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特許7193374台棒の取付金具及び当該取付金具を使用した台棒の取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】台棒の取付金具及び当該取付金具を使用した台棒の取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20221213BHJP
   E04G 23/08 20060101ALI20221213BHJP
   E04H 12/10 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E04G21/16
E04G23/08 J
E04H12/10 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019028397
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020133257
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】505272618
【氏名又は名称】株式会社タワーライン・ソリューション
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敬
(72)【発明者】
【氏名】川崎 伯晃
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寛之
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-222993(JP,A)
【文献】特開2015-169040(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/020574(JP,A1)
【文献】実開平2-18871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/16
E04G 23/08
E04G 23/02
E04H 12/10
E04H 12/18
E04H 12/20
E04H 12/24
E04B 1/24
E04G 3/00
E04G 5/04
H02G 7/00
B66C 23/32
B66C 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一金具、第二金具及びワイヤロープから成り、
前記第一金具は、鉄塔のアングル材から成る主柱材を挟持する第一外側板及び第一内側板の両端でボルトナットにより前記主柱材に固定される構成であり、前記第一外側板の外側又は第一内側板の内側に、前記主柱材に取り付けた際当該主柱材の長手方向に略直角な下部支持板が突設され、当該下部支持板上に台棒の下端を上下回転自在に軸支する軸受部及び当該軸受部の両脇に前記ワイヤロープの係止部が夫々設けられ、
前記第二金具は、前記第一金具の上方の鉄塔の主柱材を挟持する第二外側板及び第二内側板の両端部でボルトナットにより前記主柱材に固定される構成であり、前記第一金具の支持板の上方に位置する第二外側板の外側又は第二内側板の内側に、前記主柱材に取り付けた際当該主柱材の長手方向に略直角な上部支持板が突設され、当該上部支持板の下面であって、前記第一金具のワイヤロープの係止部に対向する位置に別途ワイヤロープの係止部が夫々設けられ、
前記第一金具の下部支持板の各ワイヤロープの係止部と前記第二金具の上部支持板の各ワイヤロープの係止部に前記ワイヤロープの両端が夫々係止されていることを特徴とする、台棒の取付金具。
【請求項2】
前記第一金具の第一外側板は、細幅の板体を山形に折り曲げて両端を突き合わせ部とし、前記第一内側板は、細幅の板体を山形に折り曲げ、当該板体の内側の開口にアングル材の垂直片を当てて固着し、当該アングル材の水平片を前記下部支持板とし、また、前記垂直片の両端と前記第一外側板の各突き合わせ部との間にボルトを通して当該ボルトの端部にナットを螺着して前記主柱材を挟持する構成とし、
前記第二金具の第二外側板は、細幅の板体を山形に折り曲げて両端を突き合わせ部とし、前記第二内側板は、細幅の板体を山形に折り曲げ、当該板体の内側の開口にアングル材の垂直片を当てて固着し、当該アングル材の水平片を前記上部支持板とし、また、前記垂直片の両端と前記第二外側板の各突き合わせ部との間にボルトを通して当該ボルトの端部にナットを螺着して前記主柱材を挟持する構成としたことを特徴とする、前記請求項1に記載の台棒の取付金具。
