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特許7193347リモートセンシング用の方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】リモートセンシング用の方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/95 20060101AFI20221213BHJP
   G01S 17/58 20060101ALI20221213BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01S17/95
G01S17/58
G01W1/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018565024
(86)(22)【出願日】2017-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 GB2017051704
(87)【国際公開番号】W WO2017216531
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】1610259.2
(32)【優先日】2016-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516253569
【氏名又は名称】スガーエナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SGURRENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジェイムズ マクドナルド クライブ
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-351853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0128488(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0099497(US,A1)
【文献】国際公開第2011/150942(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
13/00 - 17/95
G01P 5/00 - 5/26
F03D 1/00 - 80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンの形式の風力エネルギー受信装置または潮汐タービンの形式の潮汐エネルギー受信装置に関連するリモートセンシング用途において用いられる方法であって、
コントローラが、リモートセンシングの測定キャンペーン中に事前に取得した測定データを受信するステップと、
前記コントローラが、前記受信した測定データから、リモートセンシング装置(24)の測定形態における調整を決定するステップであって、前記リモートセンシング装置の前記測定形態における前記調整は、前記リモートセンシング装置(24)の走査の幾何学的形態構造の変更を含むステップと、
前記コントローラが、前記リモートセンシング装置(24)の前記走査の幾何学的形態構造の変更を示す出力を、前記測定キャンペーン中に前記リモートセンシング装置(24)の前記測定形態を能動的に調整するに当たり用いるために提供するステップとを含み、
前記コントローラが前記走査の幾何学的形態構造の変更を決定するステップが、前記コントローラが、前記受信した測定データから関心事の測定値を決定することと、該関心事の測定値から前記走査の幾何学的形態構造を決定することを含み、前記走査の幾何学的形態構造は、前記関心事の測定値用の、前記リモートセンシング装置の走査の最適な幾何学的形態構造を示し、
前記出力は前記走査の幾何学的形態構造に基づき、当該走査の幾何学的形態構造は、前記関心事の測定値用に最適な、前記リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を示し、
前記コントローラが、前記測定キャンペーン中に前記リモートセンシング装置(24)の前記測定形態を調整することが、前記コントローラが、前記リモートセンシング装置(24)の前記走査の幾何学的形態構造を前記出力に基づいて書き換えること、及び/または、前記リモートセンシング装置(24)用の走査の幾何学的形態構造を、前記リモートセンシング装置(24)用に事前に定めた複数の走査の幾何学的形態構造から前記出力に基づいて選択することを含む方法。
【請求項2】
前記コントローラが、前記測定キャンペーン中に、前記リモートセンシング装置の前記走査の幾何学的形態構造を前記出力に基づいて変更することによって、前記リモートセンシング装置の前記測定形態を調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リモートセンシングの測定キャンペーン中に事前に取得した測定データが、
前記測定キャンペーン中に前記リモートセンシング装置の前回の走査の幾何学的形態構造で取得した測定データ、及び/または、
前記測定キャンペーン中に、他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置によって取得した測定データ、のうちの少なくとも一方を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コントローラが、前記走査の幾何学的形態構造の変更を決定するステップが、前記コントローラが、前記関心事の測定値を出力することを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記コントローラが前記測定形態を調整するステップが、
前記コントローラが、各回の前記測定データの取得後に、前記リモートセンシング装置の前記走査の幾何学的形態構造を変更すること、
前記コントローラが、選択した回数の前記測定データ取得後に、前記リモートセンシング装置の前記走査の幾何学的形態構造を変更すること、
前記コントローラが、前記決定した変更が選択した閾値を超えた場合に、前記リモートセンシング装置の前記走査の幾何学的形態構造を変更すること
のうちの1つを含む、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記リモートセンシング装置(24)の前記走査の幾何学的形態構造が、走査の幾何学的形態の情報を含み、該走査の幾何学的形態の情報は、
位置情報、
測定体積空間内のプローブ体積空間の位置に関する情報、
測定体積空間内のプローブ体積空間の分布に関する情報、
プローブ信号が放射される方向または視線に対するプローブ体積空間の向きに関する情報、
前記プローブ信号が検出される方向に対するプローブ体積空間の向きに関する情報、
前記プローブ信号が検出される方向に対するプローブ体積空間のアジマス角に関する情報、
プローブ体積空間の仰角に関する情報、
タイミング情報、
プローブが放射された時刻に関する情報、
該プローブが調査中の流体と相互作用した時刻に関する情報、
該プローブが検出された時刻に関する情報、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記コントローラが、前記走査の幾何学的形態構造を、走査の幾何学的形態のルックアップ・テーブルから選択する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラが、前記走査の幾何学的形態構造を、アルゴリズムを用いて計算する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記リモートセンシング装置(24)の前記走査の幾何学的形態構造が、
単純な走査の幾何学的形態、
複合的な走査の幾何学的形態、
複合型の走査の幾何学的形態、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
風力タービンの形式の風力エネルギー受信装置または潮汐タービンの形式の潮汐エネルギー受信装置に関連するリモートセンシング用途において用いられるシステム(10)であって、
リモートセンシング装置の測定キャンペーン中に事前に取得した測定データを受信するように構成されたコントローラを具え、該コントローラは、前記受信した測定データから、前記リモートセンシング装置(24)の測定形態における調整を決定するように構成され、前記リモートセンシング装置(24)の前記測定形態における前記調整は、前記リモートセンシング装置(24)の走査の幾何学的形態構造の変更を含み、
前記コントローラは、前記リモートセンシング装置(24)の前記走査の幾何学的形態構造の変更を示す出力を、前記測定キャンペーン中に前記リモートセンシング装置(24)の前記測定形態を能動的に調整するに当たり用いるために提供するように構成され、
前記走査の幾何学的形態構造の変更を決定することは、前記受信した測定データから関心事の測定値を決定し、該関心事の測定値から前記走査の幾何学的形態構造を決定することを含み、前記走査の幾何学的形態構造は、前記関心事の測定値用の、前記リモートセンシング装置の走査の最適な幾何学的形態構造を示し、
前記出力は前記走査の幾何学的形態構造に基づき、当該走査の幾何学的形態構造は、前記関心事の測定値用に最適な、前記リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を示し、
前記測定キャンペーン中に前記リモートセンシング装置(24) の前記測定形態を調整することが、前記リモートセンシング装置(24)の前記走査の幾何学的形態構造を前記出力に基づいて書き換えること、及び/または、前記リモートセンシング装置(24)用の走査の幾何学的形態構造を、前記リモートセンシング装置(24)用に事前に定めた複数の走査の幾何学的形態構造から前記出力に基づいて選択することを含むシステム(10)。
【請求項11】
前記リモートセンシング装置(24)を具え、前記リモートセンシング装置(24)が、任意で、ライダー・センシング装置、ソーダー・センシング装置、または音響ドップラー流向流速計(ADCP)を具えている、請求項10に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記システムが、前記測定キャンペーン中に、
前記リモートセンシング装置(24)、及び
他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置
のうちの少なくとも一方によって事前に取得した測定データに基づいて、前記リモートセンシング装置(24)の前記測定形態を調整するように構成されている、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
1つ以上のエネルギー受信装置(12)を具え、任意で、風力エネルギー受信装置または潮汐エネルギー受信装置を具えている、請求項10~12のいずれかに記載のシステム(10)。
【請求項14】
制御システムを具え、該制御システムが、前記エネルギー受信装置(12)の位置、例えばヨー角を調整するように構成されている、請求項10~13のいずれかに記載のシステム(10)。
【請求項15】
請求項1~9のいずれかに記載の方法をコンピュータに行させためのコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のコンピュータプログラムを提供するためのキャリア媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー受信装置に関連するリモートセンシング(遠隔探査)用途において用いられる方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リモートセンシングは、距離をおいた物体または領域に関係するデータの取得を含み、調査中の流体から流体特性の測定値を取得するために用いることができる。これらの流体特性は、例えば、所定の測定体積空間内の風況(風の状況)、あるいは他の大気及び/または環境パラメータとすることができるが、それだけではない。リモートセンシング動作を実行するために用いられるリモートセンシング装置(RSD:remote sensing device)は、信号「プローブ」を放射することによって動作し、この信号は調査中の流体と相互作用して、この流体によって変化する。次に、変化したプローブを、上記RSD、または他のRSD、あるいは他の受信機によって検出し分析して、上記相互作用が発生した領域(「プローブ体積空間」)内の流体の1つ以上の特性を測定する。次に、調査中の流体の所望の特性を、プローブが変化した様子から測定する。
【0003】
RSDは、多数の異なる用途及び環境において用いられ、多数の異なる形をとる。
【0004】
RSDは多数の異なる用途において効率的に用いられるが、従来のシステム及び技術に伴う挑戦及び欠点が存在する。例えば、RSDによって取得される流体データにおける不正確さは、測定キャンペーン(行動)の有効性に対して大きな悪影響を与え得る。例えば、取得したデータがエネルギー受信装置に関連する流体特性に関係する場合には、エネルギー受信装置の効率の悪さ、及びエネルギー受信装置の性能及びエネルギー収量の推定値における不正確さを生じさせ得る。
【0005】
米国特許第2013/099497号明細書(特許文献1)は、ローターと、ヨーシステムと、1つ以上の見通し線検出器とを有するタービンを記載し、ローターは1つ以上のローターブレード及びハブを具え、ハブはナセルに取り付けられ、ヨーシステムは、ローターを回転させて風向きに向け、見通し線検出器は風速の成分を検出する。1つ以上の検出器は、ヨーシステムの動作の下で回転するように実装されている。制御システムが、1つ以上の検出器に結合され、検出した風速成分を風速値と比較し、この比較に応答してヨーシステムを制御するように構成されている。ナセルは、制御システムの制御下で、ヨーの誤差が実質的に0になるまで回転させることができる。
【0006】
米国特許第2015/093243号明細書(特許文献2)は風力(ウインド)タービンを記載し、この風力タービンは、ローターと、ナセルと、ナセル用の支持構造と、支持構造上に実装された1つ以上の風センシング装置とを含む。
【0007】
国際特許出願第2011/150942号(特許文献3)は、風力タービン・ドップラー風速計、特に風力タービンのフィードフォワード制御用のライダー(LIDAR:light direction and ranging:光による検知と測距)装置を記載している。この装置は、回転可能なマウント(架台)またはベアリング(軸受)によって風力タービンのナセル上に実装され、これによりライダー装置の見通し線は、ナセルが向いている方向と独立して操舵することができる。回転可能なマウントは、吹き付ける風から力を受けるフィンまたはベーン(羽根、翼)付きのウインドベーン(風見)を含むことができる。その代わりに、回転可能なマウントを、別個の風センサからの信号に基づいて制御することができ、この風センサは風向を制御システムに出力して提供する。より単純な構成では、ライダー装置がナセルに固定され、ライダー装置の見通し線は回転可能なミラーの向きに指向されている。フィードフォワード制御にとっては、このことは、ドップラー風速計が生成する風速の測定値が高信頼性かつ正確であることを保証し、極端な天気事象中、並びにヨードライブ(ヨー駆動装置)の保守または故障中に、正確な風速情報を入手することを可能にする。
【0008】
