(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】車輪止め装置
(51)【国際特許分類】
B60T 3/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B60T3/00
(21)【出願番号】P 2019028195
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】508337204
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・エンジニアリング新潟
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】新井 和行
(72)【発明者】
【氏名】星 和雄
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-226920(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218816(JP,U)
【文献】特開2003-112601(JP,A)
【文献】特開2010-052658(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118537(JP,U)
【文献】特開2020-069882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 3/00
B60P 3/077
B65G 69/34
B64F 1/16
B60R 25/09
F16G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向の支持杆と、
前記支持杆の下部に上下方向回動可能に連結した左右のアームと、
前記左右のアームに設けられ、車輪の前後に配置される左右の輪止め部とを備え、
前記左右のアームを前記支持杆側に沿う収納位置に回動可能に設け
、
前記左右のアームを前記収納位置に回動する回動操作手段を備え、
前記回動操作手段は、前記支持杆に設けた紐状体受け部と、前記左右のアームに基端を連結し、先端側を前記紐状体受け部に係合した左右の紐状体とを備え、
前記紐状体受け部は、前記左右のアームを前記収納位置に回動した状態で、前記紐状体の前記基端と前記アームとの連結箇所より上方に位置することを特徴とする車輪止め装置。
【請求項2】
前記左右のアームを前記収納位置に回動した状態で、前記アーム又は前記輪止め部の上部から前記支持杆の上部が突出し、この支持杆の上部に把持部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車輪止め装置。
【請求項3】
前記紐状体受け部は、前記左右の紐状体の
前記先端側を挿通する挿通部を有することを特徴とする請求項
1又は2記載の車輪止め装置。
【請求項4】
前記左右の紐状体の
前記先端側同士を連結したことを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載の車輪止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車中の車両の移動を防止する車輪止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、支持杆と左右の横杆(アームに相当)を有するT字形をなし、車止めブロックがスライド可能に移動できる車輪止め装置(例えば特許文献1)や、支持杆と、左右の横杆と、輪止め部を備え、左右のストッパの位置をそれぞれ調整可能に構成した自動車走行阻止装置(例えば特許文献2)などがある。
【0003】
上記特許文献1及び2の装置はT型をなし、支持杆の上部に把持部を有するが、折り畳むことができないため、収納や運搬に不便であった。
【0004】
これに対し、左右のアームを回動可能としたものとして、開閉部の先端側と連結された輪止め部と、内側開閉部を備え、内側開閉部の回動中心は開閉操作部に連結しており、内側開閉部の2方向は外側開閉部に回動自在に連結されており、内側開閉部の残りの2方向は車輪止め先端側に弾性体を備えた開閉操作部と、両端に回動軸を備えた開閉基部と、開閉基部の両端から回動自在に延伸した外側開閉部と、外側開閉部に連結された車輪止めとを備えた開閉式車輪止め(例えば特許文献3)や、グリップを設けた本体に、前後4本のリンク杆の上端を枢着するとともに、前側の2本のリンク杆と後側の2本のリンク杆の下端にそれぞれ車輪留を枢着し、これらのリンク杆を前後方向に揺動させることによって、車輪留の車輪挟み込み位置への拡開と収納位置への縮閉とを行うリンク機構を構成した車止め装置(例えば特許文献4)などがある。
