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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20221213BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E04H6/42 C
E04H6/18 601G
E04H6/18 606Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019168135
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046672
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-129374(JP,A)
【文献】特開平05-225497(JP,A)
【文献】実開昭53-127496(JP,U)
【文献】特開2001-123689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E04H 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口から駐車車両が進入可能な乗込室と、前記乗込室内に配置されたトレーと、前記出入口から進入させた駐車車両のタイヤの停止位置を規定するように前記トレーの上面側に設けた車止めと、を含んで構成される機械式駐車装置において、
前記乗込室は、前記駐車車両の前記タイヤが前記車止めに位置したことを検出する停止位置検知装置と、前記駐車車両が前記トレーへ乗り込むときの前記停止位置検知装置よりも前記駐車車両の乗り込み方向における手前側で前記駐車車両を検出する停止位置補助検知装置と、備え
前記停止位置検知装置は、前記駐車車両の前記タイヤを側方から挟む位置に対向して配置された複数の照光部と受光部とを有し、前記照光部と受光部は、前記駐車車両の乗り込み方向における前記車止めの両端よりも内側で間隔を隔てて通る停止位置検知ビームが照受光され、
前記停止位置補助検知装置は、前記停止位置検知ビームよりも前記駐車車両の乗り込み方向の手前側で前記駐車車両を側方から挟む位置に対向して配置され、前記照光部及び受光部とは別の一対の照光部と受光部とを有し、前記別の一対の照光部と受光部との間で前記停止位置検知ビームとほぼ平行に1本の補助検知ビームが照受光される、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記駐車車両の前側のタイヤは、前記駐車車両が前記乗込室に乗り込む際に、前記停止位置補助検知装置の前記補助検知ビームを遮光してから、前記停止位置検知装置の前記停止位置検知ビームを遮光する構成とされ、
前記停止位置補助検知装置が前記駐車車両を検出したとき、前記乗込室内の前記駐車車両の乗り込み方向の前面側に設けた表示装置に間もなく停止位置である旨を表示する構成とする、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記停止位置検知装置は、同一水平面上でほぼ平行に照射される複数の前記停止位置検知ビームの中間で、前記停止位置検知ビームと干渉することなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射される他の停止位置検知ビームを有し、前記駐車車両の進入方向における前記車止めの両端よりも内側に前記タイヤが停止したことを検知する構成を有する、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記停止位置検知装置は、前記駐車車両の進入方向における前記車止めの両端よりも内側を通る3本以上の停止位置検知ビームを照射する一組の水平面ビーム照光部と前記照射された停止位置検知ビームを受光する水平面ビーム受光部とを有し、
前記水平面ビーム照光部と前記水平面ビーム受光部との間で、同一水平面上で照射される停止位置検知ビームを前記タイヤが遮ったことを検出することで、前記タイヤが前記車止めの内側に停止したことを検知する構成を有する、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転手が運転した駐車車両を乗込室内に配置されたトレー上に停止させる機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2018-188801号公報(特許文献1)特開2019-85742号公報(特許文献2)がある。
【0003】
