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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】工場内荷搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 25/08 20060101AFI20221213BHJP
   B62B 3/04 20060101ALI20221213BHJP
   B65G 39/18 20060101ALI20221213BHJP
   B61B 13/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65G25/08
B62B3/04
B65G39/18
B61B13/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019002815
(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公開番号】P2020111428
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】尾堂 貴大
(72)【発明者】
【氏名】藤本 直城
(72)【発明者】
【氏名】大坪 隆
(72)【発明者】
【氏名】小野 剛
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-168457(JP,A)
【文献】特開平07-232644(JP,A)
【文献】特開平03-227822(JP,A)
【文献】実開昭60-166672(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 25/08
B62B 3/04
B65G 39/18
B61B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラーコンベアに平行に走行レールを敷設し、
走行レールには、搬送カートユニットを走行自在に装置し、
該ユニットは、カート支持フレームと、該フレームに搭載され、荷物の前後端部に当接自在の前後部カートとより構成し、
後部カートは前後摺動自在に構成して荷物の前後サイズに応じて前部カートとの間の荷物中央部配置空間のサイズを調整自在とし、しかも荷物の底部のうち側面寄りの部分はローラーコンベア上に支持されるように構成したことを特徴とする工場内荷搬送装置。
【請求項2】
ローラーコンベアは左右側に所定間隔を隔てて配設し、走行レールは左右側のローラーコンベアの間に平行に敷設し、しかも荷物の左右側部は左右側のローラーコンベア上に跨持されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の工場内荷搬送装置。
【請求項3】
前部カートと後部カーには、それぞれ荷物を固定して移動するための前後ストッパー機構を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の工場内荷搬送装置。
【請求項4】
後部カートの前後摺動は、モータに連動連設したスプライン嵌合により行うように構成したことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の工場内荷搬送装置。
【請求項5】
走行レールに走行自在に載置した搬送カートユニットは、走行レールと搬送カートユニットに設けたピニオンとラック機構により走行自在としたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の工場内荷搬送装置。
【請求項6】
左右最外側より少ない幅員の荷物は、外側2列のローラーコンベアの間に一段低く敷設した低位置のローラーコンベアにより搬送可能としたことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の工場内荷搬送装置。
【請求項7】
前後ストッパー機構は、それぞれ前後部カートの荷台ベースに略L字状のストッパー本体を枢支し、ストッパー本体にピストンロッド前端の当接ローラが当接自在となってストッパー本体を枢支部を中心にして回動させることによりローラーコンベアの高さ位置を基準に浮沈自在に構成したことを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の工場内荷搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動力搬送機構を有しないで単に滑らすだけのローラーコンベア上に荷物を載置して、該コンベアに平行して敷設し自己搬送能力のある動力補助搬送機構により搬送できるように構成した工場内荷搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内等において長尺のベルトコンベアやローラーコンベアを敷設して荷物を搬送する荷物搬送装置(例えば、特許文献1参照。)が使用されている。
【0003】
荷物は、大小各種サイズがあるため、例えば、所定の規格されたコンテナ内に荷物を収納してコンテナ毎に搬送する搬送機構形態が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-39182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コンテナの規格の大きさが一定に予め定められているため荷物のサイズに合わせて収納容量を異にしたコンテナを多種準備することは実際問題としてコスト上及び搬送効率上不利である。
