IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デクセリアルズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-接続材料 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】接続材料
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20221213BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20221213BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01B1/22 B
H01R11/01 501E
H01B1/00 G
H01B1/00 C
H01B1/22 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020169531
(22)【出願日】2020-10-07
(62)【分割の表示】P 2015185238の分割
【原出願日】2015-09-18
(65)【公開番号】P2021036522
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2020-11-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】深谷 達朗
(72)【発明者】
【氏名】石松 朋之
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-057757(JP,A)
【文献】特開2011-175846(JP,A)
【文献】国際公開第2012/098929(WO,A1)
【文献】特開2014-207224(JP,A)
【文献】国際公開第2009/057612(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
H01R 11/01
H01B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粒子と、前記樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、前記第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が2400~3500である突起芯材と、前記第1の導電性被膜と前記突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有する導電性粒子とを含有し、
最低溶融粘度が1~100000Pa・sであり、
前記第1の導電性被膜の膜厚が、5nm以上100nm以下であり、
前記第1の導電性被膜と前記第2の導電性被膜との合計の膜厚が、100nm以上200nm以下であり、
前記第1の導電性被膜のビッカース硬度が、300~1200であり、
前記突起芯材の平均粒子径が50~300nmである接続材料。
【請求項2】
前記突起芯材が、タングステン、チタン、タンタル、ホウ素から選ばれる1種以上を含む金属炭化物、金属炭窒化物、又はサーメットである請求項1記載の接続材料。
【請求項3】
前記第1の導電性被膜が、ニッケル又はニッケル合金であり、
前記第2の導電性被膜が、パラジウム、ニッケル又はニッケル合金から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載の接続材料。
【請求項4】
前記樹脂粒子を0.33mN/秒の速度で5mNまで圧縮した後、0.33mN/秒の速度で荷重を減らしたときに、荷重を反転させる点から最終除荷値までの変位(L1)と、反転の点から初期荷重値までの変位(L2)との割合((L1/L2)×100)が、30%以上である請求項1乃至のいずれか1項に記載の接続材料。
【請求項5】
当該接続材料が、フィルム状である請求項1乃至のいずれか1項に記載の接続材料。
【請求項6】
第1の回路部材上に、導電性粒子を含有する接続材料を介して第2の回路部材を搭載する工程と、
前記第2の回路部材を圧着ツールによって加熱押圧し、前記接続材料を硬化させる工程とを有し、
前記導電性粒子が、樹脂粒子と、前記樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、前記第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が2400~3500である突起芯材と、前記第1の導電性被膜と前記突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有し、
前記接続材料の最低溶融粘度が1~100000Pa・sであり、
前記第1の導電性被膜の膜厚が、5nm以上100nm以下であり、
前記第1の導電性被膜と前記第2の導電性被膜との合計の膜厚が、100nm以上200nm以下であり、
前記第1の導電性被膜のビッカース硬度が、300~1200であり、
前記突起芯材の平均粒子径が50~300nmである接続構造体の製造方法。
【請求項7】
前記接続材料が、フィルム状である請求項記載の接続構造体の製造方法。
【請求項8】
第1の回路部材と、第2の回路部材と、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材とを接続する接続硬化膜とを備え、
前記接続硬化膜が、樹脂粒子と、前記樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、前記第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が2400~3500である突起芯材と、前記第1の導電性被膜と前記突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有し、
