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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】充電装置、充電方法及び被充電機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20221213BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221213BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J7/04 L
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 Q
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020565987
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2019071331
(87)【国際公開番号】W WO2020143020
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2020-11-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ティエン、チェン
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0083458(US,A1)
【文献】国際公開第2018/188006(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040804(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/04
H01M 10/48
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧回路通信制御回路及び充電管理回路を備え、
前記昇圧回路は、パワー供給装置の出力電圧を昇圧して被充電機器のバッテリを充電するために用いられ、
前記通信制御回路は、前記昇圧回路が前記パワー供給装置の出力電圧を昇圧して獲得した前記昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流が前記バッテリの充電要件と一致するように、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するために用いられ
前記充電管理回路は、前記昇圧回路の出力電圧を増加又は低減するために用いられ、
前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差は、前記昇圧回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差より小さい、
ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記通信制御回路は、前記バッテリーの状態情報に基づいて、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示し、
前記バッテリーの状態情報は、充電電圧、充電電流、現在の電気量、現在の電圧、現在の温度のうちの少なくとも一種を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記昇圧回路の入力端は前記パワー供給装置の出力端に電気的に接続され、前記昇圧回路の出力端は前記バッテリに電気的に接続され、
前記バッテリの充電要件は、定電流充電段階でのバッテリの充電電流に関する要件及び/又はバッテリの充電電圧に関する要件を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記通信制御回路は、
前記バッテリーの状態情報に基づいて目標充電電流を確定し、
前記目標充電電流に基づいて、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示する、
ことを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項5】
前記通信制御回路は、
前記目標充電電流と前記パワー供給装置の出力電流との間の差異に基づいて、前記パワー供給装置に調整情報を送信して、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を増加又は低減するように指示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記通信制御回路は、
前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差に基づいて、前記パワー供給装置に前記パワー供給装置の出力電圧を調整するように指示して、前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差を低減する、
ことを特徴とする請求項に記載の充電装置。
【請求項7】
前記昇圧回路の変換効率は、前記充電管理回路の変換効率より高い、
ことを特徴とする請求項に記載の充電装置。
【請求項8】
バッテリ、昇圧回路通信制御回路及び充電管理回路を備え、
前記昇圧回路は、パワー供給装置に接続された入力端を有し、前記パワー供給装置の出力電圧を昇圧して前記バッテリを充電するために用いられ、
前記通信制御回路は、前記バッテリと前記パワー供給装置との間に接続され、前記昇圧回路が前記パワー供給装置の出力電圧を昇圧して獲得した前記昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流が前記バッテリの充電要件と一致するように、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するために用いられ
前記充電管理回路は、前記昇圧回路と前記バッテリとの間に接続され、前記昇圧回路の出力電圧を増加又は低減するために用いられ、
前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差は、前記昇圧回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差より小さい、
ことを特徴とする被充電機器。
【請求項9】
前記通信制御回路は、前記バッテリーの状態情報に基づいて、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示し、
前記バッテリーの状態情報は、充電電圧、充電電流、現在の電気量、現在の電圧、現在の温度のうちの少なくとも一種を含む、
ことを特徴とする請求項に記載の被充電機器。
【請求項10】
前記通信制御回路は、
前記バッテリーの状態情報に基づいて目標充電電流を確定し、
前記目標充電電流に基づいて、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示する、
ことを特徴とする請求項に記載の被充電機器。
【請求項11】
前記通信制御回路は、
前記目標充電電流と前記パワー供給装置の出力電流との間の差異に基づいて、前記パワー供給装置に調整情報を送信して、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を増加又は低減するように指示する、
ことを特徴とする請求項10に記載の被充電機器。
【請求項12】
前記通信制御回路は、
前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差を検出し、
前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差がプリセット範囲を超える場合、前記パワー供給装置に前記パワー供給装置の出力電圧を調整するように指示して、前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差をプリセット範囲内に低減する、
ことを特徴とする請求項に記載の被充電機器。
【請求項13】
前記充電管理回路は昇圧モード又は降圧モードで作動可能であり、
前記昇圧回路の出力電圧が前記バッテリが需要とする電圧より低い場合、前記充電管理回路は昇圧モードに切り替えて、前記昇圧回路の出力電圧を増加し、
前記昇圧回路の出力電圧が前記バッテリが需要とする電圧より高い場合、前記充電管理回路は降圧モードに切り替えて、前記昇圧回路の出力電圧を低減する、
ことを特徴とする請求項に記載の被充電機器。
【請求項14】
前記昇圧回路の変換効率は、前記充電管理回路の変換効率より高い、
ことを特徴とする請求項に記載の被充電機器。
【請求項15】
昇圧回路でパワー供給装置の出力電圧を昇圧するステップと、
充電チャネルを介して昇圧された電圧に応じてバッテリーを充電するステップと、
前記昇圧回路が前記パワー供給装置の出力電圧を昇圧して獲得した前記昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流が前記バッテリの充電要件と一致するように、通信制御回路は前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するステップと、
充電管理回路を利用して前記昇圧回路の出力電圧を管理するステップと、を備え
前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差は、前記昇圧回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差より小さい、
ことを特徴とする充電方法。
【請求項16】
前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することは、
前記バッテリーの状態情報を獲得することと、
前記バッテリーの状態情報に基づいて目標充電電流を確定することと、
前記バッテリーの状態情報に基づいて、前記パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することと、を含み、
