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特許7193396モータ駆動装置、モータ駆動プログラム及び時計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】モータ駆動装置、モータ駆動プログラム及び時計
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/02 20060101AFI20221213BHJP
   G04C 3/14 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H02P8/02
G04C3/14 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019060547
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020162335
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】野邉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐久本 和実
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】奥村 朗人
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-061467(JP,A)
【文献】特開2014-195371(JP,A)
【文献】特開2006-262576(JP,A)
【文献】特開2017-215229(JP,A)
【文献】特開2018-057076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 8/00-8/42
G04C 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二相ステッピングモータが備える第一コイルが第一磁束を発生させる第1駆動パルス、前記二相ステッピングモータが備える第二コイルが前記第一磁束と反対の第二磁束を発生させる第2駆動パルス、前記第一コイルが前記第二磁束を発生させる第3駆動パルス及び前記第二コイルが前記第一磁束を発生させる第4駆動パルスを前記二相ステッピングモータに供給する駆動回路を備え、
前記駆動回路は、停止状態の前記二相ステッピングモータに対して、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを始動させ、始動後の前記二相ステッピングモータに対して、前記第1駆動パルス、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを継続駆動する、
モータ駆動装置。
【請求項2】
前記第2駆動パルスを供給するタイミングと前記第3駆動パルスを供給するタイミングとの間及び前記第4駆動パルスを供給するタイミングと前記第1駆動パルスを供給するタイミングとの間、に待機時間を有し、
前記待機時間が所定時間より短い場合、前記駆動回路は、前記二相ステッピングモータを継続駆動する、
請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記第1駆動パルス、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスのパルス長さを制御する制御回路を更に備える、
請求項1又は請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
停止状態の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスのエネルギーは、始動後の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスのエネルギーより大きい、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
停止状態の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスの長さは、始動後の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスの長さより長い、
請求項4に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
コンピュータに、
二相ステッピングモータが備える第一コイルが第一磁束を発生させる第1駆動パルス、前記二相ステッピングモータが備える第二コイルが前記第一磁束と反対の第二磁束を発生させる第2駆動パルス、前記第一コイルが前記第二磁束を発生させる第3駆動パルス及び前記第二コイルが前記第一磁束を発生させる第4駆動パルスを前記二相ステッピングモータに供給する駆動機能を実行させ、
前記駆動機能は、停止状態の前記二相ステッピングモータに対して、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを始動させ、始動後の前記二相ステッピングモータに対して、前記第1駆動パルス、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを継続駆動する、
