IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-蓄電素子、蓄電素子の製造方法 図1
  • 特許-蓄電素子、蓄電素子の製造方法 図2
  • 特許-蓄電素子、蓄電素子の製造方法 図3
  • 特許-蓄電素子、蓄電素子の製造方法 図4
  • 特許-蓄電素子、蓄電素子の製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】蓄電素子、蓄電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20221213BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20221213BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20221213BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20221213BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20221213BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20221213BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20221213BHJP
   H01M 50/119 20210101ALN20221213BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/133
H01M50/121
H01M50/178
H01G11/78
H01G11/12
H01G11/84
H01M10/04 Z
H01M50/119
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019013554
(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公開番号】P2020123456
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】加茂 博道
(72)【発明者】
【氏名】奥村 規顕
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004656(JP,A)
【文献】特開2016-035900(JP,A)
【文献】特開2014-123487(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132436(WO,A1)
【文献】特開2005-259619(JP,A)
【文献】特開2012-248381(JP,A)
【文献】特開平11-144691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/10-50/198
H01M50/50-50/598
H01M10/00-10/39
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外装材及び第2外装材を有する外装体と、
前記第1外装材及び前記第2外装材の間に形成される収容空間に収容され、積層された複数の電極を有する電極体と、を備え、
前記第1外装材及び前記第2外装材のうちの前記第1外装材のみが、金属層を含んでおり、
前記第2外装材は、周縁部と、周縁部によって取り囲まれて前記第1外装材から離間する向きに前記周縁部から膨出した膨出部と、を有する、蓄電素子。
【請求項2】
前記第2外装材の厚さは、前記第1外装材の厚さよりも厚い、請求項1に記載の蓄電素子。
【請求項3】
前記第2外装材の厚さは、0.5mm以上である、請求項1または2に記載の蓄電素子。
【請求項4】
前記第2外装材の厚さは、3.0mm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項5】
前記第2外装材は、ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層、及びポリエチレンテレフタレート樹脂層のうち少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項6】
前記周縁部と前記膨出部との接続部に、周状の第1折り曲げ部が形成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項7】
前記膨出部は、前記周縁部に接続した周状の側壁部と、前記側壁部に接続した天壁部と、を有し、
前記側壁部と前記天壁部との接続部に、周状の第2折り曲げ部が形成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項8】
前記電極体の前記電極と電気的に接続し且つ前記第1外装材及び前記第2外装材の間を通過して前記外装体の外部へ延び出したタブを、更に備え、
前記第2外装材は、前記タブと対面する対面する部分に前記タブを収容する凹部を有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項9】
前記第1外装材は、前記収容空間を形成する部分において、平坦である、請求項1乃至のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項10】