前記バッテリーの状態情報は、充電電圧、充電電流、現在の電気量、現在の電圧、現在の温度のうちの少なくとも一種を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の充電方法。
【請求項17】
前記通信制御回路は、前記パワー供給装置に前記パワー供給装置の出力電圧を調整するように指示することは、
前記通信制御回路は、前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差に基づいて前記パワー供給装置と通信して、前記パワー供給装置に前記パワー供給装置の出力電圧を調整するように指示して、前記充電管理回路の入力電圧と前記充電管理回路の出力電圧との間の電圧差をプリセット範囲に低減することを含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電分野に関し、さらに具体的に、充電装置充電方法及び被充電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、被充電機器(例えば、スマートフォンである)は、消費者の間で人気が高まっているが、被充電機器は、大量の電力を消費するので頻繁に充電しなければならない。
【0003】
しかしながら、従来の充電方法で充電される場合、被充電機器の発熱問題は深刻であり、特に高電力で充電される場合、発熱現象はさらに顕著である。従って、現在、被充電機器の熱をどのように低減するかは、現在解決しようとする問題である。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、充電装置を提供する。充電装置は、昇圧回路び通信制御回路を備える。昇圧回路は、パワー供給装置の出力電圧を昇圧して被充電機器のバッテリを充電するために用いられる。信制御回路は、昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリの充電要件と一致するように、ワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するために用いられる。
【0005】
第二態様において、被充電機器を提供する。被充電機器は、バッテリ、昇圧回路及び通 信制御回路を備える。昇圧回路は、パワー供給装置に接続された入力端を有し、パワー供 給装置の出力電圧を昇圧してバッテリを充電するために用いられる。通信制御回路は、バ ッテリとパワー供給装置との間に接続され、昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流がバ ッテリの充電要件と一致するように、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流 を調整するように指示するために用いられる。
【0006】
第三態様において、充電方法を提供する。前記充電方法は、昇圧回路でパワー供給装置の出力電圧を昇圧するステップと、充電チャネルを介して昇圧された電圧に応じてバッテリーを充電するステップと、昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリの充電要件と一致するように、通信制御回路はパワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の実施形態に係わる充電システムの構造を示す概略図である。
図2図2は、本発明の他の実施形態に係わる充電システムの構造を示す概略図である。
図3図3は、本発明の他の実施形態に係わる充電システムの構造を示す概略図である。
図4図4は、本発明の他の実施形態に係わる充電システムの構造を示す概略図である。
図5図5は、本発明の他の実施形態に係わる充電システムの構造を示す概略図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係わる被充電機器の概略図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係わる充電方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来の技術において、被充電機器を充電するためのパワー供給装置が提供される。パワー供給装置は、定電圧モードで動作可能である。定電圧モードでは、パワー供給装置の出力電圧はほぼ一定に維持され、例えば、5V(ボルト)、9V、12V、20Vなどである。
【0009】
パワー供給装置から出力される電圧はバッテリの両端に直接に印加するのには適していなく、被充電機器内のバッテリの予想充電電圧及び/又は充電電流を得るために、先ず被充電機器内の変換回路によって変換することを必要とする。
【0010】
変換回路は、バッテリの予想充電電圧及び/又は充電電流の要求を満たすように、パワー供給装置から出力される電圧を変換するために用いられる。
【0011】
一例として、変換回路は、充電集積回路(integrated circuit,IC)のような充電管理モジュール又は充電管理回路を指すことができる。バッテリの充電過程において、バッテリの充電電圧及び/又は充電電流に対する管理を実現するために用いられる。変換回路は、バッテリの充電電圧及び/又は充電電流に対する管理を実現するために、電圧フィードバックモジュールの機能及び/又は電流フィードバックモジュールの機能を有する。
【0012】
例えば、バッテリの充電過程は、トリクル充電段階、定電流充電段階及び定電圧充電段階のうちの1つ又は複数を備えることができる。トリクル充電段階において、変換回路は、電流フィードバックループを利用して、トリクル充電段階でバッテリに入力される電流がバッテリの予想充電電流の大きさ(例えば、第一充電電流である)を満たすようにする。定電流充電段階において、変換回路は、電流フィードバックループを利用して、定電流充電段階でバッテリに入力される電流がバッテリの予想充電電流の大きさ(例えば、第一充電電流より大きい第二充電電流である)を満たすようにする。定電圧充電段階では、変換回路は、電圧フィードバックループを利用して、定電圧充電段階でバッテリの両端に印加される電圧がバッテリの予想充電電圧の大きさを満たすようにする。
【0013】
一例として、パワー供給装置から出力される電圧がバッテリの予想充電電圧より大きい場合、変換回路はパワー供給装置から出力される電圧に対して降圧処理を行うことで、降圧変換して得られた充電電圧(降圧電圧)がバッテリの予想充電電圧の要求を満たすようにするために用いられても良い。他の一例として、パワー供給装置から出力される電圧がバッテリの予想充電電圧より小さい場合、変換回路はパワー供給装置から出力される電圧に対して昇圧処理を行うことで、昇圧変換して得られた充電電圧(昇圧電圧)がバッテリの予想充電電圧の要求を満たすようにするために用いられても良い。
【0014】
別の一例として、パワー供給装置から5Vの定電圧を出力することを例とすると、バッテリが単セル(single cell)を含む場合、変換回路(例えば、Buck降圧回路である)は、降圧後に得られた充電電圧がバッテリの予想充電電圧の要求を満たすように、パワー供給装置から出力される電圧に対して降圧処理を行うことができる。
【0015】
別の一例として、パワー供給装置から5Vの定電圧を出力することを例とすると、パワー供給装置によって2つ又はそれ以上の単セルが直列接続されてなるバッテリに対して充電する場合、変換回路(例えば、Boost昇圧回路である)は、昇圧後に得られた充電電圧がバッテリの予想充電電圧の要求を満たすように、パワー供給装置から出力される電圧に対して昇圧処理を行うことができる。
【0016】
変換回路は低い回路変換効率によって制限され、その結果、変換されていない部分の電気エネルギーは熱量の形で消散される。この部分の熱量は、被充電機器の内部に蓄積することができる。被充電機器の設計空間や放熱空間はいずれも非常に小さい(例えば、ユーザが使用する携帯端末の物理的な寸法はますます軽く薄くなるとともに、携帯端末の性能を向上させるために大量の電子部品が携帯端末内に密集して配置されている)ので、変換回路の設計上の困難性を向上させるばかりではなく、被充電機器の内部に蓄積された熱量を速やかに除去し難くなり、従って被充電機器の異常を引き起こす。
【0017】
例えば、変換回路に蓄積された熱量は、変換回路付近の電子部品に対して熱干渉を引き起こし、電子部品の動作異常を引き起こすことがある。別の例として、変換回路に蓄積された熱量は、変換回路及びその付近の電子部品の寿命を短縮する可能性がある。さらに別の例として、変換回路に蓄積された熱量は、バッテリに対して熱干渉を引き起こし、従ってバッテリの充放電の異常を引き起こすことがある。さらに別の例として、変換回路に蓄積された熱量は、被充電機器の温度が上昇する原因となり、充電過程におけるユーザの使用体験を影響することがある。さらに別の例として、変換回路に蓄積された熱量は、変換回路自体を短絡させて、パワー供給装置から出力される電圧がバッテリの両端に直接に印加されて充電の異常を引き起こすことがあり、バッテリが長時間にわたって過電圧充電状態にある場合、引いてはバッテリの爆発が発生して、ユーザーの安全を危うくする。
【0018】
従って、被充電機器の熱をどのように低減するかは、現在解決しようとする問題である。
【0019】
本発明の実施形態に係わるパワー供給装置は、出力電圧を調節することができるパワー供給装置である。パワー供給装置は、バッテリの状態情報を取得することができる。バッテリの状態情報は、バッテリの現在の電気量情報、電圧情報、温度情報、充電電圧及び/又は充電電流などを備えることができる。バッテリの予想充電電圧及び/又は予想充電電流の要求を満たすように、パワー供給装置は取得したバッテリの状態情報に基づいてパワー供給装置自体の出力電圧を調節することができる。パワー供給装置によって調節された出力電圧は、バッテリの両端に直接に印加されてバッテリを充電することができる(以下、「直接充電」という)。また、バッテリ充電過程における定電流充電段階では、パワー供給装置によって調節された出力電圧をバッテリの両端に直接に印加してバッテリを充電することができる。
【0020】
パワー供給装置は、バッテリの充電電圧及び/又は充電電流を管理するために、電圧フィードバックモジュールの機能及び電流フィードバックモジュールの機能を有することができる。
