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  • 特許-有機廃棄物の処理方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】有機廃棄物の処理方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/45 20220101AFI20221213BHJP
   C02F 11/08 20060101ALI20221213BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20221213BHJP
【FI】
B09B3/45 ZAB
C02F11/08
B09B101:70
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019008200
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2019126805
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】20185059
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】509003209
【氏名又は名称】エバック オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤリ ヨケラ
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-120746(JP,A)
【文献】特表2004-525756(JP,A)
【文献】特開2017-051943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0122746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
C02F 11/00- 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水熱炭化による有機廃棄物の処理方法であり、有機廃棄物が少なくとも1つの有機廃棄物源から少なくとも1つの湿潤廃棄物タンク(1,2)に供給され、有機廃棄物が前記少なくとも1つの湿潤廃棄物タンクから湿潤廃棄物混合タンク(3)に供給され、混合湿潤廃棄物の第1のバッチが前記湿潤廃棄物混合タンク(3)から第1の熱反応器(5)へ供給され、前記混合湿潤廃棄物の第1のバッチが熱加水分解プロセスにおいて、所与のプロセス条件下で前記混合湿潤廃棄物の連続混合下で加熱および加圧を受け、その後、混合湿潤廃棄物の第2のバッチが前記湿潤廃棄物混合タンク(3)から第2の熱反応器(6)に供給され、前記混合湿潤廃棄物の第2のバッチが、熱加水分解プロセスにおいて所与のプロセス条件下で前記混合湿潤廃棄物の連続混合下で加熱および加圧を受け、その後、加水分解プロセスバイオチャースラッジ(BCS)が、前記バイオチャースラッジ(BCS)を冷却するために前記第1の熱反応器(5)または前記第2の熱反応器(6)からバイオチャー冷却器(7)へ交互に排出され、前記熱加水分解プロセスのための加熱および加圧が、前記それぞれの加水分解プロセスについて交互に前記第1の熱反応器(5)から前記第2の熱反応器(6)へ、または前記第2の熱反応器(6)から前記第1の熱反応器(5)へ蒸気を供給することによって行われる方法であって、前記第1の熱反応器(5)からの蒸気(S)が前記第2の熱反応器(6)に供給された後に、または前記第2の熱反応器(6)からの蒸気(S)が前記第1の熱反応器(5)に供給された後に、前記所与のプロセス条件を達成するために前記それぞれの加水分解プロセスについて交互に、前記第1の熱反応器(5)からの高温加圧水(W)が前記第2の熱反応器(6)に供給され、または前記第2の熱反応器(6)からの高温加圧水(W)が前記第1の熱反応器(5)に供給されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
