(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
B62J 45/20 20200101AFI20221213BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221213BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20221213BHJP
B62L 1/00 20060101ALI20221213BHJP
B62L 1/06 20060101ALI20221213BHJP
F16D 66/00 20060101ALI20221213BHJP
F16D 66/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B62J45/20
B60L3/00 N
B60L15/00 Z
B62L1/00 A
B62L1/00 B
B62L1/06
F16D66/00 Z
F16D66/02 B
F16D66/02 X
(21)【出願番号】P 2018236765
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西原 大平
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 健
(72)【発明者】
【氏名】竹田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】三宅 剛
(72)【発明者】
【氏名】米虫 崇
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0046869(US,A1)
【文献】特開昭60-168928(JP,A)
【文献】特開2010-032054(JP,A)
【文献】特開2000-234641(JP,A)
【文献】実開昭59-085436(JP,U)
【文献】特開2005-145309(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0208873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 45/20
B62L 1/00
B62L 1/06
F16D 66/00
F16D 66/02
B60L 3/00
B60L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に関する第1情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力される前記第1情報の履歴情報に応じて、前記人力駆動車の構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つに関する第2情報を作成する人工知能処理部と、を含
み、
前記構成要素は、ボトムブラケット、クランク軸、クランクアーム、ペダル、アジャスタブルシートポストの少なくとも1つを含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記構成要素は、ブレーキ装置、ブレーキパッド、ブレーキシュー、ホース、ディスクブレーキロータ、オイル、グリス、ケーブル、スプロケット、チェーン、ランプ、変速機、操作装置、ホイール、ハブ、リム、スポーク、タイヤ、ハンドルグリップ、発電機、サスペンション、バッテリ、および、前記人力駆動車に推進力を付与するドライブユニットの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2情報に応じて、前記構成要素を含む人力駆動車用コンポーネントおよび前記構成要素を含まない人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを制御する制御部をさらに含む、請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記人力駆動車用コンポーネントは、変速機および前記人力駆動車に推進力を付与するドライブユニットの少なくとも1つを含む、請求項
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記構成要素および前記人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを、第1制御状態と、前記第1制御状態の場合よりも前記構成要素および前記人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つについての使用の頻度および動作の強度の少なくとも1つが低下する第2制御状態と、で制御し、
前記構成要素が第2の劣化状態または第2の摩耗状態になったと前記人工知能処理部が判定した場合、前記制御部は、前記第1制御状態から前記第2制御状態に移行する、請求項
3または
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
人力駆動車に関する第1情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力される前記第1情報の履歴情報に応じて、前記人力駆動車の構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つに関する第2情報を作成する人工知能処理部と、
制御部と、を含み、
前記制御部は、前記構成要素、および、人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを、第1制御状態と、前記第1制御状態の場合よりも前記構成要素および前記人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つについての使用の頻度および動作の強度の少なくとも1つが低下する第2制御状態と、で制御し、
前記構成要素が第2の劣化状態または第2の摩耗状態になったと前記人工知能処理部が判定した場合、前記制御部は、前記第1制御状態から前記第2制御状態に移行し、
前記人力駆動車用コンポーネントは、前記構成要素を含む前記人力駆動車用コンポーネント、および、前記構成要素を含まない前記人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを含む、情報処理装置。
【請求項7】
前記人力駆動車用コンポーネントは、変速機および前記人力駆動車に推進力を付与するドライブユニットの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記構成要素は、ブレーキ装置、ブレーキパッド、ブレーキシュー、ホース、ディスクブレーキロータ、オイル、グリス、ケーブル、スプロケット、チェーン、ランプ、変速機、操作装置、ホイール、ハブ、リム、スポーク、タイヤ、ボトムブラケット、クランク軸、クランクアーム、ペダル、ハンドルグリップ、発電機、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、バッテリ、および、前記人力駆動車に推進力を付与するドライブユニットの少なくとも1つを含む、請求項