【0006】
他方、小サイズの荷物を通常サイズのコンテナに収納して搬送するとコンテナ内に余分な空間を作ることになり、その分搬送個数が減少して効率低下を招くことになる。
【0007】
また、ローラーコンベアに自己搬送能力を付与すべく搬送動力機構を装置すると動力コンベア全体の機構が複雑、高価になり、搬送形態に応じた制御も必要となり正確な管理のできるコンテナ搬送作業が行い難くなり、また、ローラーコンベア上に連続して配設された各コンテナのうち先頭位置のコンテナだけを前進搬送させてその後続のコンテナは待機状態にするような搬送形態の選択をすることはできない。
【0008】
なぜならば、従来の自己搬送能力を有する搬送動力機構は連続して並んだ荷物(以下、コンテナとも言う。)の最後尾を押しながらトコロテン式で押圧搬送する押出し形態しかないからである。
【0009】
この発明では、自己搬送能力を有しないコンテナ滑り機能だけのコンベアに平行してコンテナ移送のための搬送動力機構を設け、コンテナ滑り機能だけの搬送コンベアは単に荷物やコンテナを転がり又は滑りだけで移動させる機構として独自に荷物搬送動力を設けないように構成し、別途コンベアに平行してコンベア上の荷物やコンテナの前後端部に引っ掛けて強制的に荷物を移送する搬送動力機構を有した搬送カートユニットを走行自在に配設し、しかも、搬送カートユニットは制御操作により個別のコンテナを搬送可能として荷物やコンテナの搬送全体の機構を簡素化しながら各種搬送形態を有効に実現できる工場内荷搬送装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、ローラーコンベアに平行に走行レールを敷設し、走行レールには、搬送カートユニットを走行自在に装置し、該ユニットは、カート支持フレームと、該フレームに搭載され、荷物の前後端部に係合する前後部カートとより構成し、後部カートは前後摺動自在に構成して荷物の前後サイズに応じて前部カートとの間の荷物中央部配置空間のサイズを調整自在とし、しかも荷物の底部のうち側面寄りの部分はローラーコンベア上に支持されるように構成したことを特徴とする工場内荷搬送装置を提供せんとするものである。
【0011】
ローラーコンベアは左右側に所定間隔を隔てて配設し、走行レールは左右側のローラーコンベアの間に平行に敷設し、しかも荷物の左右側部は左右側のローラーコンベア上に跨持されるように構成したことを特徴とする。
【0012】
また、前部カートと後部カートには、それぞれ荷物を固定して移動するための前後ストッパー機構を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、後部カートの前後摺動は、モータに連動連設したスプライン嵌合により行うように構成したことを特徴とする。
【0014】
また、走行レールに走行自在に載置した搬送カートユニットは、走行レールと搬送カートユニットに設けたピニオンとラック機構により走行自在としたことを特徴とする。
【0015】
また、ローラーコンベアは左右側に所定間隔を隔てて配設し、走行レールは左右側のローラーコンベアの間に平行に敷設していることを特徴とする。
【0016】
また、左右最外側より少ない幅員の荷物は、外側2列のローラーコンベアの間に一段低く敷設した低位置のローラーコンベアにより搬送可能としたことを特徴とする。
【0017】
また、前後ストッパー機構は、それぞれ前後部カートの荷台ベースに略L字状のストッパー本体を枢支し、ストッパー本体にピストンロッド前端の当接ローラが当接自在となってストッパー本体を枢支部を中心にして回動させることによりローラーコンベアの高さ位置を基準に浮沈自在に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、 ローラーコンベアに平行に走行レールを敷設し、
走行レールには、搬送カートユニットを走行自在に装置し、該ユニットは、カート支持フレームと、該フレームに搭載され、荷物の前後端部に当接自在の前後部カートとより構成し、後部カートは前後摺動自在に構成して荷物の前後サイズに応じて前部カートとの間の荷物中央部配置空間のサイズを調整自在とし、しかも荷物の底部のうち側面寄りの部分はローラーコンベア上に支持されるように構成したため、搬送用のローラーコンベアの機構を簡素化でき、搬送駆動力を付与する搬送カートユニットをサイズの異なる荷物に適合した搬送形態にして個々の荷物を搬送することができ、しかも搬送形態に応じた正確な制御管理ができる搬送作業を簡単に行うことができ、低コストで搬送効率を向上することができる効果がある。
【0019】
すなわち、コンテナ滑り機能だけのローラーコンベアは単に荷物を転がり又は滑りだけで移動させる機構として独自に荷物搬送動力を設けないように構成し、ローラーコンベア上に支持した荷物の端部に前後部カートを当接係合して強制的に荷物を移送をする搬送動力機構を有した搬送カートユニットをローラーコンベアに平行して走行自在に配設することにより、制御操作により個別に先頭コンテナのみを順次搬送取出すことができ、荷物搬送全体の機構を簡素化しながら各種搬送形態を有効に実現することができる効果がある。
【0020】