前記電極体は、前記電極を合計で、20以上含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の蓄電素子。
【請求項11】
第1外装材及び第2外装材のうちの前記第1外装材のみが金属層を含むよう、前記第1外装材及び前記第2外装材を作製する工程と、
前記第1外装材及び前記第2外装材の間に、積層された複数の電極を含む電極体を配置する工程と、
前記第1外装材及び前記第2外装材を接合して外装体を形成する工程と、を備え
前記第2外装材をエンボス加工するエンボス加工工程を更に備える、蓄電素子の製造方法。
【請求項12】
前記エンボス加工工程は、前記第2外装材に膨出部を形成する工程を含む、請求項11に記載の蓄電素子の製造方法。
【請求項13】
前記エンボス加工工程は、前記電極と電気的に接続して前記第1外装材及び前記第2外装材の間を通過して前記外装体の外部へ延び出すタブを収容するための凹部を、前記第2外装材に形成する工程を含む、請求項11または12に記載の蓄電素子の製造方法。
【請求項14】
前記エンボス加工工程において、前記第2外装材の膨出部及び前記電極と電気的に接続して前記第1外装材及び前記第2外装材の間を通過して前記外装体の外部へ延び出すタブを収容するための凹部は、同時に形成される、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の蓄電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及び蓄電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電素子として、例えば特許文献1で提案されているように、正極と負極とを交互に積層してなる積層型電池や巻回型電池が広く普及している。このような積層型電池の一例として、リチウムイオン二次電池が挙げられる。リチウムイオン二次電池は、他の形式の積層型電池と比較して大容量であることを特徴の一つとしている。このような特徴を有するリチウムイオン二次電池は、今般、車載用途や定置住宅用途等の種々の用途での更なる普及を期待されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池に代表される積層型電池では、正極及び負極を有する電極体から電力を取り出すため、正極及び負極のうち電極活物質層が設けられていない領域において正極及び負極がそれぞれ別個に集電しており、集電されたそれぞれの電極の電極集電体にタブが取り付けられている。電極体は、それぞれの電極に取り付けられたタブが外部に延び出た状態で、外装体に収容される。このような外装体は、2つの外装材を接合することで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-108624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電素子において、電極体をより大容量にするため、電極体を大型化することが検討されている。大型化された電極体を適切に収容するため、外装体を形成する外装材が十分な厚さを有していることが望まれる。
【0006】
ところで、従来の蓄電素子において、2つの外装材は、ともに金属層を含んでいる。外装体を形成する外装材が金属層を含む場合、外装材を厚く作製することが困難である。このため、外装体に十分な強度を付与することが困難である。外装体の強度が不十分であると、外装体に収容された電極体の重量によって、外装体が撓んでしまうことがある。外装体が撓むことで、外装体に収容された電極体が歪んでしまい、電極体において短絡が生じる等、蓄電素子としての機能が損なわれることがある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、外装体の撓みを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蓄電素子は、
第1外装材及び第2外装材を有する外装体と、
前記第1外装材及び前記第2外装材の間に形成される収容空間に収容され、積層された複数の電極を有する電極体と、を備え、
前記第1外装材及び前記第2外装材のうちの前記第1外装材のみが、金属層を含んでいる。
【0009】
本発明の蓄電素子において、前記第2外装材の厚さは、前記第1外装材の厚さよりも厚くてもよい。
【0010】
本発明の蓄電素子において、前記第2外装材の厚さは、0.5mm以上であってもよい。
【0011】
本発明の蓄電素子において、前記第2外装材の厚さは、3.0mm以下であってもよい。
【0012】
本発明の蓄電素子において、前記第2外装材は、ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層、及びポリエチレンテレフタレート樹脂層のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
本発明の蓄電素子において、前記第2外装材は、周縁部と、周縁部によって取り囲まれて前記第1外装材から離間する向きに前記周縁部から膨出した膨出部と、を有してもよい。
【0014】
本発明の蓄電素子において、前記周縁部と前記膨出部との接続部に、周状の第1折り曲げ部が形成されていてもよい。
【0015】
本発明の蓄電素子において、
前記膨出部は、前記周縁部に接続した周状の側壁部と、前記側壁部に接続した天壁部と、を有し、
前記側壁部と前記天壁部との接続部に、周状の第2折り曲げ部が形成されていてもよい。
【0016】