特許文献1には、入庫部と、前記入庫部に連通する入庫口と、前記入庫部内に設定された入庫可能範囲の入口側端部の位置における車両の有無を検出する第1のセンサと、前記入庫可能範囲の反入口側端部の位置における車両の有無を検出する第2のセンサと、前記入庫部における前記入庫口側とは反対側となる奥側に設けられて入庫する車両の前端部までの距離の測定を行う距離計測手段と、前記入庫部における前記奥側に設けられた表示器と、表示制御器とを備え、前記表示制御器は、前記第1のセンサの検出結果と、前記第2のセンサの検出結果と、前記距離計測手段による測定結果とを基に、前記表示器に、前記入庫可能範囲に前記入庫する車両を収めるための位置修正に関する情報と一緒に、前記入庫可能範囲の反入口側端部から前記入庫する車両の前端部までの距離に関する距離情報を表示する指令を与える機能を備えること、を特徴とする機械式駐車装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、乗降室に進入した車両を格納棚へ移動させる機械式駐車場であって、前記乗降室内の物体の存在を検知する複数の検知部と、本機械式駐車場の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数の検知部による検知結果が矛盾する場合、所定の報知処理を実行することを特徴とする機械式駐車場が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-188801号公報
【文献】特開2019-85742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の機械式駐車装置では、乗込室内に配置されているトレー上に駐車車両を乗り込ませたとき、不慣れな運転手の場合、車止めによる適切な停止位置に正しく駐車車両を停止させることが難しく、前進や後退を繰り返すことによって入庫のために使用する時間が長くなり、使用効率の悪い機械式駐車装置となってしまう。
【0007】
本発明の目的は、不慣れな運転手でも、車止めが近づいたとき、自分が運転する駐車車両のタイヤが車止めに入ったかどうかの感覚に気を遣いながらゆっくり前進させることができ、安全かつ確実に車止めに停止させることができるようにした機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置は、出入口から駐車車両が進入可能な乗込室と、前記乗込室内に配置されたトレーと、前記出入口から進入させた駐車車両のタイヤの停止位置を規定するように前記トレーの上面側に設けた車止めと、前記乗込室内の前記駐車車両の乗り込み方向の前面側に設けた表示装置を有する機械式駐車装置において、前記駐車車両の前記タイヤが前記車止めに位置したことを検出する停止位置検知装置を設け、前記駐車車両が前記トレーへ乗り込むときの前記停止位置検知装置よりも手前側で前記駐車車両を検出する停止位置補助検知装置を設け、前記停止位置補助検知装置が前記駐車車両を検出したとき前記表示装置に間もなく停止位置である旨を表示する画面表示処理部を設けたことを特徴とする。
【0009】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、不慣れな運転手でも、画面表示処理部による表示装置への表示によって車止めが近いことを知り、その後は自分が運転する駐車車両のタイヤが車止めに入ったかどうかの感覚に気を遣いながらゆっくり前進させることができ、安全かつ確実に車止めに停止させることができる。
【0010】
第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記停止位置補助検知装置は、前記駐車車両の前記タイヤを挟むような側方位置に対向して配置された照光部と受光部を有し、前記照光部と前記受光部間で照射された停止位置検知ビームを前記駐車車両における前記タイヤが遮ったことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0011】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、実績があり信頼性の高いビーム式の停止位置補助検知装置を使用して、駐車車両のタイヤの位置を検出することができるので、車種の異なる様々な駐車車両であってもタイヤの通過を簡単な構成で確実に、かつ正確に検出することができる。
【0012】
第3態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記停止位置検知装置は、前記駐車車両の前記タイヤを挟むような側方位置に対向して配置された他の照光部と他の受光部を有し、前記他の照光部と前記他の受光部間で照射された停止位置検知ビームを前記タイヤが遮ったことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0013】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、車止めにおける駐車車両のタイヤの位置を実績があり信頼性の高いビーム式の停止位置検知装置によって検出することができるので、車種の異なる様々な駐車車両におけるタイヤの車止めへの停止位置を簡単な構成で確実に、かつ正確に検出することができる。
【0014】