モータ駆動プログラム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のモータ駆動装置を備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動装置、モータ駆動プログラム及び時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット等の携帯端末と通信を実行し、当該通信の結果に応じて指針を駆動させるアナログ式電子時計が開発されている。このようなアナログ式電子時計は、指針を時計周り及び反時計周りに高速回転させる必要があるため、二つのコイルを備える二相ステッピングモータを備えていることがある。このような二相ステッピングモータの一例として、特許文献1に開示されている可逆ステッピングモータが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-101618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この可逆ステッピングモータは、ロータを1ステップ、すなわち180度回転させる度にロータが1ステップ以上回転することを防ぐブレーキ効果を有する第3駆動パルスが入力されるため、ロータを十分に速い速度で回転させ得ないことがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ロータを安定的に高速回転させることができるモータ駆動装置、モータ駆動プログラム及び時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るモータ駆動装置は、二相ステッピングモータが備える第一コイルが第一磁束を発生させる第1駆動パルス、前記二相ステッピングモータが備える第二コイルが前記第一磁束と反対の第二磁束を発生させる第2駆動パルス、前記第一コイルが前記第二磁束を発生させる第3駆動パルス及び前記第二コイルが前記第一磁束を発生させる第4駆動パルスを前記二相ステッピングモータに供給する駆動回路を備え、前記駆動回路は、停止状態の前記二相ステッピングモータに対して、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを始動させ、始動後の前記二相ステッピングモータに対して、前記第1駆動パルス、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを継続駆動する。
【0007】
また、本発明の一態様に係るモータ駆動装置において、前記第2駆動パルスを供給するタイミングと前記第3駆動パルスを供給するタイミングとの間及び前記第4駆動パルスを供給するタイミングと前記第1駆動パルスを供給するタイミングとの間、に待機時間を有し、前記待機時間が所定時間より短い場合、前記駆動回路は、前記二相ステッピングモータを継続駆動してもよい。
【0008】
また、本発明の一態様に係るモータ駆動装置において、前記制御回路は、前記第1駆動パルス、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスのパルス長さを制御してもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係るモータ駆動装置において、停止状態の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスのエネルギーは、始動後の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスのエネルギーより大きくてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係るモータ駆動装置において、停止状態の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスの長さは、始動後の前記二相ステッピングモータに対して供給する前記第2駆動パルスの長さより長くてもよい。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るモータ駆動プログラムは、コンピュータに、二相ステッピングモータが備える第一コイルが第一磁束を発生させる第1駆動パルス、前記二相ステッピングモータが備える第二コイルが前記第一磁束と反対の第二磁束を発生させる第2駆動パルス、前記第一コイルが前記第二磁束を発生させる第3駆動パルス及び前記第二コイルが前記第一磁束を発生させる第4駆動パルスを前記二相ステッピングモータに供給する駆動機能を実行させ、前記駆動機能は、停止状態の前記二相ステッピングモータに対して、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを始動させ、始動後の前記二相ステッピングモータに対して、前記第1駆動パルス、前記第2駆動パルス、前記第3駆動パルス及び前記第4駆動パルスをこの順で供給することにより、前記二相ステッピングモータを継続駆動する。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計は、上述したモータ駆動装置のいずれか一つを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ロータを安定的に高速回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る時計の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る二相ステッピングモータの一例を示す図である。
図3】実施形態に係る二相ステッピングモータが備えるコイルが発生させている磁束と、ロータが安定的に静止する角度との関係の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る二相ステッピングモータが備えるコイルが発生させている磁束とロータが安定的に静止する角度との関係の一例を示す図である。
図5】実施形態に係るコイルの端子各々に印加される電圧の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る二相ステッピングモータが備えるロータの角度と、ロータに加わるトルクとの関係の一例を示す図である。
