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特許7193425立体データ生成装置、立体データ生成方法、及び造形システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】立体データ生成装置、立体データ生成方法、及び造形システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/235 20060101AFI20221213BHJP
   B29C 64/386 20170101ALI20221213BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20221213BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221213BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221213BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221213BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20221213BHJP
【FI】
H04N5/235 400
B29C64/386
B33Y50/00
B33Y30/00
G06T1/00 510
G06T1/00 430G
H04N5/225 600
G06T19/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019132929
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021018529
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】原山 健次
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-81853(JP,A)
【文献】特開2012-248183(JP,A)
【文献】特表2001-503514(JP,A)
【文献】特開2013-51672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
B29C 64/386
B33Y 50/00
B33Y 30/00
G06T 1/00
H04N 5/235
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体的な対象物の立体形状及び色を示すデータである立体データを生成する立体データ生成装置であって、
前記対象物へ光を照射する光源と、
前記対象物を撮影するカメラと、
前記光源の動作を制御する光源制御部と、
前記カメラの動作を制御する撮影制御部と、
前記カメラにより撮影された画像に基づいて前記立体データを生成する立体データ生成部と
を備え、
前記撮影制御部は、前記カメラに、
前記光源の調整を行うために用いる画像である光源調整用画像と、
前記立体データ生成部において前記立体データを生成するために用いる画像である立体データ生成用画像と
を撮影させ、
少なくとも前記光源調整用画像の撮影時において、前記対象物の周囲には、予め設定された色を示す色見本が設置され、
前記撮影制御部は、前記色見本が前記対象物の周囲に設置された状態で、前記カメラに前記光源調整用画像の撮影を行わせ、
前記光源制御部は、前記光源調整用画像に写っている前記色見本に基づき、前記立体データ生成用画像の撮影時に前記光源に光を照射させる光の照射の仕方である照射設定を決定して、前記立体データ生成用画像の撮影時において、前記照射設定に基づいて、前記光源に前記対象物への光の照射を行わせることを特徴とする立体データ生成装置。
【請求項2】
前記撮影制御部は、前記対象物の周囲の互いに異なる位置に複数の前記色見本が設置された状態で、前記カメラに前記光源調整用画像の撮影を行わせ、
前記光源制御部は、前記光源調整用画像に写っているそれぞれの前記色見本に基づき、前記対象物の各部への光の当たり方を検出し、検出した前記光の当たり方に基づき、前記照射設定を決定することを特徴とする請求項1に記載の立体データ生成装置。
【請求項3】
前記光源制御部は、前記光源調整用画像に写っているそれぞれの前記色見本に基づき、前記対象物において光の当たり方が不足している箇所を検出し、前記光の当たり方が不足している箇所に対して前記光源調整用画像の撮影時よりも多くの光が照射されるように、前記照射設定を決定することを特徴とする請求項2に記載の立体データ生成装置。
【請求項4】
前記光源調整用画像の撮影時において、前記撮影制御部は、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の前記光源調整用画像を前記カメラに撮影させ、
前記光源制御部は、前記複数の光源調整用画像に写っている前記色見本に基づき、前記照射設定を決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の立体データ生成装置。
【請求項5】
前記立体データ生成用画像の撮影時において、前記撮影制御部は、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の前記立体データ生成用画像を前記カメラに撮影させ、
前記光源調整用画像の撮影時において、前記撮影制御部は、前記立体データ生成用画像の撮影時よりも多くの複数の視点から撮影される複数の前記光源調整用画像を前記カメラに撮影させることを特徴とする請求項4に記載の立体データ生成装置。
【請求項6】
複数の前記光源を備え、
前記光源制御部は、前記光源調整用画像に写っている前記色見本に基づき、前記複数の光源のそれぞれによる光の照射の仕方を示す前記照射設定を決定して、前記立体データ生成用画像の撮影時において、前記照射設定に基づいて、前記複数の光源に前記対象物への光の照射を行わせることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の立体データ生成装置。
【請求項7】
演色性が互いに異なる複数の前記光源を備えることを特徴とする請求項6に記載の立体データ生成装置。
【請求項8】
前記立体データ生成用画像の撮影時においても、前記対象物の周囲には、前記色見本が設置され、
前記撮影制御部は、前記色見本が前記対象物の周囲に設置された状態で、前記カメラに前記立体データ生成用画像の撮影を行わせ、
前記立体データ生成部は、前記立体データ生成用画像に写っている前記色見本に基づき、前記立体データ生成用画像に対する色の調整を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の立体データ生成装置。
【請求項9】
前記立体データ生成用画像の撮影時においても、前記対象物の周囲には、前記色見本が設置され、
前記撮影制御部は、前記色見本が前記対象物の周囲に設置された状態で、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の前記立体データ生成用画像を前記カメラに撮影させ、
前記立体データ生成部は、前記立体データ生成用画像に写っている前記色見本の少なくとも一部を特徴点として用いて前記複数の立体データ生成用画像に対する画像処理を行って、前記立体データを生成することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の立体データ生成装置。
【請求項10】
立体的な対象物の立体形状及び色を示すデータである立体データを生成する立体データ生成方法であって、
前記対象物へ光を照射する光源と、
前記対象物を撮影するカメラと
を用い、
