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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20221213BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20221213BHJP
   H01M 8/2404 20160101ALI20221213BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20221213BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/0247
H01M8/2404
H01M8/10 101
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020035494
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021140887
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 優
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-216700(JP,A)
【文献】特開2010-257889(JP,A)
【文献】特開2015-57766(JP,A)
【文献】特開2016-72238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/04
H01M 8/24
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体とセパレータ部材とを複数個ずつ備え、前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータ部材とが交互に積層された燃料電池スタックであって、
各前記セパレータ部材は、
前記電解質膜・電極構造体に積層されたセパレータ本体と、
前記セパレータ本体の外周部から外方に突出したセル電圧端子と、を有し、
各前記セル電圧端子は、
板状の端子部と、
前記端子部から前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータ部材との積層方向の一方側に突出した第1凸部と、
前記端子部から前記積層方向の他方側に突出した第2凸部と、を含み、
前記セル電圧端子の少なくともいくつかは、前記積層方向に一列に並び、
前記積層方向に互いに対向する前記セル電圧端子において、一方の前記セル電圧端子の前記第1凸部と他方の前記セル電圧端子の前記第2凸部とは、電気絶縁性を有する絶縁部材を介して互いに対向し且つ当接している、燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池スタックであって、
前記燃料電池スタックは、前記電解質膜・電極構造体を挟持する前記セパレータ部材としての第1セパレータ部材と第2セパレータ部材とを複数個ずつ備え、
各前記第1セパレータ部材は、前記セル電圧端子としての第1セル電圧端子を有し、
各前記第2セパレータ部材は、前記セル電圧端子としての第2セル電圧端子を有し、
複数の前記第1セル電圧端子と複数の前記第2セル電圧端子とは、前記セル電圧端子の前記セパレータ本体に対する突出方向と前記積層方向とに直交する方向である前記セル電圧端子の幅方向に互いにずれて位置し、
複数の前記第1セル電圧端子は、前記積層方向に一列に並び、
前記積層方向に互いに対向する前記第1セル電圧端子において、一方の前記第1セル電圧端子の前記第1凸部と他方の前記第1セル電圧端子の前記第2凸部とは、前記絶縁部材を介して互いに対向し且つ当接し、
複数の前記第2セル電圧端子は、前記積層方向に一列に並び、
前記積層方向に互いに対向する前記第2セル電圧端子において、一方の前記第2セル電圧端子の前記第1凸部と他方の前記第2セル電圧端子の前記第2凸部とは、前記絶縁部材を介して互いに対向し且つ当接する、燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池スタックであって、
複数の前記第1セル電圧端子と複数の前記第2セル電圧端子とは、前記積層方向から見て、互いに重なる重なり部を有し、
各前記第1セル電圧端子の前記重なり部と各前記第2セル電圧端子の前記重なり部との間には、電気絶縁性を有する端子絶縁部が設けられている、燃料電池スタック。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池スタックであって、
前記電解質膜・電極構造体の外周部には、当該電解質膜・電極構造体を周回する樹脂枠部が設けられ、
前記端子絶縁部は、前記樹脂枠部の外周部から外方に向かって突出している、燃料電池スタック。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池スタックであって、
前記第1凸部及び前記第2凸部のそれぞれは、前記セル電圧端子の前記セパレータ本体に対する突出方向と前記積層方向とに直交する方向である前記セル電圧端子の幅方向に互いに離間するように前記端子部に複数設けられている、燃料電池スタック。
【請求項6】
請求項5記載の燃料電池スタックであって、
複数の前記第1凸部は、前記端子部の一方の面の前記幅方向の両端部に位置し、
複数の前記第2凸部は、前記端子部の他方の面の前記幅方向の両端部に位置している、燃料電池スタック。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の燃料電池スタックであって、
前記第1凸部及び前記第2凸部のそれぞれは、前記セル電圧端子の突出方向に沿って延在している、燃料電池スタック。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の燃料電池スタックであって、
各前記セル電圧端子は、
前記端子部から前記積層方向の一方側に突出した第1リブと、