請求項2の発明によれば、ローラーコンベアは左右側に所定間隔を隔てて配設し、走行レールは左右側のローラーコンベアの間に平行に敷設し、しかも荷物の左右側部は左右側のローラーコンベア上に跨持されるように構成したため、左右側のローラーコンベア上に横架載置状態とした荷物の略中央部の前後端部に搬送カートユニットの前後部カートを当接することができ、前後部カートを介して搬送カートユニットの走行動力を荷物の搬送動力として利用できる効果がある。
【0021】
請求項3の発明によれば、前部カートと後部カーには、それぞれ荷物を固定して移動するための前後ストッパー機構を設けたため、同前後ストッパー機構を介して搬送カートユニットの走行動力をローラーコンベア上の荷物に伝達して搬送動力として確実に利用することができる効果がある。
【0022】
請求項4の発明によれば、後部カートの前後摺動は、モータに連動連設したスプライン嵌合により行うように構成したため、搭載荷物の前後サイズに応じた前部カートとの間の荷物中央部配置空間のサイズの調整をスプライン軸に沿って正確に行うことができる効果がある。
【0023】
請求項5の発明によれば、走行レールに走行自在に載置したカートユニットは、走行レールと搬送カートユニットに設けたピニオンとラック機構により走行自在としたため、重量のある荷物であっても搬送カートユニットの走行動力をローラーコンベアに沿った荷物の搬送動力として確実に利用することができ、搬送カートユニットの作動停止の制御操作を正確に行うことができる効果がある。
【0024】
請求項6の発明によれば、左右最外側より少ない幅員の荷物は、外側2列のローラーコンベアの中間部分に一段低く敷設した低位置のローラーコンベアにより搬送可能としたため、荷台の幅員のサイズに合わせて左右最外側と左右最内側のいずれかのローラーコンベアを選択できる効果がある。
【0025】
請求項7の発明によれば、前後ストッパー機構は、それぞれ前後部カートの荷台ベースに略L字状のストッパー本体を枢支し、ストッパー本体にピストンロッド前端の当接ローラが当接自在となってストッパー本体を枢支部を中心にして回動させることによりローラーコンベアの高さ位置を基準に浮沈自在に構成したため、略L字状のストッパー本体を上昇回動させた浮上状態においてはストッパー本体の先端部を荷物の前後端部に係合させた搬送カートユニットの荷物搬送形態を実現でき、また、略L字状のストッパー本体を降下回動させた沈降状態においてはストッパー本体の先端部を荷物の前後端部に干渉させずに荷物の下方位置で走行自在とする搬送カートユニットの独立走行形態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る工場内荷搬送装置の構成を示す全体平面図である。
図2】本発明に係る工場内荷搬送装置の構成を示す全体平面図である。
図3】本発明に係る工場内荷搬送装置の構成を示す部分拡大斜視図である。
図4】本発明に係る工場内荷搬送装置の構成を示す背面図である。
図5】本発明に係る搬送カートユニットの構成を示す斜視図である。
図6】本発明に係る搬送カートユニットの構成を示す側面図である。
図7】本発明に係る搬送カートユニットの構成を示す平面図である。
図8】本発明に係る搬送カートユニットの構成を示す平面図である。
図9】本発明に係る搬送カートユニットの前後ストッパー機構の作動態様を示す模式的側面図である。
図10】本発明に係る搬送カートユニットの構成及び前後ストッパー機構の作動態様を示す模式的側面図である。
図11】本発明に係る工場荷搬送装置の使用形態を示す模式的側面図である。
図12】本発明に係る工場荷搬送装置の使用形態を示す模式的側面図である。
図13】本発明に係る工場荷搬送装置の使用形態を示す模式的側面図である。
図14】本発明に係る工場荷搬送装置の使用形態を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の要旨は、ローラーコンベアに平行に走行レールを敷設し、走行レールには、搬送カートユニットを走行自在に装置し、該ユニットは、カート支持フレームと、該フレームに搭載され、荷物の前後端部に当接自在の前後部カートとより構成し、後部カートは前後摺動自在に構成して荷物の前後サイズに応じて前部カートとの間の荷物中央部配置空間のサイズを調整自在とし、しかも荷物の側部はローラーコンベア上に支持されるように構成したことを特徴とする工場内荷搬送装置を提供することにある。
【0028】
また、ローラーコンベアは左右側に所定間隔を隔てて配設し、走行レールは左右側のローラーコンベアの間に平行に敷設し、しかも荷物の左右側部は左右側のローラーコンベア上に跨持されるように構成したことに特徴を有する。
【0029】
また、前部カートの前端縁部と後部カートの後端縁部には、それぞれ荷物を固定して移動するための前後ストッパー機構を設けたことに特徴を有する。
【0030】
また、後部カートの前後摺動は、モータに連動連設したスプライン嵌合により行うように構成したことに特徴を有する。
【0031】
また、走行レールに走行自在に載置した搬送カートユニットは、走行レールと搬送カートユニットに設けたピニオンとラック機構により走行自在としたことに特徴を有する。
【0032】
また、左右最外側より少ない幅員の荷物は、外側2列のローラーコンベアの間に一段低く敷設した低位置のローラーコンベアにより搬送可能としたことに特徴を有する。
【0033】
また、前後ストッパー機構は、それぞれ前後部カートの荷台ベースに略L字状のストッパー本体を枢支し、ストッパー本体の端縁部にピストンロッド前端の当接ローラが当接自在となってストッパー本体を枢支部を中心にして回動させることによりローラーコンベアの高さ位置を基準に浮沈自在に構成したことに特徴を有する。