6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記履歴情報は、前記第1情報の変化に関する情報と、前記構成要素の使用の頻度および前記構成要素の使用の時間との少なくとも1つに関する情報と、を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記構成要素は、ブレーキ装置に含まれ、前記人力駆動車を制動するための摩擦部材を含み、
前記第1情報は、前記人力駆動車の制動距離に関する情報を含む、請求項
6または7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記摩擦部材は、ブレーキパッドおよびブレーキシューの少なくとも1つを含む、請求項
10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1情報は、
前記摩擦部材に対する操作に関する情報と、
前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つに関する情報と、を含む、請求項
10または
11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記摩擦部材に対する操作を検出する第1検出部と、
前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つを検出する第2検出部と、をさらに含む、請求項1
2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記第1検出部は、前記摩擦部材を操作するための操作装置、前記摩擦部材を操作するためのケーブル、および、前記摩擦部材を操作するためのホースの少なくとも1つに設けられ、前記操作装置に入力される力に応じた信号を出力するように構成される、請求項
13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記第1情報は、
前記摩擦部材の状態に関する情報と、
前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つに関する情報と、を含む、請求項
10または
11に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記摩擦部材と制動対象との接触を検出する第3検出部と、
前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つを検出する第4検出部と、をさらに含む、請求項
15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記構成要素は
、前記摩擦部材を含み、
前記摩擦部材は、制動対象から離反している初期位置と、前記制動対象に接触可能な接触位置との間で移動可能に構成され、
前記第1情報は、前記初期位置および前記接触位置に関する情報を含む、請求項
10または
11に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記初期位置および前記接触位置を検出する第5検出部をさらに含む、請求項
17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記第2情報を報知するように構成される報知部をさらに含む、請求項1
~18のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記構成要素が第1の劣化状態または第1の摩耗状態になったと前記人工知能処理部が判定すると、前記報知部は、前記第2情報を報知する、請求項
19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記第2情報は、前記構成要素の交換およびメンテナンスの少なくとも1つを促す情報を含む、請求項1~
20のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記第2情報は、前記構成要素の交換およびメンテナンスの少なくとも1つに適した時期に関する情報を含む、請求項1~
21のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記第1情報は、前記構成要素の使用環境に関する情報を含む、請求項1~
22のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1の人力駆動車の構成要素は、人力駆動車の使用状態および環境などに応じて劣化したり、摩耗したり、故障したりする。例えば、特許文献1に挙げられるブレーキパッドは、ブレーキの作動によって摩耗する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される人力駆動車の構成要素を好適に使用するためには、構成要素の劣化、摩耗、および、故障などを好適に判定することが好ましい。
本発明の目的の1つは、構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを好適に判定できる情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う情報処理装置は、人力駆動車に関する第1情報が入力される入力部と、前記入力部に入力される前記第1情報の履歴情報に応じて、前記人力駆動車の構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つに関する第2情報を作成する人工知能処理部と、を含む。
第1側面の情報処理装置によれば、人工知能処理部によって構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを好適に判定できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の情報処理装置において、前記第2情報を報知するように構成される報知部をさらに含む。
第2側面の情報処理装置によれば、報知部によってユーザが構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを把握できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の情報処理装置において、前記構成要素が第1の劣化状態または第1の摩耗状態になったと前記人工知能処理部が判定すると、前記報知部は、前記第2情報を報知する。
第3側面の情報処理装置によれば、報知部によって構成要素が第1の劣化状態または第1の摩耗状態になったことをユーザが把握できる。