【0005】
また、左右のアームを伸縮可能としたものとして、本体に対して両側に伸縮可能な左右のアームと、輪止めを使用状態と折り畳み状態との間で回転させる湾曲レールとを備えた折り畳み式車止め装置(例えば特許文献5)や、一対のアームを所定位置まで拡げるスプリングとを備え、一対のアームを畳むときに輪止めの先端が、湾曲レールにガイドされて上向きに回転する折り畳み式車止め装置(例えば特許文献6)などがある。
【0006】
上記特許文献3~6の装置は、アームを回動して折り畳んだり伸縮したりすることができるが、そのための機構が複雑になる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-226920号公報
【文献】実開平4-13461号公報
【文献】実用新案登録第3211048号公報
【文献】実用新案登録第3189943号公報
【文献】実用新案登録第3216269号公報
【文献】実用新案登録第3218816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決しようとするもので、構造簡易にして、収納及び運搬に便利で、取り扱いが容易な輪止め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、縦方向の支持杆と、前記支持杆の下部に上下方向回動可能に連結した左右のアームと、前記左右のアームに設けられ、車輪の前後に配置される左右の輪止め部とを備え、前記左右のアームを前記支持杆側に沿う収納位置に回動可能に設け、前記左右のアームを前記収納位置に回動する回動操作手段を備え、前記回動操作手段は、前記支持杆に設けた紐状体受け部と、前記左右のアームに基端を連結し、先端側を前記紐状体受け部に係合した左右の紐状体とを備え、前記紐状体受け部は、前記左右のアームを前記収納位置に回動した状態で、前記紐状体の前記基端と前記アームとの連結箇所より上方に位置することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、前記左右のアームを前記収納位置に回動した状態で、前記アーム又は前記輪止め部の上部から前記支持杆の上部が突出し、この支持杆の上部に把持部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記紐状体受け部は、前記左右の紐状体の前記先端側を挿通する挿通部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、前記左右の紐状体の前記先端側同士を連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、左右のアームを開くように回動し、支持杆を持って車輪の側部から該車輪の下部に左右の輪止め部を配置して車輪に装置をセットすることにより、車両の移動を防止することができる。一方、左右のアームを支持杆側に沿う収納位置に回動することにより、コンパクトに収納・運搬することができる。
【0014】
請求項2の構成によれば、左右のアームを支持杆側に沿う収納位置に回動した状態で、上方に位置する把持部を把持して運搬・移動を行うことができる。
【0015】
また、請求項1の構成によれば、回動操作手段により前記左右のアームを前記支持杆に沿う位置に回動することができる。
【0016】
さらに、請求項1の構成によれば、左右の紐状体の先端側を紐状体受け部に沿って引き上げると、左右のアームが支持杆に沿い、紐状体を緩めると、自重で左右のアームが下向きに回動する。
【0017】
請求項3の構成によれば、挿通部を設けることにより、挿通部を通った紐状体の先端側を引っ張ることにより、左右のアームを支持杆に沿わせることができる。
【0018】
請求項4の構成によれば、左右の紐状体の先端側を同時に引っ張って、左右のアームを上側に回すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1を示す車輪止め装置の前側の斜視図である。
【
図5】同上、支持杆とアームの連結構造の斜視図である。
【
図7】本発明の実施例2を示す要部の斜視図である。
【
図8】本発明の
参考例
1を示す要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な車輪止め装置を採用することにより、従来にない車輪止め装置が得られ、その車輪止め装置を夫々記述する。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の車輪止め装置を添付図面を参照して説明する。
図1~