前記第1の導電性被膜の膜厚が、5nm以上100nm以下であり、
前記第1の導電性被膜と前記第2の導電性被膜との合計の膜厚が、100nm以上200nm以下であり、
前記第1の導電性被膜のビッカース硬度が、300~1200であり、
前記突起芯材の平均粒子径が50~300nmである導電性粒子を備える接続構造体。
【請求項9】
第1の回路部材上に、前記請求項1乃至のいずれか1項に記載の接続材料を介して第2の回路部材を搭載する工程と、
前記第2の回路部材を圧着ツールによって加熱押圧し、前記接続材料を硬化させる工程とを有する接続構造体の製造方法。
【請求項10】
第1の回路部材と、第2の回路部材と、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材とを接続し、前記請求項1乃至のいずれか1項に記載の接続材料が硬化した接続硬化膜とを備える接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子により回路部材同士を電気的に接続する接続材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯やタブレットにおいて、消費電力の低下が求められている。消費電力を抑え
るためには、接続抵抗値を低く抑える必要がある。
【0003】
特許文献1、2には、導電性粒子に突起を設けることにより、低抵抗化を図る技術が記
載されている。しかしながら、特許文献1に記載の導電性粒子は、基材(樹脂粒子)に直
接突起芯材が付着されているため、実装時の圧力により突起芯材が基材に埋没し、電極に
かかる圧力が減少する。このため、例えば表面が平滑であるIZO電極において、低い接
続抵抗値を得るのが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-134156号公報
【文献】WO2014/054572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、低い接続抵抗値を得ることが
できる接続材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本発明に係る接続材料は、樹脂粒子と、前記樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、前記第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が2400~3500である突起芯材と、前記第1の導電性被膜と前記突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有する導電性粒子を含有し、最低溶融粘度が1~100000Pa・sであり、前記第1の導電性被膜の膜厚が、5nm以上100nm以下であり、前記第1の導電性被膜と前記第2の導電性被膜との合計の膜厚が、100nm以上200nm以下であり、前記第1の導電性被膜のビッカース硬度が、300~1200であり、前記突起芯材の平均粒子径が50~300nmである。
【0007】
また、本発明に係る接続構造体の製造方法は、第1の回路部材上に、導電性粒子を含有する接続材料を介して第2の回路部材を搭載する工程と、前記第2の回路部材を圧着ツールによって加熱押圧し、前記接続材料を硬化させる工程とを有し、前記導電性粒子が、樹脂粒子と、前記樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、前記第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が2400~3500である突起芯材と、前記第1の導電性被膜と前記突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有し、前記接続材料の最低溶融粘度が1~100000Pa・sであり、前記第1の導電性被膜の膜厚が、5nm以上100nm以下であり、前記第1の導電性被膜と前記第2の導電性被膜との合計の膜厚が、100nm以上200nm以下であり、前記第1の導電性被膜のビッカース硬度が、300~1200であり、前記突起芯材の平均粒子径が50~300nmである。
【0008】
また、本発明に係る接続構造体は、第1の回路部材と、第2の回路部材と、前記第1の回路部材と前記第2の回路部材とを接続する接続硬化膜とを備え、前記接続硬化膜が、樹脂粒子と、前記樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、前記第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が2400~3500である突起芯材と、前記第1の導電性被膜と前記突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有し、前記第1の導電性被膜の膜厚が、5nm以上100nm以下であり、前記第1の導電性被膜と前記第2の導電性被膜との合計の膜厚が、100nm以上200nm以下であり、前記第1の導電性被膜のビッカース硬度が、300~1200であり、前記突起芯材の平均粒子径が50~300nmである導電性粒子を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導電性粒子と電極との間のバインダーが十分に排除されるとともに、
電極にかかる圧力が十分に得られるため、低い接続抵抗値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、導電性粒子の構成の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する

