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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 23/14 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
H02P23/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018236562
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020099140
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】平山 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-229430(JP,A)
【文献】特開2010-085241(JP,A)
【文献】特開平10-094282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの動作速度を指示するモータ速度指示部と、前記モータ速度指示部の指示に応じて前記モータの動作速度を変更するモータ速度変更部と、前記モータの動作速度に応じて変化するセンサ部からの出力信号に基づいて前記モータの動作速度を算出するモータ速度算出部と、を備えるモータ駆動装置であって、
記センサ部から出力される出力信号を所定のしきい値と比較した結果を出力するコンパレータ部と、
出力信号の振幅を検出する振幅検出部と、
検出された振幅に基づいて、前記コンパレータ部のヒステリシス幅を決定するヒステリシス幅決定部と、
さらに備えるモータ駆動装置。
【請求項2】
前記センサ部から出力される出力信号をA/D変換するA/D変換部をさらに備え、
前記振幅検出部は、A/D変換されたデジタル信号から出力信号の振幅を検出する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記センサ部に電圧を印加するセンサ電源をさらに備え、
前記振幅検出部は、前記センサ部に印加される電圧に基づいて、出力信号の振幅を算出する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記センサ電源と前記センサ部との間の電源ケーブルの長さを取得するケーブル長取得部をさらに備え、
前記振幅検出部は、前記センサ部に印加された電圧と、取得された電源ケーブルの長さとに基づいて、前記出力信号の振幅を算出する請求項3に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
出力信号の周波数に応じた前記A/D変換部における振幅の減衰特性を特性情報として取得する特性情報取得部をさらに備え、
前記振幅検出部は、取得した特性情報に基づいて、出力信号の周波数から出力信号の振幅を算出する請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記センサ部の種類と、前記センサ部に固有の出力特性と、を取得する出力特性取得部をさらに備え、
前記振幅検出部は、取得された出力特性に基づいて、出力信号の振幅を検出する請求項1に記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械に利用されるモータの駆動において、モータの駆動を制御するモータ駆動装置が知られている。このようなモータ駆動装置は、例えば、モータに供給される電力の周波数を変更することでモータの回転速度等を制御する。
【0003】
モータの駆動制御において、変化する状況に応じてモータを安定的に動作させることは非常に重要である。そこで、モータの動作状態に基づいて、モータに供給される電力の周波数を変更するフィードバック制御を採用したモータ駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-33992号公報
【文献】特開2007-330090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたモータ駆動装置では、ヒステリシスコンパレータと、しきい値制御部とがフィードバック制御に用いられている。そして、しきい値制御部は、モータの制御運転切替直後のタイミングで、ヒステリシスコンパレータに用いられるしきい値をより高い値に変更する。これにより、突入電流が発生した場合であっても、より高い精度でモータの回転情報を検出することができる。
【0006】
特許文献2のモータ駆動装置では、モータの回転速度に応じた周波数信号をフィルタでノイズ除去することが開示されている。そして、特許文献2のモータ駆動装置では、ノイズ除去された周波数信号をA/D変換することが開示されている。これにより、特許文献2のモータ駆動装置では、アナログ信号のままの状態でノイズが除去して、波形鈍りの発生を抑制している。
【0007】
ところで、モータ駆動装置がセンサに同じ大きさの電圧を印加したとしても、モータ駆動装置は、センサから同じ大きさ(振幅)の出力信号を得られるとは限らない。例えば、モータ駆動装置は、ケーブルにおける電圧降下の違い等により、異なる振幅(大きさ)の出力信号を得る。そのため、モータ駆動装置は、センサの出力信号の振幅に応じて、コンパレータによる比較結果の精度を向上することができれば好ましい。