図6は、本発明の実施例1を示す。同図に示すように、車輪止め装置1は、使用状態で縦方向の支持杆2と、この支持杆2の下部に回動可能に連結した左右のアーム3,3と、これら左右のアーム3,3の先端側に設けられ車両の車輪4の前後に配置される左右の輪止め部5,5とを備え、前記左右のアーム3,3を前記支持杆2側に沿う収納位置に回動可能に設けている。尚、前記輪止め部5は車輪止め装置1の前側に配置されている。
【0022】
前記支持杆2及び左右のアーム3,3は、アルミニウム製の角パイプからなり、
図5に示すように、連結構造11により左右のアーム3,3の基端が連結されている。この連結構造11は金属製板状の取付部材12,12を前後に備え、この取付部材12は縦部13と横部14とを有して略逆T字形をなしている。前記縦部13の上下に透孔15,15を穿設し、これら透孔15,15に対応して前記支持杆2の下端側に透孔(図示せず)を穿設し、また、前記横部14の両端部に透孔16,16を穿設し、両端側の透孔16,16に対応して前記左右のアーム3,3の基端に透孔(図示せず)を穿設している。
【0023】
そして、前記支持杆2と左右のアーム3,3の前後面に、前記取付部材12,12を配置し、上下の透孔15,15と支持杆2の前記透孔とに螺子17,17を挿通し、これら螺子17,17の先端に袋ナット18,18を螺合することにより支持杆2の下端に取付部材12,12を固定している。また、横部14の端部の透孔16,16とアーム3,3の基端の前記透孔に螺子17,17をそれぞれ挿通し、これら螺子17,17の端部に袋ナット18,18を螺合することにより取付部材12,12の端部にアーム3,3を回動自在に連結し、これにより支持杆2の下部に左右のアーム3,3を回動可能に連結している。尚、前記螺子17が前記アーム3の回動中心軸である。
【0024】
前記輪止め部5は、合成樹脂からなり、正面視で略直角三角形の形状で中空形状をなし、設置状態で、車両の車輪4に対応して斜めに形成した受け面部21と、道路などの設置面Sに載置する設置面部22と、この設置面部22のアーム先端側から上方に突設した側面部23とを備え、この側面部23と設置面部22のアーム基端側とを前記受け面部21が連結し、この受け面部21は、車輪4の外形に対応して、中央が凹むように僅かに湾曲形成されている。
【0025】
前記側面部23には略コ字状の取っ手部24が設けられている。また、
図3に示すように、受け面部21の上面及び設置面部22の下面には滑り止め部21A,22Aが設けられ、これら滑り止め部21A,12Aは複数の突条からなる。
【0026】
また、前記左右の輪止め部5,5は、間隔調整機構30により間隔調整可能に前記アーム3,3に固定される。前記間隔調整機構30は、前記アーム3,3の先端側に、アーム3の長さ方向に間隔を置いて二対の透孔31,31A,31,31Aを穿設し、これら透孔31,31A,31,31Aに選択的に挿通する一対の固定部材たる螺子棒32,32を備える。尚、前記透孔31,31が対をなし、前記透孔31A,31Aが対をなし、前記透孔31,31の透孔間隔と前記透孔31A,31Aの透孔間隔は等しい。
【0027】
前記一対の螺子棒32,32を前記設置面部22に挿通し、該設置面部22の両側を螺子棒32に螺合したナット33,33により締め付けて輪止め部5に一対の螺子棒32,32を固定する。尚、一対の螺子棒32,32の間隔は前記透孔間隔と等しい。また、前記螺子棒32の前端に螺合する前記ナット33には、袋ナットを用いている。
【0028】
また、一対の透孔31,31と一対の透孔31A,31Aのいずれかに螺子棒32,32を挿通し、アーム3を挟んで螺子棒32に螺合するナット33A,33Aにより、アーム3に螺子棒32,32を固定することにより、アーム3に対する輪止め部5の位置を変更することができる。
【0029】
また、前記透孔16から前記支持杆2の上端までの長さLは、収納位置において、前記透孔16から前記アーム3の上端又は輪止め部5の上端までの長さより十分に長い。そして、
図4に示すように、前記左右のアーム3,3を前記支持杆2に沿う収納位置に回動すると、収納位置における左右の輪止め部5,5の上端から前記透孔16,16までの高さHより前記長さLが長く、輪止め部5の上方に支持杆2の上部が突出した状態になり、前記支持杆2の長さLは、例えば600mm以上で、成人が立った姿勢で把持部51を把持できる長さである。なお、前記高さHは、アーム3の先端側の透孔31,31を用いて、輪止め部5をアーム3の先端側に取り付けた場合のものである。
【0030】
前記螺子棒32をアーム3に固定した状態で、アーム3の前面から離れた位置に前記輪止め部5が位置し、また、アーム3の後面から螺子棒32の後端側が突出する。アーム3の先端側の螺子棒32に支持部材たる円板34を固定し、装置1の使用状態で、この円板34が設置面Sに接地又は近接する。前記円板34は、前記螺子棒32を挿通する挿通孔(図示せず)を有し、この挿通孔に螺子棒32の後端側を挿通し、螺子棒32に螺合したナット33B,33Bにより円板34を挟んで、螺子棒32の後端側に円板34を固定している。