【0008】
本開示の第1~第3側面のいずれか1つに従う第4側面の情報処理装置において、前記第2情報は、前記構成要素の交換およびメンテナンスの少なくとも1つを促す情報を含む。
第4側面の情報処理装置によれば、ユーザが構成要素の交換およびメンテナンスの少なくとも1つを好適に行える。
【0009】
本開示の第1~第4側面のいずれか1つに従う第5側面の情報処理装置において、前記第2情報は、前記構成要素の交換およびメンテナンスの少なくとも1つに適した時期に関する情報を含む。
第5側面の情報処理装置によれば、ユーザが構成要素の交換およびメンテナンスの少なくとも1つに適した時期を把握できる。
【0010】
本開示の第1~第5側面のいずれか1つに従う第6側面の情報処理装置において、前記履歴情報は、前記第1情報の変化に関する情報と、前記構成要素の使用の頻度および前記構成要素の使用の時間との少なくとも1つに関する情報と、を含む。
第6側面の情報処理装置によれば、第1情報の変化に関する情報と、構成要素の使用の頻度および前記構成要素の使用の時間との少なくとも1つに関する情報とに応じて第2情報を作成できる。
【0011】
本開示の第1~第6側面のいずれか1つに従う第7側面の情報処理装置において、前記構成要素は、ブレーキ装置、ブレーキパッド、ブレーキシュー、ホース、ディスクブレーキロータ、オイル、グリス、ケーブル、スプロケット、チェーン、ランプ、変速機、操作装置、ホイール、ハブ、リム、スポーク、タイヤ、ボトムブラケット、クランク軸、クランクアーム、ペダル、ハンドルグリップ、発電機、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、バッテリ、および、前記人力駆動車の推進をアシストするドライブユニットの少なくとも1つを含む。
第7側面の情報処理装置によれば、人工知能処理部は、ブレーキ装置、ブレーキパッド、ブレーキシュー、ホース、ディスクブレーキロータ、オイル、グリス、ケーブル、スプロケット、チェーン、ランプ、変速機、操作装置、ホイール、ハブ、リム、スポーク、タイヤ、ボトムブラケット、クランク軸、クランクアーム、ペダル、ハンドルグリップ、発電機、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、バッテリ、および、人力駆動車の推進をアシストするドライブユニットの少なくとも1つの劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを好適に判定できる。
【0012】
本開示の第1~第5側面のいずれか1つに従う第8側面の情報処理装置において、前記構成要素は、ブレーキ装置に含まれ、前記人力駆動車を制動するための摩擦部材を含み、前記第1情報は、前記人力駆動車の制動距離に関する情報を含む。
第8側面の情報処理装置によれば、ブレーキ装置に含まれる摩擦部材の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを人力駆動車の制動距離に関する情報に応じて好適に判定できる。
【0013】
本開示の第8側面に従う第9側面の情報処理装置において、前記摩擦部材は、ブレーキパッドおよびブレーキシューの少なくとも1つを含む。
第9側面の情報処理装置によれば、ブレーキパッドおよびブレーキシューの少なくとも1つの劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを人力駆動車の制動距離に関する情報に応じて好適に判定できる。
【0014】
本開示の第8または第9側面に従う第10側面の情報処理装置において、前記第1情報は、前記摩擦部材に対する操作に関する情報と、前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つに関する情報と、を含む。
第10側面の情報処理装置によれば、摩擦部材の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを、摩擦部材に対する操作に関する情報と、人力駆動車の減速度、人力駆動車の位置情報、および、人力駆動車の車速の少なくとも1つに関する情報に応じて、好適に判定できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の情報処理装置において、前記摩擦部材に対する操作を検出する第1検出部と、前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つを検出する第2検出部と、をさらに含む。
第11側面の情報処理装置によれば、第1検出部によって摩擦部材に対する操作を好適に検出できる。第2検出部によって人力駆動車の減速度、人力駆動車の位置情報、および、人力駆動車の車速の少なくとも1つを好適に検出できる。
【0016】
本開示の第11側面に従う第12側面の情報処理装置において、前記第1検出部は、前記摩擦部材を操作するための操作装置、前記摩擦部材を操作するためのケーブル、および、前記摩擦部材を操作するためのホースの少なくとも1つに設けられ、前記操作装置に入力される力に応じた信号を出力するように構成される。
第12側面の情報処理装置によれば、第1検出部によって操作装置に入力される力に応じた信号を好適に検出できる。
【0017】
本開示の第8または第9側面に従う第13側面の情報処理装置において、前記第1情報は、前記摩擦部材の状態に関する情報と、前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つに関する情報と、を含む。
第13側面の情報処理装置によれば、摩擦部材の状態に関する情報と、人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つに関する情報とに応じて、構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを好適に判定できる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面の情報処理装置において、前記摩擦部材と制動対象との接触を検出する第3検出部と、前記人力駆動車の減速度、前記人力駆動車の位置情報、および、前記人力駆動車の車速の少なくとも1つを検出する第4検出部と、をさらに含む。
第14側面の情報処理装置によれば、第3検出部によって摩擦部材と制動対象との接触を好適に検出できる。第4検出部によって人力駆動車の減速度、人力駆動車の位置情報、および、人力駆動車の車速の少なくとも1つを好適に検出できる。
【0019】
本開示の第8または第9側面に従う第15側面の情報処理装置において、前記構成要素は、ブレーキ装置に含まれ、前記人力駆動車を制動するための摩擦部材を含み、前記摩擦部材は、制動対象から離反している初期位置と、前記制動対象に接触可能な接触位置との間で移動可能に構成され、前記第1情報は、前記初期位置および前記接触位置に関する情報を含む。