【0008】
本発明は、コンパレータによる比較結果の精度を向上可能なモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、モータ(例えば、後述のモータ2)の動作速度を指示するモータ速度指示部(例えば、後述のモータ速度指示部11)と、前記モータ速度指示部の指示に応じて前記モータの動作速度を変更するモータ速度変更部(例えば、後述のモータ速度変更部13)と、前記モータの動作速度に応じて変化するセンサ部(例えば、後述のセンサ部3)からの出力信号(例えば、後述の出力信号S)に基づいて前記モータの動作速度を算出するモータ速度算出部(例えば、後述のモータ速度算出部18)と、を備えるモータ駆動装置(例えば、後述のモータ駆動装置1)であって、前記モータ速度算出部は、前記センサ部から出力される出力信号を所定のしきい値と比較した結果を出力するコンパレータ部(例えば、後述のコンパレータ部17)と、出力信号の振幅を検出する振幅検出部(例えば、後述の振幅検出部15)と、検出された振幅に基づいて、前記コンパレータ部のヒステリシス幅(例えば、後述のヒステリシス幅W1,W2)を決定するヒステリシス幅決定部(例えば、後述のヒステリシス幅決定部16)と、を備えるモータ駆動装置に関する。
【0010】
(2) (1)のモータ駆動装置において、モータ駆動装置は、前記センサ部から出力される出力信号をA/D変換するA/D変換部(例えば、後述のA/D変換部14)をさらに備え、前記振幅検出部は、A/D変換されたデジタル信号から出力信号の振幅を検出してもよい。
【0011】
(3) (1)のモータ駆動装置において、モータ駆動装置は、前記センサ部に電圧を印加するセンサ電源(例えば、後述のセンサ電源19)をさらに備え、前記振幅検出部は、前記センサ部に印加される電圧に基づいて、出力信号の振幅を算出してもよい。
【0012】
(4) (3)のモータ駆動装置において、前記センサ電源と前記センサ部との間の電源ケーブル(例えば、後述の電源ケーブルC1)の長さを取得するケーブル長取得部(例えば、後述のケーブル長取得部20)をさらに備え、前記振幅検出部は、前記センサ部に印加された電圧と、取得された電源ケーブルの長さとに基づいて、前記出力信号の振幅を算出してもよい。
【0013】
(5) (2)のモータ駆動装置において、モータ駆動装置は、出力信号の周波数に応じた前記A/D変換部における振幅の減衰特性を特性情報として取得する特性情報取得部(例えば、後述の特性情報取得部21)をさらに備え、前記振幅検出部は、取得した特性情報に基づいて、出力信号の周波数から出力信号の振幅を算出してもよい。
【0014】
(6) (1)のモータ駆動装置において、前記センサ部の種類と、前記センサ部に固有の出力特性と、を取得する出力特性取得部(例えば、後述の出力特性取得部22)をさらに備え、前記振幅検出部は、取得された出力特性に基づいて、出力信号の振幅を検出してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンパレータによる比較結果の精度を向上可能なモータ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータ駆動装置とモータとセンサとの接続状態を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係るモータ駆動装置を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係るモータ駆動装置のヒステリシス幅決定部が決定するヒステリシス幅の一例を示す模式図である。
図4】第1実施形態に係るモータ駆動装置のヒステリシス幅定部が決定するヒステリシス幅の他の例を示す模式図である。
図5】第1実施形態に係るモータ駆動装置のコンパレータ部から出力される信号の一例を示す模式図である。
図6】第1実施形態に係るモータ駆動装置の動作を示すフローチャートである。
図7図6の回転情報算出の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置とモータとセンサとの接続状態を示す概略図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るモータ駆動装置とモータとセンサとの接続状態を示す概略図である。
図10】本発明の第4実施形態に係るモータ駆動装置とモータとセンサとの接続状態を示す概略図である。
図11】本発明の第5実施形態に係るモータ駆動装置とモータとセンサとの接続状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態に係るモータ駆動装置1について、図1図11を参照して説明する。
まず、モータ駆動装置1の概要について、図1を参照して説明する。
【0018】