第4態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記停止位置検知装置は、同一水平面上でほぼ平行な停止位置検知ビームと、前記停止位置検知ビームの中間で前記停止位置検知と干渉することがなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射された他の停止位置検知ビームとをそれぞれ照射する水平面ビーム照光部と、前記水平面ビーム照光部からの各停止位置検知ビームをそれぞれ受光する水平面ビーム受光部とを有して構成したことを特徴とする
【0015】
第4態様に係る機械式駐車装置によれば、同一水平面上で複数本の停止位置検知ビームを照受光する方式の停止位置検知装置を使用しても、中間部の停止位置検知ビームを斜めに照射することによって、全ての停止位置検知ビームを平行にした構成の場合に比べて停止位置検知ビームの本数を少なくして、安価な停止位置検知装置とすることができ、しかも、車止めを駐車車両の進入方向に停止範囲を拡大しても、停止範囲内のタイヤの停止位置を同一水平面上で斜めに照射された一本の停止位置検知ビームを効果的に使用して正確に検出することができる。
【0016】
第5態様に係る機械式駐車装置は、第4態様に係る機械式駐車装置において停止位置検知装置の同一水平面でほぼ平行な停止位置検知ビームは、駐車車両の進入方向における車止めの両端よりも内側を通るようにして、駐車車両のタイヤが車止めの内側に停止するのを検知するように構成したことを特徴とする。
【0017】
第5態様に係る機械式駐車装置によれば、駐車車両の進入方向における車止めの両端部と、正常な停止位置での駐車車両のタイヤとの位置関係を定めたため、同進入方向における車止めの機能を生かしながら、停止位置検知装置による駐車車両のタイヤの停止位置を適正に管理することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による機械式駐車装置によれば、不慣れな運転手でも、画面表示処理部による表示装置への表示によって車止めが近いことを知り、その後は自分が運転する駐車車両のタイヤが車止めに入ったかどうかの感覚に気を遣いながらゆっくり前進させることができ、安全かつ確実に車止めに停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す側面図である。
図2図1に示した乗込室を示す平面図である。
図3図1および図2に示した表示装置の表示を制御する表示制御部の主要部を示すブロック構成図である。
図4図3に示した表示装置における各種表示例を示す正面図である。
図5】本発明のさらに他の実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
図6】本発明の他の実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1および図2は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す側面図および平面図である。
【0022】
乗込室1の出入口2には、開閉可能な電動扉3が取り付けられており、電動扉3の開状態で出入口2から乗り込まれた駐車車両4は、乗込室1内に準備されているトレー5上の所定の位置に停止される。このとき駐車車両4の運転手は、真正面に配置されている表示装置6や車誘導表示灯7などの支援を受けながら、駐車車両4をトレー5上に乗り進め、トレー5の上面側に形成されている車止め8によってタイヤ位置を規制して停止位置に停止させるようにしている。
【0023】
また、駐車車両4のフロント側のタイヤ4Aが車止め8に確実に位置していることを検出するために、乗込室1の側壁における低位置にビーム式の照光部9Aと受光部9Bが分散されて配置されると共に、例えばタイヤ4Aの停止位置などを検出する停止位置検知装置9が構成されている。この停止位置検知装置9は、タイヤ4Aが車止め8による停止位置にあるとき、照光部9Aから照射され受光部9Bで受光されている停止位置検知ビーム10が駐車車両4のタイヤ4Aによって遮られたときに、タイヤ4Aが車止め8上の停止位置にあることが検出される。本実施例で停止位置検知ビーム10は、駐車車両4の進入方向における車止め8のほぼ中央位置を通るように照光部9Aおよび受光部9Bが配置されている。
【0024】
また乗込室1の側壁間には、トレー5に対して駐車車両4のフロント側の車体端部のはみ出しを検出するフロント側はみ出し検出器11と、トレー5に対して駐車車両4のリヤ側のはみ出しを検出するリヤ側はみ出し検出器12が構成されている。
【0025】
フロント側はみ出し検出器11は、乗込室1の両側壁に配置されて駐車車両4のフロント側の車体端部におけるはみ出しを検出する高さ位置に、ビーム式の照光部11Aと受光部11Bが分散されて配置されて構成されている。このため、照光部11Aと受光部11B間のはみ出し検知ビーム13を駐車車両4の車体端部が遮ったときに、駐車車両4のフロント側が所定の位置よりもはみ出していることを検出している。
