び行われた場合、マーク投入モードを終了すると判断し(ステップS27において「YES」)、マーク投入モードを終了する(ステップS28)。
【0113】
一方、表示制御部13は、第1の所定時間以内にユーザによるキーKの押下が行われた場合(ステップS13において「YES」)、ユーザによりマーク設定一覧S2を表示するための操作が行われたか否かを確認する(ステップS14)。
【0114】
そして、表示制御部13は、ユーザによりマーク設定一覧S2を表示するための操作が行われた場合、すなわちマーク形状一覧S1が表示されており、ステップS13において押下されたキーKがキーK11である場合(ステップS14において「YES」)、マーク形状一覧S1の表示態様を変更する。すなわち、マーク群表示制御部22は、マーク形状一覧S1を消去して、図6に示すマーク設定一覧S2を周辺画面に追加して表示する制御を行う(ステップS15)。
【0115】
次に、ユーザが、キーK1~K7、すなわちマーク設定一覧S2に含まれるボタンBb1~Bb7のうちのいずれか1つに対応するキーKを押下したとする。この場合、マーク表示制御部23は、次に表示する対応マークMの色を、ユーザにより選択された色に設定する(ステップS16)。
【0116】
なお、マーク表示制御部23は、ユーザにより線種または魚種を選択する操作が行われた場合には、次に表示する対応マークMの線種を選択された線種に設定したり、次に表示する対応マークMの形状を選択された魚種の絵に設定したりする。
【0117】
次に、ユーザが、キーK11、すなわちマーク設定一覧S2に含まれる、「戻る」の文字が付されたボタンBb11に対応するキーKを押下したとする。この場合、マーク群表示制御部22は、マーク設定一覧S2を消去して、図4に示すマーク形状一覧S1を周辺画面Gに追加して表示する制御を行う(ステップS17)。そして、表示制御部13は、マーク投入モードを終了するか否かを判断する(ステップS27)。
【0118】
一方、表示制御部13は、ユーザによるマーク設定一覧S2を表示するための操作が行われていない場合(ステップS14において「NO」)、AIS画面、TT画面またはAIS-TT画面が表示中であるか否かを確認する(ステップS18)。
【0119】
そして、表示制御部13は、AIS画面、TT画面またはAIS-TT画面が表示中である場合(ステップS18において「YES」)、表示されているマークMaまたはマークMtを変更するための操作が行われたか否かを確認する。すなわち、表示制御部13は、表示されているマークMaまたはマークMtがユーザにより選択され、さらに、ステップS13において押下されたキーKがキーK1~K9のうちのいずれか1つであるか否かを確認する(ステップS19)。
【0120】
そして、表示制御部13におけるマーク表示制御部23は、ユーザによるマークMaまたはマークMtを変更するための操作が行われた場合(ステップS19において「YES」)、ユーザにより選択されたマークMaまたはマークMtを、ユーザにより押下されたきキーKに対応するボタンに付された形状の対応マークMに変更する(ステップS20)。そして、表示制御部13は、マーク投入モードを終了するか否かを判断する(ステップS27)。
【0121】
一方、表示制御部13は、AIS画面、TT画面またはAIS-TT画面が表示中であって(ステップS18において「YES」)、ユーザによるマークMaまたはマークMtを変更するための操作が行われていない場合(ステップS19において「NO」)、マーク投入モードを終了するか否かを判断する(ステップS27)。
【0122】
次に、表示制御部13は、AIS画面、TT画面およびAIS-TT画面のうちのいずれも表示中ではない場合(ステップS18において「NO」)、ユーザにより通常マークを表示するための操作が行われたか否かを確認する(ステップS21)。
【0123】
そして、表示制御部13におけるマーク表示制御部23は、ユーザにより通常マークを表示するための操作が行われた場合、すなわちマーク形状一覧S1が表示されており、ステップS13において押下されたキーKがキーK1~K9のうちのいずれか1つである場合(ステップS21において「YES」)、押下されたキーKに対応するボタンに付された形状の対応マークMを、ユーザにより選択された対象Tに重畳して表示する(ステップS22)。
【0124】
次に、マーク表示制御部23は、ユーザにより対応マークMの大きさを変更する操作が行われた場合、ユーザによる操作に応じて、当該対応マークMの大きさを調整する(ステップS23)。これにより、たとえば、内側領域を有する形状の対応マークMが周辺画面Gに表示された場合であって、当該対応マークMの大きさが変更された場合、ユーザにおいて、任意のエリアを他のエリアと区別するためのエリアマークを表示することができる。
【0125】
次に、マーク表示制御部23は、記憶部14における海図情報DB31を参照して、対応マークMが表示される位置に基づいて、当該対応マークMに対応する文字を当該対応マークMの近くに表示する(ステップS24)。
【0126】
次に、表示制御部13は、表示した対応マークMおよび文字を、記憶部14における通常マークDB32に登録する(ステップS25)。そして、表示制御部13は、マーク投入モードを終了するか否かを判断する(ステップS27)。