【0034】
以下、この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1及び図2は本発明の工場内荷搬送装置の構成を示す全体平面図、図3は本発明の工場内荷搬送装置の構成を示す部分拡大斜視図、図4は本発明の搬送カートユニットの構成を示す背面図、図5は搬送カートユニットの構成を示す斜視図、図6は搬送カートユニットの構成を示す側面図、図7及び図8は搬送カートユニットの構成を示す平面図、図9及び図10は搬送カートユニットの構成及び前後ストッパー機構の作動態様を示す模式的側面図、図11図14は工場荷搬送装置の使用形態を示す模式的側面図である。
【0035】
[1.本発明の全体概要]
荷物Bを載置して滑動又は転動させるためのローラーコンベア1、1’は、図1図4に示すように一定間隔且つ一定高さを保持して平行に2列敷設されている。
【0036】
ローラーコンベア1、1’の構造は、一定の長尺距離において小径横長ローラー10、10’を両側フレーム11、11間に多数順次架設し、上方に載置した荷物Bを小径横長ローラー10、10’上で転動又は滑動できるように構成している。
【0037】
ローラーコンベア1、1’は、荷物Bを移動する自己搬送駆動力を有しない。なお、ローラーコンベア1、1’の始端部外側には、図1及び図2に示すように別途搬送してきた荷物Bを受け取り、ローラーコンベア1、1’へ荷物Bを受け渡すための受け渡し部12、12’を構成しており、受け渡し部12、12’の小径横長ローラー10、10’は始端部アクチュエーター13、13’によって駆動するように構成している。
【0038】
また、2列の長尺のローラーコンベア1、1’間には、図1図4に示すようにローラーコンベア1、1’に沿って搬送カートユニット2を配設している。
【0039】
搬送カートユニット2は、図1及び図2に示すように前部カート3と後部カート4の間を荷物中央部配置空間Sとし、各カート3、4間の前後長さは一定規格の長さに予め固定されておらず、荷物Bのサイズ、すなわち荷物Bの前後長さに対応して荷物中央部配置空間Sを前後伸縮調整可能にし、搬送カートユニット2の上方位置にある荷物Bを下方から前後で把持係合するように構成している。
【0040】
なお、本実施例ではローラーコンベア1、1’は左右側に所定間隔を隔てて2つ以上並設して荷物Bの左右側部は左右側のローラーコンベア上に跨持されるように構成しているが、他の実施例として該ローラーコンベアは単独の1列のみであってもよい。
【0041】
ローラーコンベア1が1列のみの場合には、該1列のローラーコンベア1に沿って並走するように同ローラーコンベア1の一側に搬送カートユニット2を配設し、荷物Bは荷重重心をローラーコンベア1上に配置すると共にその一側部をローラーコンベア1の左右側から外方にせり出して載置し、荷物Bのせり出した一側部を搬送カートユニット2にて把持して搬送する。
【0042】
すなわち、ローラーコンベア1上に荷物Bの他側部を載置支持すると共に搬送カートユニット2により荷物の一側部を把持した荷物片持状態でローラーコンベア1に沿って搬送カートユニット2を走行駆動させて荷物搬送を行うように構成している。
【0043】
[2.本発明の要旨]
本発明に係る工場荷搬送装置Aの概要は上記の通りであり、その要旨の1つは、搬送カートユニット2上で荷物Bが配置される荷物中央部配置空間Sが荷物Bの前後サイズに応じて前後伸縮調整できるようにしたことにある。
【0044】
すなわち、従来のようにローラーコンベア上に荷物Bを収納したコンテナを順次並べた場合には、コンテナが予め所定長さに規格されているため小サイズの荷物を収納搬送する場合でも、コンテナの規格長さ空間を保持してコンテナをローラーコンベア上に順次並べて移送しなければならず、荷物の搬送個数がコンテナの予め規格された長さと個数に制限されるため搬送効率の低下を招く。
【0045】
本発明では、後述するように搬送カートユニット上の荷台の前後長さ、すなわち、カートユニットの上方で荷物が位置する荷物中央部配置空間を調整できるのでローラーコンベア上に一側端部を支持した荷物の前後サイズに対応した搬送カートユニットを搬送することができることとなり、従って、異なるサイズの荷物に応じて正確な搬送作業をすることができ、ローラーコンベア上に複数の異なるサイズの荷物を整然と並べることができる。
【0046】
このような搬送カートユニット2は、図1図4に示すように、互いに前後方向に一定間隔を保持して構成した前部カート3と後部カート4とによりなり、前部カート3の前端縁と後部カート4の後端縁には、荷物Bの前後端部に当接して荷物Bを荷物中央部配置空間Sに納め、荷物Bの前後サイズを規格する前後ストッパー機構30、40を設けている。
【0047】
[3.後部カートの構成]
後部カート4は、図7及び図8に示すように前後摺動自在に構成され後部カート4の前後位置を調整することにより前部カート3との間の荷物中央部配置空間Sの前後長さを荷物Bの前後長さサイズに合致した搬送カートユニット2とすることができる。
【0048】
本実施例における後部カート4を前後摺動する前後摺動機構6は次のように構成される。
【0049】
