(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】準弾性的な解除端部ストッパーを使って電気的なアクチュエーターの確実な解除を行うための方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
B60T 8/00 20060101AFI20221213BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B60T8/00 Z
B60T13/74 G
B60T13/74 H
(21)【出願番号】P 2018529934
(86)(22)【出願日】2016-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2016079725
(87)【国際公開番号】W WO2017097695
(87)【国際公開日】2017-06-15
【審査請求日】2018-08-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102015224761.9
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102016209784.9
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】マロン・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー・ハインツ-アントン
(72)【発明者】
【氏名】ブライテン・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シャイプ・ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ペッフェル・リオネル
(72)【発明者】
【氏名】フロシャウアー・マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ジュスト・アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッザ・ジュリオ
(72)【発明者】
【氏名】ボスコロ・ルカ
(72)【発明者】
【氏名】メルカー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】テッシトーレ・ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクラー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】メルケル・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ゲリッセン・ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ビジャンザデ・ペジマン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】バルツ・ユルゲン
【合議体】
【審判長】平田 信勝
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-63170(JP,A)
【文献】特開平8-142820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気調整ユニット(4)に給電する電子制御ユニット(3)によって自動車のブレーキ装置(1)の電気式パーキングブレーキを確実に解除するための方法であって、
前記電子制御ユニット(3)が、1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)を有し、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を測定し監視するための情報が、センサー(11)によって前記1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)に提供され、
解除要求が、操作要素(10)によって又は自動的に電気的に生成され、前記電気調整ユニット(4)によって実施される当該方法において、
a)前記電子制御ユニット(3)が、解除プロセス中に前記電気調整ユニット(4)に給電することによってこの
電気調整ユニット(4)を介してアクチュエーターを解除端部ストッパーの方向に移動させ、
b)前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を監視し、c)前記解除端部ストッパーが、所定の弾性を有する結果、
d)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接時に、前記電気調整ユニット(4)の電流需要が、特徴的に変化し、当該変化が、前記電子制御ユニット(3)によって監視され、
