(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】撮像レンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20221213BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2019013006
(22)【出願日】2019-01-29
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】杉 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-063877(JP,A)
【文献】特開2019-028201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第1レンズ、負のパワーを有する第2レンズ、物体側に凸面を向けた正のパワーを有する第3レンズ、開口絞り、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第4レンズ、物体面及び像面に凸面を向けた正のパワーを有する第5レンズ、からなる撮像レンズ系であって、
前記第3レンズの中心光軸での厚さをT3、レンズ系全体の焦点距離をfと定義したときに、下記の条件式(1)を満た
し、
T3/f>2.5 (1)
前記第4レンズのアッベ数が23未満である撮像レンズ系。
【請求項2】
前記第4レンズのアッベ数をv4、前記第5レンズのアッベ数をv5と定義したときに、下記の条件式(2)を満たす請求項
1に記載の撮像レンズ系。
v4/v5≦0.4 (2)
【請求項3】
前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第5レンズの焦点距離をf5と定義したときに、下記の条件式(3)を満たす請求項1
または2に記載の撮像レンズ系。
-2<f4/f5<-1 (3)
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の撮像レンズ系と、
前記撮像レンズ系の焦点位置に配置された撮像素子と、を備える撮像装置。
【請求項5】
物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第1レンズ、負のパワーを有する第2レンズ、物体側に凸面を向けた正のパワーを有する第3レンズ、開口絞り、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第4レンズ、物体面及び像面に凸面を向けた正のパワーを有する第5レンズ、からなる撮像レンズ系であって、
前記第3レンズの中心光軸での厚さをT3、レンズ系全体の焦点距離をf、前記第4レンズのアッベ数をv4、前記第5レンズのアッベ数をv5と定義したときに、下記の条件式(1)、(2)を満たす撮像レンズ系。
T3/f>2.5 (1)
v4/v5≦0.4 (2)
【請求項6】
前記第4レンズのアッベ数が23未満である請求項5に記載の撮像レンズ系。
【請求項7】
前記第4レンズの焦点距離をf4、前記第5レンズの焦点距離をf5と定義したときに、下記の条件式(3)を満たす請求項5または6のいずれかに記載の撮像レンズ系。
-2<f4/f5<-1 (3)
【請求項8】
請求項5から7のいずれか一項に記載の撮像レンズ系と、
前記撮像レンズ系の焦点位置に配置された撮像素子と、を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像レンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用カメラや監視カメラ等の用途では、小型化とともに、安価に構成可能で、広角で高性能であることが求められている。
【0003】
このようなレンズ系として、特許文献1には、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負のメニスカス形状の第1レンズ、負の第2レンズ、正の第3レンズ、絞り、負の第4レンズ、および正の第5レンズからなり、第4レンズL4と第5レンズL5とは接合されており、接合面は物体側に凸面を向け、接合面は非球面からなり、接合面の曲率半径をR9、全系の焦点距離をfとするとき、1.0<R9/fを満足する撮像レンズが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のレンズ系では、撮像面中心に向かう光束(特許文献の
図9の2で示される光束)と、撮像面周辺に向かう光束(特許文献の
図9の3で示される光束)とが、第3レンズの物体側面で重なりあっており、収差補正が困難である問題があった。例えば、特許文献1のレンズ系では、軸上色収差が悪く中心MTF(Modulation Transfer Function)が低く、また周辺MTFが低いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の撮像レンズ系は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第1レンズ、負のパワーを有する第2レンズ、物体側に凸面を向けた正のパワーを有する第3レンズ、開口絞り、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第4レンズ、物体面及び像面に凸面を向けた正のパワーを有する第5レンズ、からなる撮像レンズ系であって、
前記第3レンズの中心光軸での厚さをT3、レンズ系全体の焦点距離をfと定義したときに、下記の条件式(1)を満たすようにした。
T3/f>2.5 (1)
【0007】
一実施形態の撮像レンズ系によれば、結像面中央に向かう光線と結像面周辺に向かう光線とが第3レンズL3の物体側面において、重なり合う部分が少なくなるので、第3レンズL3において、結像面中央に向かう光線と結像面周辺に向かう光線とを分けて収差補正することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、収差補正が容易な撮像レンズ系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図2】実施例1の撮像レンズ系における球面収差図である。