【0127】
また、表示制御部13は、ユーザにより通常マークを表示するための操作が行われていない場合(ステップS21において「NO」)、ユーザによりオリジンマーク一覧S3を表示するための操作が行われたか否かを確認する(ステップS29)。
【0128】
次に、表示制御部13は、ユーザによりオリジンマーク一覧S3を表示するための操作が行われた場合、すなわちマーク形状一覧S1が表示されており、ステップS13において押下されたキーKがキーK12である場合(ステップS29において「YES」)、マーク形状一覧S1の表示態様を変更する。すなわち、マーク群表示制御部22は、マーク形状一覧S1を消去して、図7に示すオリジンマーク一覧S3を周辺画面Gに追加して表示する制御を行う(ステップS30)。
【0129】
次に、ユーザが、キーK1~K9およびキーK11、すなわちオリジンマーク一覧S3に含まれるボタンBc1~Bc9およびボタンBc11のうちのいずれか1つに対応するキーKを押下したとする。この場合、マーク表示制御部23は、押下されたキーKに対応するボタンに付された形状および数字を含むオリジンマークMoを、ユーザにより選択された対象Tに重畳して表示する(ステップS31)。そして、表示制御部13は、対応マークMの大きさを調整する(ステップS23)。
【0130】
一方、表示制御部13は、ユーザによりオリジンマーク一覧S3を表示するための操作が行われていない場合(ステップS29において「NO」)、マーク投入モードを終了するか否かを判断する(ステップS27)。
【0131】
また、表示制御部13は、マーク投入モードを終了するか否かの判断(ステップS27)において、たとえば、マーク投入モードを終了するか否かの判断を開始したタイミングから第2の所定時間以内にユーザによるキーKの押下が行われた場合、マーク投入モードを終了しないと判断する(ステップS27において「NO」)。そして、この場合、表示制御部13は、マーク設定一覧S2を表示するための操作が行われたか否かを確認する(ステップS14)。
【0132】
ところで、従来、ユーザが、対象を表すマークを画面に追加する場合、たとえば、マウスなどを操作して画面上においてカーソルをアイコン等に移動させることにより、追加するマークの形状、色および線種等を選択する。
【0133】
しかしながら、航行中の船舶は揺れることが多いため、たとえば、ユーザが、画面上においてアイコン等にカーソルを移動させる操作を行いながらマークの追加を行うことは容易ではない。
【0134】
これに対して、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、状況表示制御部21は、レーダ情報、AIS情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面Gを表示する制御を行う。マーク群表示制御部22は、操作部103における複数のキーKの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行う。マーク表示制御部23は、ユーザにより押下されたキーKに対応するマークである対応マークMを、周辺画面Gに表示されている対象Tに重畳して表示する制御を行う。
【0135】
このような構成により、操作部103におけるキーKを押下することで、マーク群に含まれるマークであって当該キーKに対応する対応マークMを表示させることができるため、画面上においてカーソルCを移動させて対象マークMの追加を行う方法などと比べて、自船が航行中であっても対応マークMの追加を容易に行うことができる。
【0136】
したがって、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、自船の周辺状況を示す周辺画面Gにマークを重畳して表示する際の、マークの追加等の作業性を向上させることができる。
【0137】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、マーク群表示制御部22は、ユーザの操作に応じて、マーク群の表示態様を変更する。
【0138】
このような構成により、選択可能なマークの数が増えるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0139】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、マーク群表示制御部22は、マーク群の表示態様の変更として、当該マーク群における複数のマークの種類を変更する。
【0140】
このような構成により、選択可能なマークの種類が増えるため、多様な対応マークMを周辺画面Gに表示して、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0141】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、マーク表示制御部23は、対応マークMに関する情報を表示する制御を行う。
【0142】
このような構成により、対応マークMに対応する対象Tの位置情報など、ユーザにとって有用な情報を周辺画面Gに含めて表示することができる。
