(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】血栓摘出装置と血管から血栓を抽出する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20221213BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A61B17/3207
A61B17/22 528
(21)【出願番号】P 2021520304
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2019078088
(87)【国際公開番号】W WO2020079082
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-14
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】319016253
【氏名又は名称】アナコンダ バイオメド エス エル
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】カルチナス ビラゾン,イグナシオ
(72)【発明者】
【氏名】ルッツァラツ・ゴンザレス・アン
(72)【発明者】
【氏名】アラド・ハダ-・オフィー
(72)【発明者】
【氏名】ガルベ・ムリリョ・イナーキ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505250(JP,A)
【文献】国際公開第2018/049317(WO,A1)
【文献】特表2015-536745(JP,A)
【文献】国際公開第2005/027751(WO,A1)
【文献】特開昭58-112534(JP,A)
【文献】国際公開第2018/160935(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/015594(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 - 17/221
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管から血栓を取り出す装置において、前記装置は、セグメント(10)を有し、
前記セグメント(10)は、遠位端(11)と近位端(12)を規定し、
血管内に挿入される搬送装置内に収納された状態での収縮形状と
前記搬送装置から出て血管内に入り自己拡張する拡張形状との間で変化可能であり、
前記拡張形状時に
前記血管の内壁に当たるよう配置され、血栓を収納し保持し、
前記セグメント(10)は、網目構造(13)により形成され、
前記網目構造(13)は、複数本のフィラメントがそれぞれ反対方向にらせん状に回転し絡み合って形成され
た一重の管状構造であり前記拡張形状時には内部は空洞となり、
前記網目構造(13)は、第1の区画(20)と第2の区画(30)から形成され、
前記第2の区画(30)は、第1の副区画(31)と第2の副区画(32)とから形成され、
前記第1の副区画(31)は、直径が徐々に小さくなる円錐台形状を採り、血栓用の空間を形成し、
前記第2の副区画(32)は、均一な直径の管状で、カテーテル又は下流側チューブへの接続部を提供し、
前記第1の区画(20)の網目構造(13)のフィラメントの編組角度は、前記第1の区画(20)が前記第2の区画(30)のそれよりも強い半径方向外向きの力を提供する、ように選択され、
前記第1の副区画(31)は、円錐台形であり、その近位端と遠位端
の間で変化する編組角度を有し、 円錐台形状を維持し、血栓の除去中に近位方向への血流を止める半径方向の強度を提供する
ことを特徴とする血管から血栓を取り出す装置。
【請求項2】
前記第1の区画(20)は、 前記遠位端(11)に、バネとして機能する閉ループ(23)を含み、
前記閉ループ(23)は、前記各フィラメントが、前記遠位端(11)で前記近位端(12)の方向に向かって折り返されて形成されるループであり、その結果、前記第1の区画(20)の軸方向の両端における半径方向外向きの力は、前記第1の区画(20)の中間部分のそれよりも強いことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記セグメント(10)は、少なくとも前記第1の区画(20)全体を覆うコーティングを含む
ことを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記第1の区画(20)と第2の区画(30)は、前記コーティングでカバーされるが、前記第2の区画(30)の少なくとも一部と前記近位端(12)は、前記コーティングでカバーされていない
ことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記コーティングは、血栓を透過しない非透過性コーティングである
ことを特徴とする請求項3,4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記コーティングは、血液が通過可能な穴を含む
ことを特徴とする請求項3,4,5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記網目構造(13)を形成するフィラメントは、金属、金属合金、ニチノール又はニチノール/白金を含む複合材料のいずれかで形成されている
ことを特徴とする請求項1-6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記コーティングは、 シリコーン又はポリウレタンを含むポリマー製である
ことを特徴とする請求項3-6のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記フィラメントの本数は、24-48本の範囲内にあり、
前記フィラメントの断面は、40-60μmの範囲内にあり、
前記フィラメントは、前記セグメント(10)の縦軸に対する外側の編組角度は、
前記第1の区画(20)では、50-65度の範囲内にあり、前記第2の副区画(32)では、15-50度の範囲内にある
ことを特徴とする請求項1-8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第1の区画(20)の長さは、4-40mmの範囲内にあり、
前記第2の副区画(32)の長さは、1-10mmの範囲内にあり、
前記第1の区画(20)の外径は、3.5-6mmの範囲内にあり、
前記第2の副区画(32)の外径は、 1-2mmの範囲内にある
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第1の副区画(31)の編組角度は、前記セグメントの長手方向軸に対して、15-45度の間である
ことを特徴とする請求項1,10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記セグメント(10)は、 センサーを更に有し、前記センサーは、
血栓が取り出されたか否か、血栓の組成、 前記セグメント(10)の血管内の位置、前記セグメント(10)が収縮状態にあるか拡張状態にあるか、 前記セグメント(10)が十分に拡張されているかどうか、 前記セグメント(10)の半径方向の力のいずれかに関する情報を提供する
