(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】遠心分離システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B04B 1/08 20060101AFI20221213BHJP
B04B 9/12 20060101ALI20221213BHJP
B04B 11/02 20060101ALI20221213BHJP
B04B 15/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B04B1/08
B04B9/12
B04B11/02
B04B15/00
(21)【出願番号】P 2021532951
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019084154
(87)【国際公開番号】W WO2020120369
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-06
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カスパー・ホグルンド
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・トールヴィド
(72)【発明者】
【氏名】スタッファン・ケーニヒソン
【審査官】谷本 怜美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-254855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0203306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
C12M 1/00- 3/10
C12N 1/00- 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心分離機(202)と、液体供給混合物導管(204)と、軽相導管(206)と、重相導管(208)と、流量制御システム(210)とを含む遠心分離システム(200)であって、
前記遠心分離機(202)が、回転軸(20)周りに回転するように構成されかつ分離空間(88)を備えるロータ(212)と、前記分離空間(88)の内部に配置された分離円板(92)の積層体(90)と、前記ロータ(212)の第1の軸端(22)に配置された第1の固定部(84)と
、前記ロータ(212)の第2の軸端(24)に配置された第2の固定部(86)と、を含み、
入口通路(214)が、前記第1または第2の固定部(84、86)を介して前記分離空間(88)内に延び、軽相出口通路(216)が、前記第1または第2の固定部(84、86)を介して前記分離空間(88)から延び、重相出口通路(218)が、前記第1または第2の固定部(84、86)を介して前記分離空間(88)から延び、
前記重相出口通路(218)が、前記分離空間(88)の半径方向
外側から前記ロータ(212)の中心部に向けて前記ロータ(212)内部で延びる少なくとも1つのチャネル(102)を含み、
前記入口通路(214)、前記軽相出口通路(216)、および前記重相出口通路(218)の各々が、前記ロータ(212)と前記第1の固定部(84)または前記第2の固定部(86)との間で機械的に気密シールされ、
前記入口通路(214)が、R0において前記回転軸(20)上で前記ロータ(212)の中心に入り、前記重相出口通路(218)が、第1の半径R1において前記ロータ(212)を退出し、前記軽相出口通路(216)が、第2の半径R2において前記ロータ(212)を退出し、半径の関係がR1≧R2≧R0およびR1>R0であり、
前記流量制御システム(210)が、制御ユニット(226)と、前記重相導管(208)に接続された反対圧力生成装置(260)と、液体供給混合物測定デバイス(220)と、軽相測定デバイス(222)および/または重相測定デバイス(223)とを含み、前記反対圧力生成装置(260)が、重相受け容器(232)と前記重相受け容器(232)に接続された重相圧力制御装置(262)とを含み、
前記制御ユニット(226)が、前記重相出口通路(218)内の重相反対圧力を制御するために、前記液体供給混合物測定デバイス(220)からの測定値ならびに前記軽相測定デバイス(222)および/または前記重相測定デバイス(223)からの測定値に基づいて前記重相圧力制御装置(262)を制御するように構成される、遠心分離システム(200)。
【請求項2】
前記重相受け容器(232)がガスタイト容器であり、前記重相圧力制御装置(262)が、前記重相受け容器(232)内にガス圧力を与えるように構成された圧縮ガスのソース(264)を含む、請求項1に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項3】
前記重相導管(208)が、前記重相受け容器(232)の下端に接続され、前記重相圧力制御装置(262)が、前記重相受け容器(232)を揚げ下げするように構成された昇降装置(266)を含む、請求項1に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項4】
前記遠心分離機(202)が、前記遠心分離機(202)の動作中に液体供給混合物の前記入口通路(214)への基準流量において、少なくとも+100mbarの前記入口通路(214)と前記重相出口通路(218)との間の圧力差を生成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項5】
前記液体供給混合物導管(204)が、圧縮された液体供給混合物のソース(228)に接続されるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項6】
前記液体供給混合物導管(204)内に配置された供給ポンプ(230)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項7】
液体供給混合物容器(236)と、前記液体供給混合物容器(236)に接続された液体供給混合物圧力制御装置(238)とを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項8】
前記重相導管(208)が、前記重相出口通路(218)から前記重相受け容器(232)までの重相の流れの間に、前記遠心分離機(202)から前記重相受け容器(232)までの制限されない通路を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項9】
前記遠心分離機(202)が、交換可能な分離用挿入物(6)を含み、
前記交換可能な分離用挿入物(6)が、ロータケーシング(82)と、前記ロータケーシング(82)の第1の軸端(120)に配置された前記第1の固定部(84)と
、前記ロータケーシング(82)の第2の軸端(122)に配置された前記第2の固定部(86)と、を含み、
前記ロータケーシング(82)が、前記遠心分離機(202)の前記ロータ(212)の一部を形成し、前記分離空間(88)と、前記分離円板(92)と、前記少なくとも1つのチャネル(102)とを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項10】
前記ロータ(212)が、回転可能部材(16)と前記ロータケーシング(82)とを含み、前記ロータケーシング(82)が、前記回転可能部材(16)の内部空間(26)内に係合される、請求項9に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項11】
液体供給混合物容器(236)を含み、かくはん部材(237)が、前記液体供給混合物容器(236)内に配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の遠心分離システム(200)。
【請求項12】
遠心分離システム(200)を制御する方法(300)であって、前記遠心分離システム(200)が、遠心分離機(202)と、液体供給混合物導管(204)と、軽相導管(206)と、重相導管(208)と、流量制御システム(210)とを含み、
前記遠心分離機(202)が、回転軸(20)周りに回転するように構成されかつ分離空間(88)を備えるロータ(212)と、前記分離空間(88)の内部に配置された分離円板(92)の積層体(90)と、前記ロータ(212)の第1の軸端(22)に配置された第1の固定部(84)と
、前記ロータ(212)の第2の軸端(24)に配置された第2の固定部(86)とを含み、
入口通路(214)が、前記第1または第2の固定部(84、86)を介して前記分離空間(88)内に延び、軽相出口通路(216)が、前記第1または第2の固定部(84、86)を介して前記分離空間(88)から延び、重相出口通路(218)が、前記第1または第2の固定部(84、86)を介して前記分離空間(88)から延び、
前記重相出口通路(218)が、前記分離空間(88)の半径方向
外側から前記ロータ(212)の中心部に向けて前記ロータ(212)内部で延びる少なくとも1つのチャネル(102)を含み、