本発明の蓄電素子において、
前記電極体の前記電極と電気的に接続し且つ前記第1外装材及び前記第2外装材の間を通過して前記外装体の外部へ延び出したタブを、更に備え、
前記第2外装材は、前記タブと対面する対面する部分に前記タブを収容する凹部を有してもよい。
【0017】
本発明の蓄電素子において、前記第1外装材は、前記収容空間を形成する部分において、平坦であってもよい。
【0018】
本発明の蓄電素子において、前記電極体は、前記電極を合計で、20以上含んでもよい。
【0019】
本発明の蓄電素子の製造方法は、
第1外装材及び第2外装材のうちの前記第1外装材のみが金属層を含むよう、前記第1外装材及び前記第2外装材を作製する工程と、
前記第1外装材及び前記第2外装材の間に、積層された複数の電極を含む電極体を配置する工程と、
前記第1外装材及び前記第2外装材を接合して外装体を形成する工程と、を備える。
【0020】
本発明の蓄電素子の製造方法は、前記第2外装材をエンボス加工するエンボス加工工程を更に備えてもよい。
【0021】
本発明の蓄電素子の製造方法において、前記エンボス加工工程は、前記第2外装材に膨出部を形成する工程を含んでもよい。
【0022】
本発明の蓄電素子の製造方法において、前記エンボス加工工程は、前記電極と電気的に接続して前記第1外装材及び前記第2外装材の間を通過して前記外装体の外部へ延び出すタブを収容するための凹部を、前記第2外装材に形成する工程を含んでもよい。
【0023】
本発明の蓄電素子の製造方法において、前記エンボス加工工程において、前記第2外装材の膨出部及び前記電極と電気的に接続して前記第1外装材及び前記第2外装材の間を通過して前記外装体の外部へ延び出すタブを収容するための凹部は、同時に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、外装体の撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蓄電素子を示す斜視図である。
図2図2は、図1の蓄電素子の外装体の内部に収容された電極体を示す平面図である。
図3図3は、図1図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿った蓄電素子の外装体の断面図である。
図5図5は、図1の蓄電素子の外装体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0027】
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
【0028】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0029】
図1乃至図5は、本発明による蓄電素子の一実施の形態を説明するための図である。図1は、蓄電素子の一具体例を示す斜視図である。図1に示すように、蓄電素子1は、外装体7と、外装体7によって形成された収容空間7aに収容された電極体5と、電極体5に接続されて外装体7の内部から外部へと延び出したタブ6と、を有している。また、図2は、蓄電素子1に含まれる電極体5を示す平面図であり、図3は、図1のIII-III線に沿った断面図である。図2及び図3に示すように、電極体5は、第1方向d1に積層された複数の第1電極10及び第2電極20を有している。図1に示された例において、蓄電素子1は、全体的に厚さ方向である第1方向d1が薄い偏平形状を有しており、長手方向となる第2方向d2と短手方向となる第3方向d3に広がっている。第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3は、互いに非平行であり、図示された例では、第1方向d1、第2方向d2及び第3方向d3は、互いに直交している。
【0030】
以下において、蓄電素子1が積層型電池、具体的にはリチウムイオン二次電池である例について説明する。この例において、第1電極10は正極10Xを構成し、第2電極20は負極20Yを構成するものとする。ただし、以下に説明する作用効果の記載からも理解され得るように、ここで説明する一実施の形態は、リチウムイオン二次電池に限定されることなく、第1電極10及び第2電極20を第1方向d1に交互に積層してなる蓄電素子1に広く適用され得る。また、蓄電素子1は積層型電池に限らず、例えば巻回型電池であってもよい。蓄電素子1が巻回型電池である場合でも、第1電極10及び第2電極20が第1方向d1に積層される。
【0031】
以下、蓄電素子1の各構成要素について説明する。
【0032】
まず、電極体5について説明する。図2及び図3に示すように、電極体5は、正極10X(第1電極10)と、負極20Y(第2電極20)と、正極10Xと負極20Yとの間に配置されたセパレータ30と、を有している。図3に示すように、正極10X及び負極20Yは、第1方向d1に沿って交互に積層されている。電極体5は、例えば板状の正極10X及び負極20Yを合計で20枚以上含んでいる。電極体5は、全体的に偏平形状を有し、第1方向d1への厚さが薄く、第1方向d1に非平行な第2方向d2及び第3方向d3に広がっている。図示された例では、第2方向d2及び第3方向d3は、第1方向d1に直交している。電極体5の厚さ、すなわち第1方向d1に沿った長さは、例えば4mm以上20mm以下である。
【0033】