図7】実施形態に係るコイルの端子各々に印加される電圧の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る二相ステッピングモータが備えるロータが1ステップ回転する場合におけるロータの角度の変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図8を参照しながら実施形態に係る時計について説明する。図1は、実施形態に係る時計の一例を示す図である。図1に示すように、時計1は、モータ駆動装置2と、指針3と、二相ステッピングモータ4とを含む。また、図1に示すように、モータ駆動装置2は、発振回路21と、分周回路22と、制御回路23と、駆動回路24とを備える。
【0016】
発振回路21は、所定の周波数を有する信号を発生させて分周回路22に送信する。分周回路22は、発振回路21から受信した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生させて制御回路23に送信する。制御回路23は、時計1を構成している各要素を必要に応じて適宜制御する。制御回路23が実行する制御の詳細については後述する。駆動回路24は、制御回路23が実行する制御に従って二相ステッピングモータ4に駆動パルスを供給する。駆動回路24が送信する駆動パルスの詳細については後述する。
【0017】
指針3は、例えば、時針、分針、秒針、時刻を表示する機能以外の機能を実現するための指針を含む。
【0018】
図2は、実施形態に係る二相ステッピングモータの一例を示す図である。図2に示すように、二相ステッピングモータ4は、ステータ410と、ロータ420と、磁心430と、コイル440と、磁心450と、コイル460とを備える。なお、以下の説明では、適宜、図2に示したX軸、Y軸及びZ軸を使用する。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交しており、右手系を形成している。
【0019】
ステータ410は、高い透磁率を有する材料、例えば、パーマロイで作製されており、互いに一体に形成されているセンターヨーク411と、サイドヨーク412と、サイドヨーク413とを備える。
【0020】
センターヨーク411は、Y軸に沿って延びている棒状の部材であり、-Y方向の端部がサイドヨーク412に接続されており、+Y方向の端部がサイドヨーク413に接続されている。サイドヨーク412は、センターヨーク411の-Y方向の端部から-X方向に張り出している張出部412aと、センターヨーク411の-Y方向の端部から+X方向に張り出している張出部412bとを備える。サイドヨーク413は、センターヨーク411の+Y方向の端部から-X方向に張り出している張出部413aと、センターヨーク411の+Y方向の端部から+X方向に張り出している張出部413bとを備える。
【0021】
また、ステータ410には、切り欠き410a、切り欠き410b及び切り欠き410cが形成されている。切り欠き410a、切り欠き410b及び切り欠き410cは、いずれもXY平面に平行な平面による断面が円弧上の切り欠きである。切り欠き410aは、センターヨーク411の+Y方向の端部と張出部413aとが接続されている部分に形成されている。切り欠き410bは、センターヨーク411の+Y方向の端部と張出部413bとが接続されている部分に形成されている。切り欠き410cは、張出部413aの+X方向の端部と張出部413bの-X方向の端部とが接続されている部分に形成されている。
【0022】
切り欠き410a、切り欠き410b及び切り欠き410cは、いずれも自身とロータ収容孔25との間を局所的に狭くしている。これにより、切り欠き410a、切り欠き410b及び切り欠き410cは、いずれも局所的に狭くなっている部分で磁気飽和が容易に発生するようにし、ステータ410を磁気的に三分割している。したがって、ステータ410は、張出部413aの+X方向の端部が第一磁極部となり、張出部413bの-X方向の端部が第二磁極部となり、センターヨーク411の+Y方向の端部が第三磁極部となる。
【0023】
さらに、ステータ410は、ロータ収容孔414を備える。ロータ収容孔414は、センターヨーク411の+Y方向の端部と張出部413aと張出部413bとが接続されている領域に形成されており、Z軸に平行な中心軸を有する円柱状の孔であり、内部にロータ420が挿入される。また、ロータ収容孔414の内側には、切り欠き414a及び切り欠き414bが形成されている。切り欠き414a及び切り欠き414bは、XY平面に平行な平面による断面が円弧上の切り欠きである。また、切り欠き414a及び切り欠き414bは、磁気的ポテンシャルの最小を決めている。このため、図2に示すように、ロータ420は、XY平面上において、磁極軸が切り欠き414aと切り欠き414bとを結ぶ線分と直交する角度で安定的に静止する。
【0024】
ロータ420は、円柱状に形成されており、ステータ410に形成されたロータ収容孔414に対して回転可能な状態で挿入されている。また、ロータ420は、着磁されているため、N極及びS極を有する。ロータ420は、正転方向に回転することにより輪列を介して指針3を時計周りに回転させ、逆転方向に回転することにより輪列を介して指針3を反時計周りに回転させる。
【0025】
磁心430は、Y軸に沿って延びている棒状の部材であり、+Y方向の端部が張出部413aに接触しており、-Y方向の端部が張出部412aに接触している。また、磁心430は、コイル440が巻き付けられている。
【0026】
コイル440は、磁心430により上述した第一磁極部及び第三磁極部と磁気的に結合している。また、コイル440は、上述した駆動回路24に接続されている端子Out3及び端子Out4を備える。コイル440は、端子Out3の電位をハイレベルとし、端子Out4の電位をローレベルとし、端子Out3から端子Out4に電流を流した場合、-Y方向の磁束を発生させる。一方、コイル440は、端子Out4の電位をハイレベルとし、端子Out3の電位をローレベルとし、端子Out4から端子Out3に電流を流した場合、+Y方向の磁束を発生させる。
【0027】
磁心450は、Y軸に沿って延びている棒状の部材であり、+Y方向の端部が張出部413bに接触しており、-Y方向の端部が張出部412bに接触している。また、磁心450は、コイル460が巻き付けられている。