【0021】
「パワー供給装置は取得したバッテリの状態情報に基づいてパワー供給装置自体の出力電圧を調節する」ことは、パワー供給装置は、バッテリの状態情報をリアルタイムで取得することができ、毎回取得したリアルタイムなバッテリの状態情報に基づいてパワー供給装置自体の出力電圧を調節して、バッテリの予想充電電圧及び/又は充電電流を満たすようにすることを意味する。
【0022】
「パワー供給装置はリアルタイムで取得したバッテリの状態情報に基づいてパワー供給装置自体の出力電圧を調整する」ことは、充電過程でバッテリーの電圧が絶えずに上昇することにつれて、パワー供給装置は充電中の異なる時刻におけるバッテリーの現在の状態情報を得ることができ、バッテリーの現在の状態情報に基づいてパワー供給装置自体の出力電圧をリアルタイムで調整して、バッテリの予想充電電圧及び/又は充電電流を満たすようにすることを意味する。
【0023】
例えば、バッテリの充電過程は、トリクル充電段階、定電流充電段階及び定電圧充電段階のうちの少なくとも1つを備えることができる。トリクル充電段階では、パワー供給装置はトリクル充電段階で第一充電電流を出力してバッテリを充電することにより、バッテリの予想充電電流の需要を満たすようにする(第一充電電流は一定の直流電流であることができる)。定電流充電段階では、パワー供給装置は、電流/電圧フィードバックループを利用して、定電流充電段階でパワー供給装置から出力されてバッテリに流入する電流がバッテリの予想充電電流の需要を満たすようにする(例えば、第二充電電流は脈動波形の電流であることができ、第二充電電流は第一充電電流より大きくことができ、定電流充電段階における脈動波形の電流ピーク値はトリクル充電段階における一定の直流電流の大きさより大きくことができ、定電流充電段階の定電流とは、脈動波形の電流ピーク又は平均値がほぼ変化しないように保持することを意味する)。定電圧充電段階では、パワー供給装置は、電圧/電流フィードバックループを利用して、定電圧充電段階でパワー供給装置から被充電機器に出力される電圧(即ち、一定直流電圧である)が一定になることにする。
【0024】
上記の充電過程は、単一のセルを含むバッテリ及び複数のセルを含むバッテリの両方に適用可能である。
【0025】
直列に接続された複数のセルを含むバッテリの場合、バッテリの充電段階は、トリクル充電段階、定電流充電段階及び定電圧充電段階を備えることができ、各充電段階の充電過程は上述した充電過程と類似する。各充電段階では、パワー供給装置によって提供される充電電圧/充電電流の大きさは、各段階内の複数のセルの予想合計電圧/電流の要件を満たすことができる。
【0026】
例えば、異なる充電段階では、複数のセルのうちの各セルの充電電圧/充電電流は均衡を保持することを必要として、即ち、各セルの両端の電圧は同じである。トリクル充電段階では、複数のセルのうちの各セルの両端の電圧は同じであり、各セルに流れ込む電流は、トリクル充電段階でのセルの予想電流の要件を満たす。定電流充電段階では、複数のセルのうちの各セルの両端の電圧は同じであり、各セルに流れ込む電流は、定電流充電段階でのセルの予想電流の要件を満たす。定電圧充電段階では、複数のセルのうちの各セルの両端の電圧は同じであり、各セルの両端の電圧は、定電圧充電段階でのセルの予想電圧の要件を満たす。
【0027】
いくつかのバッテリの充電過程は、ただトリクル充電段階及び定電流充電段階を含み、定電圧充電段階を省略し、本出願の実施例はこれに対して具体的に限定しないことに留意されたい。例えば、定電流充電段階において、多段階定電流充電方式でバッテリを完全に充電することができるが、これについては以下で詳細に説明する。
【0028】
例えば、本発明の実施形態に係わるパワー供給装置は、主に、被充電機器内のバッテリの定電流充電段階を制御するために用いられることができる。他の実施形態において、被充電機器内のバッテリのトリクル充電段階及び定電圧充電段階の制御機能も、本発明の実施形態に係わるパワー定電供給装置と被充電機器内の余分の充電チップが協同で完成することができる。定電流充電段階に比べて、トリクル充電段階と定電圧充電段階でバッテリが受け取った充電電力は比較的に小さく、被充電機器内の充電チップの変換効率損失及び熱量累積は許容される。なお、本発明の実施形態に係わる定電流充電段階又は定電流段階は、パワー供給装置の出力電流を制御する充電モードを指すことができるが、パワー供給装置の出力電流を完全に一定に保つ必要はなく、例えば、パワー供給装置から出力される脈動波形の電流のピーク値又は平均値がほぼ変化しないように保持するか、又は一定時間内にほぼ変化しないように保持することができる。例えば、実は、パワー供給装置は定電流充電段階で通常多段階定電流充電方式(multi-stage constant current charging manner)でバッテリーを充電する。
【0029】
多段階定電流充電(multi-stage constant current charging)は、N個(Nは2以上の整数である)の定電流段階を有することができる。多段階定電流充電は、所定の充電電流で第一段階充電を始まる。多段階定電流充電のN個の定電流段階は、第一段階から第N段階まで順次に実行される。定電流段階の中の前の定電流段階から次の定電流段階に移行すると、脈動波形の電流ピーク値又は平均値は小さくなることができる。バッテリ電圧が充電終止電圧閾値に達すると、定電流段階の中の前の定電流段階は次の定電流段階に移行する。隣接する2つの定電流段階の間の電流変換過程は、漸進的な変化であるか、又は、段階状の跳躍的な変化であってもよい。
【0030】
さらに、パワー供給装置の出力電流が脈動直流電流(pulsating DC current)である場合、定電流モードは、脈動直流電流のピーク値又は平均値を制御する充電モードを指し、即ちパワー供給装置の出力電流のピーク値が定電流モードに対応する電流を超えないように制御する。また、パワー供給装置の出力電流が交流電流である場合、定電流モードは、交流電流のピーク値を制御する充電モードを指す。
【0031】
さらに、説明すべきなのは、本発明の実施形態において、被充電機器は端末であることができる。この「端末」は、有線回線によって接続される装置及び/又は無線インタフェースを介して通信信号を受信/送信する装置であることができるが、それに限定されるものではない。有線回線は、例えば、公衆交換電話網(public switched telephone network, PSTN)、デジタル加入者線(digital subscriber line, DSL)、デジタルケーブル、直接接続ケーブル、及び/又は他のデータ接続ライン又はネットワーク接続ラインであることができる。無線インターフェースは、例えば、セルラーネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network,WLAN)、デジタルビデオ放送ハンドヘルド(digital video broadcasting handheld,DVB-H)ネットワークのようなデジタルテレビネットワーク、衛星ネットワーク、振幅変調周波数変調(amplitude modulation-frequency
modulation, AM-FM)放送送信機、及び/又は他の通信端末と通信することであることができる。無線インタフェースを介して通信するように構成された端末は、「無線通信端末」、「無線端末」、及び/又は「移動端末」と呼ぶことができる。移動端末の例としては、衛星又はセルラー電話、パーソナル通信システム(personal communication system,PCS)端末(セルラー無線電話とデータ処理、ファックス及びデータ通信能力を組み合わせることができる)、パーソナルデジタルアシスタント(Persona Digital Assistant, PDA)(無線電話(radio telephone)、ページャ(pager)、インターネット/イントラネットアクセス(Internet/Intranet access)、ウェブブラウジング(web browsing)、ノートブック(notebook)、カレンダー(calendar)及び/又は全地球測位システム(global positioning system, GPS)受信機を備えることができる)及び/又は通常のラップトップ型又はハンドヘルド受信機、又は無線電話機能を備えた他の電子デバイスを備えるが、それに限定されるものではない。また、本発明の実施形態において、被充電機器又は端末は、パワーバンク(power bank)を備えることができる。このパワーバンクは、パワー供給装置によって充電されることができ、従って他の電子装置に電力を供給するためにエネルギーを蓄積することができる。
【0032】
また、本発明の実施形態において、パワー供給装置から出力される脈動波形の電圧が被充電機器のバッテリに直接印加されてバッテリを充電する場合、充電電流は、脈動波(pulsating wave)(例えば、饅頭状波(steamed bun wave)である)の形式で表現されることができる。充電電流は間欠的にバッテリを充電することができると理解されるべきである。充電電流の周期は、入力交流電力、例えば交流電力網の周波数によって変化するものである。例えば、充電電流の周期に対応する周波数は、電力網周波数の整数倍又は逆数倍である。また、充電電流が間欠的にバッテリを充電する場合、該充電電流に対応する電流波形は、電力網と同期した一つ又は一組のパルスから構成することができる。
【0033】
一つの実施形態として、本発明の実施形態において、バッテリは充電過程(例えば、トリクル充電段階、定電流充電段階及び定電圧充電段階のうちの少なくとも1つである)でパワー供給装置から出力される脈動直流電流(方向は一定であり、電流値は時間と共に変化する)、交流電流(方向と電流値はいずれも時間とともに変化する)又は直流電流(即ち、一定の直流電流であり、電流値と方向はいずれも時間とともに変化しない)を受け取ることができる。
【0034】
