(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】表示板とこの表示板を備えた時計
(51)【国際特許分類】
G04B 19/06 20060101AFI20221213BHJP
G04B 19/10 20060101ALI20221213BHJP
G04B 19/12 20060101ALI20221213BHJP
G01D 13/04 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G04B19/06 S
G04B19/10 Z
G04B19/12 B
G01D13/04 Z
(21)【出願番号】P 2019026584
(22)【出願日】2019-02-18
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 元喜
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-119807(JP,A)
【文献】特開2008-089330(JP,A)
【文献】特開2007-003356(JP,A)
【文献】特開2015-155916(JP,A)
【文献】特開2011-163887(JP,A)
【文献】特開2018-054565(JP,A)
【文献】実開平5-092776(JP,U)
【文献】国際公開第01/037350(WO,A1)
【文献】特開2007-093238(JP,A)
【文献】特開2012-127666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/06-19/12
G01D 13/04
G12B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維状の遮光部及び複数の前記遮光部の間に形成された透光部を有するシート状の装飾部材と、
前記装飾部材の背面側に配置されて、入射した光の少なくとも一部を反射するシート状の反射部材と、を有し、
前記反射部材の表面
に模様を形成
し、
前記模様は箔を貼付することで形成されている、表示板。
【請求項2】
複数の繊維状の遮光部及び複数の前記遮光部の間に形成された透光部を有するシート状の装飾部材と、
前記装飾部材の背面側に配置されて、入射した光の少なくとも一部を反射するシート状の反射部材と、を有し、
前記反射部材の表面にグラデーショ
ンを形成し、前記グラデーションはインクジェット印刷で形成されている、表示板。
【請求項3】
前記装飾部材は、前記反射部材における視認側の表面に、接着剤により接着されて配置されている請求項
1又は2に記載の表示板。
【請求項4】
前記装飾部材は和紙である請求項1か
ら3のうちいずれか1項に記載の表示板。
【請求項5】
前記反射部材は、視認側から入射した光又は電波の少なくとも一部を透過させる特性を有する請求項1か
ら4のうちいずれか1項に記載の表示板。
【請求項6】
請求項1か
ら5のうちいずれか1項に記載の表示板を文字板として搭載した時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示板とこの表示板を備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば時計に用いられる文字板等の表示板には、様々な装飾が施されることがある。この装飾として例えば和紙を用いた表示板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された表示板は、和紙等の装飾部材と、その背面側に配置されて光を反射する反射部材とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された表示板は、基本的には、装飾部材そのものの素材色であるが、必要に応じて、装飾部材や反射部材を単一色で均一に着色したものも開示されている。
【0005】
しかし、上述した着色は、表示板全体を均一に着色したものにとどまり、多様な色の表現が望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、装飾部材と反射部材とを備え、色の多彩な表現が施された表示板及びこの表示板を備えた時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、複数の繊維状の遮光部及び複数の前記遮光部の間に形成された透光部を有するシート状の装飾部材と、前記装飾部材の背面側に配置されて、入射した光の少なくとも一部を反射するシート状の反射部材と、を有し、前記反射部材の表面にグラデーション又は模様を形成した表示板である。
【0008】