前記カメラに、
前記光源の調整を行うために用いる画像である光源調整用画像と、
前記立体データを生成するために用いる画像である立体データ生成用画像と
を撮影させ、
少なくとも前記光源調整用画像の撮影時において、前記対象物の周囲に、予め設定された色を示す色見本を設置して、前記カメラに前記光源調整用画像の撮影を行わせ、
前記光源調整用画像に写っている前記色見本に基づき、前記立体データ生成用画像の撮影時に前記光源に光を照射させる光の照射の仕方である照射設定を決定して、前記立体データ生成用画像の撮影時において、前記照射設定に基づいて、前記光源に前記対象物への光の照射を行わせ、
前記カメラにより撮影された前記立体データ生成用画像に基づいて前記立体データを生成することを特徴とする立体データ生成方法。
【請求項11】
立体的な造形物を造形する造形システムであって、
立体的な対象物の立体形状及び色を示すデータである立体データを生成する立体データ生成装置と、
前記立体データに基づいて造形物を造形する造形装置と
を備え、
前記立体データ生成装置は、
前記対象物へ光を照射する光源と、
前記対象物を撮影するカメラと、
前記光源の動作を制御する光源制御部と、
前記カメラの動作を制御する撮影制御部と、
前記カメラにより撮影された画像に基づいて前記立体データを生成する立体データ生成部と
を有し、
前記撮影制御部は、前記カメラに、
前記光源の調整を行うために用いる画像である光源調整用画像と、
前記立体データ生成部において前記立体データを生成するために用いる画像である立体データ生成用画像と
を撮影させ、
少なくとも前記光源調整用画像の撮影時において、前記対象物の周囲には、予め設定された色を示す色見本が設置され、
前記撮影制御部は、前記色見本が前記対象物の周囲に設置された状態で、前記カメラに前記光源調整用画像の撮影を行わせ、
前記光源制御部は、前記光源調整用画像に写っている前記色見本に基づき、前記立体データ生成用画像の撮影時に前記光源に光を照射させる光の照射の仕方である照射設定を決定して、前記立体データ生成用画像の撮影時において、前記照射設定に基づいて、前記光源に前記対象物への光の照射を行わせることを特徴とする造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体データ生成装置、立体データ生成方法、及び造形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な対象物(立体物)の形状を示すデータを3Dスキャナ等を用いて取得する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。3Dスキャナでは、例えば、複数の異なる視点から撮影したカメラ画像(2次元画像)を用いて3次元形状を推定するフォトグラメトリ方式等により、対象物の形状の推定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-36842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、立体的な造形物の造形を行う造形装置である3Dプリンタが普及しつつある。また、3Dプリンタの用途として、3Dスキャナで形状を読み取った対象物の形状のデータを利用して造形を行うこと等も検討されている。また、この場合において、3Dスキャナでの読み取りの対象とした対象物の色に合わせて、着色がされた造形物を造形すること等も検討されている。
【0005】
そして、例えばこのような用途で3Dスキャナ等を用いる場合、対象物の色について、高い精度で適切に検出することが望まれる。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる立体データ生成装置、立体データ生成方法、及び造形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
3Dスキャナ等で対象物の画像(カメラ画像)を撮影する場合、照明条件等の環境の影響等で、撮影される画像中での色と対象物の本来の色との間に差が生じる場合がある。また、その結果、対象物の色を正しく認識することが難しくなる場合がある。
【0007】
これに対し、本願の発明者は、対象物の周囲にカラーターゲット等の色見本を設置した状態で撮影した複数の画像を用いることで、色の調整を行うことを考えた。このように構成すれば、例えば、対象物の形状及び色を高い精度で適切に読み取ることができる。
【0008】
しかし、より高精度に造形物の色を読み取ることを考えた場合、撮影後に行う色の調整での調整量をより少なくすることが好ましい。そこで、本願の発明者は、鋭意研究により、色見本を利用して、照明条件の調整を行うことを考えた。この場合、例えば、最終的な読み取りを行うための撮影(本番の撮影)の前に光源の調整を目的とする撮影を行うことが考えられる。また、光源の調整を目的とする撮影において、対象物の周囲に色見本を設置した状態で画像の撮影を行い、得られた画像に基づき、本番の撮影時における光の照射の仕方を決定することが考えられる。このように構成すれば、例えば、より高い精度で本番の撮影を行うことができる。また、これにより、対象物の色について、より高い精度で適切に検出することができる。
【0009】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、立体的な対象物の立体形状及び色を示すデータである立体データを生成する立体データ生成装置であって、前記対象物へ光を照射する光源と、前記対象物を撮影するカメラと、前記光源の動作を制御する光源制御部と、前記カメラの動作を制御する撮影制御部と、前記カメラにより撮影された画像に基づいて前記立体データを生成する立体データ生成部とを備え、前記撮影制御部は、前記カメラに、前記光源の調整を行うために用いる画像である光源調整用画像と、前記立体データ生成部において前記立体データを生成するために用いる画像である立体データ生成用画像とを撮影させ、少なくとも前記光源調整用画像の撮影時において、前記対象物の周囲には、予め設定された色を示す色見本が設置され、前記光源調整用画像の撮影時において、前記撮影制御部は、前記色見本が前記対象物の周囲に設置された状態で、前記カメラに前記光源調整用画像の撮影を行わせ、前記光源制御部は、前記光源調整用画像に写っている前記色見本に基づき、前記立体データ生成用画像の撮影時に前記光源に光を照射させる光の照射の仕方である照射設定を決定して、前記立体データ生成用画像の撮影時において、前記照射設定に基づいて、前記光源に前記対象物への光の照射を行わせることを特徴とする。
【0010】
このように構成した場合、例えば、立体データ生成用画像の撮影時における光の照射の仕方を適切に調整することができる。そのため、このように構成すれば、例えば、対象物の色の検出をより高い精度で適切に行うことができる。また、これにより、例えば、立体データの生成をより高い精度で適切に行うことができる。
【0011】
この構成において、色見本としては、所定の複数の色を示すカラーターゲット等を好適に用いることができる。また、この場合、公知のカラーターゲット等を好適に用いることができる。また、色見本としては、例えば、対象物に合わせて作成された色見本等を用いてもよい。また、立体データにおいて、対象物の色を示すとは、例えば、対象物の表面の色を示すことである。
【0012】
また、この構成において、光源調整用画像の撮影については、例えば、光源による光の照射の仕方を異ならせつつ、複数回行ってもよい。この場合、例えば、光源調整用画像の撮影を行う毎に光源調整用画像に基づいて光の照射の仕方を調整するように、光源調整用画像の撮影と光の照射の仕方の調整とを繰り返すこと等が考えられる。このように構成すれば、例えば、所望の光の照射の仕方に近い照射設定をより適切に決定することができる。