前記端子部から前記積層方向の他方側に突出した第2リブと、を有している、燃料電池スタック。
【請求項9】
請求項8記載の燃料電池スタックであって、
前記第1凸部の突出長は、前記第1リブの突出長よりも長く、
前記第2凸部の突出長は、前記第2リブの突出長よりも長い、燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体(MEA)とセパレータ部材とが交互に積層されて形成される。各セパレータ部材は、発電時のセル電圧を検出するためのセル電圧端子を備える。例えば、特許文献1には、セパレータ部材を形成するセパレータ本体の外周部から外方に突出したセル電圧端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-216700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、MEAとセパレータ部材との積層方向において、複数のセル電圧端子が互いに離間している。すなわち、セル電圧端子は、セパレータ本体にのみ支持されている。この場合、セパレータ本体の板厚が薄いため、複数のセル電圧端子は、積層方向に倒れ易くなる。
【0005】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、セル電圧端子の積層方向の倒れを抑えることができる燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電解質膜の両側に電極が配設されてなる電解質膜・電極構造体とセパレータ部材とを複数個ずつ備え、前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータ部材とが交互に積層された燃料電池スタックであって、各前記セパレータ部材は、前記電解質膜・電極構造体に積層されたセパレータ本体と、前記セパレータ本体の外周部から外方に突出したセル電圧端子と、を有し、各前記セル電圧端子は、板状の端子部と、前記端子部から前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータ部材との積層方向の一方側に突出した第1凸部と、前記端子部から前記積層方向の他方側に突出した第2凸部と、を含み、前記セル電圧端子の少なくともいくつかは、前記積層方向に一列に並び、前記積層方向に互いに対向する前記セル電圧端子において、一方の前記セル電圧端子の前記第1凸部と他方の前記セル電圧端子の前記第2凸部とは、電気絶縁性を有する絶縁部材を介して互いに対向し且つ当接している、燃料電池スタックである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、積層方向に互いに対向するセル電圧端子において、一方のセル電圧端子の第1凸部と他方のセル電圧端子の第2凸部とが絶縁部材を介して互いに対向し且つ当接している。これにより、積層方向に互いに対向するセル電圧端子によって、セル電圧端子を積層方向に支持することができる。よって、セル電圧端子の積層方向の倒れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る燃料電池スタックの一部分解斜視図である。
図2図1の発電セルを説明するための分解斜視図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4】セル電圧端子の斜視図である。
図5図4のセル電圧端子を矢印B1方向から見た平面図である。
図6図4のVI-VI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る燃料電池スタックについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の発電セル12が積層された積層体14を備える。燃料電池スタック10は、例えば、燃料電池自動車に搭載される。ただし、燃料電池スタック10は、定置型としても用いることができる。
【0011】
積層体14の積層方向(矢印A方向)の両端には、図示しないエンドプレートが配設されている。積層体14には、これらエンドプレートを図示しない連結部材によって互いに連結することによって、積層方向の締付荷重(圧縮荷重)が付与される。
【0012】
図2において、発電セル12は、樹脂枠付き電解質膜・電極構造体(以下、「樹脂枠付きMEA16」という。)と、樹脂枠付きMEA16を挟持する第1セパレータ18及び第2セパレータ20とを有する。
【0013】
発電セル12の長辺方向である矢印B方向の一端縁部(矢印B2方向の縁部)には、酸化剤ガス入口連通孔22a、冷却媒体入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔26bが、発電セル12の短辺方向である矢印C方向に配列して設けられる。各発電セル12の酸化剤ガス入口連通孔22aは、複数の発電セル12の積層方向(矢印A方向)に互いに連通し、酸化剤ガス(例えば、酸素含有ガス)を供給する。各発電セル12の冷却媒体入口連通孔24aは、矢印A方向に互いに連通し、冷却媒体(例えば、純水、エチレングリコール、オイル等)を供給する。各発電セル12の燃料ガス出口連通孔26bは、矢印A方向に互いに連通し、燃料ガス(例えば、水素含有ガス)を排出する。
【0014】
発電セル12の矢印B方向の他端縁部(矢印B1方向の縁部)には、燃料ガス入口連通孔26a、冷却媒体出口連通孔24b及び酸化剤ガス出口連通孔22bが、矢印C方向に配列して設けられる。各発電セル12の燃料ガス入口連通孔26aは、矢印A方向に互いに連通し、燃料ガスを供給する。各発電セル12の冷却媒体出口連通孔24bは、矢印A方向に互いに連通し、冷却媒体を排出する。各発電セル12の酸化剤ガス出口連通孔22bは、矢印A方向に互いに連通し、酸化剤ガスを排出する。
【0015】
酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bと燃料ガス入口連通孔26a及び燃料ガス出口連通孔26bと冷却媒体入口連通孔24a及び冷却媒体出口連通孔24bのそれぞれの大きさ、位置、形状及び数は、本実施形態(図2の例)に限定されるものではなく、要求される仕様に応じて、適宜設定すればよい。
