(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】臨床的な使用時に患者への投薬と液送達を確実にするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20221213BHJP
G16H 20/17 20180101ALI20221213BHJP
【FI】
A61M5/168 550
G16H20/17
(21)【出願番号】P 2021083814
(22)【出願日】2021-05-18
(62)【分割の表示】P 2019111035の分割
【原出願日】2015-01-29
【審査請求日】2021-06-09
(32)【優先日】2014-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ オブリアン
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-500077(JP,A)
【文献】特開2013-22099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0198012(US,A1)
【文献】中国実用新案第201397391(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/168
G16H 20/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより装着されるように構成された装着可能な電子デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジング
に一体に取付けることが可能な少なくとも1つのセンサと、
外部電子デバイスにデータを送るか、または外部電子デバイスからデータを受け取るためのデータ送信インタフェースと、
情報を前記ユーザに提供するためのデータ報告アクセサリと、
前記少なくとも1つのセンサ、前記データ送受信インタフェース、および前記データ報告アクセサリを管理するためのマイクロプロセッサと、
前記少なくとも1つのセンサによって取得されるデータを取得し、および処理するためのプログラムと
を備えた前記装着可能な電子デバイスと、
患者に治療薬を受動的または能動的に送達するための液送達装置と、
前記液送達装置に取り付けられた、または前記液送達装置と一体に形成された1つまたは複数の識別タグと、
前記患者に関しおよび前記少なくとも1つのセンサによって読み取り可能な識別情報を含むか、または前記識別情報に関連付けられた患者識別デバイスと、
を備え、
前記プログラムは、前記1つまたは複数の識別タグ及び前記患者識別デバイスから情報を取得することを管理し、
前記プログラムは、少なくとも1つの撮像センサにより取り込まれた一連の画像を処理することを含み、
前記一連の画像を処理することは、
前記1つまたは複数の識別タグが前記ユーザの視野に入るときに、前記液送達装置に取り付けられた、または一体的に形成された前記1つまたは複数の識別タグを識別し及び読み取ることと、前記1つまたは複数の識別タグ及び前記患者識別デバイスから取得された前記情報に基づいて、前記液送達装置を調べて、前記患者のための液送達処置に必要な品目のみが確実に取得されることを確認しおよび前記液送達処置に追加の品目が必要でないことを確認することと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記プログラムは、前記1つまたは複数の識別タグおよび患者識別デバイスから取得された情報に基づいて、前記液送達装置が
前記液送達処置に十分であるかどうかを決定することを特徴とする
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データ報告アクセサリは、前記液送達装置が前記液送達処置に不十分である場合、前記ユーザに警告を提供することを特徴とする
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記患者識別デバイスは、前記患者の位置を決定するための位置決め回路を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記一連の画像を処理することは、
輸液セット、液容器、およびカテーテルを含む前記液送達処置の接続点に関する画像の部分を識別し、前記接続点が正しく接続されているかどうかを決定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記データ報告アクセサリは、追加の品目が前記液送達処置に必要な場合、前記ユーザに警告を提供することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者への薬剤と液の送達を識別、確認、および文書化するためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、装着可能な電子デバイスを用いて手を使用せずに動作するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液サンプリングは、患者から少なくとも1滴の血液を抜き取ることを含む一般的な健康管理処置である。血液サンプルは、入院した、在宅治療の、および救急処置室の患者から、一般に、フィンガースティック(finger stick)、ヒールスティック(heel stick)、または静脈穿刺により採取される。収集された後、血液サンプルは、分析されて、化学的な組成、血液学、凝固などを含む医学的に有用な情報を得ることができる。
【0003】
同様に、患者への液送達は、注射器、自動注射器、ペン型注射器、カテーテル、および輸液デバイスを含む様々な血管アクセスデバイスを用いて達成される。医療の場において、臨床医または技術者は、患者の静脈の中に針を挿入することによって注入を行う。治療薬は、直接または受動的に、針を介して患者に提供される。例えば、医療技術者は、注射筒を介してピストンロッドおよびプランジャーを押すことにより液を注入し、そこから液を排出することができる。あるいは、治療薬は、輸液セットを介してIVバッグから受動的に提供され得る。
【0004】
液サンプリングまたは液送達処置を行う前に、臨床医または技術者は、いずれかの必要な医療器具およびデバイスを得ることを担当する。臨床医または技術者はまた、体温、心拍数、または呼吸を調べることにより、患者の初期診察を行うことを担当することができる。臨床医または技術者は、患者のカルテ、または他の印刷された指示における記載を再検討して、これらの初期ステップが正しく行われること、およびいずれかの必要な機器が入手されていることを保証することができる。あるいは、技術者は、入手された機器上のバーコードまたは識別表示を走査して、いくつかの品目が使用されていることを記録することができる。医療の専門家は、次いで、液サンプルを得るか、または液の注入を行う。サンプルが収集された、または液が注入された後、臨床医または技術者は、処置が完了したことを適切に文書化することが必要になり得る。例えば、臨床医または技術者は、処置が完了した時間、実施された処置の記述、および何らかの異常な、もしくは予想外の出来事に関する記録を含む記載を患者のカルテに書き込むことができる。さらに、液サンプルを得る場合、医療の専門家は、検査前にサンプルが損なわれないようにするために、改ざん防止シールで収集されたサンプルを閉じる、または封止することを担当することができる。技術者または臨床医は、例えば、シールを覆っている破れやすいラベル上に、自分の名前もしくはイニシャルを署名することによりシールを検証することを担当することができる。
【0005】
多くの医療施設では、これらの準備、確認、および文書化作業は、医療処置が行われているとき、または処置が完了した後に、臨床医または技術者によって手動で行われる。例えば、臨床医または技術者は、サンプルを検査のために移送する前に、患者に関する識別情報を用いて各収集された液サンプルに手動でラベル付けすることを担当することができる。同様に、臨床医または技術者は、患者に注入された液のタイプを患者のカルテに手動で記録することを担当することができる。医療の専門家はまた、処置が行われた日付および時間を記録するものと予想され得る。いくつかの状況では、臨床医または技術者は、コンピュータ、ラップトップコンピュータ、テーブルPC、スマートフォン、または同様の容易に移動できるコンピューティングデバイスなど、電子的な記録手段を備える。しかし、技術者または臨床医は、なお、手動で電子デバイスに情報を入力することを担当する。あるいは、データ入力技術者は、臨床医または技術者により取られた記録に基づき、実施された処置に関する情報を電子的に入力することを担当することができる。さらに、多くの大規模な医療施設は、患者情報を電子的に記憶するための電子的な患者データベースを利用する。しかし、このような電子的なデータベースであっても、臨床医もしくは技術者によるデータの手動入力、または臨床医もしくは技術者により取られた同時期の記録に基づいた後のデータ入力をなお必要とする。
【0006】
液サンプリングまたは液送達処置の前、その間、およびその後に必要な数多くの手動ステップは、ユーザエラーの機会を生ずる。ユーザエラーは、不完全な、もしくは正しくない処置を実施させることになり、または患者データを失う結果になるおそれもある。例えば、臨床医または技術者は、正しくない液量、正しくない液タイプもしくは濃度を注入する可能性があり、または実施される検査に対して、十分な量の液サンプルを得られない可能性もある。医療の臨床医もしくは技術者はまた、液サンプルが得られたこと、またはどのような条件下でサンプルが得られたかを正しく記録することを忘れる可能性もある。さらに臨床医または技術者は、どの患者が特定の液サンプルを提供したかを正しく記録するのに失敗する可能性がある。これらの問題は、患者を害するおそれがあり、または少なくとも、いくつかの液サンプル処置を繰り返す必要があり得る。したがって、医療処置を実施し、かつ記録することにおいて臨床医または技術者を支援する、患者に液を送達するためのシステム、および検査標本を取得するためのシステムが求められている。システムは、このような処置中に一般に生ずるエラーを阻止するように構成されるべきであり、また誤りが生じたとき、視覚的または聴覚的な警告を提供すべきである。システムはまた、既存の患者データシステムと自動的に統合されるべきであり、したがって、実施する処置のタイプに関する情報は、臨床医または技術者には容易にアクセス可能である。さらに処置が実施されたことの確認、および処置に関する関連情報は、患者データが失われていないことを保証するために、患者の医療レコードに自動的に、かつ直接提供され得る。以下で述べられるシステムおよび方法は、これらの問題のいくつか、またはすべてに対処するように提供される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で提供されるシステムおよび方法は、薬剤の輸液および送達エラーの危険を低減し、かつ患者への薬剤および液の液送達を識別し、確認し、かつ記録するための臨床的な作業の流れを改善する。これらの識別、確認、および文書化作業は、実時間で、かつ臨床的な使用時に達成される。