ことを特徴とする請求項1-11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記ニチノール/白金を含む複合材料において、白金の割合が10-40%である
ことを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項14】
請求項1-13のいずれかに記載のセグメント(10)を有する
ことを特徴とする血管から血栓を取り出す装置。
【請求項15】
請求項14記載の血管から血栓を取り出す装置を血管に自動挿入するシステムにおいて、
請求項14記載の血管から血栓を取り出す装置と、血栓除去装置(600)を展開するガイド・システムを提供する自動化近位装置(601)と、画像装置(602)と、通信チャネル(603)と、前記血栓除去装置(600)の展開をガイドする制御モジュール(604)と、データ記憶装置(605)と、前記制御モジュール(604)をガイドするコンピュータ・アシストのコントローラ(606)とを有する
ことを特徴とする血栓を取り出す装置を血管に自動挿入するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療機器の分野、 特に、血管から血栓を抽出する装置と前記装置を含む血栓摘出装置に関する。本発明は、血管から血栓を抽出する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
血管からの血栓の抽出には、抽出の間の血栓の断片化の問題(血管を通して血栓の断片が分散するリスク)を解決しなければならない。
【0003】
特許文献1は、血管内に配置されたカテーテルを通して、血管から血液を吸引する装置を開示する。この装置は、遠位端に血流阻止装置とそれを活性化するラインとを有する。血流阻止装置の拡張支持フレームは、そのカラーから延びている予め力が加えられた複数のフィンガーと拡張可能な予め力が加えられたリブ・ケージとを備えている。
【文献】WO2012/156924
【文献】WO2016/113047
【文献】WO2014/087245
【文献】WO2005/027751
【文献】US20040098099号
【文献】WO2016/113047
【0004】
特許文献2は、本出願人が出願したものであるが、血栓摘出装置を開示する。この血栓摘出装置は、搬送カテーテルと拡張カテーテルとファネル(じょうご)を有する。ファネルは、遠位端と近位端とを有する。このファネルは、収縮形状と拡張形状を採り、カバーを有する。ファネルの遠位端の直径は、収縮形状時よりも拡張形状時の方が大きい。その結果、血栓に非常に近接し大きな開口で吸引することが可能になり、動脈の閉塞を可能にし、血流を止め、血栓を断片化することなく、血栓全体を吸引できる。
【0005】
特許文献5は、長さ方向に沿って異なる強度と剛性を有するセグメント、又は長さ方向に沿って様々な又は一定の強度と剛性を有し異なる直径の編組ステントとステント・グラフトに関する。本発明とは異なり、この特許文献5の編組ステントは、鋸歯状らせん状フィラメントのリングによって区切られた広い領域を有する遠位端を含む。これは、血栓を捕捉するのに適さない。更に、この編組ステントは、遠位端と近位端よりも低い網目構造密度を有する遷移領域(中央領域130)と、遠位端よりも高い柔軟性を有する近位端(狭領域10)とを更に含む。
【0006】
特許文献3は、治療装置と治療方法を開示する。この治療装置は、シャフト、拡張可能部材、第1の細長い制御部材、第2の細長い制御部材を含む。この拡張可能部材は、第1の制御可能部分と第2の制御可能部分を更に含む。この拡張可能部材は、第1の細長い制御部材と第2の細長い制御部材を含み、第1の細長い制御部材の制御のもとで、部分的に収縮された構成と拡張された構成との間で変わるように構成されている。本発明とは異なり、特許文献3の治療装置では、周囲(girth)とらせん状フィラメント密度の変化は、前記細長い制御部材(即ち外部部材)によって制御されており、特定の編組角度を有する網目構造自体によって制御されてはいない。
【0007】
特許文献4は、所定の構成を有する血栓/塞栓収集装置を開示する。この所定の構成は、本体部部と、テール部と、ステントと、袋状(円錐台形)のフィルターとを有する。前記本体部分は、半径方向に自由に収縮又は拡張し、通常は円筒形状で半径方向に拡張している。前記テール部は、本体部分と連続的に形成され、半径方向に自由に収縮又は拡張し、通常は半径方向に拡張している。前記ステントは、前記テール部と連続して形成され、ストラット部で構成されている。前記袋状のフィルターは、開口部と本体部で構成されている。 ステントの本体部分とテール部は、1本又は複数本のワイヤーをらせん状にねじることによって、編組コード構造に形成されている。前記袋状のフィルターは、ステントの本体部分内に挿入されている。前記袋状のフィルターの開口部分は、係合手段によってステントの本体部分の先端と係合する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らにとって公知の装置又はステントは、それらの様々な部分/区画に沿って半径方向の力が特定の分布を有するように設計されてはいないため、血管の内壁に当たって並置できるように、その表面を均一に適合させることができない。そのため、血栓の受容と保持は簡単ではない。従って、血管から血栓を抽出するには、新たな代替の装置と方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明は、第1の態様によれば、血管から、異なるサイズ/形状/大きさの血栓を抽出する装置を提案する。本発明の装置は、この分野での既知の解決策として、遠位端と近位端を規定するセグメントを含み、収縮形状(「搬送構成」とも称する)から拡張形状(「展開構成」とも称する)まで、周囲の血管にその形状を適合させるように構成される。収縮形状では、本発明の装置は、特に搬送部材(例えば分配用カテーテル)の内部に配置される。拡張形状では、本発明の装置は、血管の内壁に並置され(即ち、当てて配置され)て、血栓を受領し保持する。
【0010】
本発明の装置は、自己拡張可能であり、同じ又は異なる複数のフィラメントがらせん状に巻かれて構成された(以下「らせん状フィラメント」と称する)網目構造によって形成されている。複数のらせん状フィラメントは、それぞれ反対方向にらせん状に回転し絡み合っている。同様に、網目構造は、均一な直径の第1の管状区画と第2の管状区画とを含む。 第2の管状区画は、第1の副区画と第2の副区画とを有する。第1の副区画は、直径が漸進的に減少し、血栓用の空間を形成する。第2の副区画は、均一な管状の直径を有し、カテーテル又は下流側のチューブへの接続(近位端に適切なコネクタを具備する)を提供する。
【0011】
現場での既知の提案とは異なり、第1の区画の網目構造は、編組角度(β)のらせん状フィラメントを有し、第2の区画よりも強い半径方向の力/圧力を提供する。これには、特許文献3に開示されている追加の制御部材を必要としない。その結果、第1の区画は、血管の内壁に当たって、より適切に並置される又は重なり合うようになる。
【0012】
更に、本発明の装置では、第1の副区画は、円錐台形(又はファネル形状)を有し編組角度(α)を含む。この編組角度(α)は近位端と遠位端で変化する、これにより、半径方向の強度を提供し、円錐台形を維持し、血栓の除去中に近位方向血流を停止する。 用語「近位方向血流を停止する」は、インターベンション(介入)中に、血流を部分的又は実質的に完全に遮断又は減少させることを意味する。