【0016】
図2及び図3に示すように、樹脂枠付きMEA16は、電解質膜・電極構造体(以下、「MEA28」という)と、MEA28の外周部に重なり部を設けて接合されるとともに該外周部を周回する樹脂枠部材30(樹脂枠部、樹脂フィルム)とを備える。図3において、MEA28は、電解質膜32と、電解質膜32の一方の面32aに設けられたカソード電極34と、電解質膜32の他方の面32bに設けられたアノード電極36とを有する。
【0017】
電解質膜32は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜32は、フッ素系電解質の他、HC(炭化水素)系電解質を使用することができる。電解質膜32は、カソード電極34及びアノード電極36に挟持される。
【0018】
詳細は図示しないが、カソード電極34は、電解質膜32の一方の面32aに接合される第1電極触媒層と、当該第1電極触媒層に積層される第1ガス拡散層とを有する。第1電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、第1ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。
【0019】
アノード電極36は、電解質膜32の他方の面32bに接合される第2電極触媒層と、当該第2電極触媒層に積層される第2ガス拡散層とを有する。第2電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が、第2ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。第1ガス拡散層及び第2ガス拡散層のそれぞれは、カーボンペーパ、カーボンクロス等からなる。
【0020】
電解質膜32の平面寸法は、カソード電極34及びアノード電極36のそれぞれの平面寸法よりも小さい。カソード電極34の外周縁部とアノード電極36の外周縁部とは、樹脂枠部材30の内周縁部を挟持している。樹脂枠部材30は、反応ガス(酸化剤ガス及び燃料ガス)が不透過に構成されている。樹脂枠部材30は、MEA28の外周側に設けられている。
【0021】
樹脂枠付きMEA16は、樹脂枠部材30を用いることなく、電解質膜32を外方に突出させるように形成してもよい。また、樹脂枠付きMEA16は、外方に突出した電解質膜32の両側に枠形状のフィルムを設けるように形成してもよい。
【0022】
図2及び図3において、第1セパレータ18及び第2セパレータ20のそれぞれは、金属製であって、長方形状(四角形状)に形成されている。第1セパレータ18及び第2セパレータ20のそれぞれは、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板、或いはその金属表面に防食用の表面処理を施した金属薄板の断面を波形にプレス成形して構成される。当該金属薄板の厚さは、0.05mm~0.20mm程度である。
【0023】
第1セパレータ18と第2セパレータ20とは、互いに重ねた状態で外周を溶接、ろう付け、かしめ等により一体に接合され、セパレータ本体38(接合セパレータ)を構成する。セパレータ本体38は、後述するセパレータ部材72を形成する。
【0024】
第1セパレータ18のMEA28に向かう面18aには、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとに連通する酸化剤ガス流路40が設けられる。酸化剤ガス流路40は、矢印B方向に直線状に延在する複数の酸化剤ガス流路溝42を有する。各酸化剤ガス流路溝42は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
【0025】
第1セパレータ18には、樹脂枠付きMEA16と第1セパレータ18との間から外部への流体(酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体)の漏出を防止する第1シール部44が設けられている。図2において、第1シール部44は、第1セパレータ18の外周部を周回する第1外周シール部46と、各連通孔(酸化剤ガス入口連通孔22a等)を周回する複数の第1連通孔シール部48とを有する。第1シール部44は、セパレータ厚さ方向(矢印A方向)から見て直線状に延在している。ただし、第1シール部44は、セパレータ厚さ方向から見て波状に延在してもよい。
【0026】
図3において、第1シール部44は、第1セパレータ18に一体成形された第1金属ビード部50と、第1金属ビード部50に設けられた第1樹脂材52とを有する。第1金属ビード部50は、第1セパレータ18から樹脂枠部材30に向かって突出している。第1金属ビード部50の横断面形状は、第1金属ビード部50の突出方向に向かって先細り形状となる台形形状である。第1樹脂材52は、第1金属ビード部50の突出端面に印刷又は塗布等により固着された弾性部材である。第1樹脂材52は、例えば、ポリエステル繊維で構成される。
【0027】
図2及び図3に示すように、第2セパレータ20のMEA28に向かう面20aには、燃料ガス入口連通孔26aと燃料ガス出口連通孔26bとに連通する燃料ガス流路54が設けられる。燃料ガス流路54は、矢印B方向に延在する複数の燃料ガス流路溝56を有する。各燃料ガス流路溝56は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
【0028】
第2セパレータ20には、樹脂枠付きMEA16と第2セパレータ20との間から外部への流体(酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体)の漏出を防止する第2シール部58が設けられている。図2において、第2シール部58は、第2セパレータ20の外周部を周回する第2外周シール部60と、各連通孔(酸化剤ガス入口連通孔22a等)を周回する複数の第2連通孔シール部62とを有する。第2シール部58は、セパレータ厚さ方向(矢印A方向)から見て直線状に延在している。ただし、第2シール部58は、セパレータ厚さ方向から見て波状に延在してもよい。