【0026】
またリヤ側はみ出し検出器12は、乗込室1の両側壁に配置されて駐車車両4のリヤ側の車体端部におけるはみ出しを検出する高さ位置に、ビーム式の照光部12Aと受光部12Bが分散されて配置されて構成されている。このため、照光部12Aと受光部12B間のはみ出し検知ビーム14を駐車車両4の車体端部が遮ったときに、駐車車両4のリヤ側が所定の位置よりリヤ側にはみ出していることを検出している。
【0027】
さらに、上述した停止位置検知装置9における駐車車両4の進入側である手前に、停止位置補助検知装置15が配置構成されている。この停止位置補助検知装置15は、停止位置検知装置9における駐車車両4の進入側において、乗込室1の両側壁に分散して対向配置された一対の照光部15Aと受光部15Bを有しており、照光部15Aから受光部15Bに至る補助検知ビーム16が、停止位置検知装置9における停止位置検知ビーム10とほぼ同じ水平面上で照射されている。
【0028】
従って、駐車車両4が出入口2から車止め8へと乗り進められたとき、フロント側のタイヤ4Aは、初めに停止位置補助検知装置15における照光部15Aから受光部15Bに至る補助検知ビーム16を遮り、次いで、車止め8内に入って停止位置検知装置9における停止位置検知ビーム10を遮ることになる。
【0029】
図3は、上述した表示装置6の表示を制御する表示制御部の主要部を示すブロック構成図である。
【0030】
表示装置6の表示を制御する表示制御部17は、停止位置補助検知装置15における受光部15Bから補助検知ビーム16の信号を取り込む補助検知信号取込部18と、停止位置検知装置9の受光部9Bから停止位置検知ビーム10の信号を取り込む停止位置検知信号取込部19と、フロント側はみ出し検出器11の受光部11Bおよびリヤ側はみ出し検出器12の受光部12Bなどからの信号を取り込むその他検知信号取込部20と、これらの各検知信号取込部18~20からの信号を取り込んで予め対応関係を設定された表示内容を抽出する表示内容抽出部21と、表示内容抽出部21で抽出した表示内容に画面表示を切り替える画面表示処理部22などを有している。
【0031】
図4は、表示装置6における各種表示例を示す正面図である。
【0032】
図4(a)は定常時の表示例であり「前進してください」となっており、図4(b)は停止位置補助検知装置15によって切り替えられたときの表示例で、「間もなく停止です」となっている。図4(c)は停止位置検知装置9によって切り替えられたときの表示例で、「停止してください」となっており、図4(d)は停止位置検知装置9によって検出後にフロント側はみ出し検出器11によってフロント側のはみ出しが検出されたときの表示例で、「後退してください」となっている。図4(e)は停止位置検知装置9によって検出後にリヤ側はみ出し検出器12によってリヤ側のはみ出しが検出されたときの表示例で、「前進してください」となっている。
【0033】
これらの各表示例は、図3に示した表示内容抽出部21内に各検知信号取込部18~20からの信号に対応して予め格納されている。上述した以外の信号を取り込むことも可能であり、その場合は新たな対応関係を構築する。
【0034】
上述したように駐車車両4が出入口2から車止め8へと乗り進められたとき、フロント側のタイヤ4Aは、初めに停止位置補助検知装置15における照光部15Aから受光部15Bに至る補助検知ビーム16を遮ることになる。このため、補助検知信号取込部18は、停止位置検知装置9における検知に先立って、停止位置補助検知装置15における受光部15Bから補助検知ビーム16の遮光信号を取り込む。この遮光信号は表示内容抽出部21において対応する表示、すなわち「間もなく停止です」を抽出する。そこで画面表示処理部22は、表示装置6の表示を「間もなく停止です」に切り替える。
【0035】
このとき、機械式駐車装置での入庫経験がない運転手でも、表示による今回の支援を受けると、その後は自分が運転する駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8に入ったかどうかの感覚に気を遣いながらゆっくり前進させることができる。この新たな表示支援を強調するために、表示灯7を点滅したり、音響効果を付加したりすることもできる。
【0036】
次いで、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8に入って停止位置検知装置9における停止位置検知ビーム10を遮ることになる。このとき、停止位置検知信号取込部19における受光部9Bから停止位置検知ビーム10の遮光信号を取り込む。この遮光信号は表示内容抽出部21において対応する表示、すなわち「停止してください」を抽出する。そこで画面表示処理部22は、表示装置6の表示を「停止してください」に切り替える。
【0037】