蒸気源(4)からの補助蒸気が、前記第1の熱反応器(5)内で第1の熱加水分解プロセスを開始するために前記第1の熱反応器(5)に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオチャースラッジ(BCS)が、熱交換回路(8)によって前記バイオチャー冷却器(7)内で冷却されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱交換回路(8)には、循環ポンプ(82)を持つ冷却水回路(81)および前記バイオチャー冷却器(7)内に配置される熱交換器(83)が設けられ、かつ、前記冷却水回路(81)内でおよび前記熱交換器(83)を通して循環される水の蒸発から生じる蒸気が、前記それぞれの加水分解プロセスについて交互に前記第1の熱反応器(5)または前記第2の熱反応器(6)に導かれることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記所与のプロセス条件を達成するために、追加の混合湿潤廃棄物が、前記それぞれの加水分解プロセスについて交互に前記第2の熱反応器(6)または前記第1の熱反応器(5)に供給されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記所与のプロセス条件を達成するために、補助蒸気が、前記それぞれの加水分解プロセスについて交互に蒸気源(4)から前記第2の熱反応器(6)または前記第1の熱反応器(5)に供給されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記所与のプロセス条件が、200~250℃の所与の温度レベルの温度を含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記所与のプロセス条件が、20~25バールの所与の圧力レベルの圧力を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所与のプロセス条件が、3~5時間の所与のプロセス時間を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機廃棄物が、バイオスラッジおよび食品廃棄物から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
所与のプロセス条件下での水熱炭化による有機廃棄物の処理システムであり、少なくとも1つの有機廃棄物源と、少なくとも1つの湿潤廃棄物タンク(1、2)と、湿潤廃棄物混合タンク(3)と、少なくとも第1の熱反応器(5)および第2の熱反応器(6)と、バイオチャー冷却器(7)と、熱加水分解プロセスのために熱および圧力を与えるために交互に前記第1の熱反応器(5)から前記第2の熱反応器(6)へ、または前記第2の熱反応器(6)から前記第1の熱反応器(5)へ蒸気を供給するために前記第1の熱反応器(5)と前記第2の熱反応器(6)との間に接続を提供するための弁(44、46)が設けられる少なくとも1つの蒸気導管(43、45)とを備えるシステムであって、前記システムが、所与のプロセス条件を達成するために交互に前記第1の熱反応器(5)から前記第2の熱反応器(6)へ、または前記第2の熱反応器(6)から前記第1の熱反応器(5)へ高温加圧水を供給するために、前記第1の熱反応器(5)と前記第2の熱反応器(6)との間で接続を提供するためのポンプ(53、63)が設けられる少なくとも1つの水導管(52、62)を追加として含むことを特徴とする、システム。
【請求項12】
前記システムが、蒸気導管(41)を介して前記第1の熱反応器(5)および前記第2の熱反応器(6)に接続される補助蒸気源(4)を含むことを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの湿潤廃棄物タンクが、第1の湿潤廃棄物タンク(1)および第2の湿潤廃棄物タンク(2)を含むことを特徴とする、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記バイオチャー冷却器(7)には、冷却水回路(81)と、ポンプ(82)と、前記バイオチャー冷却器(7)内に配置される熱交換器(83)とを含む熱交換回路(8)が設けられ、かつ、少なくとも1つの弁が設けられる蒸気導管(84、88、89)が、前記冷却水回路(81)および前記第1の熱反応器(5)および前記第2の熱反応器(6)に接続されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記有機廃棄物が、バイオスラッジおよび食品廃棄物を含むことを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求項1の特徴付け以前の部分に従って、本発明は、水熱炭化による有機廃棄物の処理の方法であって、有機廃棄物が少なくとも1