【0029】
図3において、第2シール部58は、第2セパレータ20に一体成形された第2金属ビード部64と、第2金属ビード部64に設けられた第2樹脂材66とを有する。第2金属ビード部64は、第2セパレータ20から樹脂枠部材30に向かって突出している。第2金属ビード部64の横断面形状は、第2金属ビード部64の突出方向に向かって先細り形状となる台形形状である。第2樹脂材66は、第2金属ビード部64の突出端面に印刷又は塗布等により固着された弾性部材である。第2樹脂材66は、例えば、ポリエステル繊維で構成される。
【0030】
第1樹脂材52は、第1金属ビード部50ではなく、樹脂枠部材30の一方の面30aに設けられてもよい。第2樹脂材66は、第2金属ビード部64ではなく、樹脂枠部材30の他方の面30bに設けられてもよい。また、第1樹脂材52及び第2樹脂材66の少なくともいずれかは、省略されてもよい。第1シール部44及び第2シール部58は、メタルビードシールではなく、弾性を有するゴムシール部材で形成されてもよい。
【0031】
図2及び図3において、第1セパレータ18の面18bと第2セパレータ20の面20bとの間には、冷却媒体入口連通孔24aと冷却媒体出口連通孔24bとに連通する冷却媒体流路68が設けられる。冷却媒体流路68は、酸化剤ガス流路40の裏面形状と燃料ガス流路54の裏面形状とによって形成される。冷却媒体流路68は、矢印B方向に直線状に延在する複数の冷却媒体流路溝70を有する。冷却媒体流路溝70は、矢印B方向に波状に延在してもよい。
【0032】
このような燃料電池スタック10の積層体14は、図1に示すように、樹脂枠付きMEA16とセパレータ部材72とが交互に積層されて形成される。
【0033】
セパレータ部材72は、金属製のセパレータ本体38と、セパレータ本体38の外周部から外方に突出したセル電圧端子74とを含む。セパレータ本体38は、上述したように、樹脂枠付きMEA16に積層される。セル電圧端子74は、発電セル12の発電時の電圧(セル電圧)を検出するためのものである。セル電圧端子74は、セパレータ本体38の外周部(矢印B1方向の端部)から外方(矢印B1方向)に向かって突出している。
【0034】
燃料電池スタック10は、セル電圧端子74の位置が互いに異なる4種類のセパレータ部材72を有する。以下、4種類のセパレータ部材72を、第1セパレータ部材72a、第2セパレータ部材72b、第3セパレータ部材72c及び第4セパレータ部材72dということがある。
【0035】
図4及び図5に示すように、第1セパレータ部材72aのセル電圧端子74(以下、「第1セル電圧端子74a」ということがある。)は、セパレータ本体38の矢印C方向の一端側(セパレータ本体38の矢印C1方向の端部側)に設けられている。第2セパレータ部材72bは、第1セパレータ部材72aに対して樹脂枠付きMEA16(以下、「第1樹脂枠付きMEA16a」ということがある。)を挟んだ反対側に位置する。換言すれば、第1セパレータ部材72aと第2セパレータ部材72bとは、第1樹脂枠付きMEA16aを挟持している。
【0036】
第2セパレータ部材72bのセル電圧端子74(以下、「第2セル電圧端子74b」ということがある。)は、第1セル電圧端子74aに対してセパレータ本体38の矢印C方向の他端側(矢印C2方向)にずれて位置している。矢印A方向から見て、第2セル電圧端子74bの矢印C1方向の端部は、第1セル電圧端子74aの矢印C2方向の端部に重なる。すなわち、第1セル電圧端子74aと第2セル電圧端子74bとは、積層方向(矢印A方向)から見て、互いに重なる重なり部75a、75b1を有する。
【0037】
第1樹脂枠付きMEA16aには、第1セル電圧端子74aと第2セル電圧端子74bとが互いに電気的に接続することを防止するための第1端子絶縁部76aが設けられている。第1端子絶縁部76aは、第1樹脂枠付きMEA16aの樹脂枠部材30の矢印B1方向の端部から矢印B1方向に突出している。第1端子絶縁部76aは、第1セル電圧端子74aの重なり部75aと第2セル電圧端子74bの重なり部75b1との間に位置する。第1端子絶縁部76aは、第1セル電圧端子74a及び第2セル電圧端子74bよりも矢印B1方向に突出している。
【0038】
第3セパレータ部材72cは、第2セパレータ部材72bに対して樹脂枠付きMEA16(以下、「第2樹脂枠付きMEA16b」ということがある。)を挟んだ反対側に位置する。換言すれば、第2セパレータ部材72bと第3セパレータ部材72cとは、第2樹脂枠付きMEA16bを挟持している。
【0039】
第3セパレータ部材72cのセル電圧端子74(以下、「第3セル電圧端子74c」ということがある。)は、第2セル電圧端子74bに対して矢印C2方向にずれて位置している。矢印A方向から見て、第3セル電圧端子74cの矢印C1方向の端部は、第2セル電圧端子74bの矢印C2方向の端部に重なる。すなわち、第2セル電圧端子74bと第3セル電圧端子74cとは、積層方向(矢印A方向)から見て、互いに重なる重なり部75b2、75c1を有する。
【0040】
第2樹脂枠付きMEA16bには、第2セル電圧端子74bと第3セル電圧端子74cとが互いに電気的に接続することを防止するための第2端子絶縁部76bが設けられている。第2端子絶縁部76bは、第2樹脂枠付きMEA16bの樹脂枠部材30の矢印B1方向の端部から矢印B1方向に突出している。第2端子絶縁部76bは、第2セル電圧端子74bの重なり部75b2と第3セル電圧端子74cの重なり部75c1との間に位置する。第2端子絶縁部76bは、第2セル電圧端子74b及び第3セル電圧端子74cよりも矢印B1方向に突出している。
【0041】
第4セパレータ部材72dは、第3セパレータ部材72cに対して樹脂枠付きMEA16(以下、「第3樹脂枠付きMEA16c」ということがある。)を挟んだ反対側に位置する。換言すれば、第3セパレータ部材72cと第4セパレータ部材72dとは、第3樹脂枠付きMEA16cを挟持している。