【0013】
一実施例では、第1の区画(即ち前記遠位端に近い部分)は、遠位端に、ばねとして機能する閉ループを備える。その結果、第1の区画の両端部(又は端部部分)における半径方向の力は、第1の区画の中間部分におけるそれよりも大きい。更に、閉ループが含まれているため、装置の拡張(搭載装置から出た後での)が容易になる。 従って、半径方向の力が増加する。この閉ループは、本発明の装置に滑らかな端を提供し、血管の損傷を低減し、血管内の装置の操縦操作の条件を改善する。更に、この閉ループは、他の装置との絡み合う可能性を減らす。同時に、血管の損傷のリスクも減らす。半径方向の力を増加させるための他のオプションは、第1の区画に単一の網目構造を設けるか、第1の区画に溶接スポットを設けるか、網目構造の密度、組成、又は直径を大きくすることである。
【0014】
本発明の装置の第1の区画の直線形状は、血栓が吸引されるとそれを収容する空間を作り出す。第1の区画は血管の形状に適合可能であり、その外面は血管の内壁と重なる/当たる。
【0015】
本発明の装置は、様々な大きさで製造される。一実施例では、第1の区画は第2の区画よりも長い。一実施例では、第1の区画は、4-40mmの範囲の長さと3.5-6mmの範囲の外径を含む。第2の副区画は、1-10mmの範囲の長さと1-2mmの範囲の外径を含む。第1の副区画の編粗角度(α)は、装置の長手方向軸に対し15-45度の間である。この角度により、より大きな半径方向の力を有し、血流を停止できる。血管のシール(封止)があるのと同時に、装置が圧縮される。
【0016】
別の実施例では、本発明の装置は、親水性又は疎水性のコーティングを更に含む。一実施例では、コーティングは非透過性コーティングである。 コーティングは、第1の区画のみに、又は第1と第2の区画の両方に施すこともできる。後者の場合、近位端以外の第2の区画の一部は、コーティングされずに残される。 一実施例のコーティングは、シリコーン又はポリウレタンなどのポリマーを含む。 一実施例では、コーティングの厚さは、5-25μmの範囲にある。特に15μmがよい。
【0017】
更に、コーティングは、穴を含み得るので、本発明の装置のつぶれが回避される。この装置のつぶれを回避する別のオプションは、異なる直径を有する網目構造のすじ状の突起に起因する。
【0018】
網目構造のらせん状フィラメントは、金属、金属合金、特にニチノール又はニチノール/プラチナ、Niti♯1 -DFTR(Drawn Filled Tube)を含む複合材料製であり、プラチナの含有割合は10-40%の間であり。特に20%プラチナ(Niti♯1 -DFTR-20%Pt)である。
【0019】
一実施例では、らせん状フィラメントは、12-48本のフィラメント、特に24-48本のフィラメントを含む。 特にこのフィラメントの本数は12本,18本,24本,48本である。より具体的には24本である。この場合、このフィラメントは、40-60μmの範囲の断面、特に50μmの断面を有する。本発明の装置の縦軸に対するらせん状フィラメントの編粗角度(β)は、第1の区画では50-65°の範囲であり、第2の区画では15-50度の範囲である。
【0020】
本発明の装置は、センサーを含むかセンサーが取り付けられ、センサーから情報を提供する。このセンサーの一例は、装置が搬送装置内で格納位置にあるか拡張形状にあるかに関する情報を提供する光学センサー又は別のセンサーである。これらのセンサーは、本発明の装置が十分に拡張しているか否か、血栓の有無、血栓の組成、血管に対するファネルの位置等についての情報も提供する。あるいは、センサーは圧電センサーを含む。この圧電センサーは、本発明の装置の様々な区画又は副区画における半径方向の力に関する情報を提供する。あるいは、センサーは、血塊閉塞と頭蓋内アテローム性動脈硬化症とを区別する情報も提供する。
【0021】
好ましくは、本発明の装置は、その遠位端又は網目構造の他の戦略的ポイントに、放射線不透過性マーカーを含む。これにより、医師は、蛍光透視鏡を使用しながら、本発明の装置の正確な位置を知ることができる。
【0022】
本発明の別の態様は、本発明の第1の態様の装置を含む血栓摘出装置と、その特定の実施例に関する。
【0023】
本発明のさらなる別の態様は、患者の血管内の血栓部位から血栓を抽出する方法を提供する。一実施例では、この方法は、
図5に示すように、血管内の血栓部位への搬送構成の搬送カテーテルを通して血栓抽出装置を前進させる(501)。この血栓抽出装置は、反対方向に巻かれ絡み合ったらせん状フィラメントの第1と第2の組からなる網目構造を含む。この網目構造は、遠位端に第1の区画と、この第1の区画の近位端から近位端方向に延びる第2の区画を有する。搬送構成において、第1の組のらせん状フィラメントは、第2の組のらせん状フィラメントに対し遠位方向を向いた第1の角度を形成する。血栓抽出装置の第1の区画を、外向きの半径方向の第1の力で、血栓部位に近接する血管の内壁に配置されるよう拡張構成に拡張する(502)。展開構成においては、らせん状フィラメントの第1の組は、らせん状フィラメントの第2の組に対し外向きの半径方向の第2の角度を形成する。この第2の角度は第1の角度よりも大きい。血栓抽出装置の第2の区画を、半径方向外向きの第2の力で円錐台形の展開構成に拡張する(503)。第2の力は,近位方向血流を停止するのに十分な第1の力よりも小さい。第2区画の近位端は、展開構成において、第2区画の遠位端より小さな直径を有する。血栓を血栓抽出装置に吸引する(504)。
【0024】
ある実施例では、この方法は、第1の区画の近位端を第2の区画の遠位端で支持する任意のステップを含む。別のある実施例では、第1の区画を拡張するステップ(502)は、らせん状フィラメントの閉じた端部を有する第1の区画の遠位に、ばね力を加えるステップを含む。
【0025】
外向き半径方向の第1の力は、展開構成の第1の区画に沿って均一に分散している。あるいは、展開構成にある第1の区画においては、その第1と第2の端部の外向きの半径方向の力は、その中間部分のそれよりも大きい。
【0026】
血栓抽出装置は、選択的事項として、第1と第2の区画上にコーティングを形成してもよい。この場合、本発明の方法のあるステップを減らすことは、血液がコーティングの穴を通って流れることを可能にするステップを含むこともある。
【0027】
ある実施例は、選択的事項として、吸引ステップ(504)の後に、血栓抽出装置を展開構成から捕捉構成(即ち血栓が内側にある状態)に移行してもよい。この捕捉構成においては、らせん状フィラメントの第1と第2の組は、第3の角度を形成する。第3の角度は、第2の角度より小さい。
【0028】
血栓抽出装置は、選択的事項として、カテーテルを、第2の区画の近位端に取り付けてもよい。その場合、吸引ステップ(504)は、真空を、カテーテルを通して、第1と第2の区画の内部空間に、適用してもよい。
【0029】
本明細書に記載されている構造とパラメータに由来する装置の利点を、以下に要約する。
(1)適切な半径方向の力:これにより、血流を停止し装置を拡張する。
(2)「チャイニーズ・フィンガー・トラップ(Chinese finger trap)」効果:この現象は、装置を後方に引くことにより軸方向の力が加えられた時に、又は本発明の装置が血管に接触して装置が保持又は停止した時に、発生する。内部に物体(血栓など)がある場合、本発明の装置は長くなり、直径が小さくなる傾向があり、圧縮力を発生させる。これにより本発明の装置内に血栓を保持することを助ける。この効果はまた、らせん状フィラメント間に溶接点がない本発明の装置によって達成される。その結果、本発明の装置は、容易に長くなり、血栓を捕捉することができる。