つの有機廃棄物源から少なくとも1つの湿潤廃棄物タンクに供給され、有機廃棄物が少なくとも1つの湿潤廃棄物タンクから湿潤廃棄物混合タンクに供給され、混合湿潤廃棄物の第1のバッチが湿潤廃棄物混合タンクから第1の熱反応器へ供給され、混合湿潤廃棄物の第1のバッチが熱加水分解プロセスにおいて、所与のプロセス条件下で混合湿潤廃棄物の連続混合下で加熱および加圧を受け、その後、混合湿潤廃棄物の第2のバッチが湿潤廃棄物混合タンクから第2の熱反応器に供給され、混合湿潤廃棄物の2のバッチが、熱加水分解プロセスにおいて所与のプロセス条件下で混合湿潤廃棄物の連続混合下で加熱および加圧を受け、その後、加水分解プロセスバイオチャースラッジが、バイオチャースラッジを冷却するために第1の熱反応器または第2の熱反応器からバイオチャー冷却器へ交互に排出され、熱加水分解プロセスのための加熱および加圧が、それぞれの加水分解プロセスについて交互に第1の熱反応器から第2の熱反応器へ、または第2の熱反応器から第1の熱反応器へ蒸気を供給することによって行われる方法に関する。また、本発明は、水熱炭化による有機廃棄物の処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機廃棄物の処理のための水熱炭化処理はよく知られている。一般に、供給材料、すなわち有機廃棄物の予熱は、処理済みの排出された廃棄物スラッジを冷却するために使用される熱交換器を用いて熱を回収することによって行われる。排出された廃棄物スラッジの温度が高いため、有機材料は熱交換器の表面に容易に堆積し、それにより、やがてプロセスの総合エネルギー効率が低下する。
【0003】
熱炭化処理システムの例は、たとえば、米国特許出願公開第2017/0327387号明細書、米国特許出願公開第2015/0122746号明細書、および米国特許第6,966,989号明細書により知られている。知られているシステムは、複雑であり、多段階プロセスを含んでいる。効率を改善するための試みが、たとえば、あるプロセス段階から別のプロセス段階への周期的なプロセスおよび蒸気の再利用によって行われている。しかしながら、知られているシステムは、依然として効率の悪いままであり、かなりの量の熱エネルギーの損失をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0327387号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0122746号明細書
【文献】米国特許第6,966,989号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点を回避し、省エネルギーで水熱炭化による有機廃棄物の効率的な処理方法を提供することである。この目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0006】
一般的なレベルで、本発明は、所与のプロセス時間(期間)を持つ熱化学プロセスである水熱炭化処理に関し、その場合、有機材料は、密閉反応器内の温度を約200~250℃に上昇させることによって炭素イオンに分解され、それによって、圧力もまた約20~25バールに上昇される。有機材料は分解し、結果として得られる炭素が、芳香族炭素化合物に再凝縮する。このプロセスの最終生成物は、バイオチャーであり、その化学組成は、化石石炭に類似している。主な所与のプロセス条件は、温度、圧力,および処理時間(期間)である。また、プロセス条件は、プロセスパラメータと呼ばれる場合もある。
【0007】
本発明の基本理念は、順序付けされた水熱炭化処理を提供することであり、その場合、少なくとも2つの同目的の熱反応器が、交互にまたは周期的にバッチ式に供給され、現在のバッチ式処理プロセスの熱エネルギーが、先行する工程から現在の工程へ蒸気および水を移送することによって先行するバッチ式処理プロセスから伝達される。これは、第1の熱反応器からの蒸気が第2の熱反応器に供給された後に、または第2の熱反応器からの蒸気が第1の熱反応器に供給された後に、所与のプロセス条件を達成するためにそれぞれの加水分解プロセスについて交互に、第1の熱反応器からの高温高圧水が第2の熱反応器に供給され、または第2の熱反応器からの高温高圧水が第1の熱反応器に供給されるということで達成される。
【0008】
この配置により、システム自体の中でのエネルギーの使用を最適化するコンパクトなシステムを実現することができる。したがって、これは、空間の使用が制限され、外部エネルギーの供給が利用できない船舶に設置されるのに有利なシステムである。