すなわち、図5図8に示すように後部カート4を支持構成する荷台ベース60が螺杆61にスプライン嵌合してカート支持フレーム5上に構成されており、後部カート4は螺杆61に沿った荷台ベース60の前後許容範囲にわたって前後位置調整自在として前後移動可能に構成されている。なお、螺杆61としては、例えば台形ネジを採用することができる。
【0050】
前後部カート3、4を下方から支持するカート支持フレーム5には前後に螺杆61が架設され、螺杆61には螺合コマ62がスプライン嵌合し、螺合コマ62上部には荷台ベース60が設けられている。
【0051】
図中、符号65は後部カート4の荷台ベース60とスプライン嵌合する螺杆61を回転するための電動モーターである。また、図中、符号66は各種要所に連結したケーブルベア(登録商標)であり、可撓性素材でU字状の折返し形態に形成して後部カート4や搬送カートユニット2の前後進に伴い追従可能に構成し、送電送信ケーブルとして機能する。
【0052】
荷台ベース60は、螺杆61の回転に伴ってカート支持フレーム5に前後方向に架設した断面コ字状の後下部レール51、51’に沿ってガイドローラ63、63’を介して前後移動可能に構成されている。
【0053】
具体的には、荷台ベース60は、図4に示すように下方開放コ字状に形成されており、コ字状の中央平坦部分の両側端縁から垂設された両側垂壁部60aの内側の前後で枢支したガイドローラ63、63’を、カート支持フレーム5に一体の後下部レール51、51’のコ字状の溝部に嵌め込んで前後移動可能に構成している。
【0054】
また、荷台ベース60の両側垂壁部60a、60a’と後下部レール51、51’との対向面同士の間には、荷台ベース60の前後移動時の左右方向へのズレ防止のための摺動部材66を介設している。
【0055】
このような構成により電動モーター65の回転軸としての螺杆61の駆動回転力が図6図9に示すように螺杆61に螺嵌した螺合コマ62の上部の荷台ベース60のガイドローラ63、63’を介して後下部レール51、51’により上下規制されて螺杆61に沿った後部カート4の前後スライド力に変換され、後部カート4が後下部レール51、51’に沿って前後摺動することができる。
【0056】
なお、後部カート4の前後摺動は、上記スプライン嵌合機構に限定されることはなく、例えばシリンダー駆動により行うように構成してもよい。
【0057】
[4.後部カートにおけるストッパー機構]
後部カート4の荷台ベース60の左右側部には、図5及び図6に示すようにそれぞれ後ストッパー機構40が設けられており、後ストッパー機構40は荷台ベース60に略L字状のストッパー本体41を枢支し、ストッパー本体41の端縁部にはピストンロッド42前端の当接ローラ43が当接自在となって略L字状のストッパー本体41を枢支部44を中心にして回動させることにより図9及び図10に示すようにローラーコンベア1の高さ位置H(図中、一点鎖線で示す。)を基準に浮沈自在に構成している。
【0058】
図5図10中、45はピストンロッド42前端の当接ローラ43を伸縮させるために荷台ベース60中央部前方に設けたシリンダーである。シリンダー45は、例えばエアシリンダーを採用することができる。
【0059】
ピストンロッド42は、図7及び図8に示すように平面視略T字状に形成しており、シリンダー45により前後スライドするロッド本体部42aと、ロッド本体部42a先端の両側で当接ローラ43を設けるためのローラ枢軸部42bとにより構成している。
【0060】
略L字状のストッパー本体41は、基端を荷台ベース60から立上げた支持フレーム64上端に枢支し、先端部を枢支部44を中心に浮沈自在として荷物Bの下部前後端部に係合する係合部として構成している。
【0061】
なお、支持フレーム64に枢支されて沈降状態にあるL字状のストッパー本体41の高さ位置やストッパー本体41を枢支する支持フレーム64の上端高さ位置は、図9及び図10に示すように左右側のローラーコンベア1、1’の高さ位置H以下となるようにしている。
【0062】
換言すれば、搬送カートユニット2は基本的にはローラーコンベア1の高さ位置Hよりも低くなるようにし、荷物Bの荷重がローラーコンベア1、1’に負荷される一方で搬送カートユニット2に負荷されないように構成している。
【0063】
L字状のストッパー本体41は、図6図9及び図10に示すようにL字縦辺部41a上端を支持フレーム64上端に枢支し、L字縦辺部41aが枢支部44を中心に回動浮上して水平変位するとその先端で屈曲した先端部であるL字横辺部41bが起立変位して荷物Bのストッパー機能を果す。
【0064】
起立変位状態のL字横辺部41bは、その前面を荷物Bの後端面に面当接して荷物Bの後方下端部に係合して搬送カートユニット2の前進走行駆動力を荷物Bの後端から伝達する当接係合部として機能し、ローラーコンベア1上の荷物Bを前進搬送することを可能としている。
【0065】
より具体的には、シリンダー45のピストンロッド42が収縮した状態では、図9に示すように当接ローラ43は枢支部44の下方に位置し、ストッパー本体41は枢支部44を介して自重により降下回動してL字角部を荷台ベース60上面に当接した沈降状態となる。
【0066】
すなわち、ストッパー本体41は、沈降状態では図9に示すようにローラーコンベア1の高さ位置Hよりも低い位置、すなわち荷物Bに干渉しない高さ位置HにL字横辺部41bを傾倒変位させてL字横辺部41bの当接係合部としての機能を停止させるように構成している。
【0067】