前記入口通路(214)、前記軽相出口通路(216)、および前記重相出口通路(218)の各々が、前記ロータ(212)と前記第1の固定部(84)または前記第2の固定部(86)との間で機械的に気密シールされ、
前記入口通路(214)が、R0において前記回転軸(20)上で前記ロータ(212)の中心に入り、前記重相出口通路(218)が、第1の半径R1において前記ロータ(212)を退出し、前記軽相出口通路(216)が、第2の半径R2において前記ロータ(212)を退出し、R1≧R2≧R0およびR1>R0であり、
前記流量制御システム(210)が、前記重相導管(208)に接続された反対圧力生成装置(260)と、液体供給混合物測定デバイス(220)と、軽相測定デバイス(222)および/または重相測定デバイス(223)とを含み、
前記反対圧力生成装置(260)が、重相受け容器(232)と前記重相受け容器(232)に接続された重相圧力制御装置(262)とを含み、
当該方法(300)が、
前記ロータ(212)を回転させるステップ(302)と、
前記液体供給混合物導管(204)および前記入口通路(214)を介して液体供給混合物の流れを前記分離空間(88)内に導くステップ(304)と、
前記分離空間(88)内で前記液体供給混合物を重相と軽相とに分離するステップ(306)と、
液体供給混合物
の流量を測定するステップ(308)と、
軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ(310)と、
前記重相出口通路(218)内の重相反対圧力を制御するために、液体供給混合物の前記流量を測定する前記ステップ(308)において獲得された測定値ならびに軽相の前記流量および/または重相の前記流量を測定する前記ステップ(310)において獲得された測定値に基づいて前記重相圧力制御装置(262)を制御するステップ(312)とを含む、方法(300)。
【請求項13】
前記重相受け容器(232)がガスタイト容器であり、前記重相圧力制御装置(262)が、圧縮ガスのソース(264)を含み、
前記重相圧力制御装置(262)を制御する前記ステップ(312)が、
圧縮ガスの前記ソース(264)から前記重相受け容器(232)に備えるガス圧力を制御するステップ(314)を含む、請求項12に記載の方法(300)。
【請求項14】
前記重相導管(208)が、前記重相受け容器(232)の下端に接続され、前記重相圧力制御装置(262)が、前記重相受け容器(232)を揚げ下げするように構成された昇降装置(266)を含み、
前記重相圧力制御装置(262)を制御する前記ステップ(312)が、
前記重相受け容器(232)を前記重相出口通路(218)の上の特定の高さに設置するために前記昇降装置(266)を制御するステップ(316)を含む、請求項12に記載の方法(300)。
【請求項15】
前記液体供給混合物の圧力を制御するステップ(320)を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項16】
前記遠心分離システム(200)が、前記重相導管(208)内に配置された遮断弁(234)を含み、
当該方法(300)が、
前記軽相と重相との間の接触面が前記分離空間(88)内に生じる間に一バッチの液体供給混合物を分離する初期の分離段階の間に、前記遮断弁(234)を閉に維持するステップ(326)と、
前記接触面が生じたときに前記一バッチの液体供給混合物を分離する主たる分離段階の間に、前記遮断弁(234)を全開に維持するステップ(328)とを含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項17】
前記一バッチの液体供給混合物を分離する前記主たる分離段階が終了した後、前記遮断弁(234)を閉に維持するステップ(330)を含む、請求項16に記載の方法(300)。
【請求項18】
液体供給混合物の前記流れを前記分離空間(88)内に導く前記ステップ(304)が、細胞培養混合物を含む液体供給混合物の流れを前記分離空間(88)内に導くステップ(332)を含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項19】
前記重相圧力制御装置(262)を制御する前記ステップ(312)が、
液体供給混合物の前記流量と軽相の前記流量および/または重相の前記流量との間の所望の関係に向けて、前記反対圧力生成装置(260)によって生成された前記重相反対圧力を制御するステップ(334)を含む、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、遠心分離機を含む遠心分離システムと、遠心分離システムを制御する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
機械的に気密シールされた遠心分離機を使用中、空気は、分離機の内部に存在せず、したがって、液体/空気接触面(interface)は、分離機の内部に形成されない。したがって、入口、および/または軽相に対する出口、および/または重相に対する出口のうちの一方における圧力変化は、入口および/または出口のうちの他方における圧力に影響を及ぼすことになる。別の表現で言うと、機械的に気密シールされた遠心分離機の入口および出口は、連通管を形成する。
【0003】
WO2011/093784およびEP2868210は、機械的に気密シールされた遠心分離機を含むシステムを開示する。
【0004】
WO2011/093784は、気密遠心分離機を含むシステムを開示し、分離機は、分離室を含むロータと、分離されるべき成分の混合物のための入口チャネルと、少なくとも1つの分離された軽い成分を受けるための第1の出口チャネルと、少なくとも1つの分離された重い成分を受けるための第2の出口チャネルとを含む。システムは、前記第2の出口チャネルから分離された重い成分の前記分離室部まで再循環させるための再循環手段と、前記第2の出口チャネル内を流れる重い成分の密度、流量、またはそれらの組合せをモニタする第1のモニタリング手段と、前記第1のモニタリング手段からの制御信号に応答して再循環流量を制御する第1の制御手段とをさらに含む。システムは、様々な内容物の供給物を分離機に供給するときでも、分離された重い成分の特性を制御する。
【0005】
EP2868210は、入口においておよび液体の出口において機械的に気密シールされた遠心分離機への入口を介して処理されるべき液体のかんきつ果実材料を導入するステップと、少なくとも液体の重相および液体の軽相を取得するために分離機内のかんきつ果実材料を分離するステップであって、液体の重相の密度は液体の軽相の密度より高い、ステップと、分離機の液体の重相出口を介して液体の重相をかつ液体の軽相出口を介して液体の軽相を排出するステップと、排出される液体の重相および/または液体の軽相の少なくとも1つのパラメータを測定するステップであって、パラメータは、液体の軽相の中の重相の濃度に関連するかまたはその逆に関連する、ステップと、分離機から排出された液体の軽相の中の重相の濃度を制御するかまたはその逆を制御するための測定に基づいて液体の軽相出口に対する液体の重相出口の反対圧力を調整するステップかまたはその逆を調整するステップとを含む、かんきつ果実処理のための方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2011/093784
【文献】EP2868210
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの液体供給混合物およびそのような液体供給混合物から分離された重相は、他のものより、たとえばせん断力に対してより敏感である。
【0008】
それに応じて、本発明の目的は、分離された重相を穏やかに取り扱うための条件を提供する分離システムを提供することである。これに対処するために、独立クレームのうちの1つにおいて規定される特徴を有する遠心分離システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、目的は、遠心分離機と、液体供給混合物導管と、軽相導管と、重相導管と、流量制御システムとを含む遠心分離システムによって達成される。遠心分離機は、回転軸周りに回転するように構成されかつ分離空間を備えるロータと、分離空間の内部に配置された分離円板の積層体と、ロータの第1の軸端に配置された第1の固定部と、ロータの第2の軸端に配置された任意選択の第2の固定部とを含む。入口通路は、第1または第2の固定部を介して分離空間内に延び、軽相出口通路は、第1または第2の固定部を介して分離空間から延び、重相出口通路は、第1または第2の固定部を介して分離空間から延びる。重相出口通路は、分離空間の半径方向外部からロータの中心部に向けてロータ内部で延びる少なくとも1つのチャネルを含む。入口通路、軽相出口通路、および重相出口通路の各々は、ロータと第1の固定部または第2の固定部との間で機械的に気密シールされる。入口通路は、R0において回転軸上でロータの中心に入り、重相出口通路は、第1の半径R1においてロータを退出し、軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータを退出し、半径の関係は、R1≧R2≧R0およびR1>R0である。流量制御システムは、制御ユニットと、重相導管に接続された反対圧力生成装置と、液体供給混合物測定デバイスと、軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスとを含む。反対圧力生成装置は、重相受け容器と重相受け容器に接続された重相圧力制御装置とを含む。制御ユニットは、重相出口通路内の重相反対圧力を制御するために、液体供給混合物測定デバイスからの測定値ならびに軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスからの測定値に基づいて重相圧力制御装置を制御するように構成される。