【0009】
加水分解プロセスを開始するために、蒸気源からの補助蒸気が、第1の熱反応器内で第1の熱加水分解プロセスを開始するために第1の熱反応器に供給されることが有利である。
【0010】
有利なことに、バイオチャースラッジは、熱交換回路によってバイオチャー冷却器内で冷却される。これは、エネルギー経済の点から見て有利である。
【0011】
熱交換回路には、循環ポンプとバイオチャー冷却器内に配置される熱交換器とを持つ冷却水回路が設けられることが有利である。冷却水回路内で、および熱交換器を通して循環される水の蒸発から生じる蒸気は、それぞれの加水分解プロセスについて交互に第1の熱反応器または第2の熱反応器に導かれる。これにより、プロセスのエネルギー効率が高められる。
【0012】
所与のプロセス条件を達成するために、追加の混合湿潤廃棄物が、それぞれの加水分解プロセスについて交互に第2の熱反応器または第1の熱反応器に導かれる。これは、必要な場合は有利な補助手段である。
【0013】
所与のプロセス条件を達成するためのもう1つの代替的な補助手段によれば、補助的蒸気が、それぞれの加水分解プロセスについて交互に蒸気源から第2の熱反応器または第1の熱反応器に供給される。
【0014】
所与のプロセス条件は、200~250℃の所与の温度レベルの温度を含む。さらに、所与のプロセス条件は、20~25バールの所与の圧力レベルの圧力を含む。加水分解プロセスの期間を考慮して、所与のプロセス条件は、3~5時間の所与の工程時間を含む。これらの所与のプロセス条件は、所望のプロセス条件を構成する。
【0015】
有機廃棄物はバイオスラッジおよび食品廃棄物から選択される。
【0016】
本発明による方法の有利な特徴は、請求項2~10に与えられる。本発明によるシステムは、請求項11に規定される。このシステムの有利な特徴は、請求項12~15に規定される。
【0017】
以下において、本発明は、添付の概略図を参照して単に例示として説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明によるシステムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態が、図1に示されている。水熱炭化による有機廃棄物の処理システムは、少なくとも1つの有機廃棄物源、この実施形態においては2つの有機廃棄物源を含む。この実施形態における有機廃棄物は、第1の湿潤廃棄物WW1および第2の湿潤廃棄物WW2として示される。第1の湿潤廃棄物WW1は、符号1で示される第1の湿潤廃棄物タンクに供給される。第2の湿潤廃棄物WW2は、符号2で示される第2の湿潤廃棄物タンクに同様に供給される。次いで、第1の湿潤廃棄物WW1は、供給導管11を通してポンプ12によって第1の湿潤廃棄物タンク1から湿潤廃棄物混合タンク3に供給される。第2の湿潤廃棄物WW2は、供給導管21を通してポンプ22によって第2の湿潤廃棄物タンク2から湿潤廃棄物混合タンク3に同様に供給される。湿潤廃棄物混合タンク3には、第1の湿潤廃棄物および第2の湿潤廃棄物を混合するための、およびさらなる処理のために混合湿潤廃棄物を供給するための混合装置31が設けられる。湿潤廃棄物は、たとえば、いわゆるバイオスラッジおよび食品廃棄物の形態であってもよい。
【0020】
本発明の方法は、水熱炭化による有機廃棄物の処理方法に関し、これは、順序付けされた、および交互のまたは周期的な工程で行われ、その場合、第1の初期工程は第1の熱反応器で行われ、その後、第2の工程は第2の熱反応器で行われる。これは、第1の熱反応器内の工程、および次いで、再び第2の熱反応器内の工程が続く。このように、処理シーケンスが、反応器から反応器へ交互に続く。
【0021】
第1の初期段階においては、混合湿潤廃棄物の初期バッチが、高圧ピストンポンプ33であることが有利である高圧ポンプ33によって、供給導管32および35を通して湿潤廃棄物混合タンク3から第1の熱反応器5に供給される。混合湿潤廃棄物の流れは、三方弁34によって湿潤廃棄物混合タンク3から来る供給導管32から第1の熱反応器5につながる供給導管35に方向づけられる。第1の熱反応器5には、受け入れられた混合湿潤廃棄物の連続混合を提供するための混合装置51が設けられる。
【0022】