独国特許出願公開第102012019663明細書(特許文献4)はライダー測定装置を記載し、このライダー測定装置は、レーザービームを走査することによって2つの測定点における風速に適応する。偏向装置が、レーザービームを軸方向に対して可変に偏向させるように構成され、これにより2つの測定点は、レーザービームによって軸平面に垂直な平面から異なる距離において走査される。タワー座標系のx軸の軸方向が、風力エネルギープラントのローターの回転軸に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第2013/099497号明細書
【文献】米国特許第2015/093243号明細書
【文献】国際特許出願第2011/150942号
【文献】独国特許出願公開第102012019663明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、添付した特許請求の範囲による、リモートセンシングにおいて用いられる方法が提供され
【0011】
上記方法は、リモートセンシングの測定キャンペーンを実現するに当たり用いるリモートセンシング装置の動作を改善する方法を含むことができる。
【0012】
上記方法は、リモートセンシングの測定キャンペーンを実現するための方法を含むことができる。
【0013】
上記方法は、上記測定キャンペーン中に、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を上記出力に基づいて変更することによって、リモートセンシング装置の測定形態を調整するステップを含むことができる。
【0014】
特定の好適例では、上記事前に取得した測定データが、リモートセンシング装置の前回の走査の幾何学的形態構造で取得した測定データを含む。
【0015】
その代わりに、あるいはそれに加えて、上記事前に取得した測定データは、上記測定キャンペーン中に他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置によって取得した測定データを含むことができる。
【0016】
本発明の好適例は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置の測定形態を能動的に調整することによって、変化する条件下で実現される最適な、あるいは少なくとも改善されたリモートセンシングの測定キャンペーンを可能にすることが有益である。このことは、測定キャンペーン中に、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を、同じ測定キャンペーン中に事前に取得した測定データに基づいて適応させることによって行われ;測定キャンペーン中に単一の走査の幾何学的形態構造しか提供しない従来のRSDとは対照的であり、この単一の走査の幾何学的形態構造は、一般に、特定のリモートセンシング装置のデフォルト設定であり、あるいは測定キャンペーンの最初の目的に基づくものであり、測定キャンペーンを開始する前に作成した一般的条件の映し出しである。本発明の好適例は、測定キャンペーン中に、リモートセンシング装置の設定、特にその走査の幾何学的形態の構造を、測定値を取得する環境及び条件に合うように適応させることができ、こうした環境及び条件は時間と共に大幅に、かつ反復的に変動し得る。これにより、本発明の好適例は、さもなければ従来のシステム及び技術において生じ得る不正確さを軽減または解消し、こうした不正確さは、得られた測定値が目的に適合しないか、あるいは所定の測定キャンペーンの一部分にしか関連しない期間より生じる測定バイアスに起因し、こうした期間は大幅であることが多い。
【0017】
本発明の特定の好適例は、例えば、それだけではないが、地上及び低空(低高度)の風力エネルギー用途にとって特別な関心事である、大気境界層(ABL:Atmospheric Boundary Layer)として知られている大気の下層領域内の風況に関係する、及び/または、潮汐エネルギー用途にとって特別な関心事である水の状態または潮汐条件に関係する測定データの取得の改善を促進することができる。
【0018】
使用中には、リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造を有するように設けることができ、上記方法は、測定キャンペーン中に事前に取得した測定データに基づいて、リモートセンシング装置を、第1の走査の幾何学的形態構造から第2の走査の幾何学的形態構造に調整するステップを含むことができる。
【0019】
上記方法は、測定キャンペーン中に事前に取得した測定データから、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造の必要な変更を決定するステップを含むことができる。上記方法は、走査の幾何学的形態構造の必要な変更をリモートセンシング装置に伝達するステップを含むことができる。
【0020】
特定の好適例では、上記方法は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置によって取得した事前のデータ集合に基づいて、リモートセンシング装置を、第1の走査の幾何学的形態構造から第2の走査の幾何学的形態構造に調整するステップを含むことができる。例えば、上記方法は、測定キャンペーン中に、リモートセンシング装置の第1の走査の幾何学的形態構造での動作によって取得した第1の測定データ集合に基づいて、リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造から第2の走査の幾何学的形態構造に調整するステップを含むことができる。上記方法は、第1の走査の幾何学的形態構造によりリモートセンシング装置を動作させて、第1の測定データ集合を取得するステップを含むことができる。
【0021】
上記方法は、取得した第1のデータ集合から関心事の測定値を決定するステップを含むことができる。
【0022】
上記の、走査の幾何学的形態構造の変更を決定するステップは、測定キャンペーン中に事前に取得して受信した測定データから関心事の測定値を決定することと、関心事の測定値から、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を決定することとを含むことができ、決定した走査の幾何学的形態構造は、関心事の測定値用に改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態構造を示す。
【0023】
上記の、リモートセンシング装置の測定形態を調整するステップは、測定キャンペーン中に、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を、上記関心事の測定値用に改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態構造に応じて変更することを含むことができる。
【0024】
上記方法は、上記関心事の測定値を出力するステップを含むことができる。
【0025】
上記方法は、リモートセンシング装置を、第2の走査の幾何学的形態構造により動作させて、第2の測定データ集合を取得するステップを含むことができる。
【0026】
上記方法は、取得した第2の測定データ集合から関心事の測定値を決定するステップを含むことができる。上記方法は、取得した第2のデータ集合から決定した関心事の測定値を出力するステップを含むことができる。
【0027】
上記の、走査の幾何学的形態構造の能動的調整を反復して一連のデータ集合を取得することができ、各データ集合は、走査の幾何学的形態及び装置の設定の意味で最適化された状況下で得られる。
【0028】
従って、当該条件に関連して走査の幾何学的形態構造を改善または最適化すべき条件は、測定キャンペーン中に連続して、あるいは間隔をおいて評価することができ、測定値を取得する間に走査の幾何学的形態構造を調整する。
【0029】
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を調整するステップは、各回のデータ取得後に実行することができる。
【0030】
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を調整するステップは、選択した回数のデータ取得後に実行することができる。
【0031】
風況に関係し、かつ選択した閾値を超えるデータから導出したパラメータの値に基づけば、最適な装置の設定を維持するために走査の幾何学的形態の変更が必要であることを、第1の、あるいは前回の走査の幾何学的形態が示す際に、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を調整するステップを実行することができる。
【0032】
上記の、走査の幾何学的形態構造の調整は多数の形をとることができる。
【0033】
一部の好適例では、上記方法は方向追跡動作を含むことができる。
【0034】
この方向追跡動作は、円弧形走査の方向追跡動作を含むことができる。
【0035】
円弧形走査の方向追跡動作は:
リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造に設定するステップであって、第1の走査の幾何学的形態構造は、リモートセンシング装置の利用可能なビーム方向または視線(LoS:lines of sight)のうちの、ビーム方向または視線(LoS)の第1部分集合を含むステップ;
測定キャンペーン中に事前に取得した第1の測定データ集合から関心事の測定値を決定するステップであって、第1の測定データ集合は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置によってビーム方向または視線(LoS)の第1部分集合により第1の走査の幾何学的形態構造で取得した測定データを含み、あるいはこの測定キャンペーン中に他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置によって取得した測定データを含むステップ;
第1の測定データ集合から得られた関心事の測定値から、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を決定するステップであって、決定した走査の幾何学的形態構造は、関心事の測定値用に改善された、あるいは最適な、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を示すステップ;
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造に対する必要な変更を示す出力を提供するステップ;
のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0036】
上記方法は、リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造により動作させて第1のデータ集合を取得するステップを含むことができる。
【0037】
上記方法は:
上記出力に基づいて、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を第2の幾何学的形態構造に変更することによって、リモートセンシング装置の測定形態を調整するステップであって、第2の走査の幾何学的形態構造は、モートセンシング装置の利用可能なビーム方向のうちの、ビーム方向または視線(LoS)の第2部分集合を含むステップ;及び
第2の走査の幾何学的形態構造によりリモートセンシング装置を動作させて、第2の測定データ集合を取得するステップ;
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0038】
このプロセスは、後続する走査の幾何学的形態の各々を、先行する走査の幾何学的形態を用いて取得したデータ集合を参照して同様な方法で最適化しながら継続することができる。
【0039】
方向追跡の円弧形走査の動作は、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造の最適化を促進することが有益である、というのは、ビーム方向または視線(LoS)の最も適切な部分集合が、測定キャンペーン中のデータ取得の所定瞬時において実現されるからであり、このことは直前回の反復の結果の能動的監視に基づく。
【0040】
上記方向追跡は、方向追跡を複合した走査の幾何学的形態の動作を含むことができる。
【0041】
方向追跡の円弧形走査の動作は:
リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造に設定するステップであって、第1の走査の幾何学的形態構造は、第1の単純な走査の幾何学的形態要素及び第2の単純な走査の幾何学的形態要素を含む複合型の走査の幾何学的形態を含むステップ;
測定キャンペーン中に事前に取得した第1の測定データ集合から関心事の測定値を決定するステップであって、第1の測定データ集合は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置によって上記複合型の走査の幾何学的形態により取得した測定データを含み、あるいは、測定キャンペーン中に他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置によって取得した測定データを含むステップ;
第1の測定データ集合から得られた関心事の測定値から、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を決定するステップであって、この走査の幾何学的形態構造は、関心事の測定値用に改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態構造を示すステップ;
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造に対する必要な変更を示す出力を提供するステップ;
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0042】
上記方法は、リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造により動作させて、第1の測定データ集合を取得するステップを含むことができる。
【0043】
上記方法は:
第1の単純な走査の幾何学的形態要素の方向を、第2の単純な走査の幾何学的形態要素の方向に合わせることによって、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を第2の走査の幾何学的形態構造に調整するステップ;及び
リモートセンシング装置を第2の走査の幾何学的形態構造により動作させて、第2の測定データ集合を取得するステップ
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0044】
第1の単純な走査の幾何学的形態要素は、ウィンドシア(急激な風速、風向の変動)の詳細な特徴付けのために垂直面を調べるための距離高度指示(RHI:range height indicator)要素を含むことができる。
【0045】
第2の単純な走査の幾何学的形態要素は、風向の測定のための円弧形走査要素を含むことができる。
【0046】
こうした測定及び調整のプロセスは、測定キャンペーンの継続時間中に反復することができる。
【0047】
この関係では、RHI垂直面の方向が、この垂直面全体にわたる仰角内を掃引されるビームのアジマス角を含む。
【0048】
上記方法は、体積空間追跡動作を含むことができ、あるいは追加的に含むことができる。
【0049】
この体積空間追跡動作は:
リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造に設定するステップであって、第1の走査の幾何学的形態構造は、リモートセンシング装置に対して関心事の体積空間へ向かう方向に関する情報を含むステップ;