e)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接の検出に応じて、前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)への給電を自動的に中断し、
前記
電子制御ユニット(3)が、センサー情報によって第一の方法ステップ中に制動力を決定し、
前記電子制御ユニット(3)が、後続する第二のステップ中に当該決定された制動力に応じて予め設定されている関係に基づいて電流需要を計算し、
少なくとも1つ又は複数の物理パラメーターが、この計算に算入され、
当該1つ又は複数の物理パラメーターは、当該決定された制動力、測定される空走電流需要(io)、測定される電源供給電圧、測定される周囲温度、測定される車輪回転挙動、及び/又は運転ブレーキシステム内に供給された初期油圧に関するパラメーターであり、
前記電子制御ユニット(3)が、当該計算された電流需要に基づいて特定の遮断電流限界値(iA)を選択し、当該監視された電流需要が、当該選択された遮断電流限界値(iA)に達するか又はこれを超えると、前記給電が、前記電子制御ユニット(3)によって中断又は中止されることを特徴とする方法。
【請求項2】
アクチュエーターを調整するために電気調整ユニット(4)に給電する電子制御ユニット(3)によって自動車のブレーキ装置(1)の電気式パーキングブレーキを確実に解除するための方法であって、
前記電子制御ユニット(3)が、1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)を有し、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を測定し監視するための情報が、センサー(11)によって前記1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)に提供され、
解除要求が、操作要素(10)によって又は自動的に電気的に生成され、前記電気調整ユニット(4)によって実施される当該方法において、
a)当該解除のため、前記電子制御ユニット(3)が、周期的に給電して、すなわち変調して、前記
電気調整ユニット(4)を介して前記アクチュエーターを解除端部ストッパーの方向に移動させ、
b)前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を監視し、c)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接時に、前記電気調整ユニット(4)の電流需要が、特徴的に変化し、当該変化が、前記電子制御ユニット(3)によって監視され、
d)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接の検出に応じて、前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)への給電を自動的に中止し、
前記
電子制御ユニット(3)が、センサー情報によって第一の方法ステップ中に制動力を決定し、
前記電子制御ユニット(3)が、後続する第二のステップ中に当該決定された制動力に応じて予め設定されている関係に基づいて電流需要を計算し、
少なくとも1つ又は複数の物理パラメーターが、この計算に算入され、
当該1つ又は複数の物理パラメーターは、当該決定された制動力、測定される空走電流需要(io)、測定される電源供給電圧、測定される周囲温度、測定される車輪回転挙動、及び/又は運転ブレーキシステム内に供給された初期油圧に関するパラメーターであり、
前記電子制御ユニット(3)が、当該計算された電流需要に基づいて特定の遮断電流限界値(iA)を選択し、当該監視された電流需要が、当該選択された遮断電流限界値(iA)に達するか又はこれを超えると、前記給電が、前記電子制御ユニット(3)によって中断又は中止されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自動車のブレーキ装置(1)の電気式パーキングブレーキを確実に解除するための方法において、
新たな操作要求が、前記電子制御ユニット(3)内に入力されると、前記
電子制御ユニット(3)が、解除プロセス若しくは前記電気調整ユニット(4)の給電の中断又は中止を自動的にチェックすることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記電子制御ユニット(3)が、互いに異なって設定され保存された複数のテーブル値から遮断電流限界値(iA)を選択することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか1項に記載の自動車のブレーキ装置(1)の電気式パーキングブレーキを