1.接続材料
2.接続構造体の製造方法
3.実施例
【0012】
<1.接続材料>
本実施の形態に係る接続材料は、樹脂粒子と、樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と
、第1の導電性被膜上に複数配置され、ビッカース硬度が1500~5000である突起
芯材と、第1の導電性被膜と突起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有する導電性粒
子を含有し、最低溶融粘度が1~100000Pa・sである。これにより、導電性粒子
と電極との間のバインダーが十分に排除されるとともに、電極にかかる圧力が十分に得ら
れるため、低い接続抵抗値を得ることができる。
【0013】
接続材料の形状は、特に限定されず、フィルム状、ペースト状など用途に応じて適宜選
択することができる。接続材料としては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisot
ropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Pa
・ste)などを挙げることができる。また、導電材料の硬化型としては、熱硬化型、光硬
化型、光熱併用硬化型などが挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。
【0014】
以下、導電性粒子を含有す熱硬化型の異方性導電フィルムを例に挙げて説明する。また
、熱硬化型としては、例えば、カチオン硬化型、アニオン硬化型、ラジカル硬化型、又は
これらを併用することができるが、ここでは、アニオン硬化型の異方性導電フィルムにつ
いて説明する。
【0015】
アニオン硬化型の異方性導電フィルムは、バインダーとして、膜形成樹脂と、エポキシ
樹脂と、アニオン重合開始剤とを含有する。異方性導電フィルム中の導電性粒子の配合量
は、バインダー体積に対して5~15体積%であることが好ましい。これにより、ショー
トを防止するとともに高い導通信頼性を得ることができる。
【0016】
[バインダー]
膜形成樹脂は、例えば平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム
形成性の観点から、10000~80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜
形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステ
ルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂等の種々の樹脂が挙げ
られ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの
中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂を好適に用いることが好ま
しい。市場で入手可能な具体例としては、新日鉄住金化学(株)の商品名「YP-50」
などを挙げることができる。
【0017】
エポキシ樹脂は、3次元網目構造を形成し、良好な耐熱性、接着性を付与するものであ
り、固形エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを併用することが好ましい。ここで、固形エ
ポキシ樹脂とは、常温で固体であるエポキシ樹脂を意味する。また、液状エポキシ樹脂と
は、常温で液状であるエポキシ樹脂を意味する。また、常温とは、JIS Z 8703で
規定される5~35℃の温度範囲を意味する。
【0018】
固形エポキシ樹脂としては、液状エポキシ樹脂と相溶し、常温で固体状であれば特に限
定されず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能
型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキ
シ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙られ、これらの
中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
液状エポキシ樹脂としては、常温で液状であれば特に限定されず、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂
、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以
上を組み合わせて用いることができる。特に、フィルムのタック性、柔軟性などの観点か
ら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。市場で入手可能な具体例
としては、三菱化学(株)の商品名「EP828」などを挙げることができる。
【0020】
アニオン重合開始剤としては、通常用いられる公知の硬化剤を使用することができる。
例えば、有機酸ジヒドラジド、ジシアンジアミド、アミン化合物、ポリアミドアミン化合
物、シアナートエステル化合物、フェノール樹脂、酸無水物、カルボン酸、三級アミン化
合物、イミダゾール、ルイス酸、ブレンステッド酸塩、ポリメルカプタン系硬化剤、ユリ
ア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物などが挙
げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる
。これらの中でも、イミダゾール変性体を核としその表面をポリウレタンで被覆してなる
マイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることが好ましい。市場で入手可能な具体例とし
ては、旭化成イーマテリアルズ(株)の商品名「ノバキュア3941」などを挙げること
ができる。
【0021】
また、バインダーとして、必要に応じて、シランカップリング剤、応力緩和剤、無機フ
ィラー等を配合してもよい。シランカップリング剤としては、エポキシ系、メタクリロキ
シ系、アミノ系、ビニル系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることがで
きる。また、応力緩和剤としては、水添スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水添ス
チレン-イソプレンブロック共重合体等を挙げることができる。また、無機フィラーとし
ては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を挙げること
ができる。
【0022】
また、異方性導電フィルムの最低溶融粘度は、1~100000Pa・sであり、より
好ましくは、10~10000Pa・sである。最低溶融粘度の適性化は、導電性粒子の
圧縮変形特性にも依存するが、最低溶融粘度が高すぎると、熱圧着時に導電性粒子と電極
との間のバインダーが十分に排除できないため、接続抵抗が上昇する傾向にある。特に、
突起を有する導電性粒子は、熱圧着時に導電性粒子と電極との間のバインダーを十分に排
除するのが困難となる。一方、最低溶融粘度が低すぎると、熱圧着時の加重による異方性
導電フィルムの変形が大きくなるため、加圧解放時に異方性導電フィルムの復元力が接続
部界面等に剥離方向の力として加わる。このため、熱圧着直後に接続抵抗が上昇したり、
接続部に気泡が発生したりする傾向がある。
【0023】
[導電性粒子]
図1は、導電性粒子の構成の概略を示す断面図である。導電性粒子は、樹脂コア粒子1
0と、樹脂コア粒子10被覆する第1の導電層11と、導電層11の表面に複数付着され
る突起芯材12と、第1の導電層11及び突起芯材12を被覆する第2の導電層13とを
備える。
【0024】
樹脂コア粒子10としては、ベンゾグアナミン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シ
リコーン樹脂、ポリブタジエン樹脂などが挙げられ、また、これらの樹脂を構成するモノ
マーに基づく繰り返し単位の少なくとも2種以上を組み合わせた構造を有する共重合体が
挙げられる。これらの中でも、テトラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベ
ンゼンとの共重合体を用いることが好ましい。
【0025】
また、樹脂コア粒子10は、荷重5mNで圧縮させた後の圧縮回復率が30%以上であ
ることが好ましい。圧縮回復率が低すぎると信頼性試験(高温高湿試験)後に抵抗値が上
昇する傾向にある。これは、高温高湿試験にさらされることでバインダーの密着性が低下
し、異方性接続された対向した端子間の距離が広がることに起因する。圧縮回復率が低い
と、挟持された導電粒子が満足に追随できずに抵抗値が上昇してしまうことがある。圧縮
回復率は、樹脂粒子を中心から0.33mN/秒の速度で5mNまで圧縮した後、逆に0
.33mN/秒の速度で荷重を減らして行く際の、荷重値と圧縮変位との関係を測定して
得られる。荷重を反転させる点から最終除荷値までの変位(L1)と、反転の点から初期
荷重値までの変位(L2)との比(L1/L2)を%にて表した値が圧縮回復率である。
【0026】
また、樹脂コア粒子10の平均粒子径は、1~10μmであることが好ましく、2~5
μmであることがより好ましい。樹脂コア粒子10の平均粒子径が小さすぎると信頼性試
験(高温高湿試験)後に抵抗値が上昇する傾向にあり、樹脂コア粒子10の平均粒子径が
大きすぎると絶縁性が低下する傾向にある。樹脂コア粒子10の平均粒子径は、例えば、
粒度分布測定装置(日機装社製、商品名:マイクロトラックMT3100)を用いて測定
することができる。
【0027】
第1の導電層11は、樹脂コア粒子10被覆する金属メッキ層であることが好ましい。
また、金属メッキ層のビッカース硬度は、300~1200であることが好ましい。金属
メッキ層のビッカース硬度が低すぎると、実装時に突起芯材12の樹脂コア粒子10への
埋没を防ぐのが困難となり、金属メッキ層のビッカース硬度が高すぎると、メッキが割れ
る懸念が生じる。ビッカース硬度HVは、対面角が136°のダイヤモンド四角すい圧子
を用いて、試験面にピラミッド形状のくぼみをつけたときの荷重を、くぼみの対角線の長
さで割った値であり、次のように算出される。
HV=0.18909×(P/d2)
P:荷重[N]、d:くぼみの対角線の平均長さ[mm]
【0028】
金属メッキ層としては、ニッケル又はニッケル合金(HV:500~700)であるこ
とが好ましい。ニッケル合金としては、Ni-W-B、Ni-W-P、Ni-W、Ni-
B、Ni-Pなどが挙げられる。
【0029】
第1の導電層11の膜厚は、5nm以上であることが好ましい。第1の導電層11の膜
厚が5nm未満であると、実装時に突起芯材12の樹脂コア粒子10への埋没を防ぐのが
困難となる。メッキ層の膜厚は、例えば、導電性粒子を収束イオンビーム加工観察装置(
FB-2100、日立ハイテクノロジー(株))を用いて断面研磨を行い、透過電子顕微
鏡(H-9500、日立ハイテクノロジー(株))を用いて、任意の20個の導電性粒子
の断面を観察し、各粒子につきメッキ被膜の5箇所の厚みを測定することによりその平均
値とすることができる。
【0030】