測定キャンペーン中に事前に取得した第1の測定データ集合から関心事の測定値を決定するステップであって、第1の測定データ集合は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置によって第1の測定データ集合から得られた測定データを含み、あるいは、この測定キャンペーン中に他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置によって取得した測定データを含むステップ;
第1の測定データ集合から得られた関心事の測定値から、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を決定するステップであって、この走査の幾何学的形態構造は、関心事の測定値用に改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態構造を示すステップ;
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造に加える必要な変更を示す出力を提供するステップ;
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0050】
上記方法は、リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造により動作させて第1の測定データ集合を取得するステップを含むことができ、第1の測定データ集合は、リモートセンシング装置に対して関心事の体積空間へ向かう方向に関する情報を含む。
【0051】
上記方法は:
リモートセンシング装置に対して関心事の体積空間へ向かう方向を示すデータに基づいて、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を、第1の走査の幾何学的形態構造から第2の走査の幾何学的形態構造に調整するステップ;及び
リモートセンシング装置を第2の走査の幾何学的形態構造により動作させて、第2の測定データ集合を取得するステップ;
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0052】
測定と走査の幾何学的形態の調整とを交互させて、最適な装置設定を維持するこうしたプロセスは、測定キャンペーンの継続時間中に反復することができる。
【0053】
体積空間追跡動作は、例えば、基準フレームに対して固定されていないプラットフォーム上にリモートセンシング装置を搭載する用途において、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造の改善または最適化を促進することが有益であり、この基準フレームに対して風速ベクトル成分が表現され、関心事の体積空間はこの基準フレーム内に固定されている。例えば、ライダー(LIDAR:light direction and ranging:光による検知と測距)装置のようなリモートセンシング装置は、風力タービンのナセル(nacelle:回転機室)上に配置することができ、風力タービンは基準フレーム内の垂直軸を中心に回転し、基準フレーム内で風速ベクトル成分が表現され、風力タービンの軸が、変化する風向に従うように向きを変える間に、関心事の体積空間は固定されている。ライダー装置の視線は基準のフレーム内に固定され、リモートセンシング装置及びこの装置が搭載されたプラットフォームは、このフレーム内に固定されている。しかし、この基準のフレーム自体は、風速ベクトル成分を表現する基準フレーム内で回転し、関心事となり得る体積空間の位置は固定され、こうした体積空間内でこれらの速度成分(風速ベクトル成分)を測定することになる。一部の用途では、他の基準フレームに対して固定された他の体積空間内で風況を測定するためにリモートセンシング装置を必要とする。例えば、他の風力タービンのローターの手前、あるいは背後で風況を測定するためには、1つのタービンのナセル上に設置されたライダー装置が必要になり得る。装置の基準フレーム内のこうした体積空間の方向は、関心事の体積空間の位置に対する、ライダーを搭載したプラットフォームの向きに依存する。視線は、RSD及びこのRSDが搭載されたプラットフォームが固定された基準のフレーム内に固定されている。しかし、この基準のフレーム自体は、関心事の体積空間が固定された基準のフレーム内で回転する。この場合、RSDに対して関心事の体積空間へ向かう方向を示す信号を処理して走査の幾何学的形態を相応に更新して、視線を関心事の体積空間に向かう方向に再設定すれば、能動的最適化を実現することができる。
【0054】
一部の好適例では、上記方法は、収束型の走査の幾何学的形態による動作を含むことができ、あるいは追加的に含むことができる。
【0055】
収束型の走査の幾何学的形態による動作は:
リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造に設定するステップであって、第1の走査の幾何学的形態構造は、少なくとも1つの他のリモートセンシング装置のプローブ体積空間と一致するように設定されたプローブ体積空間を含むステップ;
測定キャンペーン中に事前に取得した第1の測定データ集合から関心事の測定値を決定するステップであって、第1の測定データ集合は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置によって第1の測定データ集合から取得した測定データを含み、あるいは、この測定キャンペーン中に他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置によって取得した測定データを含むステップ;
第1の測定データ集合から得られた関心事の測定値から、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を決定するステップであって、決定した走査の幾何学的形態構造は、関心事の測定値用に改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態構造を示すステップ;
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造に加える必要な変更を示す出力を提供するステップ;
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0056】
上記方法は、リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造により動作させて、第1のデータ集合を取得するステップを含むことができる。
【0057】
上記方法は:
第1の測定データ集合に基づいてリモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を調整して、リモートセンシング装置のプローブ体積空間と、少なくとも1つの他のリモートセンシング装置のプローブ体積空間との一致を維持するステップ;及び
リモートセンシング装置を第2の走査の幾何学的形態構造により動作させて、第2の測定データ集合を取得するステップ;
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0058】
走査の幾何学的形態を収束させる動作は、関心事の位置を追跡して、複数の視線に共通のプローブ体積空間が、関心事の体積空間の位置と一致することを保証するように、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を更新することを可能にすることが有益であり、走査の幾何学的形態をこれら複数の視線に収束させて測定値を取得する。
【0059】
第1の態様の他の特徴は以下に説明するが、これらの特徴は他のあらゆる態様でも見出すことができることは明らかである。
【0060】
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造は、リモートセンシング装置が放射するプローブ信号の特性を定めることができる。
【0061】
走査の幾何学的形態構造は、位置情報を含むことができる。
【0062】
走査の幾何学的形態構造は、測定体積空間内のプローブ体積空間の位置に関する情報を含むことができる。
【0063】
走査の幾何学的形態構造は、測定体積空間内のプローブ体積空間の分布に関する情報を含むことができる。
【0064】
走査の幾何学的形態構造は、プローブ信号が放射される方向または視線に対するプローブ体積空間の向きに関する情報を含むことができる。
【0065】
走査の幾何学的形態構造は、プローブ信号が検出される方向に対するプローブ体積空間の向きに関する情報を含むことができる。
【0066】
プローブ体積空間の向きに関する情報は、アジマス角及び/または仰角の情報を含むことができる。
【0067】
走査の幾何学的形態構造は、タイミング情報を含むことができる。
【0068】
走査の幾何学的形態構造は、プローブが放射された時刻に関する情報を含むことができる。
【0069】
走査の幾何学的形態構造は、プローブが調査中の流体と相互作用した時刻に関する情報を含むことができる。
【0070】
走査の幾何学的形態構造は、プローブが検出された時刻に関する情報を含むことができる。
【0071】
使用中には、リモートセンシング装置を走査の幾何学的形態構造に応じて動作させて、調査中の流体から測定データを取得することができ、これらの測定データから所望の流体特性を決定することができる。
【0072】
走査の幾何学的形態構造は、走査の幾何学的形態のルックアップ・テーブル(早見表)から選択することができる。
【0073】
走査の幾何学的形態構造は、アルゴリズムを用いて計算することができる。
【0074】
走査の幾何学的形態構造は、複数の入力に応じて、あるいは複数の入力を考慮して調整することができる。
【0075】
例えば、走査の幾何学的形態構造は、変化する基準のフレームを考慮して調整することができる。リモートセンシング装置は、意図した測定体積空間に対して位置または向きが変化する場所に設置することができる。走査の幾何学的形態構造は、これらの変化を補償して不変の測定体積空間を維持するように調整することができる。
【0076】
走査の幾何学的形態は、単純な走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0077】
単純な走査の幾何学的形態は、プローブ体積空間の集合体として定義することができ、この集合体内では、当該視線に沿って測定値が取得される視線の方向が単一の自由度でしか変化しないように、測定値が取得される。例えば、これらの視線どうしは、アジマス角のみが異なり、あるいは仰角のみが異なる。
【0078】
走査の幾何学的形態が単純な走査の幾何学的形態を含む好適例では、単純な走査の幾何学的形態が:距離高度指示(RHI);平面図表示(PPI:Position Plan Indicator);速度アジマス表示(VAD:Velocity Azimuth Display);及び円弧形走査のうちの1つを含むことができる。
【0079】
距離高度指示(RHI)は、仰角の異なる視線を伴う。平面図表示(PPI)は、アジマス角の異なる視線を伴う。
【0080】
速度アジマス表示(VAD)及び円弧形走査は、特定目的用のPPIの特殊な場合と考えることができる。VADは、360度のアジマス全体にわたるビームの変化を伴うのに対し、円弧形走査(扇形走査とも称する)は、360度未満にわたるビームアジマスの変化を伴う。その結果、測定体積空間は装置上方の領域に制約されない。比較のために、VAD及び円弧形走査は一般に疎であり、少数のプローブ体積空間を用いて風速及び風向を測定するのに対し、RHI及びPPIの走査は一般に密であり、ずっと多数の視線及びプローブ体積空間を用いて、大きな表面積全体にわたる流体の流れを可視化してマッピングする。
【0081】
走査の幾何学的形態は、複合的な走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0082】
複合的な走査の幾何学的形態は、単純な走査の幾何学的形態よりも制約が少ない。例えば、視線どうしは、アジマス角及び仰角の両方のように2つ以上の自由度で異なることができる。
【0083】
走査の幾何学的形態は、複合型の走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0084】
こうした走査の幾何学的形態から、プローブ体積空間の部分集合を選択することができる。これらの部分集合の各々は、特定目的用に有効な走査の幾何学的形態を構成することもできる。複合型の走査の幾何学的形態は、複数の要素の組合せを含むことができ、これらの要素自体が走査の幾何学的形態である。各要素はプローブ体積空間の一意的な集合を含むことができ、あるいは個別のプローブ体積空間を2つ以上の要素に含めることができる。
【0085】
走査の幾何学的形態は単一のプローブ体積空間を含むことができる。
【0086】
走査の幾何学的形態は複数のプローブ体積空間を含むことができる。
【0087】
リモートセンシング装置を動作させることは、プローブ信号(「放射プローブ信号」)を放射することを含むことができる。
【0088】
放射プローブ信号はレーザー信号を含むことができる。
【0089】
放射プローブ信号は音声信号を含むことができる。
【0090】
放射プローブ信号は音響信号を含むことができる。
【0091】
一部の好適例では、放射プローブ信号が連続信号を含むことができる。例えば、リモートセンシング装置は、放射プローブ信号を連続波または連続ビームの形式で放射するように構成することができる。
【0092】
他の好適例では、放射プローブ信号が不連続信号を含むことができる。例えば、放射プローブ信号は一連のパルスを含むことができる。
【0093】
上記方法は、戻りプローブ信号を検出するステップを含むことができ、戻りプローブ信号は、リモートセンシング装置または他のリモートセンシング装置によって放射されたプローブ信号が変化したものである。
【0094】
上記方法は、取得したデータから1つ以上の出力値を提供するステップを含むことができ、この出力値は調査中の流体の流体特性を示す。この1つ以上の出力値は、関心事の測定値を含むことができ、あるいは関心事の測定値から決定することができる。
【0095】
上記方法は、単純な走査の幾何学的形態要素の各々によって取得したデータから出力値を提供するステップを含むことができ、これらの単純な走査の幾何学的形態要素は複合型の走査の幾何学的形態から抽出することができる。
【0096】
上記流体データは流体速度データを含むことができる。
【0097】
一部の好適例では、上記流体データが風の速度データを含むことができる。
【0098】
一部の好適例では、上記流体データが水流の速度データを含むことができる。
【0099】
上記流体データは流速データを含むことができる。
【0100】
上記流体データは風速データを含むことができる。
【0101】
上記流体データは水流の流速データを含むことができる。
【0102】
上記流体データは流体の方向データを含むことができる。
【0103】
一部の好適例では、上記流体データが風向データを含むことができる。
【0104】
一部の好適例では、上記流体データが水流の方向データを含むことができる。
【0105】
上記流体データは流体乱流データを含むことができる。
【0106】
一部の好適例では、上記流体データが乱気流データを含むことができる。
【0107】
一部の好適例では、上記流体データが水流の乱流データを含むことができる。
【0108】