【0031】
前記円板34を設けない前記螺子棒32の後端には、合成樹脂などからなるキャップ36が設けられている。また、それぞれのアーム3,3において隣り合う螺子棒32,32に跨って反射テープ37が巻装され、この反射テープ37の表面には黄色などの反射面37Aが設けられている。
【0032】
前記支持杆2の上端側が把持部51であり、この把持部51には、ウレタン製のカバー部材41が設けられている。また、前記支持杆2には、黄色の反射テープ42が斜めに巻装されている。
【0033】
図6に示すように、前記把持部51には、輪部52を一体に備えたボルト53が設けられており、このボルト53を後側から前記把持部51に挿通し、挿通したボルト53に一対のナット54,54を螺合し、これら一対のナット54,54により把持部51を挟むことにより、略水平な前記輪部52を把持部51の後側に取り付け、この輪部52の孔部52Aにより紐状体受け部たる挿通部を構成している。
【0034】
尚、挿通部たる前記孔部52Aは連続した環状で切欠きはないが、切欠きが紐状体62を直径方向より小さく、その切欠きに紐状体62を直径方向から挿入できない大きさであれば、切欠きが有ってもよい。また、この例では、孔部52Aが上下方向になるように輪部52を取り付けている。尚、ボルト53の端部に螺合する前記ナット54には、袋ナットが用いられる。
【0035】
前記左右のアーム3,3の先端上部には、リング状の連結部61,61を設け、左右の連結部61,61に左右の紐状体62,62の基端62K,62Kを連結する。また、左右の紐状体62,62の先端62S,62Sを、下側から前記孔部52Aに挿通し、挿通した先端62S,62Sを方形の表示板63の下部中央に連結する。また、前記表示板63には「バック時には誘導員を付ける!」などの文字や図形等の表示部(図示せず)が設けられている。
【0036】
また、前記表示板63の上部中央に、連結用紐状体65により取付手段たる吸着部材66が連結されている。この例の吸着部材66は永久磁石であり、車両の車体に吸着する取付手段を構成している。また、吸着部材66としては、吸盤などもよい。尚、吸着部材66を車体に吸着状態で、吸着部材66の下方に前記表示板63が位置するから、前記表示板63は吸着部材66側を上にして前記表示部が記載されている。
【0037】
そして、前記輪部52及び左右の紐状体62,62により、前記左右のアーム3,3を前記収納位置に回動操作する回動操作手段60を構成し、この例の回動操作手段60は手動により操作するものである。
【0038】
さらに、
図1及び
図2に示すように、左右の紐状体62,62の途中に紐状体62,62の結び目62Mを設け、この結び目62Mは前記孔部52Aを通らない大きさを有し、前記結び目62Mが前記輪部52の孔部52Aに係止する係止部である。そして、左右のアーム3,3を展開した状態で、前記結び目62Mが前記輪部52に係止し、
図1に示すように、前記連結部61と輪部52の間で前記紐状体62,62が僅かに撓んだ状態となる。尚、係止部としては、結び目62M以外にも、左右の紐状体62,62に外装するリング状の部材で、孔部52Aを通らない大きさのものでもよい。
【0039】
この例では、前記紐状体62は合成樹脂製のロープであり、黄色と黒色の異なる色の撚り線により、黄色の撚り線の間に黒色の撚り線が現れる。尚、紐状体62は、ワイヤロープ,ゴムベルト,ベルト,チェーン,合成樹脂製の紐などでもよい。
【0040】
そして、前記孔部52Aは、前記左右のアーム3,3を前記支持杆2に沿う収納位置に回動した状態で、前記紐状体62の基端62Kの前記アーム3への連結箇所である連結部61より上方に位置する。
【0041】
従って、左右に紐状体62,62の先端側を上向きに引っ張ると、左右のアーム3,3が上方に回動し、支持杆2に沿う収納位置となる。尚、左右に紐状体62,62の先端側は輪部52に挿通しているから、下向きに引っ張ることもできる。
【0042】
次に、前記車輪止め装置1の使用方法について説明する。
図4に示すように、左右のアーム3,3を支持杆2側に沿う収納位置にして車輪4の近くまで運搬し、紐状体62を緩めると、自重により左右のアーム3,3が回動し、車輪4の前後の設置面Sに輪止め部5が載置される。そして、使用者は立った姿勢で把持部51を把持し、車輪止め装置1を前側に移動し、左右の輪止め部5,5が車輪4の前後に位置するようにセットする。
【0043】