本発明の第2は、本発明に係る表示板を文字板として搭載した時計である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る表示板及びこの表示板を備えた時計によれば、装飾部材と反射部材とを備え、多彩な色の表現を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る表示板の一実施形態である文字板を示す平面図である。
【
図2】
図1に示した文字板の模式的な断面図である。
【
図3】
図2に示した文字板における和紙を示す平面図である。
【
図4】
図2に示した文字板における反射板を示す平面図である。
【
図5】反射板の表面に、実施形態のグラデーションに代えて同じ大きさの複数の水玉模様が形成された変形例1を示す
図4相当の平面図である。
【
図6】反射板の表面に、実施形態のグラデーションに代えて大きさの異なる複数の水玉模様が形成された変形例2を示す
図4相当の平面図である。
【
図7】反射板の表面に、実施形態のグラデーションに代えて複数の格子模様を構成する複数の同じ太さの縦の線及び複数の同じ太さの横の線が形成された変形例3を示す
図4相当の平面図である。
【
図8】反射板の表面に、実施形態のグラデーションに代えて複数の格子模様を構成する複数の同じ太さの縦の線及び複数の太さの異なる横の線が複数形成された変形例4を示す
図4相当の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る表示板及びこの表示板の文字盤として備えた時計の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る表示板の一実施形態である文字板100を示す平面図、
図2は
図1に示した文字板100の模式的な断面図、
図3は
図2に示した文字板100における和紙20を示す平面図、
図4は
図2に示した文字板100における反射板30を示す平面図である。
【0012】
<構成>
本実施形態の時計の文字板100は、
図1に示すように、その上面100aに、インデックスバー70や目盛り80が設けられている。インデックスバー70は、時計の時針(図示省略)が指し示す「時」を表す指標である。目盛り80は、時計の分針(図示省略)が指し示す「分」を表す指標である。
【0013】
文字板100は、
図2に示すように、文字板100に対して直交する方向の外部から文字板100を見たとき(平面視)の視線の向きの上流側である視認側から順に、透明上板10、和紙20(装飾部材の一例)、反射板30(反射部材の一例)が重ねられて構成されている。
【0014】
なお、文字板100の中心部には、時計の時針や分針等の軸を通すための中心孔103や時計の日板に表示された日付の数字を露出させる矩形の開口104が形成されている。
【0015】
透明上板10は、無色透明又は有色透明のシート状の樹脂であり、視認側の表面11及び背面となる裏面12がともに平滑な面に形成されている。透明上板10は、可視光領域の光を透過させる光透過性を有している。なお、本発明に係る表示板は、透明上板10を備えるものに限定されず、透明上板10を備えない構成であってもよい。
【0016】
和紙20は、繊維又は繊維の束(複数の繊維状に形成されているもの。以下、繊維及び繊維束を繊維等と総称する。)が互いに不規則な向きに並んで、その厚さ方向(視線の向きに沿った方向)に積み重なった、厚さが例えば数十[μm]のシート状に形成されている。
【0017】
ここで、繊維等は例えば植物の繊維等で形成されていて、可視光領域の光に対して不透明である。したがって、和紙20の繊維等は、
図3に示すように、平面視において繊維状の遮光部21となる。
【0018】
また、和紙20の繊維等は、上述したように不規則に絡み合っているが、繊維等の間の隙間の部分は、平面視において可視光領域の光を通す透光部22を形成している。
【0019】
そして、和紙20は、これら繊維等である遮光部21と隙間である透光部22とによって、平面視において微細な模様を形成している。ここで、微細とは、例えば1[mm]以下の大きさで、かつ肉眼で模様と識別し得る大きさ以上の寸法範囲である。和紙20は、上述した微細な模様を有することで、時計を装飾する装飾部材の一例となる。
【0020】
なお、和紙20にも、文字板100の中心孔103に対応した中心孔及び開口104に対応した開口が形成されているが、図示では省略している。
【0021】
反射板30は、厚さが例えば150[μm]のシート状に形成され、視線の側から、和紙20の透光部22などを通って入射した可視光領域の光の少なくとも一部(全部であってもよい)を反射する機能を有している。反射板30は、視認側の表面31及び背面となる裏面32がともに平滑な面に形成されている。反射板30は、入射した光の一部を表面31で反射する一方、一部の光を内部に透過させて背面である裏面32から外部に出射する特性を有する。
【0022】