【0028】
コイル460は、導線の材質、導線の直径及び導線の巻き数がコイル440と等しく、磁心450により上述した第二磁極部及び第三磁極部と磁気的に結合している。また、コイル460は、上述した駆動回路24に接続されている端子Out1及び端子Out2を備える。コイル460は、端子Out2の電位をハイレベルとし、端子Out1の電位をローレベルとし、端子Out2から端子Out1に電流を流した場合、-Y方向の磁束を発生させる。一方、コイル460は、端子Out1の電位をハイレベルとし、端子Out2の電位をローレベルとし、端子Out1から端子Out2に電流を流した場合、+Y方向の磁束を発生させる。
【0029】
上述した第一磁極部、第二磁極部及び第三磁極部は、いずれもコイル440が発生させる磁束及びコイル460が発生させる磁束に応じて極性が切り替わる。
【0030】
次に、図3及び図4を参照しながら駆動回路24が二相ステッピングモータ4に入力する駆動パルスの詳細について説明する。ここで言う駆動パルスは、駆動回路24がコイル440の端子Out4及び端子Out3と、コイル460の端子Out2及び端子Out1とに印加する電圧である。これらの電圧は、コイル440及びコイル460に電流を流し、後述する磁束を発生させる。
【0031】
図3及び図4は、実施形態に係る二相ステッピングモータが備えるコイルが発生させている磁束と、ロータが安定的に静止する角度との関係の一例を示す図である。なお、図3及び図4では、図2に示した符号、コイル440及びコイル460の図示を省略している。
【0032】
図3(a)は、コイル440及びコイル460のいずれにも電流を流していない状態を示している。この場合、コイル440及びコイル460のいずれも磁束を発生させない。したがって、第一磁極部、第二磁極部及び第三磁極部のいずれも励磁されない。これにより、ロータ420は、切り欠き414a及び切り欠き414bにより決まっている角度である0度で安定的に静止する。
【0033】
図3(b)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧及び端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧をハイレベルとし、端子Out2の電圧をローレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440は、磁束を発生させない。一方、コイル460は、+Y方向の磁束を発生させる。したがって、第一磁極部がS極に励磁され、第二磁極部がN極に励磁され、第三磁極部がS極に励磁される。これにより、ロータ420は、N極が第一磁極部及び第三磁極部に引き寄せられ、S極が第二磁極部に引き寄せられるため、時計周りに45度回転した状態で安定的に静止する。なお、図3(b)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、45度の駆動パルスと呼ぶ。
【0034】
図3(c)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、端子Out3の電圧をハイレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧をハイレベルとし、端子Out2の電圧をローレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440は、-Y方向の磁束を発生させる。一方、コイル460は、+Y方向の磁束を発生させる。したがって、第一磁極部がS極に励磁され、第二磁極部がN極に励磁され、第三磁極部ではコイル440が発生させた磁束とコイル460が発生させた磁束とが打ち消しあう。これにより、ロータ420は、N極が第一磁極部に引き寄せられ、S極が第二磁極部に引き寄せられるため、時計周りに90度回転した状態で安定的に静止する。なお、図3(c)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、90度の駆動パルスと呼ぶ。
【0035】
図3(d)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、端子Out3の電圧をハイレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧及び端子Out2の電圧をローレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440は、-Y方向の磁束を発生させる。一方、コイル460は、磁束を発生させない。したがって、第一磁極部がS極に励磁され、第二磁極部がN極に励磁され、第三磁極部がN極に励磁される。これにより、ロータ420は、N極が第一磁極部に引き寄せられ、S極が第二磁極部及び第三磁極部に引き寄せられるため、時計周りに135度回転した状態で安定的に静止する。なお、図3(d)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、135度の駆動パルスと呼ぶ。
【0036】
図3(e)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、端子Out3の電圧をハイレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧をローレベルとし、端子Out2の電圧をハイレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440及びコイル460は、-Y方向の磁束を発生させる。したがって、第一磁極部がS極に励磁され、第二磁極部がS極に励磁され、第三磁極部がN極に励磁される。これにより、ロータ420は、N極が第一磁極部及び第二磁極部に引き寄せられ、S極が第三磁極部に引き寄せられるため、時計周りに180度回転した状態で安定的に静止する。なお、図3(e)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、180度の駆動パルスと呼ぶ。