図2に示された非限定的な例において、正極10X及び負極20Yは、略長方形形状の外輪郭を有している板状の電極である。第1方向d1に非平行な第2方向d2が、正極10X及び負極20Yの長手方向であり、第1方向d1及び第2方向d2の両方に非平行な第3方向d3が、正極10X及び負極20Yの短手方向(幅方向)である。図2に示されているように、正極10X及び負極20Yは、第2方向d2にずらして配置されている。より具体的には、複数の正極10Xは、第2方向d2における一側に寄って配置され、複数の負極20Yは、第2方向d2における他側に寄って配置されている。図2に示すように、正極10X及び負極20Yは、第2方向d2における中央において、第1方向d1に重なり合っている。
【0034】
図2に示されているように、負極20Y(第2電極20)の第3方向d3(幅方向)に沿った長さは、正極10X(第1電極10)の第3方向d3に沿った長さよりも長くなっている。図示された例では、負極20Yは、正極10Xより、第3方向d3の一側及び他側に延び出ている。正極10X及び負極20Yの厚さ、すなわち第1方向d1の長さは、例えば80μm以上200μm以下であり、長手方向、すなわち第2方向d2に沿った長さは、例えば200mm以上950mm以下であり、短手方向、すなわち第3方向d3に沿った長さ(幅)は、例えば70mm以上350mm以下である。
【0035】
図2に示されているように、正極10X(第1電極10)は、正極集電体11X(第1電極集電体11)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層12)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、正極10Xは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
【0036】
図2に示すように、正極集電体11Xは、互いに対向する第1面11a及び第2面11bを主面として有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの第1面11a及び第2面11bの両側の面上に形成されている。電極体5に含まれる複数の正極10Xは、正極集電体11Xの両側に設けられた一対の正極活物質層12Xを有し、互いに同一に構成され得る。
【0037】
正極集電体11X及び正極活物質層12Xは、蓄電素子1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、正極集電体11Xは、アルミニウム箔によって形成され得る。正極活物質層12Xは、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーとなる結着剤を含んでいる。正極活物質層12Xは、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを、正極集電体11Xをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。正極活物質として、例えば、一般式LiM(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。金属酸リチウム化合物の具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が例示され得る。または、一般式LiMPO4(ただし、Mは金属である)で表されるリン酸金属リチウム化合物が用いられる。リン酸金属リチウム化合物の具体例として、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸コバルトリチウム等が例示され得る。導電助剤としては、アセチレンブラック等が用いられ得る。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられ得る。
【0038】
図2に示すように、正極集電体11X(第1電極集電体11)は、第1端部領域a1及び第1電極領域b1を有している。正極活物質層12X(第1電極活物質層12)は、正極集電体11Xの第1電極領域b1のみに配置されている。第1端部領域a1及び第1電極領域b1は、第2方向d2に配列されている。第1端部領域a1は、第1電極領域b1よりも第2方向d2における外側(図2における左側)に位置している。複数の正極集電体11Xは、図2に示すように、第1端部領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。図示された例では、一つのタブ6が、第1端部領域a1において正極集電体11Xに電気的に接続している。タブ6は、電極体5から第2方向d2に延び出している。一方、図2に示すように、第1電極領域b1は、負極20Yの後述する負極活物質層22Yに対面する領域内に位置している。そして、第3方向d3に沿った正極10Xの幅は、第3方向d3に沿った負極20Yの幅よりも狭くなっている。このような第1電極領域b1の配置により、負極活物質層22Yからのリチウムの析出を防止することができる。
【0039】
次に、負極20Y(第2電極20)について説明する。負極20Y(第2電極20)は、負極集電体21Y(第2電極集電体21)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、負極20Yは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
【0040】