第1の熱反応器5において第1の熱加水分解プロセスを開始するために、蒸気源4からの補助蒸気が、第1の熱反応器5に接続される蒸気導管41によって第1の熱反応器5に供給される。補助蒸気の流れは三方弁42によって方向づけられる。第1の熱反応器5内の処理温度は、約200~250℃の所与の温度レベルに上昇され、それによって、圧力レベルは、対応する方法で約20~25バールの所与のレベルに上昇される。第1の熱反応器5内の混合湿潤廃棄物は、同時に、混合装置51によって連続混合を受け、約3~5時間の所与の処理時間、好ましくは約4時間の所与の時間の間、反応器内に保持される。上で論じた所与の温度レベル、所与の圧力レベル、および所与の処理時間は、以下では所与のプロセス条件、換言すれば所望のプロセス条件と呼ばれることになる。
【0023】
第1の熱反応器5での処理が完了されると、混合湿潤廃棄物の混合は、バイオチャースラッジBCSが第1の熱反応器5の底部に沈澱物として堆積されることになる。
【0024】
第1の熱反応器5における処理が完了した後、混合湿潤廃棄物の第2のバッチが、高圧ポンプ33によって湿潤廃棄物混合タンク3から供給導管32および36を通して第2の熱反応器6に供給される。混合湿潤廃棄物の流れは、三方弁34によって、湿潤廃棄物混合タンク3から来る供給導管32から第2の熱反応器6につながる供給導管36に方向づけられる。第2の熱反応器6には、受け入れられた混合湿潤廃棄物の連続混合を提供するための混合装置61が設けられる。
【0025】
第2の熱反応器6内で熱加水分解プロセスを開始するために、第2の熱反応器6内の温度および圧力が上昇される。これは、第1の熱反応器5の上部と第2の熱反応器6の下部との間に接続を提供する蒸気導管43を通して第1の熱反応器5から蒸気Sを供給することによって達成される。このように、蒸気Sが加水分解プロセス中に蓄積している第1の熱反応器5の上部から第2の熱反応器6の下部に蒸気が供給されて、湿潤廃棄物を混合し、湿潤廃棄物の塊に熱を分配する。蒸気導管43には、蒸気の流れを制御するための二方弁44が設けられる。弁44が開かれ、第1の熱反応器5からの蒸気Sは、圧力が反応器の間で等しくされるように第2の熱反応器6に流れ始める。
【0026】
混合湿潤廃棄物が連続混合下でおよび第1の熱反応器5内での上で論じた所与のプロセス条件下で処理され、バイオチャースラッジBCSが第1の熱反応器5の底部に沈澱物として堆積された後に、バイオチャースラッジBCSは、排出導管37を通して冷却目的でバイオチャー冷却器7に導かれる。バイオチャースラッジBCSがバイオチャー冷却器7内で十分な程度まで冷却された後、バイオチャースラッジBCSは,その後の乾燥工程(図示せず)のためにバイオチャー冷却器7から排出され得る。
【0027】
バイオチャー冷却器7には、循環ポンプ82を持つ冷却水回路81とバイオチャー冷却器7内に配置される熱交換器83とを含む熱交換回路8が設けられる。冷却水回路81内でおよび熱交換器83を通して循環ポンプ82によって循環される水は、冷却プロセス中に蒸発し、それによって、結果として生じる蒸気は、冷却水回路81から取り出されることができ、蒸気導管84および加圧逆止め弁85を通して圧力容器86に導かれ得る。次いで、必要に応じて、蒸気は、三方弁87を介して蒸気導管89によって圧力容器86から第2の熱反応器6に導かれ得る。このように、圧力容器86から第2の熱反応器6につながる蒸気導管89への蒸気の流れは、三方弁87によって方向づけられる。
【0028】
最後に、第1の熱反応器5からの高温高圧水Wは、第2の熱反応器6における所与のプロセス条件を提供するように、ポンプ53が設けられる水導管52によって第2の熱反応器6に所与のレベルまで供給される。ポンプ53は、所与のプロセス条件を提供するために高圧ポンプであることが有利である。水導管52は、第1の熱反応器5の水Wレベルと第2の熱反応器6の水Wレベルとの間の接続を提供する。
【0029】
必要に応じて、追加の混合湿潤廃棄物が、高圧ポンプ33によって湿潤廃棄物混合タンク3から第2の熱反応器6に導かれ、その結果、第2の熱反応器6内の圧力レベルは、約20~25バールの所与の圧力レベルまで上昇される。必要ならば所与の圧力レベルを達成するために、さらなる圧力の上昇が、蒸気導管41によって蒸気源4から補助蒸気を供給することによって達成され得る。補助蒸気の流れは、三方弁42によって方向づけられる。
【0030】
第2の熱反応器6におけるプロセス条件は、第1の熱反応器5におけるのと同じであることが好ましい。水熱炭化処理は発熱を伴い、それによって、熱エネルギーが化学反応により放出され、それにより高温および高圧の維持が確保される。反応器は、説明した蒸気および水の供給を除いて、混合湿潤廃棄物を反応器に供給した後は、閉じたシステムとなる。