この支援を受けた運転手は、駐車車両4を停止させる。通常は、このとき駐車車両4は適切に車止め8に停車されるので、フロント側はみ出し検出器11およびリヤ側はみ出し検出器12からの遮光信号の検出はなく、その他検知信号取込部20はフロント側はみ出し検出器11の受光部11Bおよびリヤ側はみ出し検出器12の受光部12Bなどからの受光信号を取り込んでいる。従って、表示内容抽出部21において対応する表示、すなわち運転手は駐車車両4から下りるよう促せば良い。
【0038】
しかし、フロント側はみ出し検出器11およびリヤ側はみ出し検出器12からの遮光信号の検出があった場合、遮光信号を受けて表示内容抽出部21において対応する表示、例えば、フロント側はみ出し検出器11の遮光信号のみの検出であれば「後退してください」などを抽出する。そこで画面表示処理部22は、表示装置6の表示を「後退してください」に切り替える。
【0039】
上述したように本機械式駐車装置によれば、停止位置検知装置9における検知に先立って、停止位置補助検知装置15における遮光信号を取り込んで、表示内容抽出部21において対応する表示を抽出し、画面表示処理部22で表示装置6の表示を「間もなく停止です」に切り替えることができる。従って、不慣れな運転手でも、表示による今回の支援を受け、その後は自分が運転する駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8に入ったかどうかの感覚に気を遣いながらゆっくり前進させることができ、安全かつ確実に車止め8に停止させることができる。
【0040】
また、駐車車両4のフロント側のタイヤ4Aが車止め8によって正しく停止位置に位置されると、従来のように車両の前端部までの距離を信頼性に劣る距離計測手段によって測定するのではなく、実績があり信頼性の高いビーム式の停止位置検知装置9を使用しているため、正しい停止位置に位置したタイヤ4Aによって照光部9Aから照射され受光部9Bで受光されている停止位置検知ビーム10がタイヤ4Aによって遮られたことを正確、かつ、確実に検出することができる。つまり簡単な構成で、精度良く検出を行うことができる。
【0041】
しかも、駐車車両が種々の車長を有していても、正しい停止位置に駐車車両を停止させた状態で、フロント側はみ出し検出器11は、照光部11Aと受光部11B間のはみ出し検知ビーム13を駐車車両4の車体端部が遮っていなければ、駐車車両4のフロント側が所定の位置よりもはみ出していないことが検出される。
【0042】
同様に、駐車車両が種々の車長を有していても、正しい停止位置に駐車車両を停止させた状態で、リヤ側はみ出し検出器12は、照光部12Aと受光部12B間のはみ出し検知ビーム14を駐車車両4の車体端部が遮っていなければ、駐車車両4のリヤ側が所定の位置よりもはみ出していないことが検出される。
【実施例2】
【0043】
図5は、本発明の他の実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
【0044】
本実施例における停止位置検知装置9は、駐車車両4から見て乗込室1における側壁のうちの一方に同一水平面上で複数本の停止位置検知ビーム23A~23Fを照射する水平面ビーム照光部24Aと、水平面ビーム照光部24Aに対向して乗込室1における他方の側壁に配置した水平面ビーム受光部24Bで構成されている。
【0045】
停止位置検知装置9の同一水平面でほぼ平行な停止位置検知ビーム23A~23Fは、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成している。その他の構成は、先の実施例と同一であるから、同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0046】
このように同一水平面上で複数本の停止位置検知ビーム23A~23Fを照射する水平面ビーム照光部24Aと、水平面ビーム照光部24Aからの各停止位置検知ビーム23A~23Fをそれぞれ受光する水平面ビーム受光部24Bを有した停止位置検知装置9を使用すると、駐車車両4の進行方向におけるタイヤ4Aの位置検出範囲を先の実施例に比べて一層拡張することができる。これに合わせて、車止め8が駐車車両4の進入方向に多少前後してタイヤ4Aを停止できるような幅を有して構成された場合でも、正確に停止位置を検出することができる。
【0047】
駐車車両4の進入方向における停止位置検知装置9の手前側には、停止位置補助検知装置15が構成されている。この停止位置補助検知装置15は、停止位置検知装置9における駐車車両4の進入側において、乗込室1の両側壁に分散して対向配置された一対の照光部15Aと受光部15Bを有しており、照光部15Aから受光部15Bに至る補助検知ビーム16が、停止位置検知装置9における停止位置検知ビーム10とほぼ同じ水平面上で照射されている。
【0048】
この停止位置補助検知装置15と表示装置6の関係も上述した実施例と同様であるから、同様の効果を得ることができる。
【0049】