【0013】
また、この構成において、光源制御部は、立体データ生成用画像の撮影時に対象物の各部に適切に光が照射されるように照射設定を決定することが好ましい。そして、この場合、光源調整用画像の撮影について、対象物の周囲に複数の色見本を設置して行うことが好ましい。より具体的に、この場合、撮影制御部は、例えば、対象物の周囲の互いに異なる位置に複数の色見本が設置された状態で、カメラに光源調整用画像の撮影を行わせる。また、光源制御部は、例えば、光源調整用画像に写っているそれぞれの色見本に基づき、対象物の各部への光の当たり方を検出する。そして、光源制御部は、検出した光の当たり方に基づき、照射設定を決定する。このように構成すれば、例えば、対象物の各部への光の当たり方を考慮した照射設定を適切に決定することができる。また、これにより、例えば、対象物の各部に対してより均一に光が照射された状態で立体データ生成用画像の撮影を行うことができる。
【0014】
また、この場合、照射設定については、光源調整用画像の撮影時に光の照射が不十分だった箇所(影になっていた部分)に対してより多くの光が照射されるように決定することが考えられる。より具体的に、この場合、光源制御部は、例えば、光源調整用画像に写っているそれぞれの色見本に基づき、対象物において光の当たり方が不足している箇所を検出する。そして、光源制御部は、例えば、光の当たり方が不足している箇所に対して光源調整用画像の撮影時よりも多くの光が照射されるように、照射設定を決定する。このように構成すれば、例えば、立体データ生成用画像の撮影時において、対象物により適切に光を照射することができる。
【0015】
また、この構成において、光源調整用画像としては、複数の画像を用いることが好ましい。この場合、立体データ生成装置は、複数のカメラを備えることが好ましい。また、光源調整用画像の撮影時において、撮影制御部は、例えば複数のカメラに撮影を行わせることで、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の光源調整用画像をカメラに撮影させる。また、光源制御部は、例えば、複数の光源調整用画像に写っている色見本に基づき、照射設定を決定する。このように構成すれば、例えば、対象物の各部に対してより適切に光が照射される照射設定をより適切に決定することができる。
【0016】
また、撮影制御部は、例えば、立体データ生成用画像の撮影時にも、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の立体データ生成用画像をカメラに撮影させる。そして、この場合、撮影する画像の数について、光源調整用画像の数と立体データ生成用画像の数とを異ならせてもよい。この場合、光源調整用画像の数とは、例えば、照射設定の決定時に実質的に用いる光源調整用画像の数のことである。また、立体データ生成用画像の数とは、例えば、立体データの生成時の生成時に実質的に用いる立体データ生成用画像の数のことである。
【0017】
また、より具体的に、立体データ生成部で立体データを生成する処理は、多くの画像処理等を行う処理である。そのため、立体データ生成用画像の数が多すぎると、例えば、データ処理の負担が大きくなり、処理に多くの時間がかかること等が考えられる。これに対し、光源制御部で照射設定を決定する処理については、光源調整用画像の数が多い場合にも、問題が生じにくいと考えられる。また、この場合、光源調整用画像の数をより多くすることで、照射設定をより高い精度で決定することも可能になる。そのため、光源調整用画像の数については、例えば、立体データ生成用画像の数よりも多くすること等が考えられる。この場合、光源調整用画像の撮影時において、撮影制御部は、例えば、立体データ生成用画像の撮影時よりも多くの複数の視点から撮影される複数の光源調整用画像をカメラに撮影させる。このように構成すれば、例えば、立体データを生成する処理の負担が大きくなること等を防ぎつつ、照射設定をより高い精度でより適切に決定することができる。
【0018】
また、この構成において、立体データ生成装置は、複数の光源を備えることが好ましい。この場合、光源制御部は、例えば、光源調整用画像に写っている色見本に基づき、複数の光源のそれぞれによる光の照射の仕方を示す照射設定を決定する。そして、立体データ生成用画像の撮影時において、光源制御部は、例えば、照射設定に基づいて、複数の光源に対象物への光の照射を行わせる。このように構成した場合、複数の光源を用いることで、対象物に対し、複数の方向から光を照射することができる。また、この場合、照射設定に基づいてそれぞれの光源の制御を行うことで、それぞれの方向からの光の照射の仕方を様々に変化させることができる。そのため、このように構成すれば、立体データ生成用画像の撮影時において、対象物により適切に光を照射することができる。複数の光源としては、例えば、複数のLEDを並べたLEDアレイ等を好適に用いることができる。また、この場合、それぞれの光源としてLEDアレイを用い、それぞれのLEDアレイにより、互いに異なる位置から対象物へ光を照射することが考えられる。
【0019】
また、複数の光源としては、例えば、演色性が互いに異なる複数の光源を用いること等も考えられる。このように構成した場合、それぞれの光源による光の照射の仕方を調整することで、複数の光源により得られる演色性を様々に変化させることができる。また、これにより、例えば、立体データ生成用画像の撮影時において、対象物への光の照射の仕方をより多様に変化させることができる。
【0020】
また、色見本については、立体データ生成用画像の撮影時にも用いることが考えられる。この場合、立体データ生成用画像の撮影時においても、対象物の周囲には、色見本が設置される。また、立体データ生成用画像の撮影時において、撮影制御部は、例えば、色見本が対象物の周囲に設置された状態で、カメラに立体データ生成用画像の撮影を行わせる。そして、立体データ生成部は、例えば、立体データ生成用画像に写っている色見本に基づき、立体データ生成用画像に対する色の調整を行う。この場合、立体データ生成用画像に対する色の調整を行うとは、例えば、立体データ生成用画像に写っている色見本の色に基づいてカラーマッチング等を行うことである。このように構成すれば、立体データの生成時において、色の調整をより適切に行うことができる。また、これにより、立体データの生成をより高い精度でより適切に行うことができる。
【0021】
また、立体データ生成用画像の撮影時に色見本を対象物の周囲に設置する場合、色見本について、色の調整以外の目的で使用すること等も考えられる。この場合、色見本の少なくとも一部について、例えば、画像処理での特徴点として用いること等が考えられる。より具体的に、この場合、立体データ生成用画像の撮影時において、撮影制御部は、例えば、色見本が対象物の周囲に設置された状態で、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の立体データ生成用画像をカメラに撮影させる。そして、立体データ生成部は、例えば、立体データ生成用画像に写っている色見本の少なくとも一部を特徴点として用いて複数の立体データ生成用画像に対する画像処理を行って、立体データを生成する。このように構成すれば、立体データの生成をより高い精度でより適切に行うことができる。
【0022】
また、この場合、色見本の少なくとも一部を特徴点として用いるとは、色見本において所定の色を示す部分以外の箇所を特徴点として用いることであってもよい。この場合、例えば、所定の形状の識別部を有する色見本を用い、識別部を特徴点として利用すること等が考えられる。