モータ駆動装置1は、例えば、工作機械等の交流モータを駆動する装置である。モータ駆動装置1は、図1に示すように、モータ電源ケーブルC1を介してモータ2に接続される。また、モータ駆動装置1は、モータ2の動作を計測するセンサ部3(例えば、ロータリーセンサ)に測定用ケーブルC2を介して接続される。ここで、センサ部3は、例えば、モータ2と一体的に設けられる。また、センサ部3は、モータ2の速度や位置に応じて位相の異なる少なくとも2つの正弦波を出力する。本実施形態において、センサ部3は、例えば、90度位相のずれた2つの正弦波を出力する。
【0019】
モータ駆動装置1は、予め決定された指示内容に応じて、モータ2に所定の動作周波数を与えることで、モータ2を駆動する。このとき、モータ駆動装置1は、例えば、センサ部3から、モータ2の回転速度や、回転位置等に関する出力を出力信号Sとして取得する。モータ駆動装置1は、取得した出力信号Sに基づいて、モータ2をフィードバック制御(サーボ制御)する。これにより、モータ駆動装置1は、素早くモータ2の動作を指示内容に合わせることができ、モータ2を精密に動作させることができる。
【0020】
本発明の各実施形態に係るモータ駆動装置1は、コンパレータにおいて、出力信号Sと所定のしきい値とを比較することで、モータ2の回転速度等を算出する。コンパレータには、出力信号Sがノイズ等によって乱れても誤動作しないように、ヒステリシスが設けられる。出力信号Sの振幅がより大きい場合、より大きいヒステリシス幅が用いられる。一方、出力信号Sの振幅がより小さい場合、より小さいヒステリシス幅が用いられる。これにより、本発明の各実施形態に係るモータ駆動装置1は、センサ部3の出力信号Sの振幅に応じて、コンパレータによる比較のノイズ耐性や精度の向上を図ったものである。
【0021】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係るモータ駆動装置1について、図1図7を参照して説明する。
本実施形態に係るモータ駆動装置1は、図2に示すように、モータ速度指示部11と、モータ電源12と、モータ速度変更部13と、A/D変換部14と、振幅検出部15と、ヒステリシス幅決定部16と、コンパレータ部17と、モータ速度算出部18と、を備える。本実施形態においては、モータ電源12とモータ速度変更部13との機能を併せ持つインバータが用いられる。
【0022】
モータ速度指示部11は、モータ2に対して予め決められた動作内容(回転速度、回転方向等)に応じたモータ2への指示(回転速度、回転方向等)を回転指示情報として出力する。
モータ電源12は、モータ2に電力を供給する。より具体的には、モータ電源12は、モータ2に交流電力を供給する。
【0023】
モータ速度変更部13は、モータ速度指示部11及びモータ電源12に接続される。また、モータ速度変更部13は、モータ2に接続される。モータ速度変更部13は、モータ速度指示部11から回転指示情報を取得する。モータ速度変更部13は、回転指示情報に応じてモータ電源12から供給される電力の動作周波数を変更する。モータ速度変更部13は、変更した動作周波数の電力をモータ2に供給する。
【0024】
A/D変換部14は、センサ部3に接続される。A/D変換部14は、例えば、センサ部3と有線(測定用ケーブルC2)で接続される。A/D変換部14は、センサ部3から出力されるアナログの出力信号Sをデジタル信号に変換する。
【0025】
振幅検出部15は、出力信号Sの振幅を検出する。本実施形態において、振幅検出部15は、A/D変換部14において変換されたデジタル信号に基づいて出力信号Sの振幅を検出する。A/D変換部14は、例えば、出力信号Sの極大値と極小値を検出することで、出力信号Sの振幅を検出する。
【0026】
ヒステリシス幅決定部16は、振幅検出部15に接続される。ヒステリシス幅決定部16は、振幅検出部15によって検出された振幅に基づいて、後述するコンパレータ部17のしきい値のヒステリシス幅を決定する。一例として、ヒステリシス幅決定部16は、図3及び図4に示すように、所定のしきい値に対して出力信号Sを変化させるヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)を決定する。ヒステリシス幅決定部16は、例えば、検出された振幅がより大きい場合に、より大きなヒステリシス幅W1を決定する。また、ヒステリシス幅決定部16は、検出された振幅がより小さい場合に、より小さなヒステリシス幅W2を決定する。ヒステリシス幅決定部16は、例えば、決定されたヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)に応じて、後述するコンパレータ部17に接続される抵抗を切り替える。ヒステリシス幅決定部16は、例えば、以下の表1のように、出力信号Sの振幅に対してヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)を決定する。
【0027】
【表1】
【0028】
