(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】粉末供給制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G05D 16/20 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G05D16/20 A
(21)【出願番号】P 2019563264
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(86)【国際出願番号】 US2018032704
(87)【国際公開番号】W WO2018222385
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-20
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515195347
【氏名又は名称】エリコン メテコ(ユーエス)インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スポールディング、マーク フランク
(72)【発明者】
【氏名】アージョナ、ダニエル アール.
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-115690(JP,A)
【文献】特開平11-281512(JP,A)
【文献】特開平02-158522(JP,A)
【文献】特開平07-123032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末供給速度制御システムであって、
粉末を収容し、ホッパ圧力を維持するように適合されたホッパと、
キャリアガス流を送達し、オリフィスを有するキャリア導管であり、前記キャリアガス流は、粉末供給速度において前記オリフィスを通って入る粉末を搬送する、キャリア導管と、
差圧変換器であり、
前記ホッパ圧力に関連する第1の圧力入力、および
前記ホッパの下流の前記キャリアガス流に関連する第2の圧力入力
を備え、前記差圧変換器(PT)は、前記第1の圧力入力と前記第2の圧力入力の間の差圧に関連する信号を出力する、差圧変換器と、
前記差圧に関連する前記信号を受信し、制御装置と通信するように適合されている電空レギュレータ(EP)と、
を備え
、
前記電空レギュレータは前記差圧変換器に直接結合されている、粉末供給速度制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記キャリアガス流を設定または調整する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の圧力入力が高圧または高い方の圧力入力であり、前記第2の圧力入力が低圧または低い方の圧力入力である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記差圧が0~1バールである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電空レギュレータ(EP)は、2バール~10バールの供給圧力を受ける、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記キャリア導管に結合され、処理圧力において動作するスプレーデバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理圧力が0バール~8バールである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記スプレーデバイスは、粉末供給ホースを介して前記キャリア導管に結合されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記信号が信号電圧を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電空レギュレータ(EP)は、前記制御装置からコマンド信号を受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記電空レギュレータ(EP)から信号を受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記差圧が0~1バールである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムは、処理圧力の変化に関係なく、前記制御装置からの一切の入力なしでリアルタイムで前記差圧を維持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
粉末供給速度制御システムであって、
制御装置と、
粉末を収容し、ホッパ圧力を維持するように適合されたホッパと、
キャリアガス流を送達し、オリフィスを有するキャリア導管であり、前記キャリアガス流は粉末供給速度において前記オリフィスを通って入る粉末を搬送する、キャリア導管と、
差圧変換器であり、
ホッパ圧力ラインに結合された第1の圧力入力、および
処理圧力ラインに結合された第2の圧力入力、
を備え、前記差圧変換器は、ホッパ圧力と処理圧力との差圧に関連する信号を出力する、差圧変換器と、