【0008】
本発明の実施形態によれば、システムは、ユーザにより装着されるように構成された装着可能な電子デバイスを含む。装着可能な電子デバイスは、ハウジングと、ハウジングに関連付けられた少なくとも1つの撮像センサと、外部電子デバイスにデータを送る、または外部電子デバイスからデータを受け取るためのデータ送信インタフェースと、データをユーザに提供するためのデータ報告アクセサリとを含む。装着可能な電子デバイスはまた、少なくとも1つの撮像センサ、データ送信インタフェース、およびデータ報告アクセサリを管理するためのマイクロプロセッサと、少なくとも1つの撮像センサから画像を取得し、処理するためのプログラムとを含む。システムはさらに、患者に治療薬を受動的または能動的に送達するための液送達装置、および液送達装置に取り付けられた、もしくはそれと一体として形成された1または複数の識別タグを含む。プログラムは、少なくとも1つの撮像センサにより取り込まれた画像を処理して、1または複数の識別タグを識別し、1または複数の識別タグから液送達装置情報を取得する。
【0009】
いくつかの構成において、プログラムは、少なくとも1つの撮像センサにより得られた画像を処理することによって、液送達処置の完了を確認する。プログラムは、データ報告アクセサリを介して、液送達装置情報および液送達処置の完了の確認をユーザに報告するか、またはデータ送信インタフェースを介して、情報および確認を外部電子デバイスに送信することができる。
【0010】
プログラムは、自動的に画像を取得し、処理して、1または複数の識別タグから情報を取得し、液送達処置の完了を確認することができる。いくつかの構成において、データ報告アクセサリは、手を使用せずに、ユーザに情報を提供する。
【0011】
装着可能な電子デバイスは、頭部装着型コンピュータとすることができ、データ報告アクセサリは、仮想レイヤをユーザの視野に投影するように構成された投影プリズムとすることができる。仮想レイヤは、患者情報部分、投薬確認部分、識別タグ確認部分、液送達装置量インジケータ、またはそれらの任意の組み合わせを含むユーザインタフェースを含むことができる。少なくとも1つの撮像センサは、デジタルカメラまたはデジタルビデオカメラとすることができる。
【0012】
任意で、プログラムは、少なくとも1つの撮像センサにより取得された液送達装置の一連の画像を処理することによって、初期位置から最終位置までの液送達装置の可動部の動きを追跡し、液送達処置の完了を確認することができる。液送達装置の可動部は、液送達装置のボディを通って可動なプランジャーまたはピストンロッドとすることができる。可動部は、少なくとも1つの撮像センサにより取り込まれた一連の画像において可動部の可視性を向上させる物質で被覆され、可動部の動きの追跡を向上させることができる。
【0013】
いくつかの構成において、液送達装置は、液送達装置の一部がいつ患者の中に挿入されるかを決定するか、または液がいつ液送達装置から排出されるかを決定するように構成された1または複数のセンサを含むことができる。1または複数のセンサは、直接にまたは間接に装着可能な電子デバイスと接続され、1または複数のセンサによって収集されたデータは、データ報告アクセサリを介してユーザに提供され得るか、またはデータ送信インタフェースを介して外部電子デバイスに送信され得る。
【0014】
装着可能な電子デバイスは、プログラム、液送達装置情報、液送達処置の完了の確認、または少なくとも1つの撮像センサにより取り込まれた画像を記憶するためのデータ記憶媒体をさらに含むことができる。装着可能な電子デバイスはまた、ユーザが、装着可能な電子デバイスに手動でデータを入力できるようにする周辺データ入力デバイスを含むことができる。周辺データ入力デバイスは、モーションセンサ、ジャイロスコープ、圧力センサ、加速度計、タッチパッド、タッチスクリーン、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。装着可能な電子デバイスは、装着可能な電子デバイスのハウジング内に電源をさらに含むことができる。データ送信インタフェースは、患者データシステムにデータを送り、および患者データシステムからデータを受け取るように構成され得る。
【0015】
任意で、患者データシステムから受け取られた情報は、実施される処置に関する情報、処置に必要な液送達装置に関する情報、または患者に関する情報を含む。外部電子デバイスに送信された情報は、液送達処置の完了の確認、処置の時間および日付、処置の液注入量、処置の間に注入された液の質もしくはタイプ、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。液送達装置は、プレフィルドシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、輸液セット、カテーテル、血管アクセスデバイス、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1または複数のものとすることができる。
【0016】
1または複数の識別タグは、2次元バーコード、3次元バーコード、近距離無線通信デバイス、または光学的な文字認識アルゴリズムにより読み取り可能なテキストを有するラベルを含むことができる。プログラムは、画像を処理して、液送達装置上の位置マーカの位置を特定すること、およびそれから位置マーカの画像上の位置に基づき1または複数の識別タグの位置を特定することにより、取り込まれた画像内の1または複数の識別タグを識別する。システムはまた、患者に関する識別情報を含む、またはそれに関連付けられた患者識別デバイスを含み、患者識別デバイスは装着可能な電子デバイスの少なくとも1つの撮像センサにより読み取り可能である。
【0017】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、ユーザにより装着されるように構成された装着可能な電子デバイスを含む。装着可能な電子デバイスは、ハウジングと、ハウジングに関連付けられた少なくとも1つのセンサと、外部電子デバイスにデータを送る、または外部電子デバイスからデータを受け取るためのデータ送信インタフェースと、情報をユーザに提供するためのデータ報告アクセサリとを含む。装着可能な電子デバイスはまた、少なくとも1つのセンサ、データ送信インタフェース、およびデータ報告アクセサリを管理するためのマイクロプロセッサと、および少なくとも1つのセンサにより取得されるデータを取得し、処理するためのプログラムを含む。システムはさらに、患者に治療薬を受動的または能動的に送達するための液送達装置と、液送達装置に取り付けられた、もしくはそれと一体に形成された1または複数の識別タグと、患者に関する、かつ少なくとも1つのセンサにより読み取り可能な識別情報を含む、またはそれに関連付けられた患者識別デバイスを含む。
【0018】
いくつかの構成において、プログラムは、1または複数の識別タグおよび患者識別デバイスから情報を取得することを管理する。プログラムはまた、1または複数の識別タグおよび患者識別デバイスから取得された情報に基づいて、液送達装置が液送達処置に十分であるかどうかを決定することができる。
【0019】
データ報告アクセサリは、液送達装置が液送達処置に不十分である場合、ユーザに警告を提供することができる。いくつかの構成において、患者識別デバイスは、患者の位置を決定するために回路の位置を特定することを含む。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、システムは、ユーザにより装着されるように構成された装着可能な電子デバイスを含む。装着可能な電子デバイスは、ハウジングと、ハウジング内に封入されるか、またはそれと関連付けられた少なくとも1つの撮像センサと、外部電子デバイスにデータを送る、または外部電子デバイスからデータを受け取るためのデータ送信インタフェースと、情報をユーザに提供するためのデータ報告アクセサリとを含む。装着可能な電子デバイスはまた、少なくとも1つの撮像センサ、データ送信インタフェース、およびデータ報告アクセサリを管理するためのマイクロプロセッサと、および少なくとも1つの撮像センサにより取得された画像を取得し、処理するためのプログラムを含む。システムはさらに、血管アクセスデバイスを介して、液容器から患者に1または複数の治療薬を送達するための輸液セットを含む。プログラムは、少なくとも1つの撮像センサにより取り込まれた一連の画像を処理することによって、液容器から排出されている液に関する流量を測定し、液容器からの液流速を測定する。
【0021】
プログラムは、少なくとも1つの撮像センサにより取り込まれた輸液セットの画像上の輸液セットの部分間で接続点を識別することによって、輸液セットが正しく接続されているかを検証することができ、接続点を含む画像の部分を処理して、十分な接続が存在するかどうかを決定する。データ報告アクセサリはまた、プログラムが、接続が不十分であることを決定したとき、ユーザに警告することができる。
【0022】
本発明のさらなる実施形態にまだ従って、臨床的な使用時に患者への液送達を確認するための方法は、液送達装置のボディを通って、液送達装置の可動部を進めることによって、そこから液を排出する液送達装置を作動させるステップと、可動部がボディを通って進められるとき、少なくとも1つの撮像センサを有する装着可能な電子デバイスで、液送達装置の一連の画像を取得するステップとを含む。方法はまた、液送達装置の可動部が使用の最終位置まで進められた場合、実時間で決定するために一連の画像を処理するステップと、液送達装置の可動部が使用の最終位置にあることを示している画像が取得されるとき、液送達が完了したことを装着可能な電子デバイスを装着しているユーザに知らせるステップとを含む。処理するステップは、ユーザにより操作作業を行うことなく、自動的に実施される。