スイッチング充電器(switching charger)は、バッテリの充電要件に応じて自身の出力を調整することができるので、従来の変換回路はすべてスイッチング充電器を採用して実現し、スイッチング充電器によってバッテリを充電する。しかしながら、スイッチング充電器の変換効率は、スイッチング充電器の入力電圧とスイッチング充電器の出力電圧との間の電圧差によって制限される。スイッチング充電器の入力電圧とスイッチング充電器の出力電圧との間の電圧差が大きい場合、スイッチング充電器の変換効率が低くなり、発熱も深刻である。特に高電力で充電する場合、エネルギー損失はさらに高く、発熱現象はさらに深刻である。携帯電話などのような軽量、薄型であり且つ温度に対する要求が高い製品の場合、スイッチング充電器は性能要件を満たすことができない。本出願の実施形態は、被充電機器が充電過程で発熱することを改善できる充電装置を提供する。
【0035】
図1に示されたように、充電装置20は、昇圧回路22及び充電チャネル21を含む。昇圧回路22は、第一充電電圧を昇圧するために用いられる。充電チャネル21は、昇圧電圧に応じてバッテリ30を充電する。
【0036】
また、充電装置20は、通信制御回路23をさらに備える。通信制御回路23は、パワー供給装置10と通信して、昇圧回路22の出力電圧及び/又は出力電流が前記バッテリの充電要件と一致するように、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するために用いられる。
【0037】
昇圧回路22の変換効率は上述した変換回路の変換効率より高いことができ、換言すると、昇圧回路22の変換効率は充電管理モジュールの変換効率より高い。その変換効率が充電管理回路の変換効率より高いかぎり、本出願の実施形態は昇圧回路のタイプを具体的に限定しない。選択的に、1つの実施形態として、昇圧回路22はチャージポンプであることができる。チャージポンプは、主にスイッチ部品で構成される。電流がスイッチ部品を流れるときに発生する熱の量は比較的小さく、例えば、電流がワイヤを直接流れるときに発生する熱の量にほぼ等しいので、チャージポンプを昇圧回路22として使用すると、昇圧効果を発揮するだけではなく、発熱を抑えることができる。
【0038】
昇圧回路を採用してバッテリを充電しているところ、バッテリの充電電圧及び/又は充電電流に関する要件は、昇圧回路に完全に依存することではなく、パワー供給装置によってその出力電圧及び/又は出力電流を調整することにより満たすことができる。換言すると、昇圧回路の昇圧機能の一部分はパワー供給装置によって実現することができ、他の非常に小さい一部分は昇圧回路によって実現することにより、電圧変換による昇圧回路の発熱を低減することができる。
【0039】
さらに、昇圧回路の変換効率は充電管理モジュールの変換効率より高いので、昇圧回路(例えば、チャージポンプである)で充電する場合、昇圧回路の発熱がより少なく、従って被充電機器の発熱現象をさらに改善することができる。
【0040】
本願の実施形態は、昇圧回路22の昇圧倍率を特に限定しなく、昇圧倍率は昇圧回路の出力電圧と入力電圧との間の比率であることができる。例えば、昇圧倍率は、2:1、3:1、3:2、4:1などである。特定の充電装置で使用される昇圧倍率は、パワー供給装置の出力電圧及びバッテリの電圧に基づいて決定することができる。
【0041】
例えば、パワー供給装置の出力電圧がバッテリ電圧のほぼ半分である場合、昇圧倍率が2:1である昇圧回路を採用することができる。
【0042】
例えば、昇圧倍率が2:1である場合、変換効率を考慮しないと、昇圧回路の出力電流と昇圧回路の入力電流の比は1:2である。
【0043】
本出願の実施形態において、バッテリは複数のセルを含むことができ、複数のセルを充電するために、昇圧回路は第一充電電圧を昇圧することができる。
【0044】
従来の技術において、複数のセルを含むバッテリを充電する場合、通常、出力電圧がバッテリの電圧と一致するパワー供給装置で充電する。例えば、バッテリーの電圧が約8Vである場合、パワー供給装置の出力電圧は8Vより高いことを必要とする。例えば、バッテリを充電するために、パワー供給装置の出力電圧は少なくとも10Vより高いことを必要とする。従って、高電圧のバッテリを充電することを必要とする場合、高電圧バッテリに適合するパワー供給装置を改めて設計する必要がある。これは、コストを増加させる可能性があり、一般的なパワー供給装置(例えば、一般的な電源アダプタである)兼用することができない。本出願の実施形態に係わる技術方案は、出力電圧が低い一般的なパワー供給装置(例えば、出力電圧が5Vであるパワー供給装置である)を兼用することができ、昇圧回路によってパワー供給装置の出力電圧を昇圧することにより、バッテリの現在の充電需要を満たし、バッテリを充電する。本出願の実施形態の技術方案は、従来のアダプタは高電圧バッテリ(例えば、直列に接続された複数のセルを含むバッテリである)を充電することができない問題を解決し、且つコストを節約することができる。
【0045】
本出願は、パワー供給装置10の種類を特に限定しない。例えば、パワー供給装置10は、アダプタ、パワーバンク、車載充電器又はコンピュータ等の装置であることができる。
【0046】
本出願の実施形態で言及されるバッテリは、単一のセルを含むバッテリであることができる。例えば、単一のセルを含むバッテリは高電圧を有することができ、又はバッテリは複数のセルを含むことができ、複数のセルを含むバッテリーの電圧はより高い。
【0047】
図2に示されたように、本発明の実施形態におけるバッテリ30は、直列に接続された複数のセル(少なくとも2つのセル)を含むことができる。直列に接続されたセルは、充電過程でパワー供給装置10によって提供される充電電圧を分圧することができる。図2に示された第一セル31a及び第二セル31bは、複数のセルのうちの任意の2つのセルであることができ、又は複数のセルのうちの任意の2つのグループのセルであることができる。
【0048】
バッテリ30は、1つバッテリであってもよく、複数のバッテリであってもよく、換言すると、本実施形態において直列に接続された第一セル及び第二セルを1つのバッテリパックにパッケージして1つのバッテリを形成することができ、複数のバッテリパックにパッケージして、複数のバッテリを形成することもできる。例えば、バッテリ30は、直列に接続された第一セル及び第二セルを含む1つのバッテリであることができる。別の例では、バッテリ30は2つのバッテリであることができ、一方のバッテリは第一セルを含み、他方のバッテリは第二セルを含む。
【0049】
本出願の実施形態に係わる通信制御回路23は、パワー供給装置10と通信し、且つバッテリ30の状態情報に基づいて、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するために用いられる。バッテリの状態情報は、現在の電気量情報、電圧情報、温度情報、充電電圧及び/又は充電電流のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0050】
本出願の実装形態において、第一充電電圧は、パワー供給装置10の出力電圧であることができる。昇圧回路22は、パワー供給装置10の出力端に電気的に接続された入力端を有する。通信制御回路23は、昇圧回路22の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリ30の現在の充電需要と一致するように、バッテリの状態情報に基づいて、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示するために用いられる。
【0051】
又は、第一充電電圧は、パワー供給装置10の出力電圧を他の回路(例えば、変換回路である)で変換してから獲得したものである。具体的には、パワー供給装置10の出力端は変換回路の入力端に電気的に接続され、変換回路の出力端は昇圧回路22の入力端に電気的に接続される。昇圧回路22は、変換回路の出力電圧を昇圧するために用いられる。通信制御回路23は、昇圧回路22の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリ30の現在の充電需要と一致するように、バッテリの状態情報に基づいて、パワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流を調整するために用いられる。
【0052】
「昇圧回路22の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリ30の現在の充電需要と一致する」とは、昇圧回路22によってパワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流を昇圧してから、充電チャネル21の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリ30の現在需要する充電電圧及び/又は充電電流と一致するようにする(又は、昇圧回路22によってパワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流を昇圧してから、充電チャネル21の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリ30の充電需要(バッテリ30が充電電圧及び/又は充電電流に対する需要)を満たすようにする)ことを意味する。
【0053】
本開示の1つの実施例において、「充電チャネル21の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリ30の現在需要する充電電圧及び/又は充電電流と一致する」とは、充電チャネル21から出力されるDC電力の電圧値及び/又は電流値は、バッテリ30が需要する充電電圧値及び/又は充電電流値と等しいか、又は浮動プリセット範囲内にある(例えば、電圧値は100ミリボルト~200ミリボルトの範囲内で上下変動し、電流値は0.001A~0.005Aの範囲内で上下変動するなど)ことを含む。
【0054】
「通信制御回路23は、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示する」とは、通信制御回路23はバッテリの状態情報を直接にパワー供給装置10に送信して、パワー供給装置10はバッテリの状態情報に基づいてその出力電圧及び/又は出力電流を調整することを意味する。この場合、パワー供給装置10は、出力電圧を上昇させるか下降させるかを自ら判断することができる。
