(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】3次元プリントラティスグリルを有するラウドスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20221213BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H04R1/02 104Z
B60R11/02 S
H04R1/02 102B
(21)【出願番号】P 2020568242
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 US2019035762
(87)【国際公開番号】W WO2019236823
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード・カイル・スバット
(72)【発明者】
【氏名】カール・ジェー・プライス
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0070736(US,A1)
【文献】国際公開第2017/033744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/38
A47C 7/62
B60N 2/80
B60R 11/02
H04R 1/02
H04R 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ヘッドレストであって、
電気音響変換器と、
音響チャンバを画定する音響エンクロージャであって、前記電気音響変換器の後方放射面が、前記音響チャンバ内に音響エネルギーを放射するように、前記電気音響変換器を支持する、音響エンクロージャと、
ユーザの頭を支持するために前記音響エンクロージャに結合されたクッション部材と、
前記電気音響変換器の前方放射面に重なるグリル部材であって、3Dプリントラティスを備える、グリル部材と、
を備える、車両ヘッドレスト。
【請求項2】
前記音響エンクロージャが、
前記車両ヘッドレストの背面を画定する後方カバーと、
前記電気音響変換器を支持するバッフル部材と、
を備える、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項3】
バッフルが、複数の凹部を画定する、請求項2に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項4】
前記クッション部材が、
ユーザの頭を支持するためのクッション層と、
前記バッフル内の前記凹部に係合して、それによって、前記クッション部材を前記バッフルに結合させるための複数の機構を備える、装着部材と、
を備える、請求項3に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項5】
前記3Dプリントラティスが、非線形の荷重圧縮プロファイルを有する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項6】
前記3Dプリントラティスが、前記グリル部材の特定のエリアを音響的にマスクするように調整されたラティス形状を有する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項7】
前記3Dプリントラティスが、前記グリル部材内の音響チャネルを少なくとも部分的に画定するラティス形状を有する、請求項6に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項8】
前記グリル部材に結合された音響チャネルを更に備え、前記音響チャネルが、少なくとも部分的に、3Dプリントプロセスにおいて前記3Dプリントラティスと一体的に形成される連続的な湾曲した平面によって画定される、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項9】
前記グリル部材を前記音響エンクロージャに結合させるために、前記グリル部材によって支持された第1の結合部材を更に備える、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項10】
結合部材が、前記3Dプリントラティスと一体的に形成されている、請求項9に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項11】
前記3Dプリントラティスが、結合部材を受容するための凹部を画定する、請求項9に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項12】
前記3Dプリントラティスが、前記クッション部材のエネルギー吸収と実質的に同じであるエネルギー吸収を有するように調整されている、ラティス形状を有する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項13】