【0023】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する立体データ生成方法や造形システム等を用いることも考えられる。また、例えば、立体データを用いて造形物を造形する造形物の製造方法等を考えることもできる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば、立体データの生成をより高い精度で適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る造形システム10の構成の一例を示す図である。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、撮影部102の要部の構成の一例を示す。
図2】カラーターゲット60について更に詳しく説明をする図である。図2(a)は、カラーターゲット60の設置の仕方の一例を示す。図2(b)は、カラーターゲット60の構成の一例を示す。図2(c)は、カラーターゲット60の変形例を示す。
図3】本例において立体データを生成する動作の一例を示すフローチャートである。
図4】本例において用いる光源206について更に詳しく説明をする図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る造形システム10の構成の一例を示す。図1(a)は、造形システム10の構成の一例を示す。本例において、造形システム10は、立体的な対象物の形状及び色の読み取りと、立体的な造形物の造形とを行うシステムであり、造形装置12及び3Dスキャナ14を備える。この場合、対象物とは、造形システム10において形状及び色の読み取り対象として用いる立体物のことである。
【0027】
尚、以下に説明をする点を除き、本例における造形システム10は、公知の造形システムと同一又は同様の特徴を有してよい。また、上記及び以下に説明をするように、本例において、造形システム10は、造形装置12及び3Dスキャナ14の2台の装置により構成されている。しかし、造形システム10の変形例においては、これらの機能を、一台の装置で実現してもよい。また、各装置の機能について、複数の装置により実現すること等も考えられる。
【0028】
造形装置12は、立体的な造形物を造形する造形装置である。また、本例において、造形装置12は、3Dスキャナ14において生成されたデータに基づき、着色された造形物を造形する。また、本例において、造形装置12は、このデータとして、3Dスキャナ14での読み取りの対象物の立体形状及び色を示すデータである立体データ(3Dデータ)を受け取る。また、本例において、立体データが対象物の色を示すとは、対象物の表面の色を示すことである。この場合、対象物の表面とは、対象物において外部から色彩を視認できる領域のことである。このような立体データとしては、例えば、造形物を示すデータとして用いる公知のデータと同一又は同様の形式のデータを好適に用いることができる。
【0029】
また、本例において、造形装置12は、3Dスキャナ14から受け取る立体データに基づき、例えば、表面が着色された造形物を造形する。造形装置12としては、公知の造形装置を好適に用いることができる。より具体的に、造形装置12としては、例えば、複数色のインクを造形の材料として用いて積層造形法で造形物を造形する装置等を好適に用いることができる。この場合、造形装置12は、例えばインクジェットヘッドにより各色のインクを吐出することにより、着色された造形物を造形する。
【0030】
また、更に具体的に、本例において、造形装置12は、プロセスカラーの各色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色)のインクを少なくとも用いて、表面が着色された造形物を造形する。また、表面への着色として、フルカラーでの着色を行う。この場合、フルカラーでの着色を行うとは、例えば、造形の材料(例えばインク)の色を複数色混色させた中間色を含む様々な色での着色を行うことである。また、本例において用いる造形装置12については、例えば、フルカラーで着色された造形物を出力するフルカラーの3Dプリンタ等と考えることもできる。また、造形装置12においては、プロセスカラーの各色のインク以外に、例えば、白色のインクやクリア色のインク等を更に用いることが考えられる。
【0031】
3Dスキャナ14は、立体データ生成装置の一例であり、立体的な対象物の形状及び色の読み取りを行う。3Dスキャナ14については、例えば、造形データ生成システムの一例等と考えることもできる。また、本例において、3Dスキャナ14は、撮影部102及び立体データ生成部104を有する。撮影部102は、対象物の画像(カメラ画像)を複数の視点から撮影(撮像)する装置である。撮影部102の特徴については、後に更に詳しく説明をする。
【0032】
立体データ生成部104は、対象物を示す立体データを生成する構成であり、撮影部102において撮影された複数の画像に基づき、対象物の形状及び色を示す立体データを生成する。また、本例において、立体データ生成部104は、例えばフォトグラメトリ法等の公知の方法を用いて、立体データの生成を行う。この場合、フォトグラメトリ法については、例えば、立体的な物体を複数の観測点から撮影して得た2次元画像から視差情報を解析して寸法及び形状を求める写真測量法の方法等と考えることができる。また、立体データ生成部104としては、所定のプログラムに従って動作するコンピュータ等を好適に用いることができる。
【0033】
以上のような構成の造形システム10を用いることで、例えば、3Dスキャナ14により、対象物を示す立体データを適切に生成することができる。また、3Dスキャナ14において生成された立体データを用いて造形装置12において造形物を造形することで、例えば、対象物を示す造形物を適切に造形することができる。
【0034】
続いて、本例における撮影部102の特徴について、更に詳しく説明をする。図1(b)は、撮影部102の要部の構成の一例を示す。本例において、撮影部102は、ステージ202、複数のカメラ204、複数の光源206、光源制御部208、及び撮影制御部210を有する。
【0035】
ステージ202は、対象物を設置する台である。また、本例において、ステージ202には、対象物以外に、カラーターゲットを設置する。カラーターゲットを用いる理由等については、後に更に詳しく説明をする。
【0036】
複数のカメラ204は、対象物の画像を撮影する撮影装置である。また、本例において、複数のカメラ204は、互いに異なる位置に設置されることにより、互いに異なる視点から対象物を撮影する。より具体的に、本例において、複数のカメラ204は、ステージ202の周囲を囲むように水平面や鉛直方向における互いに異なる位置に設置されることで、互いに異なる位置から、対象物を撮影する。また、これにより、複数のカメラ204のそれぞれは、ステージ202上に設置された対象物に対し、対象物の周囲を囲む各位置から撮影を行う。また、この場合において、それぞれのカメラ204は、他のカメラ204により撮影される画像と少なくとも一部が重なるように、画像を撮影する。この場合、カメラ204により撮影される画像の少なくとも一部が重なるとは、例えば、複数のカメラ204の視野同士がオーバーラップすることである。また、本例において、複数のカメラ204は、撮影制御部210の制御に応じて、光源206の調整を目的とする撮影と、最終的な読み取りを行うための撮影(本番の撮影)とを行う。この場合、本番の撮影については、例えば、立体データ生成部104での立体データの生成に用いる画像を取得するための撮影等と考えることもできる。カメラ204により撮影を行うタイミングについては、本例において立体データを生成するより詳細な動作と関連付けて、後に更に詳しく説明をする。
【0037】