【0031】
第2の熱反応器6におけるプロセスが上で論じたように第1の熱反応器5におけるのと対応する方法で完了されると、処理シーケンスは、第2の熱反応器6に関して上で論じたのと同じ方法で第1の熱反応器5において次の水熱プロセスを実行するために逆にされる。
【0032】
第1の熱反応器および第2の熱反応器におけるプロセスは、交互に行われる。
【0033】
混合湿潤廃棄物が第2の熱反応器6において連続混合の下でおよび上で論じた所与のプロセス条件下で処理され、バイオチャースラッジBCSが第2の熱反応器6の底部に沈澱物として堆積された後に、バイオチャースラッジBCSは、排出導管37を通して冷却目的でバイオチャー冷却器7に導かれる。バイオチャースラッジBCSがバイオチャー冷却器7内で十分な程度まで冷却された後、バイオチャースラッジBCSは,その後の乾燥工程(図示せず)のためにバイオチャー冷却器7から排出され得る。
【0034】
その結果として、混合湿潤廃棄物は、上で論じたように湿潤廃棄物混合タンク3から第1の熱反応器5に導かれる。
【0035】
第1の熱反応器5内で新たな熱加水分解プロセスを開始するために、第1の熱反応器5内の温度および圧力が上昇される。これは、第2の熱反応器6の上部と第1の熱反応器5の下部との間の接続を提供する蒸気導管45を通して第2の熱反応器6から蒸気Sを供給することによって達成される。このように、蒸気Sが加水分解プロセス中に蓄積している第2の熱反応器6の上部から第1の熱反応器5の下部に蒸気が供給されて、湿潤廃棄物を混合し、湿潤廃棄物の塊に熱を分配する。蒸気導管45には、蒸気の流れを制御するための二方弁46が設けられる。弁46が開かれ、第2の熱反応器6からの蒸気Sは、圧力が反応器の間で等しくされるように第1の熱反応器5に流れ始める。
【0036】
第1の熱反応器5に所与のプロセス条件を提供するために、第2の熱反応器6からの高温高圧水Wは、ポンプ63が設けられる水導管62によって第1の熱反応器5に所与のレベルまで供給される。ポンプ63は、所与のプロセス条件を提供するために高圧ポンプであることが有利である。水導管62は、第2の熱反応器6の水Wレベルと第1の熱反応器5の水Wレベルとの間の接続を提供する。
【0037】
換言すれば、蒸気と高温高圧水の供給が両方とも、第1の熱反応器5と第2の熱反応器6との間で交互に同じような方法で行われ得る。
【0038】
その結果として、蒸気が第2の熱反応器6から供給され得るので、蒸気源4からの補助蒸気の供給は、第1の熱反応器5における熱加水分解プロセスを開始するために必要とされない。
【0039】
したがって、第2の熱反応器6に関して上で論じた他の処理ステップがまた、必要に応じて第1の熱反応器5に関して適用され得る。
【0040】
第1の熱反応器5におけるプロセスが完了すると、新たなプロセスが、第2の熱反応器6において開始され、反応器から反応器へ交互に同じように続く。
【0041】
この配置により、システム自体の中でのエネルギーの使用を最適化するコンパクトなシステムを実現することができる。したがって、これは、空間の使用が制限され、外部エネルギーの供給が利用できない船舶に設置されるのに特に有利なシステムである。
【0042】
説明および添付の概略図は、本発明の基本理念を明らかにすることのみを意図しており、それによって、本発明は、その後に続く特許請求の範囲内で、たとえば海洋構造物の種類、側壁、側壁の材料および構造、活性化手段、カバー構造などに関して詳細に変更することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 第1の湿潤廃棄物タンク
2 第2の湿潤廃棄物タンク
3 湿潤廃棄物混合タンク
4 蒸気源
5 第1の熱反応器
6 第2の熱反応器
7 バイオチャー冷却器
8 熱交換回路
11 供給導管
12 ポンプ
21 供給導管
22 ポンプ
31 混合装置
32 供給導管
33 高圧ピストンポンプ
34 三方弁
35 供給導管
36 供給導管
37 排出導管
41 蒸気導管
42 三方弁
43 蒸気導管
44 二方弁
45 蒸気導管
46 二方弁
51 混合装置
52 水導管
53 ポンプ
61 混合装置
62 水導管
63 ポンプ
81 冷却水回路
82 循環ポンプ
83 熱交換器
84 蒸気導管
85 加圧逆止め弁
86 圧力容器
87 三方弁
89 蒸気導管
BCS バイオチャースラッジ
S 蒸気
W 高温加圧水
WW1 第1の湿潤廃棄物
WW2 第2の湿潤廃棄物
図1