【0055】
又は、「通信制御回路23は、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示する」とは、通信制御回路23はバッテリの状態情報に基づいてパワー供給装置10に調整情報を送信して、パワー供給装置10に出力電圧及び/又は出力電流を上昇させるか下降させるように指示することを意味する。パワー供給装置10は、直接に調整情報に基づいて出力電圧及び/又は出力電流を調整することができる。この場合、パワー供給装置10は、何度もフィードバック及び確認することを必要としなく、一回のフィードバックだけで、パワー供給装置10の出力電圧を需要な電圧に調整することができ、ループ応答時間を短縮することができる。
【0056】
「バッテリの状態情報に基づいて、パワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流を調整する」とは、バッテリの状態情報に基づいて、バッテリ30の現在需要する充電電圧及び/又は充電電流を確定してから、バッテリ30の現在需要する充電電圧及び/又は充電電流に基づいて、パワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流を調整することを意味する。
【0057】
本出願の実施形態は、バッテリの状態情報に基づいてバッテリの現在需要する充電電圧及び/又は充電電流を確定する方式を特に限定しない。以下、説明の便宜上、バッテリの現在需要する充電電流を「目標充電電流」と呼ぶ。
【0058】
一例として、バッテリの状態情報と目標充電電流の対応関係(又は「充電曲線」と呼ぶ)を予め設定することができる。通信制御回路23は、対応関係を取得することができる。充電過程において、通信制御回路23は、バッテリの現在の状態情報に応じて、対応する目標充電電流を見つけることができる。例えば、バッテリ30がある充電段階まで充電された場合、通信制御回路23は、対応関係に応じて、前記充電段階に対応する目標充電電流を取得し、且つ充電チャネルが目標充電電流を採用してバッテリ30を充電するように、パワー供給装置10の出力電流を調整する。このようにバッテリの状態情報と目標充電電流の対応関係を予め設定する方式は、調整過程を簡素化することができる。
【0059】
他の例として、充電過程において、通信制御回路23はバッテリ30の状態情報をリアルタイムで取得し、取得したバッテリの状態情報に応じて、目標充電電流を自ら確定することができる。この場合、通信制御回路23が目標充電電流を確定する能力を具備することを必要とする。このような調整方法はさらに柔軟であり、通信制御回路はいつでもバッテリの充電状態に応じて充電電圧及び/又は充電電流を調整することができ、充電過程でバッテリの充電電圧及び/又は充電電流を調整することは、さらに正確になる。
【0060】
バッテリの状態情報と目標充電電流の対応関係は、バッテリの現在の電圧及び/又は現在の電気量と目標充電電流の対応関係を指すことができる。バッテリの電圧及び/又は電気量が異なると、バッテリが需要とする充電電流も異なることができる。例えば、バッテリの電圧及び/又は電気量が低い場合、バッテリが需要とする充電電流は比較的大きく、従って目標充電電流を大きく設定することができる。バッテリの電圧及び/又は電気量が高い場合、例えば、バッテリが完全に充電されようとしているとき、バッテリが需要とする充電電流は比較的小さく、従って目標充電電流を小さく設定することができる。又は、バッテリの状態情報と目標充電電流の対応関係は、バッテリの現在の温度と目標充電電流の対応関係を指すこともできる。バッテリの異なる温度に応じて、異なる目標充電電流を設定することができる。例えば、バッテリの温度が低い場合、充電速度を高めるために、目標充電電流を大きく設定することができる。バッテリの温度が高い場合、充電過程の発熱を制御するために、目標充電電流を小さく設定することができる。又は、バッテリの状態情報と目標充電電流の対応関係は、バッテリの現在の充電電圧及び/又は充電電流と目標充電電流の対応関係を指すことができる。具体的には、バッテリの充電過程は複数の充電段階を含むことができ、各充電段階では異なる充電電流で充電することができ、現在の充電段階が終了すると、次の充電段階に進む。従って、現在の充電段階の充電電流に応じて次の充電段階の充電電流を確定することができ、次の充電段階の充電電流は目標充電電流である。
【0061】
バッテリの状態情報と目標充電電流の対応関係は、上述した任意の方式の組み合わせであることができ、本出願の実施形態はこれに対して限定しない。
【0062】
本出願の実施形態は、目標充電電流に応じてパワー供給装置10の出力電圧及び/又は電出力電流を調整する方式は特に限定しない。
【0063】
一例として、通信制御回路23は、目標充電電流及びバッテリの現在の充電電流に応じて、パワー供給装置10の出力電流を増減することを確定することができる。目標充電電流がバッテリの現在の充電電流より大きい場合、通信制御回路23は、パワー供給装置10にその出力電流を増加させるように指示することができる。目標充電電流がバッテリの現在の充電電流より小さい場合、通信制御回路23は、パワー供給装置10にその出力電流を減少させるように指示することができる。
【0064】
別の例として、通信制御回路23は、目標充電電流をパワー供給装置10に直接送信することができ、パワー供給装置10は、目標充電電流をその出力電流と比較して、出力電流を増減することを確定することができる。例えば、昇圧回路は昇圧倍率が2:1の昇圧回路である場合、即ち、昇圧回路の出力電流が入力電流の半分であり、昇圧回路はパワー供給装置10の出力電流IをI/2に変換してからバッテリを充電することができる。パワー供給装置10は、目標充電電流の半分とその出力電流を比較して、パワー供給装置10の出力電流が目標充電電流の半分より大きいと判定した場合、その出力電流を減少することができ、パワー供給装置10の出力電流が目標充電電流の半分より小さいと判定した場合、その出力電流を増加することができる。
【0065】
一例では、パワー供給装置10の出力電流は複数のギア位置を有するように設定することができる。パワー供給装置10の出力電流と目標充電電流との差が大きい場合、通信制御回路23はパワー供給装置10の出力電流のギア位置を複数のグレード調整することができる。各ギア位置の電流は、例えば、5mA、10mAなどの固定値に設定することができる。パワー供給装置10の出力電流と目標充電電流との差が小さい場合、通信制御回路23はパワー供給装置10の出力電流のギア位置を1つのグレード調整することができる。
【0066】
本出願の実施形態は、通信制御回路23とパワー供給装置10との間の通信順序を特に限定しない。例えば、通信制御回路23が主動的に通信を開始して、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示する。又は、パワー供給装置10が主動的に通信を開始して、通信制御回路23にパワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流を調整することを必要とするか否かを問い合わせる。パワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流を調整することを必要とする場合、通信制御回路23は、パワー供給装置10の問い合わせに応答して、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示する。
【0067】
通信制御回路23によってバッテリの状態情報をリアルタイムで検出又は監視することができる。通信制御回路23によってバッテリ30の状態情報を検出又は監視する方法は様々である。例えば、検出回路によってバッテリの状態情報を検出することができ、他の方式でバッテリの状態情報を検出することもでき、本出願の実施形態はこれに対して限定しない。
【0068】
通信制御回路23の制御機能は、例えば、マイクロ制御ユニット(MCU)又は被充電機器内部のアプリケーションプロセッサ(application processor,AP)によって実現することができ、MCUとAPが互いに協力して実現することもできる。
【0069】
例えば、2つのセルを有するバッテリに対して定電流充電を行う場合、具体的な実施形態として、バッテリの充電は多段階定電流方式を採用することができ、即ち、複数の定電流充電段階を設置することができ、異なる定電流充電段階は異なる充電電流に対応する。昇圧回路22は、昇圧倍率が2:1である昇圧回路であることができる。電圧変換効率や経路損失を考慮せずに、バッテリが必要とする充電電流がI1である場合、パワー供給装置10の出力電流をI1/2に調整することを必要とする。バッテリが必要とする充電電流がI2である場合、パワー供給装置10の出力電流をI2 /2に調整することを必要とする。
【0070】
バッテリ30の定電流充電段階は、n個の充電段階を含む。n個の充電段階に対して、n個の充電電流[I1、I2、I3、…In](n≧1)をそれぞれ設定し、I1≧I2≧I3... ≧Inである。選択的に、各充電段階に対して充電終止電圧を設定することができ、異なる充電段階の充電終止電圧は同じでもよく、異なってもよい。例えば、n個の充電段階の充電終止電圧について、充電段階に対応する充電電流に応じて異なる充電終止電圧を設定することができる。例えば、充電段階に対応する充電電流が大きい場合、充電終止電圧を低く設定することができ、充電段階に対応する充電電流が小さい場合、充電終止電圧を高く設定することができる。別の例として、n個の充電段階のそれぞれの充電終止電圧は同じであることができ、且つ標準終止電圧よりも高い制限電圧Vnである。制限電圧Vnは、バッテリシステム、採用する材料などに係わる。いくつかの実施形態において、バッテリの標準終止電圧がV0である場合、VnをV0+△Vに設定することができる。例えば、△Vは0.05V~0.1Vの間の値に設定することができる。充電電流I1、I2、I3、…Inの値もバッテリシステム、採用する材料などに係わる。例えば、Inは700mAであることができる。
【0071】