突起芯材12は、第1の導電層11の表面に複数付着され、突起14を形成する。突起
芯材12のビッカース硬度は、1500~5000であり、好ましくは1800~330
0である。突起芯材12のビッカース硬度が低すぎると、例えば表面が平滑であるIZO
電極において、信頼性試験(高温高湿試験)後に抵抗値が上昇する傾向にあり、突起芯材
12のビッカース硬度が高すぎると、第1の導電層11を突き破ってしまう虞がある。
【0031】
突起芯材12としては、タングステン、チタン、タンタル、ホウ素から選ばれる1種以
上を含む金属炭化物、金属炭窒化物、又はサーメットであることが好ましい。具体例とし
て、炭化タングステン(HV:1800)、炭化タングステン-炭化チタン-炭化タンタ
ル(HV:2400)、炭化チタン(HV:3500)、炭窒化チタン(HV:1800
)、炭化ホウ素(HV:3300)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
また、突起芯材12の平均粒子径は、好ましくは50nm以上300nm以下、より好
ましくは100nm以上250nm以下である。また、第1の導電層11の表面に形成さ
れた突起の個数は、好ましくは50~200、より好ましくは100~200である。こ
れにより、電極間の接続抵抗を効果的に低下させることができる。
【0033】
第2の導電層13は、第1の導電層11及び突起芯材12を被覆し、複数の第1の導電
層11により隆起された突起14を形成する。第2の導電層13は、パラジウム、ニッケ
ル、又はニッケル合金であることが好ましい。ニッケル合金としては、Ni-W-B、N
i-W-P、Ni-W、Ni-B、Ni-Pなどが挙げられる。
【0034】
また、第2の導電層13の膜厚は、第1の導電層11との合計が100nm以上500
nm以下であることが好ましく、50nm以上200nm以下であることがより好ましい
。第1の導電層11と第2の導電層13との合計の膜厚が小さいと、メッキ層が形成され
ず海島構造となってしまうため、抵抗値が上昇する傾向にあり、第1の導電層11と第2
の導電層13との合計の膜厚が大きいと、導電性粒子径が大きくなってしまい、絶縁性が
低下する傾向にある。
【0035】
このような構成の導電性粒子は、樹脂コア粒子10の表面に第1の導電層11を形成し
た後、突起芯材12を付着させ、第2の導電層13を形成する方法により得ることができ
る。また、第1の導電層12の表面上に突起芯材12を付着させる方法としては、例えば
、第1の導電層11が形成された樹脂コア粒子10の分散液中に、突起芯材12を添加し
、第1の導電層11の表面に突起芯材12を、例えば、ファンデルワールス力により集積
させ、付着させることなどが挙げられる。また、第1の導電層11及び第2の導電層13
を形成する方法としては、例えば、無電解メッキによる方法、電気メッキによる方法、物
理的蒸着による方法などが挙げられる。これらの中でも導電層の形成が簡便である無電解
メッキによる方法が好ましい。
【0036】
<2.接続構造体の製造方法>
本実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、第1の回路部材上に、導電性粒子を含有
する接続材料を介して第2の回路部材を搭載する工程と、第2の回路部材を圧着ツールに
よって加熱押圧し、接続材料を硬化させる工程とを有する。ここで、導電性粒子は、前述
のように、樹脂粒子と、樹脂粒子を被覆する第1の導電性被膜と、第1の金属被膜上に複
数配置され、ビッカース硬度が1500~5000である突起芯材と、第1の金属層と突
起芯材とを被覆する第2の導電性被膜とを有し、接続材料の最低溶融粘度は、1~100
000Pa・sである。これにより、導電性粒子と電極との間のバインダーが十分に排除
されるとともに、電極にかかる圧力が十分に得られるため、低い接続抵抗値を得ることが
できる。
【0037】
第1の回路部材及び第2の回路部材は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ
とができる。第1の回路部材としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)パネ
ル用途、プラズマディスプレイパネル(PDP)用途などのプラスチック基板、ガラス基
板、プリント配線板(PWB)などが挙げられる。また、第2の回路部材としては、例え
ば、IC(Integrated Circuit)、COF(Chip On Film)などのフレキシブル基板(F
PC:Flexible Printed Circuits)、テープキャリアパッケージ(TCP)基板などを
挙げることができる。
【0038】
第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子との圧着では、第2の回路部材上から、
所定温度に加温された圧着ツールによって、所定の圧力及び所定の時間、熱加圧され、本
圧着される。これにより、異方性導電フィルムのバインダーが流動し、第1の回路部材の
端子と第2の回路部材の端子との実装部の間から流出するとともに、バインダー中の導電
性粒子が第1の回路部材の端子と第2の回路部材の端子との間に挟持されて押し潰され、
この状態でバインダーが硬化する。
【0039】
本圧着時の所定の圧力は、回路部材の配線クラックを防止する観点から、1MPa以上
150MPa以下であることが好ましい。また、所定温度は、圧着時における異方性導電
フィルムの温度であり、80℃以上230℃以下であることが好ましい。また、UVなど
の光照射を併用してもよい。
【0040】
圧着ツールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、押圧対
象よりも大面積である押圧部材を用いて押圧を1回で行ってもよく、また、押圧対象より