特定の好適例では、上記方法は、放射プローブ信号の後方散乱、例えば反射した放射プローブ信号の後方散乱を測定することによって上記出力値を決定することができ-空気の場合には-放射プローブ信号は、風によって運ばれる塵埃、水滴、汚染物質、花粉、食塩結晶、等のような自然のエアロゾル(煙霧質)によって反射され-水の場合には-放射プローブ信号は、水柱中の粒子によって反射される。上記放射は後方散乱して検出され、エアロゾル粒子の動きによって与えられるプローブ信号の周波数のドップラーシフト(ドップラー偏移)を分析して、流体運動の特性を推測する。ドップラーシフトは、プローブ信号が指向される視線(LoS)と整列した流速ベクトルの成分、即ち放射方向の速度に比例するので、こうした流速ベクトル成分は、種々の視線に沿った放射方向速度の観測により推測することができる。例えば、計算において用いる各プローブ体積空間に同じ速度ベクトルが見られる場合には、各プローブ体積空間内に見られる速度ベクトル(例えば、風速ベクトルまたは水流の流速ベクトル)は、観測により推測することができ、このことは均一な流れの条件下の場合である。
【0109】
上記流体データは、流体の組成に関するデータを含むことができる。
【0110】
例えば、検出した戻りプローブ信号の強度は、相互作用が発生した位置における粒子の濃度を示すことができる。分極効果も時として観測される。
【0111】
上記出力値は、制御システム及び/または遠隔位置に伝達することができる。
【0112】
上記方法は、エネルギー受信装置の位置、例えばヨー(yaw)角を調整するステップを含むことができる。
【0113】
リモートセンシングにおいて用いられる方法も説明し、この方法は:
リモートセンシングの測定キャンペーン中に、当該リモートセンシングの測定キャンペーンを実現するに当たり用いるリモートセンシング装置の測定形態を調整するステップを含み、
リモートセンシング装置の測定形態の調整は、測定キャンペーン中に事前に取得した測定データに基づいて、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を変更することを含む。
【0114】
の態様によれば、特許請求の範囲による、リモートセンシングにおいて用いられるシステムが提供される。
【0115】
上記システムは、上記出力に基づいて、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置の測定形態を調整するように構成することができる。
【0116】
上記コントローラは、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置によって事前に取得した測定データに基づいて、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を調整するように構成することができる。
【0117】
上記システムは、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置によって事前に取得した測定データに基づいて、リモートセンシング装置の測定形態を調整するように構成することができる。
【0118】
上記システムは、リモートセンシングの測定キャンペーン中に、他のリモートセンシング装置、あるいは他のセンシング装置または測定装置によって事前に取得した測定データに基づいて、リモートセンシング装置の測定形態を調整するように構成することができる。
【0119】
上記システムは、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を書き換えることによって、リモートセンシング装置の測定形態を調整するように構成することができる。
【0120】
上記コントローラは、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を書き換えることによって、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を調整するように構成することができる。
【0121】
他の好適例では、上記システムは、リモートセンシング装置用の走査の幾何学的形態構造を、当該リモートセンシング装置用に事前に定めた複数の幾何学的形態構造から選択することによって、リモートセンシング装置の測定形態を調整するように構成することができる。
【0122】
上記コントローラは、リモートセンシング装置用の走査の幾何学的形態構造を、当該リモートセンシング装置用に事前に定めた複数の幾何学的形態構造から選択することによって、リモートセンシング装置の測定形態を調整するように構成することができる。
【0123】
上記システムはリモートセンシング装置を具えることができる。
【0124】
このリモートセンシング装置は、ライダー・センシング装置を具えることができる。ライダー・センシング装置は、広い面積にわたる複雑な流体の流れの測定を可能にすることが有益である。RSDの一例はライダー(光による検知と測距)装置であり、レーザー信号の形式でプローブを放射するように動作可能である。使用中には、ライダー・プローブが大気中で後方散乱し得る。レーザー信号をライダー装置によって検出すると、後方散乱により生じるライダー・プローブの変化が測定される。プローブ体積空間(この場合、相互作用及び後方散乱が発生する大気中の体積空間)の特性は、プローブが変化した様子から測定することができる。例えば、レーザー放射の周波数は、後方散乱を生じさせた物質が大気中でライダー装置の位置に対して運ばれる動きによってドップラーシフトされ得る。従って、ドップラーシフトを測定することによって、この動きを推測することができる。
【0125】
他の好適例では、リモートセンシング装置がソーダー・センシング装置を具えることができる。RSDの他の例はソーダー(Sodar:sonic detection and ranging:音波による検知と測距)装置であり、音響信号の形式でプローブを放射するように動作可能である。使用中には、ソーダー・プローブは空気中の温度不均一性によって反射され得る。音響信号が反射により相互作用する大気の特徴物質は、流体、この場合は風の動きによって運ばれる。
【0126】
他の好適例では、リモートセンシング装置が音響ドップラー流向流速計(ADCP:Acoustic Doppler Current Profiler)を具えることができる。RSDの他の例は音響ドップラー流向流速計(ADCP)であり、その名の通り、一般に水中用途で水流の特性を測定するために用いられる。使用中には、ADCP装置は音響プローブを放射し、この音響プローブは流れと相互作用することによって変化し、この相互作用は、例えば、反射した音響信号の周波数にドップラーシフトを与え、このドップラーシフトは、プローブ信号が放射されて反射した方向に沿った流速ベクトルの成分に比例する。従って、周囲の流速ベクトルは、当該方向に沿ってこうした相互作用が観測された複数の方向に検出される流速ベクトルの成分を見ることによって推測することができる。
【0127】
上記システムは1つ以上のエネルギー受信装置を具えることができる。リモートセンシング装置は、1つ以上のエネルギー受信装置に動作的に関連することができる。
【0128】
上記エネルギー受信装置は風力エネルギー受信装置を具えることができる。例えば、上記エネルギー受信装置は風力タービンを具えることができる。
【0129】
上記エネルギー受信装置は潮汐エネルギー受信装置を具えることができる。例えば、上記エネルギー受信装置は潮汐タービンを具えることができる。
【0130】
リモートセンシング装置はエネルギー受信装置上に配置することができる。その代わりに、あるいはそれに加えて、リモートセンシング装置は遠隔位置に配置することができる。リモートセンシング装置は地表面上に配置することができる。リモートセンシング装置は、プラットフォーム上、例えば沖合のプラットフォーム上等に配置することができる。リモートセンシング装置は他のエネルギー受信装置上に配置することができる。
【0131】
リモートセンシング装置は、環境条件に関するデータを取得するように構成することができる。
【0132】
リモートセンシング装置は、大気条件に関するデータを取得するように構成することができる。
【0133】
特定の好適例では、リモートセンシング装置は風況に関するデータを取得するように構成することができる。
【0134】
他の好適例では、リモートセンシング装置は潮汐条件に関するデータを取得するように構成することができる。
【0135】
リモートセンシング装置はプローブ信号(「放射プローブ信号」)を放射するように構成することができる。
【0136】
放射プローブ信号はレーザー信号を含むことができる。
【0137】
放射プローブ信号は音声信号を含むことができる。
【0138】
放射プローブ信号は音響信号を含むことができる。
【0139】
一部の好適例では、放射プローブ信号が連続信号を含むことができる。例えば、リモートセンシング装置は、放射プローブ信号を連続波または連続ビームの形式で放射するように構成することができる。
【0140】
放射プローブ信号の性質の変化(例えばレーザー信号、音波信号、等)に加えて、放射プローブ信号は多数の異なる形態をとることもできる。例えば、いくつかの例では、RSDがプローブを連続信号または連続ビームの形式で放射し、この形式は連続放射または連続波(CW:Continuous Wave)として知られている。使用中には、連続放射またはCW装置は、一般に、当該装置の感度に距離に応じた変化を与えて、測定値を取得する特定範囲を選択して、RSDからプローブ体積空間までの距離の必要な区別を行い、このプローブ体積空間で調査中の流体との相互作用が発生する。他の例では、RSDはプローブを一連のパルス、例えば一連のレーザーパルスまたは一連の音波パルスの形式で放射する。使用中には、プローブ体積空間までの距離を、放射の瞬時から相互作用が発生した瞬時を経てRSDによる検出の瞬時までの飛行時間(ToF:time of flight)を観測することによって測定する。
【0141】
他の好適例では、放射プローブ信号が不連続信号を含むことができる。例えば、放射プローブ信号は一連のパルスを含むことができる。
【0142】
リモートセンシング装置は、当該リモートセンシング装置の感度に距離に応じた変化を与えて、放射プローブ信号用の特定の距離範囲を選択することができる。
【0143】
リモートセンシング装置は、当該リモートセンシング装置または他のリモートセンシング装置によって放射されて変化したプローブ信号(「戻りプローブ信号」)を検出するように構成することができる。
【0144】
上記システムは制御システムを具えることができる。
【0145】
この制御システムは、エネルギー受信装置の位置、例えばヨー角を調整するように構成することができる。
【0146】
上記システムは通信装置を具えることができる。
【0147】
この通信装置は、あらゆる適切な形態及び構成のものとすることができる。
【0148】
この通信装置は、上記出力値を上記制御システムへ送信するように構成することができる。
【0149】
それに加えて、あるいはその代わりに、この通信装置は上記出力値を遠隔位置へ送信するように構成することができる。
【0150】
リモートセンシングにおいて用いられる方法も説明し、この方法は:
リモートセンシング装置が第1時間間隔において第1の走査の幾何学的形態構造で取得した測定データを受信するステップであって、第1の走査の幾何学的形態構造は複数の走査の幾何学的形態を含むステップと;
受信した測定データから、複数の走査の幾何学的形態のうちの1つを決定するステップであって、決定した走査の幾何学的形態は、第1時間間隔における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示すステップと;
第1時間間隔における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態による関心事の測定値を示す出力を提供するステップと
を含む。
【0151】
上記方法は、リモートセンシングの測定キャンペーンを実現するに当たり用いられるリモートセンシング装置の動作を改善する方法を含むことができる。
【0152】
上記方法は、リモートセンシングの測定キャンペーンを実現する方法を含むことができる。
【0153】
上記方法は、取得したデータ全体にわたる複数のパス(処理過程)を含むことができ、第1のパスは、複合型の走査の幾何学的形態の所定の反復回における最適な走査の幾何学的形態の選択に関連する一般的条件を決定するためのパスであり、第2のパスは、取得したデータから関心事の測定値を導出するためのパスである。
【0154】
第1の走査の幾何学的形態構造における複数の走査の幾何学的形態は、複数の区別される有効な個別の走査の幾何学的形態を含むことができ、これら複数の走査の幾何学的形態がまとまって複合型の走査の幾何学的形態を形成する。
【0155】
上記方法は:
リモートセンシング装置を用意して、このリモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造に設定するステップ;
第1時間間隔において、リモートセンシング装置を第1の走査の幾何学的形態構造で動作させて、走査の幾何学的形態毎の第1の測定データ集合を取得するステップ;
取得したデータ集合から、選択した最適な走査の幾何学的形態による、第1時間間隔における関心事の測定値を決定するステップ;
第2時間間隔において、リモートセンシング装置を動作させて、走査の幾何学的形態毎の第2の測定データ集合を取得するステップ;
取得した測定データ集合から、上記複数の走査の幾何学的形態のうちの1つを決定するステップであって、決定した走査の幾何学的形態は、第2時間間隔における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示すステップ;
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0156】
上記方法は、取得した第2の測定データ集合の全体にわたる複数のパスを含むことができ、第1のパスは、改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態の選択に関連する一般的条件を決定するパスであり、第2のパスは、取得した第2の測定データ集合から関心事の測定値を導出するパスである。
【0157】
上記方法は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を受動的に調整することによって、最適な、あるいは少なくとも改善されたリモートセンシングの測定キャンペーンを、変化する条件下で実現することを可能にすることが有益であり、この調整は、複数の時間ステップにわたって取得したデータの処理中に、上記第1の走査の幾何学的形態を含む利用可能な複数の走査の幾何学的形態から最適な走査の幾何学的形態を選択することによって行い、このことは、一般に特定のリモートセンシング装置のデフォルト設定である単一の走査の幾何学的形態構造しか提供しない、あるいは、測定キャンペーンを開始する前に設定され、この測定キャンペーンの最初の目的に基づく1つの幾何学的形態構造しか提供しない従来のRSDとは対照的であり、このため、従来のRSDは、測定キャンペーン中の風況の変化を参照して最適な走査の幾何学的形態を選択することができない。
【0158】
上記方法は、第1時間間隔において、リモートセンシング装置を第1の幾何学的形態構造で動作させて、走査の幾何学的形態毎の第1の測定データ集合を取得するステップを含むことができる。
【0159】
上記方法は、取得したデータ集合から、選択した走査の幾何学的形態による、第1時間間隔における関心事の測定値を決定するステップを含むことができる。
【0160】
上記方法は、第2時間間隔において、リモートセンシング装置を動作させて、複数の走査の幾何学的形態毎の第2の測定データ集合を取得するステップを含むことができる。
【0161】
上記方法は、取得した測定データ集合から、複数の走査の幾何学的形態のうちの1つを決定するステップを含むことができ、決定した走査の幾何学的形態は、第2時間間隔における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示す。