反射板30は、例えば、屈折率の異なるナノメートルのオーダーの層厚の樹脂による数百以上の層数の積層構造で形成されたものである。この反射板30は、表面31が鏡面に形成されて一部の光を反射するとともに、屈折率の異なる積層樹脂のそれぞれの境界面で光を反射することにより、樹脂でありながら金属調の光沢を有している。そして、金属の蒸着膜を用いていないため、電波の透過性が良好という特性を有している。
【0023】
反射板30の表面31には、例えば、
図4に示すように、グラデーション35が形成されている。
図4に示したグラデーション35は、最外周から中心に向かう半径方向に沿って、特定の色相の色の明度が連続的に明るくなるように変化したグラデーションである。なお、グラデーション35は、どのような向きに向かって明度が変化するものであってもよく、また、グラデーション35は、明度が連続的に変化するものではなく、不連続に、すなわち段階的に明度が変化するものであってもよい。
【0024】
また、グラデーション35は、暗い側から明るい側に向かって一律に変化するものでなくてもよく、暗い側から明るい側に変化し、さらに暗い側に変化するグラデーションであってもよい。また、グラデーション35は、単一の色の明度の変化によるグラデーションに限らず、特定の色相の色が他の色相の色に、色相が連続的に変化するグラデーションであってもよいし、彩度が変化するグラデーションであってもよい。
【0025】
なお、反射板30にも、文字板100の中心孔103に対応した中心孔33及び開口104に対応した開口34が形成されている。
【0026】
文字板100は、反射板30が光透過性を有することにより、外部(視認側)から文字板100に入射した光の少なくとも一部を反射板30の裏面32に導いて透過させることができる。また、文字板100は、反射板30の背面側の光を反射板30の表面31に導いて視認側に出射させることもできる。文字板100は、例えば透過率が15[%]以上である。
【0027】
本実施形態における時計は、反射板30の背面側に、例えば、照射された光により発電するソーラセル50を備えているため、外部から文字板100に入射した光が反射板30を透過してソーラセル50に照射することができ、ソーラセル50が発電した電気を利用して時計を駆動することができる。
【0028】
また、時計がソーラセル50を有しなくても、例えば、反射板30の背面側にLED等の照明機器を配置したものでは、反射板30の背面側から視認側の表面31から視認側に向けて光を出射させることができる。なお、反射板30の背面側にソーラセル50や照明機器を有しない時計に用いられる場合は、反射板30の背面側に光を透過する必要がないため、文字板の100の反射板30は光透過性を有しなくてもよい。
【0029】
ここで、和紙20は、反射板30の表面31上に配置されている。具体的には、反射板30の表面31に塗布された接着剤40によって、和紙20の、視線の向きの背面側となる裏面26が反射板30の表面31に接着されている。
【0030】
接着剤40は、その厚さが和紙20の厚さ(視認側の表面25から裏面26までの寸法)よりも薄い状態となっている。そして、和紙20の表面25は、接着剤40が含浸していない非接着領域となっている。
【0031】
なお、反射板30の表面31に接着剤40が塗布されていることで、和紙20の裏面26と反射板30の表面31との間には接着剤40の層が形成されて、和紙20の裏面26と反射板30の表面31とは物理的には厳密に直接接していない部分も存在するが、技術的には接していると同視することができ、和紙20が反射板30の表面31上に配置されていると解することができる。
【0032】
和紙20は、裏面26の少なくとも一部が反射板30の表面31と接するまで反射板30に近接して配置されるのが好ましい。この場合、和紙20の遮光部21を反射面(反射板30の表面31)に最も近づけることができ、遮光部21の、反射面による反射像を視認させ難くすることができる。
【0033】
なお、
図2においては、和紙20の裏面26が反射板30の表面31に接していない記載となっているが、これは接着剤40を視認し易くするための便宜に過ぎず、図面の表現として、上述したように、和紙20の裏面26が反射板30の表面31に接して表現してもよいし又は接しないように表現してもよい。
【0034】
接着剤40は、例えば、ホットメルト接着剤である。ホットメルト接着剤は、摂氏80~100[度]の熱をかけることで融かして接着させる接着剤である。ホットメルト接着剤は、エチレン酢酸ビニルのような熱可塑性プラスチックなどの材料で形成されている。ホットメルト接着剤は、温度を降下させることで固めることができるため、和紙20に浸透する程度を制御するのに適している。
【0035】