一方で、シリンダー45のピストンロッド42が伸延した状態では、図10に示すように当接ローラ43は枢支部44より後方側に突出してストッパー本体41のL字縦辺部41aの背面と荷台ベース60上面との間に位置し、ストッパー本体41は枢支部44を介して上昇回動した浮上状態となる。
【0068】
このようにストッパー本体41は、浮上状態では図10に示すようにローラーコンベア1の高さ位置Hよりも高い位置、すなわち荷物Bに干渉する高さ位置にL字横辺部41bを起立変位させ、同L字横辺部41bをその内側面で荷物Bの端部面に面当接させる当接係合部としての機能させる。
【0069】
なお、浮上した後ストッパー本体41における起立状態のL字横辺部41bと後述する前ストッパー本体31における起立状態のL字横辺部31bとの間の距離が荷物中央部配置空間Sの前後長さとなる。
【0070】
従って、後部カート4が螺杆61のスプライン嵌合を介して後下部レール51に沿って前後摺動することにより前部カート3との間の荷物中央部配置空間Sの長さが調整されて大小サイズの荷物Bを荷物中央部配置空間Sに収納可能としている。
【0071】
しかも、後部カート4上の荷物中央部配置空間Sにおいては、シリンダー45の作用によりL字状のストッパー本体41を回動して浮上させて荷物サイズに合わせて荷物の後部固定を行うように構成している。
【0072】
また、荷台ベース60の左右側部でそれぞれ支持フレーム64に枢支された左右2個のストッパー本体41、41’は、1個のシリンダー45で伸縮作動する平面視T字状のピストンロッド42のローラ枢軸部42b両端に設けた左右2個の当接ローラ43により互いに同期した浮沈動作を行うように構成している。
【0073】
[5.カート支持フレームの移動構成]
カート支持フレーム5の前後下端の両側には図5~8に示すように前後進用ローラ52、52’が4つ軸支されており、該ローラ52、52’は図1図8に示すようにカート支持フレーム5の下方で前後方向に左右敷設したH型走行レール7、7’上に走行自在に載置されている。
【0074】
カート支持フレーム5の下部には、図4図8に示すように前後進用ローラ52、52’がH型走行レール7、7’から脱輪しないようにH型走行レール7、7’の両側端面(本実施例ではH型走行レール7、7’の上フランジの両側縁端面)に当接進行するための左右2個の規制ガイドローラ53、53’を当接している。
【0075】
図4及び図5中、符号54は、規制ガイドローラ53、53’を支持する支持機構であり、かかる支持機構54には更に脱輪防止用の当接ローラ55を設けておりH型走行レール7、7’のレール下側面に当接している。
【0076】
すなわち、左右内外の規制ガイドローラ53、53’によりH型走行レール7、7’の上フランジを両側側から挟みこむようように当接して左右方向のズレを規制すると共に前後進用ローラ52、52’と当接ローラ55とによりH型走行レール7、7’の上フランジを上下側から挟みこむようように当接して上下方向のズレを規制している。
【0077】
また、カート支持フレーム5の下部横架フレーム56には、図5図7及び図8に示すように走行用モーター80を搭載しており該モーター80の出力軸81は走行駆動用のピニオン・ラック機構8が連動連設されている。
【0078】
すなわち、出力軸81先端のピニオン82は、図1及び図2に示すようにH型走行レール7、7’に沿って敷設した走行駆動用ラック83と噛合して搬送カートユニット2をH型走行レール7、7’上で走行自在としている。
【0079】
なお、図4中、符号70は左右のH型走行レールを地上面に敷設固定するための基部土台であり、左右のH型走行レール7、7’の下面の要所毎にH型鋼土台フレーム71を横架し、土台アンカー72で地上面に支持固定している。
【0080】
[6.前部カートの構成]
前部カート3は、図3、及び図5図10に示すように上述した後部カート4と略同じ構造にしてカート支持フレーム5上に搭載されている。
【0081】
前後部カート3、4を搭載するためのカート支持フレーム5は一体の長手状に形成されて、該フレーム5の前部に前部カート3が該フレーム5の後部に後部カート4が搭載され、後部カート4は前述の通り荷物Bの前後サイズに応じて前部カート3との距離を調整すべく前後進自在に構成されている。
【0082】
また、前部カート3にもカート支持フレーム5上に前ストッパー機構30が設けられており、前ストッパー機構30は荷台ベース60の両側で立ち上がり形成した支持フレーム64に略L字状のストッパー本体31を枢支し、ストッパー本体31の後方にシリンダー35のピストンロッド32を設け、シリンダー35の作動によりその先端の当接ローラ33を介して略L字状のストッパー本体31を浮沈自在に構成している。
【0083】
前ストッパー機構30のL字状のストッパー本体31は、後ストッパー機構40と同様に、L字縦辺部31aの上端を支持フレーム64上端に枢支し、L字縦辺部31aが枢支部34を中心に回動浮上して水平に変位し、他方、L字状のストッパー本体31のL字横辺部31bは回転すると立上って荷物Bのストッパー機能を果す。
【0084】
すなわち、起立状態のL字横辺部31bは、その後面を荷物Bの前端面に面当接して搬送カートユニット2の後進走行駆動力を荷物Bの前端から伝達し、ローラーコンベア1上の荷物Bを後進搬送するように構成している。
【0085】
なお、本実施例に係る前部カート3の荷台ベース60はカート支持フレーム5前上部に一体として前部カート3は前後摺動しないように構成しているが、前部カート3を上述した後部カート4のようにスプライン嵌合機構やシリンダー駆動機構などの前後摺動機構を設けることができるのは勿論である。