また、本例において、複数のカメラ204では、複数の画像として、カラー画像を撮影する。この場合、カラー画像とは、例えば、所定の基本色(例えばRGBの各色)に対応する色の成分を複数段階の階調で表現した画像(例えば、フルカラーの画像)のことである。また、本番の撮影においてカメラ204により撮影する複数の画像としては、例えば、公知の3Dスキャナ等で用いられる画像と同一又は同様の画像を用いることが考えられる。公知の3Dスキャナ等で用いられる画像とは、例えば、フォトグラメトリ法等で対象物の形状を推定する場合に用いる複数の画像のことである。また、本例においては、光源206の調整を目的とする撮影時にも、本番の撮影時と同じ形式の画像を複数のカメラ204により撮影する。撮影部102の動作の変形例においては、光源206の調整を目的とする撮影時に複数のカメラ204により撮影する画像の形式について、本番の撮影時と異ならせてもよい。この場合、例えば、画像の解像度や、カメラ204での撮影条件の設定等を異ならせることが考えられる。このように構成すれば、例えば、それぞれの撮影時に適した条件での撮影を行うことができる。
【0038】
複数の光源206は、対象物へ光を照射する照明装置である。また、本例において、複数の光源206のそれぞれは、撮影制御部210の制御に応じて、対象物への光の照射を行う。複数の光源206のそれぞれとしては、公知の高演色光源(例えば、D50光源、又はD65光源等)を好適に用いることができる。
【0039】
光源制御部208は、複数の光源206の動作を制御する構成である。また、本例において、光源制御部208は、光源206の調整を目的とする撮影により得られた画像に基づき、本番の撮影時における光の照射の仕方を示す照射設定を決定する。また、本番の撮影時において、照射設定に基づき、光源206の動作を制御する。照射設定の決定の仕方についても、後に更に詳しく説明をする。
【0040】
撮影制御部210は、複数のカメラ204の動作を制御する構成である。上記においても説明をしたように、本例において、撮影制御部210は、光源206の調整を目的とする撮影と、最終的な読み取りを行うための本番の撮影とを複数のカメラ204に行わせる。
【0041】
以上のように構成すれば、例えば、立体データ生成部104において立体データの生成に用いる複数の画像を適切に撮影することができる。また、この場合において、光源206の調整を目的とする撮影を事前に行い、本番の撮影時の照射設定を決定することで、本番の撮影時において、複数の光源206から対象物への光の照射をより適切に行うことができる。また、これにより、例えば、立体データ生成部104において立体データをより高い精度でより適切に生成することができる。
【0042】
続いて、本例において用いるカラーターゲットについて、更に詳しく説明をする。図2は、カラーターゲット60について更に詳しく説明をする図である。図2(a)は、カラーターゲット60の設置の仕方の一例を示す。図2(b)は、カラーターゲット60の構成の一例を示す。
【0043】
上記においても説明をしたように、本例において、撮影部102のステージ202(図1参照)上には、対象物50の他に、カラーターゲット60を設置する。この場合、撮影部102(図1参照)において対象物50を撮影することで得られる複数の画像については、例えば、対象物50の周囲にカラーターゲット60を設置した状態で撮影を行った画像等と考えることができる。また、より具体的に、本例においては、光源206の調整を目的とする撮影時、及び、最終的な読み取りを行うための撮影時の両方において、例えば図2(a)に示すように、複数のカラーターゲット60を対象物50の周囲に設置した状態で、複数の画像を撮影する。
【0044】
また、本例において、複数のカラーターゲット60のそれぞれは、対象物50の周囲において、任意の位置に設置される。この場合、複数のカラーターゲット60について、対象物を囲うように設置することが考えられる。また、それぞれのカラーターゲット60については、複数のカメラ204(図1参照)のいずれかに写るように、撮影環境内のいずれかの位置(例えば環境背景、床等)に設置する。このように構成すれば、例えば、撮影部102において撮影する複数の画像として、それぞれのカラーターゲット60がいずれかの画像に写っているような複数の画像を取得することができる。また、複数のカラーターゲット60のうちの少なくとも一部について、例えば、対象物50において色が重要な部分や、光の当たり方の影響等により色の見え方が変化しやすい位置等に設置することが考えられる。この場合、対象物50において色が重要な部分とは、例えば、対象物50を示す造形物の造形を行う場合に色の再現が重要な部分のことである。
【0045】
また、本例において、カラーターゲット60は、予め設定された色を示す色見本の一例である。カラーターゲット60としては、例えば、予め設定された複数の色を示すカラーチャート等を好適に用いることができる。また、このようなカラーチャートとしては、市販されている公知のカラーチャートと同一又は同様のカラーチャート等を好適に用いることができる。また、カラーターゲット60については、例えば、所定の複数の色を示す色見本等と考えることもできる。
【0046】
また、本例において、カラーターゲット60は、図2(b)に示すように、互いに異なる色を示す複数のカラーパッチにより構成されるパッチ部302を有する。この場合、パッチ部302については、例えば、カラーターゲット60においてカラーチャートを構成する部分等と考えることもできる。また、図2(b)においては、図示の便宜上、9種類の色について、色の違いを網掛け模様の違いで表現することで、互いに色の異なる複数のカラーパッチを示している。パッチ部302については、例えば、カラーターゲット60において所定の色を示している部分等と考えることもできる。また、カラーチャートとしては、より多くの色を示すチャートを用いてもよい。
【0047】
また、カラーターゲット60の変形例において、カラーターゲット60は、パッチ部302以外の構成を更に有してもよい。図2(c)は、カラーターゲット60の変形例を示す。この場合、カラーターゲット60は、複数のマーカ304を更に有する。複数のマーカ304は、カラーターゲット60を識別するために用いる部材(マーカ部)であり、例えば図中に示すように、パッチ部302の周囲に設置される。このようなマーカ304を用いることにより、対象物50を撮影した画像において、カラーターゲット60の検出を高い精度で適切に行うことができる。また、本例において、複数のマーカ304のそれぞれは、カラーターゲット60であることを示す識別部の一例である。マーカ304としては、例えば、画像の識別用に用いる公知のマーカ(画像識別用マーカ)と同一又は同様のマーカを用いることが考えられる。また、本例において、複数のマーカ304のそれぞれは、例えば図中に示すように、所定の同じ形状を有しており、四角形状のパッチ部302の四隅のそれぞれの位置に、向きを互いに異ならせて取り付けられている。
【0048】
続いて、カメラ204により撮影を行うタイミングの説明や、カラーターゲット60の利用の仕方の説明等を含めて、本例において立体データを生成する動作について、更に詳しく説明をする。図3は、本例において立体データを生成する動作の一例を示すフローチャートである。
【0049】
本例の3Dスキャナ14(図1参照)で立体データを生成する場合、先ず、撮影部102(図1参照)において、対象物に対する撮影を行う。また、上記においても説明をしたように、対象物に対する撮影としては、光源206(図1参照)の調整を目的とする撮影と、最終的な読み取りを行うための本番の撮影とを行う。
【0050】
また、より具体的に、この場合、フローチャートに示すように、先ず、撮影部102における撮影制御部210(図1参照)は、複数のカメラ204に、光源206の調整を目的とする撮影である調整用撮影を行わせる(S102)。また、これにより、撮影制御部210は、複数のカメラ204に、光源の調整を行うために用いる画像(以下、光源調整用画像という)を取得させる。