また上述したように、タイヤ位置検知装置9の同一水平面におけるほぼ平行な停止位置検知ビーム23A~23Fは、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成している。
【0050】
このように、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端部と、正常な停止位置での駐車車両4のタイヤ4Aとの位置関係を定めたため、同進入方向における車止め8の機能を生かしながら、タイヤ位置検知装置9による駐車車両4のタイヤ4Aの位置を適正に管理することができる。
【実施例3】
【0051】
図6は、本発明のさらに他の実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
【0052】
本実施例における停止位置検知装置9は、同一水平面上で三本の停止位置検知ビーム23A,23F,23Gを照射する水平面ビーム照光部24Aと、水平面ビーム照光部24Aに対向して配置されて各停止位置検知ビーム23A,23F,23Gを受光する水平面ビーム受光部24Bで構成されている。
【0053】
図5に示した水平面ビーム照光部24Aは、同一水平面上で複数本の停止位置検知ビーム23A~23Fが全て平行光であったが、本実施例では、複数本の停止位置検知ビームのうち両サイドに位置した停止位置検知ビーム23A,23Fは同一水平面上で平行光であるのに対して、中央に位置した停止位置検知ビーム23Gは隣接した他の停止位置検知ビーム23A,23Fと干渉することがなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射されている。
【0054】
また停止位置検知装置9の同一水平面でほぼ平行な停止位置検知ビーム23A,23F,23Gは、図5に示した実施例の場合と同様に駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成している。その他の構成は、先の実施例と同一であるから、同等物に同一符号を付けて詳細な説明を省略する。
【0055】
このような構成によれば、両サイドの停止位置検知ビーム23A,23F間には一本の停止位置検知ビーム23Gが存在するだけで、全体としても三本の停止位置検知ビーム23A,23F,23Gであるから、図5に示した場合に比べてビーム数を減らすことができ、安価な停止位置検知装置9とすることができる。
【0056】
しかも、停止位置検知ビームの本数を減らしても、中央側に位置した停止位置検知ビーム23Gは同一水平面上で斜めであるから、この一本の停止位置検知ビーム23Gの位置検出範囲を効果的に拡大して、タイヤ4Aの位置検出を正確に行うことができる。
【0057】
駐車車両4の進入方向における車止め8の幅が、例えば600mm程度としても、同一水平面上で照射される複数本の停止位置検知ビームのうち両サイドに位置した停止位置検知ビーム23A,23Fは平行光であるため、停止位置検知装置9としては、平行光の幅間隔を比較的容易に変更したり、大きくしたりすることができ、タイヤ4Aの位置検出範囲を一層拡張することができる。また、車止め8を駐車車両4の進入方向に多少広くして停止範囲を拡大しても、停止範囲内タイヤ4Aの停止位置を同一水平面上で斜めに照射された一本の停止位置検知ビーム23Gを効果的に使用して正確に検出することができる。
【0058】
駐車車両4の進入方向における停止位置検知装置9の手前側には、停止位置補助検知装置15が構成されている。この停止位置補助検知装置15は、停止位置検知装置9における駐車車両4の進入側において、乗込室1の両側壁に分散して対向配置された一対の照光部15Aと受光部15Bを有しており、照光部15Aから受光部15Bに至る補助検知ビーム16が、停止位置検知装置9における停止位置検知ビーム23A,23F,23Gとほぼ同じ水平面上で照射されている。
【0059】
この停止位置補助検知装置15と表示装置6の関係も上述した実施例と同様であるから、同様の効果を得ることができる。
【0060】
尚、上述した各実施例において、車止め8に対応して構成した停止位置検出装置9は、駐車車両4のタイヤ4Aの位置を検出するものとして説明したが、これに限定するものではなく、本発明の実施に際して、停止位置検知装置9に替えて車止め8に対しする適正な位置を検出する他の構成の停止位置検出装置9を使用し、乗込室1内に侵入してくる駐車車両に4に対して停止位置検出装置9の手前に停止位置補助検知装置15を配置した構成とすると、同様の効果を得ることができる。
【0061】
また、上述した各実施例においては、乗込室1の側壁に停止位置検知装置9、フロント側はみ出し検出器11およびリヤ側はみ出し検出器12をそれぞれ設置したが、これに限らず、駐車車両4の運転手などが乗込室1内での移動に支障の無い他の位置に設置しても、同様の効果を得ることができる。
【0062】