前記制御装置からコマンド電圧信号を受信し、前記差圧に関連する前記信号を受信する電空レギュレータと、
を備え、
前記電空レギュレータは前記差圧変換器に直接結合され、
前記差圧は前記粉末供給速度に比例し、0~1バールの圧力に維持される、粉末供給速度制御システム。
【請求項15】
粉末供給速度を調整する方法であって、
粉末を収容するホッパをホッパ圧力にさらすことと、
オリフィスを有するキャリア導管を介してキャリアガス流を送達することであり、前記キャリアガス流は、粉末供給速度において前記オリフィスを通って入る粉末を搬送する、送達することと、
処理圧力において粉末をスプレーデバイスに供給することと、
差圧変換器を介して、前記ホッパ圧力と前記処理圧力との間の差圧を測定することと、
電空レギュレータに、前記差圧に関連する信号を出力すること
であって、ここで前記電空レギュレータは前記差圧変換器に直接結合されている、出力することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記電空レギュレータは制御装置と通信し、前記差圧に関連する前記信号を受信する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は
、制御装置によって前記キャリアガス流を調整することをさらに含み、前記キャリアガス流は2~15リットル/分である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電空レギュレータは、2バール~10バールの供給圧力を受ける、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記スプレーデバイスは、
0バール~8バールの処理圧力にさらされるか、および
粉末供給ホースを介して前記キャリア導管に結合されるか、
の少なくとも一方である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記信号は信号電圧を含み、前記差圧は0~1バールである、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月31日に出願された米国非仮特許出願第15/609,991号の利益を主張するPCT国際出願であり、当該出願の開示はその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、特に、制御装置と通信し、差圧関連する信号を受信するように適合された差圧変換器(PTまたはDPT)および電空レギュレータ(EPまたはEPR)を利用する粉末供給速度制御システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
粉末供給速度制御システムが既知である。例えば、参照によりその開示全体が本明細書に組み込まれる、SPAULDINGに対する米国特許第4,900,199号明細書、SPAULDINGに対する米国特許第4,561,808号明細書、FLAMENTに対する米国特許第4,669,921号明細書、およびGIANELLAに対する米国特許第4,863,316号明細書は、ホッパ圧力にさらされるホッパ、および、粉末を、ホースを介して、処理圧力において動作するスプレーデバイスに搬送する、1つまたは複数の入口オリフィスを備えたキャリア導管を利用するものとして、そのようなシステムを記載している。
【0004】
例えば、米国特許第4,900,199号明細書のシステムは、差圧レギュレータ(DPR)または計算リレーレギュレータ(CRR)として機能するデバイス(US‘199の
図1のR2を参照)を利用する。
【0005】
図1に示すような現行のシステムは、CRRを使用して、キャリア導管のオリフィスにわたる圧力降下を制御および維持する。CRRは差圧レギュレータとして機能するため、
図1ではそのようにラベル付けされている。ただし、CRRは、ノブを使用して圧力を設定し、ホッパ圧力Pをホッパに出力する機械式または手動の調整デバイスである。CRRは、通常10バールの供給圧力を受ける。CRRからホッパへの圧力P(CRRからの右下の売れた線)の出力(ホッパ圧力)は、キャリア導管の出力側(すなわち、スプレーデバイスによって使用されるキャリアホース圧力または処理圧力)に関連付けられた圧力A(ホッパからCRRへの入力)と、EPレギュレータからCRRへの直接入力である圧力B(
図1のCRRの左側中央への線として示されている)との加算に基づく。CRRには、CRRがゼロに調整、設定または較正される(通常、製造施設において行われる)ことを可能にする手動調節ネジもある。この工場設定の値はKである。したがって、ホッパ圧力Pは式P=A+B+/-Kによって決定される。このようなシステムでは、処理圧力は通常0~8バールであり、ホッパ圧力は通常、処理圧力よりも0~1バール高い。例示的なの現行の9MP粉末供給システムの詳細は、https://www.oerlikon.com/metco/en/products-services/coating-equipment/thermal-spray/feeders/feeders-hvof/hvof-9mp/に見ることができ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0006】