確実に解除するための方法において、
a)前記電子制御ユニット(3)が、前記電流需要を測定しつつ前記電気調整ユニット(4)に給電し、電流需要を監視し、
b)前記電子制御ユニット(3)が、当該測定された電流需要を選択された遮断電流限界値(iA)と連続して又は周期的に比較し、
c)当該監視された電流需要が、前記遮断電流限界値(iA)以上であるときに、前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)の給電を中断することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的なアクチュエーターの確実な解除を行うための方法、及び相当する装置に関する。特に、本発明は、電気液圧的な運転ブレーキシステムの他に、補助的に、自動車ブレーキシステムの部分構成要素である、ワイヤー操作される電気的なパーキングブレーキシステムの制御、又は調整の為の電子的な制御ユニットに関する。操作要素を使って、又は自動的に、電流無しにブレーキが掛けられる電気的な調整ユニットを介してパーキングブレーキ機能が電気機械的に制御され、そしてその際、操作要素によって、又は自動的に、パーキングブレーキが電気機械的に解除可能であるということが、相応するパーキングブレーキシステムの操作、又は解除の為の付設される運転方法も含めて務められる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、自動車のワイヤー操作される二つの車輪パーキングブレーキの為の中央の電気的な調整ユニットのオープンループ制御方法が公知である。これにより、所定の電流量を電気的な調整ユニットに供給するための為の手段を含んでいる電子的な制御装置が制御方法を含めて提案される。その際、制御レバー、又は制御機関の移動に応じて、まず見積が行われる。これに基づいて、電気的な調整ユニットの為の必要な電流量が計算され、そしてその後、電気的な調整ユニットに提供される。この公知のシステムには、パーキングブレーキのアクチュエーターの挙動に関するフィードバックは存在しない(操作されるか、又は解除されるか)。電子的な制御ユニットによる電流量の見積と、事前演算は、ファジーロジック原理に従う。これは、当然ながら精密ではない。
【0003】
特許文献2からは、調整ユニットのアクチュエーターの制御・駆動の為のアクチュエーティングリンクと制御ユニットを有するパーキングブレーキシステムが公知である。これは、二重のクローズドループ調整プロセスを含み、その際、二つの測定値が機能に関するフィードバックとして、そして調整ユニットの状態が電子的な制御ユニットの入力信号として使用される。このシステムは、必然的に、両方の測定値、つまり力と経路を測定するための二つのセンサーを必要とする。アクチュエーティングリンクをセンシングする為である。この事は、相応して、調整ユニットの高コストな機械的構造方法のみならず、相応して、電子的な制御ユニット内での測定値の二重のフィードバックに基づく複雑な電子的信号処理プロセスを含む。車輪ブレーキの状態は無視される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第100 36 56 B1号
【文献】欧州特許第966 376 B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、クローズドループ方法のコスト(労力)は回避され、そして同時に最も安価な装置で改善された調整正確性が可能である、パーキングブレーキとして運転するための改善されたシステムを有する自動車を提供する必要性が存在する。更に、将来の、つまり、確実な解除プロセスを含め、合理化されたセンサー装置において、より良好なパーキングブレーキ機能、又は緊急ブレーキ機能を行使することができるオープンシステム構造を可能とする有益な問題解決策を提供する要求も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の:
電気調整ユニット(4)に給電する電子制御ユニット(3)によって自動車のブレーキ装置(1)の電気式パーキングブレーキを確実に解除するための方法であって、
前記電子制御ユニット(3)が、1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)を有し、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を測定し監視するための情報が、センサー(11)によって前記1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)に提供され、
解除要求が、操作要素(10)によって又は自動的に電気的に生成され、前記電気調整ユニット(4)によって実施される当該方法において、