【0042】
第4セパレータ部材72dのセル電圧端子74(以下、「第4セル電圧端子74d」ということがある。)は、第3セル電圧端子74cに対して矢印C2方向にずれて位置している。矢印A方向から見て、第4セル電圧端子74dの矢印C1方向の端部は、第3セル電圧端子74cの矢印C2方向の端部に重なる。すなわち、第3セル電圧端子74cと第4セル電圧端子74dとは、積層方向(矢印A方向)から見て、互いに重なる重なり部75c2、75dを有する。
【0043】
第3樹脂枠付きMEA16cには、第3セル電圧端子74cと第4セル電圧端子74dとが互いに電気的に接続することを防止するための第3端子絶縁部76cが設けられている。第3端子絶縁部76cは、第3樹脂枠付きMEA16cの樹脂枠部材30の矢印B1方向の端部から矢印B1方向に突出している。第3端子絶縁部76cは、第3セル電圧端子74cの重なり部75c2と第4セル電圧端子74dの重なり部75dとの間に位置する。第3端子絶縁部76cは、第3セル電圧端子74c及び第4セル電圧端子74dよりも矢印B1方向に突出している。
【0044】
第1セパレータ部材72aは、第4セパレータ部材72dに対して樹脂枠付きMEA16(以下、「第4樹脂枠付きMEA16d」ということがある。)を挟んだ反対側に位置する。換言すれば、第4セパレータ部材72dと第1セパレータ部材72aとは、第4樹脂枠付きMEA16dを挟持している。第4樹脂枠付きMEA16dには、端子絶縁部が設けられていない。
【0045】
このように、第1セパレータ部材72a、第1樹脂枠付きMEA16a、第2セパレータ部材72b、第2樹脂枠付きMEA16b、第3セパレータ部材72c、第3樹脂枠付きMEA16c、第4セパレータ部材72d及び第4樹脂枠付きMEA16dは、この順番に積層されて単位積層部14aを形成する。すなわち、積層体14は、複数の単位積層部14aが積層されることにより形成される。
【0046】
図4及び図5において、第1セル電圧端子74a、第2セル電圧端子74b、第3セル電圧端子74c及び第4セル電圧端子74dは、互いに共通の構成を有する。具体的に、セル電圧端子74は、第1セパレータ18に設けられた第1端子部80と、第2セパレータ20に設けられた第2端子部82とを含む。第1端子部80と第2端子部82のそれぞれは、四角形状に形成されている。第1端子部80と第2端子部82とは、積層方向(矢印A方向)に互いに接触又は近接している。
【0047】
第1端子部80は、プレス成形により第1セパレータ18に対して一体的に設けられている。ただし、第1端子部80と第1セパレータ18とを互いに別部材として形成した後で、当該第1端子部80を第1セパレータ18に対して接合してもよい。
【0048】
第1端子部80には、3つの第1突起84aと、2つの第1リブ86aと、2つの第1凸部88aとが一体的にプレス成形されている。3つの第1突起84a、2つの第1リブ86a及び2つの第1凸部88aのそれぞれは、第1端子部80から積層方向の一方側(矢印A1方向)に突出している。換言すれば、3つの第1突起84a、2つの第1リブ86a及び2つの第1凸部88aのそれぞれは、第1端子部80と第2端子部82との合わせ面(接触面)とは反対方向に突出している。これにより、第1端子部80の剛性が向上する。
【0049】
3つの第1突起84aは、第1端子部80の幅方向(矢印C方向)の中央部に設けられている。3つの第1突起84aは、第1セパレータ18に対する第1端子部80の突出方向(矢印B方向)に互いに離間した状態で並んでいる。3つの第1突起84aは、第1端子部80の突出端部に位置している。3つの第1突起84aは、矢印C方向に互いに平行に延在している。
【0050】
2つの第1リブ86aは、3つの第1突起84aを矢印C方向から挟むように設けられている。2つの第1リブ86aは、矢印B方向に互いに平行に延在している。各第1リブ86aは、第1端子部80の突出端部(矢印B1方向の端部)から第1端子部80の矢印B方向の中央部分まで延在している。
【0051】
2つの第1凸部88aは、2つの第1リブ86aを矢印C方向から挟むように設けられている。2つの第1凸部88aは、第1端子部80の幅方向の両端部に設けられている。2つの第1凸部88aは、矢印B方向に互いに平行に延在している。各第1凸部88aは、第1端子部80の突出端部(矢印B1方向の端部)から第1端子部80の根元部(第1端子部80と第1セパレータ18との境界部の近傍)まで延出している。
【0052】
各第1凸部88aの横断面形状は、第1凸部88aの突出方向に向かって先細り形状となる台形形状である。各第1凸部88aの突出長(矢印A方向の長さ)は、各第1リブ86aの突出長(矢印A方向の長さ)よりも長い。各第1凸部88aの突出端面は、平坦に形成されている。ただし、各第1凸部88aの突出端面は、例えば、円弧状の湾曲面であってもよい。
【0053】
第2端子部82は、プレス成形により第2セパレータ20に対して一体的に設けられている。ただし、第2端子部82と第2セパレータ20とを互いに別部材として形成した後で、当該第2端子部82を第2セパレータ20に対して接合してもよい。第2端子部82の形状及び大きさは、第1端子部80の形状及び大きさと同じである。第1端子部80と第2端子部82とは互いに接触又は近接して板状の端子部83を形成する。
【0054】
第2端子部82には、3つの第2突起84bと、2つの第2リブ86bと、2つの第2凸部88bとが一体的にプレス成形されている。3つの第2突起84b、2つの第2リブ86b及び2つの第2凸部88bのそれぞれは、第2端子部82から積層方向の他方側(矢印A2方向)に突出している。換言すれば、3つの第2突起84b、2つの第2リブ86b及び2つの第2凸部88bのそれぞれは、第1端子部80と第2端子部82との合わせ面(接触面)とは反対方向に突出している。これにより、第2端子部82の剛性が向上する。
【0055】