【0023】
一連の画像を処理するステップは、装着可能な電子デバイスのコンピュータ、仮想コンピュータ、装着可能な電子デバイスと有線、もしくは無線で接続された専用の外部電子デバイス、またはデータ送信インタフェースを介して装着可能な電子デバイスと接続された外部のコンピュータを使用して実施され得る。方法はまた、液送達装置に取り付けられた、またはそれと一体に形成された識別タグから液送達装置に関する情報を識別し、抽出するために、一連の画像の少なくとも1つを処理するステップを含む。いくつかの構成において、液送達装置は注射器であり、可動部は注射器のボディを通って、ボディの近位端部における初期位置からボディの遠位端部における使用の最終位置まで進められるプランジャーである。
【0024】
本発明のこれら他の特徴および特性、ならびに構造の関連する要素および部品の組合せの動作方法および機能、製造の経済性は、本明細書の一部をそれらのすべてが形成する、添付図面を参照して以下の記述および添付の特許請求の範囲を検討すれば、より明らかになろう。図中、同様の参照数字は、様々な図における対応する部品を指定する。しかし、図面は、例示および説明のためのものに過ぎないこと、また本発明の限定を定義するようには意図されていないことを明確に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確にその他の形を示していない限り、複数の指示対象も含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の原理による患者の薬剤および液の送達を確実に行うための手を使用しないシステムの概略図である。
【
図2】
図1のシステムに対する視野表示の概略図である。
【
図3A】本発明の原理による、眼鏡の形態の装着可能な電子デバイスと患者識別デバイスとを有する患者の薬剤および液の送達を確実に行うための手を使用しないシステムの概略図である。
【
図3B】本発明の原理による、手首に取り付けられたデバイスの形態の装着可能なデバイスと患者識別デバイスとを有する患者の薬剤および液の送達を確実に行うための手を使用しないシステムの概略図である。
【
図4】本発明の原理による患者の薬剤および液の送達を確実に行うための手を使用しないシステムの概略図である。
【
図5】本発明の原理による、検査標本の識別を確立し、かつサンプル追跡を行うための手を使用しないシステムの概略図である。
【
図6】
図5のシステムに対する視野表示の概略図である。
【
図7】本発明の原理による、侵襲性デバイスの挿入中に向上させた視覚化を行うためのシステムの概略図である。
【
図8】本発明の原理による、侵襲性デバイスの挿入中に向上させた視覚化を行うためのシステムの概略図である。
【
図9】
図8のシステムに対する視野の概略図である。
【
図10】
図9のシステムに対する視野の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の記述は、当業者が、本発明を実行するように企図された前述の諸実施形態を製作し、かつ使用できるように提供される。しかし、様々な変更形態、等価な形態、変形形態、および代替形態は、依然として当業者には容易に明らかとなろう。任意のかつすべてのこのような変更形態、変形形態、等価な形態、および代替形態は、本発明の趣旨および範囲に含まれるように意図されている。しかし、本発明は、明示的にその反対が指定される場合を除き、様々な代替の変形形態、およびステップのシーケンスを取り得ることを理解されたい。添付の図面で示され、かつ以下の明細書で述べられた特定のデバイスおよびプロセスは、本発明の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書で開示される実施形態に関連する特定の寸法、および他の物理的な特性は、限定するものと見なされるべきではない。本発明の理解を容易にするために、添付図面および記述は、その好ましい実施形態を示しており、それらのものから、本発明、その構造の様々な実施形態、構成、および動作方法、ならびに多くの利点が理解され、かつ認識され得る。
【0027】
本発明は、処置上のガイダンスを必要とする侵襲性の処置を含む、臨床的な使用時における様々な医療処置の手を使用しない識別、確認、および文書化のためのシステムおよび方法を対象とする。例示的な処置は、これだけに限らないが、薬剤および液の送達、標本もしくはサンプル収集、ならびに/または血管アクセス処置を含む。システムは、以下で医療技術者と呼ばれるユーザもしくは操作者による肯定的な動作を必要とすることなく、データを収集し、かつ記録することにより、既存の患者データシステムに対して向上させる。より具体的には、システムは、以下で医療技術者と呼ばれるユーザもしくは操作者が、手動で情報を記録する必要がなく、または現在、既存の患者データシステムで必要とされる、スキャナ、カメラ、キーボード、もしくはタッチスクリーンなど、データ入力デバイスを操作する必要がなく、必要な識別、確認、および文書化作業を実施できるようにする。システムは、技術者のエラーの可能性を低下させることにより、臨床的な作業の流れ、およびデータ入力の完全性を向上させる。さらに、システムは、患者および医療技術者に対する感染の危険を低減する。特に、医療技術者は、データ入力デバイスに触れる、または操作する必要がないので、入力デバイスが汚染される危険が低減される。
【0028】
システムは、すでに使用された使い捨ての医療デバイスを含む既存の機器、ならびに既存の患者データベースおよび患者監視ソフトウェアと統合され得る。したがって、システムは、医療施設側におけるさらなる機器または資本基盤の改善を必要としない。同様に、システムは、特定の医療施設の処置および慣行と容易に統合され得る。
【0029】
図1を参照すると、臨床的な使用時において、手を使用しない患者への液送達の保証および検証を行うためのシステム10aが示されている。システム10aは、患者データシステムなどの外部ソースから、実施される液送達に関するデータを有効に入手し、液処置が行われたことを記録し、かつその処置の確認を外部ソースに送る。システム10aは、手を使用せずに、実時間の患者情報、警告、薬剤識別、および投与確認を提供することにより、投与する時点で、薬剤エラーの危険を低減するために提供される。
【0030】
システム10aは、装着可能な電子デバイスを含む。好ましく、かつ非限定的な実施形態では、装着可能な電子デバイスは、以降で「装着可能な電子デバイス18」と呼ばれる、拡張現実感表示を備えた装着可能なコンピュータである。例示的な装着可能な電子デバイス18は、Google Corp.、Mountain View、CAにより作成されたグーグルグラス(Google Glass)技術を組み込む眼鏡など、頭部装着型デバイスとすることができる。グーグルグラス技術は、現在市販されていないが、グーグルグラスまたは同様の製品が市販された場合、当業者であれば、本発明のシステムで容易に実施され得ると考えられる。あるいは、装着可能な電子デバイス18は、グーグルグラス技術をこれも組み込んだ頭部装着型のフェイスシールドとすることができる。さらなる実施形態では、装着可能な電子デバイス18は、グーグルグラス技術をこれも組み込んだ手首に取り付けられたデバイスとすることができる。装着可能な電子デバイスはまた、実施される特定の液送達処置に基づき、他の形状および構成を有することもできる。例えば、装着可能な電子デバイスは、医療技術者の衣服に取り付けられたボタンもしくはピン、手首に装着された時計、ネックレス、ペンダント、または任意の他の種類の目につかない、容易に運べる品目とすることができる。
【0031】
装着可能な電子デバイス18は、医療技術者の視野の中へと延びる投影プリズム、フェイスシールド、または手首に装着されたディスプレイなど、表示部分16を有する帽子、ヘルメット、フェイスシールド、リストバンド、またはフレーム20(例えば、1つの眼鏡用フレーム)を含むことができる。表示部分16は、投影プリズムの場合などでは、装着者の目に近接して配置され得る。表示部分16は、より遠く離れて見たより大きな画面と等価な装着者の視野内に、
図2の投影されたレイヤなどの仮想レイヤを提示するように構成される。例えば、表示部分16が投影プリズムである例では、投影プリズムは、装着者の目から1インチ(2.54cm)未満に配置することができるが、8フィート(2.44m)離れて見た25インチ(63.5cm)画面と同様に現れる閲覧可能な画面を提示する。拡張現実感表示は、装着者の視野の一部を含む仮想投影もしくはレイヤ22を投影する。医療技術者の全体視野は、仮想レイヤ22によって遮られない。医療技術者は、なお、仮想レイヤ22を超えるもしくは隣接した、現実レイヤ24を「見る」ことができる。
【0032】
他の実施形態では、装着可能な電子デバイス18のデータ表示部分16は、コンピュータもしくはスマートフォンに対する標準のモニタなど、視覚的なディスプレイとすることができる。標準のモニタは、液晶ディスプレイ(LCD)、および発光ダイオード(LED)ディスプレイを含む。モニタは、装着可能な電子デバイスと一体に形成することができる、または技術者により見ることのできる外部の画面もしくはデバイスとすることができる。装着可能な電子デバイス18はまた、治療および患者情報を、これだけに限らないが、オーディオ警告または触知可能な確認を含む他の伝達手段を介して、技術者に伝えることができる。例えば、装着可能な電子デバイス18は、ビーという音を発する、または振動して、問題が特定されたことを技術者に知らせることができる。
【0033】
装着可能な電子デバイス18は、フレーム20に取り付けられたコンピュータハウジング26または筐体をさらに含む。ハウジング26は、必要な関連する電子装置を保持するのに必要な任意の寸法とすることができる。コンピュータハウジング26内の関連する電子装置は、データ収集デバイスおよびセンサ、データ送信および通信回路、データ処理回路、ならびにデータ表示および警告デバイスおよび回路を含むことができる。コンピュータハウジング26は、操作者が通常の機能および動作を行うとき、装着者もしくは操作者に実質的な障害を生ずることのない十分に小型かつ軽量なものであることが望ましい。
【0034】