a)前記電子制御ユニット(3)が、解除プロセス中に前記電気調整ユニット(4)に給電することによってこの電気調整ユニット(4)を介してアクチュエーターを解除端部ストッパーの方向に移動させ、
b)前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を監視し、c)前記解除端部ストッパーが、所定の弾性を有する結果、
d)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接時に、前記電気調整ユニット(4)の電流需要が、特徴的に変化し、当該変化が、前記電子制御ユニット(3)によって監視され、
e)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接の検出に応じて、前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)への給電を自動的に中断し、
前記電子制御ユニット(3)が、センサー情報によって第一の方法ステップ中に制動力を決定し、
前記電子制御ユニット(3)が、後続する第二のステップ中に当該決定された制動力に応じて予め設定されている関係に基づいて電流需要を計算し、
少なくとも1つ又は複数の物理パラメーターが、この計算に算入され、
当該1つ又は複数の物理パラメーターは、当該決定された制動力、測定される空走電流需要(io)、測定される電源供給電圧、測定される周囲温度、測定される車輪回転挙動、及び/又は運転ブレーキシステム内に供給された初期油圧に関するパラメーターであり、
前記電子制御ユニット(3)が、当該計算された電流需要に基づいて特定の遮断電流限界値(iA)を選択し、当該監視された電流需要が、当該選択された遮断電流限界値(iA)に達するか又はこれを超えると、前記給電が、前記電子制御ユニット(3)によって中断又は中止されることによって解決される。
【0007】
この課題は、請求項2に記載の:
アクチュエーターを調整するために電気調整ユニット(4)に給電する電子制御ユニット(3)によって自動車のブレーキ装置(1)の電気式パーキングブレーキを確実に解除するための方法であって、
前記電子制御ユニット(3)が、1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)を有し、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を測定し監視するための情報が、センサー(11)によって前記1つ又は複数のマイクロプロセッサ(12,13)に提供され、
解除要求が、操作要素(10)によって又は自動的に電気的に生成され、前記電気調整ユニット(4)によって実施される当該方法において、
a)当該解除のため、前記電子制御ユニット(3)が、周期的に給電して、すなわち変調して、前記電気調整ユニット(4)を介して前記アクチュエーターを解除端部ストッパーの方向に移動させ、
b)前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)の電流需要を監視し、c)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接時に、前記電気調整ユニット(4)の電流需要が、特徴的に変化し、当該変化が、前記電子制御ユニット(3)によって監視され、
d)アクチュエーターと解除端部ストッパーとの接触又は当接の検出に応じて、前記電子制御ユニット(3)が、前記電気調整ユニット(4)への給電を自動的に中止し、
前記電子制御ユニット(3)が、センサー情報によって第一の方法ステップ中に制動力を決定し、
前記電子制御ユニット(3)が、後続する第二のステップ中に当該決定された制動力に応じて予め設定されている関係に基づいて電流需要を計算し、
少なくとも1つ又は複数の物理パラメーターが、この計算に算入され、
当該1つ又は複数の物理パラメーターは、当該決定された制動力、測定される空走電流需要(io)、測定される電源供給電圧、測定される周囲温度、測定される車輪回転挙動、及び/又は運転ブレーキシステム内に供給された初期油圧に関するパラメーターであり、
前記電子制御ユニット(3)が、当該計算された電流需要に基づいて特定の遮断電流限界値(iA)を選択し、当該監視された電流需要が、当該選択された遮断電流限界値(iA)に達するか又はこれを超えると、前記給電が、前記電子制御ユニット(3)によって中断又は中止されることによって解決される。
【0008】
両解決策の発展形においては、電子的な制御ユニットにおいて新たな操作要求が受け入れられると、電子的な制御ユニットの通電の解除プロセス、又は中断、若しくは中止が、自動的に終了される。
【0009】