【0010】
入口および出口の通路は機械的に気密シールされており、入口通路はロータの中心に入るので、流量制御システムは重相導管に接続された反対圧力生成装置と、液体供給混合物測定デバイスと、軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスとを含むので、反対圧力生成装置は重相受け容器と重相受け容器に接続された重相圧力制御装置とを含むので、ならびに制御ユニットは、重相出口通路内の重相反対圧力を制御するために液体供給混合物測定デバイスからの測定値ならびに軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスからの測定値に基づいて重相圧力制御装置を制御するように構成されるので、遠心分離システムが設けられ、重相が穏やかな取り扱いを受けるための条件が規定される。その結果、上記の目的が達成される。
【0011】
本発明のさらなる目的は、遠心分離システムを制御する方法を提供することであり、その方法は、分離された重相を穏やかに取り扱うための条件を提供する。これに対処するために、独立クレームのうちの1つにおいて規定される特徴を有する方法が提供される。
【0012】
したがって、本発明のさらなる態様によれば、目的は、遠心分離システムを制御する方法によって達成され、遠心分離システムは、遠心分離機と、液体供給混合物導管と、軽相導管と、重相導管と、流量制御システムとを含む。遠心分離機は、回転軸周りに回転するように構成されかつ分離空間を備えるロータと、分離空間の内部に配置された分離円板の積層体と、ロータの第1の軸端に配置された第1の固定部と、ロータの第2の軸端に配置された任意選択の第2の固定部とを含む。入口通路は、第1または第2の固定部を介して分離空間内に延び、軽相出口通路は、第1または第2の固定部を介して分離空間から延び、重相出口通路は、第1または第2の固定部を介して分離空間から延びる。重相出口通路は、分離空間の半径方向外部からロータの中心部に向けてロータ内部で延びる少なくとも1つのチャネルを含む。入口通路、軽相出口通路、および重相出口通路の各々は、ロータと第1の固定部または第2の固定部との間で機械的に気密シールされる。入口通路は、R0において回転軸上でロータの中心に入り、重相出口通路は、第1の半径R1においてロータを退出し、軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータを退出し、R1≧R2≧R0およびR1>R0である。流量制御システムは、重相導管に接続された反対圧力生成装置と、液体供給混合物測定デバイスと、軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスとを含む。反対圧力生成装置は、重相受け容器と重相受け容器に接続された重相圧力制御装置とを含む。方法は、
- ロータを回転させるステップと、
- 液体供給混合物導管および入口通路を介して液体供給混合物の流れを分離空間内に導くステップと、
- 分離空間内で液体供給混合物を重相と軽相とに分離するステップと、
- 液体供給混合物の流量を測定するステップと、
- 軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップと、
- 重相出口通路内の重相反対圧力を制御するために、液体供給混合物の流量を測定するステップにおいて獲得された測定値ならびに軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップにおいて獲得された測定値に基づいて重相圧力制御装置を制御するステップとを含む。
【0013】
入口および出口の通路は機械的に気密シールされ、入口通路はロータの中心に入るので、流量制御システムは重相導管に接続された反対圧力生成装置と、液体供給混合物測定デバイスと、軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスとを含むので、反対圧力生成装置は重相受け容器と重相受け容器に接続された重相圧力制御装置を含むので、および方法は、
- 液体供給混合物の流量を測定するステップと、
- 軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップと、
- 重相出口通路内の重相反対圧力を制御するために液体供給混合物の流量を測定するステップにおいて獲得された測定値ならびに軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップにおいて獲得された測定値に基づいて重相圧力制御装置を制御するステップとを含むので、遠心分離システムを制御する方法が提供され、重相が穏やかな取り扱いを受けるための条件が規定される。その結果、上記の目的が達成される。
【0014】
より具体的には、回転軸においてその入口を有する機械的に気密シールされた遠心分離機は、分離されるべき液体供給混合物が遠心分離機内に穏やかに入ることをもたらす。重相出口通路から重相受け容器までのその途上で分離された重相を穏やかに取り扱うことは、重相受け容器を含む反対圧力生成装置によってもたらされる。すなわち、機械的に気密シールされた遠心分離機の入口および出口は連通管を形成するので、遠心分離システム内の液体供給混合物を分離する間に重相導管内に流量制御デバイスは不要である。したがって、重相をせん断力にさらすことになる流量制限が、重相導管内にもたらされる必要はない。それに応じて、重相が重相受け容器に向けて流れるときに、重相が穏やかな取り扱いを受けるための条件(provision)が規定される。
【0015】
遠心分離機は、ロータが、たとえば電気モータを含む駆動装置によって回転される高速遠心分離機である。ロータは、液体供給混合物が高い重力加速度にさらされ得るように、数千RPMで回転され得る。分離円板は、液体供給混合物を軽相および重相に高い効率で分離することをもたらす。
【0016】
少なくとも1つのチャネルは、半径方向外部において回転軸により近い部分と実質的に同じ断面積を有する1つまたは複数のチューブによって形成され得る。代替的に、少なくとも1つのチャネルは、半径方向外部において回転軸により近い部分より大きい断面積を有する1つまたは複数の通路によって形成され得る。
【0017】
入口通路および出口通路の機械的気密シールが、シール部材によって提供される。機械的気密シールは、たとえば、一対の室の内部に配置された一対の円板および/または液中の保持円板を含む液圧シールとは全く異なる接触面を、遠心分離機の回転部と固定部との間に形成することが分かる。機械的気密シールは、ロータの部分と固定部との間に当接部(abutment)を含む。液圧シールは、遠心分離機の回転可能ロータと固定部との間に当接部を含まない。
【0018】
上記で示したように、遠心分離機は、ロータの一方または両方の軸端に配置された1つまたは2つの固定部を含み得る。遠心分離機が、ロータの第1の軸端に配置された第1の固定部だけを含む場合、入口通路ならびに軽相および重相の出口通路はすべて、第1の固定部に配置される。遠心分離機が、ロータの第1の軸端に配置された第1の固定部とロータの第2の軸端に配置された第2の固定部の両方を含む場合、入口通路は第1または第2の固定部を介して分離空間の中に延びてよく、軽相出口通路は第1または第2の固定部を介して分離空間から延びてよく、重相出口通路は第1または第2の固定部を介して分離空間から延びてよい。別の表現で言うと、入口通路は第1のまたは任意選択の第2の固定部を介して分離空間の中に延び、軽相出口通路は第1のまたは任意選択の第2の固定部を介して分離空間から延び、重相出口通路は第1のまたは任意選択の第2の固定部を介して分離空間から延びる。
【0019】
重相受け容器は、一バッチの(a batch of)液体供給混合物から分離された重相を貯蔵するための容器であり得る。代替的に、重相受け容器は、重相が分離システムに続いてさらなる処理に進む前の、重相の中間貯蔵または部分貯蔵のための容器であり得る。
【0020】
軽相出口通路および重相出口通路は、ロータからの唯一の出口であり得る。
【0021】
入口通路が回転軸上でロータの中心に入るように入口通路を配置することで、液体供給混合物が入口通路から回転するロータまで穏やかに移行することがもたらされる。ロータからの軽相出口通路の出口の半径R2より大きい半径R1において重相出口通路がロータを退出するような重相出口通路を配置することで、液体供給混合物を分離空間内に、ならびに重相および軽相を分離空間の外に移送することが可能になる外部供給圧力は、不要になるかまたは小さくなる。遠心分離機のロータは、少なくとも分離された重相にポンピング作用を働かせ得る。
【0022】