図2に示すように、負極集電体21Yは、互いに対向する第1面21a及び第2面21bを主面として有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの第1面21a及び第2面21bの両側の面上に形成されている。電極体5に含まれる複数の負極20Yは、負極集電体21Yの両側に設けられた一対の負極活物質層22Yを有し、互いに同一に構成され得る。
【0041】
負極集電体21Y及び負極活物質層22Yは、蓄電素子1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、負極集電体21Yは、例えば銅箔によって形成される。負極活物質層22Yは、例えば、炭素材料からなる負極活物質、及び、バインダーとして機能する結着剤を含んでいる。負極活物質層22Yは、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等からなる負極活物質とポリフッ化ビニリデンのような結着剤とを溶媒に分散させてなる負極用スラリーを、負極集電体21Yをなす材料上に塗工して固化することで、作製され得る。
【0042】
図2に示すように、負極集電体21Y(第2電極集電体21)は、第2接続領域a2及び第2電極領域b2を有している。負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)は、第2電極領域b2のみにおいて負極集電体21Yに積層されている。第2接続領域a2及び第2電極領域b2は、第2方向d2に配列されている。第2電極領域b2は、第2接続領域a2よりも第2方向d2における一側(図2における左側)に位置している。複数の負極集電体21Yは、図2に示すように、第2接続領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。図示された例では、正極集電体11Xに接続したタブとは別のタブ6が、第2接続領域a2において負極集電体21Yに電気的に接続している。タブ6は、電極体5から第2方向d2の他側に延び出している。
【0043】
既に説明したように、正極10Xの第1電極領域b1は、負極20Yの第2電極領域b2に対面する領域の内側に位置している(図2参照)。すなわち、第2電極領域b2は、正極10Xの正極活物質層12Xに対面する領域を内包する領域に広がっている。第3方向d3に沿った負極20Yの幅は、第3方向d3に沿った正極10Xの幅よりも広くなっている。とりわけ、負極20Yの第3方向d3における一側端部20aは、正極10Xの第3方向d3における一側端部10aよりも、第3方向d3における一側に位置し、且つ、負極20Yの第3方向d3における他側端部20bは、正極10Xの第3方向d3における他側端部10bよりも、第3方向d3における他側に位置している。
【0044】
次に、セパレータ30について説明する。図3に示されているように、セパレータ30は、正極10X(第1電極10)及び負極20Y(第2電極20)の間に位置し、正極10X及び負極20Yが接触しないように離間させている。セパレータ30は、絶縁性を有しており、正極10X及び負極20Yの接触による短絡を防止する。セパレータ30は、大きなイオン透過度(透気度)、所定の機械的強度、および、電解液、正極活物質、負極活物質等に対する耐久性を有していることが好ましい。このようなセパレータ30として、例えば、絶縁性の材料によって形成された多孔質体や不織布等を用いることができる。より具体的には、セパレータ30として、融点が80~140℃程度の熱可塑性樹脂からなる多孔フィルムを用いることができる。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ポリマー、またはポリエチレンテレフタレートを採用することができる。外装体7の収容空間7aには、電極体5とともに電解液が封入される。電解液が、多孔質体や不織布からなるセパレータ30に含浸することで、電極10,20の電極活物質層12,22に電解液が接触した状態に維持される。
【0045】
セパレータ30は、例えば第1方向d1に隣り合う任意の二つの電極10,20の間に位置している。また、セパレータ30は、平面視において、正極10Xの正極活物質層12Xの全領域を覆うように広がっている。同様に、セパレータ30は、平面視において、負極20Yの負極活物質層22Yの全領域を覆うように広がっている。
【0046】
次に、タブ6について説明する。タブ6は、蓄電素子1における端子として機能する。蓄電素子1に含まれる電極体5を示す平面図が図2に示されている。図2及び図3に示すように、電極体5の正極10X(第1電極10)に一方(第2方向d2の一側)のタブ6が電気的に接続している。同様に、電極体5の負極20Y(第2電極20)に他方(第2方向d2の他側)のタブ6が電気的に接続している。図1及び図2に示すように、一対のタブは、外装体7の内部である収容空間7aから、外装体7の外部へと延び出している。タブ6の外装体7の外部に延びている長さは、例えば10mm以上25mm以下である。なお、図3に示すように、タブ6は、後述する外装体7が有する第1外装材40と第2外装材50との間、より詳しくは第1外装材40の絶縁層42と第2外装材50の樹脂層52との間を通過する。また、外装体7とタブ6との間は、タブ6が延び出す領域において、封止されている。
【0047】