【0037】
図4(a)は、コイル440及びコイル460のいずれにも電流を流していない状態を示している。この場合、コイル440及びコイル460のいずれも磁束を発生させない。したがって、第一磁極部、第二磁極部及び第三磁極部のいずれも励磁されない。これにより、ロータ420は、切り欠き414a及び切り欠き414bにより決まっている角度である180度で安定的に静止する。
【0038】
図4(b)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧及び端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧をローレベルとし、端子Out2の電圧をハイレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440は、磁束を発生させない。一方、コイル460は、-Y方向の磁束を発生させる。したがって、第一磁極部がN極に励磁され、第二磁極部がS極に励磁され、第三磁極部がN極に励磁される。これにより、ロータ420は、N極が第二磁極部に引き寄せられ、S極が第一磁極部及び第三磁極部に引き寄せられるため、時計周りに225度回転した状態で安定的に静止する。なお、図4(b)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、225度の駆動パルスと呼ぶ。
【0039】
図4(c)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧をハイレベルとし、端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧をローレベルとし、端子Out2の電圧をハイレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440は、+Y方向の磁束を発生させる。一方、コイル460は、-Y方向の磁束を発生させる。したがって、第一磁極部がN極に励磁され、第二磁極部がS極に励磁され、第三磁極部ではコイル440が発生させた磁束とコイル460が発生させた磁束とが打ち消しあう。これにより、ロータ420は、N極が第二磁極部に引き寄せられ、S極が第一磁極部に引き寄せられるため、時計周りに270度回転した状態で安定的に静止する。なお、図4(c)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、270度の駆動パルスと呼ぶ。
【0040】
図4(d)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧をハイレベルとし、端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧及び端子Out2の電圧をローレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440は、+Y方向の磁束を発生させる。一方、コイル460は、磁束を発生させない。したがって、第一磁極部がN極に励磁され、第二磁極部がS極に励磁され、第三磁極部がS極に励磁される。これにより、ロータ420は、N極が第二磁極部及び第三磁極部に引き寄せられ、S極が第一磁極部に引き寄せられるため、時計周りに315度回転した状態で安定的に静止する。なお、図4(d)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、315度の駆動パルスと呼ぶ。
【0041】
図4(e)は、駆動回路24がコイル440の端子Out4の電圧をハイレベルとし、端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out1の電圧をハイレベルとし、端子Out2の電圧をローレベルとしている状態を示している。この場合、コイル440及びコイル460は、+Y方向の磁束を発生させる。したがって、第一磁極部がN極に励磁され、第二磁極部がN極に励磁され、第三磁極部がS極に励磁される。これにより、ロータ420は、N極が第三磁極部に引き寄せられ、S極が第一磁極部及び第二磁極部に引き寄せられるため、時計周りに0度回転した状態で安定的に静止する。なお、図4(e)に示した磁束を発生させる駆動パルスは、0度の駆動パルスと呼ぶ。
【0042】
なお、ロータ420は、上述した駆動パルスのいずれかがコイル440及びコイル460に入力された場合、例えば、ステータ410の設計等の要因により上述した角度と異なる角度で安定的に静止することがある。また、ロータ420は、安定的に静止する角度を超えて回転することがあるが、ロータ420が当該角度を超えた場合、第一磁極部、第二磁極部及び第三磁極により制動され、最終的には安定的に静止する角度に戻る。
【0043】
モータ駆動装置2は、ロータ420を安定的に高速回転させる場合において、ロータ420が1ステップ、すなわち180度回転させる度に、二相ステッピングモータ4に駆動パルスを入力しない時間である待機時間を設けない制御と当該待機時間を設ける制御の両方を実行し得る。そこで、以下の説明では、モータ駆動装置2が待機時間を設けない制御を実行する場合及びモータ駆動装置2が待機時間を設ける制御を実行する場合について説明する。
【0044】
まず、モータ駆動装置2が待機時間を設けない制御を実行する場合について説明する。実施形態に係るコイルの端子各々に印加される電圧の一例を示す図である。ロータ420は、期間ST1が開始する時点において、0度で安定的に静止しているものとする。
【0045】
図6は、実施形態に係る二相ステッピングモータが備えるロータの角度と、ロータに加わるトルクとの関係の一例を示す図である。図6の横軸は、ロータ420の角度を示している。図6の縦軸は、ロータ420に加わるトルクを示している。図6に示されているトルクが正である場合、当該トルクは、ロータ420を正転方向に回転させようとする。一方、図6に示されているトルクが負である場合、当該トルクは、ロータ420を逆転方向に回転させようとする。