流量制御システムは、分離システム内で液体供給混合物を軽相と重相とに分離することを制御するように構成される。詳細には、流量制御システムは、遠心分離機を通る液体供給混合物と軽相および重相との流量を制御するように構成される。この流量を制御する主たる手段は、重相受け容器と重相受け容器に接続された重相圧力制御装置とを含む反対圧力生成装置である。いくつかの実施形態によれば、重相受け容器と重相受け容器に接続された重相圧力制御装置とを含む反対圧力生成装置は、遠心分離機を通る液体供給混合物と軽相および重相との流量を制御する唯一の手段を形成し得る。
【0023】
重相圧力制御装置は、重相受け容器内の圧力を制御するように構成される。重相受け容器は、重相導管を介して重相出口通路と連通するので、重相受け容器内の圧力は、重相出口通路内の圧力、すなわち分離された重相が受ける反対圧力に直接影響を及ぼす。
【0024】
液体供給混合物は、たとえば、液体供給混合物を圧力にさらすことによって、および/または遠心分離機のロータが重相および軽相に対するポンプとして働いて液体供給混合物を分離空間内に引き込むことによって、遠心分離機内に供給される。重相圧力制御装置は、軽相出口通路内にきれいな軽相を、ならびに重相出口通路内を連続的に流れる重相をもたらすように制御される。きれいな軽相は、重相および/または粒子が実質的にない軽相である。
【0025】
これは、分離空間内部の軽相と重相との間の接触面の半径方向位置、いわゆるEラインが、分離されたきれいな軽相が軽相出口通路に到達しかつ分離された重相が分離空間の半径方向外部において少なくとも1つのチャネルに到達するように、流量制御システムおよび重相圧力制御装置によって制御される。Eライン、平衡線は、軽相と重相との間の明確な接触面としての、中間帯の単純化である。実際には、中間帯の中で濃度勾配が存在する。
【0026】
液体供給混合物は、軽相と重相の混合物によって形成される。軽相は液体である。重相は、軽相より高い密度を有する液体であり得る。代替的に、重相は、液体の中で漂う粒子、たとえば、軽相を形成する液体の中で漂う粒子を含み得る。粒子は細胞であり得る。細胞は、CHO、チャイニーズハムスターの卵巣の細胞などの哺乳類の細胞であり得る。液体供給混合物は、細胞培養混合物であり得、分離された軽相は、発酵中に細胞によって発現された(expressed)細胞外生分子を含有し得る。重相は、高濃度細胞含有液であり得る。高濃度細胞含有液は、一バッチの液体供給混合物の分離に続く発酵プロセスの中で再使用され得る。すなわち、重相出口通路から重相受け容器までのその途上で重相を穏やかに取り扱うことに起因して、高濃度細胞含有液の中の細胞は、それらが後続の発酵の間に細胞外生分子を発現するのに適切である状態にあり得る。
【0027】
実施形態によれば、重相受け容器はガスタイト容器であってよく、重相圧力制御装置は、重相受け容器内にガス圧力を与えるように構成された圧縮ガスのソースを含み得る。このようにして、重相受け容器内のガス圧力は、重相出口通路内の反対圧力を制御するために利用され得る。したがって、遠心分離機を通る液体供給混合物と軽相および重相との流れ、ならびに分離システム内で液体供給混合物を軽相と重相とに分離することが、制御され得る。
【0028】
実施形態によれば、重相導管は、重相受け容器の下端に接続されてよく、重相圧力制御装置は、重相受け容器を揚げ下げするように構成された昇降装置を含み得る。このようにして、重相受け容器内の液位および重相出口通路の上の液位の高さが、重相出口通路内の反対圧力を制御するために利用されるように制御され得る。したがって、遠心分離機を通る液体供給混合物と軽相および重相との流れ、ならびに分離システム内で液体供給混合物を軽相および重相に分離することが、制御され得る。
【0029】
実施形態によれば、遠心分離機は、遠心分離機の動作中に液体供給混合物の入口通路への基準流量において、少なくとも+100mbarの入口通路と重相出口通路との間の圧力差を生成する。このようにして、遠心分離機および特にそのロータは、重相および軽相を遠心分離機の分離空間の外にポンプでくみ出すため、およびしたがって、同様に液体供給混合物を分離空間内に引き込むために利用され得る。
【0030】
ここで、液体供給混合物の基準流量という用語は、遠心分離機がそれに対して設計される流量範囲内の液体供給混合物の流量を指す。
【0031】
実施形態によれば、液体供給混合物導管は、圧縮された液体供給混合物のソースに接続されるように構成され得る。このようにして、液体供給混合物は、液体供給混合物導管を介して遠心分離機内に供給され得る。圧縮された液体供給混合物のソースは、いくつかの代替実施形態の形態で提供され得る。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、重相受け容器と重相受け容器に接続された重相圧力制御装置とを含む反対圧力生成装置、ならびに液体供給混合物に接続された圧縮された液体供給混合物のソースは、遠心分離機を通る液体供給混合物と軽相および重相との流量を制御する唯一の手段を形成し得る。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、遠心分離システムは、液体供給混合物導管内に配置された供給ポンプを含み得る。このようにして、液体供給混合物は、供給ポンプによって液体供給混合物導管を介して遠心分離機内に供給され得る。それに応じて、供給ポンプは、圧縮された液体供給混合物のソースの一部を形成し得る。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、遠心分離システムは、液体供給混合物容器と液体供給混合物容器に接続された液体供給混合物圧力制御装置とを含み得る。このようにして、液体供給混合物は、液体供給混合物導管を介して遠心分離機内に供給され得る。それに応じて、そのような圧縮された液体供給混合物容器は、圧縮された液体供給混合物のソースを形成し得る。
【0035】
実施形態によれば、重相導管は、重相出口通路から重相受け容器までの重相の流れの間に、遠心分離機から重相受け容器までの制限されない通路を形成し得る。このようにして、重相が、遠心分離機から重相受け容器に流れるとき、重相は、実質的なせん断力を受けない。したがって、重相は、遠心分離機から重相受け容器まで穏やかに流れることができる。穏やかな流れは、重相が細胞を含むときに特に有利であり得る。実際には、これは、重相導管に、制限された流れ通路をもたらす絞り流量制御デバイスがないことを必然的に意味する。
【0036】
重相導管は、重相導管を通る重相の流れを遮断するための手段を含み得る。しかしながら、上記のように、重相が重相出口通路から重相受け容器まで流れる間に、重相導管は、制限されない通路を形成する。重相の流れを遮断するための手段は、遮断するための手段を通る重相の流れが存在するとき、重相に影響を及ぼさない。
【0037】
実施形態によれば、遠心分離システムは、重相導管内に配置された遮断弁を含み得る。このようにして、遮断弁が閉じられるとき、重相導管を通る流れは阻止され得る。それに応じて、遮断弁は、流れが遮断弁を通過することができない全閉位置、および流れが遮断弁を制限されずに通過することができる全開位置の、2つだけの代替の位置を有する。したがって、遮断弁は、絞り流量制御デバイスではない。遮断弁は、重相の流れを遮断するための手段の一例である。
【0038】
たとえば、遠心分離システムが、起動しているときでかつ第1の量の重相が分離空間内で分離される前に、液体供給混合物および/または部分的に分離されただけの重相が、重相導管を通って流れることは望ましくない。したがって、遮断弁は、起動の間は閉に維持され得る。一定量の重相が分離空間内で分離されると、遮断弁は、重相導管を通る重相の流れを許容するために開かれてよい。
【0039】
一バッチの液体混合物の分離が終了したとき、または重相受け容器が満たされたとき、遮断弁は、重相受け容器内の重相が元の遠心分離機に流れるのを防止するために閉じられてよい。
【0040】
本方法の実施形態によれば、遠心分離システムは、重相導管内に配置された遮断弁を含み、方法は、
- 軽相と重相との間の接触面が分離空間内に生じる間に一バッチの液体供給混合物を分離する初期の分離段階の間に、遮断弁を閉に維持するステップと、
- 接触面が生じたときに一バッチの液体供給混合物を分離する主たる分離段階の間に、遮断弁を全開に維持するステップとを含み得る。このようにして、一定量の重相が、遮断弁が開かれる前に分離空間内で分離され得る。したがって、液体供給混合物および/または部分的に分離されただけの重相が、重相導管を通って流れることが回避され得る。
【0041】
本方法の実施形態によれば、遠心分離システムは遮断弁を含み、方法は、
- 一バッチの液体供給混合物を分離する主たる分離段階が終了した後、遮断弁を閉に維持するステップを含み得る。このようにして、分離された重相が重相導管を通って元の遠心分離機に流れることが回避され得る。
【0042】
実施形態によれば、遠心分離機は、交換可能な分離用挿入物を含み得る。交換可能な分離用挿入物は、ロータケーシングと、ロータケーシングの第1の軸端に配置された第1の固定部と、任意選択でロータケーシングの第2の軸端に配置された第2の固定部とを含み得る。ロータケーシングは、遠心分離機のロータの一部を形成し、分離空間と、分離円板と、少なくとも1つのチャネルとを含み得る。このようにして、遠心分離システムは、単一のバッチの液体供給混合物または限定された数のバッチの液体供給混合物を分離するように適応され得る。1つまたは複数のバッチの液体供給混合物を分離した後、交換可能な分離用挿入物は、遠心分離機から除去され、新しい交換可能な分離用挿入物と交換され得る。これは、たとえば、液体供給混合物が細胞培養混合物であるときに有利であり得る。細胞培養混合物の分離など、細胞培養混合物の取り扱いは、無菌環境において実行されなければならない場合がある。遠心分離機内で交換可能な分離用挿入物を利用することで、殺菌された交換可能な分離用挿入物の提供によって、液体供給混合物と分離された軽相および重相とに対して無菌の室内、すなわち無菌の流路が提供され得る。