【請求項3】
前記ワイヤロープは、長さ調整自在な張線器から導出されることを特徴とした、前記請求項1又は2に記載の台棒の取付金具。
【請求項4】
第一金具、第二金具及びワイヤロープを備えた2個の張線器から成り、
前記第一金具は、第一外側板及び第一内側板により前記主柱材に固定され、前記第一外側板の外側又は第一内側板の内側に、前記主柱材の長手方向に略直角な下部支持板が突設され、当該下部支持板上に台棒の下端を上下回転自在に軸支する軸受部及び当該軸受部の両脇にワイヤロープの係止部が夫々設けられ、
前記第二金具は、第二外側板及び第二内側板により前記主柱材に固定され、前記第二外側板の外側又は第二内側板の内側に、前記主柱材の長手方向に略直角な上部支持板が突設され、当該上部支持板の下面にワイヤロープの係止部が夫々設けられて形成される台棒の取付金具を使用し、
鉄塔の山形鋼から成る主柱材の外側に、前記第一金具の第一外側板の内側を当て、前記主柱材の内側に、前記第一内側板の外側を当て、当該主柱材の両側から突出した第一外側板及び第一内側板の両端部をボルトとナットで固定し、
前記主柱材上であって前記第一金具から一定長離れた上方の外側に、台棒の取付金具の第二金具の第二外側板の内側を当て、当該主柱材の内側に前記第二内側板の外側を当て、当該主柱材の両側から突出した第二外側板及び第二内側板の両端部をボルトとナットで固定し、
前記上部支持板の係止部に前記各張線器の一方のワイヤロープの鉤部を係止し、前記下部支持板の係止部に前記各張線器の他方のワイヤロープの鉤部を係止し、当該各張線器の締付操作部を操作して各ワイヤロープを緊張させ、
前記下部支持板の軸受部に台棒の下端部を上下方向に回転自在に軸支することを特徴とした、台棒の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄塔の建設や解体の際に建設資材等を吊り上げたり、吊り降ろしたりして運ぶ台棒を鉄塔に取り付ける取付金具及び当該取付金具を使用した台棒の取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線の鉄塔の建設や解体に際し、台棒が使用されている。例えば、図17に示すように、建設中又は解体途中の鉄塔の上部にある主柱材Gに、内側に向けて、台棒Hの下端部を起伏自在に取り付け、この台棒Hの先端に支線31を取り付けている。また、この台棒Hの先端下面に金車32を取り付け、この金車32にワイヤロープ33を通し、このワイヤロープ33の先端に建設資材等34を吊り下げるようになっている。前記支線31及びワイヤロープ33を操作して、前記台棒Hを使って建設資材等34を吊り上げたり、吊り降ろしたりしている。
【0003】
この様な台棒Hを前記鉄塔に取り付けるものとして、特許文献1に記載された取付金具がある(図13図14参照)。この取付金具は、山形鋼から成る主柱材を外側から当接させるアウタープレート、前記主柱材に内側から当接して前記アウタープレートと当該主柱材を前後で挟持するインナープレート、このインナープレートの一端縁に設けられた前記台棒を連結する台棒連結部、この台棒連結部の一端縁に設けられた滑車連結部から成る。この様な台棒の取付金具は、台棒の支持部(台棒連結部)が回転式なので作業性が優れており、また、強度計算や実験により強度の実体把握がなされており、安心して使用できる。
【文献】特許第6204629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記台棒の取付金具は、重量の大きな台棒を一点で支えるため鉄塔の主柱材に強固に取り付けられるものであるため、かなりの重量を有し、鉄塔への取り付けや移動に際しては、多人数の作業員で行わなければならず、利便性に欠け、使い勝手が良いと言えるものではない。その上、台棒は鉄塔の上端部材を組み立てる間に又は解体する間に取付け位置を変えるため、この取付金具を鉄塔の主柱材の組立箇所へ付け変えなければならない。
【0005】
そこで、従来は鉄塔の主柱材に吊り下げたロープを台棒の下端部に巻き付けて台棒を支持しているのが現状である。しかしながら、この様にロープに台棒の下端部を支持するのは外れ易く、極めて危険である。この様な状況において、利便性に富み、使い勝手の良い、台棒の取付金具が求められている。
【0006】