データ収集デバイスは、実施される医療処置に関する情報を取得するために、様々なセンサおよび記録装置を含むことができる。例えば、データ収集機能は、画像またはビデオ取込みのために、デジタルカメラなどの1または複数の画像取込みデバイス12を含むことができる。いくつかの実施形態では、画像取込みデバイス12は、静止もしくは動いている2次元画像(複数可)、または3次元の解剖学的走査幾何形状を提供するように適合され得る。画像もしくはビデオカメラは、通常、電荷結合素子(CCD)もしくは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像センサ、レンズ、多機能ビデオ制御/デジタル信号処理(DSP)チップ、およびディスクリートの構成要素のセット(例えば、コンデンサ、抵抗、およびコネクタ)からなる。ビデオ制御/DSPチップは、カメラ12と一体に形成され得る。あるいは、画像処理は、装着可能な電子デバイス上で、またはさらに外部コントローラもしくはコンピュータで、いずれかで実施され得る。レンズは、本明細書で述べるように撮像するのに有用な焦点範囲を含むことができる、またはビデオカメラは、自動焦点機能を含むことができる。同様に、レンズは、ズーム機能を備えることができる。チップ上のビデオ制御構成要素は、いくつかの画像取得タスクを実施するが、同じチップ上のDSP構成要素は、雑音低減ならびに簡単な形のデータ圧縮および暗号化など、データ処理アルゴリズムを実施する。ビデオ制御/DSPチップからのデジタル出力は、次のデータ処理またはインタフェース段階における特定のチップ設計および入力構成に応じて、パラレルもしくはシリアルの形態とすることができる。システムはまた、聴覚(例えば、音声コマンド)入力のためのマイクロフォン、触覚入力のためのタッチ機構もしくはトラックパッド、加速度計、ジャイロスコープ、および同様のものを含むことができる。
【0035】
電子通信およびデータ送信デバイス、ならびに電子回路は、外部電子デバイスなどの外部ソースとの間でデータを送り、かつ受け取るためのデータ送信インタフェース14を含むことができる。外部デバイスは、データ記憶デバイス、外部コンピュータ、いくつかのコンピューティングデバイスからなるローカルのコンピュータネットワーク、またはインターネットとすることができる。便宜上、これらの外部電子デバイスは、総称的にクラウド15と呼ぶこととする。データ送信インタフェースは、実際には、装着可能な電子デバイス18、データ送信器、および外部ソースに取り付けられた外部受信器を含むパーソナルエリアネットワーク(PAN)を作成する。PANは、技術者の体に近接した電話および携帯情報端末(PDA)を含むコンピュータデバイスの中で通信(例えば、データ送信)を行うために使用されるコンピュータネットワークである。PANは、パーソナルデバイスそれ自体の中で通信する(個人内通信)ために、またはより高水準のネットワークおよびインターネットに接続する(アップリンク)ために使用され得る。無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)は、Bluetooth(登録商標)、WiFi、Z-Wave、およびZigBeeなどの無線ネットワーク技術を用いて可能になる。WiFi(例えば、IEEE802.11a、b、g、n)ネットワーク化プロトコルを使用することができ、それは、Bluetooth(登録商標)より大きな送信範囲を有するので有利であるが、その結果、より大きな電力消費量も有する。デバイスから送信されたデータを受信し、かつ任意選択でデータを処理するための適切な外部ソースは、コンピュータ、タブレットPC、もしくはスマートフォン、および/または外部ハードドライブ、もしくは記憶されたデータをバックアップするための他のデバイスを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、データ送信インタフェース14は、既存の患者データシステムもしくはデータベースと統合される。スマートフォンなど、ハンドヘルド電子デバイスと共に使用されるように統合されたモバイル患者データ取得および記録システムはまた、データ送信インタフェース14と統合され得る。これらのシステムは、ハンドヘルド電子デバイスを用いて、ユーザが患者データを遠隔的に更新できるようにする。更新された情報は、データ記憶場所へ転送され、そこで、将来使用するためにアクセスされ得る。市販されているソフトウェアプラットフォームは、患者データの記録を調整するために使用することができ、また看護する時点で、このようなデータに容易にアクセスできるようにするための機能を含むことができる。このような既存のデータベースのソフトウェアプラットフォームとの統合の結果、本発明のシステム10aは、処置が実施されているときに、患者データシステムまたはデータベースに記憶された患者データを自動的に更新することができる。しかし、既存のシステムとは異なり、本システム10aは、医療技術者からの直接入力を必要とせずに、患者データを自動的に更新する。したがって、システム10aは、患者データシステムに完全に、かつ自動的に統合される。それとは対照的に、以前には、データは、処置が行われた後に、医療技術者によって手動で入力されていた。
【0037】
いくつかの実施形態では、装着可能な電子デバイス18はまた、コンピュータハウジング26と一体に形成されたデータ記憶デバイス21を含むことができる。非限定的な一実施形態では、記憶デバイス21は、ディスクドライブなどのデジタル記録装置であり、それは、データを記憶媒体に記録する。別の実施形態では、記憶媒体はフラッシュメモリである。記憶媒体は、例えば、ハードディスクドライブもしくは磁気テープなどの磁気データ記憶媒体、またはフラッシュベースのメモリなど、任意のタイプの不揮発性メモリである。フラッシュメモリは、MicroSDカード、USBフラッシュドライブ、またはソリッドステートドライブで見られるNANDもしくはNORタイプメモリを用いる不揮発性のコンピュータ記憶チップである。フラッシュメモリ(ソリッドステート媒体)に対して最適化されたファイルシステムは、組込みトランザクションファイルシステム(ETFS)、exFat、およびFFS2システムを含む。記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または読出し専用メモリ(ROM)とすることができる。メモリは、デバイスから取り外すことができる、またはハウジング内に恒久的に取り付けることができ、かつデータ送信インタフェース14を介して外部デバイスに転送可能であり得る。
【0038】
一実施形態では、装着可能な電子デバイス18は、コンピュータハウジング26内に含まれる電池23などの1または複数の電源をさらに含む。電池23は、蓄積された化学エネルギーを電気エネルギーに変換する1または複数の電気化学的セルを備える。有用な電池の非限定的な一例は、リチウムイオン電池である。リチウムイオン電池は、電子デバイスでよく使用される再充電可能な電池である。リチウムイオン電池の容量は、丸1日もしくはそれ以上にわたり、装着可能な電子デバイスに電力を供給するのに十分であることが好ましい。しかし、デバイスが、連続して動作されないいくつかの場合では、デバイス寸法および重量を減少させるために、より小さな容量の電池がさらに適切である。デバイスで使用するのに適合可能な他のタイプの電池は、ニッケルカドミウム(NiCd)およびニッケル水素(NiMH)電池を含む。電池23は、再充電可能であることが好ましく、その場合、デバイスは、電池再充電ポートをさらに含む。
【0039】
装着可能な電子デバイス18のハウジング26に含まれる電子デバイスおよび電子回路は、マイクロプロセッサなどの1または複数のコントローラにより制御される。マイクロプロセッサは、データを受け取り、かつチップのメモリに記憶された命令に従ってデータを処理する1または複数の集積回路を含むチップである。マイクロプロセッサは、通常、他の機能と共に、様々なセンサおよびデジタルカメラ12からのデータ収集を管理し、データ記憶システムによるデータの記憶を指示し、かつ電子構成要素間でシステム資源を割り振って電力消費量を低減させ、重複する電子システムに対する必要性を減らす。マイクロプロセッサは、様々なデータ収集を制御するためのソフトウェア、および収集されたデータを処理するためのソフトウェアを含むことができる。同様に、マイクロプロセッサは、収集されたデータを表示するための、ならびに技術者と対話するためのソフトウェアを含むことができる。あるいは、コントローラは、装着可能な電子デバイスと、外部コンピュータもしくはワークステーションなどの外部処理デバイスとの間で、データおよび命令の転送を容易にすることができる。
【0040】
図1を続けて参照すると、システム10aは、プレフィルドシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、輸液セット、カテーテル、またはそれらの任意の組合せなどの液送達装置28を含む。装着可能な電子デバイス18は、液送達装置28を識別し、かつ認識するように構成される。識別および認識を容易にするために、液送達装置28は、それと一体に形成された、またはそれに取り付けられた識別タグ30を含むことができる。識別タグ30は、標準の2次元バーコード、3次元バーコード(例えば、quick read(素早く読み取る)(QR)コードなど)、ならびに当技術分野で知られた、様々なメーカ独自の符号化されたコンピュータ可読タグおよびラベルとすることができる。識別タグ30は、液送達装置28上に、またはその内部に一体に形成され得る。あるいは、識別タグ30は、液送達装置28上に印刷される、または液送達装置28に接着されたラベル上に印刷され得る。いずれの場合であっても、装着可能な電子デバイス18は、識別タグ30を識別し、かつそこから情報を抽出するように構成される。識別タグ30は、薬剤タイプ、合計の液量、製造者、針の寸法、液の保証期限、および同様のものを含む、液送達装置28およびそれに含まれる液に関する情報を提供することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、装着可能な電子デバイス18は、デジタルカメラ12により取り込まれた識別タグ30の画像からデータを識別し、抽出するための画像処理機能を含むことができる。画像処理機能は、液送達装置28上の様々な位置マーカを識別するように構成され得る。位置マーカは識別タグ30を指す場合があり、装着可能な電子デバイス18をトリガして、識別タグ30の画像の取り込みを開始させることができる。適切な画像が取り込まれると、画像処理機能は画像を評価し、識別タグ30から情報を抽出する。画像処理機能はまた、例えば、3秒などの時間遅延を含むことができ、それは、位置マーカが、少なくとも3秒間、視野内に存在するまで、装着可能な電子デバイス18が、識別タグ30の画像を処理もしくは読み取る試みを開始しないことを意味する。時間遅延機能は、いつ画像処理が行われるかを制限することにより、計算能力を保存する。特に、技術者が数秒間見るのに十分な関心のある識別タグ30に限って走査されて、そこから情報が抽出される。いくつかの実施形態では、少なくとも3秒間、技術者の視野内にない識別タグ30は、重要ではないと想定され、したがって、読み取られない。