【0043】
実施形態によれば、ロータは、回転可能部材と交換可能な分離用挿入物のロータケーシングとを含み得る。ロータケーシングは、回転可能部材の内部空間内に係合され得る。このようにして、交換可能な分離用挿入物のロータケーシングは、回転可能部材と一緒に回転するようになり得る。
【0044】
現在使用中の交換可能な分離用挿入物が、新しい交換可能な分離用挿入物と交換されるべきであるとき、現在使用中の交換可能な分離用挿入物のロータケーシングは、交換に備えるために回転可能部材との係合を解かれる。
【0045】
実施形態によれば、遠心分離システムは、液体供給混合物容器を含み得る。かくはん部材が、液体供給混合物容器内に配置され得る。このようにして、液体供給混合物容器内の液体供給混合物の均等な濃度が確保され得る。液体供給混合物の均等な濃度の提供により、遠心分離システムの、特に遠心分離機に対する実質的に安定な動作条件がもたらされ得る。その上、液体供給混合物内の軽相と重相との比率についての知識を用いて、液体供給混合物の均等な濃度は、制御ユニットによって利用されるべき制御設定に対する基準を提供し得る。
【0046】
実施形態によれば、液体供給混合物測定デバイスからの測定値は、液体供給混合物の流量に関連し、軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスからの測定値は、軽相の流量および/または重相の流量に関連し得る。制御ユニットは、液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係に向けて、重相出口通路内の重相反対圧力を制御するように構成され得る。このようにして、重相の所望の濃度および/または軽相の所望の程度の浄化が、達成され得る。
【0047】
本方法の実施形態によれば、重相受け容器はガスタイト容器であり、重相圧力制御装置は圧縮ガスのソースを含み、重相圧力制御装置を制御するステップは、
- 圧縮ガスのソースから重相受け容器に備えるガス圧力を制御するステップを含み得る。このようにして、重相出口通路内の反対圧力が制御され得、したがって、遠心分離機内の分離が制御され得る。
【0048】
本方法の実施形態によれば、重相導管は、重相受け容器の下端に接続され、重相圧力制御装置は、重相受け容器を揚げ下げするように構成された昇降装置を含み、重相圧力制御装置を制御するステップは、
- 重相受け容器を重相出口通路の上の特定の高さに設置するように昇降装置を制御するステップを含み得る。このようにして、重相出口通路内の反対圧力が制御され得、したがって、遠心分離機内の分離が制御され得る。
【0049】
実施形態によれば、重相圧力制御装置を制御するステップは、
- 液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係に向けて、反対圧力生成装置によって生成された重相反対圧力を制御するステップを含み得る。このようにして、重相の所望の濃度および/または軽相の所望の程度の浄化が、達成され得る。
【0050】
液体供給混合物の流量と軽相の流量または重相の流量との間の所望の関係は、分離システムのユーザによって設定され得る。所望の関係は、たとえば、重相の所望の濃度、液体供給混合物内の軽相と重相との比率、軽相の所望の程度の浄化、および液体供給混合物の血中血球容積PCVなどの液体供給混合物の粒子含量のうちの1つまたは複数に基づいて選択され得る。
【0051】
液体供給混合物の濃度は、一バッチの液体供給混合物の分離の実質的に全持続時間にわたって一定であり得る。液体供給混合物内の重相含量についての知識を用いて、流量制御システムは、所望の関係を達成するために重相の流量を制御するために反対圧力生成装置を制御するように設定され得る。
【0052】
たとえば、液体供給混合物が液体供給混合物容器から到来し、液体供給混合物はかくはん部材によってかくはんされていることに起因して、一バッチの液体供給混合物が均等な濃度を有するとき、反対圧力生成装置によるほんの少しの制御調整が予見される。一バッチの液体供給混合物が不均一な濃度を有する場合、反対圧力生成装置は、より広い範囲にわたって調整されなければならない場合がある。
【0053】
後者の場合、液体供給混合物の濃度は、一バッチの液体供給混合物の分離の持続時間の少なくとも一部にわたって変動する場合がある。それでも、液体供給混合物内の瞬時の重相含量についての知識を用いて、流量制御システムは、所望の関係を達成するために軽相の流量を制御するために反対圧力生成装置を制御するように設定され得る。
【0054】
液体供給混合物測定デバイスからの測定値ならびに軽相測定デバイスおよび/または重相測定デバイスからの測定値は、制御ユニットが、液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係に向けて反対圧力生成装置を制御するときに、利用され得る。たとえば、軽相の所望の流量または重相の所望の流量は、反対圧力生成装置がそれに向けて重相の流量を制御する設定点を形成し得る。このようにして、制御ユニットは、液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係を達成するために、反対圧力生成装置を制御し得る。
【0055】
機械的に気密シールされた遠心分離機の入口および出口に起因して、入口および出口は連通管を形成するので、重相の流量は、液体供給混合物の流量と軽相の流量との間の流量の差によって構成される。それに応じて、重相の流量は軽相測定デバイスによって間接的に測定され得、その逆に、軽相の流量は重相測定デバイスによって間接的に測定され得る。制御ユニットは、反対圧力生成装置を制御するためにPID制御アルゴリズムなどの制御アルゴリズムを適用し得る。
【0056】
所望の関係は、軽相の所望の流量が、液体供給混合物の流量に対するある割合であるか、またはある割合の範囲内にあることであり得る。代替的、所望の関係は、重相の所望の流量が、液体供給混合物の流量に対するある割合であるか、またはある割合の範囲内にあることであり得る。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、液体供給混合物の流量ならびに軽相の流量および/または重相の流量は、体積流量であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、液体供給混合物の流量ならびに軽相の流量および/または重相の流量は、質量流量であり得る。
【0059】
本方法の実施形態によれば、液体供給混合物の流れを分離空間内に導くステップは、
- 細胞培養混合物を含む液体供給混合物の流れを分離空間内に導くステップを含み得る。このようにして、方法は、細胞培養混合物を、細胞培養混合物の細胞を含有する重相と細胞培養混合物の細胞が実質的にない軽相とに分離することを制御するために利用され得る。
【0060】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および以下の発明を実施するための形態を研究すれば明白になるであろう。
【0061】
特定の特徴および利点を含む本発明の様々な態様および/または実施形態は、以下の発明を実施するための形態および添付の図面の中で説明する例示的な実施形態から、容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】遠心分離システムの実施形態を概略的に示す図である。
【
図1a】遠心分離システムの実施形態を概略的に示す図である。
【
図1b】遠心分離システムの実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】実施形態による遠心分離機の一部を通る断面を概略的に示す図である。
【
図3】実施形態による交換可能な分離用挿入物を通る断面を概略的に示す図である。
【
図4】実施形態による遠心分離機を通る断面を概略的に示す図である。
【
図5】実施形態による遠心分離システムを制御する方法を示す図である。
【
図6】実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明の態様および/または実施形態が、次により十分に説明される。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。簡潔さおよび/または明快さのために、よく知られている機能または構成は、必ずしも詳細に説明されるとは限らない。
【0064】
図1、
図1aおよび
図1bは、遠心分離システム200の実施形態を概略的に示す。概略的に、遠心分離機202の導管、構成要素、および断面図が、
図1に示される。
図1aおよび
図1bは、遠心分離システム200の一部の代替実施形態を示す。
【0065】