この発明は、これらの点に鑑みて為されたもので、前記特許文献1の取付金具よりも軽量で、吊り下げたロープの中央部に台棒を載せるものより安全で、また、主柱材への取付けも容易な台棒の取付金具及び当該取付金具を使用した台棒の取付け方法を提供して前記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、第一金具、第二金具及びワイヤロープから成り、前記第一金具は、鉄塔のアングル材から成る主柱材を挟持する第一外側板及び第一内側板の両端でボルトナットにより前記主柱材に固定される構成であり、前記第一外側板の外側又は第一内側板の内側に、前記主柱材に取り付けた際当該主柱材の長手方向に略直角な下部支持板が突設され、当該下部支持板上に台棒の下端を上下回転自在に軸支する軸受部及び当該軸受部の両脇に前記ワイヤロープの係止部が夫々設けられ、前記第二金具は、前記第一金具の上方の鉄塔の主柱材を挟持する第二外側板及び第二内側板の両端部でボルトナットにより前記主柱材に固定される構成であり、前記第一金具の支持板の上方に位置する第二外側板の外側又は第二内側板の内側に、前記主柱材に取り付けた際当該主柱材の長手方向に略直角な上部支持板が突設され、当該上部支持板の下面であって、前記第一金具のワイヤロープの係止部に対向する位置に別途前記ワイヤロープの係止部が夫々設けられ、前記第一金具の下部支持板の各ワイヤロープの係止部と前記第二金具の上部支持板の各ワイヤロープの係止部に前記ワイヤロープの両端が夫々係止されている、台棒の取付金具とした。
【0008】
請求項2の発明は、前記第一金具の第一外側板は、細幅の板体を山形に折り曲げて両端を突き合わせ部とし、前記第一内側板は、細幅の板体を山形に折り曲げ、当該板体の内側の開口にアングル材の垂直片を当てて固着し、当該アングル材の水平片を前記下部支持板とし、また、前記垂直片の両端と前記第一外側板の各突き合わせ部との間にボルトを通して当該ボルトの端部にナットを螺着して前記主柱材を挟持する構成とし、前記第二金具の第二外側板は、細幅の板体を山形に折り曲げて両端を突き合わせ部とし、前記第二内側板は、細幅の板体を山形に折り曲げ、当該板体の内側の開口にアングル材の垂直片を当てて固着し、当該アングル材の水平片を前記上部支持板とし、また、前記垂直片の両端と前記第二外側板の各突き合わせ部との間にボルトを通して当該ボルトの端部にナットを螺着して前記主柱材を挟持する構成とした、前記請求項1に記載の台棒の取付金具とした。
【0009】
請求項3の発明は、前記ワイヤロープは、長さ調整自在な張線器から導出される、前記請求項1又は2に記載の台棒の取付金具とした。
【0010】
請求項4の発明は、第一金具、第二金具及びワイヤロープを備えた2個の張線器から成り、前記第一金具は、第一外側板及び第一内側板により前記主柱材に固定され、前記第一外側板の外側又は第一内側板の内側に、前記主柱材の長手方向に略直角な下部支持板が突設され、当該下部支持板上に台棒の下端を上下回転自在に軸支する軸受部及び当該軸受部の両脇にワイヤロープの係止部が夫々設けられ、前記第二金具は、第二外側板及び第二内側板により前記主柱材に固定され、前記第二外側板の外側又は第二内側板の内側に、前記主柱材の長手方向に略直角な上部支持板が突設され、当該上部支持板の下面にワイヤロープの係止部が夫々設けられて形成される台棒の取付金具を使用し、 鉄塔の山形鋼から成る主柱材の外側に、前記第一金具の第一外側板の内側を当て、前記主柱材の内側に、前記第一内側板の外側を当て、当該主柱材の両側から突出した第一外側板及び第一内側板の両端部をボルトとナットで固定し、前記主柱材上であって前記第一金具から一定長離れた上方の外側に、台棒の取付金具の第二金具の第二外側板の内側を当て、当該主柱材の内側に前記第二内側板の外側を当て、当該主柱材の両側から突出した第二外側板及び第二内側板の両端部をボルトとナットで固定し、前記上部支持板の係止部に前記各張線器の一方のワイヤロープの鉤部を係止し、前記下部支持板の係止部に前記各張線器の他方のワイヤロープの鉤部を係止し、当該各張線器の締付操作部を操作して各ワイヤロープを緊張させ、前記下部支持板の軸受部に台棒の下端部を上下方向に回転自在に軸支する、台棒の取り付け方法とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項の各発明によれば、従来の重量の大きな取付金具を使用せず、ワイヤロープで連絡した第一金具及び第二金具からなる取付金具を使用するので、第一金具と第二金具で分担して台棒を支持しているため、従来の取付金具と比べて軽量であり、鉄塔への取り付けや移動に際しては、多数の作業員を必要とせず、使い勝手が良い。また、鉄塔の主柱材への取り付けも簡単で利便性に富み、鉄塔への取り付けも強固に出来、信頼性が高いものである。