第一充電段階において、通信制御回路23は、パワー供給装置10と通信することができ、パワー供給装置10にその出力電流をI1/2に調整するように指示して、バッテリに流れる充電電流がI1になるように確保する。また、通信制御回路23は、バッテリ30の電圧をリアルタイムで監視することができる。バッテリ30が第一充電終止電圧まで充電されたことが検出されると、バッテリ30の充電過程が次の充電段階に進む必要があることを示す。この場合、バッテリ30の充電電流を、第二充電段階に対応する充電電流I2に調整する必要がある。通信制御回路23は、バッテリ30の電圧が第一充電終止電圧に達したことを検出すると、パワー供給装置10と通信することができ、パワー供給装置10に出力電流を下げるように指示して、バッテリ30の電圧が第二充電終止電圧に達するまで、パワー供給装置10の出力電流をI2/2に調整するようにする。最終充電段階(即ち、第n充電段階)に対応する充電電流Inで充電して第n充電終止電圧に達するまで、上述したステップを繰り返す。
【0072】
上述した「パワー供給装置10の出力電流はI1/2である」とは、パワー供給装置10の出力電流が一定であることを意味するものではなく、例えば、パワー供給装置10の脈動波形の電流ピーク又は平均値がほぼ変化しないように保持されることを意味するか、又はパワー供給装置10の出力電流が約I1/2であることを意味し、例えば、パワー供給装置10の出力電流は(1+2%)I1/2であることができる。
【0073】
以下、図3を参照して、本出願の実施形態に係わる充電過程を説明する。図3に示されたチャージポンプは、2倍昇圧チャージポンプである。チャージポンプが作動しているところ、電圧変換は2つの段階で実現することができる。第一段階では、スイッチS1とS2がオフ状態になり、スイッチS3とS4がオン状態になり、キャパシタはその電圧が ャージポンプの入力電圧と等しくなるまで充電される。第二段階では、スイッチS3とS4がオフ状態になり、スイッチS1とS2がオン状態になる。キャパシタ両端の電圧降下はすぐに変化しないので、チャージポンプの出力電圧はキャパシタの入力電圧の2倍に突然変化する。このようにして、電圧倍増を実現することができる。
【0074】
チャージポンプの入力電圧はVinであり、チャージポンプの入力電流はIinであり、チャージポンプの出力電圧はVoutであり、チャージポンプの出力電流はIoutである。チャージポンプの入力端はパワー供給装置の出力端に電気的に接続され、チャージポンプの出力端はバッテリに電気的に接続される。図3に示されたバッテリは、2つのセルを含む。コントローラは、バッテリの充電状態を絶えずに監視し、且つバッテリの充電状態をパワー供給装置に報告する。パワー供給装置は、バッテリの充電状態に基づいて、その出力電圧及び/又は出力電流を調整する。
【0075】
図3に示されたコントローラは、 本出願の実装形態に係わる通信制御回路であることができる。
【0076】
図3に示されたチャージポンプについて、変換効率を考慮しないと、Vout=2*Vin、Iout=Iin/2である。バッテリに対して定電流充電する場合、バッテリが期待する充電電流がImであると、パワー供給装置の出力定電流をIin=Im/2となるように設定する。このように、チャージポンプによる電圧倍増により、チャージポンプの出力電流はIout=Imとなり、バッテリの充電電流要件を満たすことができる。
【0077】
バッテリの定電流充電段階では、通常、多段階定電流充電方式で充電する。バッテリの充電電流の要件は、充電段階によって異なる。一例として、バッテリの定電流充電段階は、n個の充電段階を含み、第一充電段階から第n充電段階の充電電流は、それぞれIm1、Im2、...、Imnである。ここで、Im1≧Im2≧Im3...≧Imnである。第一充電段階では、バッテリの充電電流を定電流Im1にする必要がある場合、パワー供給装置の出力定電流は、Iin=Im1/2に設定することができる。コントローラは、バッテリが第一充電段階で指定された電圧まで充電されたことを検出すると、バッテリの充電電流がIm2になるように制御することができる。このとき、コントローラは、パワー供給装置にその出力電流を減少させるように通知し、パワー供給装置の出力定電流をIin=Im2/2になるように調整することができ、このように類推することができる。コントローラは、パワー供給装置の出力定電流を絶えずに設定して、バッテリが完全に充電されるまで、バッテリに流れ込む定電流を調整することができる。
【0078】
本出願の実施形態によって提供される充電装置20は、充電管理回路24をさらに含むことができる。図4に示されたように、充電管理回路24は、昇圧回路22の出力電圧を管理するために用いられる。充電管理回路24の入力電圧と充電管理回路24の出力電圧との間の電圧差は、昇圧回路22の入力電圧と充電管理回路24の出力電圧との間の電圧差より小さい。
【0079】
本出願の実施形態に係わる技術方案において、昇圧回路22は、充電管理回路24がパワー供給装置10の出力電圧を昇圧する機能を分担することができる。充電管理回路のみが充電に使用される従来の技術方案と比較して、充電管理回路24の入力電圧と充電管理回路24の出力電圧との間の電圧差を減少させることができ、従って充電管理回路24の発熱を減少することができる。
【0080】
選択的に、昇圧回路22の変換効率は、充電管理回路24の変換効率より高い。充電管理回路24は、インダクタンスに基づく充電管理回路であることができる。この場合、充電管理回路24は、誘導型降圧回路(inductive buck circuit)を採用して降圧するか、又は誘導型昇圧回路(inductive boost circuit)を採用して昇圧することができる。昇圧回路22は、容量性昇圧回路(capacitive boost circuit)(例えば、チャージポンプなど)を採用して昇圧するか、又は誘導性昇圧回路及び容量性昇圧回路が統合された昇圧回路を採用して昇圧することができる。
【0081】
充電管理回路24は、バッテリが期待する充電電圧及び/又は充電電流を取得するように、昇圧回路22の出力電圧に対して定電圧及び/又は定電流制御を実行するために用いられる。具体的には、充電管理回路24の入力端は昇圧回路22の出力端に電気的に接続され、充電管理回路24の出力端はバッテリに電気的に接続される。充電管理回路24は、昇圧回路22の出力電圧及び/又は出力電流を受け取って、昇圧回路22の出力電圧及び/又は出力電流をバッテリ30の現在需要とする充電電圧及び/又は充電電流に変換して、バッテリ30を充電するために用いられる。
【0082】
充電管理回路24は、昇圧機能を有する充電管理回路であるか、又は降圧機能を有する充電管理回路であることができる。例えば、充電管理回路は、昇圧回路の出力電圧を昇圧してから、バッテリ30を充電することができる。又は、充電管理回路は、昇圧回路の出力電圧を降圧してから、バッテリ30を充電することができる。
【0083】
充電管理回路24が昇圧モードで作動する(即ち、昇圧機能を使用するか、又は降圧 モードで作動する(即ち、降圧機能を使用するかは、昇圧回路22の出力電圧及びバッテリ30の電圧に応じて確定することができる。昇圧回路22の出力電圧がバッテリ30が需要とする電圧より高い場合、充電管理回路24は降圧モードに切り替えて、昇圧回路22の出力電圧を降圧することができる。昇圧回路22の出力電圧がバッテリ30が需要とする電圧より低い場合、充電管理回路24は、昇圧モードに切り替えて、昇圧回路22の出力電圧を昇圧することができる。
【0084】
選択的に、通信制御回路23は、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を調整するように、パワー供給装置10と通信して、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することができる。
【0085】
選択的に、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を低減するように、通信制御回路23は、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差に基づいてパワー供給装置10と通信して、パワー供給装置10にその出力電圧を調整するように指示することができる。
【0086】
充電管理回路24の変換効率は、その入力端と出力端との間の電圧差に正の相関がある。 従って充電管理回路24の電圧差を小さくすることにより、充電管理回路24の発熱を低減することができ、従って被充電機器の発熱をさらに低減することができる。
【0087】
パワー供給装置10がその出力電圧を調整することは、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差が予め設定された範囲内にあるように、パワー供給装置10がその出力電圧を調整することを含む。
【0088】
通信制御回路23は、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差をリアルタイムで検出又は監視することができる。通信制御回路23によって充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差をリアルタイムで検出又は監視する方式は様々であり、 例えば、充電管理回路24の電圧差は、電圧検出回路又は他の方法で検出することができ、本出願の実施形態はこれに対して限定しない。
【0089】
通信制御回路23の制御機能は、例えば、MCUによって実現することができ、又は被充電機器内のAPによって実現することができ、MCUとAPが互いに協働して実現することもできる。
【0090】
本出願の実施形態は、通信制御回路23とパワー供給装置10との間の通信順序を特に限定しない。例えば、通信制御回路23が主動的に通信を開始して、パワー供給装置10にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示して、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を低減するようにする。又は、パワー供給装置10が主動的に通信を開始して、通信制御回路23に充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を低減することを必要とするか否かを問い合わせる。電圧差を低減することを必要とする場合、通信制御回路23は、パワー供給装置10の問い合わせに応答して、パワー供給装置10に充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を低減するように指示する。