コンパレータ部17は、センサ部3及びヒステリシス幅決定部16に接続される。コンパレータ部17は、図5に示すように、センサ部3から出力される出力信号Sを所定のしきい値と比較した結果を比較信号Lとして出力する。具体的には、コンパレータ部17は、決定されたヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)によって変化された所定のしきい値と、出力信号Sとを比較した結果を比較信号Lとして出力する。コンパレータ部17は、例えば、ヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)によって変化された上限のしきい値B1を超える出力信号Sの信号値に対して、比較信号Lとしてハイ信号を出力する。コンパレータ部17は、上限のしきい値B1を超える信号値から下回る信号値への出力信号Sの変化に対して、下限のしきい値B2を下回るまでそのままハイ信号を出力する。次いで、コンパレータ部17は、ヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)によって変化された下限のしきい値B2を上回る信号値から下回る信号値への出力信号Sの変化により、ハイ信号からロー信号に変更した比較信号Lを出力する。コンパレータ部17は、下限のしきい値B2を下回る信号値から上回る信号値への出力信号Sの変化に対して、上限のしきい値B1を上回るまでそのままロー信号を出力する。次いで、コンパレータ部17は、上限のしきい値B1を超える信号値への出力信号Sの変化により、比較信号Lをロー信号からハイ信号に変更して出力する。
【0029】
モータ速度算出部18は、A/D変換部14及びコンパレータ部17に接続される。また、モータ速度算出部18は、A/D変換部14から得られる出力信号Sのデジタル信号と、コンパレータ部17の比較信号Lとから、モータ2の回転速度、回転方向、回転位置等を算出する。モータ速度算出部18は、算出したモータ2の回転速度、回転方向、回転位置等の情報を回転情報としてモータ速度指示部11に出力する。なお、モータ速度算出部18は、回転情報として、モータ2の回転速度が0であることについても出力する。
【0030】
以上のモータ速度指示部11及びモータ速度算出部18によれば、モータ速度指示部11は、モータ速度算出部18から回転情報を取得する。モータ速度指示部11は、取得した回転情報に応じて変化させたモータ2への指示を回転指示情報として出力する。モータ速度指示部11は、例えば、回転情報によって得られたモータ2の回転速度等から、予め決められた動作内容に合わせてモータ2を動作させるのに最適化された回転指示情報を出力する。
【0031】
次に、本実施形態に係るモータ駆動装置1の動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、モータ速度指示部11は、予め決められた動作内容に応じて回転指示情報を出力する(ステップS1)。このとき、モータ速度指示部11は、モータ速度算出部18から回転情報を取得して、最適化された回転指示情報を出力する。
【0032】
次いで、モータ速度変更部13は、回転指示情報に応じてモータ電源12から供給される電力の動作周波数を変更する(ステップS2)。これにより、モータ速度変更部13は、モータ2の回転速度等を変更する。
【0033】
次いで、A/D変換部14及びコンパレータ部17は、センサ部3から、モータ2の動作状況を出力信号Sとして取得する(ステップS3)。次いで、モータ速度算出部18は、A/D変換部14及びコンパレータ部17からデジタル信号及び比較信号Lを取得して、モータ2の回転情報を算出する(ステップS4)。
【0034】
次いで、モータ2の動作を終了するか否かが判断される(ステップS5)。モータ2の動作が終了される場合(ステップS5 YES)、モータ駆動装置1の動作は終了する。一方、モータ2の動作が継続される場合(ステップS5 NO)、処理はステップS1に戻る。
【0035】
次に、モータ2の回転速度を算出する流れを図7のフローチャートを用いて説明する。
まず、A/D変換部14は、センサ部3から出力信号Sを取得する。A/D変換部14は、出力信号Sをデジタル変換する(ステップS41)。A/D変換部14は、出力信号Sを変換したデジタル信号をモータ速度算出部18及び振幅検出部15に出力する。
【0036】
振幅検出部15は、デジタル信号を取得する。振幅検出部15は、デジタル信号の振幅を検出する(ステップS42)。振幅検出部15は、検出したデジタル信号の振幅をヒステリシス幅決定部16に出力する。
【0037】
ヒステリシス幅決定部16は、デジタル信号の振幅に基づいて、ヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)を決定する(ステップS43)。ヒステリシス幅決定部16は、例えば、より大きい振幅であれば、より大きいヒステリシス幅W1を決定する。逆に、ヒステリシス幅決定部16は、より小さい振幅であれば、より小さいヒステリシス幅W2を決定する。ヒステリシス幅決定部16は、決定したヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)をコンパレータ部17に出力する。
【0038】
コンパレータ部17は、センサ部3から出力信号Sを取得する。また、コンパレータ部17は、ヒステリシス幅決定部16からヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)を取得する。コンパレータ部17は、出力信号Sとヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)によって変更されたしきい値とを比較して結果を出力する(ステップS44)。具体的には、コンパレータ部17は、出力信号Sとヒステリシス幅W1(又はヒステリシス幅W2)とを比較して、ハイ信号又はロー信号を出力する。