第1の結合部材に係合して、それによって、前記グリル部材を前記音響エンクロージャに結合させるための、前記音響エンクロージャによって支持された第2の結合部材を更に備える、請求項12に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項14】
前記第1の結合部材及び第2の結合部材が、前記第1の結合部材及び第2の結合部材を互いに結合させるようにインターロックするフックを含む、請求項13に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項15】
3Dラティスが、クリスマスツリー締結具の第1の端を受容するための凹部を画定し、前記音響エンクロージャが、前記クリスマスツリー締結具の第2の反対の端を受容するための開口を画定して、それによって、前記グリル部材を前記音響エンクロージャに結合させる、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項16】
前記車両ヘッドレストをシートバックに固定するために、前記音響エンクロージャに結合された支持ロッドを更に備える、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項17】
前記グリル部材が、前記グリル部材及びクッション部材が一緒に前記車両ヘッドレストの正面輪郭を画定するように、前記クッション部材に隣接して配置されている、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項18】
ラウドスピーカであって、
電気音響変換器と、
音響チャンバを画定する音響エンクロージャであって、動作中に、前記電気音響変換器の後方放射面が、前記音響チャンバ内に音響エネルギーを放射されるように前記電気音響変換器を支持する、音響エンクロージャと、
前記電気音響変換器の前方放射面に重なるグリル部材であって、3Dプリントラティスを備える、グリル部材と、
を備える、ラウドスピーカ。
【請求項19】
音響チャネルを更に備え、前記3Dプリントラティスが、前記電気音響変換器の前記前方放射面から所望の方向に向かって音響放射を方向転換するための前記音響チャネルを少なくとも部分的に画定する、請求項18に記載のラウドスピーカ。
【請求項20】
前記3Dプリントラティスが、エラストマーポリウレタンで形成されている、請求項18に記載のラウドスピーカ。
【請求項21】
前記3Dプリントラティスが、オープンセルの網状組織を画定するポリマーの相互接続されたスポークの3Dグリッドを備える、請求項18に記載のラウドスピーカ。
【請求項22】
前記3Dプリントラティスが、非線形の荷重圧縮プロファイルを有する、請求項18に記載のラウドスピーカ。
【請求項23】
前記3Dプリントラティスが、前記グリル部材の特定のエリアを音響的にマスクするように調整されている、ラティス形状を有する、請求項18に記載のラウドスピーカ。
【請求項24】
前記3Dプリントラティスが、前記グリル部材内の音響チャネルを少なくとも部分的に画定するラティス形状を有する、請求項23に記載のラウドスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、3D(3次元(3D:3-Dimentional))プリントラティスグリルを有するラウドスピーカに関する。
【発明の概要】
【0002】
以下で言及される全ての例及び特徴は、任意の技術的に可能な方法で組み合わせることができる。
一態様では、車両ヘッドレストは、電気音響変換器と、音響エンクロージャと、を含む。音響エンクロージャは、音響チャンバを画定する。音響エンクロージャは、電気音響変換器の後方放射面が、音響チャンバ内に音響エネルギーを放射するように電気音響変換器を支持する。クッション部材は、ユーザの頭を支持するために音響エンクロージャに結合されている。グリル部材は、電気音響変換器の前方放射面に重なる。グリル部材は、3Dプリントラティスで形成されている。
【0003】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0004】
いくつかの実装形態では、音響エンクロージャが、ヘッドレストの背面を画定する後方カバーと、電気音響変換器を支持するバッフル部材と、を含む。
【0005】
特定の実装形態では、バッフルが、複数の凹部を画定する。
【0006】
いくつかの例では、クッション部材は、ユーザの頭を支持するためのクッション層と、バッフル内の凹部に係合して、それによって、クッション部材をバッフルに結合させるための、複数の機構を備える装着部材と、を含む。
【0007】
特定の例では、3Dプリントラティスは、非線形の荷重圧縮プロファイルを有する。
【0008】
いくつかの場合では、3Dプリントラティスは、グリル部材の特定のエリアを音響的にマスクするように調整されている、ラティス形状を有する。
【0009】
特定の場合では、3Dプリントラティスは、グリル部材内の音響チャネルを少なくとも部分的に画定するラティス形状を有する。
【0010】