現行のシステムの動作では、制御装置はコマンド電圧をEPレギュレータに送信し、EPレギュレータは、圧力BをCRRに出力する。CRRは圧力Bを入力として受け取り、上記の式に基づいて圧力Pを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4900199号明細書
【文献】米国特許第4561808号明細書
【文献】米国特許第4669921号明細書
【文献】米国特許第4863316号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、とりわけ、CRRを排除し、したがってより少ない構成要素を利用し、感度がより高く、より正確で、再較正を必要とする傾向がより少ない、単純化された制御スキームを提供する。
【0009】
本発明の実施形態はまた、適切な量の粉末が粉末スプレーガンなどの噴霧デバイスに送達されるように、粉末供給速度を制御する能力も改善する。
【0010】
本発明の実施形態はまた、EPレギュレータと粉末供給装置との間に配置された機械式計算リレーレギュレータ(CRR)を利用する信頼性の低い機械システムを、差圧変換器(PTまたはDPT)とともにEPレギュレータを利用して粉末供給速度を制御する、より信頼性が高く、機械への依存が少ないシステムに置き換える。
【0011】
本発明の実施形態は、EPレギュレータ(およびその比例積分微分(PID)ループ)に直接結合される外部DP変換器を使用し、その構成要素、すなわちDP変換器およびEPレギュレータは、処理背圧に関係なく処理差圧を精密に維持する。これは、機械的にガス圧力信号を加算する、CRRまたはDPRを使用するよりも有利である。利点は、製品性能の向上およびコスト削減を含む。
【0012】
本発明の実施形態は、処理圧力の変化に関係なく、制御システムからの一切の入力なしでリアルタイムに差圧を維持する能力も含む。
【0013】
実施形態では、本発明は、粉末を収容し、ホッパ圧力を維持するように適合されたホッパを備える粉末供給速度制御システムである。キャリア導管は、キャリアガス流を送達し、オリフィスを有し、上記キャリアガス流は、粉末供給速度においてオリフィスを通って入る粉末を搬送する。差圧変換器は、ホッパ圧力に関連する第1の圧力入力または高圧/高い方の圧力入力と、ホッパの下流のキャリアガス流に関連する第2の圧力入力または低圧/低い方の圧力入力とを含む。差圧変換器(DPT)は、第1の圧力入力と第2の圧力入力の間の差圧に関連する信号を出力する。電空レギュレータは、制御装置と通信し、差圧に関連する信号を受信するように適合されている。
【0014】
実施形態では、制御装置はキャリアガス流を調整する。
【0015】
実施形態では、制御装置は、キャリアガス流量を決定または設定する。
【0016】
実施形態では、差圧は0~1バールである。
【0017】
実施形態では、電空レギュレータは、2バール~10バールの供給圧力を受ける。
【0018】
実施形態では、システムは、キャリア導管に結合され、処理圧力において動作するスプレーデバイスをさらに備える。
【0019】
実施形態において、処理圧力は0バール~8バールである。
【0020】
実施形態において、スプレーデバイスは、粉末供給ホースを介してキャリア導管に結合される。
【0021】
実施形態では、信号は信号電圧を含む。
【0022】
実施形態では、電空レギュレータは、制御装置からコマンド信号を受信する。
【0023】
実施形態では、制御装置は、電空レギュレータから信号を受信する。
【0024】
実施形態では、差圧は0~1バールである。
【0025】
実施形態では、システムは、処理圧力の変化に関係なく、制御装置からの一切の入力なしでリアルタイムで差圧を維持するように構成される。
【0026】
実施形態において、本発明は、粉末供給速度制御システムであって、制御装置と、粉末を収容し、ホッパ圧力を維持するように適合されたホッパと、キャリアガス流を送達し、オリフィスを有するキャリア導管であり、上記キャリアガス流は粉末供給速度においてオリフィスを通って入る粉末を搬送する、キャリア導管と、ホッパ圧力ラインに結合された第1の圧力入力および処理圧力ラインに結合された第2の圧力入力を備える差圧変換器とを備える、粉末供給速度制御システムである。差圧変換器は、ホッパ圧力と処理圧力との差圧に関連する信号を出力する。電空レギュレータは、制御装置からコマンド電圧信号を受信し、差圧に関連する信号を受信する。差圧は粉末供給速度に比例し、0~1バールの圧力に維持される。
【0027】
実施形態において、本発明は、粉末供給速度を調整する方法であって、方法は、粉末を収容するホッパをホッパ圧力にさらすことと、オリフィスを有するキャリア導管を介してキャリアガス流を送達することであり、上記キャリアガス流は、粉末供給速度においてオリフィスを通って入る粉末を搬送する、送達することと、処理圧力において粉末をスプレーデバイスに供給することと、差圧変換器を介して、ホッパ圧力と処理圧力との間の差圧を測定することと、電空レギュレータに、差圧に関連する信号を出力することとを含む、方法である。
【0028】
実施形態では、電空レギュレータは制御装置と通信し、差圧に関連する信号を受信する。
【0029】
実施形態では、この方法は、制御装置によってキャリアガス流を調整することをさらに含み、キャリアガス流は2~15l/m(リットル/分)である。
【0030】
実施形態では、電空レギュレータは、2バール~10バールの供給圧力を受ける。
【0031】