遠心分離システム200は、遠心分離機202と、液体供給混合物導管204と、軽相導管206と、重相導管208と、流量制御システム210とを含む。遠心分離機202は、液体供給混合物を軽相と重相とに分離するように構成される。液体供給混合物導管204は、液体供給混合物を遠心分離機202に導くように構成される。軽相導管206は、遠心分離機202から分離された軽相を導くように構成される。重相導管208は、遠心分離機202から分離された重相を導くように構成される。流量制御システム210は、少なくとも遠心分離機202からの軽相および重相の流れを制御するように構成される。流量制御システム210は、遠心分離機202への液体供給混合物の流量を制御するようにさらに構成され得る。
【0066】
遠心分離機202は、回転軸20周りに回転するように構成されたロータ212を含む。ロータ212は、たとえば、電気モータおよび変速機を含む駆動装置(図示せず)によって回転するように駆動され得る。したがって、駆動装置は、回転軸20周りにロータ212を回転させ得る。これらの実施形態では、遠心分離機202は、ロータ212の第1の軸端22に配置された第1の固定部84と、ロータ212の第2の軸端24に配置された第2の固定部86とを含む。
【0067】
ロータ212は、遠心分離機202の筐体213の内部に回転可能に搭載される。同じく、第1および第2の固定部84、86は、筐体213内に搭載される。第1および第2の固定部84、86は、筐体213に関連して固定される。遠心分離機202の使用中、第1の固定部84は、ロータ212の上に配置され、第2の固定部86は、ロータ212の下に配置される。
【0068】
ロータ212は、分離空間88とともに設けられる。分離円板92の積層体90は、分離空間88の内部に配置される。
【0069】
ロータ212の分離空間88内で液体供給混合物を分離中、分離された軽相は、分離空間88内で分離円板92の間を回転軸20に向けて半径方向内向きに流れる一方で、分離された重相は、分離空間88の周辺に向けて半径方向外向きに流れる。
【0070】
図示の実施形態では、入口通路214は、第2の固定部86を介して分離空間88内に延びる。軽相出口通路216は、第2の固定部86を介して分離空間88から延びる。重相出口通路218は、第1の固定部84を介して分離空間88から延びる。
代替的に、入口通路は、第1の固定部84を介して分離空間88内に延びてもよく、および/または軽相出口通路は、第1の固定部84を介して分離空間88から延びてもよく、および/または重相出口通路は、第2の固定部86を介して分離空間88から延びてもよい。
【0071】
さらなる代替実施形態によれば、遠心分離機は、ロータ212の第1の軸端22に配置された第1の固定部84だけを含み得る。そのような実施形態では、入口通路は、第1の固定部84を介して分離空間88内に延び、軽相および重相の出口通路は、第1の固定部84を介して分離空間88から延びる。
【0072】
図1の実施形態に戻ると、入口通路214は、液体供給混合物導管204に接続されるか、またはそれの一部を形成する。軽相出口通路216は、軽相導管206に接続されるか、またはそれの一部を形成する。重相出口通路218は、重相導管208に接続されるか、またはそれの一部を形成する。
【0073】
軽相出口通路206および重相出口通路208は、ロータ212からの出口だけを形成する。すなわち、ロータ212は、ロータ212の半径方向外部において、連続的に開くノズル、または断続的に開くことができるノズルを設けられていない。
【0074】
重相出口通路218は、分離空間88の半径方向外部からロータ212の中心部に向けてロータ212内部で延びる少なくとも1つのチャネル102を含む。図示の実施形態では、チューブの形の2つのチャネル102が、例として示されている。チューブは、それらの半径方向外端において、それらの半径方向内端における断面積と実質的に同じ断面積を有する。以下の
図4を参照すると、通路の形のチャネルを含む代替実施形態が示される。
【0075】
入口通路214、軽相出口通路216、および重相出口通路218の各々は、ロータ212と第1および第2の固定部84、86の各々との間で機械的に気密シールされる。機械的気密シールは、シール部材(図示せず)によって設けられる。
【0076】
一般的な実施形態では、入口および出口の通路214、216、218の半径の関係は、R1≧R2≧R0およびR1>R0として表現され得る。入口通路214は、回転軸20上で、すなわち回転軸20を含む半径R0においてロータ212の中心に入る。当然ながら、入口通路214は、半径方向の延びを有しなければならないが、それは軸20を含む。重相出口通路218は、第1の半径R1においてロータ212を退出する。軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータ212を退出する。第1の半径R1は、R2より大きいかまたはそれに等しい。第2の半径R2は、入口通路214の半径R0より大きい。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、入口および出口の通路214、216、218の半径の関係は、R1>R2>R0の関係を有し得る。すなわち、ロータ212を退出する重相出口通路218の半径方向位置R1は、ロータ212を退出する軽相出口通路216の半径方向位置R2の半径方向外側に配置される。重相出口通路218は、軸20も含み得るが、いずれの場合も、R1はR2より大きい。軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータ212を退出する。第2の半径R2は、半径R0より大きい。
【0078】
ロータ212の回転軸20上に配置された入口通路214は、遠心分離システム200の使用中に、液体供給混合物が分離空間88内に穏やかに入ることをもたらす。その上、機械的に気密シールされた入口通路214は、液体供給混合物が分離空間88内に空気を伴わずに入ることをもたらす。すなわち、遠心分離機202の使用中に、分離空間88の中心に空気-液体接触面が形成されず、分離空間88内に空気は存在しないことになる。同じく、これは、液体供給混合物が分離空間88内に穏やかに入ることおよび加速することをもたらす。同じく、機械的に気密シールされ、したがって一対の円板を持たない重相出口通路218の提供によって、分離された重相がロータ212から穏やかに退出すること(outlet)がもたらされる。したがって、遠心分離機202自体は、液体供給混合物および分離された重相を穏やかに取り扱うように構成される。
【0079】
単に一例として説明すると、分離空間88は80mmの半径を有してよく、分離円板92は70mmの半径を有してよい。第1の半径R1は、10~20mmの範囲内にあり得る。第2の半径R2は、3~10mmの範囲内にあり得る。入口通路の半径R0は、3mmであり得る。
【0080】
流量制御システム210は、制御ユニット226と、重相導管208に接続された反対圧力生成装置260と、液体供給混合物測定デバイス220と、軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223とを含む。
【0081】
任意選択で、いくつかの実施形態によれば、流量制御システム210は、
図1に破線で示すように、軽相導管206内に配置された流量制御弁224を含み得る。
【0082】
反対圧力生成装置260は、重相受け容器232と重相受け容器232に接続された重相圧力制御装置262とを含む。重相受け容器232は、一バッチの液体供給混合物から分離された重相を貯蔵するための容器であり得る。代替的に、重相受け容器は、重相が分離システムに続いてさらなる処理に進む前の、重相の中間貯蔵または部分貯蔵のための容器であり得る。
図1および
図1bにおいて、反対圧力生成装置260の代替実施形態が示されており、さらに以下を参照されたい。
【0083】
制御ユニット226は、重相出口通路218内の重相反対圧力を制御するために、液体供給混合物測定デバイス220からの測定値ならびに軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223からの測定値に基づいて重相圧力制御装置262を制御するように構成される。
【0084】
それに応じて、重相導管208を介して、重相圧力制御装置262は、制御ユニット226の監視のもとで重相出口通路218内に備える背圧を制御する。重相圧力制御装置262は、重相導管208内の背圧、およびしたがって流量が、それにわたって制御され得る制御範囲を有する。
【0085】