【0162】
上記方法は、取得したデータ集合から、選択した走査の幾何学的形態による、第2時間間隔における関心事の測定値を決定するステップを含むことができる。
【0163】
このプロセスは、後続する一連の時間ステップの全部にわたって反復することができる。
【0164】
第1の走査の幾何学的形態構造は、複合型の走査の幾何学的形態を含むことができる。特定の好適例では、第1の走査の幾何学的形態構造が固定の複合型の走査の幾何学的形態を含む。
【0165】
第1の走査の幾何学的形態構造は、複数のプローブ体積空間を含むことができる。従って、プローブ体積空間の異なる組合せが、第1の走査の幾何学的形態を含む複数の走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0166】
上記の改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態は、単一のプローブ体積空間を含むことができる。しかし、特定の好適例では、上記の改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態が複数のプローブ体積空間を含む。
【0167】
一旦、キャンペーン中の所定時刻における測定の環境が定まると、後続するデータ分析中に、プローブ体積空間の適切な部分集合を、任意の所定時刻における最適な走査の幾何学的形態として、複合型の走査の幾何学的形態において利用可能なプローブ体積空間から選択する。
【0168】
上記のプローブ体積空間の部分集合は、任意の所定時刻において上記の一般的条件(例えば、一般的な風況または一般的な水の状態)を参照して実現した複合型の走査の幾何学的形態に含まれる走査の幾何学的形態要素のルックアップ・テーブルから選択することができる。
【0169】
上記のプローブ体積空間の部分集合は、観測した状態(例えば、観測した風況または観測した水の状態)に関係するアルゴリズムを用いて、これらの環境下で最適な部分集合に寄与するプローブ体積空間の選択に合わせて決定することができる。
【0170】
以上に概説したように、上記方法は、取得したデータ全体にわたる複数のパスを含むことができる。
【0171】
第1のパスは、複合型の走査の幾何学的形態の所定の反復回における、複合型の走査の幾何学的形態からの最適な走査の幾何学的形態の選択に関連する一般的条件を決定することができる。
【0172】
第2のパスは、最適であるものと識別されたプローブ体積空間の部分集合を含む、選択した走査の幾何学的形態を用いて、取得したデータから関心事の測定値を導出することができる。
【0173】
第1の走査の幾何学的形態構造は、速度アジマス表示走査(VAD走査)の動作を含むことができる。
【0174】
第1の走査の幾何学的形態構造が速度アジマス表示走査(VAD走査)の動作を含むことができ、この動作では、プローブ体積空間の数が、VAD走査を実現するために最小限必要な数よりも大きい。
【0175】
従って、VAD走査は複数の円弧形走査要素を含むことができる。こうして、VAD走査は過剰に決定されたVADを規定することができる。これに対し、従来のVAD走査を用いる際には、風速を測定するために最小数のビーム方向を必要とし、複数の円弧形要素を実現することによって、より多数の視線に沿ってデータを取得することができ、これら複数の円弧形要素から、最適な円弧形走査要素または要素の部分集合、従って最適な走査の幾何学的形態構造を決定することができる。
【0176】
個別の円弧形走査を最適と考える理由は、次のものを含むがそれらに限定されない。風上方向の風況の測定値しか必要としない。装置に対するこの方向は、風向が変化するに連れて変化する。風力タービンはその風下への流れを遮る。このことは摂動を生じさせ、この摂動は、視線データから風のパラメータを推測することの基になる仮定に反し得る。任意の所定時刻において、利用可能な円弧形走査要素から個別の円弧形走査を選択し、これにより、この要素は上記の遮りにより生じる流れの摂動による影響を受けない。任意の所定時刻に、風上の円弧形走査要素が選択用に利用可能である。こうした円弧形走査要素は、視線データから風のパラメータを推測することの仮定に反する摂動による影響を受けない。
【0177】
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造は走査の幾何学的形態情報を含むことができ、走査の幾何学的形態情報は:
位置情報;
測定体積空間内のプローブ体積空間の位置に関する情報;
測定体積空間内のプローブ体積空間の分布に関する情報;
プローブ信号が放射される方向または視線に対するプローブ体積空間の向きに関する情報;
プローブ信号が検出される方向に対するプローブ体積空間の向きに関する情報;
プローブ信号が検出される方向に対するプローブ体積空間のアジマス角に関する情報;
プローブ体積空間の仰角に関する情報;
のうちの少なくとも1つを含む。
【0178】
走査の幾何学的形態構造は走査の幾何学的形態情報を含むことができ、走査の幾何学的形態情報は:
タイミング情報;
プローブが放射される時刻に関する情報;
プローブが調査中の流体と相互作用する時刻に関する情報;
プローブが検出された時刻に関する情報;
のうちの少なくとも1つを含む。
【0179】
他の特徴以下に説明する。
【0180】
リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造が、リモートセンシング装置が放射するプローブ信号の特性を決める。
【0181】
走査の幾何学的形態構造は位置情報を含むことができる。
【0182】
走査の幾何学的形態構造は、測定体積空間内のプローブ体積空間の位置に関する情報を含むことができる。
【0183】
走査の幾何学的形態構造は、測定体積空間内のプローブ体積空間の分布に関する情報を含むことができる。
【0184】
走査の幾何学的形態構造は、プローブ信号が放射される方向または視線に対するプローブ体積空間の向きに関する情報を含むことができる。
【0185】
走査の幾何学的形態構造は、プローブ信号を検出した方向に対するプローブ体積空間の向きに関する情報を含むことができる。
【0186】
プローブ体積空間の向きに関する情報は、アジマス角及び/または仰角情報を含むことができる。
【0187】
走査の幾何学的形態構造はタイミング情報を含むことができる。
【0188】
走査の幾何学的形態構造は、プローブを放射した時刻に関する情報を含むことができる。
【0189】
走査の幾何学的形態構造は、プローブが調査中の流体と相互作用した時刻に関する情報を含むことができる。
【0190】
走査の幾何学的形態構造は、プローブを検出した時刻に関する情報を含むことができる。
【0191】
使用中には、リモートセンシング装置は走査の幾何学的形態構造により動作して、調査中の流体から測定データを取得することができ、これらの測定データから流体の特性を測定することができる。
【0192】
走査の幾何学的形態構造は、走査の幾何学的形態のルックアップ・テーブルから選択することができる。
【0193】
走査の幾何学的形態構造はアルゴリズムを用いて計算することができる。
【0194】
走査の幾何学的形態構造は、複数の入力に応じて、あるいは複数の入力を考慮して調整することができる。
【0195】
例えば、走査の幾何学的形態構造は、変化する基準のフレームを考慮して調整することができる。リモートセンシング装置は、意図した測定体積空間に対して位置または向きが変化する場所に設置することができる。走査の幾何学的形態構造は、これらの変化を補償して不変の測定体積空間を維持するように調整することができる。
【0196】
走査の幾何学的形態は、単純な走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0197】
単純な走査の幾何学的形態は、プローブ体積空間の集合体として定義することができ、この集合体内では、当該視線に沿って測定値が取得される視線の方向が単一の自由度でしか変化しないように測定値が取得される。例えば、これらの視線どうしは、アジマス角のみが異なり、あるいは仰角のみが異なる。
【0198】
走査の幾何学的形態が単純な走査の幾何学的形態を含む場合、単純な走査の幾何学的形態は:距離高度指示(RHI);平面図表示(PPI);速度アジマス表示(VAD);及び円弧形走査のうちの1つを含むことができる。
【0199】
距離高度指示(RHI)は、仰角の異なる視線を伴う。平面図表示(PPI)は、アジマス角の異なる視線を伴う。
【0200】
速度アジマス表示(VAD)及び円弧形走査は、特定目的用のPPIの特殊な場合と考えることができる。VADは、360度のアジマス全体にわたるビームの変化を伴うのに対し、円弧形走査(扇形走査とも称する)は、360度未満にわたるビームアジマスの変化を伴う。その結果、円弧形走査に関連する測定体積空間は装置上方の領域に制約されない。比較のために、VAD及び円弧形走査は一般に粗であり、少数のプローブ体積空間を用いて風速及び風向を測定するのに対し、RHI及びPPIの走査は一般に密であり、ずっと多数の視線及びプローブ体積空間を用いて、大きな表面積全体にわたる流体の流れを可視化してマッピングする。
【0201】
走査の幾何学的形態は、複合的な走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0202】
複合的な走査の幾何学的形態は、単純な走査の幾何学的形態よりも制約が少ない。例えば、視線どうしは、アジマス角及び仰角の両方のように2つ以上の自由度で異なることができる。
【0203】
走査の幾何学的形態は、複合型の走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0204】
こうした走査の幾何学的形態から、プローブ体積空間の部分集合を選択することができる。これらの部分集合の各々は、特定目的用に有効な走査の幾何学的形態を構成することもできる。複合型の走査の幾何学的形態は、複数の要素の組合せを含むことができ、これらの要素自体が走査の幾何学的形態である。各要素はプローブ体積空間の一意的な集合を含むことができ、あるいは個別のプローブ体積空間を2つ以上の要素に含めることができる。
【0205】
走査の幾何学的形態は単一のプローブ体積空間を含むことができる。
【0206】
走査の幾何学的形態は複数のプローブ体積空間を含むことができる。
【0207】
リモートセンシング装置を動作させることは、プローブ信号(「放射プローブ信号」)を放射することを含むことができる。
【0208】
放射プローブ信号はレーザー信号を含むことができる。
【0209】
放射プローブ信号は音声信号を含むことができる。
【0210】
放射プローブ信号は音響信号を含むことができる。
【0211】
放射プローブ信号連続信号を含むことができる。例えば、リモートセンシング装置は、放射プローブ信号を連続波または連続ビームの形式で放射するように構成することができる。
【0212】
放射プローブ信号不連続信号を含むことができる。例えば、放射プローブ信号は一連のパルスを含むことができる。
【0213】
上記方法は、戻りプローブ信号を検出するステップを含むことができ、戻りプローブ信号は、上記リモートセンシング装置または他のリモートセンシング装置によって放射されたプローブ信号が変化したものである。
【0214】
上記方法は、取得したデータから1つ以上の出力値を提供するステップを含むことができ、この出力値は調査中の流体の流体特性を示す。この1つ以上の出力値は、関心事の測定値を含むことができ、あるいは関心事の測定値から決定することができる。
【0215】
上記方法は、単純な走査の幾何学的形態要素の各々によって取得したデータから出力値を提供するステップを含むことができ、これらの単純な走査の幾何学的形態要素は、複合型の走査の幾何学的形態から抽出することができる。
【0216】
上記流体データは流体速度データを含むことができる。
【0217】
上記流体データ風の速度データを含むことができる。
【0218】
上記流体データ水流の速度データを含むことができる。
【0219】
上記流体データは流速データを含むことができる。
【0220】
上記流体データは風速データを含むことができる。
【0221】
上記流体データは水流の流速データを含むことができる。
【0222】
上記流体データは流体の方向データを含むことができる。
【0223】
上記流体データ風向データを含むことができる。
【0224】
上記流体データ水流の方向データを含むことができる。
【0225】
上記流体データは流体乱流データを含むことができる。
【0226】
上記流体データ乱気流データを含むことができる。
【0227】
上記流体データ水流の乱流データを含むことができる。
【0228】
上記方法は、放射プローブ信号の後方散乱、例えば反射した放射プローブ信号の後方散乱を測定することによって上記出力値を決定することができ-空気の場合には-放射プローブ信号は、風によって運ばれる自然のエアロゾル、例えば塵埃、水滴、汚染物質、花粉、食塩結晶、等によって反射され-水の場合には-放射プローブ信号は、水柱中の粒子によって反射される。上記放射は後方散乱して検出され、エアロゾル粒子の動きによって与えられるプローブ信号の周波数のドップラーシフトを分析して、流体運動の特性を推測する。ドップラーシフトは、プローブ信号が指向される視線(LoS)と整列した流速ベクトルの成分、即ち放射方向の速度に比例するので、こうした流速ベクトル成分は、種々の視線に沿った放射方向速度の観測により推測することができる。例えば、計算において用いる各プローブ体積空間に同じ速度ベクトルが見られる場合には、各プローブ体積空間内に見られる速度ベクトル(例えば、風速ベクトルまたは水流の流速ベクトル)は、観測により推測することができ、このことは均一な流れの条件下の場合である。
【0229】
上記流体データは、流体の組成に関するデータを含むことができる。
【0230】
例えば、検出した戻りプローブ信号の強度は、相互作用が発生した位置における粒子の濃度を示すことができる。分極効果も時として観測される。
【0231】
上記出力値は、制御システム及び/または遠隔位置に伝達することができる。
【0232】
上記方法は、エネルギー受信装置の位置、例えばヨー角を調整するステップを含むことができる。
【0233】
リモートセンシングにおいて用いられるシステムも説明し、このシステムは:
第1時間間隔においてリモートセンシング装置によって第1の走査の幾何学的形態構造で取得した測定データ集合から、複数の走査の幾何学的形態のうちの1つを決定するように構成されたコントローラを具え、決定した走査の幾何学的形態は、第1時間間隔における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示す。
【0234】
このシステムは、リモートセンシングの測定キャンペーンを実現するように動作可能なリモートセンシング装置を具えることができる。
【0235】
第1の走査の幾何学的形態構造における複数の走査の幾何学的形態は、区別される有効な個別の走査の幾何学的形態を含むことができる。
【0236】
リモートセンシング装置は、第1時間間隔において第1の走査の幾何学的形態構造で動作して、走査の幾何学的形態毎の第1のデータ集合を取得するように動作可能である。
【0237】
上記コントローラは、取得したデータ集合から、選択した走査の幾何学的形態による、第1時間間隔における関心事の測定値を決定するように構成することができる。
【0238】
リモートセンシング装置は、第2時間間隔における複数の走査の幾何学的形態毎の第2の測定データ集合を取得するように動作可能にすることができる。
【0239】