【0046】
駆動回路24は、期間ST1において、第二コイルが第一磁束と反対の第二磁束を発生させる第2駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給する。ここで、第一磁束は、コイル440又はコイル460が図2に示した+Y方向に発生させる磁束であり、センターヨーク411内の第一磁極部をS極に励磁する。また、第二磁束は、コイル440又はコイル460が図2に示した-Y方向に発生させる磁束であり、センターヨーク411内の第一磁極部をN極に励磁する。このように、第一磁束と第二磁束とでは、センターヨーク411に流れる磁束の向きが反対になる。例えば、図5に示すように、駆動回路24は、期間ST1において、コイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、端子Out3の電圧をハイレベルとし、コイル460の端子Out2の電圧をローレベルとし、端子Out1の電圧をローレベルとする。すなわち、駆動回路24は、期間ST1において、二相ステッピングモータ4に135度の駆動パルスを入力する。この場合、図6に示すように135度の駆動パルスの0度におけるトルクが正であるため、ロータ420は、135度の駆動パルスにより135度を少し超える角度まで正転方向に回転し、切り欠き414bによる磁気的ポテンシャルにより180度まで正転方向に回転する。
【0047】
駆動回路24は、期間ST2のうちの期間S2において、第一コイルが第二磁束を発生させる第3駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給する。例えば、図5に示すように、駆動回路24は、期間S2において、コイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、及び端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out2の電圧をハイレベルとし、端子Out1の電圧をローレベルとする。すなわち、駆動回路24は、期間S2において、二相ステッピングモータ4に225度の駆動パルスを入力する。この場合、図6に示すように225度の駆動パルスの180度におけるトルクが正であるため、ロータ420は、225度の駆動パルスにより225度を少し超える角度まで正転方向に回転する。
【0048】
駆動回路24は、期間ST2のうちの期間M2において、第二コイルが第一磁束を発生させる第4駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給する。例えば、図5に示すように、駆動回路24は、期間M2において、コイル440の端子Out4の電圧をハイレベルとし、端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out2の電圧をローレベルとし、端子Out1の電圧をローレベルとする。すなわち、駆動回路24は、期間M2において、二相ステッピングモータ4に315度の駆動パルスを入力する。この場合、図6に示すように315度の駆動パルスの180度付近におけるトルクが正であるため、ロータ420は、315度の駆動パルスにより315度を少し超える角度まで正転方向に回転し、切り欠き414aによる磁気的ポテンシャルにより180度まで正転方向に回転する。
【0049】
駆動回路24は、期間ST3のうちの期間S3において、第一コイルが第一磁束を発生させる第1駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給する。例えば、図5に示すように、駆動回路24は、期間S3において、コイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out2の電圧をローレベルとし、端子Out1の電圧をハイレベルとする。すなわち、駆動回路24は、期間S3において、二相ステッピングモータ4に45度の駆動パルスを入力する。この場合、図6に示すように45度の駆動パルスの0度におけるトルクが正であるため、ロータ420は、45度の駆動パルスにより45度を少し超える角度まで正転方向に回転する。
【0050】
駆動回路24は、期間ST3のうちの期間M3において、第二コイルが第一磁束と反対の第二磁束を発生させる第2駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給する。例えば、図5に示すように、駆動回路24は、期間M3において、コイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、及び端子Out3の電圧をハイレベルとし、コイル460の端子Out2の電圧をローレベルとし、端子Out1の電圧をローレベルとする。すなわち、駆動回路24は、期間M3において、二相ステッピングモータ4に135度の駆動パルスを入力する。この場合、図6に示すように135度の駆動パルスの45度におけるトルクが正であるため、ロータ420は、135度の駆動パルスにより135度を少し超える角度まで正転方向に回転し、切り欠き414bによる磁気的ポテンシャルにより180度まで正転方向に回転する。
【0051】
駆動回路24は、期間ST4のうちの期間S4において、第一コイルが第二磁束を発生させる第3駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給する。例えば、図5に示すように、駆動回路24は、期間S4において、コイル440の端子Out4の電圧をローレベルとし、端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out2の電圧をハイレベルとし、端子Out1の電圧をローレベルとする。すなわち、駆動回路24は、期間S2において、二相ステッピングモータ4に225度の駆動パルスを入力する。この場合、図6に示すように225度の駆動パルスの180度におけるトルクが正であるため、ロータ420は、225度の駆動パルスにより225度を少し超える角度まで正転方向に回転する。