制御ユニット226は、流量制御システム210の計算ユニットを含む。計算ユニットは、実質的に任意の好適なタイプのプログラマブル論理回路、プロセッサ回路、またはマイクロコンピュータ、たとえば、デジタル信号処理の、デジタル信号プロセッサDSP、中央処理装置CPU、処理ユニット、処理回路、プロセッサ、特定用途向け集積回路ASIC、マイクロプロセッサ、または命令を解釈して実行し得る他の処理論理のための回路の形を取ってもよい。本明細書で使用される計算ユニットという表現は、たとえば、上記の処理回路のうちの任意の一部または全部など、複数の処理回路を含む処理回路を表し得る。制御システム210は、メモリユニットを含み得る。計算ユニットはメモリユニットに接続され、メモリユニットは、たとえば、計算ユニットが、自体が計算を行うのを可能にするために必要とする記憶されたプログラムコードおよび/または記憶されたデータを、計算ユニットに与える。計算ユニットはまた、計算の部分的または最終的結果をメモリユニット内に記憶するように適応され得る。メモリユニットは、データまたはプログラム、すなわち命令のシーケンスを一時的または永久的に記憶するために利用される物理デバイスを含み得る。制御ユニット226は、とりわけ、反対圧力生成装置260、液体供給混合物測定デバイス220、ならびに軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223に、どれがまたはどれらが現在、分離システム200内に存在するかに応じて接続される。したがって、制御ユニット226は、測定デバイス220、222、223からの測定値を受信することができ、反対圧力生成装置260に制御信号を送ることができる。
【0086】
本発明は、とりわけ、分離された重相が穏やかに取り扱われる分離システム200を提供するためのアイデアの周辺に基礎を置いている。それに応じて、分離システム200において、重相導管208内で、実質的な流量制限は回避される。それゆえ、反対圧力生成装置260は、重相受け容器232と制御ユニット226によって制御される重相圧力制御装置262とを含む。したがって、分離システム200の動作中、遠心分離機202および分離システム200の少なくとも一部を通る液体の流量を制御することは、反対圧力生成装置260と、制御ユニット226による反対圧力生成装置260の制御とによって達成される。遠心分離機202の入口および出口は、それらの機械的気密シールに起因して連通管を形成するので、重相導管208内の分離された重相の流量が制御されるばかりでなく、分離された軽相の流量も、反対圧力生成装置260を介して間接的に制御され得る。
【0087】
重相導管208は、重相受け容器232まで延びる。適切に、重相導管208は、遠心分離機202から重相受け容器232まで、制限されない通路を形成する。すなわち、重相が重相出口通路218から重相受け容器232まで流れる間に、重相導管208によって設けられた通路は制限されない。本明細書における、制限されないという用語は、重相導管208が、実質的に一定の断面積を有し、鋭い曲がりにさらされないことを意味する。したがって、重相導管208を通って流れる重相内のせん断力は、最小限度に保たれ得る。
【0088】
遠心分離システム200は、重相導管208内に配置された遮断弁234を含み得る。遮断弁234は、流れが遮断弁234を通過することができない全閉位置、および重相の流れが遮断弁234を制限されずに通過することができる全開位置の、2つだけの代替の位置を有する。したがって、重相導管208内の重相の制限されない流れは、遮断弁234が開いているときにもたらされる。
【0089】
遠心分離システム200の起動中、液体供給混合物および/または部分的に分離されただけの重相が、重相導管208を通って流れることは、遮断弁234を閉じることによって防止され得る。遮断弁234は、一定量の重相が遠心分離機202内で分離されると、開かれ得る。
【0090】
代替または追加として、遮断弁234は、一バッチの液体混合物の分離が終了したとき、または重相受け容器232が満たされたときに、重相導管208を閉じるために使用され得る。遮断弁234を閉じることによって、重相は、重相受け容器232から元の遠心分離機に流れることを防止され得る。
【0091】
液体供給混合物導管204は、圧縮された液体供給混合物のソース228に接続される。遠心分離システム200の使用中、圧縮された液体供給混合物のソース228は、液体供給混合物を遠心分離機202内に供給するように構成され得る。圧縮された液体供給混合物のソース228によって生み出される圧力レベルは、液体供給混合物が遠心分離機202内に供給されるばかりでなく、遠心分離機202の回転するロータ212によってもたらされるポンピングの量に応じて、分離された軽相および重相が、軽相導管206および重相導管208のそれぞれを介して遠心分離機202の外に搬送するようなものであり得る。
【0092】
遠心分離機202は、遠心分離機202の動作中に液体供給混合物の入口通路214への基準流量において、少なくとも+100mbarの入口通路214と重相出口通路218との間の圧力差を生成するように構成され得る。したがって、ポンピング効果は、遠心分離機202の動作中に回転するロータ212によってもたらされ得る。
【0093】
ロータの軽相出口通路216の半径R2より大きいR1における重相出口通路218の配置は、少なくとも分離された重相に及ぼされるべきポンピング作用を提供する。遠心分離機202の動作中に液体供給混合物の入口通路214への基準流量において、少なくとも+100mbarの入口通路214と重相出口通路218との間の圧力差を生成することは、非限定的な一例によれば、
80mmの半径を有する分離空間88を含む遠心分離機によって達成され得、各々が70mmの半径を有する50個の分離円板92を含む積層体が配置される。R1=20mmでR2=15mmであり、ロータは、1l/minの液体供給混合物の基準流量および1005kg/m3の供給密度において3000rpmの回転速度において回転される。
【0094】
軽相導管206内の軽相の流量と重相導管208内の重相の流量との間のバランスは、重相導管208に接続された反対圧力生成装置260によってもたらされる反対圧力の量によって設定される。
【0095】
より具体的には、遠心分離機202と分離システム200の少なくとも一部とを通る液体の流量を制御することは、反対圧力生成装置260と、制御ユニット226による反対圧力生成装置260の制御とによって達成される。遠心分離機202の入口および出口は、それらの機械的気密シールに起因して連通管を形成するので、軽相導管206内の分離された軽相の流量が、反対圧力生成装置260を介して間接的に制御され得る。
【0096】
重相導管208内に反対圧力生成装置260によって生み出された背圧を制御することによって、重相導管208内の重相の流量は、圧縮された液体供給混合物のソース228からの液体供給混合物の液体供給混合物導管204内の流量および軽相の軽相導管206内の流量に関連して制御され得る。制御ユニット226は、軽相および重相の所望の流量を達成するために反対圧力生成装置260を制御する。たとえば、液体供給混合物測定デバイス220からの測定値および軽相測定デバイス222からの測定値が、制御ユニット226に与えられ、制御ユニット226によって反対圧力生成装置260を制御するための基準を形成する。
【0097】
圧縮された液体供給混合物のソース228は、種々の形を取る場合がある。2つの例示的な実施形態が、
図1および
図1aに示される。
【0098】
図1に示す実施形態によれば、遠心分離システム200は、液体供給混合物導管204内に配置された供給ポンプ230を含み得る。供給ポンプ230は、圧縮された液体供給混合物のソース228の一部を形成する。圧縮された液体供給混合物のソース228は、液体供給混合物容器236をさらに含む。供給ポンプ230は、液体供給混合物容器236から到来する液体供給混合物内に、少なくとも液体供給混合物を遠心分離機202に供給するのに十分な圧力を与える。いくつかの実施形態によれば、供給ポンプ230は、分離された軽相および重相を遠心分離機202の外に搬送することにも貢献し得る。供給ポンプ230は、制御ユニット226によって制御される。したがって、制御ユニット226は、遠心分離機202内に供給されている液体供給混合物の圧力を制御し得る。
【0099】
図1aに示す実施形態によれば、遠心分離システム200は、液体供給混合物容器236と、液体供給混合物容器236内の圧力を制御するための手段238とを含み得る。液体供給混合物容器236内の圧力を制御するための手段238は、コンプレッサ240などの圧縮されたガスのソースと圧力センサ242とを含む。圧力センサ242は、制御ユニット226に接続される。制御ユニット226は、圧力センサ242からの圧力測定値に基づいてコンプレッサ240を制御するように構成される。したがって、制御ユニット226は、遠心分離機202内に供給されている液体供給混合物の圧力を制御し得る。これらの実施形態では、液体供給混合物容器236は、圧縮された液体供給混合物のソース228の一部を形成する。
【0100】
図1aの実施形態では、液体供給混合物導管204は、液体供給混合物容器236から遠心分離機202まで延びる。再び、液体供給混合物測定デバイス220は、液体供給混合物導管204に接続される。液体供給混合物導管204内に供給ポンプは不要である。
【0101】
圧縮された液体供給混合物のソースのさらなる実施形態は、遠心分離機202に関して高い位置につるされた液体供給混合物容器236であり得る。
【0102】
かくはん部材237が、
図1aに示すように、液体供給混合物容器236内に配置され得る。したがって、かくはん部材237を用いて液体供給混合物容器236内の液体供給混合物をかくはんすることによって、液体供給混合物容器236内の液体供給混合物の均等な濃度が確保され得る。たとえば、液体供給混合物容器236内で細胞培養混合物の形の液体供給混合物を作成中、均等な濃度は有利であり得る。同じく、液体供給混合物を分離するために遠心分離システム200を使用中、均等な濃度は、流量制御弁224および軽相導管206内の流量を制御するために有利であり得る。さらに以下を参照されたい。