【0143】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101において、対応マークMに関する情報は、対応マークMの形状、対応マークMが指す緯度経度、対応マークMが指す位置の地名、対応マークMが指す対象Tの名前、対応マークMから自船までの距離、および対応マークMから自船への相対方位のうちの少なくともいずれか1つを含む。
【0144】
このような構成により、たとえば、表示された情報を確認することにより、周辺画面Gに表示された対応マークMをより有効に利用した航行を行うことができる。
【0145】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、マーク表示制御部23は、追尾機能に基づく情報およびAIS情報のうちの少なくともいずれか一方に基づいて周面画面Gに表示された、対象Tを示すマークを、対応マークMに変更する。
【0146】
このような構成により、たとえば、追尾機能に基づく情報を用いて検出された対象Tと、AIS情報を用いて検出された対象Tとが同一である場合、追尾機能に基づく対象Tを示すマーク、およびAIS情報に基づく対象Tを示すマークを同一の対応マークMに変更することができるため、異なるマークが重なって表示されることを防ぎ、視認性を向上させることができる。
【0147】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、マーク表示制御部23は、対象Tが移動する場合、周辺画面Gにおいて対応マークMを当該対象Tの移動に応じて移動させる。
【0148】
このような構成により、対応マークMに対応する対象Tの最新の位置を容易に把握することができる。
【0149】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、マーク表示制御部23は、ユーザの操作に応じて、対応マークMの大きさを変更する。
【0150】
このような構成により、たとえば、内側領域を有する形状の対応マークMの大きさを変更することにより、ユーザにおいて、任意のエリアを他のエリアと区別するためのエリアマークを表示することができる。また、1つのエリアマークを追加することにより、危険領域または侵入禁止領域などのエリアを周辺画面Gにおいて表示することができるため、たとえば複数のマークを繋げることによりエリアを表示する場合と比べて、当該エリアを表示するための作業性を向上させることができる。
【0151】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、操作部103は、自船におけるレーダ105の調整に用いられる操作部である。
【0152】
このような構成により、レーダ105の検出結果を表示し、かつ海図情報等を表示する装置において、レーダ105の操作部を利用して操作部を共通にすることにより、ユーザにおいて使い勝手の良い装置を実現することができる。
【0153】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報装置101では、マーク表示制御部23は、対応マークMが表示される位置に基づく文字を、当該対応マークMの近傍に表示する制御を行う。
【0154】
このような構成により、対応マークMが重畳される対象Tの地名、または対応マークMが重畳される他船の船名などを当該対応マークMの近くに表示することができるため、周辺画面Gにおける対応マークMの示す内容を容易に把握することができる。また、複数の対応マークMが表示されている場合、これら複数の対応マークMの識別を容易に行うことができる。
【0155】
また、本発明の実施の形態に係る航海情報処理方法では、まず、状況表示制御部21が、レーダ情報、AIS情報および海図情報のうちの少なくともいずれか1つに基づいて、自船の周辺状況を示す周辺画面Gを表示する制御を行う。次に、マーク群表示制御部22が、操作部103における複数のキーKの配置にそれぞれ対応して配置された複数のマークからなるマーク群を表示する制御を行う。次に、マーク表示制御部23が、ユーザにより押下されたキーKに対応するマークである対応マークMを、周辺画面Gに表示されている対象Tに重畳して表示する制御を行う。
【0156】
このような方法により、操作部103におけるキーKを押下することで、マーク群に含まれるマークであって当該キーKに対応する対応マークMを表示させることができるため、画面上においてカーソルCを移動させて対象マークMの追加を行う方法などと比べて、自船が航行中であっても対応マークMの追加を容易に行うことができる。
【0157】
したがって、本発明の実施の形態に係る航海情報処理方法では、自船の周辺状況を示す周辺画面Gにマークを重畳して表示する際の、マークの追加等の作業性を向上させることができる。
【0158】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0159】
11 入力受付部
12 レーダ制御部
13 表示制御部
21 状況表示制御部
22 マーク群表示制御部
23 マーク表示制御部
102 モニタ
103 操作部
104 マウス
105 レーダ
201 航海情報システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15