以上説明したように本発明は、出入口2から駐車車両が進入可能な乗込室1と、乗込室1内に配置されたトレー5と、出入口2から侵入させた駐車車両4のタイヤ4Aの停止位置を規定するようにトレー5の上面側に設けた車止め8と、乗込室1内の駐車車両の乗り込み方向の前面側に設けた表示装置6を有する機械式駐車装置において、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8に位置したことを検出する停止位置検知装置9を設け、駐車車両4がトレー5へ乗り込むときの停止位置検知装置9よりも手前側で駐車車両4を検出する停止位置補助検知装置15を配置し、停止位置補助検知装置15が駐車車両を検出したとき表示装置6に間もなく停止位置である旨を表示する画面表示処理部22を設けたことを特徴とする。
【0063】
このような構成によれば、不慣れな運転手でも、画面表示処理部22による表示装置6への表示によって車止め8が近いことを知り、その後は自分が運転する駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8に入ったかどうかの感覚に気を遣いながらゆっくり前進させることができ、安全かつ確実に車止め8に停止させることができる。
【0064】
また本発明は上述の構成に加えて、停止位置補助検知装置15は、駐車車両4のタイヤ4Aを挟むような側方位置に対向して配置された照光部15Aと受光部15Bを有し、照光部15Aと受光部15B間で照射された停止位置検知ビーム16を駐車車両4におけるタイヤ4Aが遮ったことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0065】
このような構成によれば、実績があり信頼性の高いビーム式の停止位置補助検知装置15を使用して、駐車車両4のタイヤ4Aの位置を検出することができるので、車種の異なる様々な駐車車両4であってもタイヤ4Aの通過を簡単な構成で確実に、かつ正確に検出することができる。
【0066】
また本発明は上述の構成に加えて、停止位置検知装置9は、駐車車両4のタイヤ4Aを挟むような側方位置に対向して配置された照光部9A,24Aと受光部9B,24Bを有し、照光部9A,24Aと受光部9B,24B間で照射された停止位置検知ビーム10,23A~23Gをタイヤ4Aが遮ったことを検出する構成としたことを特徴とする。
【0067】
このような構成によれば、車止め8における駐車車両4のタイヤ4Aの位置を実績があり信頼性の高いビーム式の停止位置検知装置9によって検出することができるので、車種の異なる様々な駐車車両4におけるタイヤ4Aの車止め8への停止位置を簡単な構成で確実に、かつ正確に検出することができる。
【0068】
また本発明は上述の構成に加えて、停止位置検知装置9は、同一水平面上でほぼ平行な停止位置検知ビーム23A,23Fと、停止位置検知ビーム23A,23Fの中間で停止位置検知ビーム23A,23Fと干渉することがなく、かつ、同一水平面上で斜めに照射された他のタイヤ位置検知ビーム23Gとをそれぞれ照射する水平面ビーム照光部24Aと、水平面ビーム照光部24Aからの各タイヤ位置検知ビーム23A~23Gをそれぞれ受光する水平面ビーム受光部24Bとを有して構成したことを特徴とする。
【0069】
このような構成によれば、同一水平面上で複数本の停止位置検知ビーム23A~23Gを照受光する方式の停止位置検知装置9を使用しても、中間部のタイヤ位置検知ビーム23Gを斜めに照射することによって、全てのタイヤ位置検知ビームを平行にした構成の場合に比べて停止位置検知ビームの本数を少なくして、安価な停止位置検知装置9とすることができる。しかも、車止め8を駐車車両4の進入方向に停止範囲を拡大しても、停止範囲内のタイヤ4Aの停止位置を同一水平面上で斜めに照射された一本の停止位置検知ビーム23Gを効果的に使用して正確に検出することができる。
【0070】
また本発明は、上述の構成に加えて、停止位置検知装置9の同一水平面におけるほぼ平行な各タイヤ位置検知ビームは、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端よりも内側を通るようにして、駐車車両4のタイヤ4Aが車止め8の内側に停止するのを検知するように構成したことを特徴とする。
【0071】
このような構成によれば、駐車車両4の進入方向における車止め8の両端部と、正常な停止位置での駐車車両4のタイヤ4Aとの位置関係を定めたため、同進入方向における車止め8の機能を生かしながら、停止位置検知装置9による駐車車両4のタイヤ4Aを適正に管理することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 乗込室
2 出入口
3 自動扉
4 駐車車両
4A タイヤ
5 トレー
8 車止め
9 停止位置検知装置
9A 照光部
9B 受光部
10 停止位置検知ビーム
15 停止位置補助検知装置
15A 照光部
15B 受光部
23A~23G 停止位置検知ビーム
24A 水平面ビーム照光部
24B 水平面ビーム受光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6