実施形態において、スプレーデバイスは、0バール~8バールの処理圧力にさらされるか、および、粉末供給ホースを介してキャリア導管に結合されるかの少なくとも一方である。
【0032】
実施形態において、信号は信号電圧を含み、差圧は0~1バールである。
【0033】
本発明は、本発明の例示的な実施形態の非限定的な例として言及されている複数の図面を参照して、以下の詳細な説明でさらに説明される。図面において、同様の参照符号は、図面のいくつかのビュー全体を通じて同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】先行技術による粉末供給制御システムの空気圧回路を示す概略図である。
【
図2】本発明による粉末供給制御システムの空気圧回路を示す概略図である。
【
図3】本発明による電空レギュラーを示す、
図2の回路の部分拡大図である。
【
図4】本発明による差圧変換器を示す、
図2の回路の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下の説明において、本開示の様々な実施形態が、添付の図面に関連して説明される。必要に応じて、本開示の実施形態の詳細な実施形態が本明細書で議論されるが、開示されている実施形態は、様々な代替の形態で具現化され得る本開示の実施形態の単なる例示であることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、一部の特徴は特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書において開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に本開示を様々に利用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0036】
本明細書において示されている詳細は単なる例示であり、本開示の実施形態の例示的な説明のみを目的とし、本開示の原理および概念的態様の最も有用で容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示される。この点に関して、本開示の基本的な理解のために必要とされるよりも詳細に本開示の構造的詳細を示すことは試みられておらず、結果、図面とともに取り上げられる説明は、本開示のいくつかの形態を実際に具現化することができる方法を、当業者に明らかにする。
【0037】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a、an)」および「この(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形への言及も含むことが意図される。例えば、「1つのスプレーデバイス(a spray device)」への言及は、具体的に除外されない限り、複数または複数のスプレーデバイスの使用を除外するものではない。例えば、本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」は、1つおよび2つ以上を示し、必ずしもその指示名詞を単数形に限定するものではない。
【0038】
別途明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用されている量を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されたい。例えば、1~5の範囲は、約1~約5の範囲を包含するか、またはそれに等しいことを意図している。したがって、特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲内に記載されている数値パラメータは、本開示の実施形態によって得ようとする所望の特性に応じて変化してもよい近似である。少なくとも、また特許請求項の範囲への均等物の原則の適用を制限しようとするものとして考えられるべきではない、各数値パラメータは、有効桁の数に照らして、また通常の丸めの慣習を適用することによって解釈されるべきである。
【0039】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、問題の量または値が、指定された特定の値またはその近傍の何らかの他の値であり得ることを示す。一般に、特定の値を示す「約」および「およそ」という用語は、値の±5%以内の範囲を示すことを意図している。一例として、句「約100」は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。一般に、「約」および「およそ」という用語が使用されるとき、本開示による同様の結果または効果が、示された値の±5%の範囲内で得られ得ることが期待され得る。
【0040】
さらに、本明細書内の数値範囲の列挙は、その範囲内のすべての数値および範囲の開示であると考えられる(特に別途明記しない限り)。例えば、範囲が約1~約50である場合、これは、例えば1、7、34、46.1、23.7、またはその範囲内の任意の他の値または範囲を含むと考えられる。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、上記グループの要素のすべてまたは1つのみが存在し得ることを示す。例えば、「Aおよび/またはB」は、「Aのみ、またはBのみ、またはAとBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語はまた、Bが存在しないという可能性、すなわち「Aのみが存在し、Bは存在しない」ことを包含する。