このように立った姿勢で車輪4の前後に左右の輪止め部5,5を配置することができ、車両とガードレールなどとの隙間が狭い場合も、簡便に車止め作業を行うことができる。また、立ったままの姿勢で、輪止め部5が直接視認できなくても、アーム3の外側に突出した螺子棒32,32に反射テープ37が巻装されているため、目印たるそれら螺子棒32,32及び反射テープ37により、輪止め部5の位置を確認して装置1をセットすることができる。また、セットした状態で、車両の外側に反射テープ37が現れるため、周囲に使用状態を知らせることができる。
【0044】
また、収納位置から紐状体62,62を緩めるだけで、左右のアーム3,3が開くように回動し、逆に紐状体62,62を引っ張ると、左右のアーム3,3が閉まるから、アーム3,3の回動操作を立った姿勢で簡便に行うことができる。また、
図1及び
図2に示すように、結び目62Mが輪部52に係止することにより、紐状体62,62の先端62S,62Sから手を離しても、アーム3と輪部52の間で、紐状体62,62が不必要に撓むことがなく、僅かに撓んだ状態で保持される。
【0045】
尚、左右のアーム3,3は支持杆2との挟角が90度を超えて回動可能であるから、車輪4の左右で設置面Sの勾配が異なる場合も対応可能となる。
【0046】
また、支持杆2の上方で車両の車体に吸着部材66を吸着することにより、表示板63を表示することができる。こうすると、紐状体62,62の先端62Sが垂れ下がることなく、撤去時に紐状体62,62の先端62S,62S側を簡便に把持することができる。
【0047】
そして、撤去する場合は、把持部51を持って車輪止め装置1を車両から離れる後側に移動し、輪止め部5,5が車輪4の左右位置から外れた位置で、紐状体62,62の先端62S,62S側を引っ張ると、左右のアーム3,3が上方に回動し、収納位置に折り畳むことができ、そのまま運搬することができる。
【0048】
このように本実施例では、請求項1に対応して、縦方向の支持杆2と、支持杆2の下部に上下方向回動可能に連結した左右のアーム3,3と、左右のアーム3,3に設けられ、車輪4の前後に配置される左右の輪止め部5,5とを備え、左右のアーム3,3を支持杆2側に沿う収納位置に回動可能に設けたから、左右のアーム3,3を開くように回動し、支持杆2を持って車輪4の側部から該車輪4の下部に左右の輪止め部5,5を配置して車輪4に装置1を配置し、車両の移動を防止することができる。一方、左右のアーム3,3を支持杆2側に沿う収納位置に回動することにより、コンパクトに収納・運搬することができる。
【0049】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、左右のアーム3,3を前記収納位置に回動した状態で、アーム3又は輪止め部5の上部から支持杆2の上部が突出し、この支持杆2の上部に把持部51が設けられているから、左右のアーム3,3を支持杆2側に沿う収納位置に回動した状態で、上方に位置する把持部51を把持して運搬・移動を行うことができる。
【0050】
また、このように本実施例では、請求項1に対応して、左右のアーム3,3を前記収納位置に回動する回動操作手段60を備えるから、回動操作手段60により左右のアーム3,3を支持杆2に沿う収納位置に回動することができる。
【0051】
また、このように本実施例では、請求項1に対応して、回動操作手段60は、支持杆2に設けた紐状体受け部たる孔部52Aと、左右のアーム3,3の先端側に基端62K,62Kを連結し、先端62S,62S側を孔部52Aに係合した左右の紐状体62,62とを備え、前記孔部52Aは、左右のアーム3,3を前記収納位置に回動した状態で、紐状体62,62の基端62K,62Kとアーム3,3の先端側との連結箇所たる連結部61より上方に位置するから、左右の紐状体62,62の先端62S,62S側を係合部たる孔部52Aに沿って引き上げると、左右のアーム3,3が支持杆2に沿い、紐状体62,62を緩めると、自重で左右のアーム3,3が下向きに回動する。
【0052】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、前記紐状体受け部は、左右の紐状体62,62の先端62S,62S側を挿通する挿通部たる孔部52Aを有するから、孔部52Aを通った紐状体62,62の先端62S,62S側を引っ張ることにより、左右のアーム3,3を支持杆2に沿わせることができる。
【0053】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、左右の紐状体62,62の先端62S,62S側同士を連結したから、左右の紐状体62,62の先端62S,62S側を同時に引っ張って、左右のアーム3,3を上側に回すことができる。また、孔部52Aなどに挿通した場合は、先端62S,62S側を下向きに引っ張ることができ、力を入れ易い。
【0054】