上記コントローラは、第2時間間隔において取得したデータ集合から、複数の走査の幾何学的形態のうちの1つを決定するように構成することができ、決定した走査の幾何学的形態は、改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示す。
【0240】
リモートセンシング装置は、ライダー・センシング装置を具えることができる。ライダーセンシング装置は、広い面積にわたる複雑な流体の流れの測定を可能にすることが有益である。RSDの一例はライダー(光による検知と測距)装置であり、レーザー信号の形式のプローブを放射するように動作可能である。使用中には、ライダー・プローブは大気中で後方散乱し得る。レーザー信号をライダー装置によって検出すると、後方散乱により生じるライダー・プローブの変化が測定される。プローブ体積空間(この場合、相互作用及び後方散乱が発生する大気中の体積空間)の特性は、プローブが変化した様子から測定することができる。例えば、レーザー放射の周波数は、後方散乱を生じさせた物質が大気中でライダー装置の位置に対して運ばれる動きによってドップラーシフトされ得る。従って、ドップラーシフトを測定することによって、この動きを推測することができる。
【0241】
リモートセンシング装置ソーダー・センシング装置を具えることができる。RSDの他の例はソーダー(音波による検知と測距)装置であり、音響信号の形式でプローブを放射するように動作可能である。使用中には、ソーダー・プローブは空気中の温度不均一性によって反射され得る。音響信号が反射により相互作用する大気の特徴物質は、流体、この場合は風の動きによって運ばれる。
【0242】
リモートセンシング装置音響ドップラー流向流速計(ADCP)を具えることができる。RSDの他の例は音響ドップラー流向流速計(ADCP)であり、その名の通り、一般に水中用途で水流の特性を測定するために用いられる。使用中には、ADCP装置は音響プローブを放射し、この音響プローブは流れと相互作用することによって変化し、この相互作用は、例えば、反射した音響信号の周波数にドップラーシフトを与え、このドップラーシフトは、プローブ信号が放射されて反射した方向に沿った流速ベクトルの成分に比例する。従って、周囲の流速ベクトルは、当該方向に沿ってこうした相互作用の複数の事例が観測された複数の方向に検出される流速ベクトルの成分を見ることによって推測することができる。
【0243】
上記システムは1つ以上のエネルギー受信装置を具えることができる。リモートセンシング装置は、1つ以上のエネルギー受信装置に動作的に関連することができる。
【0244】
上記エネルギー受信装置は風力エネルギー受信装置を具えることができる。例えば、上記エネルギー受信装置は風力タービンを具えることができる。
【0245】
上記エネルギー受信装置は潮汐エネルギー受信装置を具えることができる。例えば、上記エネルギー受信装置は潮汐タービンを具えることができる。
【0246】
リモートセンシング装置はエネルギー受信装置上に配置することができる。その代わりに、あるいはそれに加えて、リモートセンシング装置は遠隔位置に配置することができる。リモートセンシング装置は地表面上に配置することができる。リモートセンシング装置は、プラットフォーム上、例えば沖合のプラットフォーム上等に配置することができる。リモートセンシング装置は他のエネルギー受信装置上に配置することができる。
【0247】
リモートセンシング装置は、環境条件に関するデータを取得するように構成することができる。
【0248】
リモートセンシング装置は、大気条件に関するデータを取得するように構成することができる。
【0249】
リモートセンシング装置は風況に関するデータを取得するように構成することができる。
【0250】
リモートセンシング装置は潮汐条件に関するデータを取得するように構成することができる。
【0251】
リモートセンシング装置はプローブ信号(「放射プローブ信号」)を放射するように構成することができる。
【0252】
放射プローブ信号はレーザー信号を含むことができる。
【0253】
放射プローブ信号は音声信号を含むことができる。
【0254】
放射プローブ信号は音響信号を含むことができる。
【0255】
放射プローブ信号連続信号を含むことができる。例えば、リモートセンシング装置は、放射プローブ信号を連続波または連続ビームの形式で放射するように構成することができる。
【0256】
放射プローブ信号(例えばレーザー信号、音波信号、等)の性質の変化に加えて、放射プローブ信号は多数の異なる形態をとることもできる。例えば、いくつかの例では、RSDがプローブを連続信号または連続ビームの形式で放射し、この形式は連続放射または連続波(CW)として知られている。使用中には、連続放射またはCW装置は、一般に、当該装置の感度に距離に応じた変化を与えて、測定値を取得する特定範囲を選択して、RSDからプローブ体積空間までの距離の必要な区別を行い、このプローブ体積空間で調査中の流体との相互作用が発生する。他の例では、RSDはプローブを一連のパルス、例えば一連のレーザーパルスまたは一連の音波パルスの形式で放射する。使用中には、プローブ体積空間までの距離を、放射の瞬時から相互作用が発生した瞬時を経てRSDによる検出の瞬時までの飛行時間(ToF)を観測することによって測定する。
【0257】
放射プローブ信号不連続信号を含むことができる。例えば、放射プローブ信号は一連のパルスを含むことができる。
【0258】
リモートセンシング装置は、当該リモートセンシング装置の感度に距離に応じた変化を与えて、放射プローブ信号用の特定の距離範囲を選択することができる。
【0259】
リモートセンシング装置は、当該リモートセンシング装置または他のリモートセンシング装置によって放射されて変化したプローブ信号(「戻りプローブ信号」)を検出するように構成することができる。
【0260】
上記システムは制御システムを具えることができる。
【0261】
この制御システムは、エネルギー受信装置の位置、例えばヨー角を調整するように構成することができる。
【0262】
上記システムは通信装置を具えることができる。
【0263】
この通信装置は、あらゆる適切な形態及び構成のものとすることができる。
【0264】
この通信装置は、上記出力値を上記制御システムへ送信するように構成することができる。
【0265】
それに加えて、あるいはその代わりに、この通信装置は上記出力値を遠隔位置へ送信するように構成することができる。
【0266】
他の態様によれば、前記の態様のうちの1つ以上を実現するように構成された処理システムが提供される。
【0267】
この処理システムは、少なくとも1つのプロセッサを具えることができる。この処理システムは、少なくとも1つのデータ記憶装置またはメモリを具えることができ、あるいは少なくとも1つのデータ記憶装置またはメモリにアクセスするように構成することができる。このデータ記憶装置またはメモリは、上記少なくとも1つのプロセッサの動作を記述した動作命令またはプログラムを含むことができ、あるいはこうした動作命令またはプログラムを受信するように構成することができる。上記少なくとも1つのプロセッサは、こうした動作命令またはプログラムを処理及び実行するように構成することができる。
【0268】
上記少なくとも1つのデータ記憶装置は、リーダー(読取り装置)、ドライブ(駆動装置)またはアクセスされるように構成された他の手段、光記憶装置、あるいはCD(compact disc:コンパクトディスク)またはDVD(digital versatile disc:デジタル多用途ディスク)のようなディスク、フラッシュドライブ、SD(secure digital:セキュアデジタル)デバイス、DRAMのような1つ以上のメモリチップ、ネットワーク・アタッチト・ドライブ(NAD:network attached drive)、クラウド記憶装置、テープまたは磁気ディスクまたはハードドライブのような磁気記憶装置、等を含むことができ、及び/またはこれらを含む。
【0269】
上記処理システムは、ネットワークまたはインタフェース・モジュールを具えることができる。このネットワークまたはインタフェース・モジュールは、ネットワーク接続部またはデータキャリアに接続することができ、あるいは接続可能であり、このネットワーク接続部またはデータキャリアは、有線または無線のネットワーク接続部またはデータキャリア、例えばデータケーブル、電力線データキャリア、Wi-Fi(ワイファイ)、ブルートゥース(登録商標)、ジグビー(Zigbee:登録商標)、インターネット接続部または他の同様な接続部を含むことができる。こうしたネットワーク・インタフェースは、ルーター、モデム、ゲートウェイ、等を具えることができる。上記のシステムまたは処理システムは、音声信号を、ネットワークまたはインタフェース・モジュール経由で、例えばインターネット、イントラネット、ネットワークまたはクラウド上で送信するか、さもなければ提供することができる。
【0270】
上記処理システムは、1つの処理装置または複数の処理装置を具えることができる。各処理装置は、少なくともプロセッサを具えることができ、任意で、メモリまたはデータ記憶装置、及び/または、ネットワークまたはインタフェース・モジュールを具えることができる。上記複数の処理装置は、分散型、あるいはサーバー/クライアント・ベースの処理システムを形成すること、具えること、あるいはこうした処理システムで構成することができる。
【0271】
他の態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、このコンピュータプログラム製品は、適切な処理システムによって処理されると、この処理システムを前記の態様のうちの1つ以上を実現するように設定するように構成されている。
【0272】
上記コンピュータプログラムは、キャリア媒体上で提供することができ、あるいはキャリア媒体内に含めることができる。このキャリア媒体は、一時的にも非一時的にもすることができる。このキャリア媒体は、接触型にも非接触型にもすることができる。このキャリア媒体は、電磁信号または電気信号のような信号を含むことができる。このキャリア媒体は、ディスク、メモリカード、メモリ、等のような物理的媒体を含むことができる。
【0273】
他の態様によれば、キャリア媒体が提供され、このキャリア媒体は信号を含み、この信号は、適切な処理システムによって処理されると、前記態様のうちの1つ以上をこの処理システムに実現させる。
【0274】
一部の好適例は、コンピュータ可読な命令を有するコンピュータプログラムを用いて特定機能を実現することができ、これらの命令を実行して当該好適例の方法を実行可能であることは、通常の当業者にとって明らかである。このコンピュータプログラムの機能は、ハードウェアで(例えば、CPUを用いて、あるいは1つ以上のASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)によって)実現することができ、あるいはハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現することができる。
【0275】
ここでは特定点数の装置を説明してきたが、これらの複数点数の装置のうちの1つ以上は、単一の装置、処理リソース、または他の構成要素によって提供することができ、あるいは、単一の装置によって提供される機能を、2つ以上の装置または他の構成要素を組み合わせて提供することができる。例えば、上記処理システムの1つ以上の機能を、パーソナルコンピュータ等のような単一の処理装置によって実行することができ、あるいは、各機能のうちの1つ以上を複数の処理装置による分散型の様式で実行することができる。
【0276】
以上に規定した特徴、あるいはあらゆる特定の実施形態に関して以下に説明する特徴のいずれも、単独でも規定した他のあらゆるものとの組合せでも利用することができることは明らかである。
【0277】
以下、本発明のこれら及び他の態様を、ほんの一例として、添付する次の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0278】
図1】本発明の一実施形態による方法を表すフローチャートである。
図2】本発明による方法を実現するためのリモートセンシングシステムを示す図である。
図3図2に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第1の走査の幾何学的形態構造による。
図4図1に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第2の走査の幾何学的形態構造による。
図5】本発明による方法を実現するための他のリモートセンシングシステムを示す図である。
図6図5に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第1の走査の幾何学的形態構造による。
図7図5に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第2の走査の幾何学的形態構造による。
図8】本発明による方法を実現するための他のリモートセンシングシステムを示す図である。
図9図8に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第1の走査の幾何学的形態構造による。
図10図8に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第2の走査の幾何学的形態構造による。
図11】本発明の他の実施形態による方法を表すフローチャートである。
図12図11の方法を実現するためのリモートセンシングシステムを示す図である。
図13図12に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第1の走査の幾何学的形態構造による。
図14図12に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第2の走査の幾何学的形態構造による。
図15図11の方法を実現するための他のリモートセンシングシステムを示す図である。
図16図15に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第1の走査の幾何学的形態構造による。
図17図15に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第2の走査の幾何学的形態構造による。
図18図11の方法を実現するための他のリモートセンシングシステムを示す図である。
図19図18に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第1の走査の幾何学的形態構造による。
図20図18に示すリモートセンシングシステムの平面図であり、第2の走査の幾何学的形態構造による。
図21図1の方法、図2~4のシステム、図5~7のシステム、図8~10のシステム、図11の方法、図12~14のシステム、図15~17のシステム、または図18~20のシステムにおいて用いられる好適なリモートセンシング装置の概略図である。
図22】流速の測定を説明する座標系を示す図である。
図23】異なる走査の幾何学的形態の例を示す図である。
図24】収束型の走査の幾何学的形態を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0279】
図面の詳細な説明
添付した図面のうち図1をまず参照すれば、本発明の一実施形態による方法を表すフローチャートが示されている。
【0280】
図1に示すように、この方法の第1ステップは、第1の走査の幾何学的形態構造を実現して第1の測定データ集合を取得することを含む。次に、第1の測定データ集合を処理して、改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態構造を決定する。次に、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を変更することによって、リモートセンシング装置の測定形態を適応させる。次に、この情報をフィードバックして、リモートセンシング装置は変更された走査の幾何学的形態構造で動作する。