【0052】
駆動回路24は、期間ST4のうちの期間M4において、第二コイルが第一磁束を発生させる第4駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給する。例えば、図5に示すように、駆動回路24は、期間S4において、コイル440の端子Out4の電圧をハイレベルとし、端子Out3の電圧をローレベルとし、コイル460の端子Out2の電圧をローレベルとし、端子Out1の電圧をローレベルとする。すなわち、駆動回路24は、期間M4において、二相ステッピングモータ4に315度の駆動パルスを入力する。この場合、図6に示すように315度の駆動パルスの225度におけるトルクが正であるため、ロータ420は、315度の駆動パルスにより315度を少し超える角度まで正転方向に回転し、切り欠き414aによる磁気的ポテンシャルにより360度、すなわち0度まで正転方向に回転する。
【0053】
その後も、駆動回路24は、第1駆動パルス、第2駆動パルス、第3駆動パルス及び第4駆動パルスをこの順で二相ステッピングモータ4に繰り返し供給し、ロータ420を高速で回転させ続ける。
【0054】
以上の説明の通り、駆動回路24は、停止状態の二相ステッピングモータ4に対して、第2駆動パルス、第3駆動パルス及び第4駆動パルスをこの順で供給することにより、二相ステッピングモータ4を始動させる。また、駆動回路24は、始動後の二相ステッピングモータ4に対して、第1駆動パルス、第2駆動パルス、第3駆動パルス及び第4駆動パルスをこの順で供給することにより、二相ステッピングモータ4を継続駆動する。
【0055】
また、駆動回路24がロータ420の高速で回転させ続けている時、制御回路23は、コイル440及びコイル460に同時に第一磁束を発生させる駆動パルス、すなわち図4(e)に示した駆動パルス及びコイル440及びコイル460に同時に第二磁束を発生させる駆動パルス、すなわち図3(e)に示した駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給することを駆動回路に対して禁止する。すなわち、制御回路23は、駆動回路24がロータ420の高速で回転させ続けている時、ロータ420の回転を制動する駆動パルスを二相ステッピングモータ4に供給しないよう駆動回路24を制御する。
【0056】
また、制御回路23は、第1駆動パルス、第2駆動パルス、第3駆動パルス及び第4駆動パルスのパルス長さを制御してもよい。具体的には、制御回路23は、図5に示した期間ST1、期間S2、期間M2、期間S3、期間M3、期間S4、期間M4等の少なくとも一つの長さを制御してもよい。
【0057】
また、制御回路23は、停止状態の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスのエネルギーが始動後の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスのエネルギーより大きくなるように駆動回路24を制御してもよい。
【0058】
また、制御回路23は、停止状態の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスの長さは、始動後の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスの長さより長くなるよう駆動回路24を制御してもよい。
【0059】
次に、モータ駆動装置2が待機時間を設ける制御を実行する場合について説明する。実施形態に係るコイルの端子各々に印加される電圧の一例を示す図である。また、ロータ420は、期間ST1が開始する時点において、0度で安定的に静止しているものとする。
【0060】
図8は、実施形態に係る二相ステッピングモータが備えるロータが1ステップ回転する場合におけるロータの角度の変化の一例を示す図である。図8の横軸は、時間を示している。図8の縦軸は、ロータ420の角度を示している。
【0061】
制御回路23は、二相ステッピングモータ4が継続駆動されている場合、第2駆動パルスを供給するタイミングと第3駆動パルスを供給するタイミングとの間及び第4駆動パルスを供給するタイミングと第1駆動パルスを供給するタイミングとの間に待機時間を設けるよう駆動回路24を制御する。具体的には、図7に示すように、制御回路23は、第2駆動パルスが供給される期間ST1と第3駆動パルスが供給される期間S2との間に待機時間W2を設け、第4駆動パルスが供給される期間M2と第1駆動パルスが供給される期間S3との間に待機時間W3を設けるよう駆動回路24を制御する。同様に、制御回路23は、第2駆動パルスが供給される期間M3と第3駆動パルスが供給される期間S4との間に待機時間W4を設けるよう駆動回路24を制御する。
【0062】
駆動回路24は、期間ST1において第2駆動パルスを供給してロータ420を正転方向に回転させる。この場合、例えば、図8に示すように、ロータ420の角度は、0度から増加していき、7msで安定的に静止する角度である180度を超えた後、慣性により9msで約210度まで増加し、約14msで約150度まで減少し、再び約16msで180度を超える。
【0063】
そこで、制御回路23は、待機時間W2が所定の時間、例えば、16msよりも短い場合、135度の駆動パルスが入力された後にロータ420が安定的に静止する角度である180度をロータ420が超える7ms時点から次にロータ420が180度を超える16ms時点までの間に第3駆動パルスを供給するよう駆動回路24を制御する。図6に示すように、225度の駆動パルスは、ロータ420の角度が45度から225度の範囲で正のトルクを発生させる。これにより、モータ駆動装置2は、ロータ420が0度から180度まで正転方向に回転した後もロータ420を安定的に高速回転させる。
【0064】
また、駆動回路24は、上述した待機時間が所定時間より短い場合、二相ステッピングモータ4を継続駆動してもよい。
【0065】