【0042】
あるいは、識別タグ30は、標準の印刷された文字で、薬剤または治療薬の名前、および量を含む標準の医療用ラベルとすることができる。装着可能な電子デバイス18は、ラベルの画像を取り込み、かつそれに含まれている情報を読み取るように構成され得る。例えば、システム10aは、印刷された医療用ラベルなど、印刷されたテキストからデータを抽出するように構成された光学的な文字認識アルゴリズムを含むことができる。したがって、システムは、既存の液送達装置28および注射器と共に使用することができ、さらなるタグもしくは電子位置決めデバイスが追加される必要はない可能性がある。
【0043】
別の代替的実施形態では、識別タグ30は、装着可能な電子デバイス18に関連付けられたスキャナ、送信器、またはアンテナにより識別され、かつ読み取ることのできる読み取り可能な信号を投影できる無線周波数識別(RFID)タグまたは電子デバイスなど、近距離無線通信(NFC)デバイスとすることができる。NFCデバイス、またはRFIDタグを含めることは、データ抽出プロセスを簡単化する。特に、NFCデバイスまたはRFIDタグから情報を抽出するために、画像処理は必要としない。
【0044】
いくつかの実施形態では、識別タグ30は、液送達が行われる直前など、特定の時間に読み取ることが可能であるに過ぎない選択的に視認可能なタイプのインクを用いて、液送達装置28に印刷されるか、または取り付けられ得る。液送達が完了した後、別の、または変更された識別タグ30が見えるようになり、使用の終了、または注入が完了したことを示すことができる。
【0045】
システム10aはまた、液の送達がいつ行われたかを識別するための手段、または任意選択で、液送達量を推定するための手段を含むことができる。システム10aは、液送達処置中に、プランジャー32またはピストンロッド34など、作動機構または液排出機構の動きを追跡することにより、液の送達を監視することができる。いくつかのさらなる実施形態では、識別タグ30は、プランジャー32またはピストンロッド34の位置を推定するために使用され得る。例えば、画像処理ソフトウェアは、識別タグ30の位置に対するプランジャー32またはピストンロッド34の初期位置を記録することもできる。プランジャー32またはピストンロッド34が、識別タグ30の位置に対して移動したとき、画像処理ソフトウェアは、注入が開始したと決定する。プランジャー32またはピストンロッド34が、識別タグ30から所定の距離を前進したとき、注入が完了したと想定され得る。
【0046】
システム10aはまた、液送達装置28上の他のマーカに対して、プランジャー32またはピストンロッド34の位置を自動的に識別するように構成され得る。いくつかの実施形態では、マーキングは、注射筒上の目盛りが付けられた線または表示とすることもできる。その場合、マーキングに対するプランジャー32またはピストンロッド34の動きは、開始および投与だけではなく、送達される液量を決定することもできる。さらなる実施形態では、プランジャー32は、デジタルカメラ12により取り込まれた画像上で容易に識別可能なコーティングもしくはインジケータを含むことができる。あるいは、コーティングは、紫外光もしくは赤外線検出器など、別の走査要素から容易に検出可能にすることもできる。このようなデバイスもしくはスキャナは、装着可能な電子デバイス18に関連付けることもできる。プランジャー32の可視性を向上させることは、画像処理機能による認識を向上させ、かつプランジャー32の位置のより正確な測定を可能にすることにより、量の推定を向上させることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、さらなる電子的な、または機械的なセンサが、液送達装置28と関連付けられて、液送達のさらなる証拠または確認を提供することができる。例えば、センサは、液送達装置28の注射針36の近くに配置され得る。センサは、いつ針36が患者に正しく挿入されたかを記録することができ、また液が、針36を通過し、患者に排出されたことを保証する。センサにより収集されたデータは、近距離通信に適合されたBluetooth(登録商標)などの無線送信器であることが望ましい無線送信器により、装着可能な電子デバイス18に送信され得る。液送達装置28上にセンサを直接含めることは、液送達装置28および関連する電子装置の複雑さを増すが、患者への液送達が実際に行われたことのさらなる確認を提供するので有利である。
【0048】
識別タグ30の位置を特定し、読み取るために、かつ投与の終了確認を提供するために使用されるのに加えて、装着可能な電子デバイス18の画像取込み機能はまた、液送達処置を保存し、かつ記録するために利用され得る。例えば、注入プロセス(例えば、針を患者の静脈に挿入するなど)の画像、空の注射器の画像、および廃棄された注射器の画像が得られ、かつ患者の電子レコードに含まれ得る。これらの画像のそれぞれは、タイムスタンプと共に組み込まれ得る。タイムスタンプは、処置が行われた正確な時間を用いて、患者の医療レコードを更新するために使用され得る。
【0049】
装着可能な電子デバイス18は、システムの画像取込みおよび他の機能により収集されたデータを、使用しやすく、容易にアクセス可能な方法で技術者に提示するように構成される。データは、装着可能な電子デバイス18の表示部分16を介して、技術者の視野内に直接、明瞭かつ簡潔な方法で技術者に提示されることが望ましい。
【0050】
装着可能な電子デバイス18を装着した技術者により見られ、かつ仮想レイヤ22および現実レイヤ24を共に含む例示的な視野100が、
図2で示されている。
図2で示されるように、仮想レイヤ22は、ユーザインタフェース110を含む。ユーザインタフェース110は、患者の名前、および患者の識別番号など、患者に関する情報を有する見出しバー112もしくはタイトルを含むことができる。見出しバー112もしくはタイトルはまた、実施される医療処置の記述、または注入のタイプもしくは必要な液送達デバイスに関する情報を含むことができる。ユーザインタフェース110はまた、注射器内に残っている推定される液を示す注射器量インジケータアイコン114を含むことができる。アイコン114は、操作者が、いつすべての液が患者に注入されたかを容易に決定することができ、したがって、投与終了インジケータとして働く。最後に、ユーザインタフェース110はまた、識別タグ確認アイコン116を表示することができる。アイコン116は、識別タグ30が、画像取込み機能により得られた画像上で識別されたときに示すこともできる。さらに識別タグ確認アイコン116は、実施される特定の処置に必要な液送達装置28が認識されたときなど、識別タグ30が正しいという確認を示すことができる。識別タグ30の位置が特定できない場合、または正しくない識別タグ30が見出された場合、アイコン116は、警告を表示し、注入は実施されるべきではないことを技術者に示すことができる。
【0051】
上記で述べたように、仮想レイヤ22は、操作者の全体視野100を遮ることはない。したがって、操作者は、ユーザインタフェース110が見えていても、なお、現実レイヤ24が見える。したがって、技術者は、処置を実施する準備をしながら、どの警告も見ることができる。その結果、技術者が、液注入の準備に忙しいために警告を見逃す可能性は、実質的に低減される。
【0052】
図3Aを参照すると、さらなる実施形態に従って、患者の薬剤または液送達を確実に行うためのシステム10bが示されている。システム10bは、頭部装着型眼鏡の形態のフレーム20を有する装着可能な電子デバイス18を含む。
図3Aのシステム10bでは、装着可能な電子デバイス18は、本明細書のいずれかで述べたように、ステップ(a)で、液送達装置を可視化するために、またステップ(b)で、患者の手首の周りに装着されるリストバンド40の形態で患者ID38を可視化するために使用され得る。本明細書では、ステップ(a)および(b)は、任意の順序で達成され得ることに留意されたい。リストバンド40は、QRコードを有する識別タグ42を含む。患者ID38はまた、識別タグ42もしくはQRコードの近くに一意の視覚的なマーカもしくは表示を含み、装着可能な電子デバイス18の画像取込み機能をトリガすることができる。一意のマーカが識別されたとき、頭部装着型眼鏡の形態のフレーム20を有する装着可能な電子デバイス18は、QRコードを見出し、かつ読み取るために、取り込まれた画像の処理を開始する。患者ID38はまた、NFCタグ(例えば、RFID)、画像処理機能により識別され、かつ読み取られ得る、テキストなどの視覚的なコーディング、Bluetooth(登録商標)もしくは同様の近距離データ送信アンテナ、ならびに他の近接感知技術など、さらなる符号化もしくは識別技術を含むことができる。患者ID38は、患者に関する情報を含み、また任意選択で、患者データシステム上の電子患者レコードに直接リンクされ得る。患者ID38は、患者の位置を決定するために、GPSなど、位置を提供する技術をさらに含むことができる。技術者は、患者ID38を走査して、実施される処置、または将来の液送達がいつ実施されるべきかに関するスケジュール、ならびに患者のいずれかの知られた医療状態など、患者に関する情報を得ることができる。患者ID38は、装着可能な電子デバイス18を患者の電子的なレコードにリンクさせるので、注入の時間、注入の持続期間、または注入される液量など、処置中に取られたいずれの情報または文書化も、患者の電子レコードに送信されて、そこで記憶され得る。本明細書で論ずるように、情報の表示は、
図1を参照して述べられた眼鏡に取り付けられたディスプレイ16で、装着可能な電子デバイス18の装着者に提供される。
【0053】
図3Bを参照すると、
図3Aを参照して上記で述べたように、患者の薬剤もしくは液の送達を確実に行うためのシステム10bが示されており、装着可能な電子デバイス18は、スマートウォッチなど、手首に取り付けたディスプレイ19の形態で提供される。本明細書で述べるように、物理的にユーザの手首上に配置されているがディスプレイ16と同様の機能を提供する手首に取り付けられたディスプレイ19を介して、ディスプレイ16が調整されることを除き、