いくつかの実装形態では、車両ヘッドレストは、グリル部材に結合された音響チャネルを含む。音響チャネルは、少なくとも部分的に、3Dプリントプロセスにおいて、3Dプリントラティスと一体的に形成された連続的な湾曲した平面によって画定される。
【0011】
特定の実装形態では、車両ヘッドレストは、グリル部材を音響エンクロージャに結合させるために、グリル部材によって支持された第1の結合部材を含む。
【0012】
いくつかの例では、結合部材は、3Dプリントラティスと一体的に形成されている。
【0013】
特定の例では、3Dプリントラティスは、結合部材を受容するための凹部を画定する。
【0014】
いくつかの場合では、3Dプリントラティスは、クッション部材のエネルギー吸収と実質的に同じであるエネルギー吸収を有するように調整されたラティス形状を有する。
【0015】
特定の場合では、車両ヘッドレストは、第1の結合部材に係合して、それによって、グリル部材を音響エンクロージャに結合させるための、音響エンクロージャによって支持されている、第2の結合部材を含む。
【0016】
いくつかの実装形態では、第1及び第2の結合部材は、第1及び第2の結合部材を互いに結合させるようにインターロックするフックを含む。
【0017】
特定の実装形態では、3Dラティスは、クリスマスツリー締結具の第1の端を受容するための凹部を画定する。音響エンクロージャは、クリスマスツリー締結具の第2の反対の端を受容して、それによって、グリル部材を音響エンクロージャに結合させるための開口を画定する。
【0018】
いくつかの例では、車両ヘッドレストは、ヘッドレストをシートバックに固定するために、音響エンクロージャに結合された支持ロッドを含む。
【0019】
特定の例では、グリル部材は、グリル部材及びクッション部材が一緒にヘッドレストの正面輪郭を画定するように、クッション部材に隣接して配置されている。
【0020】
別の態様では、ラウドスピーカは、電気音響変換器と、音響エンクロージャと、を含む。音響エンクロージャは、音響チャンバを画定する。音響エンクロージャは、電気音響変換器の後方放射面が、音響チャンバ内に音響エネルギーを放射するように電気音響変換器を支持する。グリル部材は、電気音響変換器の前方放射面に重なる。グリル部材は、3Dプリントラティスで形成されている。
【0021】
実装形態は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0022】
音響チャネルを更に備え、3Dプリントラティスが、電気音響変換器の前方放射面から所望の方向に向かって音響放射を方向転換するための音響チャネルを少なくとも部分的に画定する、請求項1617に記載のラウドスピーカ。
【0023】
いくつかの実装形態では、3Dプリントラティスは、エラストマーポリウレタンで形成されている。
【0024】
特定の実装形態では、3Dプリントラティスは、オープンセルの網状組織を画定するポリマーの相互接続されたスポークの3Dグリッドを含む。
【0025】
いくつかの例では、3Dプリントラティスは、非線形の荷重圧縮プロファイルを有する。
【0026】
いくつかの例では、3Dプリントラティスは、グリル部材の特定のエリアを音響的にマスクするように調整されたラティス形状を有する。
【0027】
いくつかの場合では、3Dプリントラティスは、グリル部材内の音響チャネルを少なくとも部分的に画定するラティス形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】統合されたラウドスピーカを有する車両ヘッドレストの正面斜視図である。
【
図3A】
図1Aの車両ヘッドレストからのクッション部材の背面図である。
【
図4A】
図1Aの車両ヘッドレストからの結合部材の斜視図である。
【
図5A】
図1Aの車両ヘッドレストからの別の結合部材の斜視図である。
【
図6A】
図1Aの車両ヘッドレストからの3Dプリントラティスの詳細を示すグリル部材の正面図である。
【
図8】代替的なグリル部材及び結合部材構成を有する車両ヘッドレストの一部の断面図である。
【
図9】別の代替的なグリル部材及び結合部材構成の一部の断面図である。
【
図10】更に別の代替的なグリル部材及び結合部材構成の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、少なくとも部分的に、3Dプリントラティスをラウドスピーカに対するグリルとして利用することが有益であり得るという認識に基づく。ラウドスピーカグリルとしての3Dプリントラティスの使用は、ラウドスピーカがヘッドレスト(例えば、自動車ヘッドレスト)に組み込まれているときなど、ラウドスピーカが人間の体と接触する可能性が高い用途に特に有益であり得る。そのような実装形態では、3Dプリントラティスの使用は、ユーザが自らの頭を快適に休ませ得、自動車ヘッドレストについての安全要件を満たす適合面も提供しながら、下にある電気音響変換器に保護を提供し得る。
【0030】
図1A及び