も小面積である押圧部材を用いて押圧を数回に分けて行ってもよい。圧着ツールの先端形
状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平面状、
曲面状などが挙げられる。なお、先端形状が曲面状である場合、曲面状に沿って押圧する
ことが好ましい。
【0041】
また、圧着ツールと第2の回路部材との間に緩衝材を介装して熱圧着してもよい。緩衝
材を介装することにより、押圧ばらつきを低減できると共に、圧着ツールが汚れるのを防
止することができる。緩衝材は、シート状の弾性材又は塑性体からなり、例えばテフロン
(商標)、シリコンラバーなどが用いられる。
【0042】
本実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、硬い突起を有する導電性粒子を用
いているため、例えば表面が平滑であるIZO電極でも十分に圧力を加えることができ、
抵抗値を低下させることができる。このため、本法により製造された接続構造体は、低抵
抗であり、消費電力を低下させることができる。
【実施例
【0043】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、樹脂粒子が第1の導電性被膜
で被覆されてなる金属被膜樹脂粒子に突起芯材を付着させ、これをさらに第2の導電性被
膜で被覆し、突起を有する導電性粒子を作製した。そして、導電性粒子を含有する異方性
導電フィルムを用いて接続構造体を作製し、接続構造体の導通抵抗について評価した。な
お、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
[導電性粒子の作製]
第1の導電性被膜の被覆工程:
テトラメチロールメタンテトラアクリレートとジビニルベンゼンとの共重合体からなる
平均粒子径3μmの樹脂粒子を基材として使用した。樹脂粒子の荷重5mNで圧縮させた
後の圧縮回復率は45%であった。この樹脂粒子に、水酸化ナトリウム水溶液によるアル
カリ脱脂、酸中和、二塩化錫溶液によるセンシタイジングを行った。その後、二塩化パラ
ジウム溶液によるアクチベイチングを行った。濾過洗浄後、基材粒子を水で希釈し、メッ
キ安定剤を添加後、この水溶液に硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリ
ウム、及びメッキ安定剤の混合溶液を定量ポンプにて添加し、所定厚みのニッケルメッキ
被膜となるように無電解メッキを行った。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発
砲が停止するのを確認した。そして、メッキ液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80
℃の真空乾燥機で乾燥し、樹脂粒子が第1の導電性被膜としてニッケルメッキ被膜で被覆
された金属被膜樹脂粒子を得た。
【0045】
突起芯材の付着工程:
金属被膜樹脂粒子を脱イオン水で攪拌により分散させた後、その水溶液に突起心材を添
加し、ニッケルメッキ被膜上に突起芯材を付着させた粒子を得た。粒子1つ当たりに付着
した突起芯材の個数は、約150であった。
【0046】
第2の導電性被膜の被覆工程:
次に、突起芯材が付着された粒子に、水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ脱脂、酸
中和、二塩化錫溶液によるセンシタイジングを行った。その後、二塩化パラジウム溶液に
よるアクチベイチングを行った。濾過洗浄後、基材粒子を水で希釈し、メッキ安定剤を添加後、この水溶液に硫酸ニッケル、次亜リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及びメ
ッキ安定剤の混合溶液を定量ポンプにて添加し、所定厚みのニッケルメッキ被膜となるよ
うに無電解メッキを行った。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発砲が停止する
のを確認した。そして、メッキ液を濾過し、濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥
機で乾燥し、第2の導電性被膜としてニッケルメッキ被膜で被覆された粒子を得た。
【0047】
[メッキ被膜の膜厚の測定]
メッキ被膜の膜厚は、導電性粒子を収束イオンビーム加工観察装置(FB-2100、
日立ハイテクノロジー(株))を用いて断面研磨を行い、透過電子顕微鏡(H-9500
、日立ハイテクノロジー(株))を用いて、任意の20個の導電性粒子の断面を観察し、
各粒子につきメッキ被膜の5箇所の厚みを測定することによりその平均値を算出した。
【0048】
[異方性導電フィルムの最低溶融粘度の測定]
異方性導電フィルムの最低溶融粘度を、回転式レオメータ(TA Instrumen
ts社)を用い、昇温速度 10℃/分;測定時の力 1N一定;使用測定プレート直径
8mmという条件で測定した。
【0049】
[接続抵抗の評価]
IZO配線の実装体の作製を行った。評価基材として、COF(デクセリアルズ(株)
評価用COF、50μmピッチ、Cu8μmt-Snメッキ38μm)と、IZOベタガ
ラス(デクセリアルズ(株)評価用IZOベタガラス、IZO厚300nm、ガラス厚0
.7mm)との接続を行った。先ず、IZOベタガラス上に、1.5mm幅にスリットさ
れた異方性導電フィルムを、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(商
標)を用いて、温度80℃、圧力1MPa、2秒の仮圧着条件で仮貼りし、剥離PETフ
ィルムを剥がした。続いて、COFを同圧着機で、温度80℃、圧力0.5MPa、0.