【0086】
また、前部カート3のカート支持フレーム5下方には、後部カート4と同様に左右の前後進用ローラ52、52’やH型走行レール7、7’からの脱輪を防ぐ規制ガイドローラ53、53’等が装備されている。
【0087】
[7.工場荷搬送装置の使用形態]
以上のように構成した搬送カートユニット2は、カート支持フレーム5上部の前後部カート3、4を介してその上方位置にある荷物Bの前後下端部に引っ掛けるようにしてカート支持フレーム5をH型走行レール7、7’上で走行駆動させることによりローラーコンベア1、1’で荷物Bを搬送するものである。
【0088】
かかる搬送カートユニット2走行のためのH型走行レール7、7’は所定間隔で並設された2列のローラーコンベア1、1’列間に敷設さており、搬送カートユニット2の前後にわたってその上方位置の荷物中央部配置空間Sに配置した所定幅員の荷物Bは、所定の幅員の左右端部をH型走行レール7、7’両側のローラーコンベア1、1’上に横架状態で載置されると共に荷物Bの中央部前後下端部を搬送カートユニット2により把持、すなわち前後部カート3、4の前後ストッパー機構30、40により係止した状態となっている。
【0089】
このような状態において、荷物Bの荷重は、ローラーコンベア1、1’に負荷されるが、ローラーコンベア1、1’の高さ位置よりも低い位置に装置された搬送カートユニット2に負荷されることはない。
【0090】
かかる状態で、一定サイズの荷物Bをローラーコンベア1、1’上に連続して並べるに際しては、荷物Bの中央部は荷物Bの前後サイズに合わせて修正して合致した前後部カート3、4間の荷物中央部配置空間Sに配置し、且つ荷物Bの両側部は左右側に並列したローラーコンベア1、1’上に跨がって横架される。
【0091】
かかる状態では荷物Bは図1に示すように基本的に左右のローラーコンベア1、1’に載置されて横架形態となり、同横架形態の荷物Bはその中央前後下端部で左右のローラーコンベア1、1’間で走行駆動源となる搬送カートユニット2の前後部カート3、4により支持されて搬送カートユニット2の前後駆動走行に伴って前後進走行する。
【0092】
従って、荷物Bは、走行動力を全く有しない左右のローラーコンベア1、1’に載置されているにもかかわらず、左右のローラーコンベア1、1’間に敷設されたH型走行レール7、7’に沿って前後部カート3、4を介して走行搬送されるようになる。
【0093】
すなわち、搬送カートユニット2は、ピニオン・ラック機構8を介して前後進走行を行うことができるため、左右のローラーコンベア1、1’上に横架載置された荷物Bを図1に示すようにローラーコンベア1、1’の搬送方向の所定位置まで搬出側に向けて前進走行して搬送定置した後、該荷物Bの下方を潜るようにして搬入側にむけて後進走行し、図2に示すように搬入側のローラーコンベア1、1’上の別の荷物Bを搬出側へ搬送する作動を繰り返すことができる。
【0094】
具体的には、搬送カートユニット2は、図11(a)に示すように荷物Bの未搬送形態では、前後部カート3、4における前後ストッパー機構30、40の前後ストッパー本体31、41を沈降状態とし、該前後ストッパー本体31、41を左右のローラーコンベア1、1’の高さ位置Hよりも低い位置とした荷物Bに干渉しない独立走行形態とする。
【0095】
そして、荷物Bを搬送するに際しては、かかる独立走行形態の搬送カートユニット2を、図11(b)に示すようにローラーコンベア1、1’に定置された荷物Bの下方位置で走行させ、図12(a)に示すように搬送対象とする荷物Bの直下位置で停止させ、図13(b)に示すように前後ストッパー機構30、40の前後ストッパー本体31、41の各L字横辺部31b、41b(先端部)を左右のローラーコンベア1、1’の高さ位置Hよりも高い位置に作動変位させた荷物Bの荷物搬送形態とする。
【0096】
具体的には、独立走行形態の搬送カートユニット2は、図11(a)に示すように走行時や停止時に制御部に入力した荷物Bの前後サイズ情報をもとに後部カート4を前後摺動機構6により前後摺動し、図11(b)に示すように前部カート3との間の荷物中央部配置空間Sのサイズを予め荷物Bの前後サイズに応じて調整する。
【0097】
なお、大きさの異なる荷物Bについても制御部に入力した各種荷物の前後サイズ情報をもとに各種荷物Bの前後長さに合わせた荷物中央部配置空間Sの前後伸縮調整を予め行うことができることは勿論である。
【0098】
このように荷物中央部配置空間Sを荷物Bの前後サイズと略同じ前後サイズに調整した搬送カートユニット2は、図11(b)に示すように荷物Bの下方位置で後進走行し、図12(a)に示すように荷物Bの直下位置に荷物中央部配置空間Sを位置づけて停止する。
【0099】
次いで、図12(b)に示すように後部カート4の後ストッパー機構40のストッパー本体41が上昇回動して先端部、すなわちL字横辺部41bを荷物Bの後端部の手前で起立状態とし、図13(a)に示すようにL字横辺部41bの起立状態を保持した搬送カートユニット2を荷物Bの後端部にストッパー本体41のL字横辺部41bが当接するまで前進走行させる。
【0100】
次いで、図13(b)に示すように前部カート3の前ストッパー機構30を上昇回動してL字横辺部31bを起立状態とし、荷物Bの前端部にストッパー本体31のL字横辺部31bを係合させて、搬送カートユニット2を荷物Bの前後サイズに合致する荷物中央部配置空間Sとした荷物搬送形態にする。