タブ6は、導電性を有するタブ本体部6aと、タブ本体部6a上に設けられたシール部6bと、を有している。一方のタブ6のタブ本体部6aの第2方向d2における一側に位置する部分が、外装体7の外部に延び出ており、タブ本体部6aの第2方向d2における他側に位置する部分が、正極10X(第1電極10)に接続している。他方のタブ6のタブ本体部6aの第2方向d2における他側に位置する部分が、外装体7の外部に延び出ており、タブ本体部6aの第2方向d2における一側に位置する部分が、負極20Y(第2電極20)に接続している。シール部6bは、タブ本体部6aの第2方向d2における中央部において、タブ本体部6aを取り囲んでいる。シール部6bは、外装体7に溶着しており、タブ本体部6aと外装体7との間を封止している。シール部6bは、タブ本体部6aと外装体7との間の接触、特にタブ本体部6aと外装体7における第1外装材40の金属層41との接触を効果的に防止する。
【0048】
タブ本体部6aは、アルミニウム、銅、ニッケル、ニッケルメッキ銅等を用いて形成され得る。タブ本体部6aの厚みは、例えば0.1mm以上1mm以下である。シール部6bの材料としては、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を挙げることができる。シール部6bの厚みは、例えば0.05mm以上0.4mm以下である。
【0049】
次に、外装体7について、図3乃至図5を参照しながら、説明する。図4は、図1のIV-IV線に沿った蓄電素子1の断面図から、図示の簡略化のために電極体5を除いた図となっている。すなわち、図4には、外装体7の断面図が示されている。図5は、第2方向d2から観察した図1の蓄電素子1から、図示の簡略化のためにタブ6を除いた図となっている。すなわち、図5には、第2方向d2から観察した外装体7の側面図が示されている。
【0050】
外装体7は、電極体5を封止するための包装体である。外装体7は、電極体5を収容するための収容空間7aを形成している。外装体7は、電極体5及び電解液をその内部の収容空間7aに密閉する。
【0051】
収容空間7aは、電極体5を収容することができるよう、電極体5の寸法以上の寸法となっている。一方、蓄電素子1の体積エネルギー密度を高くするため、収容空間7aは、小さくなっていることが好ましい。ここで、体積エネルギー密度とは、蓄電素子が占める体積あたりの当該蓄電素子が供給可能な電力量のことを意味する。したがって、収容空間7aの寸法は、電極体5の寸法と同一となっていることが好ましい。言い換えると、外装体7は、収容している電極体5に接していることが好ましい。収容空間7aは、収容される電極体5の形状に合わせた形状となるよう形成されている。図示された例では、収容空間7aは、略直方体形状となっている。収容空間7aは、例えば、第1方向d1に沿った長さが5mm以上25mm以下であり、第2方向d2に沿った長さが200mm以上1000mm以下であり、第3方向d3に沿った長さが70mm以上400mm以下である。
【0052】
また、外装体7は、第1外装材40と、第2外装材50と、を有している。第1外装材40と第2外装材50とが、それぞれの周縁部の一部において接合されることで、収容空間7aが形成される。第1外装材40と第2外装材50とは、例えば接着性を有する接着層によって接合されていてもよいし、溶着されることによって接合されていてもよい。接着層によって接合される場合、接着層は、接着性に加え、絶縁性、耐薬品性、熱可塑性等を有していることが好ましく、例えば、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を用いることができる。
【0053】
図3及び図4に示されているように、第1外装材40は、金属層41及び金属層41に積層された絶縁層42を含んでいる。また、図示された例では、第1外装材40は、金属層41の表面、すなわち金属層41の絶縁層42が積層された面とは逆側の面に設けられた、絶縁性を有する被覆層43をさらに含んでいる。一方、第2外装材50は、樹脂層52を含んでいるが、金属層を含んでいない。言い換えると、第1外装材40及び第2外装材50のうちの第1外装材40のみが、金属層41を含んでいる。第1外装材40と第2外装材50とは、第1外装材40の絶縁層42の側が第2外装材50と向かい合うように配置されている。図3に示すように、第2方向d2において、第1外装材40の絶縁層42と第2外装材50との間を、タブ6が通過している。
【0054】
第1外装材40は、収容空間7aを形成する部分において、平坦になっている。言い換えると、第1外装材40は、収容空間7aを形成する部分において、膨出部や折り曲げ部が形成されていない。
【0055】
一方、第2外装材50は、電極体5を収容可能な十分な大きさの収容空間7aを形成するため、図3及び図4によく示されているように、周縁部54と、周縁部54によって取り囲まれて第1外装材40から離間する向きに周縁部54から膨出した膨出部60と、を有している。膨出部60は、第2外装材50の中央部に位置している。そして、周縁部54と膨出部60との接続部に、第1折り曲げ部56が形成されている。また、図4によく示されているように、膨出部60は、周縁部54に接続した周状の側壁部61と、側壁部61に接続した天壁部65と、を有している。そして、側壁部61と天壁部65との接続部に、周状の第2折り曲げ部63が形成されている。
【0056】
第1外装材40の金属層41は、高ガスバリア性と成形加工性を有することが好ましく、例えばアルミニウム箔やステンレス箔等を用いることができる。絶縁層42は、収容空間7aに収容された電極体5と金属層41とが電気的に接続されることを防止する。絶縁層42としては、例えばポリプロピレン等を用いることができる。被覆層43は、例えば薄膜状のナイロン層である。
【0057】