第15側面の情報処理装置によれば、初期位置および接触位置に関する情報に応じて、摩擦部材の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを好適に判定できる。
【0020】
本開示の第15側面に従う第16側面の情報処理装置において、前記初期位置および前記接触位置を検出する第5検出部をさらに含む。
第16側面の情報処理装置によれば、第5検出部によって初期位置および接触位置を好適に検出できる。
【0021】
本開示の第1~第16側面のいずれか1つに従う第17側面の情報処理装置において、前記第1情報は、前記構成要素の使用環境に関する情報を含む。
第17側面の情報処理装置によれば、構成要素の使用環境に関する情報に応じて、構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを好適に判定できる。
【0022】
本開示の第1~第17側面のいずれか1つに従う第18側面の情報処理装置において、前記第2情報に応じて、前記構成要素を含む人力駆動車用コンポーネントおよび前記構成要素を含まない人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを制御する制御部をさらに含む。
第18側面の情報処理装置によれば、第2情報に応じて、構成要素を含む人力駆動車用コンポーネントおよび構成要素を含まない人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを好適に制御できる。
【0023】
本開示の第18側面に従う第19側面の情報処理装置において、前記人力駆動車用コンポーネントは、変速機および前記人力駆動車に推進力を付与するドライブユニットの少なくとも1つを含む。
第19側面の情報処理装置によれば、第2情報に応じて変速機および人力駆動車に推進力を付与するドライブユニットの少なくとも1つを好適に制御できる。
【0024】
本開示の第18または第19側面に従う第20側面の情報処理装置において、前記制御部は、前記構成要素および前記人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを、第1制御状態と、前記第1制御状態の場合よりも前記構成要素および前記人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つについての使用の頻度および動作の強度の少なくとも1つが低下する第2制御状態と、で制御し、前記構成要素が第2の劣化状態または第2の摩耗状態になったと前記人工知能処理部が判定した場合、前記制御部は、前記第1制御状態から前記第2制御状態に移行する。
第20側面の情報処理装置によれば、構成要素が第2の劣化状態または第2の摩耗状態になったと人工知能処理部が判定した場合、構成要素および人力駆動車用コンポーネントの少なくとも1つを第2状態で制御できる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の情報処理装置は、構成要素の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つを好適に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態の情報処理装置を含む人力駆動車の側面図。
【
図2】実施形態の情報処理装置の電気的な構成を示すブロック図。
【
図3】
図2の人工知能処理部によって実行される第2情報を作成する処理のフローチャート。
【
図4】
図2の制御部によって実行される第1制御状態から第2制御状態に移行する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0028】
(実施形態)
図1~
図6を参照して、実施形態の情報処理装置60について説明する。情報処理装置60は、人力駆動車10に用いられる。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、例えば、自転車を含む。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントを含む。など種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。以下、実施の形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0029】
人力駆動車10は、クランク12および駆動輪13を備える。人力駆動車10は、フレーム16をさらに備える。クランク12には、人力駆動力が入力される。クランク12は、フレーム16に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、ペダル18が連結される。駆動輪13は、クランク12が回転することによって駆動される。駆動輪13は、フレーム16に支持される。クランク12と駆動輪13とは、駆動機構20によって連結される。駆動機構20は、クランク軸12Aに結合される第1回転体22を含む。クランク軸12Aと第1回転体22とは、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体22を前転させ、クランク12が後転した場合に、第1回転体22を後転させないように構成される。第1回転体22は、スプロケット22A、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構20は、第2回転体24と、連結部材26とをさらに含む。連結部材26は、第1回転体22の回転力を第2回転体24に伝達する。連結部材26は、例えば、チェーン26A、ベルト、または、シャフトを含む。
【0030】
第2回転体24は、駆動輪13に連結される。第2回転体24は、スプロケット24A、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体24と駆動輪13との間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体24が前転した場合に、駆動輪13を前転させ、第2回転体24が後転した場合に、駆動輪13を後転させないように構成される。
【0031】
人力駆動車10は、前輪14および後輪15を含む。フレーム16には、フロントフォーク16Aを介して前輪14が取り付けられている。フロントフォーク16Aには、ハンドルバー16Cがステム16Bを介して連結されている。以下の実施形態では、後輪15を駆動輪13として説明するが、前輪14が駆動輪13であってもよい。
【0032】
前輪14は、ホイール14A、および、タイヤ14Eを含む。ホイール14Aは、ハブ14B、リム14C、および、スポーク14Dを含む。後輪15は、ホイール15A、および、タイヤ15Eを含む。ホイール15A、は、ハブ15B、リム15C、および、スポーク15Dを含む。
【0033】