【
図3】実施例1の撮像レンズ系における非点収差図である。
【
図4】実施例1の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
【
図5】実施例1の撮像レンズ系における倍率色収差図である。
【
図6】実施例1の撮像レンズ系におけるMTF特性図である。
【
図7】実施例2の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図8】実施例2の撮像レンズ系における球面収差図である。
【
図9】実施例2の撮像レンズ系における非点収差図である。
【
図10】実施例2の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
【
図11】実施例2の撮像レンズ系における倍率色収差図である。
【
図12】実施例2の撮像レンズ系におけるMTF特性図である。
【
図13】実施の形態2に係る撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態に係る光学レンズ及び撮像装置を説明する。
(実施の形態1:撮像レンズ系)
実施の形態1の撮像レンズ系は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第1レンズ、負のパワーを有する第2レンズ、物体側に凸面を向けた正のパワーを有する第3レンズ、開口絞り、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第4レンズ、物体面及び像面に凸面を向けた正のパワーを有する第5レンズ、からなる撮像レンズ系であって、
前記第3レンズの中心光軸での厚さをT3、レンズ系全体の焦点距離をfと定義したときに、下記の条件式(1)を満たすようにした。
T3/f>2.5 (1)
【0011】
このように、実施の形態1の撮像レンズ系によれば、結像面中央に向かう光線と結像面周辺に向かう光線とが第3レンズの物体側面において、重なり合う部分が少なくなるので、第3レンズにおいて、結像面中央に向かう光線と結像面周辺に向かう光線とを分けて収差補正することができる。この結果、収差補正が容易になる。また、実施の形態1の撮像レンズ系によれば、軸上色収差良い、中心MTF良い、及び中心光軸から角度98度(後ろ)方向でのMTF良い撮像レンズ系を提供することができる。
【0012】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第4レンズのアッベ数が23未満であるようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、凹レンズである第4レンズによる色収差補正効果を高めることができる。
【0014】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第4レンズのアッベ数をv4、第5レンズのアッベ数をv5と定義したときに、下記の条件式(2)を満たすようにしてもよい。
v4/v5≦0.4 (2)
この構成によれば、色収差補正をしやすくできる。
【0015】
上記実施の形態1の撮像レンズ系は、第4レンズの焦点距離をf4、第5レンズの焦点距離をf5と定義したときに、下記の条件式(3)を満たすようにしてもよい。
-2<f4/f5<-1 (3)
【0016】
この構成によれば、凹レンズである第4レンズと凸レンズである第5レンズのパワー(焦点距離の逆数)の違いがさほど大きくならず、収差補正をするのに好ましい。
【0017】
次に、実施の形態1の撮像レンズ系に対応する実施例について、図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図1において、撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第1レンズL1、負のパワーを有する第2レンズL2、物体側に凸面を向けた正のパワーを有する第3レンズL3、開口絞り(STOP)、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第4レンズL4、物体面及び像面に凸面を向けた正のパワーを有する第5レンズL5からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。
【0018】
また、
図1において、画面中央に向かう主光線(軸上光線)と周縁光線(マージナル光線)、及び画面周辺に向かう主光線(絞り中心を通る光線)と周縁光線(マージナル光線)が示されている。
【0019】
第1レンズL1は、負のパワーを有する球面のガラスレンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は、物体側に凸面を向けている。第1レンズL1の像側レンズ面S2は凹形状の曲面部分を有している。
【0020】
第2レンズL2は、負のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面S3は、凸形状の曲面部分を有している。また、第2レンズL2の像側レンズ面S4は、凹形状の曲面部分を有している。
【0021】
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S5は、物体側に凸面を向けている。また、第3レンズL3の像側レンズ面S6は、物体側に凹面を向けている。
【0022】
絞りSTOPは、レンズ系のF値(Fno)を決める絞りである。絞りSTOPは、第3レンズL3と第4レンズL4との間に配置される。
【0023】
第4レンズL4は、負のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S8は、物体側に凸面を向けている。また、第4レンズL4の像側レンズ面S9は、像面側に凸面を向けている。
【0024】