図3Bのシステムは、
図3Aのシステムと同様に機能する。
図3のシステム10bでは、装着可能な電子デバイス18は、本明細書のいずれかで述べたように、ステップ(a)で、液送達装置を可視化するために、かつステップ(b)で、患者の手首周りに装着されたリストバンド40の形態で、患者ID38を可視化するために使用され得る。本明細書では、ステップ(a)および(b)は、任意の順序で達成され得ることに留意されたい。
【0054】
図4を参照すると、患者に液送達を確実に行うためのシステム10cのさらなる実施形態が示されている。システム10cは、様々な液容器46、すなわち、静脈内治療(IV)バッグ、関連する管48、および患者の静脈の中へと延びるカテーテル50を含む輸液セット44などの液送達装置28を介して、患者に液を投与するために使用される。管48は、1または複数のアクセスポート52をさらに含むことができる。注射器54は、さらなる、または異なるタイプの医療用液を患者に提供するためにアクセスポート52に接続され得る。前に述べられた実施形態のように、システム10cは、装着可能な電子デバイス18、液送達装置28、および装着可能な電子デバイス18により読み取り可能な識別タグ30を含む。識別タグ30は、液送達装置28に関する識別情報を含む、またはそれに関連付けられる。システム10cは、実施される処置、および注入される液を確認し、必要なデバイスおよび装置を識別し、液が患者に投与されていることを確認し、かつ処置を記録する。
【0055】
いくつかの実施形態では、システム10cは、輸液セット44が正しく取り付けられ、かつ接続されたことを確認するように構成され得る。例えば、画像処理機能は、輸液セット44、液容器46、およびカテーテル50の様々な接続点を識別することができる。システム10cは、次いで、要素が正しく接続されていることを確認することになる。適切な接続が識別されなかった場合、システム10cは、技術者に、液送達を開始する前に接続を調べるように警告することができる。システム10cはまた、様々な他のデバイスメンテナンス警告を提供することもできる。例えば、システム10cは、所定の留置時間限度に達したとき、技術者に警告することができる。同様に、システム10cは、システムメンテナンスが実施されるべきであるとき、様々な間隔で技術者に警告することができる。
【0056】
いくつかのさらなる実施形態では、システム10cは、輸液セット44の滴数(drip count)を視覚的に監視して、液送達速度を確立し、かつ確認するように構成される。例えば、装着可能な電子デバイス18の画像取込み機能は、カテーテル50の挿入の時間を記録することができる。画像取込み機能は、次いで、所定の時間期間の間、液容器46の流出ポートを記録して、カテーテル46から輸液セット44の中に流れる液滴を記録することになる。装着可能な電子デバイス18の画像処理機能は、個々の液滴を識別して、ある期間にわたり、患者に送達された液を推定する。システム10cは、所定の液量の送達に関して、十分な期間が経過したとき、警告を送るように構成され得る。
【0057】
図1~
図4を参照すると、システム10a、10b、10cを使用する場合、技術者は装着可能な電子デバイス18を身に付ける。例えば、技術者は、シフトの開始時に、または特定の注入もしくは液送達処置の実施を開始する前に、装着可能な電子デバイス18を身に付けることができる。装着可能な電子デバイス18が定位置にあり、電源オンされたとき、装着可能な電子デバイス18は、往診すべき患者、および実施すべき処置を備えたタスクリストなどの初期の指示を、技術者に提供する開始画面を表示することができる。装着可能な電子デバイス18はまた、正しい人物に正しい指示が与えられたことを保証するために、技術者に質問して本人であることを確認することができる。患者と最初に接触したとき、技術者は、装着可能な電子デバイス18を使用して、患者ID38の画像を取り込む。患者ID38に関する、またはそれに関連付けられた情報に基づいて、実施される注入を含む、患者に関する医療情報が得られる。得られた情報は、処置を実施するための指示と共に、ユーザインタフェース110上に表示される。表示された指示に基づき、技術者は、適切な液送達装置28、および必要に応じて、液送達装置28の中に装填するための医療用液バイアルもしくはカートリッジを含む、注入に必要な品目を得ることができる。操作者が、その視野100内に注入装置および他の品目が「見えた」とき、装着可能な電子デバイス18は、その品目に取り付けられた識別タグ30を識別し、かつ読み取る。システム10a、10b、10cは、得られた医療用品目を調べて、処置に必要な品目だけが入手され、かつさらなる品目は必要ないことを確認することができる。品目が入手され、システムにより識別されると、ユーザインタフェース110上の指示が更新される。例えば、正しい品目が得られた場合、ユーザインタフェース110に確認メッセージが表示され得る。正しくない品目が入手された場合、警告が技術者に提示され得る。警告は、ユーザインタフェース110に表示されるアイコンなどの視覚的なもの、ならびに触覚的、聴覚的なもの、またはそれらの任意の組合せとすることができる。
【0058】
品目が得られた後、技術者は医療処置を実施する。技術者が処置を実施すると、注入作業は、注入を検証するために監視される。例えば、装着可能な電子デバイス18は、患者の皮膚内に、針36が挿入されたことを保証することができ、また液が、液送達装置28から排出されたことを保証することができる。注入の時間および日付、ならびに技術者の名前を含む情報は記録され、かつ患者データシステムなどの外部システムに送信され得る。したがって、収集された情報は、患者のデジタルレコード内に自動的に含まれ得る。情報はまた、請求書発行のために、または必要に応じて、第3者の保険業者に送信され得る。
【0059】
いくつかのさらなる実施形態では、時間および日付情報は、将来の医療処置のための基本線を確立するために使用され得る。その基本線は、輸液をどの位の長さで実施すべきかを決定するために、または輸液セット44を調べる回数を設定するために使用され得る。同様に、注射器または注入器から注入する場合、次に行われる治療をスケジュールするために、基本線時間データが使用され得る。この情報に基づいて、システム10a、10b、10cは、その後の治療が提供されるべきであるとき、ユーザインタフェース110に警報もしくは警告を示すように構成され得る。
【0060】
本発明の別の態様によれば、また
図5および
図6を参照すると、医療用の検査および診断に関して検査標本を取得するためのシステム10dおよび方法が示される。システム10dは、標本識別、収集確認、サンプルおよび結果追跡、ならびに患者データ情報システムへの統合を確立するために、自動的な、非臨床的に破壊的な(non-clinically disruptive)、手を使用しない方法を提供するので有利である。システム10dは、サンプルが得られたときに開始する液サンプルの過程管理を追跡するように構成され、標本検査もしくは報告結果を通して継続することができる。さらに、システム10dは、既存の患者データシステムと自動的に統合され、したがって、収集されるサンプルのタイプに関する、また実施される検査に関する情報が、技術者に表示され得る。
【0061】
前に述べられた実施形態のように、システム10dは、装着可能な電子デバイス18を含む。システム10dはまた、より大きな血管外液収集システムの一部とすることができる血液サンプリングデバイス56を含む。血液サンプリングデバイス56は、より大きな血管外液収集システムと、標本収集容器55の内部との間で流体接続を提供する。血液サンプリングデバイス56は、その遠位端に、概してスパイクまたはポートを含む。標本収集容器55は、血液サンプリングデバイスを介して液サンプルを収集するために、スパイクまたはポート上に挿入され得る。血液サンプリングデバイス56はまた、血液サンプリングデバイス56の近位の開口部を通して、不連続な数の液滴など、少量の液サンプルを排出するように構成され得る。血管外システムは、血液サンプリングデバイス56、標本収集容器55、延長管57、および血管アクセスデバイスなどの侵襲性のアクセスデバイス(
図10で示される)を含む。あるいは、サンプリングデバイス56は、構成要素の数を減らし、かつ収集およびサンプリングプロセスを簡単化するために、延長管57などのさらなる構成要素を使用せずに、静脈内カテーテルハブに直接接続され得る。
【0062】
システム10dは、ポイントオブケア検査デバイス58をさらに含むことができる。検査片、スライドガラス、および診断カートリッジは、血液サンプルを受け取り、1または複数の生理学的かつ生化学的状態に関して血液を検査するポイントオブケア検査デバイス58である。検査カートリッジの例は、Abbott企業グループからのi-STAT(登録商標)検査カートリッジを含む。i-STAT(登録商標)カートリッジなどの検査カートリッジは、化学物質および電解質の存在、血液学、血液ガス濃度、凝固、または心臓マーカを含む様々な状態に対して検査を行うために使用され得る。
【0063】
当技術分野で知られているように、血液サンプリングデバイス56は、矢印210で示されるように、血管外液収集システムからの接続を解除することができる。接続が解除された血液サンプリングデバイス56は、矢印212で示されるように、液サンプルの一部を、ポイントオブケア検査デバイス58に導くために使用される。液サンプルは、ポイントオブケア検査デバイス58に、色を変えさせる、または何らかの他の識別可能な変換を受けさせて、検査器具により読み取られ、かつそれと共に使用されたとき、いくつかの分析物が液サンプル中に存在するか否かを識別する。システム10dのいくつかの実施形態では、装着可能な電子デバイス18は、使用されるポイントオブケア検査デバイス58の画像を取り込むように構成され得る。画像処理機能は、ポイントオブケア検査デバイス58を読み取り、かつ検査結果を決定するように構成され得る。あるいは、画像は、遠隔の場所に送信されることができ、そこで画像は、適切な医療専門家により読み取られる、または解釈され得る。
【0064】