【0051】
また、図中に示したフローチャートから理解できるように、本例においては、必要に応じて、ステップS102の動作を、複数回繰り返す。また、この場合、それぞれの回のステップS102の動作において、光源制御部208は、事前に設定された照明条件に基づき、複数の光源206に光を照射させる。また、より具体的に、初回に実行するステップS102では、照明条件について、予め設定された初期値に設定することが考えられる。また、ステップS102での撮影時において、対象物の周囲には、例えば図2等を用いて説明をしたように、複数のカラーターゲットが設置される。これにより、光源調整用画像の撮影時において、撮影制御部210は、カラーターゲットが対象物の周囲に設置された状態で、複数のカメラ204に光源調整用画像の撮影を行わせる。また、これにより、撮影制御部210は、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の光源調整用画像を複数のカメラ204に撮影させる。
【0052】
また、ステップS102の動作に続いて、照明条件の調整を行う(S104)。また、この調整において、光源制御部208は、ステップS102で撮影された光源調整用画像に写っているカラーターゲットの見え方に基づき、対象物への光の当たり方を検出する。そして、必要に応じて、例えばそれぞれの光源206が照射する光の強さを変化させること等により、光の当たり方を所望の状態に近づけるように、照明条件の調整を行う。
【0053】
また、ステップS104において照明条件の調整を行った後には、調整が終了したか否かの判定を行い(S106)、終了したと判定した場合(S106:Yes)には、次のステップS108へ進む。この場合、例えば、対象物への光の当たり方が所望の状態になる照明条件をステップS102で設定できたと判断した場合に、照明条件の調整が終了したと判定する。また、より具体的に、この場合、例えば、ステップS102で行った照明条件の調整量が予め設定された上限値よりも小さい場合に、照明条件の調整が終了したと判定すること等が考えられる。
【0054】
また、例えばS102で行った照明条件の調整量が大きい場合等には、照明条件の調整が完了していないと判定して(S106:No)、ステップS102以降の動作を繰り返す。また、この場合、2回目以降に実行するステップS102では、照明条件について、その直前に行われたステップS104での調整後の照明条件を用いる。このように構成すれば、例えば、対象物への光の当たり方を所望の状態に近づけるように照明条件を適切に近づけることができる。
【0055】
尚、ステップS102~S106の動作について、繰り返しの回数が所定の上限の回数に達した場合には、ステップS106において、照明条件の調整が終了したと判定することが考えられる。また、繰り返しの回数が上限の回数に達した場合には、立体データを生成する動作を中止して、ユーザの指示を受け付けること等も考えられる。
【0056】
また、照明条件の調整が終了し、ステップS108へ進んだ場合、本番の撮影時に用いる照射設定の決定を行う(S108)。この場合、照射設定とは、上記においても説明をしたように、本番の撮影時に複数の光源206に光を照射させる光の照射の仕方の設定のことである。また、本例において、光源制御部208は、直前に行われたステップS104での調整後の照明条件に対応する設定を、照射設定として用いる。このように構成すれば、対象物に対して所望の状態で光を当てる照射設定を適切に決定することができる。
【0057】
また、この場合、光源制御部208において照射設定を決定する動作については、例えば、光源調整用画像に写っているカラーターゲットに基づいて照射設定を決定する動作等と考えることができる。また、本例において、光源調整用画像に写っているカラーターゲットに基づいて照射設定を決定するとは、複数の光源調整用画像に写っているカラーターゲットに基づき、複数の光源206のそれぞれによる光の照射の仕方を示す照射設定を決定することである。このように構成すれば、例えば、対象物の各部に対してより適切に光が照射される照射設定をより適切に決定することができる。
【0058】
そして、照射設定を決定した後には、立体データの生成に用いる画像を撮影するための本番の撮影(立体データ生成用撮影)を実行する(S110)。また、より具体的に、ステップS110において、光源制御部208は、ステップS108において決定した照射設定に基づき、対象物への光の照射を複数の光源206に行わせる。そして、照射設定に基づく光の照射が行われている状態で、撮影制御部210は、立体データ生成部104(図1参照)において立体データを生成するために用いる画像(以下、立体データ生成用画像という)の撮影を複数のカメラ204に行わせる。
【0059】
また、本例においては、カラーターゲットについて、立体データ生成用画像の撮影時にも用いる。この場合、立体データ生成用画像の撮影時において、撮影制御部210は、複数のカラーターゲットが対象物の周囲に設置された状態で、互いに異なる複数の視点から撮影される複数の立体データ生成用画像を複数のカメラ204に撮影させる。また、この場合、複数のカラーターゲットを設置する位置については、光源調整用画像の撮影時と同じにすることが考えられる。このように構成すれば、例えば、対象物や複数のカラーターゲットの位置を変更することなく、光源調整用画像の撮影と立体データ生成用画像の撮影とを続けて適切に行うことができる。また、立体データを生成する動作の変形例においては、複数のカラーターゲットを設置する位置について、光源調整用画像の撮影時と立体データ生成用画像の撮影時とで異ならせてもよい。このように構成した場合、例えば、それぞれの撮影の目的により適した位置に複数のターゲットを設置することができる。
【0060】
また、立体データ生成用画像の撮影後、立体データ生成部104は、複数のカメラ204により撮影された複数の立体データ生成用画像に基づき、対象物の形状及び色を示す立体データの生成を行う(S112)。また、本例において、立体データ生成部104は、立体データ生成用画像に写っているカラーターゲットに基づき、立体データ生成用画像に対する色の調整を行う。この場合、立体データ生成用画像に対する色の調整を行うとは、例えば、立体データ生成用画像に写っているカラーターゲットの色に基づいてカラーマッチング等を行うことである。このように構成すれば、立体データの生成時において、色の調整をより適切に行うことができる。また、これにより、立体データの生成をより高い精度でより適切に行うことができる。
【0061】
以上のように構成した場合、例えば、カラーターゲットが対象物の周囲に設置された状態で撮影された複数の光源調整用画像を用いることで、撮影時における対象物への光の当たり方を適切に検出することができる。また、この検出結果に基づいて照明条件を調整することで、対象物への光の当たり方を所望の条件に近づけることができる。そのため、本例によれば、例えば、立体データ生成用画像の撮影時における光の照射の仕方を適切に調整することができる。また、これにより、例えば、造形データの生成時において、対象物の色の検出をより高い精度で適切に行い、立体データの生成をより高い精度で適切に行うことができる。
【0062】
また、本例においては、ステップS102~S106の動作を必要に応じて繰り返すことで、光源調整用画像の撮影について、複数の光源206による光の照射の仕方を異ならせつつ、複数回行う。また、この場合において、例えば、光源調整用画像の撮影を行う毎に光源調整用画像に基づいて光の照射の仕方を調整するように、光源調整用画像の撮影と光の照射の仕方の調整とを繰り返す。そのため、本例によれば、例えば、所望の光の照射の仕方に近い照射設定をより適切に決定することができる。
【0063】