【0101】
なお、前ストッパー機構30のL字横辺部31bと荷物Bの前端部との間に隙間がある場合には、前後摺動機構6により後部カート4を荷物Bごと、荷物Bの前端部がL字横辺部31bに当接するまで前進させて荷物中央部配置空間Sの前後サイズの微調整を行う。
【0102】
このようにして荷物中央部配置空間Sの前後伸縮調整を行った搬送カートユニット2は、前後部カート3、4における前後ストッパー機構30、40の前後ストッパー本体31、41を浮上状態、すなわち前後ストッパー本体31、41の各L字横辺部31b、41bを起立状態にして左右のローラーコンベア1、1’の高さ位置Hよりも高い位置とした荷物Bの荷物搬送形態とする。
【0103】
すなわち、搬送カートユニット2は、荷物搬送形態において、荷物Bの前後端部を起立状態の前後ストッパー本体31、41の先端部、すなわち各L字横辺部31b、41bで前後両側から挟持するように前後ストッパー機構30、40を介して荷物Bを搬送カートユニット2に固定可能に構成している。
【0104】
かかる荷物搬送形態の搬送カートユニット2を前進走行させることによりローラーコンベア1、1’上で荷物Bを前進搬送させ、図14(a)に示すようにローラーコンベア1、1上の所望位置に荷物Bが位置したところで搬送カートユニット2を停止する。
【0105】
次いで、前後部カート3、4の前後ストッパー機構30、40における前後ストッパー本体31、41を、図14(b)に示すように同時に降下回動して浮沈状態とすることにより荷物Bとの係合を解除して、搬送カートユニット2を独立走行形態にすると共に荷物Bをローラーコンベア1、1’に定置する。
【0106】
なお、搬送カートユニット2を後進走行させる場合には、前後ストッパー機構30のストッパー本体31を起立作動させた後で、後ストッパー機構40のストッパー本体41を起立作動させる以外は、上述の前進走行させる場合と同じである。
【0107】
以上のような搬送カートユニット2の作動フローによりローラーコンベア1、1’上での荷物Bの振動(ガタ)を小さくすることができる。
【0108】
また、荷物搬送形態とした搬送カートユニット2をH型走行レール7、7’上で走行することにより、図1に示すようにローラーコンベア1、1’上に跨持された荷物Bをローラーコンベア1、1’上の所望の位置まで搬送することができる。
【0109】
さらに、前後部カート3、4の前後ストッパー機構30、40を沈降状態とした独立走行形態の搬送カートユニット2をローラーコンベア1、1’上に跨持定置した荷物Bの下方で走行させて、図2に示すように搬入側の別の荷物Bの下方位置で停止させ、上記荷物搬送形態とすることにより複数の荷物Bを順次搬送する動作を繰り返すことができる。
【0110】
すなわち、搬送カートユニット2を独立走行形態や荷物搬送形態といった各種走行形態にすることにより、駆動源を持たないローラーコンベア1、1’の所望の位置に荷物Bを載置搬送することができ、例えば、左右のローラーコンベア1、1’間に複数の荷物Bをローラーコンベア1、1’の長手方向に沿って順次並置し、並置された複数の荷物Bの検品作業を順次又は同時行うことができる。
【0111】
しかも、複数の異なるサイズの荷物Bであっても、ローラーコンベア1、1’上に各種サイズの荷物Bに応じた荷物搬送形態を実現して正確な搬送を行うことができ、さらにローラーコンベア1、1’上に一定間隔を開けて整然と並べて載置する並置作業を精密に行うことができる。
【0112】
[8.ローラーコンベアの他の実施例]
図1~3に示す左右のローラーコンベア1b、1b’は、左右間隔を幅狭としたローラーコンベア列である。すなわち、ローラーコンベア1、1’は搬送カートユニット2で搬送する荷物Bの幅員に応じて左右2列のローラーコンベアを二態様形成している。
【0113】
すなわち、幅員の大きな荷物Bは左右外側のローラーコンベア1a、1a’を使用し、幅員の小さな荷物は左右外側のローラーコンベア1a、1a’の間に敷設した2列の左右内側のローラーコンベア1b、1b’を使用する。
【0114】
従って、本実施例では左右外側の2列と左右内側の2列の計4列のローラーコンベア1a、1a’、1b、1b’が設けられており、荷物Bの左右サイズに合わせて左右外側と左右内側のいずれかのローラーコンベアを使用するか選択できるようにしている。
【0115】
なお、左右内側のローラーコンベア1b、1b’は、左右外側のローラーコンベア1a、1a’よりも低位置に配置して左右外側のローラーコンベア1a、1a’に幅員大の荷物Bを横架した際に干渉して支障とならないようにしている。
【0116】
以上、説明してきたように、本発明によれば搬送用のローラーコンベアの機構を簡素化でき、搬送駆動力を付与する搬送カートユニットをサイズの異なる荷物に適合した搬送形態にして個々の荷物を搬送することができ、しかも搬送形態に応じた正確な制御管理ができる搬送作業を簡単に行うことができ、低コストで搬送効率を向上することができる効果がある。
【符号の説明】
【0117】
A 工場荷搬送装置
B 荷物
1、1’ ローラーコンベア
2 搬送カートユニット
3 前部カート
30 前ストッパー機構
4 後部カート
40 後ストッパー機構
5 カート支持フレーム
6 前後摺動機構
7、7’ H型走行レール
8 ピニオン・ラック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14