人力駆動車10は、バッテリ28をさらに含む。バッテリ28は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ28は、人力駆動車10に設けられ、バッテリ28と有線で電気的に接続されている他の電気部品、例えば、情報処理装置60および人力駆動車用コンポーネント30に電力を供給する。バッテリ28は、情報処理装置60および人力駆動車用コンポーネント30と有線または無線によって通信可能に接続されている。バッテリ28は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)によって情報処理装置60および人力駆動車用コンポーネント30と通信可能である。バッテリ28は、フレーム16の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム16の内部に収容されてもよい。バッテリ28は、情報処理装置60および人力駆動車用コンポーネント30の少なくとも1つに設けられてもよい。
【0034】
人力駆動車10は、人力駆動車用コンポーネント30をさらに含む。人力駆動車用コンポーネント30は、変速機32および人力駆動車10に推進力を付与するドライブユニット34の少なくとも1つを含む。
【0035】
変速機32は、人力駆動力が入力される回転体の回転速度に対する駆動輪13の回転速度の比率を段階的に変更するように構成される。人力駆動力が入力される回転体は、クランク12を含む。変速機32は、電動アクチュエータによって駆動されるように構成される。電動アクチュエータは、電気モータを含む。変速機32は、クランク12の回転速度に対する駆動輪13の回転速度の比率を変更するために用いられる。本実施形態では、変速機32は、比率を段階的に変更するように構成される。電動アクチュエータは、変速機32に変速動作を実行させる。電動アクチュエータは、情報処理装置60と有線または無線によって通信可能に接続されている。電動アクチュエータは、例えば電力線通信(PLC)によって人工知能処理部64と通信可能である。電動アクチュエータは、情報処理装置60からの制御信号に応じて変速機32に変速動作を実行させる。変速機32は、内装変速機および外装変速機(ディレイラ)の少なくとも1つを含む。
【0036】
ドライブユニット34は、モータおよび駆動回路を含む。モータは、好ましくは、駆動回路と同一のハウジングに設けられる。駆動回路は、バッテリ28からモータに供給される電力を制御する。駆動回路は、情報処理装置60と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路は、例えばシリアル通信によって情報処理装置60と通信可能である。駆動回路は、情報処理装置60からの制御信号に応じてモータを駆動させる。モータは、電気モータを含む。モータは、ペダル18から後輪15までの人力駆動力の動力伝達経路、または、前輪14に回転を伝達するように設けられる。モータは、人力駆動車10のフレーム16、後輪15、または、前輪14に設けられる。一例では、モータは、クランク軸12Aから第1回転体22までの動力伝達経路に結合される。モータとクランク軸12Aとの間の動力伝達経路には、クランク軸12Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク12の回転力によってモータが回転しないようにワンウェイクラッチが設けられるのが好ましい。モータおよび駆動回路が設けられるハウジングには、モータおよび駆動回路以外の構成が設けられてもよく、例えばモータの回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。
【0037】
情報処理装置60は、人力駆動車10に関する第1情報が入力される入力部62と、人工知能処理部64と、を含む。人工知能処理部64は、入力部62に入力される第1情報の履歴情報に応じて、人力駆動車10の構成要素40の劣化、摩耗、および、故障の少なくとも1つに関する第2情報を作成する。
【0038】
人工知能処理部64は、人力駆動車10に設けられてもよく、人力駆動車10の外部装置に設けられてもよい。外部装置は、サイクルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、および、パーソナルコンピュータの少なくとも1つを含む。入力部62は、好ましくは、人工知能処理部64と同一のハウジングに設けられる。
【0039】
構成要素40は、ブレーキ装置42、ブレーキパッド40B(
図5参照)、ブレーキシュー、ホース40C(
図5参照)、ディスクブレーキロータ40D(
図5参照)、オイル、グリス、ケーブル、スプロケット22A,24A、チェーン26A、ランプ44、変速機32、操作装置46、ホイール14A,15A、ハブ14B,15B、リム14C,15C、スポーク14D,15D、タイヤ14E,15E、ボトムブラケット、クランク軸12A、クランクアーム12B、ペダル18、ハンドルグリップ、発電機、サスペンション48、アジャスタブルシートポスト50、バッテリ28、および、人力駆動車10に推進力を付与するドライブユニット34の少なくとも1つを含む。構成要素40に含まれる変速機32は、ケーブルによって動作する機械式の変速機32であってもよい。ケーブルは、ボーデンケーブルを含む。
【0040】
ブレーキ装置42は、前輪14および後輪15の少なくとも1つを制動可能に構成される。ブレーキ装置42は、電動アクチュエータを含んでいてもよい。ブレーキ装置42は、ディスクブレーキ、リムブレーキ、ドラムブレーキ、および、ローラブレーキの少なくとも1つを含んでいてもよく、回生ブレーキを実行するための電気モータを含んでいてもよい。
【0041】
ランプ44は、フロントランプおよびテールランプの少なくとも1つを含む。フロントランプは、例えばフロントフォーク16Aまたはハンドルバー16Cに取り付けられる。テールランプは、例えばシートステー16Dまたはシートポストに取り付けられる。
【0042】
操作装置46は、他のコンポーネントと有線または無線によって通信可能に接続されている。操作装置46は、他のコンポーネントを操作可能に構成される。他のコンポーネントは、人力駆動車用コンポーネント30、ブレーキ装置42、ランプ44、サスペンション48、アジャスタブルシートポスト50、および、バッテリ28の少なくとも1つを含む。操作装置46は、例えば電力線通信(PLC)によって他のコンポーネントと通信可能である。操作装置46は、それぞれ例えば操作部材と、操作部材の動きを検出する第1検出部と、第1検出部の出力信号に応じて、他のコンポーネントと通信を行う電気回路とを含む。ユーザによって操作部材が操作されることによって、電気回路は、他のコンポーネントに第1検出部の出力信号に応じた信号を送信する。操作部材およびその動きを検出する第1検出部は、プッシュスイッチ、レバー式スイッチ、または、タッチパネルを含んで構成される。操作装置46は、例えばハンドルバー16Cに設けられる。操作装置46は、他のコンポーネントと通信可能に接続されるのではなく、ケーブルまたはホースによって機械的に他のコンポーネントと接続され、他のコンポーネントを動作させるように構成されてもよい。