【0042】
「実質的に平行」などの用語は、平行な整列から20°未満の逸脱を指し得、「実質的に垂直」という用語は、垂直な整列から20°未満の逸脱を指す。「平行」という用語は、数学的に正確な平行整列から5°未満の逸脱を指す。同様に、「垂直」は、数学的に正確な垂直整列から5°未満の逸脱を指す。
【0043】
「少なくとも部分的に」という用語は、後続する特性がある程度または完全に満たされることを示すことを意図している。
【0044】
「実質的に」および「本質的に」という用語は、後続する特徴、特性、またはパラメータが、完全に(全体的に)、または意図した結果に悪影響を及ぼさない程度まで実現されまたは満たされることを示すために使用される。
【0045】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、非排他的で無制限であることを意図している。したがって、例えば、化合物Aを含む組成物は、A以外の他の化合物を含んでもよい。しかし、「含む」という用語は、「本質的に~から成る(consisting essentially of)」および「~から成る」という、より限定的な意味もカバーし、結果、例えば「化合物Aを含む組成物」はまた、(本質的に)化合物Aから成る場合もある。
【0046】
本明細書に開示されている様々な実施形態は、特に反対のことが述べられていない限り、別個に、かつ様々な組み合わせにおいて使用することができる。
【0047】
図2を参照すると、本発明の粉末供給制御システム10が
図1のCRRを排除し、代わりに電空(EP)レギュレータ40および差圧変換器(DPTまたはPT)50を利用する方法が分かる。したがって、DPT50はEP40に直接結合される。EP 40は、電気的に制御される圧力レギュレータである。DPT50は、2つの入力ポートP3とP4との間のガス圧の差に比例した電気信号を出力する。このシステムは、処理圧力の変化に関係なく、制御装置からの一切の入力なしでリアルタイムに差圧を維持することによって、粉末供給速度のより良好な調整を可能にする。これにより、最適な粉末供給装置性能のために不可欠な、粉末供給装置計量デバイスにわたる正確な差圧制御がもたらされる。その目的は、大幅に変化する可能性のある下流システムの処理圧力の変動に関係なく、一定の差圧を維持することである。回路は、0~8バールの処理動作範囲内で2.5mバール未満に差圧を解決および維持することができなければならない。
【0048】
図2のシステムは、制御装置またはプロセス制御装置70を利用する。プロセス制御装置70の主な機能は、(ホッパ圧力モードにおいて)処理圧力を調整すること、および粉末流の重量の損失を調整すること(重量測定)である。プロセス制御装置70は、通信CIで示されるように信号を供給することによりEPレギュレータ40と通信する。通信CIは、制御装置70との双方向である。
【0049】
EP供給レギュレータ80は、EPレギュレータ40に空気圧的に接続されている。質量流量コントローラ(MFC)90が、キャリアガスの流量を調整し、下流の変動に関係なく精密なキャリアガスの流量を維持するために利用される。EP供給レギュレータ80は、10~12バールにおいてガスを受け取るガス圧力レギュレータであり、2バールの出力を有するように工場設定されている。EP供給レギュレータ80上のパイロットポートは、処理圧力を通信する。レギュレータ出力は、工場設定とパイロット圧力との合計である。このデバイスは、処理圧力に関係なく、電空レギュレータすなわちEPレギュレータ40に2バールの供給を提供する役割を果たす。
【0050】
図2にも示されているように、キャリアソレノイドがEP供給レギュレータ80の上流に配置されている。キャリアソレノイドは、粉末供給装置が使用されていないときにガス供給を遮断するために使用される、常閉2方向ソレノイドバルブである。キャリアソレノイドに供給されるガス圧は、通常10~12バールの不活性ガス、通常は窒素またはアルゴンガスである。このソレノイドバルブは、粉末供給装置に電気が供給されているときは開いたままであり、他の構成要素にガスを供給する。
【0051】
同じく
図2に示されるように、メインエアーソレノイドが、バイブレータ圧力レギュレータの上流に配置される。メインエアーソレノイドは、粉末供給装置が使用されていないときにエアー(空気)供給を遮断するために使用される、常閉2方向ソレノイドバルブである。メインエアーソレノイドに供給される空気圧は、通常5~7バールである。この2方向バルブは、粉末供給装置に電気が供給されているときは開いたままであり、バイブレータ圧力レギュレータにガスを供給する。
【0052】
図2および
図3に示すように、EPレギュレータ40は、通信入力CI、ならびにキャリア圧力レギュレータへの空気圧接続P1、およびまたホッパ20への空気圧接続P2を利用する。次いで、EPレギュレータ40は、リンクCTを介してDPT50と電気的に通信する。この通信CTは、
図2に示すように一方向である。
【0053】