5秒の仮固定条件で仮固定を行った、最後に、本圧着として、圧着機ツール幅1.5mm
、緩衝材70μm厚テフロン(商標)を用いて、温度190℃、圧力3MPa、10秒の
圧着条件で圧着を行い、実装体を得た。
【0050】
実装体を85℃85%RHの恒温恒湿槽中に500時間保持する高温高湿試験を行った
後、実装体の抵抗値を、デジタルマルチメータを用いて4端子法で測定した。接続抵抗の
評価は、抵抗値が2.0Ω未満の場合を「A」(最良)、抵抗値が2.0Ω以上の場合を
「C」(不良)とした。
【0051】
[絶縁性の評価]
ITO配線の実装体の作製を行った。評価基材として、IC(デクセリアルズ(株)評
価用IC、1.5mm×130mm、0.5mm厚、金メッキバンプ、バンプ間スペース
10μm、バンプ高さ15μm)と、ガラス基板(デクセリアルズ(株)評価用ガラス基
板、櫛歯パターン、バンプ間スペース10μm、ガラス厚0.5mm)との接続を行った
。先ず、ガラス基板上に、1.5mm幅にスリットされた異方性導電フィルムを、圧着機
ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(商標)を用いて、温度80℃、圧力1
MPa、2秒の仮圧着条件で仮貼りし、剥離PETフィルムを剥がした。続いて、ICを
同圧着機で、温度80℃、圧力0.5MPa、0.5秒の仮固定条件で仮固定を行った、
最後に、本圧着として、圧着機ツール幅1.5mm、緩衝材70μm厚テフロン(商標)
を用いて、温度190℃、圧力3MPa、10秒の圧着条件で圧着を行い、実装体を得た
【0052】
実装体の隣接するバンプ間の抵抗値を2端子法にて測定し、108Ω以下をショートと
してカウントした。評価用ICには10組のバンプからなる電極パターンが8か所形成さ
れ、10組中1組以上のショートが発生した電極パターンの数をカウントした。絶縁性の評価は、ショートが発生した電極パターンの数が0の場合を「A」(最良)、ショートが発生した電極パターンが2か所以下の場合を「B」(普通)、ショートが発生した電極パ
ターンが3か所以上の場合を「C」(不良)とした。
【0053】
<実施例1>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タング
ステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Aを作製した。導電性粒子A
の第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は20nmであり、第2の導電性
被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであった。尚、突起芯材は以下に記
載するものも含めて、PVD法やCVD法など公知の手法で調整したものを適宜用いた。
突起芯材の粒子径は、電子顕微鏡によりN=200以上を計測して求めた。
【0054】
マイクロカプセル型潜在性硬化剤(ノバキュアHX3941、旭化成ケミカルズ(株)
)を50質量部、液状エポキシ樹脂(EP828、三菱化学(株))を14質量部、フェ
ノキシ樹脂(YP50、新日鉄住金化学(株)製)を35質量部、シランカップリング剤
(KBE403、信越化学工業(株))を1質量部配合し、熱硬化性バインダーを作製し
た。この熱硬化性バインダーに、導電性粒子Aを体積比率10%になるように分散させ、
これをシリコン処理された剥離PETフィルム上に厚み20μmになるように塗布し、シ
ート状の異方性導電フィルムを作製した。この異方性導電フィルムの最低溶融粘度は、1
00Pa・sであった。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0055】
<実施例2>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タング
ステン-炭化チタン-炭化タンタル粒子(ビッカース硬度2400)を用いた以外は、実
施例1と同様の構成の導電性粒子Bを作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、
接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0056】
<実施例3>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化チタン
粒子(ビッカース硬度3500)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子C
を作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示
す。
【0057】
<実施例4>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmのサーメット
粒子(ビッカース硬度2800)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子D
を作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示
す。
【0058】
<実施例5>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化ホウ素
粒子(ビッカース硬度3300)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子E
を作製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示
す。
【0059】
<比較例1>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmのニッケル粒
子(ビッカース硬度500)を用いた以外は、実施例1と同様の構成の導電性粒子Fを作
製し、異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す。
【0060】
<比較例2>
前述の導電性粒子の作製において、樹脂粒子にセンシタイジング、及びアクチベイチン
グを行い、濾過洗浄後、脱イオン水で攪拌により分散させた後、その水溶液に炭化タング
ステン粒子スラリーを添加し、樹脂粒子上に突起芯材として平均粒子径200nmの炭化
タングステン粒子(ビッカース硬度1800)を付着させ、第2の導電性被膜の被覆工程
にてニッケルメッキ被膜で被覆し、導電性粒子Gを作製した。導電性粒子Gの第2の導電
性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は120nmであった。そして、実施例1と同