【0043】
サスペンション48は、リアサスペンションおよびフロントサスペンションの少なくとも1つを含む。サスペンション48は、車輪に加えられる衝撃を吸収する。サスペンション48は、油圧サスペンションであってもよく、エアサスペンションであってもよい。サスペンション48は、第1部分と、第1部分に嵌め込まれて第1部分と相対移動可能な第2部分とを含む。サスペンション48の動作状態は、第1部分と第2部分との相対移動が規制されるロック状態と、第1部分と第2部分との相対移動が許容されるロック解除状態とを含む。サスペンション48は、サスペンション48を動作させるための電動アクチュエータを含んでいてもよい。電動アクチュエータは、例えば、電気モータを含む。電動アクチュエータは、サスペンション48の動作状態を切り替える。サスペンション48のロック状態は、車輪に強い力が加えられた場合に、第1部分と第2部分とがわずかに相対移動する状態を含み得る。サスペンション48の動作状態は、ロック状態およびロック解除状態に代えて、または、加えて、減衰力が異なる複数の動作状態、および、ストローク量が異なる複数の動作状態の少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0044】
リアサスペンションは、人力駆動車10のフレーム16に設けられるように構成される。より具体的には、リアサスペンションは、フレーム16のフレーム本体と後輪15を支持するスイングアームとの間に設けられる。リアサスペンションは、後輪15に加えられる衝撃を吸収する。フロントサスペンションは、人力駆動車10のフレーム16と前輪14との間に設けられるように構成される。より具体的には、フロントサスペンションは、フロントフォーク16Aに設けられる。フロントサスペンションは、前輪14に加えられる衝撃を吸収する。
【0045】
アジャスタブルシートポスト50は、シートチューブ16Eに設けられ、サドルの高さを変更するように構成される。アジャスタブルシートポスト50は、電動アクチュエータの力でシートポストが伸縮する電気式シートポスト、または、電動アクチュエータの力でバルブを制御することによって、シートポストがバネおよび空気の少なくとも1つの力で伸び、人力を加えることによって縮む機械式シートポストを含む。機械式シートポストは、油圧式シートポスト、または、油圧および空気圧式シートポストを含む。
【0046】
人工知能処理部64は、ソフトウェアを記憶している記憶装置64Aと、記憶装置64Aに記憶されているソフトウェアを実行する演算処理装置64Bと、を含む。演算処理装置64Bは、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置64Bは、好ましくは、CPUまたはMPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)を含んでいる。演算処理装置64Bは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでいてもよい。人工知能処理部64は、1または複数の演算処理装置64Bを含んでいてもよい。人工知能処理部64は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置64Bを含んでいてもよい。
【0047】
記憶装置64Aは、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶装置64Aは、制御プログラムP1、および、学習モデルM1を記憶する。本実施形態では、学習モデルM1は、予め定める学習アルゴリズムによって学習された学習済みのモデルである。学習アルゴリズムは、機械学習、深層学習、または、深層強化学習を含む。学習アルゴリズムは、例えば、教師あり学習、教師なし学習、および、強化学習の少なくとも1つを含む。学習アルゴリズムとしては、人工知能の分野に属する手法を用いて学習モデルM1を更新させるように構成されていれば、本明細書に記載されている手法以外の手法を用いてもよい。学習モデルM1を更新させるための学習処理は、好ましくは、GPUによって行われる。学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク(NN:Neural Network)を用いてもよい。学習アルゴリズムは、リカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)を用いてもよい。人工知能処理部64は、制御プログラムP1に基づき、入力部62から取得した第1情報を、学習モデルM1を用いて処理することによって第2情報を作成する。
【0048】
情報処理装置60は、好ましくは、第2情報を報知するように構成される報知部66をさらに含む。報知部66は、表示装置およびスピーカの少なくとも1つを含む。報知部66は、人工知能処理部64と同一のハウジングに設けられてもよく、人工知能処理部64とは各別のハウジングに設けられてもよい。報知部66は、サイクルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、および、パーソナルコンピュータの少なくとも1つに含まれてもよい。
【0049】
履歴情報は、好ましくは、第1情報の変化に関する情報と、構成要素40の使用の頻度および構成要素の使用の時間との少なくとも1つに関する情報と、を含む。第1情報は、構成要素40の使用環境に関する情報を含んでいてもよい。使用環境に関する情報は、例えば、温度、および、構成要素40にかかる圧力の少なくとも1つを含む。
【0050】
構成要素40が第1の劣化状態または第1の摩耗状態になったと人工知能処理部64が判定すると、報知部66は、好ましくは、第2情報を報知する。一例では、第2情報は、構成要素40の交換およびメンテナンスの少なくとも1つを促す情報を含む。この場合、第1の劣化状態または第1の摩耗状態は、好ましくは、構成要素40の交換およびメンテナンスを行うのに適した状態である。報知部66は、例えば「構成要素40を交換して下さい」または「構成要素40を掃除して下さい」という文字またはアイコンなどを表示する。別例では、第2情報は、構成要素40の交換およびメンテナンスの少なくとも1つに適した時期に関する情報を含む。この場合、第1の劣化状態または第1の摩耗状態は、好ましくは、構成要素40の交換およびメンテナンスを行うのに適した状態よりも以前の状態である。報知部66は、例えば「構成要素40をあと30日以内に交換して下さい」または「構成要素40をあと30日以内に掃除して下さい」という文字などを表示する。
【0051】
図3を参照して、第1情報の履歴情報に応じて第2情報を作成する処理について説明する。人工知能処理部64は、人工知能処理部64に電力が供給されると、処理を開始して