図2に戻って参照すると、P1の上流の圧力レギュレータは、スプレーデバイスの背圧に関係なくEPレギュレータ40にわたって2バール(約30psi)の一定圧力を維持する役割を果たすことができ、すべての背圧を通じてEPレギュレータ40の最適化に役立つことに留意されたい。さらに、MFC供給レギュレータ95が、スプレーガンの背圧に関係なく、MFC 90にわたって一定の2バール(約30psi)を維持する役割を果たすことができ、すべての背圧を通じてMFC 90の性能を最適化するのに役立つ。
【0054】
MFC供給レギュレータ95は、通常10~12バールにおいてガスを受け取るガス圧力レギュレータであり、2バールの出力を有するように工場設定されている。レギュレータ95上のパイロットポートは、処理圧力を伝達する。レギュレータ出力は、工場設定とパイロット圧力との合計である。このデバイスは、処理圧力に関係なく、キャリアガス質量流量コントローラ(MFC)90に2バールの供給を提供する。キャリアガス質量流量コントローラ(MFC)90は、粉末Pをホッパ20からスプレーデバイス60に搬送するのに役立つ電気制御式ガス流量計である。この流量は通常一定値であり、一定値は通常毎分5~15リットルに選択または設定される。
【0055】
図2はまた、粉末供給ソレノイドが、キャリアソレノイドおよびEP供給レギュレータ80を接続するラインに、および、粉末バルブにも結合されていることを示している。このソレノイドは、粉末バルブの開閉に使用される常閉3方向ソレノイドバルブである。バイブレータ圧力レギュレータが、メインエアーソレノイドに結合されており、これは、ホッパ20のエアーバイブレータに空気圧を供給するために使用される電気制御式圧力レギュレータである。エアーバイブレータとバイブレータ圧力レギュレータの両方が、流れにくい粉末を流すのを助けるために使用される。
【0056】
図2および
図4に示すように、PT50は、通信リンクCT、ならびに、ホッパ圧力からの入力であるホッパ20への第1の圧力または高圧の空気圧接続P3、および、処理圧力からの入力であるキャリア導管30の下流部分への第2の圧力または低圧の空気圧接続P4を利用する。次いで、PT50は、入力P3とP4との間の差圧の変化に基づいてリンクCTを介してEPレギュレータ40と電気的に通信する。
【0057】
動作中、ホッパ20は粉末材料で満たされ、次いでホッパ圧力によってシールおよび加圧され、噴霧中、粉末は
図5に示されるようにオリフィス33に入る。スプレーデバイス60による粉末の噴霧中、EPレギュレータ40はCIを介して制御装置70からコマンド電圧を受け取る。P1を介してEPレギュレータ40に供給される圧力は、2~10バールの範囲であり得、常に処理圧力よりも2バール高い。EPレギュレータ40は、ゼロ処理圧力において2バールに工場設定され得る。処理圧力は、0~約8バールの範囲である。ただし、ラインP2のホッパ圧力とラインP4の処理圧力との間に圧力差が生じる。PT50は、0~1バールの範囲にわたって作動し、差圧を検出し、リンクCTを介して、ラインP2の圧力を変更または調節するEPレギュレータ40と通信する。これはリアルタイムで継続的に行われ、結果、処理圧力の変化に関係なく、制御装置からの一切の入力なしでリアルタイムで差圧が維持される。
【0058】
EP40とPTまたはDPT50が協働して差圧を調整する例示的な方法は以下の通りである。オペレータが制御装置70に0~1バール、例えば0.5バール(この例において)の所望の差圧を入力すると、これは電圧信号としてEP40に通信される。次に、EP40は、ラインP2の圧力を直接調整して、所望の差圧を維持しようとする。ただし、そのためには、DPT 50によって測定された実際の差圧をEP 40に通知する必要がある。P2の圧力はP3の圧力と同じであるが、ラインP4の圧力はスプレーデバイス60の動作中に変化する可能性がある(ラインP4の圧力はスプレーデバイスの処理背圧によってのみ統制される)。DPT 50によって決定される実際の差圧は、P3の圧力からP4の圧力を減算することによって計算される。DPT50は、実際に測定された差圧に関連する電圧信号をEP40に出力する。例えば、P3の圧力が0.9バールであり、P4の圧力が0.4バールの場合、EP 40はDPT 50から0.5バールの差圧を示す信号を受信する。これは制御装置70への所望の差圧入力に対応するため、EPはラインP2の圧力の変化を一切引き起こさない。しかし、P4の圧力が0.3バールに降下し、結果、差圧が例えば0.6バールに増加する場合、DPT 50はそれを示す信号をEP 40に出力する。次いで、EP 40は、0.5バールの所望の差圧を維持するために、P2の圧力を変化させる。これは、P2の差圧を、差圧を0.5バールに維持する0.8バール(0.8バール-0.3バール=0.5バール)に下げる内部バルブを調整する(部分的に閉じる)ことによって行われる。一方、P4の圧力が0.5バールに増大し、結果、差圧が例えば0.4バールに低減する場合、DPT 50はそれを示す信号をEP 40に出力する。次いで、EP 40は、0.5バールの所望の差圧を維持するために、P2の圧力を変化させる。これは、ラインP2の差圧を、差圧を0.5バールに維持する1バール(1バール-0.5バール=0.5バール)に増大させる内部バルブを調整する(部分的に開く)ことによって行われる。
【0059】
ホッパ20は、従来技術のものと類似または同じである。通常、ホッパはガスによってシールされ、加圧される。ガスの唯一の出口は、吸気オリフィス33を介したキャリア導管またはピックアップシャフトを通じたものである(