図1Bを参照すると、例示的な車両ヘッドレスト100は、ユーザの頭の後部を支持するための主要本体部分102と、ヘッドレスト100をシートバックに取り外し可能に装着するための1つ以上の(2つが図示されている)支持ロッド104と、を含む。
【0031】
図2A及び
図2Bを参照して、主要本体部分102は、複数の電気音響変換器202を支持するコアアセンブリ200を含む。コアアセンブリ200は、バッフル部材204と、バックカバー206と、を含み、バックカバー206は、バッフル部材204に結合されて、これらの間で、音響エンクロージャを1つ以上の音響チャンバ208(
図7も参照)で画定する。バッフル部材204及びバックカバー206は、射出成形プロセスにおいて、アクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS)、ポリカーボネート(PolyCarbonate、PC)、又はポリフェニレンエーテル(PolyPhenylene Ether、PPE)+ポリスチレン(PolyStyrene、PS)ブレンドなどのプラスチックから形成され得る。バッフル部材204及びバックカバー206は、機械的締結具(例えば、ねじ)、接着剤、溶接(例えば、超音波溶接、又はそれらの組み合わせで一緒に結合され得る。
【0032】
バックカバー206は、ヘッドレスト100の背面110(
図1B及び
図2B)を画定する。バックカバー206はまた、支持ロッド104のうちの1つの遠位端部分を受容するためのソケット210を画定する。支持ロッド104の遠位端部分は、ソケット210内に押し上げられる。ソケット210と支持ロッド104との間の接続は、摩擦嵌合であり得る。代替的に又は追加的に、ソケット210及び支持ロッド104は、ソケット210内にロッド104を固定するのに役立つインターロック機構を含み得る。ソケット210は、ヘッドレストに当たる衝撃力がバーに伝達されるように、支持ロッド104との十分な構造的重なりを提供するように構成されている。更に、ソケット210がバックカバー206によって画定される実装形態が説明されているが、いくつかの場合では、ソケット210は、バックカバー206とは別個に形成され、その後、(例えば、接着剤又は金具を介して)そこに固定され得る。例えば、いくつかの実装形態では、ソケット210は、バッフル部材204によって画定され得る。いくつかの実装形態では、バッフル部材は、1つよりも多いピースで構成され得る。
【0033】
バッフル部材204は、電気音響変換器202を収容するための1対の穴212を画定する。電気音響変換器202の各々は、ダイヤフラム214と、ダイヤフラム214の後方放射面に沿って配置された駆動ユニット216(例えば、ボイスコイルモータ)と、ダイヤフラム214の前方放射面に沿って中央に配置されたダストキャップ218と、駆動ユニット216及びダイヤフラム214を支持するためのフレーム220と、を含む。フレーム220は、例えば、ねじでバッフル部材204に真っ直ぐに装着され、そのため、ダイヤフラム214の後方放射面は、音響エネルギーを1つ以上の音響チャンバ208内に放射する。いくつかの場合では、1つ以上の音響チャンバ208は、各電気音響変換器のための別個の音響チャンバを含み得、そのため、電気音響変換器は、互いに音響的に隔離された別個のそれぞれの音響チャンバ内に音響エネルギーを放射する。
【0034】
図示された実装形態では、電気音響変換器202は、前方発射であるように装着され、すなわち、電気音響変換器の運動軸は、ユーザの頭が休むヘッドレストの正面に対して実質的に垂直であり、互いに実質的に平行である。前方発射構成では、電気音響変換器202の前方放射面は、ヘッドレスト100の正面に対してユーザの実質的に垂直な方向に音響エネルギーを放射するように配置されている。更に、他の実装形態では、電気音響変換器は、例えば、最大40度の角度で発射するように配置され得る。
【0035】
いくつかの場合では、配線は、支持ロッド104のうちの1つ以上を通じて音響チャンバ208内にルーティングされ得る。代替的に、配線はまた、支持ロッドの内側ではなく、第3の中央ポスト(図示せず)を通じてルーティングされ得る。いくつかの場合では、電気音響変換器202を駆動するための音響チャンバ208内に電気配線を通すために、1つ以上のスロットが、音響エンクロージャで形成され得る。そのようなスロットは、アセンブリ中でシールされ得る。
【0036】
主要本体部分102はまた、コアアセンブリ200に結合された、クッション部材222及び1対のグリル部材224を含む。
図3Aを参照すると、クッション部材222は、クッション層300と、カバー層302と、装着部材304と、を含む。
【0037】
クッション層300は、成形フォーム(例えば、ポリウレタン)を含み得る。クッションのために高エネルギー吸収を提供するクッション材料を利用することが望ましい場合がある。例えば、クッション層300は、自動車ヘッド抑制安全要件を満たすエネルギー吸収を有する材料を含み得、ある場合では、安全要件は、24.1km/hで移動する6.8kgの球状質量について、減速が、3ミリ秒よりも長く連続的に80gを超えてはならないことを規定する。(連邦自動車安全基準No.202,Head Restraints(S4.2.5及びS5.2.5でのFMVSS No.202)を参照)。電気音響変換器202を音響的に隔離するのに役立てるために、高音響減衰を提供するクッション材料(例えば、フォーム材料)を利用することが望ましい場合もある。カバー層302は、例えば、クッション層300の周囲で引き伸ばすことができる生地のタイプであり得る。