(外部により、又はドライバーにより提唱される)ブレーキ操作要求の確実な転換の為に、電子的な制御ユニットが、センサー情報毎に、第一の方法ステップにおいて、制動力を決定し、そして後続する第二のステップにおいて、決定された制動力に応じて、予め与えられる関係に基づいて遮断電流を計算し、そして、少なくとも一つ、又は複数の物理的パラメーターがこの計算に取り入れられ、そして当該パラメーターが、測定された空走電流需要、測定された供給電圧、測定された周囲温度、測定された車輪回転挙動、決定された斜面傾斜、及び/又は運転ブレーキシステム内に保存された液圧的予圧力に関することが意図されている。
【0010】
遮断電流のデータ処理における簡易化された決定の為に、電子的な制御ユニットが、計算された遮断電流に基づいて、基本的に、所定の予め与えられる遮断電流限界値iAを、簡易化された目標値・現状値比較の目的で、例えば保存されたテーブルから選択し、又は決定し、そして電流需要が、遮断電流限界値iAに達する、又はこれを超えるとき、遮断が、電子的な制御ユニットによって行われることが推奨される。その際、有利には、本発明の更なる態様においては、電子的な制御ユニットが、複数の、そして互いに異なっており、高く設定される遮断電流限界値から選択されることが意図されていることが可能である。これら異なる高さに設定された遮断電流限界値iAは、有利には、互いに明らかに段階づけされているので、これによって拡開が可能とされる。結果、少なくともわずかな負荷状態(荷重付加無し、平坦での停止、渋滞アシスタント)、通常の負荷状態(通常の荷重付加、通常のブレーキング)、そして特別高い負荷状態(大きな荷重付加、著しい斜面傾斜、車両積載)が、フィードバックにおけるより少ない労力(コスト)で、しかしながら柔軟に区別可能である。疑わしい場合、提供された値のうち、それぞれより高く設定された遮断電流限界値iAが選択され、これによってパーキングブレーキ機能が確実に行われる(セレクトハイ)。
【0011】
詳細には、以下のプロセスフローを推奨する。
a)電子的な制御ユニットが、電気的な調整ユニットを、電流需要を連続的に測定しつつ通電し、そしてその際、電留需要を監視し、その際、
b)電子的な制御ユニットが、永続的、又は周期的に、測定された電流需要iを、選択された、又は決定された遮断電流限界値iAと比較し、そして、
c)電気的な調整ユニットの電流需要が、遮断電流限界値iA以上であるとき、電子的な制御ユニットが、電気的な調整ユニットの通電を中断し、又は中止する。
【0012】
特別有利には、上述した運転方法も、付設される中央の電子的な制御ユニットも複数チャンネル式に形成されていることが可能である。それゆえ、中央の電子的な制御ユニットは、独立した構成ユニットとして、電気的に当該電気的な調整ユニットと接続されており、そして、これら複数の車輪ごとに設けられる電気的な車輪調整ユニットの個々のマネージメントを同時に、つまり平行して行うのに適しており、かつそのために設けられている。その際、中央の電子的な制御ユニットの電気的な車輪調整ユニットの全てが、個々の命令、つまり電気的な信号、又は通電を受け取る。換言すると、関連する電子的なデータ処理、及び過程を含めて、特に遮断のような電子的な制御は車輪ごとに独立して、つまり各電気的な車輪調整ユニットに対して個々に、中央の電子的な制御ユニットにより処理されることが可能である。つまりこの中央から提唱される車輪ごとの制御・調整は、二以上の車輪ブレーキに対して基本的に可能である。電子的な制御ユニットが、その全てのチャネルに対して独立したハードウェア、つまり複数のマイクロプロセッサーコアを有する、又は必要な計算キャパシティが、チャネルごとに唯一のマイクロプロセッサー上で別れていることも可能である。原理的には、ハードウェア、及び/又はソフトウェア、つまり方法とプロセスを重畳的に設ける、又は運転させることは有意義であり得る。システム利用可能性を高め、及び/又は、平行して実施される安全プロセスを双方向の監視業務によって可能とするためである。
【0013】
つまり、本発明は、中央の電子的な制御ユニットの使用可能性を拡張する。拡張は、特別な力計測技術及び経路計測技術を省略しつつ、解除端部ストッパーが電流監視によって検出されることによって行われる。この事は、必要なセンサー装置とフィードバックを合理化し、そしてそれにもかかわらず、各電気的な車輪ブレーキ調整ユニットに基本的に車輪ごとの駆動・制御が与えられることが可能であるということを可能とする。この広く、かつ開かれたシステムアーキテクチャは、本発明に、新たな適用範囲と、より改善された緊急ブレーキ機能を開くものである。
【0014】
本発明の詳細を以下に、好ましい実施例に基づいて、添付の図面と関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】電気的な調整ユニット(アクチュエーター)の、回転不能、かつ軸方向にスライド可能に支承されたアクチュエーター(スピンドル)に関する、力(F)の調整経路sに対する理想的なモデル化された関係
【