様に、導電性粒子Gを用いて異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁
性の評価結果を示す。
【0061】
<実施例6>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タング
ステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Hを作製した。導電性粒子H
の第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は5nmであり、第2の導電性被
膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであった。導電性粒子Hを用いた以外
は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性
の評価結果を示す。
【0062】
<実施例7>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タング
ステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Iを作製した。導電性粒子I
の第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであり、第2の導電
性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は100nmであった。導電性粒子Iを用いた
以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶
縁性の評価結果を示す。
【0063】
<実施例8>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タング
ステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Jを作製した。導電性粒子J
の第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は150nmであり、第2の導電
性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は350nmであった。導電性粒子Jを用いた
以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶
縁性の評価結果を示す。
【0064】
<実施例9>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タング
ステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Kを作製した。導電性粒子K
の第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は150nmであり、第2の導電
性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は500nmであった。導電性粒子Kを用いた
以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶
縁性の評価結果を示す。
【0065】
<実施例10>
前述の導電性粒子の作製において、突起芯材として平均粒子径200nmの炭化タング
ステン粒子(ビッカース硬度1800)を用いて導電性粒子Lを作製した。導電性粒子L
の第1の導電性被膜としてのニッケルメッキ被膜の膜厚は20nmであり、第2の導電性
被膜としてのパラジウムメッキ被膜の膜厚は100nmであった。導電性粒子Lを用いた
以外は、実施例1と同様にして異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶
縁性の評価結果を示す。
【0066】
<比較例3>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%
になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が1000
000Pa・sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評
価結果を示す。
【0067】
<実施例11>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%
になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が1000
00Pa・sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価
結果を示す。
【0068】
<実施例12>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%
になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が1Pa・
sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を示す
【0069】
<比較例4>
実施例1と同様に熱硬化性バインダーを作製し、これに導電性粒子Aを体積比率10%
になるように分散させ、樹脂の固形分濃度や乾燥条件で調製し、最低溶融粘度が0.1P
a・sである異方性導電フィルムを作製した。表1に、接続抵抗及び絶縁性の評価結果を
示す。
【0070】
【表1】
【0071】
比較例1のように突起芯材のビッカース硬度が低い場合、抵抗値を低下させることがで
きなかった。また、比較例2のように樹脂粒子に直接突起芯材を配置した場合も、抵抗値
を低下させることができなかった。また、比較例3、4のようにバインダーの最低溶融粘
度が最適範囲内にない場合も、抵抗値を低下させることができなかった。
【0072】
一方、実施例1~12のように樹脂粒子を被覆するニッケルメッキ被膜上にビッカース
硬度が高い突起芯材が複数配置された導電性粒子と、最低溶融粘度が最適化されたバイン
ダーとを含有する接続材料を用いることにより、抵抗値を低下させることができた。また
、第1の導電層と第2の導電層との合計の膜厚が、100nm以上500nm以下であり
、第1の導電層の膜厚が、5nm以上であることにより、優れた絶縁性が得られることが
分かった。
【符号の説明】
【0073】
10 コア粒子、11 第1の金属層、12 突起芯材、13 第2の導電層、14
突起
図1