図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。
【0052】
人工知能処理部64は、ステップS11において、第1情報の履歴情報に応じて第2情報を作成し、ステップS12に移行する。人工知能処理部64は、ステップS12において、構成要素40が第1の劣化状態または第1の摩耗状態か否かを判定する。人工知能処理部64は、構成要素40が第1の劣化状態または第1の摩耗状態でないと判定した場合、ステップS13に移行する。
【0053】
人工知能処理部64は、ステップS13において、報知部66に第2情報を報知させ、処理を終了する。例えば、人工知能処理部64は、報知部66に第2情報に応じた情報を報知させるための制御信号を報知部66に出力する。報知部66は、第2情報に応じた情報を報知する。
【0054】
好ましくは、情報処理装置60は、第2情報に応じて、構成要素40を含む人力駆動車用コンポーネント30および構成要素40を含まない人力駆動車用コンポーネント30の少なくとも1つを制御する制御部68をさらに含む。この場合、人力駆動車用コンポーネント30は、変速機32およびドライブユニット34の少なくとも1つに代えてまたは加えて、ブレーキ装置42、ランプ44、操作装置46、サスペンション48、アジャスタブルシートポスト50、および、バッテリ28の少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。例えば、構成要素40がブレーキ装置42に含まれる摩擦部材40Aである場合、構成要素40を含む人力駆動車用コンポーネント30はブレーキ装置42であり、構成要素40を含まない人力駆動車用コンポーネント30は、ブレーキ装置42以外の人力駆動車用コンポーネント30である。制御部68は、例えば、構成要素40が第3の劣化状態または第3の摩耗状態である場合、構成要素40を含む人力駆動車用コンポーネント30の動作を禁止または制限する。制御部68は、例えば、構成要素40が第3の劣化状態または第3の摩耗状態である場合、構成要素40が劣化または摩耗しにくいように構成要素40を含まない人力駆動車用コンポーネント30を動作させる。
【0055】
制御部68は、構成要素40および人力駆動車用コンポーネント30の少なくとも1つを、第1制御状態と、第1制御状態の場合よりも構成要素40および人力駆動車用コンポーネント30の少なくとも1つについての使用の頻度および動作の強度の少なくとも1つが低下する第2制御状態と、で制御し、構成要素40が第2の劣化状態または第2の摩耗状態になったと人工知能処理部64が判定した場合、制御部68は、第1制御状態から第2制御状態に移行するようにしてもよい。例えば、構成要素40が摩擦部材40Aである場合、制御部68は、第2制御状態において、ドライブユニット34によるアシスト力が第1制御状態の場合よりも小さくなるようにドライブユニット34のモータを制御する。この場合、ブレーキ装置42による制動の頻度および動作の強度の少なくとも1つを低下させられるため、摩擦部材40Aの摩耗を抑制できる。
【0056】
図4を参照して、第2情報に応じて第1制御状態から第2制御状態に移行する処理について説明する。制御部68は、人工知能処理部64に電力が供給されると、処理を開始して
図4に示すフローチャートのステップS21に移行する。
【0057】
制御部68は、ステップS21において、第1制御状態か否かを判定する。制御部68は、第1制御状態ではない場合、処理を終了する。制御部68は、第1制御状態の場合、ステップS22に移行する。
【0058】
制御部68は、ステップS22において、構成要素40が第2の劣化状態または第2の摩耗状態か否かを判定する。構成要素40が第2の劣化状態または第2の摩耗状態ではない場合、処理を終了する。制御部68は、構成要素40が第2の劣化状態または第2の摩耗状態である場合、ステップS23に移行する。制御部68は、ステップS23において、第2制御状態に移行し、処理を終了する。制御部68は、電力の供給が停止されるまでは、
図4に示すフローチャートが終了した後、予め定める周期が経過するとステップS21に移行する。
【0059】
制御部68は、操作装置46および外部装置等の操作によって第2制御状態から第1制御状態に移行するようにしてもよい。ユーザが構成要素40の交換またはメンテナンスを行った後、操作装置46および外部装置等の操作を行うことによって、制御部68は第2制御状態から第1制御状態に移行する。
【0060】
例えば、構成要素40は、ブレーキ装置42に含まれ、人力駆動車10を制動するための摩擦部材40Aを含み、第1情報は、人力駆動車10の制動距離に関する情報を含む。摩擦部材40Aは、ブレーキパッド40Bおよびブレーキシューの少なくとも1つを含む。
図5に示すように、ブレーキ装置42は、一例としてディスクブレーキ装置42Aを含む。ディスクブレーキ装置42Aは、ブレーキパッド40Bおよび操作装置46と接続されるホース40Cを含む。ブレーキ装置42と、ブレーキ装置42を操作する操作装置46とは、ブレーキシステムを構成する。
【0061】
第1の例では、第1情報は、摩擦部材40Aに対する操作に関する情報と、人力駆動車10の減速度、人力駆動車10の位置情報、および、人力駆動車10の車速の少なくとも1つに関する情報と、を含む。この場合、情報処理装置60は、好ましくは、摩擦部材40Aに対する操作を検出する第1検出部70と、人力駆動車10の減速度、人力駆動車10の位置情報、および、人力駆動車10の車速の少なくとも1つを検出する第2検出部72と、をさらに含む。第1検出部70および第2検出部72は、人工知能処理部64が設けられるハウジングとは別のハウジングに設けられてもよい。第1検出部70および第2検出部72の出力は、入力部62に入力される。第1検出部70および第2検出部72は、電気ケーブルによって入力部62と電気的に接続されてもよく、無線通信によって入力部62と電気的に接続されてもよい。
【0062】
第1検出部70は、摩擦部材40Aを操作するための操作装置46、摩擦部材40Aを操作するためのケーブル、および、摩擦部材40Aを操作するためのホース40Cの少なくとも1つに設けられ、操作装置46に入力される力に応じた信号を出力するように構成される。ホース40Cは、油圧ホースを含む。
【0063】
第2検出部72は、好ましくは、車速センサ、クランク回転センサ、および、GPS(global positioning system)の受信機の少なくとも1つを含む。
【0064】
車速センサは、人力駆動車10の車輪の回転速度を検出するために用いられる。車速センサは、車輪の回転速度に応じた信号を出力する。車輪の回転速度に基づいて人力駆動車10の車速が演算できる。車速センサは、好ましくは、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含む。車速センサは、人力駆動車10のフレーム16のチェーンステイに取り付けられ、後輪15に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク16Aに設けられ、前輪14に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。