【0038】
装着部材304は、装着プレート306と、装着プレート306の背面310から外側に延在する複数のフック308と、を含む。装着プレート306の正面312(
図3B)は、例えば、締結具及び/又は接着剤で、クッション層300の背面313(
図3C)に固定される。代替的に又は追加的に、いくつかの実装形態では、クッション部材は、オーバーモールドプロセスにおいて、装着部材に接合され得、すなわち、クッション層300は、装着部材上に直接成形され得る。次いで、クッション部材222は、バッフル部材204で形成された対応する凹部314(
図2A)内にフック308を引っ掛けることによって、コアアセンブリ200に固定される。フック308が凹部314に引っ掛けられた状態で、装着部材304上のタブ316は、バッフル部材204内の装着穴226(
図2A)に重なる。次いで、タブ316をバッフル部材204に固定するために、締結具が、タブ316内の開口318を通って装着部226内に通過し得る。いくつかの実装形態では、スナップが自己ロックされる場合、タブは、除去され得る。装着部材304は、剛性ポリマー又は金属などの剛性材料で形成され得、成形及び/又は機械加工プロセスにおいて形成され得る。更に、クッション部材をコアアセンブリに取り付けるための他の機械的締結方法が企図される。
【0039】
再び
図2A及び
図2Bを参照すると、グリル部材224は、クッション部材222の両側に配置され、電気音響変換器202に重なる。グリル部材224は、1対の結合具を介してコアアセンブリ200に固定される。結合具は、グリル部材224と電気音響変換器202との間の良好な音響シールを確実にするのに役立つ。
【0040】
各結合具は、バッフル部材204に固定される第1の結合部材232と、グリル部材224のうちの対応するものに固定される第2の結合部材234と、を含む。第1及び第2の結合部材232、234は、それらが一緒に結合されることを可能にするインターロック機構を含み、それによって、グリル部材224をバッフル部材204に固定する。
【0041】
図4A及び
図4Bを参照して、第1の結合部材232は、ベース400と、ベース400から外側に延在し、フック形の端406で終端する壁402と、を含む。図示された例では、ベース400は、電気音響変換器202のフレーム220(
図2A)の形状に概ね適合する。ベース400は、電気音響変換器202のうちの対応するもののダイヤフラム214を円周方向に取り囲むように構成されたリング形状の本体408を含む。ベース400はまた、電気音響変換器202のうちの対応するもののフレーム220(
図2A)内の対応する穴と一致するように配置された装着穴412を有する1対のタブ410を含む。次いで、装着穴412を介して、変換器202及び第1の結合部材232をバッフル部材204に固定するために、機械的締結具が使用され得る。
図4Aに図示される例では、壁402は、ベース400に沿って半円形パターンで延在する。第1の結合部材232は、成形又は機械加工プロセスにおいて、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、又はポリフェニレンエーテル(PPE)+ポリスチレン(PS)ブレンドで形成され得る。
【0042】
図5A及び
図5Bを参照すると、第2の結合部材234は、ベース500と、ベース500から外側に延在する壁502と、を含む。壁502は、第1及び第2の結合部材232、234を一緒に結合するように、第1の結合部材232のフック形の端406に係合するように構成されたフック形の端504で終端する。
図5A及び
図5Bに図示される例では、ベース500は、半円形の形状を有し、壁502は、半円形ベース500から上方に延在し、かつそれぞれのフック形の端504で終端する複数のフィンガ506で構成されている。フィンガ500は、壁502がより柔軟となることを可能にし得、それにより、第1の結合部材232上の嵌合機構に適合及び係合することが容易になり得る。13本のフィンガ506を有する構成が図示されているが、他の実装形態は、より多くいフィンガ又はより少ないフィンガを含み得る。例えば、いくつかの実装形態は、単一の連続壁を含み得る。第2の結合部材234は、成形又は機械加工プロセスにおいて、ポリプロピレン(PolyPropylene、PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、又はポリフェニレンエーテル(PPE)+ポリスチレン(PS)ブレンドで形成され得る。より大きなスナップ形状が使用され得る場合、エラストマーポリウレタン(Elastomeric PolyUrethane、EPU)のような、より可撓性のある材料も同様に使用され得る。更に、グリル部材をバッフルに取り付けるための他の結合方法が企図される。