(3)押し込み性:網目構造が搬送装置内で圧縮されると、らせん状フィラメントが縦方向に整列するため、バネ効果が回避され、内部での動きが容易になる。遠位端の閉ループは、血管内での装置の適切な操作性に関連する正確な押し込み性に寄与する。
(4)血管内での適合性:これは、主に、網目構造のらせん状フィラメント間の角度によって達成される。この角度は、湾曲した血管度への網目構造の適合を促進し、装置の座屈を回避する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施例による、血管から血栓を抽出する本発明の装置に含まれる様々な区画を概略的に示す。
【
図2】本発明の装置の異なる管状区画に含まれ、第2の区画よりも第1の区画の網目構造の密度が低い状態を示す。
【
図3】本発明の装置の主な仕様のいくつかを概略的に示す。
【
図4】本発明の装置の理想的な圧力(P)対直径(D)の曲線を示すグラフである。
【
図5】本発明の一実施例による、患者の血管内の血栓部位から血栓を抽出する方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明による自動血栓摘出装置を示す図である。
【
図7】カテーテルの先端の力を評価するために実施例2で使用された実験装置モデルを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1,2は、血管から血栓を抽出する本発明の装置の実施例を示す。本発明の装置はセグメント10を含む。このセグメント10は、自己拡張可能であり、遠位端11と近位端12を規定し、圧縮状態での収縮形状から拡張形状に移行できる。収縮形状においては、セグメント10は、搬送カテーテル(delivery catheter図示せず)のような搬送装置内にある。拡張形状においては、セグメント10は、搬送装置から出て、血管の内壁に並置され、血栓を受け入れて保持する。
【0032】
図2に示されるように、セグメント10は網目構造13を含む。 この網目構造13は、それぞれ反対方向に回転し絡み合っているらせん状フィラメントを2組有する。一実施例の網目構造13は、ダイアモンド型の構造又は規則的な構造である。 網目構造13の密度はセグメント10の弾性を決める。表1に詳述されているように、長手方向に対する網目構造角度(即ち編粗角度(β))は、可変である。
【0033】
らせん状フィラメントは、金属(金属合金を含む)、ポリマー、ニチノール又はニチノール/プラチナを含む複合材料、又はDFTR(ドローフィルドチューブ:登録商標)、その他の適切な機械的特性の材料で作ることができる。
【0034】
図1、2に見られるように、網目構造13は、2つの管状区画(即ち第1の区画20と第2の区画30)を規定する。特に第2の区画30は、2つの副区画(即ち第1の副区画31と第2の副区画32)を含む。
【0035】
図2に示すように、この特定の実施例では、遠位端11にある第1の区画20の端部は、閉ループ23を含み、搬送装置から出た後、セグメント10の拡張を容易にする。更に、これらの閉ループ23は、ばね又は固定点として機能する。これは、らせん状フィラメント間の動きを制限し、外向きの半径方向の力を増加させることによって行う。更に、閉ループ23は、滑らかな遠位端を提供し、血管損傷を低減し、血管内の本発明の装置の操作性を改善する。第1の区画20の残りの部分は、スペースを形成し、このスペースは、血栓が吸引された後血栓を収容する。第1の区画20は、血管の形状に適応可能である。その構成(例えば、直径と編組角度)のために、第2の区画30よりも大きい外向きの半径方向の力を提供する。その結果、セグメント10は、血管の内壁により適切に当たることができる。第1の区画20の端部の半径方向の力は、その中間部分よりも大きい。その理由は、例えば、閉ループ23のばね作用のためである。あるいは、第1の区画20の半径方向の力は、その全ての母線に沿って均一に分散している。
【0036】
第1の副区画31(又は第1の区画20に隣接する第2の区画30の一部)は、円錐台形又はファネル形である。この形状故に、この第1の副区画31は、つぶれることなく、血圧に耐えられる特徴を有する。図示した実施例では、第1の副区画31の近位端と遠位端での編粗角度(α)の変化は、円錐台形状を維持する半径方向の強度を提供する。この第1の副区画31の遠位端での編粗角度(α)の変化は、閉ループ23と連動して、第1の区画20を開位置に維持し、血栓のための空間を作り出す。第1の副区画31を覆うことは、血栓を捕捉しその除去中に血流を停止し、セグメント10の搬送装置内への引き込み中に、捕捉された血栓を保護する。この第1の副区画31は、第1の区画20の大きな直径から第2の副区画32の小さな直径への移行部である。第2の副区画32は、吸引カテーテル又は下流側チューブ(図示せず)への接続用である。
【0037】
第2の副区画32(又は近位端12に隣接する第2の区画30の一部)は、均一な直径の管状体であり、吸引カテーテル又は下流側チューブへの接続を提供する。一実施例では、吸引カテーテルは、外側ジャケットで覆われ、PTFEで裏打ちされた編組カテーテルである。吸引カテーテルのブレードとライナーは、外側ジャケットから遠位方向に伸びる。ポリマー材料の層を、突出した編組とライナーの周りに配置し、マンドレルを編組とライナー内に配置する。その後、セグメント10の第2の副区画32を、このポリマー材料の層の上に配置し、ポリマー材料の別の層を第2の副区画32の網目構造の上に配置する。次に、ポリマー材料の外層が溶融されて、ポリマーが網目構造13のセルを通って流れ、マンドレルが除去され、滑らかな表面が、吸引カテーテル全体に残る。この取り付けアプローチは、構造と剛性を、吸引カテーテルの取り付け区画に追加する。このため、取り付け区画は可能な限り短くして、セグメント10のカテーテルへの取り付けの完全性を損なうことがないようにする。
【0038】
セグメント10を、吸引カテーテル(aspiration catheter)に接続する他の技術を使用することもできる。例えば、他の実施例では、吸引カテーテルが金属製下流側チューブの場合、第2の副区画32の網目構造13は、ニチノール製リングに溶接される。このリングが、下流側チューブに直接溶接される。 あるいは、ステンレス製リングを第2の副区画32の網目構造13に接着することもできる。次に、ステンレス製リングが下流側チューブに溶接される。別のオプションは、らせん状フィラメントが穴を通過するように、穴あきリング上でセグメント10に直接網目構造を形成することである。
【0039】
セグメント10が搬送装置内に圧縮されると、セグメント10は伸びて、らせん状フィラメントを縦方向の整列に向かって移動させ、ばね効果を低減し、摩擦効果を低減し、押し込み性を高めることにより、搬送装置内へのセグメント10の移動を容易にする。搬送装置内へのセグメントの押し込み性は、動脈内のセグメント10の操作性に関連している。
【0040】
網目構造角度(β)は、網目構造13を血管の湾曲に適合させ、ねじれ(又は座屈)を回避し、網目構造内に自由空間を作り出し、吸引の妨げにならないようにする。
【0041】