和紙20よりも視認側に配置された透明上板10は、その裏面12が和紙20の表面25に密着している。なお、透明上板10を和紙20に密着させている構造は、例えば、時計として組み立てられた状態で、時計のケースとムーブメントとによって、透明上板10と和紙20及び反射板30とが挟まれた状態とした構造である。
【0036】
つまり、文字板100のうち、接着剤40によって一体化された和紙20と反射板30とが、時計のムーブメントの上面に配置され、和紙20の表面25上に透明上板10が配置した状態とする。その後、これらを時計のケースの裏蓋側の開口からケースの内部に挿入し、開口を裏蓋で封鎖した状態とすることにより、文字板100は厚さ方向に、ケースとムーブメントとによって挟まれた状態となる。これにより、透明上板10の裏面12と和紙20の表面25とを密着させた状態とすることができる。
【0037】
<作用、効果>
以上のように構成された本実施形態の文字板100によれば、透明上板10、和紙20及び接着剤40を通して、視認側から反射板30に入射した光の一部は、前述した通り視認側に反射するが、この視認側に反射する反射光は、反射板30の表面31に形成されたグラデーション35を担った(依存した輝度分布の)反射光となる。
【0038】
したがって、その反射光は、グラデーション35に応じて、空間的に明度が連続的に変化した光、具体的には、円環の外側から内側に向かって徐々に明度が高くなる分布の光となり、その一部は、和紙20の遮光部21で遮光され、また、他の一部は透光部22を通って透明上板10を透過して視認側に出射される。
【0039】
この結果、視認側でその反射光を見た観者に対し、円環の外側から内側に向かって徐々に明度が高くなる分布の光を視認させることができる。このとき、文字板100は、和紙20を通した反射光を観者に視認させるため、和紙20を通さない反射光に比べて、和紙20を通した柔らかな印象の反射光を視認させることができる。
【0040】
これにより、本実施形態の文字板100は、色の多彩な表現(本実施形態では、空間的に明度が異なる表現の反射光)を観者に視認させることができる。
【0041】
本実施形態の文字板100は、グラデーション35を、反射板30の表面31に、例えば、インクジェット印刷によって形成した。インクジェット印刷は、インクの粒を印刷対象物(本例では反射板30の表面31)に付着させることで印刷を行うが、例えば、スクリーン印刷により網目状又は点状に印刷した場合に比べて、滑らかな階調を表現することができる。
【0042】
なお、インクジェット印刷のインクの粒も粒状感を与えることはあるが、本実施形態の文字板100は、反射光が和紙20を通ることで、インクの粒の粒状感が緩和され、粒状感を与えることによって招きうる印刷品位の低下を防止することができる。
【0043】
また、本実施形態の文字板100は、和紙20にグラデーションを直接施した場合と比べて、和紙20の風合いを損なうことがない。すなわち、和紙20にインクでグラデーションを直接付した場合、和紙20の間にインクが入り込み、和紙20の風合いを損ねる。しかし、本実施形態の文字板100は、和紙20にインクが付されないため、和紙20が濡れることがなく、和紙20の風合いが損ねられない。
【0044】
また、本実施形態の文字板100は、透明上板10にグラデーションを施した場合と比べて、和紙20の質感を低下させることがない。すなわち、透明上板10にグラデーションを形成した場合、和紙20の遮光部21及び透光部22を通したグラデーションに比べて単調な平板的な印象を観者に与える。
【0045】
しかし、本実施形態の文字板100は、グラデーションが和紙20の、不規則に分布した透光部22を通して観者に視認され、しかも、遮光部21で遮光された反射光の一部も遮光部21で複雑に反射して透光部22から出射するため、複雑な濃淡が表現され、単調な平板的な印象を与えることがなく、濃淡による奥行き感(立体感)を与えることができる。
【0046】
本実施形態の文字板100は、反射板30の表面31に明度または色相が変化するグラデーション35が形成されて、色の多彩な表現を得るものであるが、本発明に係る表示板は、反射板30の表面31にグラデーション35が形成されたものに限定されるものではない。
【0047】
図5は反射板30の表面31に、実施形態のグラデーション35に代えて同じ大きさの複数の水玉模様36が形成された変形例1を示す
図4相当の平面図、
図6は反射板30の表面31に、実施形態のグラデーション35に代えて大きさの異なる複数の水玉模様37が形成された変形例2を示す
図4相当の平面図である。
【0048】
また、
図7は反射板30の表面31に、実施形態のグラデーション35に代えて複数の格子模様38を構成する複数の同じ太さの縦の線38a及び複数の同じ太さの横の線38bが形成された変形例3を示す
図4相当の平面図、
図8は反射板30の表面31に、実施形態のグラデーション35に代えて複数の格子模様39を構成する複数の同じ太さの縦の線39a及び複数の太さの異なる横の線39bが複数形成された変形例4を示す