【0281】
本発明の実施形態は、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置の測定形態を能動的に調整することによって、最適な、あるいは少なくとも改善されたリモートセンシングの測定キャンペーンを、変化する条件下で実現することを可能にすることが有益である。このことは、測定キャンペーン中に、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を、同じ測定キャンペーン中に事前に取得した測定データに基づいて適応させることによって行うことができ、測定キャンペーン中に単一の走査の幾何学的形態構造しか提供しない従来のRSDとは対照的であり、この単一の走査の幾何学的形態構造は、一般に、特定のリモートセンシング装置のデフォルト設定であり、あるいは測定キャンペーンの最初の目的に基づくものであり、測定キャンペーンを開始する前に作成した一般的条件の映し出しである。本発明の実施形態は、測定キャンペーン中に、リモートセンシング装置の設定、特にその走査の幾何学的形態の構造を、測定値を取得する環境及び条件に合うように適応させることができ、こうした環境及び条件は時間と共に大幅に、かつ反復的に変動し得る。これにより、本発明の好適例は、さもなければ従来のシステム及び技術において生じ得る不正確さを軽減または解消し、こうした不正確さは、得られた測定値が目的に適合しないか、あるいは所定の測定キャンペーンの一部分にしか関連しない期間より生じる測定バイアスに起因し、こうした期間は大幅であることが多い。
【0282】
ここで添付した図面のうち図2を参照すれば、図1に示す方法を実現するためのシステム10が示されている。
【0283】
図2に示すように、図示する実施形態では、システム10が風力タービン12を含む風力タービンシステムを具え、風力タービン12は、タワー14、ナセル16、及びハブ18を有し、ハブ18は放射状に広がる複数のブレード20を有する。ハブ18は駆動シャフト(図示せず)を介して発電機22に動作的に結合されている。使用中には、ブレード20に当たる風Wの運動エネルギーがハブ18を駆動してナセル16に対して回転させ、この運動エネルギーは発電機22に伝達されて、発電機22において電気に変換される。
【0284】
システム10はリモートセンシング装置24をさらに具え、図示する実施形態では、リモートセンシング装置24が、風力タービン12のタワー14の周りに設けられたプラットフォーム26上に配置されている。しかし、リモートセンシング装置24は、遠隔位置のような他の適切な位置、ナセル16上、地表面上、あるいは他の1つ以上のタービン(図示せず)上に設けることができることが認識される。
【0285】
リモートセンシング装置24はライダー装置を具え、このライダー装置は、光ビームの形式のプローブ30を全体の測定体積空間V内の関心事の領域32に伝達するための光源-図示する実施形態ではレーザー源-を有する。リモートセンシング装置24は、受信機34をさらに具え、あるいは受信機34に動作的に関連し、図示する実施形態では受信機34が光学アンテナであり、反射したプローブ30を検出する。ここで添付した図面のうち図3及び4も参照すれば、リモートセンシング装置24はプローブ30を複数の異なる視線に沿って放射することができ、リモートセンシング装置24によって放射することができる利用可能な視線は、図3中に破線36で表す。図3に示すように、リモートセンシング装置24は、最初は第1の走査の幾何学的形態構造に設定されて、この幾何学的形態構造で動作して第1の測定データ集合を取得し、第1の走査の幾何学的形態構造は視線36の第1部分集合38を含む。
【0286】
第1のデータ集合の取得に続いて、改善された、あるいは最適な第2の走査の幾何学的形態構造を、取得した第1のデータ集合から決定する。最適な走査の幾何学的形態構造の決定は、測定キャンペーンの特定目的に依存することができる。例えば、向かい風のデータを必要とすることがあり、1つのデータ取得期間から次のデータ取得期間までに風向が変化する際に、走査の幾何学的形態は常に風上を向くように調整する。目標体積空間に向かう方向は、プラットフォーム、例えば風力タービンのナセルが回転する間に変化し得る。この場合、走査の幾何学的形態を、必要に応じて視線に指向するように調整する。図示する実施形態では、第2の走査の幾何学的形態構造は、あり得る視線36の第2部分集合40によって形成される。次に、リモートセンシング装置24を、図2に示す第1の走査の幾何学的形態構造から図4に示す第2の走査の幾何学的形態構造に再構成する。この新たな走査の幾何学的形態は、測定した一般的条件に応じてルックアップ・テーブルから選択することができ、あるいは、アジマス角及び仰角を計算して必要に応じて設定ファイルに書き込むことができる。
【0287】
次に、リモートセンシング装置24を第2の走査の幾何学的形態構造で動作させて、関心事の領域30に関係する第2のデータ集合を取得する。本実施形態では、リモートセンシング装置24の最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、測定キャンペーン中に、より具体的には各データ取得中に実行する。しかし、最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、その代わりに、測定キャンペーン中であるが、選択した回数だけデータを取得して初めて、あるいは決定した調整のレベルが選択した閾値を超えた場合に実行することができることが認識される。
【0288】
ここで添付した図面のうち図5を参照すれば、図1に示す方法を実現するための他のシステム110が示されている。
【0289】
図5に示すように、図示する実施形態では、システム110が風力タービン112を含む風力タービンシステムを具え、風力タービン112は、タワー114、ナセル116、及びハブ118を有し、ハブ118は放射状に広がる複数のブレード120を有する。ハブ118はシャフト(図示せず)を介して発電機122に動作的に結合されている。使用中には、ブレード120に当たる風Wの運動エネルギーがハブ118を駆動してナセル116に対して回転させ、この運動エネルギーは発電機122に伝達されて、発電機122において電気に変換される。
【0290】
システム110はリモートセンシング装置124をさらに具え、図示する実施形態では、リモートセンシング装置124が、風力タービン112のタワー114の周りに設けられたプラットフォーム126上に配置されている。しかし、リモートセンシング装置124は、遠隔位置のような他の適切な位置、ナセル116上、地表面上、あるいは他の1つ以上のタービン(図示せず)上に設けることができることが認識される。
【0291】
本実施形態では、リモートセンシング装置124がソーダー装置を具え、このソーダー装置は、ビーム形式のプローブ130を全体の測定体積空間V’内の関心事の領域132に伝達するための音響源128を有する。リモートセンシング装置124は、受信機134をさらに具え、あるいは受信機134に動作的に関連し、図示する実施形態では受信機134が音響アンテナであり、反射したプローブ130を検出する。
【0292】
システム110の動作はシステム10の動作と同様であり、添付した図面のうち図6及び7を参照しながら説明する。
【0293】
図6及び7に示すように、リモートセンシング装置124は、プローブ130を複数の異なる視線に沿って放射することができ、リモートセンシング装置124によって放射することができる利用可能な視線は、図6中に破線136で表す。図6に示すように、リモートセンシング装置124は、最初は第1の走査の幾何学的形態構造に設定されて、この幾何学的形態構造で動作して第1の測定データ集合を取得し、第1の走査の幾何学的形態構造は視線136の第1部分集合138を含む。第1のデータ集合の取得に続いて、改善された、あるいは最適な第2の走査の幾何学的形態構造を、取得した第1のデータ集合から決定する。最適な走査の幾何学的形態構造の決定は、測定キャンペーンの特定目的に依存することができる。例えば、向かい風のデータを必要とすることがあり、1つのデータ取得期間から次のデータ取得期間までに風向が変化する際に、走査の幾何学的形態を常に風上を向くように調整する。目標体積空間に向かう方向は、プラットフォーム、例えば風力タービンのナセルが回転する間に変化し得る。この場合、走査の幾何学的形態を、必要に応じて視線に指向するように調整する。図示する実施形態では、第2の走査の幾何学的形態構造は、あり得る視線136の第2部分集合140によって形成される。次に、リモートセンシング装置124を、図6に示す第1の走査の幾何学的形態構造から図7に示す第2の走査の幾何学的形態構造に再構成する。この新たな走査の幾何学的形態は、測定した一般的条件に応じてルックアップ・テーブルから選択することができ、あるいは、アジマス角及び仰角を計算して必要に応じて設定ファイルに書き込むことができる。次に、リモートセンシング装置124を第2の走査の幾何学的形態構造で動作させて、関心事の領域130に関係する第2のデータ集合を取得する。システム10におけるように、システム110では、リモートセンシング装置124の最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、測定キャンペーン中に、より具体的には各データ取得中に実行する。しかし、最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、その代わりに、測定キャンペーン中であるが、選択した回数だけデータを取得して初めて、あるいは決定した調整のレベルが選択した閾値を超えた場合に実行することができることが認識される。
【0294】
ここで添付した図面のうち図8を参照すれば、図1に示す方法を実現するための他のシステム210が示されている。
【0295】
図8に示すように、図示する実施形態では、システム210が風力タービン212を含む風力タービンシステムを具え、風力タービン212は、タワー214、ナセル216、及びハブ218を有し、ハブ218は放射状に広がる複数のブレード220を有する。ハブ218はシャフト(図示せず)を介して発電機222に動作的に結合されている。使用中には、ブレード220に当たる潮流または水流のような流体の流れTの運動エネルギーがハブ218を駆動してナセル216に対して回転させ、この運動エネルギーは発電機222に伝達されて、発電機222において電気に変換される。
【0296】
システム210はリモートセンシング装置224をさらに具え、図示する実施形態では、リモートセンシング装置224が、風力タービン212のタワー214の周りに設けられたプラットフォーム226上に配置されている。しかし、リモートセンシング装置224は、遠隔位置のような他の適切な位置、ナセル216上、地表面上、あるいは他の1つ以上のタービン(図示せず)上に設けることができることが認識される。
【0297】
本実施形態では、リモートセンシング装置224がADCP装置を具え、このADCP装置は、音響プローブ230を全体の測定体積空間V”内の関心事の領域232に伝達するための音響源228を有する。リモートセンシング装置224は、受信機234をさらに具え、あるいは受信機234に動作的に関連し、図示する実施形態では受信機234が音響アンテナであり、反射したプローブ230を検出する。
【0298】
システム210の動作はシステム10、110の動作と同様であり、添付した図面のうち図9及び10を参照しながら説明する。
【0299】
図9及び10に示すように、リモートセンシング装置224は、プローブ230を複数の異なる視線に沿って放射することができ、リモートセンシング装置224によって放射することができる利用可能な視線は、図9中に破線236で表す。図9に示すように、リモートセンシング装置224は、最初は第1の走査の幾何学的形態構造に設定されて、この幾何学的形態構造で動作して第1の測定データ集合を取得し、第1の走査の幾何学的形態構造は視線236の第1部分集合238を含む。第1のデータ集合の取得に続いて、改善された、あるいは最適な第2の走査の幾何学的形態構造を、取得した第1のデータ集合から決定する。最適な走査の幾何学的形態構造の決定は、測定キャンペーンの特定目的に依存することができる。例えば、上流のデータを必要とすることがあり、1つのデータ取得期間から次のデータ取得期間までに流体の流れの向きが変化する際に、走査の幾何学的形態は常に上流を向くように調整する。目標体積空間に向かう方向は、プラットフォーム、例えば流体タービンのナセルが回転する間に変化し得る。この場合、走査の幾何学的形態を、必要に応じて視線に指向するように調整する。図示する実施形態では、第2の走査の幾何学的形態構造は、あり得る視線236の第2部分集合240によって形成される。次に、リモートセンシング装置224を、図6に示す第1の走査の幾何学的形態構造から図7に示す第2の走査の幾何学的形態構造に再構成する。この新たな走査の幾何学的形態は、測定した一般的条件に応じてルックアップ・テーブルから選択することができ、あるいは、アジマス角及び仰角を計算して必要に応じて設定ファイルに書き込むことができる。次に、リモートセンシング装置224を第2の走査の幾何学的形態構造で動作させて、関心事の領域230に関係する第2のデータ集合を取得する。システム10、110におけるように、システム210では、リモートセンシング装置224の最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、測定キャンペーン中に、より具体的には各データ取得中に実行する。しかし、最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、その代わりに、測定キャンペーン中であるが、選択した回数だけデータを取得して初めて、あるいは決定した調整のレベルが選択した閾値を超えた場合に実行することができることが認識される。
【0300】
ここで添付した図面のうち図11を参照すれば、本発明の他の実施形態による方法を表すフローチャートが示されている。
【0301】
図11に示すように、この方法の第1ステップは、複数の走査の幾何学的形態要素を含む走査の幾何学的形態構造を実現することを含む。次に、この方法は、受信した測定データから、複数の走査の幾何学的形態のうちの1つを決定するステップを含むことができ、決定した走査の幾何学的形態は、第1時間間隔における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示す。次に、第1時間間隔における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を提供する。このプロセスは時間間隔毎に反復する。
【0302】
本実施形態は、複数の時間ステップにわたって取得したデータの処理中に、第1の走査の幾何学的形態を含む利用可能な複数の走査の幾何学的形態から最適な走査の幾何学的形態を選択することにより、測定キャンペーン中にリモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を受動的に調整することによって、最適な、あるいは少なくとも改善されたリモートセンシングの測定キャンペーンを、変化する条件下で実現することを可能にすることが有益であり;一般に特定のリモートセンシング装置のデフォルト設定である単一の走査の幾何学的形態構造しか提供しない、あるいは測定キャンペーンを開始する前に設定され、測定キャンペーンの初期の目的に基づく1つの幾何学的形態構造を提供し、このため、測定キャンペーン中の風況の変化を参照して最適な走査の幾何学的形態を選択することができない従来のRSDとは対照的である。