【0012】
また、軸受部の両脇にワイヤロープを係止し、第一金具と第二金具を左右から安定して緊張させて接続することができるので、第一金具と第二金具をより一体に接続でき、確実に台棒の荷重を分割して支持することができ、取付金具として信頼性が高いものである。
【0013】
さらに、請求項3の発明によれば、前記ワイヤロープは、長さ調整自在な張線器から延出されることとしたので、この取付金具を鉄塔上に取り付ける際、ワイヤロープの緊線操作が円滑かつ容易に出来るので、取付金具として極めて使い勝手の良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施の形態例1の台棒の取付金具を使用して、鉄塔の主柱材に台棒を取り付けた状態の一部省略側面斜視図である。
図2】この発明の実施の形態例1の取付金具の第一金具を主柱材に取り付けた状態の平面図である。
図3】この発明の実施の形態例1の取付金具の第一金具の第一外側板の正面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の取付金具の第一金具の第一外側板の平面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の取付金具の第一金具の第一外側板の側面図である。
図6】この発明の実施の形態例1の取付金具の第一金具の第一内側板の正面図である。
図7】この発明の実施の形態例1の取付金具の第一金具の第一内側板の平面図である。
図8】この発明の実施の形態例1の取付金具の第一金具の第一内側板の側面図である。
図9】この発明の実施の形態例1の取付金具の第二金具を主柱材に取り付けた状態の平面図である。
図10】この発明の実施の形態例1の取付金具の第二金具の第二内側板の正面図である。
図11】この発明の実施の形態例1の取付金具の第二金具の第二内側板の底面図である。
図12】この発明の実施の形態例1の取付金具の第二金具の第二内側板の側面図である。
図13】この発明の実施の形態例1の台棒の取付金具を使用して、鉄塔の主柱材に台棒を取り付けた状態の一部省略斜視図である。
図14】この発明の実施の形態例2の取付金具の第一金具を主柱材に取り付けた状態の平面図である。
図15】この発明の実施の形態例2の取付金具の第二金具を主柱材に取り付けた状態の平面図である。
図16】この発明の実施の形態例2の取付金具によって鉄塔の外側に台棒を取り付けた状態の概略側面図である。
図17】従来の鉄塔の主柱材に取付けられた台棒の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態例1)
以下、この発明の実施の形態例1の台棒の取付金具A(以下、単に、「取付金具A」と言う。)を図に基づいて説明する。図1に示すように、この実施の形態例1の取付金具Aは、第一金具1、第二金具4及びワイヤロープ13を備えた張線器Cから成る。
【0016】
第一金具1は、図2に示すように、第一外側板2及び第一内側板3から成る。前記第一外側板2は、図3図4及び図5に示すように、細幅の板体2aを山形に折り曲げ、左右の両端部を少し折り返して夫々突き合わせ部2bとしている。これらの突き合わせ部2bには、上下方向に2つの貫通孔2c、2cを夫々設けている。また、この第一外側板2の上下の端縁は一定長外側に夫々突出してフランジ部2d、2dとなっている(図5参照)。
【0017】
前記第一内側板3は、図6図7及び図8に示すように、細幅の板体3aを山形に折り曲げ、当該板体3aの内側の開口にアングル材の垂直な一片3b(以下「垂直片3b」と言う。)を当てて溶接により固着している。この垂直片3bの左右の両端部を突き合わせ部3cとし、当該各突き合わせ部3cの上下方向に2つの貫通孔3d、3dを夫々設けている。また、板体3aの内側の開口内には、横長の台形状の補強板3eを水平に設けている。
【0018】
さらに、このアングル材の上記垂直片3bの上部に位置する水平な(直角な)他片(以下、「下部支持板3f」と言う。)の上面の中央部に台棒の下端部を回転自在に軸支する軸受部3gを設けている。この軸受部3gは、2枚の板体を相対向させて立設させ、各板体の相対向する位置に貫通孔3hを設けて形成されている。