また、本例においては、複数の光源206を用いることで、対象物に対し、複数の方向から光を照射する。また、立体データ生成用画像の撮影時において、光源制御部208は、照射設定に基づいて、複数の光源206に対象物への光の照射を行わせる。そして、この場合、照射設定に基づいてそれぞれの光源206の制御を行うことで、それぞれの方向からの光の照射の仕方を様々に変化させることができる。そのため、本例によれば、例えば、立体データ生成用画像の撮影時において、対象物により適切に光を照射することができる。
【0064】
また、本例において、複数のカラーターゲットは、対象物の周囲の互いに異なる位置に設置される。また、これにより、撮影制御部210は、対象物の周囲の互いに異なる位置に複数のカラーターゲットが設置された状態で、複数のカメラ204に光源調整用画像の撮影を行わせる。このように構成すれば、例えば、対象物の様々な箇所への光の当たり方をより適切に検出することができる。
【0065】
また、より具体的に、この場合、光源制御部208は、例えば、光源調整用画像に写っているそれぞれのカラーターゲットに基づき、対象物の各部への光の当たり方を検出する。そして、光源制御部208は、検出した光の当たり方に基づき、照射設定を決定する。このように構成すれば、例えば、対象物の各部への光の当たり方を考慮した照射設定を適切に決定することができる。また、これにより、例えば、対象物の各部に対してより均一に光が照射された状態で、立体データ生成用画像の撮影を行うことができる。
【0066】
また、更に具体的に、本例において、照射設定については、例えば、光源調整用画像の撮影時に光の照射が不十分だった箇所(影になっていた部分)に対してより多くの光が照射されるように決定することが考えられる。この場合、光源制御部208は、例えば、光源調整用画像に写っているそれぞれのカラーターゲットに基づき、対象物において光の当たり方が不足している箇所を検出する。そして、光源制御部208は、例えば、光の当たり方が不足している箇所に対して光源調整用画像の撮影時よりも多くの光が照射されるように、照射設定を決定する。このように構成すれば、例えば、立体データ生成用画像の撮影時において、対象物により適切に光を照射することができる。
【0067】
尚、対象物において光の当たり方が不足している箇所を検出する場合、例えば光量計等を用いれば、より容易な検出が可能なようにも思われる。しかし、光の当たり方が不足することの影響については、対象物の色によって差が生じること等も考えられる。そして、この場合、光量計を用いて単に光量を検出すると、色による影響の差等を適切に考慮できないおそれもある。これに対し、本例のように、カラーターゲットを用いる場合、色による影響の差等をより適切に考慮しつつ、光の当たり方が不足している箇所等を適切に検出することができる。
【0068】
続いて、本例において用いる複数の光源206について、更に詳しく説明をする。図4は、本例において用いる光源206について更に詳しく説明をする図である。
【0069】
上記においても説明をしたように、本例においては、光源制御部208(図1参照)により、複数の光源206から照射する光を様々に変化させる。そして、この場合、光源206としては、光の照射の制御を行いやすい構成を用いることが好ましい。また、より具体的に、複数の光源206のそれぞれとしては、例えば、図中に示すように、複数のLED402を並べたLEDアレイ等を好適に用いることができる。この場合、それぞれの光源206について、複数のLED402を並べた光源と考えることができる。このように構成すれば、例えば、それぞれの光源206から照射する光の調整等を容易かつ適切に行うことができる。この場合、それぞれの光源206から照射する光の調整を行うとは、例えば、光源206におけるそれぞれのLED402の発光強度を変化させることで、それぞれの光源206から対象物へ照射する光の光量を調整することである。また、この場合、それぞれがLEDアレイである複数の光源206を互いに異なる位置に配設することで、複数の方向のそれぞれから対象物へ照射する光の光量等を様々に変化させることができる。
【0070】
また、光源206としてLEDアレイを用いる場合、光源制御部208による光源206の制御については、複数のLED402により構成される光源206を単位にして行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、多数のLED402を用いる場合にも、より容易に制御を行うことができる。また、より詳細な制御を行うことを考える場合等には、LEDアレイを構成するそれぞれのLED402について、光源制御部208により個別に制御を行うこと等も考えられる。また、この場合、それぞれのLED402について、一つの光源206等と考えることもできる。
【0071】
また、複数の光源206としては、例えば、同じ特性の光源を用いることが考えられる。同じ特性の光源とは、例えば、同じ仕様で同じ部品として製造される光源のことである。また、対象物へ照射する光について、より多様な制御を行う場合等には、複数の光源206の一部として、他の光源206と異なる特性の光源を用いてもよい。この場合、複数の光源206として、例えば、演色性が互いに異なる複数の光源を用いること等が考えられる。より具体的に、この場合、例えば、撮影部102が有する複数の光源206の一部として第1の演色性の光源206(例えば、D50光源)を用い、複数の光源206の他の一部として第2の演色性の光源206(例えば、D65光源)を用いること等が考えられる。このように構成した場合、例えば、それぞれの光源206による光の照射の仕方を調整することで、複数の光源206により得られる演色性を様々に変化させることができる。また、これにより、例えば、立体データ生成用画像の撮影時において、対象物への光の照射の仕方をより多様に変化させることができる。
【0072】
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明や、変形例の説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例においては、光源調整用画像に基づいて照明条件の調整を行うことで、立体データ生成用画像の撮影時に用いる照射設定を決定する。そして、この場合、例えば、対象物の各位置に対して一定の照度で光が当たるように調整した照明条件に対応する照射設定を決定することが好ましい。しかし、例えば本例のように照明条件の調整を行ったとしても、通常、照度について、完全に均一にすることは難しい。また、対象物の形状等によっては、照明条件の調整を行った後にも位置によって光の当たり方に差が残る場合もある。
【0073】
これに対し、本例においては、立体データ生成用画像の撮影時にもカラーターゲットを用いることで、上記においても説明をしたように、立体データの生成時に、必要に応じて、立体データ生成用画像に対し、カラーマッチング等の色の調整(補正)を行う。そのため、本例によれば、例えば、立体データ生成用画像に基づき、対象物の色をより適切に読み取ることができる。また、これにより、対象物の色をより高い精度で示す立体データを適切に生成できる。また、この場合、立体データ生成用画像における対象物の一部に影になっている部分が生じたとしても、その影響を取り除くための色の調整等を適切に行うことができる。
【0074】
また、3Dスキャナ14により対象物の色を読み取る場合、光源206の特性等により、他の環境(例えば、太陽光が当たる環境)と比べて色の見え方に差が生じること等が考えられる。そのため、3Dスキャナ14で色を高い精度で読み取るためには、どのような環境下で取得された色であるかを識別して、色の調整を行うことが好ましい。また、3Dスキャナ14での読み取り結果について、例えばコンピュータのモニタ等で確認を行う場合、モニタの特性により色の見え方に差が生じることも考えられる。