図3を参照すると、一実施例により、本発明の装置の主な仕様のいくつかが示されている。表1に、本発明の装置の主な仕様を示す。表2は、このようなパラメータの計算に使用される測定方法を示す。
【0042】
表1は、特定の実施例のパラメータを示す。一実施例では、本発明の装置のパラメータは、例えば、直径4.5mmの大血管(Big Ref.)で表1に示されている。大血管の一例は、頸動脈の最後の部分又は頸動脈サイフォンなどである。別の実施例では、本発明の装置のパラメータは、直径2.5mmの小血管(Small Ref.)で表1に示されている。小血管の一例は、内頸動脈(ICA)や中大脳動脈(MCA)などである。
【0043】
表2は、さまざまなパラメータの計算に使用される測定方法を示す。前述のように、本発明の装置は2つの状態を採る。即ち、収縮状態においては、本発明の装置は、血栓部位に接近している間、搬送装置内にある。拡張(展開)状態においては、本発明の装置は、搬送装置又は血管との相互作用がない場合である。ここで指定されたパラメータは、自然な(リラックスした)形状の本発明の装置に関連している、つまり拡張形状にある。
【0044】
セグメント10は、その遠位端11又は網目構造13内の他の所定の点に、放射線不透過性マーカーを含む。放射線不透過性材料の一例は、白金、タングステン、バリウム誘導体、金、イリジウムである。これにより、医師は、蛍光透視鏡を使用して、本発明の装置の正確な位置を知ることができる。放射線不透過性材料は、製造後のらせん状フィラメント上に堆積することができる(本発明の装置にコーティングがある場合、放射線不透過性材料はコーティングの表面に分散させることもできる)。セグメント10に放射線不透過性を与えるための代替手段は、異なる材料(例えば、ニチノールとプラチナ)で不透明度グレードのらせん状フィラメントを使用することである。 特定の実施例では、プラチナコアを備えたニチノール製ワイヤが使用される。同様に、搬送カテーテルもまた、放射線不透過性マーカーを含み得る。
【0045】
更に、セグメント10は、コーティングを有する。このコーティングは、第1の区画20のみを覆うか、又はセグメント10全体を覆う。
図1と2の実施例では、図示していないが、コーティングは、閉ループ23から第2の副区画32まで伸びる。一実施例では、吸引カテーテルへのセグメント10の取り付け部についても適用される。これは、セグメント10を液体ポリマーに浸漬し、ポリマーを固化させることにより、行う。選択的事項として、マンドレルを、セグメント10がポリマー・コーティング材料に浸漬される時に、セグメント10の網目構造13の内側に配置してもよい。あるいは、コーティング材料を網目構造に噴霧してもよい。他の代替の実施例では、コーティングは、セグメント10を吸引カテーテルに取り付ける前に適用してもよい。そのような実施例では、コーティングは、第2の副区画32の近位端12に到達しないが、らせん状フィラメント間に未コーティングの空間があり、それらをそのまま残し、吸引カテーテルとの組み立てを可能にしてもよい。
【0046】
コーティングは、動脈への損傷を防ぎ、動脈のらせん状フィラメントへの直接接触を防ぐ。更に、コーティングは水密コンパートメントを提供し、除去中に血栓を吸い込んで保護することができる。一実施例では、コーティングを適用するために、網目構造13を搬送装置又は搬送カテーテルに取り付け、次いでコーティングを適用してもよい。
【0047】
内部又は外部の上塗り(glaze)をコーティングに適用して、その特性を改善することもできる。親水性又は疎水性のコーティングを、セグメント10の外面に適用することにより、外面をより容易に搬送装置内と血管内を通して移動させることができる。これは摩擦係数が低減したことに起因する。同様に、セグメント10の内面にこの処理を適用することにより、血栓が内部に入ると血栓を保持する接着効果も達成できる。
【0048】
コーティングは、弾力性のある素材で作られている。一実施例では、本発明の装置のコーティングはシリコーンで行う。 あるいは、ポリウレタン又は他のタイプのプラスチック材料を使用することもできる。ポリウレタンとシリコーンの混合物も使用できる。
【0049】
コーティングの二重の挙動(セグメント10の外面は滑らか、かつ内面は粘着性又は粗い状態)を実現するために、コーティングは、上記した材料を追加することによって処理するか、網目構造の構造自体によってそのような構成的特徴を持たすこともできる。
【0050】
コーティングは、穴を有し、セグメント10のつぶれを回避してもよい。この穴は、コーティングが適用された後、コーティングに穴開けすることによって形成してもよい。
【0051】
セグメント10の寸法は、血管の寸法に依存する。この血管内の血栓を捕捉するために、本発明の装置が使用される。セグメント10の副区画の寸法と網目構造の編組角度は、セグメント10が、搬送カテーテル内に圧縮され縮んだ時に、小さな半径方向外向きの力を提供し、拡張された時に、大きな外向きの力を提供する。これは血圧によるつぶれを回避するのを助ける十分な大きさである。
図4は、セグメント10の一実施例の可能な作業曲線を示す。 Y軸は本発明の装置の圧力(mmHg)を表し、X軸は動脈の直径(mm)を表す。水平の点線は血圧限界を示す。 一実施例において、本発明の装置が使用可能な動脈の直径範囲は、2-5mmである。セグメント10は、2-5mmの標準範囲で動作し、動脈によって妨げられることなく、拡張でき、200mmHgを超える血圧に対処できるように設計されている。
図4に示されるように、この特定の実施例では、2mm未満の直径に圧縮されるよう企図されてはいない。セグメント10を搬送カテーテル内に圧縮すると、搬送装置(搬送カテーテル)内で本発明の装置の前進を阻害するのに十分に高い半径方向外向きの力をもたらすことがある。
【0052】
図5に、患者の血管内の血栓部位から血栓を抽出する方法の実施例を示す。この実施例によれば、ステップ501は、血管内の血栓部位へ搬送構成の搬送カテーテルを通して、本発明の血栓抽出装置を前進させる。この血栓抽出装置は、反対方向に巻かれて絡み合ったらせん状フィラメントからなる少なくとも第1と第2の組からなる網目構造13を含む。この網目構造13は、遠位端11に第1の区画20と近位端12に第2の区画30とを有する。この第2の区画30は、この第1の区画20の近位端12から近位方向に延びる。らせん状フィラメントの第1の組は、搬送構成におけるらせん状フィラメントの第2の組に対し、 遠位方向を向いた第1の角度を形成する。ステップ502において、血栓抽出装置の第1の区画20を、外向き半径方向の第1の力で、血栓部位に近接する血管の内壁と並置する展開構成に拡張する。らせん状フィラメントの第1の組は、展開構成におけるらせん状フィラメントの第2の組と遠位方向を向いた第2の角度を形成する。この第2の角度は第1の角度よりも大きい。次に、ステップ503は、血栓抽出装置の第2の区画30を、第2の半径方向外向きの力で、円錐台形の展開構成に拡張する。この第2の半径方向外向きの力は、近位方向血流を停止するのに十分な第1の半径方向外向きの力よりも小さい。展開構成において、第2の区画30の近位端は、遠位端より、小さい直径を有する。最後に、ステップ504は、血栓を血栓抽出装置に吸引する。
【0053】
本発明の実施例は、血管から血栓を抽出する血栓摘出装置600を提供する。血栓摘出装置600は、上記した実施例のいずれかに提案されたセグメント10を含む。
【0054】