【0019】
また、前記下部支持板3f上であって前記軸受部3gの両脇に、後述する2つの張線器の一方の鉤部を係止する係止部3iを夫々設けている。これらの係止部3iは前記下部支持板3f上に水平方向に貫通孔を設けた突起3jを立設し、この突起3jの貫通孔にクレビス3kの螺着用の貫通孔の位置を合わせ、ボルト3mとナット3nにより固着して夫々設けられている。
【0020】
前記第二金具4は、図9に示すように、前記第一金具1と同様に、第二外側板5及び第二内側板6から成る。前記第二外側板5は、前記第一外側板2と同様の構成であり、細幅の板体を山形に折り曲げ、両端部を少し折り返して夫々突き合わせ部5aとしている。これらの突き合わせ部5aは、上下方向に2つの貫通孔を設けている。また、前記山形に折り曲げた板体の上下縁にフランジ部5b、5bを設けている。
【0021】
前記第二内側板6は、図10図11及び図12に示すように、細幅の板体6aを山形に折り曲げ、この板体の内側の開口にアングル材の垂直な一片6b(以下「垂直片6b」と言う。)を当てて溶接により固着する。この垂直片6bの左右の両端部を突き合わせ部6cとし、当該各突き合わせ部6cの上下方向に2つの貫通孔6d、6dを設けている。また、板体6aの内側の開口内には、横長の台形状の補強板6eを水平に設けている。
【0022】
さらに、このアングル材の上部に位置する水平な(直角な)他片(以下「上部支持片6f」と言う。)の下面に、図1に示すように、この取付金具Aを主柱材に取り付けた際、前記第一内側板3の2つの係止部3i、3iに相対向する位置に2つの係止部6g、6gを設けている。これらの係止部6g、6gは、前記第二内側板6の上部支持板6fの下面の2つの突起6h、6hに貫通孔を夫々設け、これらの貫通孔にクレビス6iの螺着用の貫通孔の位置を合わせ、ボルト6mとナット6nにより固着して夫々設けられている。
【0023】
次に、この実施の形態例1の取付金具Aの使用の方法を説明する。ここでは、鉄塔の上部の主柱材Bの内側に、この実施の形態例1の取付金具Aを取り付ける。図13に示すように、山形鋼から成る主柱材Bの外側に、前記第一金具1の第一外側板2の内側の山形形状を合わせて押し当てる。この主柱材Bの内側に前記第一内側板3の外側の山形形状を合わせて押し当てる。そして、この主柱材Bの両側から突出した第一外側板2及び第一内側板3の両端の突き合わせ部2b,3cの位置を合わせ、これらの突き合わせ部2bと3cの孔を通したボルト7とナット8で締付け、挟持して主柱材Bに固定する(図2参照)。
【0024】
さらに、前記主柱材B上であって前記第一金具1から一定長離れた上方の外側に、前記第二金具4の第二外側板5の内側の山形形状を合せて押し当てる。この主柱材Bの内側に前記第二内側板6の外側の山形形状を合せて押し当てる。この主柱材Bの両側から突出した第二外側板5及び第二内側板6の両端の突き合わせ部5a、6cの位置を合わせ、これらの突き合わせ部5aと6cの孔を通したボルト7とナット8で締付け、挟持して主柱材Bに固定する(図9参照)。
【0025】
続いて、前記第一金具1と第二金具4を張線器Cを使ってワイヤロープ13を緊張させて接続するが、ここでは2個の張線器C、Cを使用する。前記第二内側板6の係止部6g、6gの各クレビス6iに張線器C、Cの一方の鉤部11、11を係止し、前記第一内側板3の係止部3i、3iの各クレビス3kに前記張線器C、Cから導出したワイヤロープ13先端の他方の鉤部12、12を係止し、夫々の張線器C、Cの締付操作部を操作して当該張線器C、Cのワイヤロープ13、13を緊張させる。
【0026】
さらに、前記第一内側板3の軸受部3gの各貫通孔3hと台棒Dの下端部に予め形成された貫通孔の位置を合わせ、これらの貫通孔の中に支軸を挿通して、台棒Dを軸受部3gに上下方向に回転自在に軸支する(図1参照)。以上により、前記台棒Dは、前記第一金具1と第二金具4で支持される。
【0027】
以上の様に、この実施の形態例1の取付金具Aによれば、取付金具Aは、第一金具1及び第二金具4の2つの部材とこれらを着脱自在に連絡する2つの張線器Cからなるので、夫々の部材が従来の取付金具と比べて軽量であり、鉄塔の取り付けや移動に際しては、多数の作業員を必要とせず、使い勝手が良い。また、鉄塔の主柱材への取り付けも簡単で利便性に富み、鉄塔への取り付けも強固に出来、信頼性が高いものである。
【0028】