【0039】
以上の本発明の第1実施形態に係るモータ駆動装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)モータ駆動装置1は、モータ2の動作速度を指示するモータ速度指示部11と、モータ速度指示部11の指示に応じてモータ2の動作速度を変更するモータ速度変更部13と、モータ2の動作速度に応じて変化するセンサ部3からの出力信号Sに基づいてモータ2の動作速度を算出するモータ速度算出部18と、を備えるモータ駆動装置1であって、モータ速度算出部18は、センサ部3から出力される出力信号Sを所定のしきい値と比較した結果を出力するコンパレータ部17と、出力信号Sの振幅を検出する振幅検出部15と、検出された振幅に基づいて、コンパレータ部17のヒステリシス幅W1,W2を決定するヒステリシス幅決定部16と、を備える。センサ部3から出力される出力信号Sの振幅の大きさに応じてヒステリシス幅W1,W2を決定することができるので、コンパレータ部17による比較結果の精度を向上することができる。
【0040】
(2)モータ駆動装置1は、センサ部3から出力される出力信号SをA/D変換するA/D変換部14をさらに備え、振幅検出部15は、A/D変換されたデジタル信号から出力信号Sの振幅を検出する。これにより、デジタル回路において出力信号Sの振幅を容易に検出することができる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置1について、図8を参照して説明する。第2実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係るモータ駆動装置1は、センサ電源19をさらに備える点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係るモータ駆動装置1は、振幅検出部15が、デジタル信号から振幅を検出するのに代えて、センサ部3に印加される電圧に基づいて、出力信号Sの振幅を算出する点で、第1実施形態と異なる。
【0042】
センサ電源19は、センサ電源ケーブルC3を介してセンサ部3に接続される。センサ電源19は、センサ部3を駆動する電力をセンサ部3に供給する。なお、図8以降では、センサ電源ケーブルC3は、測定用ケーブルC2と離れて記載されている。これに対し、センサ電源ケーブルC3は、実際には、測定用ケーブルC2と一纏めにされて設置されてもよい。
【0043】
振幅検出部15は、センサ部3に印加される電圧に基づいて、出力信号Sにおける振幅を算出する。振幅検出部15は、例えば、センサ部3に印加される電圧によって、出力される出力信号Sの振幅を予め決定(算出)する。
【0044】
以上の本発明の第2実施形態に係るモータ駆動装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(3)モータ駆動装置1は、センサ部3に電圧を印加するセンサ電源19をさらに備え、振幅検出部15は、センサ部3に印加される電圧に基づいて、出力信号Sの振幅を算出する。これにより、A/D変換による信号の遅延を抑制することができる。したがって、モータ2のフィードバック制御(サーボ制御)の精度を向上することができる。
【0045】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るモータ駆動装置1について、図9を参照して説明する。
第3実施形態に係るモータ駆動装置1は、センサ電源19とセンサ部3との間のセンサ電源ケーブルC3の長さを取得するケーブル長取得部20をさらに備える点で、第2実施形態と異なる。また、第3実施形態に係るモータ駆動装置1は、振幅検出部15が、センサ部3に印加された電圧と、取得されたセンサ電源ケーブルC3の長さとに基づいて、出力信号Sの振幅を算出する点で、第2実施形態と異なる。
【0046】
ケーブル長取得部20は、例えば、外部から、センサ電源ケーブルC3のケーブル長を取得する。例えば、ケーブル長取得部20は、モータ駆動装置1を用いて作業する作業者によって入力された、センサ電源ケーブルC3のケーブル長を取得してもよい。
振幅検出部15は、センサ電源ケーブルC3において発生する電圧降下を算出する。また、振幅検出部15は、センサ部3に印加された電圧と、取得されたセンサ電源ケーブルC3の長さとに基づいて、出力信号Sの振幅を算出する。例えば、振幅検出部15は、センサ部3に印加された電圧と、算出された電圧降下の値とに基づいて、出力信号Sの振幅を算出する。
【0047】
以上の本発明の第3実施形態に係るモータ駆動装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(4)モータ駆動装置1は、センサ電源19とセンサ部3との間の電源ケーブルの長さを取得するケーブル長取得部20をさらに備え、振幅検出部15は、センサ部3に印加された電圧と、取得された電源ケーブルの長さとに基づいて、出力信号Sの振幅を算出する。これにより、コンパレータ部17から出力される比較信号Lの精度をより向上することができる。
【0048】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るモータ駆動装置1について、図10を参照して説明する。