本発明のいくつかの実施例は、自動化され、従来の環境(病院)と最近の環境(介護ホーム、介助ケア施設)で使用できる。この自動化された装置は、本発明のより大きな展開と使用を可能にし、血栓を短時間に除去し、患者の病状を大幅に改善できる。例えば、血流を、非常に短い時間で、脳の重要な領域に取り戻すことが可能となる。そのような自動化された装置の一例が、特許文献6に開示されている。
【0055】
使用中、セグメント10とそれが取り付けられている吸引カテーテル又は下流側チューブは、搬送カテーテルを通って患者の血管内の血栓部位に進められる。搬送カテーテルの前進中、セグメント10は、搬送構成にある。この構成においては。らせん状フィラメントの第1と第2の組が、互いに対して遠位方向を向いた第1の角度を形成する。セグメント10が搬送カテーテルから出てくると、展開構成へと自己拡張を開始する。網目構造がセグメント10の遠位端で閉ループを形成する実施例では、らせん状フィラメントの閉ループのばね作用は、第1の区画20が血栓部位に近接する血管と並置するように拡張するのを助ける。展開構成では、らせん状フィラメントの第1と第2の組は、遠位方向を向いた第2の角度を形成する(即ち、らせん状フィラメントは、搬送構成よりも展開構成において長手方向に整列していない)。第2の角度は第1の角度よりも大きい。第1の副区画31は、自己拡張して、円錐台形又はファネル形になる。 第1の副区画31の遠位端は、第1の区画20の近位端を、展開構成に支持/保持するのを補助する。
【0056】
第1の副区画31と第1の区画20の外側のコーティングは、血栓部位への血流を減少させる。コーティングを通る穴(もしあれば)は、少量の血液が本発明の装置を通過することを可能にし、第1の副区画31のつぶれを回避する。このつぶれは、血圧によって、また血圧(外部)と適用された真空(内部)との間の圧力差によって引き起こされる。血流が減少すると、吸引作用を、カテーテル又は下流側チューブを通して、第1の副区画31と第1の区画20の内部空間に適用して、血栓を第1の区画20内に吸引することができる。その後、血栓を捕捉した本発明のセグメント10を患者から取り外す。捕捉構成(即ち、血栓が内側にある状態)時では、らせん状フィラメントの第1と第2の組は、第3の遠位方向を向いた角度を形成する(即ち、らせん状フィラメントは、より縦方向に整列する)。第3の遠位方向を向いた角度は、第2の遠位方向を向いた角度よりも小さい。これは、本発明の装置が、より長くより小さい直径の形状を採るからである。
【0057】
図6は、本発明の血栓摘出装置600の例を示す。これにより、血管系を介した血栓摘出装置600の自動操作を可能にする。
【0058】
この特定の例によれば、自動化された近位装置601は、血栓摘出装置600を展開するガイダンス・システムを提供する。更に、画像化装置602は、セグメント10と搬送カテーテルに含まれる放射線不透過性マーカーを検出する。通信チャネル603を使用して、画像を制御モジュール604に移送する手段を提供する。制御モジュール604は、血栓摘出装置600の展開とデータ記憶装置605へのデータの記憶のガイダンスを可能にするようにプログラム又は構成されている。制御モジュール604は、プログラマブル・ロジック・コントローラ、コンピュータなどである。この実施例では、制御モジュール604は、コンピュータ支援コントローラ606によってガイドされる。通信チャネル603は、イーサネット、WiFi、ブルートゥースなどである。制御モジュール604は、血栓摘出装置600を操作する医師又は技術者をガイドするようにプログラムされている。これにより、血栓摘出装置600が、ナーシングホーム又は介助生活施設などの病院以外の環境で使用できるようになる。
【0059】
血栓摘出装置600を「現場で」使用できるようにすることにより、血栓摘出に必要な時間が大幅に短縮され、患者の病状が大幅に改善される。制御は、コントローラ、例えば現在使用中の他の医療機器で使用されているものなどのを介して、行うこともできる。 別の実施例では、システムは手動で制御することもできる。
【0060】
以下に、高度な神経血管吸引((Advanced Neurovascular Aspiration)カテーテル(「ANAカテーテル」とも称する)を含む血栓摘出装置(「ANCD装置」とも称する)の2つの特定の実験例を詳述する。
【0061】
実験例1:in vivoアッセイ:ブタのモデルにおけるANCD高度血流制限システムの性能と安全性の長期的評価。
【0062】
前書き
血管内治療(EVT: EndoVascular Treatment)は、大血管閉塞(LVO: Lage Vessel Occulusion)脳卒中の最も効果的な治療法として認識されている。最小の試行回数で最短時間で最高度の再開通(recanalization)が、臨床病状の改善と相関することが実証されている。これは非常に効果的ではあるが、完全な再開通に到達できない事例は、治療を受けた患者の約20%であると報告されている。患者の病状を改善するために、さまざまな装置とその組み合わせを、最初の試行での完全な再開通率を高めるために、開発中である。このような装置の開発には、脳血管の人体解剖学(cerebrovascular humananatomy)を模擬する人体モデルでの前臨床試験と、本発明の装置に起因する血管損傷を評価する動物モデルが含まれる。各シミュレーション・モデルには独自の特性があるため、新しい装置又はその組み合わせは、人体研究での最初の最終評価を行う前に、さまざまな条件でその有効性と安全性を証明することが勧告される。
【0063】
ANCD装置は、新規な脳卒中血栓摘出装置(stroke thrombectomy apparatus)であり、これは、血管から血栓を抽出する本発明の装置と連続的ポリマー・コーティングで覆われた自己拡張型放射線不透過性編組(braid)を含み、血塊の断片化を減らし、局所的な血流の制限を導入してその回収を容易にし、遠位における吸引を可能にするよう設計されている。
【0064】
この研究の目的は、3日後と30日後の3回の試行後のブタモデルにおいて、ANCDの前臨床効果と安全性を評価することである。更に、一般的に使用されている装置であるFlowGate(商標)バルーン・ガイド・カテーテルと比較して、新規(本発明)の自己拡張型ファネルの使用が、高血管損傷とは無関係であることを具体的に確認することである。
【0065】
0日目の急性性能と安全性(パフォーマンス・ユーザビリティ・エンドポイント、本発明の装置の完全性と血管造影)と、3日後と30日後の安全性データ(血管造影、組織学、健康モニタリング)を、それぞれ調査した。
【0066】
方法:
ANCD装置の説明
ANCDは、ファネル・カテーテルと搬送カテーテルの2つの同軸カテーテルで構成される血栓摘出装置である。
【0067】
ファネル・カテーテルは、編組金属構造上に配置された非常に柔軟なポリマーで構成されている。これは、介入中の血流を局所的に制限することを目的とする。ファネル・カテーテルは、自己拡張性のファネルで構成されており、シースを外すと、血管の直径まで拡張し、その形状に適応して、血流を制限する。ファネル・カテーテルは、回収装置と組み合わせると、補完的なメカニズムとして機能する効果的な吸引を提供することができる。ファネルは、神経血管のねじれ/屈曲に適応するのに十分な柔軟性を持つように設計されている。ファネルは、放射線不透過性のブレードとポリマー製フィルムで構成されている。
【0068】