【0043】
図6A及び
図6Bを参照すると、グリル部材224の各々は、グリル本体600を含む。グリル本体600は、オープンセル602の網状組織を画定するポリマーの相互接続されたスポーク600の3Dグリッドで構成された3次元(3D)ラティスによって画定される。オープンセル構造は、電気音響変換器202の前方放射面から放射される音響エネルギーが、重なるグリル部材224を通過し得るように、グリル本体600の領域が音響的に透過することを可能にする。個々のスポーク(a/k/a「ロッド」)600は、高い弾性、引裂抵抗、及び弾力性である材料を提供するために、エラストマーポリウレタン(EPU)から形成され得る。3Dラティスは、グリル本体600の所望の形状を達成するために、3Dプリントプロセスにおいて形成され得る。ユーザの頭を支持するための実質的に連続的な輪郭を提供するために、クッション部材222の外面に概ね適合する外面を有するグリル本体600を提供することが望ましい場合がある。グリル部材224及びクッション部材222は一緒に、使用中にユーザの頭が休むヘッドレスト100の正面120(
図1A)を画定する。
【0044】
3Dプリントの使用により、ユニットセルタイプ、形状、及びスポーク寸法などのラティスパラメータを、部品の所望の機械的応答、音響透過性、及び製造可能性を達成するように制御することが可能になる。これにより、グリル本体600は、上記のものなどの自動車ヘッド抑制安全要件を満たすエネルギー吸収を有するように、及び/又は、少なくとも、ユーザの頭と接触する可能性が高いエリアで、クッション部材222のものとぴったり一致するエネルギー吸収を有するように調整されることを可能にし得る。3Dラティスを形成するための3Dプリントプロセスの使用は、同じ一体部分内の異なる機械的特性の分布を可能にし、複数の機能ゾーンを可能にする。これはまた、例えば、それらのエリア内のオープンセル602の寸法を低減することによって、ラティス設計を適応させて特定のエリア605を音響的にマスクする可能性を提供する。例えば、ラティス形状は、音響チャネル700(
図7)を画定するのに役立てるために、電気音響変換器202に隣接して置かれる特定のエリア604(
図6B及び
図7)で調整され得る。代替的に又は追加的に、音響チャネルの全て又は一部は、3Dラティスの表面に沿った実質的に連続的な平面の材料によって形成され得る。そのような連続的な湾曲した平面(固体壁)は、3Dプリントプロセスにおいて、3Dラティスと一体的に形成され得るか、又は3Dプリントラティスに固定された、別個の部品、例えば、湾曲したインサートとして提供され得る。音響チャネル700は、電気音響変換器の前方放射面から所望の方向に音響放射を方向転換させるのを補助する。
【0045】
いくつかの場合では、音響チャネルは、音響が変化したことを心配することなく、ラティスの外観又はプロファイルが変化することを可能にする利点を有する、異なるラティス構成で使用され得る、固定の音響又は「コア」設計を利用し得る。これは、異なる車両、顧客、又は更にはトリムレベル差の間でより効率的な開発を行い得る。
【0046】
3Dプリントプロセスにより、3Dラティスが調整可能な荷重圧縮プロファイルを有することが可能になり、それによって、広範なユーザの集合にわたって快適に使用され得る製品を達成するのに役立ち得る、非線形の荷重圧縮プロファイルを有する、通気性オープンセル構造を可能にする。これは、通気性であるが、実質的に線形の荷重圧縮プロファイル(すなわち、圧縮が、加えられた負荷で直線的に増加する)を有する、オープンセルフォームとは対照的である。クローズドセルフォームは、より非線形の荷重圧縮応答を可能にするが、通気性ではなく、音響エネルギーの伝達を可能にしない(すなわち、クローズドセルフォームは、音響的に透過しない)。3Dプリントラティスの通気性オープンセル構造は、材料を音響的に透過することを可能にし、そのため、音響エネルギーは、構造を容易に通過し得る。3Dラティスをプリントするための好適な3Dプリントサービスは、Carbon,Inc.,Redwood City,CAから利用可能である。
【0047】
図6Bを参照すると、グリル本体600は、第2の結合部材234上のベース500(
図5A)を受容するためにその背面に沿って凹部606を画定し得る。凹部606は、ベース500との圧縮嵌合を提供するためにアンダーサイズであり得る。凹部606はまた、第2の結合部材234を保持するのに役立てるために、ベース500に重なるようにリップ608(
図7)を組み込み得る。代替的に又は追加的に、第2の結合部材234の全て又は一部は、例えば、3Dプリントプロセスにおいて、グリル本体600と一体的に形成され得る。
【0048】
図示された例では、グリル本体600はまた、クリスマスツリー締結具(a/k/a押込リベット、アイテム244、
図2A及び