システム10dの前の実施形態のように、システム10dは、様々な容器もしくは血液サンプリングデバイス56、血管アクセスデバイスなどの侵襲性のアクセスデバイス、およびポイントオブケア検査デバイス58に取り付けられた識別タグ30を含む。識別タグ30は、容器もしくはデバイスに関する識別情報を含む、またはそれに関連付けられる。識別情報は、血液サンプリングデバイス56もしくは容器のタイプ、容器もしくはデバイスが使用される処置、または得られるサンプルの液量を含むことができる。識別情報はまた、各容器に対する一意の指定を含むことができ、液サンプルを中に入れた後、システム10dが容器を追跡できるようにする。本発明の前に述べられた態様のように、識別タグ30は、装着可能な電子デバイス18の画像取込み機能により読み取られ得るバーコードまたはQRコードなど、任意のタイプの表示とすることができる。識別タグ30はまた、装着可能な電子デバイス18に関連付けられたアンテナもしくは送信器により読み取られ得るRFIDタグなどのNFCタグとすることもできる。
【0065】
システム10dはまた、患者により装着されたリストバンド40など、患者ID38を含むことができる。患者ID38は、患者情報を含む、またはそれに関連付けられた、QRコードなどの識別タグ30を含む。患者ID38は、装着可能な電子デバイス18に、外部の患者データベースシステム上に記憶された患者情報など、患者の電子情報にアクセスできるようにする。装着可能な電子デバイス18は、患者データを受け取り、かつ関連する情報を技術者に表示するように構成される。
【0066】
図6を参照すると、装着可能な電子デバイス18は、技術者に、ユーザインタフェース110を含む仮想レイヤ22を見えるようにする。ユーザインタフェース110は、理解するのが容易な方法で、関連する重要な情報を技術者に提供するように設計される。例示的なユーザインタフェース110が
図6で示されている。しかし、ユーザインタフェース110の情報、コンテンツ、および設計は、医療施設もしくは医療処置の特定のタイプに適合され得ることを理解されたい。インタフェース110の外観は、特定の技術者の好みに基づいて適合させることもできる。
【0067】
ユーザインタフェース110は、患者に関する情報、実施される検査、使用される容器、および他の関連するデータを表示する1または複数の情報部分を含む。例えば、ユーザインタフェース110は、患者ID番号などの患者識別情報を有する部分118を含むことができる。患者情報部分118はまた、指示されたサンプルのタイプに関する情報、および指示されたサンプルが得られたときの視覚的な確認を含むことができる。ユーザインタフェース110はまた、識別タグ確認アイコン116など、識別タグ部分を含むことができる。識別タグ確認アイコン116は、識別タグ30が認識され、かつ正しく読み取られたとき、視覚的な表示を含むことができる。ユーザインタフェース110はまた、試験管など、サンプル収集容器のアイコン122を示すサンプル収集部分120を含むことができる。アイコン122は、サンプルが容器内に安全に封止されたとき、外観を変えることができる。いくつかの実施形態では、アイコン122は、容器が液サンプルで満たされていることを視覚的に示すことができ、また十分な液量が得られているとき、視覚的な警告を表示することができる。
【0068】
使用する場合、技術者は、患者情報が、装着可能な電子デバイス18により読み取られ得るように、装着可能な電子デバイス18の視野100内に患者ID38を置いて患者ID38を走査することにより開始することができる。患者情報に基づいて、患者および実施される検査に関する詳細が、ユーザインタフェース110上で技術者に表示される。技術者は、次いで、血液サンプリングデバイス56、および実施される特定の処置に必要な他の品目を収集することができる。いくつかの実施形態では、装着可能な電子デバイス18は、各品目を、例えば、その品目に取り付けられた識別タグ30を認識し、かつ読み取ることにより、技術者により入手されたときに認識することができる。ユーザインタフェース110は、各必要な品目が取得された後、技術者に知らせることができる。ユーザインタフェース110はまた、必要な品目がまだ取得されていない、または認識されていない場合、警告を表示することができる。
【0069】
ユーザインタフェース110は、次いで、液サンプルを入手する指示を表示することができる。これらの指示は、必要な液量、示唆された血管アクセス部位、または任意の他の関連情報を含むことができる。技術者は、次いで、血液サンプリングデバイス56または他の適切な容器の中に、サンプルを収集する。装着可能な電子デバイス18の画像取込み機能は、サンプルで満たされたサンプリングデバイス56もしくは容器の画像を取り込むことができ、かつ十分な液量が得られたとき、技術者に警告することができる。サンプルが得られた後、技術者は、サンプリングデバイス56もしくは容器を封止することができる。装着可能な電子デバイス18の画像取込み機能は、サンプルが得られたことを記録し、かつ時間、およびサンプリングデバイス56もしくは容器に関する一意の識別番号を記録することができる。このように、容器は、特定の患者へと電子的に結びつけられて、サンプルが失われる、または誤った患者に識別される可能性が低減される。
【0070】
ポイントオブケア検査が実施されるべき場合、検査の実施に関する詳細が技術者に提示され得る。技術者は、検査デバイス58を、例えば、それをテーブルもしくは他の適切な表面上に置くことによって準備する。表面は、装着可能な電子デバイス18により取得される検査デバイス58の画像品質を向上させるために、白もしくは同様の高コントラスト色であることが好ましい。検査デバイス58の識別タグ30は、画像取込み機能により識別され、かつ記録される。技術者は、次いで、例えば、検査デバイス58上に1滴の液サンプルを置くことにより、検査を実施することができる。システム10dは、実施される検査に対する所定の期間を待機し、次いで、使用された検査デバイス58の画像を得ることができる。取り込まれた画像は、検査結果を決定するために処理され得る。あるいは、技術者は、検査結果を視覚的に決定し、かつ装着可能な電子デバイス18のデータ入力機能を用いて情報を記録することができる。検査デバイス58が保存され、かつ実験室もしくは他の施設に送られる必要がある場合、画像取込み機能は、正しい過程管理を確実に行うために、使用された特定の検査デバイス58に関する識別タグ30および識別情報を記録することができる。システム10の前の実施形態のように、装着可能な電子デバイス18は、サンプル取得および検査プロセスの各ステップを監視する。技術者が、ステップをミスした場合、ユーザインタフェース110は、技術者に警告して、いずれかの誤りを訂正するための指示を提供することになる。
【0071】
本発明の別の態様によれば、また
図7~
図10を参照して、血管アクセスデバイス60などの侵襲性のアクセスデバイスの挿入中の向上された視覚化のための、また留置した血管アクセスデバイス60の評価のためのシステム10eが示されている。血管アクセスデバイス60は、これだけに限らないが、注射器、皮下針、末梢静脈内カテーテル、血液収集セット、中心静脈ライン、またはこれらの要素の任意の組合せを含む、注入するための、または静脈から液サンプルを取得するための任意の適切なデバイスとすることができる。例示的な血管アクセスデバイス60は、Becton、Dickinson and CompanyによるAUTOGUARD(商標)シールドカテーテル、統合された末梢静脈内カテーテル、翼付き針セット、および血液収集セットなど、真っ直ぐな、ポート付きの静脈内カテーテルを含む。本システムと共に使用される例示的なカテーテルが、
図10で示されている。前に述べられた実施形態のように、システム10eは、実施される医療処置を識別するために、かつ治療確認を行うために、患者データシステムと統合され得る。
【0072】
システム10eは、上記で詳細に述べられた装着可能な電子デバイス18を含む。システム10eは、血管アクセスデバイス60をさらに含む。血管アクセスデバイス60は、血管アクセスデバイス60に関する情報を含む、またはそれに関連付けられた1または複数の識別タグ30を含むことができる。情報は、針の太さおよび長さ、ならびに患者情報、時間、日付および他の患者または処置特定パラメータを含むが、これに限られない特定の処置に必要な他の関連情報を含むことができる。システム10eは、患者により装着される患者ID38(
図3で示される)をさらに含むことができる。患者ID38は、システム10eが患者を自動的に識別できるようにし、また患者の電子レコードにリンクされ得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、装着可能な電子デバイス18はまた、解剖学的構造を外部的に、または内部的に向上させる超音波もしくは他の走査デバイスなど、さらなるシステムを含む、またはそれに関連付けられる。この向上された解剖学的構造は、針挿入に適切な静脈の位置の視覚的な表示(例えば、仮想トレース62)を提供することにより、血管アクセスデバイス60の位置決めにおいて技術者を助けることができる。技術者は、仮想トレース62の位置に基づいて、血管アクセスデバイス60の針を方向付けることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、仮想トレース62は、装着可能な電子デバイス18の表示機能を用いて、技術者の視野100に投影される。仮想トレース62は、静脈がどこに存在するかを示すコンピュータで生成された画像もしくはアイコンとすることができる。静脈の位置は、いくつかの様々な画像処理技法により決定され得る。システム10eの一実施形態では、注入部位の画像は、装着可能な電子デバイス18の画像取込み機能により取り込まれる。取り込まれた画像に対して実施される画像処理は、画像上の様々な解剖学的マーカを識別する。例えば、腕(例えば、手首、肘、指など)の部分の解剖学的位置が識別され得る。代替的実施形態では、解剖学的マーカは、患者の皮膚の外部上に直接配置される、または包帯に適用され得る。これらの解剖学的マーカの位置、マーカ間の距離、および画像取込み機能に対する腕の方向付けに基づいて、腕の寸法および形状が計算され得る。腕の位置および寸法が識別された後、近似的な静脈位置が推定され得る。これらの推定に基づいて、仮想トレース62は、近似された位置で、技術者の視野100に投影される。仮想トレース62は、患者の腕を含む、視野100の現実レイヤ24上で見ることができる。
【0075】
図8を参照すると、いくつかの実施形態では、解剖学的な位置決めに基づいた視覚化が、超音波、赤外線撮像、磁気共鳴撮像(MRI)、またはそれらの組合せなど、様々な外部の撮像デバイスを用いて得られた読み取りに基づいて向上される。