【0075】
これに対し、本例においては、対象物の周囲にカラーターゲットを設置した状態で立体データ生成用画像の撮影を行い、立体データ生成用画像に写っているカラーターゲットに基づいて色の調整を行うことで、立体データ生成用画像に写っている対象物の各部の色について、どのような環境下で取得された色であるかを識別することができる。また、例えば、環境の要因を取り除くためのカラーマネジメント等を適切に行うこともできる。更に、この場合、カラーマネジメント等を適切に行うことで、例えば、コンピュータのモニタ等に表示する色についても、適切に調整を行うことができる。
【0076】
また、このような色の調整については、立体データ生成用画像に写っているカラーターゲットにおける各色のパッチ部302(図2参照)について、本来の色(オリジナルの色)になるように調整を行うことが考えられる。また、この場合、対象物の周囲に設置される複数のカラーターゲットについて、複数の光源206からの光の当たり方の違いに応じて、調整値が異なることになる。そして、この場合、対象物の各部の色について、いずれかのカラーターゲット(例えば、最も近くになるカラーターゲット)の色の見え方に合わせて調整することが考えられる。また、色の調整については、複数のカラーターゲットのそれぞれの色の見え方に基づき、位置毎(場所毎)の色の見え方の違いを正規化して、位置毎の補正量を決定することで行うこと等も考えられる。また、影になっている部分に対しては、例えば、影の強度に合わせた色の補正量を決めることで、影の影響を適切に取り除くことができる。
【0077】
上記のように色の調整を行うことで、例えば、それぞれの立体データ生成用画像に写っている対象物の各部の色について、適切に調整することができる。また、この場合、照射設定に基づいて複数の光源206の制御を行うことで、複数の光源206からの光の照射の仕方について、既知の情報として扱うことができる。そして、この場合、上記のような色の調整について、より容易かつ適切に行うことができる。
【0078】
また、上記においては、カラーターゲットを用いる目的について、主に、光源206の制御や色の調整に関する目的等を説明した。しかし、立体データ生成用画像の撮影時にカラーターゲットを対象物の周囲に設置する場合、カラーターゲット60について、更に他の目的で使用すること等も考えられる。例えば、この場合、カラーターゲット60の少なくとも一部について、画像処理での特徴点として用いること等が考えられる。
【0079】
この場合、カラーターゲットの少なくとも一部を特徴点として用いるとは、例えば、カラーターゲットにおいて所定の色を示す部分を特徴点として用いることである。また、カラーターゲットの少なくとも一部を特徴点として用いるとは、例えば、所定の色を示す部分以外の箇所を特徴点として用いることであってもよい。例えば、図2(c)に示した場合のように、マーカ304を有するカラーターゲットを用いる場合、マーカ304を特徴点として利用すること等が考えられる。また、この場合、例えば、複数のマーカ304のうちの一部のみを特徴点として用いてもよい。
【0080】
また、この場合、立体データの生成時において、立体データ生成部104は、例えば、立体データ生成用画像に写っているカラーターゲットの少なくとも一部を特徴点として用いて、複数の立体データ生成用画像に対する画像処理を行う。より具体的に、この場合、立体データ生成部104では、例えば、カラーターゲットを特徴点として利用することで、複数の立体データ生成用画像における共通部分を識別すること等が考えられる。このように構成すれば、立体データの生成をより高い精度でより適切に行うことができる。
【0081】
また、上記においても説明をしたように、光源調整用画像及び立体データ生成用画像のそれぞれの撮影時には、複数のカメラ204により、複数の画像を撮影する。そして、この場合、撮影する画像の数について、カメラ204の数と同数にすることが考えられる。しかし、立体データを生成する動作の変形例においては、撮影する画像の数について、光源調整用画像の数と立体データ生成用画像の数とを異ならせてもよい。この場合、光源調整用画像の数とは、例えば、照射設定の決定時に実質的に用いる光源調整用画像の数のことである。また、立体データ生成用画像の数とは、例えば、立体データの生成時の生成時に実質的に用いる立体データ生成用画像の数のことである。
【0082】
また、より具体的に、立体データ生成部104で立体データを生成する処理については、多くの画像処理等を行う処理と考えることができる。そのため、立体データ生成用画像の数が多すぎると、例えば、データ処理の負担が大きくなり、処理に多くの時間がかかること等が考えられる。これに対し、光源制御部208で照射設定を決定する処理については、光源調整用画像の数が多い場合にも、問題が生じにくいと考えられる。また、この場合、光源調整用画像の数をより多くすることで、照射設定をより高い精度で決定することも可能になる。そのため、光源調整用画像の数については、例えば、立体データ生成用画像の数よりも多くすること等が考えられる。
【0083】
また、この場合、立体データ生成用画像の撮影時において、光源制御部208は、例えば、光源調整用画像の撮影時よりも少ない数のカメラ204(例えば、撮影部102における一部のカメラ204)に撮影を行わせる。また、この場合、光源調整用画像の撮影時において、光源制御部208は、立体データ生成用画像の撮影時よりも多くの複数の視点から撮影される複数の光源調整用画像をカメラに撮影させる。このように構成すれば、例えば、立体データを生成する処理の負担が大きくなること等を防ぎつつ、照射設定をより高い精度でより適切に決定することができる。また、照射設定に求められる精度等によっては、より少ない数の光源調整用画像で適切に照射設定を決定できる場合も考えられる。そのため、立体データを生成する動作の更なる変形例においては、例えば、光源調整用画像の数について、立体データ生成用画像の数よりも少なくすること等も考えられる。
【0084】
また、上記においても説明をしたように、光源調整用画像及び立体データ生成用画像の撮影時に用いるカラーターゲットは、予め設定された色を示す色見本の一例である。そして、カラーターゲットとしては、例えば、市販されている公知のカラーチャートと同一又は同様のカラーチャート等を好適に用いることができる。しかし、立体データを生成する動作の変形例においては、例えば、対象物に合わせて作成された色見本(例えば、対象物に合わせた色を示す色見本)等を用いてもよい。また、このような色見本としては、例えば、対象物において特に重要な部分の色を示す色見本等を好適に用いることができる。また、この場合も、色見本として、複数色を示すカラーチャート等を好適に用いることができる。
【0085】
また、上記においては、3Dスキャナ14において生成した立体データについて、主に、造形物の造形に用いる場合について、説明をした。しかし、立体データについては、造形物の造形以外の用途に用いることも考えられる。この場合、立体データについて、例えば、対象物を示すコンピュータグラフィックス画像(CG画像)を生成する用途に用いること等が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、例えば立体データ生成装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0087】
10・・・造形システム、12・・・造形装置、14・・・3Dスキャナ、50・・・対象物、60・・・カラーターゲット、102・・・撮影部、104・・・立体データ生成部、202・・・ステージ、304・・・マーカ、206・・・光源、208・・・光源制御部、210・・・撮影制御部、302・・・パッチ部、304・・・マーカ、402・・・LED
図1
図2
図3
図4