【0091】
本出願の実施形態において、電圧差のプリセット範囲を予め設定することができ、プリセット範囲内では、充電管理回路の変換効率がより高い。パワー供給装置10は、その出力電圧を調整することにより、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差がプリセット範囲内にあるようにする。これは、充電管理回路24の変換効率を高め、充電管理回路の発熱を低減することに有益である。
【0092】
プリセット範囲は、充電管理回路24の変換効率がより高い範囲であることができる。例えば、電圧差が0~500mVの間にある場合、充電管理回路24の変換効率はより高いので、プリセット範囲を0~500mVに設定することができる。
【0093】
通信制御回路23は、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を検出することができ、電圧差がプリセット範囲内にない場合、パワー供給装置10にその出力電圧を調整するように指示して、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を低減する。従って充電管理回路24が高い変換効率で連続的に動作するように確保し、充電管理回路24の発熱を制御することができ、さらに被充電機器の発熱を低減することができる。
【0094】
1つの実施例として、5Vの出力電圧を有するパワー供給装置10は、2つのセルを含むバッテリを充電する。昇圧回路22は、2:1の昇圧倍率を有する昇圧回路であることができる。通信制御回路23は、充電管理回路24と通信して、現在の充電状態では、充電管理回路の入力電圧をいくらに設定すれば高い変換効率を得ることができるかを知ることができる。例えば、充電管理回路24の出力電圧がV1である場合、充電管理回路24の入力電圧がV1~V1±500mVであると、充電管理回路24の変換効率が高い。昇圧回路22の昇圧倍率は2:1であるので、昇圧回路22の入力電圧が(V1~V1±500mV)/2の範囲内にあるとき、充電管理回路24の変換効率が高い。従って、通信制御回路23は、パワー供給装置10と通信して、パワー供給装置10にその出力電圧を調整するように指示し、パワー供給装置10の出力電圧が(V1~V1±500mV)/2の範囲内にあるようにする。従って充電管理回路24は、期待する入力電圧を得ることができ、充電管理回路24の入力電圧と出力電圧との間の電圧差が0~500mVの間にあるように確保することができ、充電管理回路24の変換効率を向上させる。
【0095】
通信制御回路23は充電中にパワー供給装置10及び充電管理回路24と通信することができるので、充電管理回路24は高い変換効率で連続的に動作する。従って充電装置20の変換効率が高く、充電過程の発熱を低減することができる。
【0096】
以下、図5を参照して、本出願の実施形態に係わる充電装置に対して説明する。図5に示されたチャージポンプは、2倍昇圧チャージポンプである。チャージポンプの入力電圧はVinであり、チャージポンプの入力電流はIinであり、チャージポンプの出力電圧はVoutであり、チャージポンプの出力電流はIoutである。チャージポンプの入力端はパワー供給装置の出力端に電気的に接続され、チャージポンプの出力端は充電管理回路の入力端に電気的に接続される。充電管理回路の出力端は、バッテリに電気的に接続される。図5に示されたバッテリは、2つのセルを含む。
【0097】
充電管理回路は、チャージポンプの出力電圧及び出力電流に対して定電圧及び/又は定電流制御するために用いられ、その結果、充電管理回路の出力電圧及び出力電流はバッテリーが必要とする充電電圧及び充電電流と一致する。
【0098】
チャージポンプの動作原理によれば、変換効率を考慮しないと、Vout=2*Vin、Iout=Iin/2である。
【0099】
チャージポンプは昇圧機能の一部を分担することができるので、充電装置の充電管理回路に対する昇圧需要を低減することができ、充電管理回路の発熱を低減することができる。なお、チャージポンプの変換効率は充電管理回路の変換効率よりも高いので、同じ大きさの電圧を上げる場合、チャージポンプの発熱は充電管理回路より低い。従って充電装置にチャージポンプを導入することにより、充電装置の発熱を低減することができる。
【0100】
以下、具体的な例を挙げて説明する。一般的なパワー供給装置の出力電圧は一般的に約5Vであり、2つのセルを含むバッテリの電圧は一般的に8Vより高い。一般的なパワー供給装置で2つのセルを含むバッテリを充電する場合、10Vより大きい電圧を採用して2つのセルを含むバッテリを充電することを必要とする。2つのセルを含むバッテリの充電電圧が11Vである場合、充電装置はただ充電管理回路を採用して昇圧すると、充電管理回路はパワー供給装置の出力電圧を6V上げる必要があり、充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差は6Vである。充電装置が2倍昇圧チャージポンプと充電管理回路の両方で昇圧する場合、チャージポンプは5Vの昇圧電圧差を担当することができるので、充電管理回路はチャージポンプの出力電圧を1V上げるだけで、バッテリの充電需要を満たすことができる。
【0101】
チャージポンプを導入することにより、充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を大幅に低減することができる。充電管理回路の変換効率は電圧差に関するので、電圧差が減少された後、充電管理回路の発熱も改善される。
【0102】
また、チャージポンプの変換効率は充電管理回路より高いので、充電管理回路が電圧を5V上げるときに発生する熱は、チャージポンプが電圧を5V上げるときに発生する熱よりも高い。従って、充電装置にチャージポンプを導入することにより、チャージポンプと充電管理回路が電圧を6V上げるときに発生する熱は、充電管理回路のみによって電圧を6V上げるときに発生する熱より低いので、充電装置の発熱を低減することができる。
【0103】
さらに、充電管理回路の変換効率は、その入力電圧と出力電圧との間の電圧差に関するので、充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差が特定の範囲内にある場合、充電管理回路の変換効率が高い。充電過程において、発熱を減少するために、充電管理回路の変換効率が高いことを望む。
【0104】
従って、充電装置はコントローラを採用して充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を制御することができ、充電管理回路の変換効率を高くすることができる。コントローラは、本出願の実施形態で説明される通信制御回路であることができる。
【0105】
充電過程において、コントローラは充電管理回路と通信して、充電管理回路の状態情報を取得することができる。充電管理回路の状態情報は、充電管理回路の出力電圧及び/又は入力電圧と出力電圧との間の電圧差を含むことができる。コントローラは、充電管理回路の状態情報に基づいて、パワー供給装置の出力電圧及び/又は出力電流を調整し、さらにパワー供給装置の入力電圧を調整して、充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を適切な範囲内に制御することができる。
【0106】
選択的に、コントローラは、「充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差が第一プリセット範囲内にあると、充電管理回路の変換効率が高い」ことを予め知っている。コントローラは、充電管理回路の現在の出力電圧を取得した後、第一プリセット範囲に基づいて、充電管理回路の入力電圧をいくらに設定すれば高い変換効率を得ることができるかを確定する。コントローラは、充電管理回路の入力電圧が第一範囲内にあればよいと判断したと仮定すると、確定された充電管理回路の入力電圧に基づいて、パワー供給装置がその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように制御することにより、充電管理回路の入力電圧が第一範囲内にあるようにする。
【0107】
コントローラは、充電管理回路の入力電圧がVmである場合、充電管理回路の変換効率が高いと判断すると、2倍昇圧チャージポンプが存在するので、経路損失を考慮せずに、コントローラはパワー供給装置の出力電圧をVm/2に制御することができる。このようにして、充電管理回路は所望の入力電圧を得ることができ、充電管理回路の変換効率が高い。
【0108】
コントローラは、充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を取得した場合、充電管理回路の実際の電圧差と第一プリセット範囲を比較することができる。実際の電圧差が第一プリセット範囲より大きく、且つ充電管理回路の入力電圧が充電管理回路の出力電圧より低い場合、コントローラは、パワー供給装置を制御して、パワー供給装置の出力電圧を増加することができる。実際の電圧差が第一プリセット範囲より大きく、且つ充電管理回路の入力電圧が充電管理回路の出力電圧より高い場合、コントローラは、パワー供給装置を制御して、パワー供給装置の出力電圧を低減することができる。実際の電圧差が第一プリセット範囲内にある場合、パワー供給装置の出力電圧を調整しない。
【0109】
コントローラは、充電管理回路がずっと高い変換効率で作動するように、充電過程全体で、充電管理回路及びパワー供給装置と絶えずに通信することができる。このようにして、充電システムは最適な状態になり、充電効率を確保するとともに、発熱を減少する。
【0110】
上述した実施態様において、充電管理回路24の入力端は昇圧回路22の出力端に電気的に接続されるが、本出願の実施態様はこれに限定されない。例えば、充電管理回路24は、昇圧回路22の前に配置されてもよい。つまり、充電管理回路24の入力端はパワー供給装置10の出力端に電気的に接続され、充電管理回路24の出力端は昇圧回路22の入力端に電気的に接続される。充電管理回路24は、パワー供給装置10の出力電圧及び/又は出力電流に対して定電圧及び/又は定電流制御することができる。