図2】理想的なモデル化された、電気的な調整ユニットの監視される電流需要Iの時間tに関するステージの連続I-Vの図。
図1と関連して、解除端部ストッパー(解除状態、引張力無し、端部ストッパー)のフィードバックの為の方法の明確化の為の図。
【
図3】一チャンネル式に構成されたシステムの実施形
【
図4】四チャンネル式に構成されたシステムの実施形
【発明を実施するための形態】
【0016】
モデル的に理想化された特性線推移内では、電気機械的な引張負荷プロセスが二重矢印で示される一方で、電気機械的な解除プロセスが、逆方向に一段の矢印でシンボル化されている。その際、電気的な調整ユニット3のアクチュエーター(アクチュエーティングリンク、スピンドル)は、其々、破線(赤)で、又は×印(緑)で示される特性線部分内で力を受けていない、つまり解除されている。×印(緑)でマーキングされた特性線領域内のみで、解除端部ストッパー内に特別な弾性が作用する。弾性の作用は、戻られる調整経路sに応じて行われる。弾性は、支承力の力束内でまとめられた端部ストッパーとして作用し、その結果、センサー無しで検出可能な、電流・時間推移における特性線変化が与えられる。これは、電子的な制御ユニットによって電流推移の監視により処理され、そして活用される。これは、詳細には、アクチュエーターがフェーズIVの始まりとともに、及びフェーズV内で、増加的に弾性要素によって付勢されていることによって行われる。
図1,2において其々○で強調されている他の特性線領域は、これと反対に、電気的な調整ユニットの引張力が要求される調整領域に関する。解除プロセスは、其々、操作状態bから出発して、そして解除方向に観察され、つまり基本的に以下のプロセスフェーズに分割されている。フェーズI:解除方向におけるモータースタート(通電スタート)
フェーズII:解除方向における力の構築
フェーズIII:解除方向における空転
フェーズIV:弾性要素における係合
フェーズV:アクション終了(通電終了)
【0017】
引張負荷プロセスは、ちょうど逆に進行すると解される。
【0018】
図1から、調整ユニット調整経路に渡る(引張)力の推移Fが見て取れる。その際、特性線分岐f(s)は、原理的に、アクチュエーターとアクチュエーティングリンクの間の力の関係を、つまりアクチュエーターとアクチュエーティングリンクの間の力の適用の分岐を明らかにしている。この特性線分岐は、(引張力がかからない)空経路の経路間隔中において破線(赤)で、そして、引張力が要求される経路間隔中においては×印(青)でマーキングされている。逆に、0点の反対側に位置し、そしてさらに×印(緑)でマーキングされている特性線分岐h(s)は、アクチュエーターに対する弾性要素の力の作用を明らかににしている。この力の作用は、0点の通過と、後方の端部ストッパーの到達の間の間隔においてのみ発生する。弾性要素のこの力の作用は、アクチュエーターの解除動作と反対に向けられている。
【0019】
図1から詳細が明らかなように、電気的な調整ユニットは、フェーズIIIのブレーキアプライ(制動)の際に破線(赤)で強調された特性線に相応し、空経路s0を基本的に力無で(F0)通過する。経路マークscpに到達すると、フェーズII中に調整力(引張力)が構築される。調整(制御)の為、特に、通電のオンの為、及びオフの為に、電子的な制御ユニットが使用される。ブレーキアプライ(制動)の際にも、電気的な調整ユニットの解除の際にも、電気的な電流推移は、電子的な制御ユニットによって監視され、そしてそれに基づいて、なぜ電流需要において著しい変化が存在するのか、回析が行われる。これは、調整ユニットの通電が終了される前に、一方では必要とされるブレーキアプライ(制動)力が達成されているか、又は他方では解除端部ストッパーへの当接によって、解除状態が、相応する遮断電流限界値iAにおいて達成されたかの検出の為に使用される。
【0020】
電子的な制御ユニットは、メモリを有するマイクロプロセッサーを有し、そして電子データ処理的に保護され、かつソフトウェアベースの周期的に実施される調整ルーチンに従い、ソフトウェアベースの保管された周期的なシステムモデルに基づいて、ブレーキシューがそのブレーキ力無しの解除位置に達したとき、ドラムブレーキシステムが確実に解除位置に運ばれているということを前提としている。これは、ブレーキシューが、未だ予負荷をかけられたばね要素の作用のもとのみ、つまりブレーキアプライ(制動)力無しであるが、しかし支持装置上に定義されて載置されているときに達成される。電子的な制御ユニットは、よって上述したモデルに応じて、フェーズIII、つまりブレーキアプライ(制動)力無しの空走レベルが克服されており、そしてフェーズIVが終了された後にフェーズVを検出する。そのため、調整ユニット電流需要が、フェーズIVの終了の応答として明らかに、そして再現可能に確実に上昇したかどうかが、監視され、そして相応して検出される。