また、実施例上の効果として、間隔調整機構30を備えるから、車輪4の大きさに対応して、輪止め部5,5の間隔を調整することができる。また、アーム3の先端側の螺子棒32に、支持部材たる円板34を設けたから、装置1の後側への転倒が防止され、使用状態で装置1が安定する。さらに、孔部52Aは支持杆2の後側で略平行に配置されているから、挿通した紐状体62,62の先端62S,62S側の操作が容易となる。また、紐状体62,62に、輪部52に係止する係止部たる結び目62Mを設けることにより、連結部61と輪部52の間で紐状体62,62を僅かに撓んだ状態で保持することができ、紐状体62,62が邪魔にならない。さらに、回動操作手段60は、その一部を構成する紐状体62,62の先端62S,62Sを立ったままで操作できるから、車輪4への装置1のセット及び撤去作業が容易となる。また、アーム3の外側に突出した螺子棒32,32に反射テープ37が巻装されているため、目印たるそれら螺子棒32,32及び反射テープ37により、車体の下部に配置する輪止め部5の位置を確認することができると共に、使用状態を報知できる。さらに、アーム3は、水平位置より下方に回動可能であるから、設置面Sの不陸に対応できる。また、支持杆2の上方で車両の車体に吸着する吸着部材66を備え、この吸着部材66を紐状体62,62に連結したから、表示板63を表示することができると共に、撤去時に紐状体62,62の先端62S,62S側を簡便に把持することができる。
【実施例2】
【0055】
図7は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記支持杆2の上端に、可撓性を有する保持用の輪体71を設け、この輪体71は円周に一部が支持杆2に連結固定されている。また、輪体71は、紐状体からなり、帯状のものが好ましい。尚、前記カバー部材41と共に輪体71を設けてもよいし、カバー部材41を用いずに輪体71を設けてもよい。
【0056】
従って、前記輪体71に手を通し、手首に輪体71を掛けた状態で前記把持部51を把持することにより、装置1を安定して持ち運ぶことができる。或いは輪体71の一部を握るようにして持ち運ぶこともできる。
【0057】
このように本実施例では、請求項1~4に対応して、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
[参考例1]
【0058】
図8は本発明の
参考例
1を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、左右の紐状体62,62の先端62S,62Sを前記支持杆2の上部に連結し、具体的にはそれら先端62S,62Sを前記輪部52に連結している。
【0059】
また、左右の紐状体62,62の基端62K,62Kに、連結具75,75をそれぞれ設け、これら連結具75はフックやカラビナなどであり、収納位置の前記連結部61の輪部61Aに着脱可能に連結することができる。尚、
図8では連結具75としてフックを図示している。また、前記連結部61はネオジム磁石などの永久磁石でもよく、この場合、前記永久磁石が吸着する磁性材を前記アーム3の先端側に設ければよい。
【0060】
そして、前記左右の紐状体62,62,前記連結具75,75及び前記連結部61により、左右のアーム3,3を収納位置に保持する保持手段76を構成している。
【0061】
従って、保持手段76を設けたから、手動でアーム3を収納位置まで回し、連結部61の輪部61Aに連結具75を連結することにより、左右のアーム3,3を収納位置に保持することができると共に、前記連結部61の輪部61Aと前記連結部61との連結を解除することにより、アーム3,3を使用位置である横方向に回動することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、支持杆の下部にアームを連結する連結構造は、実施例に限定されず、各種タイプのものを用いることができ、例えば、支持杆の下端に短い横杆を設けて支持杆を略逆T字形に形成し、その横杆の両端に左右のアームを回動自在に連結するなどしてもよい。また、実施例では把持部にカバー部材を設けたが、カバー部材を設けなくてもよく、また、把持部の形状も実施例に限定されず、適宜選定可能であり、例えばT形などもしてもよい。さらに、紐状体受け部は、閉まった孔状に限らず、U字形やL字形で紐状体を引っ掛けるものでもよく、この場合はU字形やL字形の先端を上向きにすることが好ましい。また、孔部は円形に限らず楕円形や角形でもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 車輪止め装置
2 支持杆
3 アーム
4 車輪
5 輪止め部
51 把持部
52A 孔部(紐状体受け部・挿通部)
60 回動操作手段
61 連結部(連結箇所)
62 紐状体
62S 先端
62K 基端