第2外装材50は、単一の層であってもよいし、複数の樹脂層の積層体であってもよい。第2外装材50は、ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層、及びポリエチレンテレフタレート樹脂層のうち少なくとも1つを含んでいることが好ましい。すなわち、樹脂層52は、ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層、及びポリエチレンテレフタレート樹脂層のうち少なくとも1つからなっていることが好ましい。
【0058】
さらに、図5に示されているように、第2外装材50は、タブ6と対面する部分に凹部58を有している。凹部58は、タブ6を収容することができるよう、タブ6に対応した形状となっている。例えば、凹部58は、矩形の板状を収容可能な凹型形状となっている。凹部58の深さ、すなわち第1方向d1における長さは、タブ6の厚さと同一であることが好ましい。具体的には、凹部58の深さは、タブ6のタブ本体部6aとシール部6bとの厚さの合計の70%以上130%以下であることが好ましく、90%以上110%以下であることがより好ましい。
【0059】
第2外装材50の厚さは、第1外装材40の厚さよりも厚くなっている。具体的な例として、第1外装材40の厚さは、例えば0.1mm以上0.3mm以下であり、第2外装材50の厚さは、0.5mm以上3.0mm以下である。
【0060】
次に、本実施の形態の蓄電素子1の製造方法の一例について、説明する。
【0061】
まず、複数の第1電極10及び第2電極20が交互に積層され、第1電極10及び第2電極20の間にセパレータ30が配置された電極体5を用意する。電極体5の第2方向d2における一側において、タブ6を第1電極10と電気的に接続し、第2方向d2における他側において、別のタブ6を第2電極20と電気的に接続する。
【0062】
また、第1外装材40及び第2外装材50を作製する。作製される第1外装材40及び第2外装材50は、第1外装材40のみが金属層41を含んでいる。第1外装材40は、例えばアルミニウム箔からなる金属層41に絶縁層42をラミネートすることで作製される。第2外装材50は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレートからなる樹脂層52によって作製される。第1外装材40及び第2外装材50は、平板状に形成される。
【0063】
次に、第2外装材50をエンボス加工する。第2外装材50は、金属層を含まず、樹脂層52からなるため、容易にエンボス加工することができる。エンボス加工により、第2外装材50に膨出部60及び凹部58が形成される。膨出部60及び凹部58は、それぞれ別途に形成されてもよいが、第2外装材50の製造コストを削減するため、同時に形成されることが好ましい。
【0064】
その後、電極体5を第1外装材40及び第2外装材50の間に配置し、第1外装材40と第2外装材50との周縁部を接合する。第1外装材40及び第2外装材50は、絶縁層42の側が第2外装材50に向かい合うように、配置される。第1外装材40と第2外装材50とが接合されることで、膨出部60によって形成された収容空間7aに、電極体5が収容される。また、タブ6が凹部58に収容された状態で、タブ6のシール部6bが第1外装材40と接合される。第1外装材40と第2外装材50との接合は、例えば第1外装材40及び第2外装材50の周縁部を加熱・加圧することで溶着により接合する。この加熱・加圧は、例えば第1外装材40及び第2外装材50を120℃以上200℃以下に加熱しながら、0.2MPa以上0.8MPa以下に加圧した状態を、1秒以上8秒以下維持することで行われる。
【0065】
以上の工程により、図1に示すような蓄電素子1が製造される。
【0066】
ところで、上述したように、電極体をより大容量にするため、電極体が大型化されることがある。電極体が大型化すると、電極体の重量が大きくなるため、電極体を収容する外装体が撓みやすくなる。具体的な例として、従来の蓄電素子において、電極体の重量が1kgを超えると、蓄電素子の搬送時等に、蓄電素子の外装体は撓んでしまう。外装体が撓んでしまうと、外装体に収容された電極体が歪んでしまい、電極体において短絡が生じる等、蓄電素子の放電や充電に不具合が生じることがある。電極体が大型化しても電極体を適切に収容して電極体の歪みを抑制するために、電極体を収容する外装体の撓みを抑制すること、すなわち、外装材の強度、例えば曲げ強度を向上させることが求められている。
【0067】
外装材の強度を向上させるため、外装材の厚さを厚くすることが考えられた。しかしながら、従来の蓄電素子において、十分な強度を付与するために、金属層を厚く形成すると、外装材が重く、さらに加工しにくくなってしまう。このように、金属層を厚くすると、蓄電素子の加工性、取扱性が大きく損なわれる。従来の蓄電素子では、外装体を形成する2つの外装材が、両方とも金属層を含んでいる。このため、いずれの外装材を厚くしても、蓄電素子の加工性、取扱性が大きく損なわれる。このように、従来の蓄電素子では、外装材に十分な強度を付与することは困難であり、したがって、外装体の撓みを抑制することができない。
【0068】
一方、本実施の形態の蓄電素子1では、第1外装材40及び第2外装材50のうちの第1外装材40のみが、金属層41を含んでいる。言い換えると、第2外装材50は、金属層を含んでおらず、樹脂層52のみを含んでいる。このため、第2外装材50の厚さを厚くしても、蓄電素子の取り扱い性は損なわれにくい。したがって、第2外装材50の厚さを厚くして、第2外装材50の強度を向上させることができる。すなわち、外装体7の撓みを抑制することができる。