3つの第2突起84bは、第2端子部82の幅方向(矢印C方向)の中央部に設けられている。3つの第2突起84bは、第2セパレータ20に対する第2端子部82の突出方向(矢印B方向)に互いに離間した状態で並んでいる。3つの第2突起84bは、第2端子部82の突出端部に位置している。3つの第2突起84bは、矢印C方向に互いに平行に延在している。矢印A方向から見て、3つの第2突起84bのそれぞれは、3つの第1突起84aのそれぞれに重なる。
【0056】
2つの第2リブ86bは、3つの第2突起84bを矢印C方向から挟むように設けられている。2つの第2リブ86bは、矢印B方向に互いに平行に延在している。各第2リブ86bは、第2端子部82の突出端部(矢印B1方向の端部)から第2端子部82の矢印B方向の中央部分まで延在している。矢印A方向から見て、2つの第2リブ86bのそれぞれは、2つの第1リブ86aのそれぞれに重なる。
【0057】
2つの第2凸部88bは、2つの第2リブ86bを矢印C方向から挟むように設けられている。2つの第2凸部88bは、第2端子部82の幅方向の両端部に設けられている。2つの第2凸部88bは、矢印B方向に互いに平行に延在している。各第2凸部88bは、第2端子部82の突出端部(矢印B1方向の端部)から第2端子部82の根元部(第2端子部82と第2セパレータ20との境界部の近傍)まで延出している。
【0058】
各第2凸部88bの横断面形状は、第2凸部88bの突出方向に向かって先細り形状となる台形形状である。各第2凸部88bの突出長(矢印A方向の長さ)は、各第2リブ86bの突出長(矢印A方向の長さ)よりも長い。各第2凸部88bの突出長は、各第1凸部88aの突出長と同じである。各第2凸部88bの突出端面は、平坦に形成されている。ただし、各第2凸部88bの突出端面は、例えば、円弧状の湾曲面であってもよい。矢印A方向から見て、2つの第2凸部88bのそれぞれは、2つの第1凸部88aのそれぞれに重なる。
【0059】
複数の第1セル電圧端子74aは、矢印A方向に一列に並んでいる。複数の第2セル電圧端子74bは、矢印A方向に一列に並んでいる。複数の第3セル電圧端子74cは、矢印A方向に一列に並んでいる。複数の第4セル電圧端子74dは、矢印A方向に一列に並んでいる。
【0060】
矢印A方向に互いに対向するセル電圧端子74において、第1凸部88aと第2凸部88bとは、矢印A方向に互いに重なるように位置している。図4図6に示すように、矢印A方向に互いに対向するセル電圧端子74において、一方のセル電圧端子74の第1凸部88aと他方のセル電圧端子74の第2凸部88bとは、電気絶縁性を有する絶縁部材90を介して互いに対向し且つ当接している。
【0061】
換言すれば、矢印A方向に互いに対向する第1セル電圧端子74aにおいて、一方の第1セル電圧端子74aの第1凸部88aと他方の第1セル電圧端子74aの第2凸部88bとは、絶縁部材90を介して互いに対向し且つ当接している。矢印A方向に互いに対向する第2セル電圧端子74bにおいて、一方の第2セル電圧端子74bの第1凸部88aと他方の第2セル電圧端子74bの第2凸部88bとは、絶縁部材90を介して互いに対向し且つ当接している。
【0062】
矢印A方向に互いに対向する第3セル電圧端子74cにおいて、一方の第3セル電圧端子74cの第1凸部88aと他方の第3セル電圧端子74cの第2凸部88bとは、絶縁部材90を介して互いに対向し且つ当接している。矢印A方向に互いに対向する第4セル電圧端子74dにおいて、一方の第4セル電圧端子74dの第1凸部88aと他方の第4セル電圧端子74dの第2凸部88bとは、絶縁部材90を介して互いに対向し且つ当接している。
【0063】
すなわち、矢印A方向に互いに隣接する第1凸部88aと第2凸部88bとの間には、絶縁部材90が設けられている。絶縁部材90は、セル電圧端子74の第1凸部88aの突出端面と第1セル電圧端子74aの第2凸部88bの突出端面の少なくともいずれかに固着されてもよい。
【0064】
各セル電圧端子74の第1突起84a及び第2突起84bには、例えば、図示しない電圧検出装置のクリップが挟み込まれる。この際、当該クリップは、各セル電圧端子74の2つの第1凸部88aの間に位置するとともに各セル電圧端子74の2つの第2凸部88bの間に位置する。そのため、第1凸部88a及び第2凸部88bは、クリップに干渉することはない。
【0065】
各セル電圧端子74において、第1突起84a及び第2突起84bのそれぞれの大きさ、形状、位置、数は、適宜変更可能である。また、各セル電圧端子74において、第1突起84a及び第2突起84bは、省略されてもよい。各セル電圧端子74において、第1リブ86a及び第2リブ86bのそれぞれの大きさ、形状、位置、数は、適宜変更可能である。また、各セル電圧端子74において、第1リブ86a及び第2リブ86bは、省略されてもよい。各セル電圧端子74において、第1凸部88a及び第2凸部88bのそれぞれの大きさ、形状、位置、数は、適宜変更可能である。
【0066】
次に、このように構成される燃料電池スタック10の動作について説明する。
【0067】
図2に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔22aから第1セパレータ18の酸化剤ガス流路40に導入される。酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路40に沿って矢印B方向に移動し、MEA28のカソード電極34に供給される。
【0068】
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔26aから第2セパレータ20の燃料ガス流路54に導入される。燃料ガスは、燃料ガス流路54に沿って矢印B方向に移動し、MEA28のアノード電極36に供給される。
【0069】
従って、各MEA28では、カソード電極34に供給される酸化剤ガスと、アノード電極36に供給される燃料ガスとが、電気化学反応により消費されて、発電が行われる。
【0070】