第5レンズL5は、正のパワーを有する非球面のプラスチックレンズである。第5レンズL5の物体側レンズ面S10は、凸形状の曲面部分を有している。また、第5レンズL5の像側レンズ面S11は、像面側に凸面を向けている。
【0025】
第4レンズL4と第5レンズL5は、接合レンズを形成している。すなわち、第4レンズL4の像側レンズ面S9と第5レンズL5の物体側レンズ面S10で接している。例えば、第4レンズL4と第5レンズL5は、軸上厚み0.02mmの接着層で接合するのが好適である。
【0026】
IRカットフィルタ12は、赤外領域の光をカットするためのフィルタである。IRカットフィルタ12は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、IRカットフィルタ12は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
【0027】
表1に、実施例1の撮像レンズ系11における、各レンズ面のレンズデータを示す。表1では、レンズデータとして、各面の曲率半径、中心光軸における面間隔、d線に対する屈折率、及びd線に対するアッベ数を提示している。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表1】
【0028】
レンズ面に採用される非球面形状は、Zをサグ量、Cを曲率半径の逆数、Kを円錐係数、hを光軸Zからの光線高さとして、3次、4次、5次、6次、7次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれA3、A4、A5、A6、A7、A8、A10、A12、A14、A16としたときに、次式により表わされる。
【数1】
【0029】
表2に、実施例1の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2において、例えば「-6.522528E-03」は、「-6.522528×10
-3」を意味する。
【表2】
【0030】
次に、収差について図面を用いて説明する。
図2は、実施例1の撮像レンズ系における球面収差図である。
図2において、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。また、
図2は、波長486nm、546nm及び656nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
図2の球面収差図に示すように、実施例1の486~656nmでの軸上色収差は、3μm以下と極めて良好に補正できていることがわかる。
【0031】
図3は、実施例1の撮像レンズ系における非点収差図である。
図3において、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、
図3において、Sagはサジタル面における非点収差を示し、Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また、
図3は、波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0032】
図4は、実施例1の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図4では、立体射影の歪曲収差を示している。
図4において、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。
【0033】
図5は、実施例1の撮像レンズ系における倍率色収差図である。
図5において、縦軸は波長546nmの光線の像高を示し、横軸は、波長546nmの光線の像高に対する波長486nm及び波長656nmの光線の像高のずれ量(μm単位)を示す。
【0034】
図2に示すように、実施例1の撮像レンズ系11では、Fナンバが2.01である。また、
図3~5に示すように、実施例1の撮像レンズ系11では、半画角ωが103°である。
図2~5に示すように、良好に収差補正されていることがわかる。
【0035】
次に、レンズの特性値について説明する。表3に、実施例1の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表3において、撮像レンズ系11における、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズL1の焦点距離をf
1、第2レンズL2の焦点距離をf
2、第3レンズL3の焦点距離をf
3、第4レンズL4の焦点距離をf
4、第5レンズL5の焦点距離をf
5、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3の合成焦点距離をf
123、第4レンズL4及び第5レンズL5の合成焦点距離をf
45、第1レンズL1の光軸中心における厚み(軸上厚み)をT
1、第2レンズL2の光軸中心における厚み(軸上厚み)をT
2、第3レンズL3の光軸中心における厚み(軸上厚み)をT
3、第4レンズL4の光軸中心における厚み(軸上厚み)をT
4、第5レンズL5の光軸中心における厚み(軸上厚み)をT
5、第1レンズL1の像側面面頂点から第2レンズL2の物体側面面頂点までの距離をd
1、第2レンズL2の像側面面頂点から第3レンズL3の物体側面面頂点までの距離をd
2、第3レンズL3の像側面面頂点から第4レンズL4の物体側面面頂点までの距離をd
3、第4レンズL4の像側面面頂点から第5レンズL5の物体側面面頂点までの距離をd
4、第3レンズL3の光軸中心における厚みをレンズ系全体の焦点距離で除算した値をT
3/f、第4レンズL4のアッベ数をv
4、第4レンズL4のアッベ数を第5レンズL5のアッベ数で除算した値をv
4/v
5、第4レンズL4の焦点距離を第5レンズL5の焦点距離で除算した値をf4/f5としたときの、各特性値を示している。また、表3の各種の焦点距離は、546nmの波長の光線を用いて計算した。
【表3】
【0036】
次に、レンズのMTF特性について説明する。