【0069】
また、第1外装材40が金属層41を含むため、第1外装材40の厚さを厚くすることなく、第1外装材40に高ガスバリア性と成形加工性を付与することができる。一方、第1外装材40と第2外装材50とは接合されているため、第2外装材50が十分な強度を有していることで、第1外装材40が撓むことも抑制される。このため、第2外装材50が十分な強度を有していれば、第1外装材40は、薄くすることができる。第1外装材40及び第2外装材50の両方を厚くすることがないため、外装体7の厚さを薄くすることができる。すなわち、蓄電素子1の体積エネルギー密度低下を抑制することができる。
【0070】
また、第2外装材50の厚さは、第1外装材40の厚さよりも厚くなっている。このため、第2外装材50を十分な強度とすることができる。したがって、外装体7の撓みを抑制することができる。
【0071】
さらに、第2外装材50の厚さは、0.5mm以上となっている。このため、第2外装材50を十分な強度とすることができる。したがって、外装体7の撓みを抑制することができる。
【0072】
また、第2外装材50の厚さは、3.0mm以下となっている。このため、第2外装材50の厚さが厚くなりすぎて、体積エネルギー密度が低下してしまうことを抑制することができる。
【0073】
さらに、第2外装材50は、ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層、及びポリエチレンテレフタレート樹脂層のうち少なくとも1つを含んでいる。ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層、及びポリエチレンテレフタレート樹脂層は電解液に対して耐性を有するため、外装体7に電解液が封入されても、第2外装材50の強度が低下しにくくなる。また、ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層、及びポリエチレンテレフタレート樹脂層は、厚く作製することが容易であるため、第2外装材50を容易に厚くして、第2外装材50の強度をより向上させることができる。したがって、外装体7の撓みをより抑制することができる。
【0074】
また、第2外装材50は、周縁部54と、周縁部54によって取り囲まれて第1外装材40から離間する向きに周縁部54から膨出した膨出部60と、を有している。このような膨出部60を設けることで、外装体7に収容空間7aを形成することができる。また、膨出部60を有することで、第2外装材50はその形状によって強度をより向上されることができる。したがって、外装体7の撓みをより抑制することができる。
【0075】
さらに、周縁部54と膨出部60との接続部に、周状の第1折り曲げ部56が形成されている。第1折り曲げ部56を有することで、第2外装材50はその形状によって強度をより向上させることができる。したがって、外装体7の撓みをより抑制することができる。
【0076】
また、膨出部60は、周縁部54に接続した周状の側壁部61と、側壁部61に接続した天壁部65と、を有し、側壁部61と天壁部65との接続部に、周状の第2折り曲げ部63が形成されている。第2折り曲げ部63を有することで、第2外装材50はその形状によって強度をより向上させることができる。したがって、外装体7の撓みをより抑制することができる。
【0077】
さらに、第2外装材50は、タブ6と対面する対面する部分にタブ6を収容する凹部58を有している。凹部58によって、第1外装材40及び第2外装材50の間をタブ6が容易に通過することができる。また、第2外装材50の形状によって強度をより向上させることができる。したがって、外装体7の撓みをより抑制することができる。
【0078】
また、第1外装材40は、収容空間7aを形成する部分において、平坦になっている。このため、外装体7を大型化させることなく、外装体7に電極体5を収容することができる。すなわち、体積エネルギー密度の低下を抑制することができる。
【0079】
さらに、電極体5は、電極10,20を合計で、20以上含んでいる。このため、電極体5は、大きな重量となっている。このような場合、外装体7は撓みやすくなる。したがって、第2外装材50の強度を向上させることで、外装体7の撓みを抑制する効果を、特に奏することができる。
【0080】
以上のように、本実施の形態の蓄電素子1は、第1外装材40及び第2外装材50を有する外装体7と、第1外装材40及び第2外装材50の間に形成される収容空間7aに収容され、積層された複数の電極10,20を有する電極体5と、を備え、第1外装材40及び第2外装材50のうちの第1外装材40のみが、金属層41を含んでいる。このような蓄電素子1によれば、第2外装材50の厚さを厚くして、第2外装材50の強度を向上させることができる。したがって、外装体7の撓みを抑制することができる。
【0081】
本発明の態様は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 蓄電素子
5 電極体
6 タブ
7 外装体
7a 収容空間
10 第1電極
20 第2電極
30 セパレータ
40 第1外装材
41 金属層
42 絶縁層
50 第2外装材
52 樹脂層
54 周縁部
56 第1折り曲げ部
58 凹部
60 膨出部
61 側壁部
63 第2折り曲げ部
65 天壁部
図1
図2
図3
図4
図5