次いで、カソード電極34に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔22bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、アノード電極36に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔26bに沿って矢印A方向に排出される。
【0071】
また、冷却媒体入口連通孔24aに供給された冷却媒体は、第1セパレータ18と第2セパレータ20との間に形成された冷却媒体流路68に導入された後、矢印B方向に流通する。この冷却媒体は、MEA28を冷却した後、冷却媒体出口連通孔24bから排出される。
【0072】
本実施形態に係る燃料電池スタック10は、以下の効果を奏する。
【0073】
各セパレータ部材72は、MEA28に積層されたセパレータ本体38と、セパレータ本体38の外周部から外方に突出したセル電圧端子74とを有する。各セル電圧端子74は、板状の端子部83と、端子部83(第1端子部80)からMEA28とセパレータ本体38との積層方向の一方側(矢印A1方向)に突出した第1凸部88aと、端子部83(第2端子部82)から積層方向の他方側(矢印A2方向)に突出した第2凸部88bとを含む。
【0074】
セル電圧端子74の少なくともいずれか(例えば、複数の第1セル電圧端子74a)は、積層方向(矢印A方向)に一列に並んでいる。積層方向に互いに対向するセル電圧端子74において、一方のセル電圧端子74の第1凸部88aと他方のセル電圧端子74の第2凸部88bとは、電気絶縁性を有する絶縁部材90を介して互いに対向し且つ当接している。
【0075】
このような構成によれば、積層方向に互いに対向するセル電圧端子74において、一方のセル電圧端子74の第1凸部88aと他方のセル電圧端子74の第2凸部88bとが絶縁部材90を介して互いに当接している。これにより、積層方向に互いに対向するセル電圧端子74によって、セル電圧端子74を積層方向に支持することができる。よって、セル電圧端子74の積層方向の倒れを抑えることができる。
【0076】
燃料電池スタック10は、MEA28を挟持するセパレータ部材72としての第1セパレータ部材72aと第2セパレータ部材72bとを複数個ずつ備える。各第1セパレータ部材72aは、セル電圧端子74としての第1セル電圧端子74aを有し、各第2セパレータ部材72bは、セル電圧端子74としての第2セル電圧端子74bを有する。
【0077】
複数の第1セル電圧端子74aと複数の第2セル電圧端子74bとは、セル電圧端子74のセパレータ本体38に対する突出方向と積層方向とに直交する方向であるセル電圧端子74の幅方向に互いにずれて位置している。複数の第1セル電圧端子74aは、積層方向に一列に並び、積層方向に互いに対向する第1セル電圧端子74aにおいて、一方の第1セル電圧端子74aの第1凸部88aと他方の第1セル電圧端子74aの第2凸部88bとは、絶縁部材90を介して互いに当接する。複数の第2セル電圧端子74bは、積層方向に一列に並び、積層方向に互いに対向する第2セル電圧端子74bにおいて、一方の第2セル電圧端子74bの第1凸部88aと他方の第2セル電圧端子74bの第2凸部88bとは、絶縁部材90を介して互いに当接する。
【0078】
このような構成によれば、互いに対向する第1セル電圧端子74aの端子部83の間隔を比較的広くすることができる。また、互いに対向する第2セル電圧端子74bの端子部83の間隔を比較的広くすることができる。これにより、第1セル電圧端子74a及び第2セル電圧端子74bに対して図示しない矢印A方向に幅の広い電圧検出装置を簡単に装着することができる。
【0079】
複数の第1セル電圧端子74aと複数の第2セル電圧端子74bとは、積層方向から見て、互いに重なる重なり部75a、75b1を有し、各第1セル電圧端子74aの重なり部75aと各第2セル電圧端子74bの重なり部75b1との間には、電気絶縁性を有する第1端子絶縁部76aが設けられている。
【0080】
このような構成によれば、第1セル電圧端子74aと第2セル電圧端子74bとの電気的な接続を第1端子絶縁部76aによって防止することができる。
【0081】
MEA28の外周部には、MEA28を周回する樹脂枠部材30が設けられ、第1端子絶縁部76aは、樹脂枠部材30の外周部から外方に向かって突出している。
【0082】
このような構成によれば、簡易な構成により第1端子絶縁部76aを設けることができる。
【0083】
第1凸部88a及び第2凸部88bのそれぞれは、セル電圧端子74の幅方向(矢印B方向)に互いに離間するように端子部83に複数設けられている。
【0084】
このような構成によれば、複数の第1凸部88aと複数の第2凸部88bとによってセル電圧端子74の積層方向(矢印A方向)の倒れを効果的に抑えることができる。
【0085】
複数の第1凸部88aは、端子部83の一方の面の幅方向の両端部に位置し、複数の第2凸部88bは、端子部83の他方の面の幅方向の両端部に位置している。
【0086】
このような構成によれば、複数の第1凸部88aと複数の第2凸部88bとによってセル電圧端子74の積層方向(矢印A方向)の倒れを一層効果的に抑えることができる。
【0087】
第1凸部88a及び第2凸部88bのそれぞれは、セル電圧端子74の突出方向(矢印B方向)に沿って延在している。
【0088】
このような構成によれば、第1凸部88aと第2凸部88bとによってセル電圧端子74の積層方向(矢印A方向)の倒れをより一層効果的に抑えることができる。
【0089】
各セル電圧端子74は、端子部83から積層方向の一方側に突出した第1リブ86aと、端子部83から積層方向の他方側に突出した第2リブ86bとを有している。
【0090】
このような構成によれば、第1リブ86a及び第2リブ86bによって端子部83の剛性を向上させることができる。よって、セル電圧端子74の倒れを一層抑えることができる。
【0091】
第1凸部88aの突出長は、第1リブ86aの突出長よりも長く、第2凸部88bの突出長は、第2リブ86bの突出長よりも長い。
【0092】
このような構成によれば、第1リブ86a及び第2リブ86bが積層方向(矢印A方向)に対向するセル電圧端子74に直接的に接触することを抑えることができる。