図5を参照)。ガス流はオリフィス33において収束し、速度が増加する。このようにして、ホッパ20内の粉末粒子は浮遊状態になり、ピックアップシャフトまたはキャリア導管30に搬送される。
【0060】
差圧変換器PT 50の非限定的な例は、製品情報がhttp://www.nxp.com/assets/documents/data/en/data-sheets/MPX5100.pdfとしてインターネットで入手可能な、Freescale Semiconductor,Inc.のモデルMPX5100DPを含む。このハイパーリンク文書/ウェブページの開示全体は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0061】
従来、差圧変換器は、2つの圧力源間の差圧を測定するために使用されている。この差圧は通常、ある圧力源の圧力から別の圧力源の圧力を減算したものとして定義される。各圧力源の圧力は、ライン圧力と呼ばれることもある。いくつかの従来の差圧変換器は、各々がフォースコレクタとして機能する2つの別個のピストンの間に配置された検知要素を含む。各ピストンは、変換器がさらされる2つのボリュームのうちの1つにおける圧力に応じて独立して変位する。検知要素は、変位の差を電気信号に変換することにより、2つのピストンの組み合わされた変位を示す電気出力を提供する。したがって、この電気出力は、2つのボリューム間の差圧を示している。2つの対向するピストン間に実際の検出要素を配置する必要があるため、これらの変換器の構造は複雑であり、結果としてできる変換器は高価である。
【0062】
圧力変換器は通常、変換器が差圧を示す電気出力を提供する動作範囲を有する。差圧が動作範囲の限界に近づくと、動作範囲の限界を超えて差圧がさらに増加しても、変換器の電気出力にそれ以上の変化は生じない。したがって、例えば、高い差圧に応答した要素の過剰な動きの結果としての変換器内の検知要素および他の要素への損傷を防ぐために、機械的保護が従来から提供されている。過負荷保護と呼ばれるこの保護は、2つのフォースコレクタの各々に提供され、通常は複雑で費用がかかる。
【0063】
差圧変換器は好ましくは、差圧がゼロのときにゼロ出力を提供するべきである。この状態は、ラインバランスの維持と呼ばれる。従来、ラインバランスは、精密な部品を使用して変換器を調節することで達成されているが、これには費用および時間がかかる。
【0064】
電空レギュレータEP 40の非限定的な例は、比例空気モデルPA1001S1などを含み、これらの情報は製造者から入手可能である。入手可能な製品情報の開示全体は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。電空レギュレータEP 40は最大10バールのガスを供給することができ、粉末供給装置制御コンピュータまたは制御装置70からの電圧コマンドを介して0~1バールの圧力を出力することができる。コマンド電圧はコンピュータによって決定されるが、EP 40は外部に取り付けられた差圧変換器PT 50に基づいて圧力ループを閉じる。したがって、EP 40圧力出力は、処理背圧の変動に適応することができる。本質的に、EP 40の圧力出力は、大気圧ではなく処理背圧に関連している。これは、センスラインを介して従来のEPレギュレータからの圧力を処理圧力に加え、また、事前設定されたゼロバイアスも加えて同じ機能を実行する計算リレーレギュレータCRRを使用する現行の手法よりも優れている。
【0065】
さらに、少なくとも本発明は、例えば単純にまたは効率的にするために、特定の例示的な実施形態の開示により、本発明を作成および使用することを可能にするように、本明細書に開示されているため、本発明は、本明細書で具体的に開示されていない任意の追加要素または追加構造の不在下で実施することができる。
【0066】
前述の例は、単に説明の目的で提供されたものであり、決して本発明を限定するものとして解釈されるものではないことに留意されたい。例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本明細書で使用された文言は、限定の文言ではなく、説明および例示の文言であることが理解される。添付の特許請求項の範囲内で、現在述べられており、修正されているように、その態様における本発明の範囲および精神から逸脱することなく、変更を行うことができる。本発明は、特定の手段、材料、および実施形態を参照して本明細書に記載されたが、本発明は、本明細書に開示された詳細に限定されることを意図しない。むしろ、本発明は、添付の特許請求項の範囲内にあるような、機能的に等価なすべての構造、方法、および用途にまで及ぶ。
【符号の説明】
【0067】
10 粉末供給速度制御システム
20 ホッパ
21 ホッパ圧力ライン
30 キャリア導管
31 処理圧力側
32 キャリアガス流側
33 吸気オリフィス
40 電空レギュレータ(EP)
P1 圧力レギュレータからの入力
P2 ホッパ圧力からの入力
CT 通信リンク
50 差圧変換器(PT)
P3 ホッパ圧力からの入力
P4 処理圧力からの入力
60 スプレーデバイス
70 制御装置
80 EP供給レギュレータ
90 質量流量制御装置(MFC)
95 MFC供給レギュレータ
P 粉末