換言すると、電気的な調整ユニットが、その「後方の」確実に解除された端部位置に、つまり0点と反対の解除位置への進入の際に、弾性要素の弾性的な変形によって、一次的に、又は漸進的に上昇する、明らかな変化が電流・時間特性線中に刻み込まれるという特別性が援用される。この事情は、電気的な調整ユニットの特性線監視によって自動的に監視され、そして検出される。遮断電流限界値iAの到達、又はこれの超過の検出の後、電気的な調整ユニットの電流供給は、自動的に電子的な制御ユニットによって遮断される。その際、電気的な調整ユニットの駆動トレイン中の慣性効果が、未だ何等かの快適性を損なう効果(オーバーラン)を引き起こすことは無い。自己抑制の結果、通電の遮断の後、電気的な調整ユニットの駆動トレインは間もなく、達成された解除状態にとどまる。
【0021】
図3は、第一の実施形に基づいて例示的に、一チャネル式に構成されたブレーキ装置1を簡略的に示す。これは二つの車輪ブレーキシステム2,2’の為のものであり、一、又は複数のマイクロプロセッサー12,13を有する電子的な制御ユニット3を有する。これは、電気的に、少なくとも一つの操作要素10と接続されており、そして必要に応じて電気的な調整ユニット4の電気的な供給を行うために使用される。電子的な制御ユニット3は、一、又は複数のマイクロプロセッサー12,13を含む。これは、センサーによって獲得される情報、特に車輪回転情報を供給されるか、又は、電気的な調整ユニット14の電流需要の測定、及び監視の為のセンサー11によって情報供給される。各車輪ブレーキシステム2,2’は、回転不能に支承されたブレーキライニング5を有する。ブレーキライニングは摩擦面7を有している。ローター6は、図示されない自動車の軸、又はハブ9に回転可能に支承されており、そして摩擦面8を有している。ブレーキライニング7の摩擦面7は、一又は複数の摩擦面8に割り当てられている。電気的な調整ユニット4と、ブレーキライニング5は、基本的には機械的にアクチュエーティングリンク14を介して作用接続されており、しかしまた、直接駆動されることも可能である。プル・プッシュ・調整を可能とするためである。両方の車輪ブレーキシステム2,2’における両方の電気的な調整ユニット4,4’の説明したパラレル接続によってブレーキ要求は、これによって、要求に応じて、両方のブレーキシステム2,2’に基づく相応して要求されるブレーキ作用の発生によって、基本的に同様に実施される。この簡易化された態様において、両方の電気的な調整ユニット4,4’の概略の電流需要が、主に、電子的な制御ユニット3へとフィードバックされる。
【0022】
コンポーネントにおける基本的な一致の為、以下においては、
図4の実施形におけるシステマチックな相違にのみ着目し、その際、単純化のため
図3のコンポーネント説明が援用される。
図4から、四チャンネルの構成が明らかである。その際、各車輪ブレーキシステム2,2’’、2’’’、2’’’’の電気的な調整ユニット4,4’、4’’、4’’’は、個別に、電子的な制御ユニット3と接続されており、そして車輪ごとの制御、又は調整の為、個別に供給部を有する。これと関連して、全体の制御プロセス、及び/又は調整プロセスの車輪ごとの分離は、リターン連結も含め、電流需要、遮断電流限界基準等を考慮のもと行われる。そのような要求が照会される限り、電子的な制御ユニット3内でのプロセス加速、又はより少ない演算労力を可能とするような、分離におけるバリエーション、又は簡易化も考え得る。例えば、個々の車輪ブレーキシステム2,2’、2’’、2’’’を、電気的に、任意の適応可能なブレーキサーキットへと、つまりシステマチックにペアとして分けることが可能である。そしてその際、一方のブレーキサーキットの車輪ブレーキシステム2,2’、2’’、2’’’は、基本的に、同様に「セレクトロー」の原理に従って取り扱われ、そして処理されることが可能であるか、又は車輪ごとにそうされる。これによって、其々最も重要な車輪ブレーキシステムが、其々、支配的なガイドロールを、同じブレーキサーキット中に接続された他の車輪ブレーキシステムが調整を行っている間にも、割り当てられることが可能である。したがって、安全の獲得が達成され、そして不安定な車両(ブレーキ)状態が防止されることが可能である。
図4は、四チャンネル構成を明確に示しているが、相応して、任意の他のチャネル数が形成されることが可能である(2チャネル構成、3チャンネル構成、又はxチャンネル構成)。
【符号の説明】
【0023】
1ブレーキ装置
2,2`,2``,2```車輪ブレーキシステム
3電子的な制御ユニット
4,4´,4´´,4´´´電気的な調整ユニット
5ブレーキライニング
6ローター(ブレーキドラム、又はブレーキディスク)
7摩擦面
8摩擦面
9軸、ハブ
10操作要素
11センサー
12マイクロプロセッサー
13マイクロプロセッサー
14,14`,14``,14```アクチュエーティングリンク