【0093】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0094】
単位積層部14aは、上述した構成に限定されない。単位積層部14aは、第1セパレータ部材72aと樹脂枠付きMEA16とが互いに積層されたものであってもよい。単位積層部14aは、第1セパレータ部材72a、第1樹脂枠付きMEA16a、第2セパレータ部材72b、第1樹脂枠付きMEA16aがこの順番に積層されて形成されてもよい。単位積層部14aは、第1セパレータ部材72a、第1樹脂枠付きMEA16a、第2セパレータ部材72b、第2樹脂枠付きMEA16b、第3セパレータ部材72c及び第4樹脂枠付きMEA16dがこの順番に積層されて形成されてもよい。単位積層部14aを構成するセパレータ部材72及び樹脂枠付きMEA16のそれぞれは、5つ以上であってもよい。
【0095】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0096】
上記実施形態は、電解質膜(32)の両側に電極(34、36)が配設されてなる電解質膜・電極構造体(28)とセパレータ部材(72)とを複数個ずつ備え、前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータ部材とが交互に積層された燃料電池スタック(10)であって、各前記セパレータ部材は、前記電解質膜・電極構造体に積層されたセパレータ本体(38)と、前記セパレータ本体の外周部から外方に突出したセル電圧端子(74)と、を有し、各前記セル電圧端子は、板状の端子部(83)と、前記端子部から前記電解質膜・電極構造体と前記セパレータ部材との積層方向の一方側に突出した第1凸部(88a)と、前記端子部から前記積層方向の他方側に突出した第2凸部(88b)と、を含み、前記セル電圧端子の少なくともいくつかは、前記積層方向に一列に並び、前記積層方向に互いに対向する前記セル電圧端子において、一方の前記セル電圧端子の前記第1凸部と他方の前記セル電圧端子の前記第2凸部とは、電気絶縁性を有する絶縁部材(90)を介して互いに対向し且つ当接している、燃料電池スタックを開示している。
【0097】
上記の燃料電池スタックにおいて、前記燃料電池スタックは、前記電解質膜・電極構造体を挟持する前記セパレータ部材としての第1セパレータ部材(72a)と第2セパレータ部材(72b)とを複数個ずつ備え、各前記第1セパレータ部材は、前記セル電圧端子としての第1セル電圧端子(74a)を有し、各前記第2セパレータ部材は、前記セル電圧端子としての第2セル電圧端子(74b)を有し、複数の前記第1セル電圧端子と複数の前記第2セル電圧端子とは、前記セル電圧端子の前記セパレータ本体に対する突出方向と前記積層方向とに直交する方向である前記セル電圧端子の幅方向に互いにずれて位置し、複数の前記第1セル電圧端子は、前記積層方向に一列に並び、前記積層方向に互いに対向する前記第1セル電圧端子において、一方の前記第1セル電圧端子の前記第1凸部と他方の前記第1セル電圧端子の前記第2凸部とは、前記絶縁部材を介して互いに対向し且つ当接し、複数の前記第2セル電圧端子は、前記積層方向に一列に並び、前記積層方向に互いに対向する前記第2セル電圧端子において、一方の前記第2セル電圧端子の前記第1凸部と他方の前記第2セル電圧端子の前記第2凸部とは、前記絶縁部材を介して互いに対向し且つ当接してもよい。
【0098】
上記の燃料電池スタックにおいて、複数の前記第1セル電圧端子と複数の前記第2セル電圧端子とは、前記積層方向から見て、互いに重なる重なり部(75a、75b1)を有し、各前記第1セル電圧端子の前記重なり部と各前記第2セル電圧端子の前記重なり部との間には、電気絶縁性を有する端子絶縁部(76a)が設けられてもよい。
【0099】
上記の燃料電池スタックにおいて、前記電解質膜・電極構造体の外周部には、当該電解質膜・電極構造体を周回する樹脂枠部(30)が設けられ、前記端子絶縁部は、前記樹脂枠部の外周部から外方に向かって突出してもよい。
【0100】
上記の燃料電池スタックにおいて、前記第1凸部及び前記第2凸部のそれぞれは、前記セル電圧端子の前記セパレータ本体に対する突出方向と前記積層方向とに直交する方向である前記セル電圧端子の幅方向に互いに離間するように前記端子部に複数設けられてもよい。
【0101】
上記の燃料電池スタックにおいて、複数の前記第1凸部は、前記端子部の一方の面の前記幅方向の両端部に位置し、複数の前記第2凸部は、前記端子部の他方の面の前記幅方向の両端部に位置してもよい。
【0102】
上記の燃料電池スタックにおいて、前記第1凸部及び前記第2凸部のそれぞれは、前記セル電圧端子の突出方向に沿って延在してもよい。
【0103】
上記の燃料電池スタックにおいて、各前記セル電圧端子は、前記端子部から前記積層方向の一方側に突出した第1リブ(86a)と、前記端子部から前記積層方向の他方側に突出した第2リブ(86b)と、を有してもよい。
【0104】
上記の燃料電池スタックにおいて、前記第1凸部の突出長は、前記第1リブの突出長よりも長く、前記第2凸部の突出長は、前記第2リブの突出長よりも長くてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10…燃料電池スタック 28…MEA(電解質膜・電極構造体)
30…樹脂枠部材(樹脂枠部) 32…電解質膜
34…カソード電極 36…アノード電極
38…セパレータ本体 72…セパレータ部材
72a…第1セパレータ部材 72b…第2セパレータ部材
74…セル電圧端子 74a…第1セル電圧端子
74b…第2セル電圧端子
75a、75b1、75b2、75c1、75c2、75d…重なり部
76a…第1端子絶縁部 76b…第2端子絶縁部
76c…第3端子絶縁部 83…端子部
86a…第1リブ 86b…第2リブ
88a…第1凸部 88b…第2凸部
90…絶縁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6