【0303】
添付した図面のうち図12は、図11の方法を実現するためのシステム310を示す。
【0304】
システム310は、風力タービン212を含む風力タービンシステムを具え、風力タービン212は、タワー314、ナセル316、及びハブ318を有し、ハブ318は放射状に広がる複数のブレード320を有する。ハブ318は駆動シャフト(図示せず)を介して発電機322に動作的に結合されている。使用中には、ブレード320に当たる風W”の運動エネルギーがハブ318を駆動してナセル316に対して回転させ、この運動エネルギーは発電機322に伝達されて、発電機322において電気に変換される。
【0305】
システム310はリモートセンシング装置324をさらに具え、図示する実施形態では、リモートセンシング装置324が、風力タービン312のタワー314の周りに設けられたプラットフォーム326上に配置されている。しかし、リモートセンシング装置324は、遠隔位置のような他の適切な位置、ナセル316上、地表面上、あるいは他の1つ以上のタービン(図示せず)上に設けることができることが認識される。
【0306】
リモートセンシング装置324はライダー装置を具え、このライダー装置は、光ビームの形式のプローブ330を全体の測定体積空間V”’内の関心事の領域332に伝達するための光源-図示する実施形態ではレーザー源-を有する。リモートセンシング装置324は、受信機334をさらに具え、あるいは受信機334に動作的に関連し、図示する実施形態では受信機334が光学アンテナであり、反射したプローブ330を検出する。
【0307】
ここで添付した図面のうち図13及び14も参照すれば、システム10の場合のように、システム310では、リモートセンシング装置324がプローブ330を複数の異なる視線に沿って放射することができ、リモートセンシング装置324によって放射することができる利用可能な視線は、図13中に破線336で表す。リモートセンシング装置324は、ある走査の幾何学的形態構造に設定されて、この幾何学的形態構造で動作して、第1時間間隔t1における第1の測定データ集合、及び第2時間間隔における第2の測定データ集合を取得し、このことを必要に応じた回数だけ反復してn番目の時間間隔tnにおける第nの測定データ集合を取得する。
【0308】
本実施形態では、走査の幾何学的形態構造が複合型の走査の幾何学的形態を含み、この複合型の走査の幾何学的形態は、複数の走査の幾何学的形態を包含し、図示する実施形態では、第1~第nのデータ集合の各々が、関心事の領域332の全体についてのデータを含む。
【0309】
データ取得に続いて、各データ集合を分析する。各データ集合における第1パスは、上記複数の走査の幾何学的形態のうちのどの走査の幾何学的形態が、所定の時間間隔t1...tnの各々における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示すかを決定する。図13では、時間間隔t1におけるデータ取得後に決定した最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造を部分集合338によって表すのに対し、時間間隔t2におけるデータ取得後に決定した最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造は部分集合340によって表す。一旦、こうしたことを決定すると、各データ集合における第2パスは、選択した最適な走査の幾何学的形態の部分集合による、所定時間間隔t1, t2, ...tnにおける関心事の領域322に関係する1つ以上の関心事の測定値を決定する。
【0310】
本実施形態では、リモートセンシング装置324の最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定を、第1実施形態における各データ取得間ではなく、データ取得後に実行する。
【0311】
添付した図面のうち図15は、図11による方法を実現するための他のシステム410を示す。
【0312】
システム410は、風力タービン412を含む風力タービンシステムを具え、風力タービン412は、タワー414、ナセル416、及びハブ418を有し、ハブ418は放射状に広がる複数のブレード420を有する。ハブ418は駆動シャフト(図示せず)を介して発電機422に動作的に結合されている。使用中には、ブレード420に当たる風W””の運動エネルギーがハブ418を駆動してナセル416に対して回転させ、この運動エネルギーは発電機422に伝達されて、発電機422において電気に変換される。
【0313】
システム410はリモートセンシング装置424をさらに具え、図示する実施形態では、リモートセンシング装置424が、風力タービン412のタワー414の周りに設けられたプラットフォーム426上に配置されている。しかし、リモートセンシング装置424は、遠隔位置のような他の適切な位置、ナセル416上、地表面上、あるいは他の1つ以上のタービン(図示せず)上に設けることができることが認識される。
【0314】
本実施形態では、リモートセンシング装置424がソーダー装置を具え、このソーダー装置は、ビーム形式のプローブ430を全体の測定体積空間V””内の関心事の領域432に伝達するための音響源428を有する。リモートセンシング装置424は、受信機434をさらに具え、あるいは受信機434に動作的に関連し、図示する実施形態では受信機134が音響アンテナであり、反射したプローブ430を検出する。
【0315】
ここで添付した図面のうち図16及び17も参照すれば、システム310の場合のように、システム410では、リモートセンシング装置424が、プローブ430を複数の異なる視線に沿って放射することができ、リモートセンシング装置424によって放射することができる利用可能な視線は、図16中に破線436で表す。リモートセンシング装置424は、第1の走査の幾何学的形態構造に設定されて、この幾何学的形態構造で動作して、第1時間間隔t1における第1の測定データ集合、及び第2時間間隔t2における第2の測定データ集合を取得し、このことを必要に応じた回数だけ反復してn番目の時間間隔tnにおける第nのデータを取得する。
【0316】
前の実施形態におけるように、走査の幾何学的形態構造は複合型の走査の幾何学的形態を含み、この複合型の走査の幾何学的形態は、複数の走査の幾何学的形態を包含し、図示する実施形態では、第1~第nのデータ集合の各々が、関心事の領域432の全体についてのデータを含む。
【0317】
データ取得に続いて、各データ集合を分析する。各データ集合における第1パスは、上記複数の走査の幾何学的形態のうちのどの走査の幾何学的形態が、所定の時間間隔t1...tnの各々における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示すかを決定する。図16では、時間間隔t1におけるデータ取得後に決定した最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造を部分集合438によって表すのに対し、時間間隔t2におけるデータ取得後に決定した最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造は部分集合440によって表す。一旦、こうしたことを決定すると、各データ集合における第2パスは、選択した最適な走査の幾何学的形態の部分集合による、所定時間間隔t1, t2, ...tnにおける関心事の領域422に関係する1つ以上の関心事の測定値を決定する。前の実施形態におけるように、リモートセンシング装置424の最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、各データ取得間ではなく、データ取得後に実行する。
【0318】
ここで、添付した図面のうち図18を参照すれば、図11による方法を実現するための他のシステム510が示されている。
【0319】
図18に示すように、図示する実施形態では、システム510は、潮汐タービン512を含む潮汐タービンシステムを具え、潮汐タービン512は、タワー514、ナセル516、及びハブ518を有し、ハブ518は放射状に広がる複数のブレード520を有する。ハブ518は駆動シャフト(図示せず)を介して発電機522に動作的に結合されている。使用中には、ブレード520に当たる潮流または水流のような流体の流れT’の運動エネルギーがハブ518を駆動してナセル516に対して回転させ、この運動エネルギーは発電機522に伝達されて、発電機522において電気に変換される。
【0320】
システム510はリモートセンシング装置524をさらに具え、図示する実施形態では、リモートセンシング装置524が、風力タービン512のタワー514の周りに設けられたプラットフォーム526上に配置されている。しかし、リモートセンシング装置524は、遠隔位置のような他の適切な位置、ナセル516上、地表面上、あるいは他の1つ以上のタービン(図示せず)上に設けることができることが認識される。
【0321】
本実施形態では、リモートセンシング装置524がADCP装置を具え、このADCP装置は、音響プローブ530を全体の測定体積空間V””内の関心事の領域532に伝達するための音響源528を有する。リモートセンシング装置524は、受信機534をさらに具え、あるいは受信機534に動作的に関連し、図示する実施形態では受信機534が音響アンテナであり、反射したプローブ530を検出する。
【0322】
ここで添付した図面のうち図19及び20を参照すれば、リモートセンシング装置524は、プローブ530を複数の異なる視線に沿って放射することができ、リモートセンシング装置524によって放射することができる利用可能な視線は、図19中に破線536で表す。リモートセンシング装置524は、ある走査の幾何学的形態構造に設定されて、この幾何学的形態構造で動作して、第1時間間隔t1における第1の測定データ集合、及び第2時間間隔における第2の測定データ集合を取得し、このことを必要に応じた回数だけ反復してn番目の時間間隔tnにおける第nの測定データ集合を取得する。
【0323】
前の実施形態におけるように、走査の幾何学的形態構造は複合型の走査の幾何学的形態を含み、この複合型の走査の幾何学的形態は、複数の走査の幾何学的形態を包含し、図示する実施形態では、第1~第nのデータ集合の各々が、関心事の領域532の全体についてのデータを含む。
【0324】
データ取得に続いて、各データ集合を分析する。各データ集合における第1パスは、上記複数の走査の幾何学的形態のうちのどの走査の幾何学的形態が、所定の時間間隔t1...tnの各々における改善された、あるいは最適な走査の幾何学的形態を示すかを決定する。図19では、時間間隔t1におけるデータ取得後に決定した最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造を部分集合538によって表すのに対し、時間間隔t2におけるデータ取得後に決定した最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造は部分集合540によって表す。一旦、こうしたことを決定すると、各データ集合における第2パスは、選択した最適な走査の幾何学的形態の部分集合による、所定時間間隔t1, t2, ...tnにおける関心事の領域522に関係する1つ以上の関心事の測定値を決定する。前の実施形態におけるように、リモートセンシング装置524の最適な、あるいは改善された走査の幾何学的形態構造の決定は、第1実施形態における各データ取得間ではなくデータ取得後に実行する。
【0325】
以下、以上の実施形態の各々において用いる動作及び分析技術に関するより詳細な事項を、図21~24を参照しながら説明する。
【0326】
上述したように、リモートセンシング装置の走査の幾何学的形態構造を用いて測定データを取得し、これらの測定データから、調査中の流体の特性を測定することができ、走査の幾何学的形態構造は、とりわけ測定体積空間内のプローブ体積空間の位置及び分布(デカルト座標x,y,zで定義される);プローブが放射され検出される方向の意味でのプローブ体積空間の向き(アジマス角及び仰角(θ, φ)で定義される);及びプローブが放射される時刻、調査中の流体と相互作用する時刻、その後に検出される時刻(t)を含むことができる。
【0327】
プローブ体積空間の位置に関しては、図示する実施形態では、その範囲は、風によって運ばれる塵埃、水滴、汚染物質、花粉、食塩結晶、等のような自然のエアロゾルによって反射される光放射の後方散乱を測定することによって決定される。この放射は後方散乱して検出され、上記エアロゾル粒子の動きによって与えられるレーザー放射の周波数のドップラーシフトを分析して流体運動の特性を推測する。それに加えて、検出した信号の強度は、相互作用が発生した位置におけるエアロゾル粒子の濃度を示すことができる。分極効果も時として観測される。流体との相互作用の種々の効果の検出は、流体の動きに加えて、流体の組成のような種々の特性の調査を可能にする。ドップラー効果は、レーザー放射が指向される視線(LoS)と整列した流速ベクトルの成分、即ち放射方向の速度に比例する。従って、ドップラーシフトは、LoSと流体速度の方向との間の角度に依存する。従って、各プローブ体積空間内に見られる風速ベクトル間の関係を観測から推定することができれば、流速ベクトルの成分は、種々の視線に沿った放射方向の速度から推測することができる。例えば、最も単純な場合には、計算において用いる各プローブ体積空間が同じ風速ベクトルを見る場合に、この風速ベクトルを推測することができる。このことは一様な流れの条件下の場合である。
【0328】
プローブ体積空間の向きに関しては、この向きがプローブが放射される視線、及びプローブの放射方向の距離rのみによって決まり、この視線が既知である場合、(r, θ, φ)を記述して(x, y, z)は省略することができる、というのは、(プローブ体積空間の)位置及び向きは極座標で完全に記述されるからである。
【0329】
タイミング情報に関しては、この情報はプローブ体積空間の寸法及び特性を考慮するために必要になり得る。例えば、プローブ体積空間内ではプローブの応答が対称でないことがあり、流体の流れにおける時間的に非定常な特徴、及び/または、測定体積空間を通って運ばれるコヒーレントな流体構造が空間内に発生して観測される場合のような、時刻情報を用いて対処しなければならない効果を生じさせ得る。例えば、単一の視線または方向に沿って測定値を取得し、次に、この単一の視線または方向を、同時に実現される複数の視線に沿ってではなく一連の異なる向きの間で走査する結果として、各プローブ体積空間内で測定値が同時ではなく順次に発生する場合にも、タイミング情報は重要である。
【0330】
本明細書中に記載する実施形態は好適例に過ぎず、本発明の範囲から逸脱することなしに種々の変更を加えることができることは明らかである。
【0331】
例えば、図示する実施形態における走査の幾何学的形態は発散型の走査の幾何学的形態を含み、これにより、考慮中の複数の視線は単一のRSDの位置から放射状に発散して、流速方向に対する複数の角度という要求を満足するが、走査の幾何学的形態は、図9に示すように多数の異なる形態をとることができ、そして、例えば、図10に示すような収束型の走査の幾何学的形態を含むことができ、この走査の幾何学的形態では、異なる方向から1つの関心事の位置に収束する、複数のRSDのそれぞれからの単一の視線を用いる。収束型のビームの場合には、各プローブ体積空間が見る流速ベクトル間の関係が簡略化される、というのは、これらのプローブ体積空間は同一位置に配置され、従って同じ流速ベクトルを見るからである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24