図8で示されるように、システム10eは、制御モジュール66を備え、かつワンド68もしくはスキャナに取り付けられた外部の超音波モニタ64を備える。制御モジュール66は、一体化されたディスプレイを含むことができる。超音波モニタ64は、侵襲性の処置を行う前に、患者の血管の解剖学的構造の初期画像を得るために使用され得る。得られた超音波画像は、動脈と静脈の間を解剖学的に区別するのに役立つことができ、どの静脈が、特定の血管アクセスに最も適しているかを決定するのに役立つことができ、かつ特定の静脈に対する正しいカテーテル寸法および長さを選択するのを支援することができる。デジタルカメラ12により取り込まれる注入部位の画像は、超音波走査を得ることを用いて、2つの画像を並べるのを容易にするように同時に取り込まれ得る。
【0076】
画像が取得され、望ましい侵襲性アクセス部位および静脈が決定された後、この位置情報は、装着可能な電子デバイス18に送信され、取り込まれた画像を処理することにより得られた解剖学的位置決め情報と共に使用されて、仮想トレース62に対する位置を決定する。好ましい静脈および注入部位の近似的な位置は、技術者の視野100の中に投影される(
図10で示される)。仮想静脈トレース62は、技術者にさらなる情報を提供するためにカラーコードが付けられる、または動画化され得る。例えば、静脈直径情報が、各仮想静脈トレース62の隣に投影されて、技術者が適切な寸法の静脈を選択するのを支援し、かつ適切な寸法のカテーテルを選択するのを支援することもできる。同様に、異なる寸法の静脈が、異なる色で表示され、選択プロセスを支援することもできる。
【0077】
超音波などの撮像デバイスにより得られたデータを統合することは、技術者に投影された外部の視覚化情報の選択性、正確さ、および特異性を向上させる。したがって、技術者は、表示された静脈位置が正しく、かつ使用される血管アクセスデバイス60のタイプに対して寸法が適した静脈であると確信することができる。
【0078】
静脈解剖学的構造の超音波画像は、患者のレコードに含めるために、装着可能な電子デバイス18上に局所的に保管される、または患者データベースシステムなどの外部のデータデバイスに送信され得る。超音波画像は、次いで、静脈選択を支援するために、その後の血管アクセス治療に対しても自動的に提供され得る。
【0079】
挿入が実施された後、システム10eは、静脈内に、血管アクセスデバイス60の針が正しく配置されたことを確認するために、実時間の超音波画像を取得するように構成され得る。同様に、システム10eは、挿入に関する時間および日付スタンプを記録し、このような情報を患者のレコードに含めることもできる。システム10eはまた、血管挿入の位置を記録することもできる。この情報は、患者の体の同じ領域における反復挿入を阻止するために使用され得る。
【0080】
いくつかのさらなる実施形態では、超音波モニタ64は、実時間情報を技術者に提供するように構成され得る。例えば、装着可能な電子デバイス18のユーザインタフェース110は、技術者の視野100に、超音波モニタ64を用いて得られた実時間画像を提供するように構成され得る。このように、技術者は、血管アクセスデバイス60が、所望の静脈中に正しく挿入されたことを保証するために、挿入プロセスを「注視する」こともできる。このような実時間情報は、挿入プロセス中に生ずる可能性のある解剖学的構造およびデバイス位置の変化に対して、技術者が修正できるようにする。同様に、このような実時間のシステムは、留置した血管アクセスデバイス60の静脈構造における実行可能性、位置、および変化を評価するのに有用であり得る。したがって、技術者は、いつ留置した血管アクセスデバイス60が取り外される、もしくは再配置される必要があるかを良好に決定できるようになる。
【0081】
さらなる実施形態では、装着可能な電子デバイス18は、患者の皮膚上に、1または複数のLED電球もしくはレーザライトパイプにより提供される光など、光の投影もしくは放射により皮下照明を行うための手段を含むことができる。投影される光は、静脈の視覚化を向上させることができ、かつ取り込まれた画像の品質を改善させるために使用され得る。向上され、取り込まれた画像は、画像処理機能により提供される近似された仮想トレース62を改善するために使用され得る。カニューレ間照明、またはカテーテルストライプを用いる照明がまた、本発明の範囲に含まれる動脈および静脈の実際の視覚化を高めるために使用され得る。
【0082】
本システムの侵襲性デバイスはまた、超音波システムで使用するように磁化され得る材料から構成されることができ、超音波システムは、磁気機能を利用して視覚化を向上させ、そして侵襲性デバイスが、目標とする解剖学的構造の方へと移動するとき、経路の形で投影手段を提供する。
【0083】
前に述べられたシステム10eのように、技術者の視野100の仮想レイヤ22に投影されたユーザインタフェース110は、実施される処置、使用されるデバイス、および挿入プロセスの進行に関する重要な情報を、技術者に簡便に、手を使用せずに伝えるのに有利である。
図8を参照すると、システム10eの全体的なユーザの視覚的な体験は、患者の血管の解剖学的構造を強調し、技術者に改善された挿入成功をもたらす、技術者の視野100(
図10で示される)上に投影された仮想レイヤ22を有することを含む。
図9は、患者の腕の一部を含む仮想静脈トレース62の概略図である。
【0084】
図10を参照すると、現実レイヤ24上に投影された仮想レイヤ22を含む技術者の視野100のさらなる実施形態が示されている。仮想レイヤ22は、見出しバー112からなるユーザインタフェース110を含み、見出しバー112は、患者識別情報、および実施される処置に関する情報を含む。ユーザインタフェース110はまた、血管アクセスデバイス60の針が静脈内にあるとき、または針が突き刺されたとき、技術者に示す警告部分124、および侵襲性デバイスが目標とする皮下解剖学的構造に対して配置されている間における侵襲性デバイスの投影された軌跡を含む。ユーザインタフェース110はまた、静脈に対する針の位置を示す1または複数の概略的な画像126を含む。例えば、1つの概略的な画像126Aは、上面図からの静脈に対する針の位置を示しており、針を左もしくは右に、前方もしくは後方に移動される必要があるかどうかを技術者に示すことができる。ユーザインタフェース110はまた、静脈に対して針の深さを示す立面図もしくは側面図を描く第2の概略的画像126Bを含むことができる。所望の構造の他の画像もしくはビューを示すさらなる概略的な図面が、ユーザインタフェース110で見るために提供され得ることが本明細書ではさらに企図される。例えば、他のビューは、第1の概略的な画像126A、または第2の概略的な画像126Bで示された画像の横断面図を含むことができる。あるいは、超音波プローブなど、平面外から得られた画像もまた提供され得る。最後に、ユーザインタフェース110は、カテーテルもしくは針の太さもしくは長さなど、血管アクセスデバイス60に関する一定の情報を示すアイコン128を含むことができる。
【0085】
使用する場合、技術者は、どの処置が実施されるべきであるかを決定し、かつ必要な機器を入手することにより開始する。システム10eの前の実施形態のように、技術者は、この情報を、患者ID38を走査することにより決定することができる。患者ID38から得られた情報に基づいて、ユーザインタフェース110は、実施される処置に関する指示、どの品目が入手される必要があるかに関する指示、および処置もしくは患者に関する任意の他の関連情報を表示することができる。技術者は、次いで、処置のための品目を、すなわち、血管アクセスデバイス60を入手する。システム10eは、品目ごとに識別タグ30を走査することにより、正しい品目が得られていることを検証することができる。警告は、必要とされる品目を得るのに技術者が失敗した場合に、表示することができる。
【0086】
注入または血管アクセス処置を実施する前に、技術者は、超音波モニタ64などの撮像デバイスのワンド68もしくはスキャナを用いて、所望の挿入部位を走査し、患者の血管系の皮下3次元画像を取得することができる。システム10eは、自動的に、得られた画像を処理し、かつ血管アクセスデバイス60の挿入に適した静脈を識別することができる。静脈が識別されている間に、装着可能な電子デバイス18のデジタルカメラ12など、画像取込み機能を用いて、注入部位の画像がまた得られる。取り込まれた画像を処理することは、様々な解剖学的マーカを識別するが、それは、患者の腕、または他の選択された注入部位の寸法、形状、および方向付けを決定するために使用される。これらの処理作業に基づいて、本明細書では仮想静脈トレース62と呼ばれる静脈のトレースが、ユーザインタフェース110上で技術者に示される。技術者は、仮想トレース62に基づいて血管アクセスデバイス60の針の位置決めを行う。技術者は、次いで、針を静脈内に挿入する。ユーザインタフェース110は、針が正しく配置されたとき、警告または確認を表示することができる。
【0087】
針の位置決めを支援することに加えて、システム10eは、処置が、実際に正しく行われたことを確認するために、挿入作業を記録する。例えば、挿入の時間、挿入位置、技術者の名前、挿入部位、および他の情報が、装着可能な電子デバイス18から患者データシステムに送信され得る。情報は、将来の挿入処置を実施するのを支援するために記録される。
【0088】
本発明の特有の実施形態が詳細に述べられてきたが、本開示の教示全体を考慮すると、これらの詳細に対する様々な変更形態および代替形態が開発され得ることが当業者であれば理解されよう。したがって、開示された特定の構成は、例示的なものに過ぎず、本発明の範囲に関する限定を意味するものではなく、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲、およびその任意のかつすべての等価な形態の完全な広さが与えられるべきである。さらに、本発明は、現在、最も実際的で、かつ好ましい実施形態であると考えられるものに基づいて例示目的で詳細が述べられているが、このような詳細は、単にその目的のためのものに過ぎないこと、および本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、その反対に、添付された特許請求の範囲の趣旨および範囲に含まれる変更形態および等価な構成を含むように意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な程度に、任意の実施形態の1または複数の機能が、任意の他の実施形態の1または複数の機能と組み合わされ得ることを企図するものであることを理解されたい。