図4相当の平面図である。
【0049】
本実施形態の文字板100は、
図5に示すように、反射板30の表面31に、グラデーション35に代えて同じ大きさの複数の水玉模様36が形成された変形例1や、
図6に示すように、反射板30の表面31に、グラデーション35に代えて大きさの異なる複数の水玉模様37が形成された変形例2を適用することもできる。
【0050】
また、本実施形態の文字板100は、
図7に示すように、反射板30の表面31に、グラデーション35に代えて複数の格子模様38を構成する複数の同じ太さの縦の線38a及び複数の同じ太さの横の線38bが形成された変形例3や、
図8に示すように、反射板30の表面31に、グラデーション35に代えて複数の格子模様39を構成する複数の同じ太さの縦の線39a及び複数の太さの異なる横の線39bが複数形成された変形例4を適用することもできる。
【0051】
このように構成された各変形例1~4の文字板100によっても、上述した実施形態の文字板100と同様の作用、効果を得ることができる。なお、本発明に係る表示板は、反射部材の表面に、グラデーションのみ又は模様のみを形成したものに限らず、これらグラデーションと模様とを組み合わせて形成してもよい。
【0052】
なお、本発明に係る表示板において、反射部材の表面にグラデーション又は模様を形成することには、反射部材の表面にグラデーション又は模様が直接形成されているものだけでなく、グラデーション又は模様が形成されているもの(例えば、透明なフィルムや板材)を反射部材の表面に積層することにより、反射部材の表面にグラデーション又は模様が形成されているのと同視できるものも含む。
【0053】
なお、反射板30の表面31には、上述したグラデーション35や模様(水玉模様36,37、格子模様38,39等)をインクジェット印刷で行うのに代えて、塗装やメッキでグラデーションや模様を形成してもよく、また、箔(金箔やプラチナ箔等)の細片やパール粉を表面31に貼付することで、模様を形成してもよい。
【0054】
このように、メッキや箔片を適用すると、和紙20を通して、これらの輪郭をふんわりとした印象で表現できる。また、パール粉は、和紙20を通してキラキラとした反射を垣間見ることができ、透明上板10にパール粉を配合した場合とは異なった外観を得ることもできる。
【0055】
<表示板の製造方法>
上述した実施形態の文字板100は、例えば、以下の工程により製造される。
【0056】
すなわち、例えば、A4サイズの大きさの反射板30に、基準位置用の穴を2個以上、例えば打ち抜き加工により形成する。
【0057】
次いで、反射板30の表面31の、基準位置用の穴に基づいて特定された複数の位置にそれぞれ、例えばインクジェット印刷により、グラデーション35を形成する。
【0058】
表面31のグラデーション35が乾燥した後、表面31に接着剤40を塗布し、その上に、反射板30に重なるA4サイズの大きさの和紙20を重ねて、和紙20を反射板30に接着する。
【0059】
次いで、グラデーション35が形成された複数の位置に対応した、反射板30と和紙20とが接合した文字板100の部分を、基準位置用の穴に基づいて、打ち抜き加工で切り出す。
【0060】
これにより、A4サイズの大きさの反射板30及び和紙20から、複数の表示板を製造することができる。
【0061】
本実施形態の文字板100は、装飾部材として和紙20を適用したものであるが、本発明に係る表示板は、装飾部材として和紙を適用したものに限定されない。すなわち、本発明に係る表示板は、装飾部材として、和紙の他に、不織布や、繊維等を面状に織った麻や絹等の布や、多数の糸を板状に固めたものや、鳥の羽根や昆虫の透けた繊維質の羽根や、植物の微細な繊維質の葉脈なども適用することができる。
【0062】
上述した実施形態や変形例の文字板100は、ソーラセル50を備えた腕時計の文字板に適用したものであるが、本発明に係る表示板は、ソーラセル50を備えた腕時計に限定されず、標準時刻を担った電波やGPSからの電波等を受信するアンテナを備えた腕時計の文字板に適用することもできる。
【0063】
また、本実施形態の時計は、この文字板100を搭載した、上述した腕時計等の時計であるが、本発明に係る時計は、ソーラセル50もアンテナも備えないものであってもよい。
【0064】
また、本発明に係る表示板は、腕時計の文字板に適用するものに限定されず、置時計や掛け時計、懐中時計等、各種の時計の文字板等に適用することができる。また、本発明に係る表示板は時計以外のものに適用することもできる。
【符号の説明】
【0065】
10 透明上板
20 和紙(装飾部材の一例)
21 遮光部
22 透光部
25,31 表面
26,32 裏面
30 反射板(反射部材の一例)
40 接着剤
50 ソーラセル
100 文字板(表示板の一例)