搬送カテーテルは、本発明の装置の最も外側のカテーテルであり、標的血管に到達するまでナビゲート(誘導)する。本発明の装置は、使用中の摩擦を減らすための親水性コーティングと、血管造影による視覚化のための遠位端の放射線不透過性マーカーを有する。カテーテルの材料により、先端の柔軟性を高め、近位部分の十分な剛性と押し込み性が可能になる。
【0069】
FlowGate(商標)バルーン・ガイド・カテーテルは、一般的な市販の装置であり、近位フロー制御と安定したプラットフォームを提供し、血管内へのカテーテルの挿入と誘導を容易にする。大きなルーメンで追跡可能性とサポートのバランスを提供し、回収装置の導管としての使用が示されている。
【0070】
動物モデル
全ての動物は検疫され、CBSET(米国マサチューセッツ州レキシントン)に収容された。この施設は、米国農務省の実験動物管理認定協会によって認定され、USDAガイドラインに規定された条件下で、運営されている。検疫中に、標準的な獣医の診療が、研究に当てられる前に、行われた。診療は、健康状態を判断する身体検査や臨床病理検査などを含む。動物の種に適した栄養的にバランスの取れた食事が、自由に摂取できる水と共に全ての動物に毎日与えられた。
【0071】
11頭のブタ(雌又は去勢された雄のヨークシャー豚、体重39-50kg)をこの研究に使用した。このブタモデルがこの研究の実験種として選択された。その理由は、血管系の大きさと解剖学的構造は、血管疾患の治療のためのカテーテル・ベースの医療機器を試験する目的に臨床的に関連しているからである。また、ブタは、血管研究のための確立された動物モデルであり、一般的に科学的基準として受け入れられている。
【0072】
動物に、麻酔をかけ、挿管し、IVカテーテルを挿入して、支持的なIV液と薬剤を投与した。外科的処置は無菌条件下で実施された。 生理学的パラメータは、全ての手順を通じて監視された。 大腿動脈は、カットダウン・アプローチを介してアクセスされた。9Fのイントロデューサー・シースを動脈内に進め、ヘパリン(150 U/kg、IV)を投与して、活性化凝固時間(ACT:Activated Clotting Time)を約200-350秒に伸ばした。ACTレベルは、全ての手順の間45分毎に監視された。追加のヘパリンが、必要に応じて、投与され、目標ACTを維持した。蛍光透視ガイド下で、8FMach1(商標)ガイド・カテーテル(CGC:ボストン・サイエンティフィック社製、マサチューセッツ州マールボロ)を、ガイドワイヤー上をシースを通して、下行大動脈と標的動脈まで前進させた。血管造影画像は、対照媒体/造影剤で取得され、治療部位に適した場所を特定した。造影解析は、手順全体(ベースライン、各試行後、剖検前)を通して行われた。血管造影法で(定性的と定量的に)評価されたパラメータは、血管の解剖学的構造、標的部位、本発明の装置のモニタリング、血管の状態-損傷、血管痙攣、血流(mTICIスケール)である。
【0073】
2つの装置が、標的血管の介入のために使用指示書(IFU)に従って、使用された。
1.BGC:バルーン・ガイド・カテーテル(BGC:8FrFlowGate2(商標)バルーン・ガイド・カテーテル(95 cm);カナダ, FremontにあるStryker Neurovascular 社製)、
2.ANCD:ガイド・カテーテルCGCを介したANCD(本出願人であるAnaconda Biomed社製)。
【0074】
腎臓動脈、頸部動脈、舌動脈が研究対象にされた。
これらの動脈は、ANCD用には2.2-5mm、BGC用には2.7-5mmの直径範囲をカバーする。これは、脳血管系(内頸動脈(ICA:Internal Carotid Artery)、中大脳動脈(MCA:Middle Cerebral Artery))の標的血管のサイズを表す。
【0075】
ANCD装置とBGC装置は、標的血管に沿って配置され,、各時点で全ての血管床(vascular bed)で評価が行われたことを確認した。動物の無作為化は、この研究では必要無かった。この理由は、各動物はANCDとBGCの両方の装置の評価を受けていたためである。
【0076】
この本発明の装置を、最悪のシナリオとして臨床シミュレーションで研究するために、各研究グループで3回の試行が、全てのケースで評価された。本発明の装置と血管痙攣によって引き起こされることのある血管損傷(穿孔、解離、血栓)も、血管造影法による手順中に、評価された。
【0077】
血栓摘出手順
血管内装置は、蛍光透視ガイダンスの下で操作され、血管造影画像が、本発明の装置の適切な位置を特定するために取得された。
【0078】
介入(intervention)1では、IFUと通常の慣行に従って、BGCを膨らませて血流を止め、BGCを介して吸引を行った。
介入2では、ANCDカテーテル・システムを標的血管部位の近くまで進め、ファネルを展開して局所的な血流停止を行った。
全ての介入において、血栓摘出手順中の吸引は、BGC(介入1)又はANCDファネル・カテーテル(介入2)のいずれかを介して、三方活栓に接続された60ccシリンジ(Vaclock; Merit Medical)を使用して行った。 結果として得られた研究設計を、次の表3に要約した。
表3:研究設計:試験装置(ANCDとフローゲートBGC)、血管の数と場所、実験に関与した動物の数、時点の評価。
【0079】
手順当日の急性の動きの評価には、ユーザーインターフェースと本発明の装置を操作する機能が含まれている。本発明の装置によって引き起こされる潜在的な血管損傷も、血管造影法による手順中に評価された。
【0080】
組織病理学
動物は、3日後と30日後に安楽死させ、包括的な検死を受けた。治療した血管を解剖/切開し、関連する組織/臓器を収集し、10%NBF(Neutral Buffered Formalin)で固定し、パラフィン包埋し、H&E(hematoxylin and eosin)とVerhoeffで染色し、組織形態学的評価を得た。治療された各血管を、トリミングし、推定治療領域内で少なくとも6つの断面(近位2つ、中央2つ、遠位2つ)が得た。舌の治療のために、治療された血管断面は、ブレッドローフされた舌(breadloafed tongue)切片から取られ、周囲の実質組織を含む。更に、血管の未治療の遠位区画を、推定治療領域の遠位端から約5mm以内で得た。
【0081】
光学顕微鏡を使用して、所定のパラメータの組織形態学的なスコア値を決定した。この所定のパラメータは、標的血管での治療に対する宿主の応答/修復プロセスの程度を反映する。組織形態計測マーカーには、血管損傷、血管壁圧迫病変、炎症、内皮化、管腔フィブリン/血栓沈着、新生内膜形成、外来線維症が含まれている。血管の組織学的切片が調べられ、顕微鏡レベルの他の変化を得た。この顕微鏡レベルの他の変化は、出血、壊死、炎症性細胞浸潤のタイプと相対量を含む。代表的な下流組織の切片を評価し、治療に関連する副作用を得た。この副作用は、血栓症、壊死、炎症、塞栓物質の存在などである。このスコア値は、全ての区画とレベルで計算され、各血管の全体的な平均として報告され、そのランキングは、全てのマーカーで、0(損傷無し)-3(損傷の可能な限り最高)ある。ただし、0(内皮被覆なし)-4(完全な内皮被覆)にランク付けされた内皮化(endothelization)を除く。病理医には、病理医が読み取り時点で、治療マトリックスは知らされていなかった。
【0082】
結果:
ANCDのナビゲート性と血管の湾曲を通る押し込み性は、FlowGateBGCと比較して優れていた。