また、張線器C、Cを2個使用し、第一金具1と第二金具4を左右から安定して緊張させて接続することができるので、第一金具1と第二金具4をより一体に接続でき、確実に台棒Dの荷重を分割して支持することができ、取付金具として信頼性が高いものである。
【0029】
(実施の形態例2)
次に、この発明の実施の形態例2の取付金具を図に基づいて説明する。この実施の形態例2の取付金具Eは、台棒を前記主柱材Bの外側に取り付けるようにしたものである。この場合、図14及び図15の示すように、第一金具21の下部支持板22bは第一外側板22の外側に、また、第二金具24の上部支持板25bは第二外側板25の外側に設けられる。
【0030】
前記第一金具21の第一外側板22は、細幅の板体22aを山形に折り曲げ、その外側に直角に板体を設けて下部支持板22bを形成しており、この下部支持板22b上に台棒を支持する軸受部22c及び張線器Cのワイヤロープ13の鉤部12,12を係止する2つの係止部22dを設けている。また、第一内側板23は細幅の板体23aを山形に折り曲げて形成し、開口内に水平な補強板23bを設けている。
【0031】
また、前記軸受部22cの構成は前記実施の形態例1と同じである。さらに、図示は省略したが前記係止部22dは、前記実施の形態例1の第一金具1の第一内側板3の係止部3iと同様に突起とクレビスから成る。
【0032】
また、前記第二金具24の第二外側板25は、細幅の板体25aを山形に折り曲げ、その外側に直角に板体を設けて上部支持板25bを形成しており、この板体25bの下面に張線器Cの鉤部11,11を係止する2つの係止部25cを設けている。また、第二内側板26は細幅の板体26aを山形に折り曲げて形成し、開口内に水平な補強板26bを設けている。
【0033】
また、図示は省略したが前記係止部25cは、前記実施の形態例1の第二金具4の第二内側板6の係止部6gと同様に突起とクレビスから成る。
【0034】
さらに、この実施の形態例2の取付金具Eにおいても、図16に示すように、前記実施の形態例1と同様に、鉄塔の主柱材Bに第一金具21を取り付け、この第一金具21の上方の主柱材Bに第二金具24を取り付ける。この第二金具24の第二外側板25の上部支持板25bの各係止部25cに張線器Cの一方の鉤部11を係止し、前記第一金具21の第一外側板22の下部支持板22bの各係止部22dに張線器Cのワイヤロープ13の他方の鉤部12を係止し、そして、前記軸受部22cに台棒Fの下端を上下方向に回転自在に軸支するものである。なお、図16では、台棒Fの先端に小型電動ホイストを設け、物材の吊り上げ、下げを遠隔操作する構成とし、台棒Fの起伏ワイヤロープのみ地上のウインチで巻き上げ等の操作を行う。従って、全体の装置を簡易化することができる構成となっている。
【0035】
前記実施の形態例1及び2では、張線器C、Cを2個使用しているが、張線器の数としては2個以上であれば良く、作業時の必要な数量を使用すれば良い。また、張線器Cがなくてもワイヤロープ13を第一金具1と第二金具4との間で緊張できれば良い。
【0036】
また、台棒D、Fを支持する軸受部3g、22cとして、2枚の板体を相対向させて立設し、各板体の相対向する位置に貫通孔を設けて形成しているが、軸受部3g、22cの構成としてはこれに限らず、台棒D、Fを上下方向に回転自在に軸支できるなら他の構成でも良い。
【0037】
さらに、張線器Cの鉤部11、12を係止する係止部3i、6g、22d、25cとして具体的な構成を記載しているが、係止部3i、6g、22d、25cの構成としてはこれに限らず、張線器Cの鉤部11、12を係止できるものなら他の構成でも良い。
【符号の説明】
【0038】
A 取付金具 B 主柱材 C 張線器
D 台棒 E 取付金具 F 台棒
1 第一金具 2 第一外側板 2a 板体
2b 突き合わせ部 3 第一内側板 3a 板体
3b 垂直片 3c 突き合わせ部 3f 下部支持板
3g 軸受部 3i 係止部 4 第二金具
5 第二外側板 5a 突き合わせ部 6 第二内側板
6a 板体 6b 垂直片 6c 突き合わせ部
6f 上部支持板 6g 係止部 7 ボルト
8 ナット 11 鉤部 12 鉤部
13 ワイヤロープ 21 第一金具 22 第一外側板
23 第一内側板 24 第二金具 25 第二外側板
26 第二内側板
図1
図2
図3
図4
図5
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