図6は、実施例1の撮像レンズ系におけるMTF特性図である。
図6において、横軸は中心光軸Zに対する入射光の角度を示し、縦軸はMTF値を示す。
図6では、空間周波数60本/mmにおけるMTF特性を示す。また
図6において、実線T1はタンジェンシャル方向におけるMTF値を示し、点線S1は、サジタル方向におけるMTF値を示す。
【0037】
図6に示すように、画角0度~96度までサジタル、タンジェンシャル方向共に68%以上の良好なMTF値を有している。また画角103度の最周辺においても58%のMTF値をキープできている。
【0038】
(実施例2)
図7は、実施例2の撮像レンズ系の構成を示す断面図である。
図7において、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第1レンズL1、負のパワーを有する第2レンズL2、物体側に凸面を向けた正のパワーを有する第3レンズL3、開口絞り(STOP)、物体側に凸面を向けた負のパワーを有する第4レンズL4、物体面及び像面に凸面を向けた正のパワーを有する第5レンズL5からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また、撮像レンズ系11は、IRカットフィルタ12を備える。
【0039】
表4に、実施例2の撮像レンズ系11における、各レンズ面のレンズデータを示す。表1では、レンズデータとして、各面の曲率半径、中心光軸における面間隔、d線に対する屈折率、及びd線に対するアッベ数を提示している。「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表4】
【0040】
表5に、実施例2の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表5において、レンズ面に採用される非球面形状は、実施例1と同様の式にて表される。
【表5】
【0041】
次に、収差について図面を用いて説明する。
図8は、実施例2の撮像レンズ系における球面収差図である。
図8において、横軸は光線が光軸Zと交わる位置を示し、縦軸は瞳径での光線の相対高さを示す。また、
図8は、波長486nm、546nm及び656nmの光線によるシミュレーション結果を示している。
図8の球面収差図に示すように、実施例2の486~656nmでの軸上色収差は、2μm以下と極めて良好に補正できていることがわかる。
【0042】
図9は、実施例2の撮像レンズ系における非点収差図である。
図9において、横軸は光軸Z方向の結像点の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、
図9において、Sagはサジタル面における非点収差を示し、Tanはタンジェンシャル面における非点収差を示す。また、
図9は、波長546nmの光線によるシミュレーション結果を示している
【0043】
図10は、実施例2の撮像レンズ系における歪曲収差図である。
図10では、立体射影の歪曲収差を示している。
図10において、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。
【0044】
図11は、実施例2の撮像レンズ系における倍率色収差図である。
図11において、縦軸は波長546nmの光線の像高を示し、横軸は、波長546nmの光線の像高に対する波長486nm及び波長656nmの光線の像高のずれ量(μm単位)を示す。
【0045】
図8に示すように、実施例2の撮像レンズ系11では、Fナンバが2.02である。また、
図9~11に示すように、実施例2の撮像レンズ系11では、半画角ωが103°である。
図8~11に示すように、良好に収差補正されていることがわかる。
【0046】
次に、レンズの特性値について説明する。表6に、実施例2の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。表6における各特性値の定義は、表3と同じである。表6の各種の焦点距離は、546nmの波長の光線を用いて計算した。
【表6】
【0047】
次に、レンズのMTF特性について説明する。
図12は、実施例2の撮像レンズ系におけるMTF特性図である。
図12において、横軸は中心光軸Zに対する入射光の角度を示し、縦軸はMTF値を示す。
図12では、空間周波数60本/mmにおけるMTF特性を示す。また
図12において、実線T1はタンジェンシャル方向におけるMTF値を示し、点線S1は、サジタル方向におけるMTF値を示す。
【0048】
図12に示すように、画角0度~96度までサジタル、タンジェンシャル方向共に68%以上の良好なMTF値を有している。また画角103度の最周辺においても58%のMTF値をキープできている。
【0049】
(実施の形態2:撮像装置への適用例)
図13は、実施の形態2に係る撮像装置の断面図である。撮像装置21は、撮像レンズ系11と、カバーガラス22と、撮像素子23と、を備える。撮像レンズ系11と、カバーガラス22と、撮像素子23と、は筐体(不図示)に収容されている。
【0050】
撮像素子23は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子23は、撮像レンズ系11の結像位置に配置されている。なお、水平画角とは、撮像素子23の水平方向に対応する画角である。
【0051】
カバーガラス22は、撮像素子23を異物から保護するために、撮像素子23上に設けられている。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明の撮像レンズ系の用途は、車載カメラや監視カメラに限定されるものではなく、携帯電話等の小型電子機器に搭載する等の他の用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0053】
11 撮像レンズ系
12 カットフィルタ
21 撮像装置
22 カバーガラス
23 撮像素子
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
STOP 絞り
IMG 結像面