【0065】
クランク回転センサは、クランク12の回転速度を検出するために用いられる。クランク回転センサは、人力駆動車10のフレーム16またはモータが設けられるハウジングに取り付けられる。クランク回転センサは、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸12Aまたはクランク軸12Aから第1回転体22までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク回転センサは、クランク12の回転速度に応じた信号を出力する。磁石は、クランク軸12Aから第1回転体22までの人力駆動力の動力伝達経路において、クランク軸12Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、磁石は、クランク軸12Aと第1回転体22との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体22に設けられてもよい。クランク回転センサは、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサまたはトルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0066】
第2の例では、第1情報は、摩擦部材40Aの状態に関する情報と、人力駆動車10の減速度、人力駆動車10の位置情報、および、人力駆動車10の車速の少なくとも1つに関する情報と、を含む。この場合、情報処理装置60は、好ましくは、摩擦部材40Aと制動対象との接触を検出する第3検出部74と、人力駆動車10の減速度、人力駆動車10の位置情報、および、人力駆動車10の車速の少なくとも1つを検出する第4検出部76と、をさらに含む。制動距離は、ブレーキ装置42による動作開始から停止までの人力駆動車10の移動距離を含む。
【0067】
第3検出部74は、摩擦部材40Aおよび制動対象の少なくとも1つに設けられ、摩擦部材40Aと制動対象との接触に応じた信号を出力する。
第4検出部76は、第2検出部72と同様に構成される。第2検出部72を第4検出部76として用いることができるが、第4検出部76は、第2検出部72と各別に構成されてもよい。
【0068】
第3検出部74および第4検出部76は、人工知能処理部64が設けられるハウジングとは別のハウジングに設けられてもよい。第3検出部74および第4検出部76の出力は、入力部62に入力される。第3検出部74および第4検出部76は、電気ケーブルによって入力部62と電気的に接続されてもよく、無線通信によって入力部62と電気的に接続されてもよい。
【0069】
第3の例では、構成要素40は、ブレーキ装置42に含まれ、人力駆動車10を制動するための摩擦部材40Aを含み、摩擦部材40Aは、制動対象から離反している初期位置と、制動対象に接触可能な接触位置との間で移動可能に構成される。第1情報は、初期位置および接触位置に関する情報を含む。
図6の二点鎖線は、ブレーキ装置42の一例のディスクブレーキ装置42Aにおける摩擦部材40Aの初期位置を示す。
図6の実線は、ブレーキ装置42の一例のディスクブレーキ装置42Aの摩擦部材40Aの接触位置を示す。ブレーキ装置42は、操作装置46が操作されるとホース40Cの内部を作動油が移動し、摩擦部材40Aを制動対象に向かって移動させる。ディスクブレーキ装置42Aの制動対象は、ディスクブレーキロータ40Dを含む。この場合、情報処理装置60は、好ましくは、初期位置および接触位置を検出する第5検出部78をさらに含む。
【0070】
第5検出部78は、例えば、リニアエンコーダまたは光学センサを含む。第5検出部78は、人工知能処理部64が設けられるハウジングとは別のハウジングに設けられてもよい。第5検出部78の出力は、入力部62に入力される。第5検出部78は、電気ケーブルによって入力部62と電気的に接続されてもよく、無線通信によって入力部62と電気的に接続されてもよい。
【0071】
ブレーキ装置42がロールバック機能を有する場合、摩擦部材40Aが摩耗しても初期位置における摩擦部材40Aから制動対象までの距離は所定範囲内に維持される。この場合、第5検出部78は、摩擦部材40Aのうちの制動対象に対向する第1面とは反対側の第2面の初期位置の変化を検出するようにしてもよい。
【0072】
第1の例、第2の例、および、第3の例のうちの1つまたは2つを組み合わせてもよい。具体的には、人工知能処理部64は、第1の例における第1情報、第2の例における第1情報、および、第3の例における第1情報のうちの1つまたは2つに応じて、第2情報を作成する。
【0073】
・学習モデルM1は、学習プログラムによって更新されてもよい。好ましくは、学習プログラムは、記憶装置64Aに記憶される。この場合、人工知能処理部64は、例えば学習モードと制御モードとで動作する。人工知能処理部64は、学習モードで動作する場合、学習プログラムに基づき、学習アルゴリズムによって学習モデルM1を作成する。人工知能処理部64は、制御モードで動作する場合、制御プログラムP1に基づき、入力部62から取得した第1情報を、学習モデルM1を用いて処理することによって第2情報を出力する。学習モードにおいて、例えば構成要素40を交換する時期を学習する場合、人工知能処理部64は、第1情報を入力して学習モデルM1を更新し、ユーザが構成要素40の交換を行った後、操作装置46および外部装置等の操作を行うことによって、学習モードを終了させる。学習モードにおいて、例えば構成要素40のメンテナンスの時期を学習する場合、人工知能処理部64は、第1情報を入力して学習モデルM1を更新し、ユーザが構成要素40のメンテナンスを行った後、操作装置46および外部装置等の操作を行うことによって、学習モードを終了させる。
【符号の説明】
【0074】
10…人力駆動車、12A…クランク軸、12B…クランクアーム、14A,15A…ホイール、14B,15B…ハブ、14C,15C…リム、14D,15D…スポーク、14E,15E…タイヤ、18…ペダル、22A,24A…スプロケット、26A…チェーン、28…バッテリ、30…人力駆動車用コンポーネント、32…変速機、34…ドライブユニット、40…構成要素、40A…摩擦部材、40B…ブレーキパッド、40C…ホース、40D…ディスクブレーキロータ、42…ブレーキ装置、44…ランプ、46…操作装置、48…サスペンション、50…アジャスタブルシートポスト、60…情報処理装置、62…入力部、64…人工知能処理部、66…報知部、68…制御部、70…第1検出部、72…第2検出部、74…第3検出部、76…第4検出部、78…第5検出部。