以上、実施形態に係る時計1についてモータ駆動装置2を中心に説明した。モータ駆動装置2は、停止状態の二相ステッピングモータ4に対して、第2駆動パルス、第3駆動パルス及び第4駆動パルスをこの順で供給することにより、二相ステッピングモータを始動させる。また、モータ駆動装置2は、始動後の二相ステッピングモータに対して、第1駆動パルス、第2駆動パルス、第3駆動パルス及び第4駆動パルスをこの順で供給することにより、二相ステッピングモータを継続駆動する。すなわち、モータ駆動装置2は、第2駆動パルスの後に第3駆動パルスを供給し、第4駆動パルスの後に第1駆動パルスを供給することにより、ロータ420を正転方向に回転させるトルクを発生させ続ける。したがって、モータ駆動装置2は、ロータ420を安定的に高速回転させることができる。
【0066】
また、制御回路23は、上述した待機時間、例えば、待機時間W2、待機時間W3、待機時間W4が所定の時間よりも短い場合、二相ステッピングモータを継続駆動するよう駆動回路24を制御する。したがって、モータ駆動装置2は、待機時間が短く、ロータ420の揺動が十分に収束していない場合であっても、ロータ420を正転方向に回転させるトルクを発生させる駆動パルスを入力し、ロータ420を安定的に正転方向に回転させることができる。
【0067】
また、制御回路23は、第1駆動パルス、第2駆動パルス、第3駆動パルス及び第4駆動パルスのパルス長さを制御する。これにより、モータ駆動装置2は、これらの制御によりロータ420を正転方向に回転させるトルクを適切に制御し、ロータ420を安定的に正転方向に回転させることができる。
【0068】
また、制御回路23は、停止状態の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスのエネルギーが始動後の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスのエネルギーより大きくなるよう駆動回路24を制御する。或いは、制御回路23は、停止状態の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスの長さは、始動後の二相ステッピングモータ4に対して供給する第2駆動パルスの長さより長くなるよう駆動回路24を制御する。これにより、モータ駆動装置2は、ロータ420が静止しており、正転方向に回転する慣性が働いていない状態でも、正転方向に回転させ始めるトルクを正転方向に回転させ続けるトルクよりも大きくし、ロータ420を安定的に正転方向に回転させ始めることができる。
【0069】
なお、上述した実施形態では、モータ駆動装置2がロータ420を正転方向に回転させる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。モータ駆動装置2は、上述した方法によりロータ420の逆転方向に回転させてもよい。
【0070】
また、図5及び図7では、コイル440の端子Out4、端子Out3、コイル460の端子Out2、端子Out1に入力される電圧が矩形上のパルスである場合を例示したが、これに限定されない。例えば、これらの端子に入力される電圧は、くし歯状のパルスであってもよい。さらに、これらの端子に入力される電圧は、デューティ比が適宜制御されてもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、期間ST1に第2駆動パルスが供給され、期間S2に第3駆動パルスが供給され、期間M2に第4駆動パルスが供給され、期間S3に第1駆動パルスが供給され、期間M3に第2駆動パルスが供給され、期間S4に第3駆動パルスが供給され、期間M4に第4駆動パルスが供給される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ロータ420が180度の角度で静止している場合、期間ST1に第4駆動パルスが供給され、期間S2に第1駆動パルスが供給され、期間M2に第2駆動パルスが供給され、期間S3に第3駆動パルスが供給され、期間M3に第4駆動パルスが供給され、期間S4に第1駆動パルスが供給され、期間M4に第2駆動パルスが供給されてもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、ロータ420の角度が0度である状態から正転方向に回転させ始める場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。モータ駆動装置2は、ロータ420が0度以外の角度で静止している場合であっても、上述した方法によりロータ420を安定的に高速回転させることができる。
【0073】
また、上述した時計1が備える機能の全部又は一部は、モータ駆動プログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、このプログラムがコンピュータシステムにより実行されてもよい。コンピュータシステムは、OS、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、インターネット等のネットワーク上のサーバ等が備えるRAM(Random Access Memory)である。なお、RAMは、一定時間プログラムを保持する記録媒体の一例である。
【0074】
また、上述したモータ駆動プログラムは、伝送媒体、例えば、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0075】
また、上述したモータ駆動プログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0076】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0077】
1…時計、2…モータ駆動装置、21…発振回路、22…分周回路、23…制御回路、24…駆動回路、3…指針、4…二相ステッピングモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8