図2B)を受容するための1対の凹部610を画定する。凹部610は、締結具のそれぞれのヘッドを受容及び保持するように構成され得る。締結具244の反対の端は、グリル部材224をコアアセンブリに固定するのを補助するために、バッフル部材204で形成された開口266(
図2A)内に押し込まれる。クリスマスツリー締結具244は、良好な音響シールがグリル部材224とバッフル部材204との間で提供されることを確実にするのに役立ち、グリル部材224がヘッドレスト100の所望の輪郭に適合することを確実にするのに役立ち得る。
【0049】
様々な実装形態が上で説明されてきたが、他の実装形態が可能である。例えば、いくつかの実装形態では、3Dプリントラティスが所望の輪郭/プロファイル及び音響の利点を提供し、かつ所望の表面外観が異なる材料で達成されるように、表面材料層が、グリル部材の上で覆われ得る。
【0050】
図8は、
図4A及び
図4Bの第1の結合部材232に結合するように構成された、グリル部材800及び第2の結合部材802の別の実装形態を図示する。グリル部材800は、上述のような3Dプリントラティスで形成されたグリル本体804を含む。結合部材802は、ベース806と、ベース806から上方に延在し、フック形の端810で終端する側壁808と、を含む。フック形の端810は、第1の結合部材232のフック形の端406に係合するように構成されている。側壁808は、
図5A及び
図5Bに図示される実装形態に関して上で説明されたように、複数のフィンガに分割され得る。特に、
図8に図示される実装形態では、結合部材802はまた、電気音響変換器202のうちの関連付けられたものから放射される音響エネルギーを方向転換するための音響チャネル814を画定する壁(複数可)812を含む。第2の結合部材802は、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、又はポリフェニレンエーテル(PPE)+ポリスチレン(PS)ブレンドから形成、例えば、成形され得る。グリル本体804を形成する3Dプリントラティスは、壁812が3Dプリントラティス内に埋め込まれるように、第2の結合部材802の周囲で3Dプリントされ得る。
【0051】
代替的に、
図9に図示されるように、第2の結合部材900は、音響チャネル904を画定する側壁(複数可)902を含み得る。音響チャネル904は、グリル部材910のグリル本体908を形成する3Dプリントラティスで形成された凹部906に受容されている。第2の結合部材900は、締まり嵌めを介して凹部906で保持されている。代替的に又は追加的に、側壁902を3Dプリントラティスに固定するために、接着剤が使用され得る。側壁(複数可)902の突出部分は、フック形の端912を含む。フック形の端912は、グリル部材910をバッフル部材204(
図2A)に固定するために、第1の結合部材232のフック形の端406(
図4A)に係合するように構成されている。側壁902のフック形の端912は、側壁902のフック形の端912が、第1の結合部材232上の嵌合機構に適合及び係合するのをより容易にするようにより柔軟になることを可能にする、複数のフィンガ914に分割され得る。
【0052】
図10に図示される更に別の実装形態では、1つ以上の側壁1000は、グリル部材1004のグリル本体1002を形成する3Dプリントラティス内に向けてプリントされ得る。側壁1000は、3Dプリントラティスと同時に、例えば同じ材料からプリントされ得、したがって、ラティスと一体的であり得る。側壁1000は、3Dプリントラティスの領域内のオープンセルを閉鎖する連続的な湾曲した平面を提供して、それによって、電気音響変換器202(
図2A)のうちの関連付けられたものから放射される音響エネルギーを所望の方向に方向付けるのを補助する音響チャネル1005を形成する。
図10に図示される実装形態はまた、保持部材1006を含む。保持部材1006は、グリル本体1002がプリントされる壁1008(例えば、円形又は半円形の壁)を含み、それによって、保持部材1006をグリル本体1002の3Dプリントラティス内に少なくとも部分的に埋め込む。図示された例では、保持部材1006は、音響チャネル1005に直接隣接している。保持部材1006はまた、
図5Aの第2の結合部材234のベース500を受容して、それによって、第2の結合部材234をグリル部材1004に結合させるための凹部1010(例えば、環状又は半環状の凹部)を含む。いくつかの例では、グリル本体1002及び保持部材1006は、同じプリント材料から形成され得る。
【0053】
複数の実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく追加の改変を行うことができ、したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲内にあることが理解される。
【符号の説明】
【0054】
100 車両ヘッドレスト
202 電気音響変換器
208 音響チャンバ
222 クッション部材
224 グリル部材