【0111】
例えば、昇圧回路22の昇圧倍率は2:1であり、バッテリ30が現在必要とする充電電流はIxである。充電管理回路24は、パワー供給装置10の出力電流に対して定電流制御して、充電管理回路24の出力電流をIx/2に安定させる。従って、充電管理回路24の出力電流は昇圧回路22によって昇圧変換されて、安定な電流をIxを出力し、バッテリ30の現在の充電要件を満たすことができる。
【0112】
図6に示されたように、本願の実施形態は、さらに被充電機器を提供する。被充電機器は、バッテリ及び上述したいずれか1つの実施形態の充電装置を含む。
【0113】
選択的に、バッテリは複数のセルを含む。
【0114】
以上、図1図6を参照して、本出願の装置実施例を詳細に説明した。以下、図7を参照して、本出願の方法実施例を詳細に説明する。方法実施例と装置実施例は互いに対応するので、方法実施例で詳しく説明しなかった部分は、各装置実施例を参照することができる。
【0115】
図7は、本出願の実施形態に係わる充電方法のフローチャートである。この方法は、充電装置に適用可能であり、例えば、上述した充電装置20である。図7の方法は、ステップS510~S530を含む。
【0116】
S510、昇圧回路でパワー供給装置の出力電圧を昇圧する。
【0117】
S520、充電チャネルを介して昇圧された電圧に応じてバッテリーを充電する。
【0118】
S530、昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流が前記バッテリの充電要件と一致するように、通信制御回路を介してパワー供給装置と通信して、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示する。
【0119】
選択的に、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することは、バッテリーの状態情報に基づいて、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することを含む。バッテリーの状態情報は、充電電圧、充電電流、現在の電気量、現在の電圧、現在の温度のうちの少なくとも一種を含む。
【0120】
選択的に、昇圧回路の入力端はパワー供給装置の出力端に電気的に接続され、昇圧回路の出力端はバッテリに電気的に接続される。パワー供給装置はその出力電圧及び/又は出力電流を調整して、昇圧回路の出力電圧及び/又は出力電流がバッテリが必要とする充電電圧及び/又は充電電流と一致するようにする。
【0121】
選択的に、バッテリーの状態情報に基づいて、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することは、バッテリーの状態情報に基づいて、目標充電電流を確定することと、目標充電電流に基づいて、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することと、を含む。
【0122】
選択的に、目標充電電流に基づいて、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することは、目標充電電流とパワー供給装置の出力電流との間の差異に基づいて、パワー供給装置に調整情報を送信して、パワー供給装置にその出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示することを含む。
【0123】
選択的に、前記充電方法は、さらに以下の内容を含む。充電管理回路によって昇圧回路の出力電圧を管理し、充電管理回路の入力電圧と充電管理回路の出力電圧との間の電圧差は、昇圧回路の入力電圧と充電管理回路の出力電圧との間の電圧差より小さい。
【0124】
選択的に、前記充電方法は、さらに以下の内容を含む。通信制御回路を介してパワー供給装置と通信して、パワー供給装置にその出力電圧を調整するように指示して、充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差を調整するようにする。
【0125】
選択的に、通信制御回路を介してパワー供給装置と通信して、パワー供給装置にその出力電圧を調整するように指示することは、通信制御回路は、充電管理回路の入力電圧と充電管理回路の出力電圧との間の電圧差に基づいてパワー供給装置と通信して、パワー供給装置にその出力電圧を調整するように指示して、充電管理回路の入力電圧と充電管理回路の出力電圧との間の電圧差を低減することを含む。
【0126】
選択的に、パワー供給装置はその出力電圧を調整することは、パワー供給装置はその出力電圧を調整して、充電管理回路の入力電圧と充電管理回路の出力電圧との間の電圧差がプリセット範囲内にあるようにすることを含む。
【0127】
選択的に、昇圧回路の変換効率は、充電管理回路の変換効率より高い。
【0128】
選択的に、昇圧回路は、チャージポンプである。
【0129】
選択的に、バッテリの充電段階は、定電流充電段階である。
【0130】
選択的に、バッテリは複数のセルを含む。
【0131】
上述した実施形態において、全部又は一部はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、又は任意の他の組み合わせによって実現することができる。ソフトウェアによって実現する場合、全部又は一部は、コンピュータプログラム製品の形式で実現することができる。コンピュータプログラム製品は、1つ又は複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータにコンピュータプログラム命令をアップロードして実行される場合、本発明の実装形態のプロセス又は機能の全部または一部が実行される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラム可能な装置であることができる。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、又は1つのコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信することができる。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、デジタル加入者線(digital subscriber line, DSL)である)又は無線(赤外線、無線、マイクロ波などである)方式によって、あるウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタに送信することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータがアクセスすることができる任意の利用可能な媒体、又は1つ又は複数の利用可能な媒体統合を含むサーバ、データセンタなどのデータ記憶装置であることができる。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、ソフトディスク、ハードディスク、磁気テープである)、光学媒体(例えば、デジタルビデオディスク(digital video disc,DVD)である)、又は半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスク(solid state disk,SSD)である)などであることができる。
【0132】
本願に開示された実施例に基づいて記載される各例示のユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータープログラムと電子ハードウェアとの組み合わせにより実現され得ることは、当業者とって明らかである。これらの機能は、ハードウェアにより実行されるか又はソフトウェアにより実行されるかについて、技術方案の特定の応用場合や設計の制限条件などによって決められる。当業者は、特定応用ごとに異なる方法を使用して記載される機能を実現できるが、これらの実現は、本発明の範囲を超えると見なされるべきではない。
【0133】
本願によって提供される幾つかの実施形態において、開示されるシステム、装置及び方法は、他の形態により実現され得ると理解されるべきである。例えば、上記に説明された装置の実施例は、例示するためのものに過ぎない。例えば、ユニットの分割は、ロジック機能の分割に過ぎず、実際に実現するときに別の分割形態を有してもよい。例えば、複数のユニット又は部品を組み合わせ、又は別のシステムに集積し、又は若干の特徴を無視し、又は実行しなくてもよい。さらに、図示又は検討する相互間の結合や直接結合や通信接続は、いくつかのインタフェース、装置、又はユニットの間接結合や通信接続であってもよいし、電気、機械や他の形態であってもよい。
【0134】
分離部品として記載されたユニットは、物理的に分離してもよいし、分離しなくてもよい。ユニットとして表示される部品は、物理的なユニットであってもよいし、物理的なユニットではなくておもよい。即ち、一つの箇所に設置してもよいし、複数のネットワークユニットに設置してもよい。実際の要求に応じて一部又は全部のユニットを選択して本実施例の技術方案の目的を実現することができる。
【0135】
また、本発明に係る各実施例の各機能ユニットは、1つの処理ユニットに集積されてもよいし、物理的に分離された複数のユニットとして存在してもよいし、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積してもよい。
【0136】
上述したのは、ただ本願の具体的な実施形態であり、本願の保護範囲はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本願に開示された技術範囲内で変更又は置換を容易に想到しうることであり、全て本出願の範囲内に含まれるべきである。従って本願の保護範囲は特許請求の範囲によって決めるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7