第4実施形態に係るモータ駆動装置1は、A/D変換部14における振幅の減衰特性を特性情報として取得する特性情報取得部21をさらに備える点で、第1実施形態と異なる。また、第4実施形態に係るモータ駆動装置1は、振幅検出部15が、取得した特性情報に基づいて、出力信号Sの周波数から出力信号Sの振幅を算出する点で、第1実施形態と異なる。
【0049】
A/D変換部14には、所定の振幅の減衰特性を特性情報としてもつフィルタ(図示せず)が設けられる。A/D変換部14は、例えば、フィルタ(図示せず)を介することで、減衰した振幅で示される出力信号Sをデジタル信号に変換する。
【0050】
振幅検出部15は、出力信号Sの周波数によって減衰する振幅の大きさを加味して出力信号Sの振幅を算出する。振幅検出部15は、例えば、出力信号Sの周波数と、特性情報とから減衰する振幅の大きさを算出する。振幅検出部15は、A/D変換部14によって変換されたデジタル信号の振幅に減衰する振幅の大きさを加えることで、出力信号Sの振幅を決定する。
【0051】
以上の本発明の第4実施形態に係るモータ駆動装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(4)モータ駆動装置1は、出力信号Sの周波数に応じたA/D変換部14における振幅の減衰特性を特性情報として取得する特性情報取得部21をさらに備え、振幅検出部15は、取得した特性情報に基づいて、出力信号Sの周波数から出力信号Sの振幅を算出する。これにより、より精度よく出力信号Sの振幅を得ることができるので、コンパレータ部17から出力される比較信号Lの精度をより向上することができる。
【0052】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るモータ駆動装置1について、図11を参照して説明する。
第5実施形態に係るモータ駆動装置1は、センサ部3の種類と、センサ部3に固有の出力特性を取得する出力特性取得部22をさらに備える点で、第2及び第3実施形態と異なる。また、第5実施形態に係るモータ駆動装置1は、振幅検出部15が、取得したセンサ部3の出力特性に基づいて、出力信号Sの振幅を検出する点で、第2及び第3実施形態と異なる。
【0053】
出力特性取得部22は、例えば、センサ部3の種類を取得する。具体的には、出力特性取得部22は、予め定められたセンサ部3の種類についての情報を外部から取得する。出力特性取得部22は、取得したセンサ部3の種類の情報に応じて、センサ部3に対応する出力特性を取得する。出力特性取得部22は、例えば、以下の表2に示されるような出力特性を示す情報から、センサ部3に対応する出力特性を取得する。
振幅検出部15は、例えば、取得された出力特性に基づいて、出力信号Sの振幅を検出する
【0054】
【表2】
【0055】
以上の本発明の第5実施形態に係るモータ駆動装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(6)モータ駆動装置1は、センサ部3の種類と、センサ部3に固有の出力特性と、を取得する出力特性取得部22をさらに備え、振幅検出部15は、取得された出力特性に基づいて、出力信号Sの振幅を検出する。このような手法であっても出力信号Sの振幅の大きさを検出することができ、コンパレータ部17の比較結果の精度を向上することができる。
【0056】
以上、本発明のモータ駆動装置の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態において、モータ駆動装置1は、振幅検出部15がA/D変換部14からデジタル信号を取得する構成と、振幅検出部15がセンサ部3に印加される電圧を取得する構成との両者を備える構成であってもよい。この場合、振幅検出部15は、外部から選択された構成を用いて出力信号Sの振幅を検出してもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、ヒステリシス幅決定部16は、ヒステリシス幅W1,W2の変更に際して、コンパレータ部17に接続されている抵抗の抵抗値を動的に変更することでヒステリシス幅W1,W2を変更するようにしてもよい。また、ヒステリシス幅決定部16は、複数の抵抗を切り換えることで、コンパレータ部17に接続される抵抗の抵抗値を動的に変更するようにしてもよい。
【0058】
また、上記第3実施形態において、ケーブル長取得部20は、センサ電源ケーブルC3の長さを取得するようにしたが、これに制限されない。例えば、ケーブル長取得部20は、測定用ケーブルC2の長さも取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 モータ駆動装置
2 モータ
3 センサ部
11 モータ速度指示部
13 モータ速度変更部
14 A/D変換部
15 振幅検出部
16 ヒステリシス幅決定部
17 コンパレータ部
18 モータ速度算出部
19 センサ電源
20 ケーブル長取得部
21 特性情報取得部
22 出力特性取得部
S 出力信号
W1,W2 ヒステリシス幅

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11