【0083】
ANCD装置のファネルは、ほとんどの場合、完全な展開、血管の湾曲への精度と適応性、順行性血流の大幅な減少において、適切に機能した。
【0084】
ANCD装置は、標的血管での移動中と展開中、ねじれを回避した。
ANCD装置は、正確な動きで3回の試行を完了し、その一般的な完全性を維持することができた。 放射線不透過性、カテーテルの抜去、止血は適切であった。
【0085】
介入中、本発明の装置は血液との相互作用のために、その場で血塊を生成することがある。本研究の介入後、血栓は、体から取り出した後のカテーテル又はファネルの表面には、観察されず、両方の装置の適切な血栓生成抵抗性を支持している。
【0086】
血管の穿孔、切開、又は閉塞は、観察されなかった。血管れん縮は、試験装置と制御装置の両方で、さまざまな程度が一般的に観察される。これはブタモデルで一般的な観察である。ブタは血管痙攣を起こしやすいためである。
【0087】
3日後と30日後の血管損傷の組織形態学的マーカーは、それぞれ、全てのグループにわたって存在しないか最小限に抑えられ、一般に時間の経過とともに改善された。下流の組織は、塞栓物質のまばらで最小限の証拠を示し、標的器官における壊死と、又は循環障害の他の証拠と、相関していなかった。塞栓性異物の所見は、最小であり、治療群間で類似しており、起源が共有されていることを示しており、さまざまな補助製品に使用されている潤滑コーティングと最も一致していた。他の所見、炎症、血栓症、壊死などは、全てのグループと全ての時点で、存在しないか最小限に抑えられていた。
【0088】
全ての動物は予定された時点まで生き残った。動物の臨床観察、体重変化、血液分析、検死では、任意の研究動物用のANCD装置又はFlowGate装置に関連する臨床異常の兆候も明らかにならなかった。
【0089】
結論:
●ANCD装置は、血管内介入において、完全な展開と精度で、優れた動きを示した。
これは、制御装置FlowGate BGCと同様である。
●ANCD装置は、血管湾曲内での移動可能性、押し込み性、適応性の点で、制御装置よりも優れた動きを示した。順行性血流の有意な減少を示した。
●ANCD装置グループは、最小限の血管損傷を示し、時間の経過とともに改善した。 これは、FlowGate BGCグループと同様である。
●治療された血管の下流組織は、病変が最小限であるか、無いことを示した。
これは、ANCD装置とFlowGate BGCグループと同様である。
●ANCD装置は、好ましい安全性プロファイルを示した。
これは、治療を受けた動物に全身性と局所性の副作用がないことに基づく。
【0090】
例2:ANAカテーテルの吸引力試験
前書き:
虚血性脳卒中の血管内治療には、さまざまな装置と技術が関与している。吸引血栓摘出手順は、血管閉塞による急性虚血性脳卒中を患っている患者の血流を回復させることを目的とするが、これは、吸引力を加えて血塊を除去することにより行う。この研究は、実験的分析を使用して、2つの異なるカテーテル設計の血塊に対する吸引力を分析することを目的とする。吸引の先端力を研究するために、血塊は硬いと見なされた。そのために、ACE68再灌流カテーテル(Penumbra社製:以下「ACE」とも称する)とANAカテーテル(Anaconda Biomed社製:以下「ANA」とも称する)の先端によって発生する力を、引張試験機と特殊な装置を使用して、評価した。この特殊な装置は、血塊の完全な閉塞を模擬するために、装置の先端を完全に覆うように設計されたツールである。
【0091】
ANAは、編組金属構造上に柔軟性の高いポリマーで構成されたファネルカテーテルである。これは、介入中の血流を局所的に制限することを目的とする。それは自己拡張性のファネルで構成されており、シースを外すと、血管の直径まで拡張し、血管の形状に適応して血流を制限する。ファネルカテーテルは効果的な吸引を提供することができ、回収装置と組み合わせると、補完的なメカニズムとして使用できる。ファネルカテーテルは、神経血管の屈曲に適応するのに十分な柔軟性を持つように設計されている。ファネルカテーテルは、放射線不透過性のブレードとポリマーフィルムで構成されている。
【0092】
ACEは、16個のトランジションに沿ったコイル巻き形状で構成される再灌流カテーテルである。これは、最適な追跡プロファイルを作成することを目的とし、近位の大きな血管からの血塊の抽出を、カテーテルに関連付するPenumbra PumpMAX(商標)の真空力で、容易にする。
【0093】
方法:
この試験は、虚血性脳卒中の治療のために、血栓の吸引力とさまざまな吸引装置によって引き起こされる応力を分析する目的で実施された。カテーテルの先端の力を評価するために、
図6に示す実験モデルを構成した。
【0094】
10Nロードセルを備えたINSTRON-EQ152引張試験機を使用した。特別に設計されたツールがロードセルに接続された。このツールは、この研究用に選択された2つのカテーテル(ユニット)(ANAとACE)の先端の内径を塞ぐことができた。先端がツールを覆うと、吸引カテーテル用のVacMaxiポンプ(APEX)を使用して500mmHgの負圧をかけた。 次に、50mm /分の一定速度を適用し、ツールの分離に必要な力を評価した。
【0095】
ツール作成用に選択された設計に関しては、吸引中に、先端がつぶれることによって生じる摩擦力を低減することを目的とした。この現象は、ANAカテーテルに、より大きな影響を与える可能性がある。これは、先端の柔軟な編組構造設計に起因し、ツールの壁とのより密接な接触につながる可能性がある為である。本発明者らは、この事実は、血塊がカテーテルの先端の内側にある時に、血塊のトラップを形成する臨床診療に潜在的な利益をもたらす可能性があると考えた。
【0096】
結果と結論:
試験で得られた結果を次の表に示す。
表4:実験結果
【0097】
上記の結果に基づいて、剛性表面が内径を完全に塞いでいる時に、先端で実験された力は、ACEカテーテルよりもANAのほうが、3倍以上大きいと言うことができる。この研究は、硬い血栓(硬い材料)がカテーテルの先端を完全に塞いでいるシナリオで、何が起こるかに臨床的に関連するアプローチを表している。ANAファネルの機能、主に大きくて柔軟性のある先端は、効率的な吸引トラップを作成し、ACE装置よりも高い力で血塊がカテーテルから分離するのを防ぐ。
【0098】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0099】
10:セグメント
11:遠位端
12:近位端
13:網目構造
20:第1の区画
30:第2の区画
31:第1の副区画
32:第2の副区画
図5
501:血管内の血栓部位へ搬送構成の搬送カテーテルを通して血栓抽出装置を前進させる
502:血栓抽出装置の第1の区画を、外向きの半径方向の第1の力で、血栓部位に近接する血管の内壁と並置する展開構成に拡張する
503:血栓抽出装置の第2の区画30を、半径方向外向きの第2の力で、円錐台形の展開構成に拡張する。この第2の力は、近位方向血流を停止するのに十分な第1の力よりも小さい
504:血栓を血栓抽出装置に吸引する
図6
600:血栓摘出装置
601:自動化された近位装置
602:画像化装置
603:通信チャネル
604:制御モジュール
605:データ記憶装置
606:コンピュータ支援コントローラ
【図 】
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