【0103】
かくはん部材237は、液体供給混合物容器236を含む各実施形態において設けられ得る。
【0104】
さらなる実施形態によれば、圧縮された供給液体のソースは供給されない。代わりに、供給液体は、圧縮されないソースから供給され、遠心分離機202およびその回転するロータ212が、上記で説明したように、供給液体を供給混合物導管204を通して遠心分離機202に供給し、かつ分離された軽相および重相を遠心分離機202の外に搬送するために利用される。
【0105】
以下において、流量制御システム210と、特に反対圧力生成装置260との実施形態が説明される。
【0106】
図1に示す実施形態によれば、重相受け容器232はガスタイト容器であり、重相圧力制御装置262は、重相受け容器232内にガス圧力を与えるように構成された圧縮ガスのソース264を含む。圧縮ガスのソース264は、重相受け容器232に接続された、コンプレッサまたはガスボトルなどの圧縮されたタンクを含み得る。重相圧力制御装置262は、重相受け容器232に接続された圧力リリーフ弁268をさらに含む。
【0107】
圧力センサ265は、重相受け容器232に接続され、重相受け容器232内の圧力を測定するように構成され得る。圧力センサ265は、流量制御システム210の一部を形成し得る。ガス圧力のソース264および圧力リリーフ弁は、流量制御システム210の制御ユニット226の制御のもとで重相受け容器232内のガス圧力を調節するために利用される。
【0108】
重相受け容器232は、重相導管208を介して重相出口通路218に接続されるので、重相受け容器232内のガス圧力を調節することで、重相出口通路218内の反対圧力が制御される。重相出口通路218内の反対圧力を制御することによって、重相の分離空間88の外への流量が制御され得る。上記で説明したように、重相出口通路218、軽相出口通路216および入口通路214は連通管を形成するので、同じく、分離空間88の外への軽相の流量および分離空間88の中への液体供給混合物の流量は、重相出口通路218内の反対圧力によって制御され得る。
【0109】
分離された重相の分離空間88の外への流量が高すぎるかまたは分離された軽相の分離空間88の外への流量が低すぎる場合、重相出口通路218内の反対圧力は、重相受け容器232内の圧力を高めることによって高められる。重相受け容器232内の圧力を高めるために、ガス圧力のソース264からの圧縮されたガスは、制御ユニット226の制御および任意選択で圧力センサ265の利用のもとで、重相受け容器232内に入れられる。
【0110】
分離された重相の分離空間88の外への流量が低すぎるかまたは分離された軽相の分離空間88の外への流量が高すぎる場合、重相出口通路218内の反対圧力は、重相受け容器232内の圧力を低減することによって低減される。重相受け容器232内の圧力を低減するために、ガスは、制御ユニット226の制御および任意選択で圧力センサ265の利用のもとで、圧力リリーフ弁268を通して重相受け容器232から開放される。
【0111】
図1bは、反対圧力生成装置260の代替実施形態を示す。
図1bに示す重相導管208は、
図1に示す遮断弁234に接続され得る。
【0112】
図1bの実施形態によれば、重相導管208は、重相受け容器232の下端に接続され、重相圧力制御装置262は、重相受け容器232を揚げ下げするように構成された昇降装置266を含む。昇降装置266は、制御ユニット226によって制御されるウィンチまたはクレーンを含み得る。重相導管208の少なくとも一部は、重相受け容器232が揚げ下げされることを可能にするために柔軟である。
【0113】
圧力センサ265は、重相導管208にまたは重相受け容器232の下端に接続され得、圧力を測定するように構成され得る。圧力センサ265は、流量制御システム210の一部を形成し得る。
【0114】
昇降装置266は、流量制御システム210の制御ユニット226の制御のもとで重相導管208内の圧力を調節するために利用される。
【0115】
重相受け容器232は、重相導管208を介して重相出口通路218に接続されるので、重相出口通路218内の反対圧力は、重相受け容器232を揚げ下げすることによって制御され得る。再び、重相出口通路218内の反対圧力を制御することによって、分離空間88の外への重相および軽相の流量、ならびに分離空間88の中への液体供給混合物の流量が制御され得る。
【0116】
分離された重相の分離空間88の外への流量が高すぎるかまたは分離された軽相の分離空間88の外への流量が低すぎる場合、重相出口通路218内の反対圧力は、重相受け容器232を揚げることによって高められる。昇降装置266は、制御ユニット226の制御および任意選択で圧力センサ265の利用のもとで、重相受け容器232を揚げる。
【0117】
分離された重相の分離空間88の外への流量が低すぎるかまたは分離された軽相の分離空間88の外への流量が高すぎる場合、重相出口通路218内の反対圧力は、重相受け容器232を下げることによって低減される。昇降装置266は、制御ユニット226の制御および任意選択で圧力センサ265の利用のもとで、重相受け容器232を下げる。
【0118】
以下において、遠心分離システム200内で液体供給混合物を軽相と重相とに分離する制御について、
図1~
図1bを参照しながら説明する。
【0119】
上記で説明したように、制御ユニット226は、液体供給混合物測定デバイス220からの測定値ならびに軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223からの測定値に基づいて重相圧力制御装置262を制御するように構成される。好適には、軽相測定デバイス222および重相測定デバイス223のうちの1つだけが、遠心分離システム200内に設けられる。
【0120】
液体供給混合物測定デバイス220からの測定値は、液体供給混合物の流量に関連し得る。軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223からの測定値は、軽相の流量および/または重相の流量に関連し得る。
【0121】
制御ユニット226は、液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係に向けて、重相圧力制御装置262を制御するように構成される。液体供給混合物の流量は、液体供給混合物測定デバイス220によって測定される。軽相の流量は、遠心分離システム200が軽相測定デバイス222を含む場合、軽相測定デバイス222によって測定される。重相の流量は、遠心分離システム200が重相測定デバイス223を含む場合、重相測定デバイス223によって測定される。
【0122】
代替的に、液体供給混合物、軽相、または重相の特定の流量を測定する代わりに、特定の流量は、他の2つの流量に基づいて計算され得る。たとえば、重相の流量は、液体供給混合物の流量と軽相の流量との間の流量の差によって計算され得る。
【0123】
液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係において、いくつかの実施形態によれば、液体供給混合物の流量ならびに軽相の流量および/または重相の流量は、体積流量である。
【0124】
したがって、いくつかの実施形態によれば、液体供給混合物測定デバイス220は、体積流量計である。
【0125】
同じく、軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223は、いずれが分離システム200内に存在するとしても、体積流量計であり得る。
【0126】
体積流量計は、たとえば、超音波タイプの流量計であり得る。超音波タイプの流量計は、そこを通って流れる液体を、せん断力などの機械的応力にさらすことはない。したがって、体積流量計を通る液体の穏やかな通路が提供される。
【0127】
液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係において、いくつかの実施形態によれば、液体供給混合物の流量ならびに軽相の流量および/または重相の流量は、質量流量である。
【0128】
いくつかの実施形態によれば、液体供給混合物測定デバイス220は、質量流量計である。
【0129】
いくつかのタイプの質量流量計は、体積流量も決定し得る。したがって、いくつかの実施形態によれば、液体供給混合物導管204内の液体供給混合物の質量流量と体積流量の両方が、決定され得る。
【0130】
代替的に、液体供給混合物測定デバイス220が体積流量計である実施形態では、遠心分離システム200は、液体供給混合物導管204内に配置された質量流量計244を含み得る。このようにして、液体供給混合物導管204内の液体供給混合物の体積流量と質量流量の両方が、決定され得る。
【0131】
液体供給混合物測定デバイス220が質量流量計であるかまたは追加の質量流量計244が液体供給混合物導管204内に設けられる実施形態では、そのような計器は、たとえばコリオリ流量計の形で提供され得る。代替的に、秤(scale)が設けられてよく、経時的な重量変化が、質量流量を与える。たとえば、秤は、液体供給混合物容器236などの容器に接続して設けられ得る。
【0132】
分離システム200内の液体供給混合物を分離する制御は、以下のように実行され得る。
制御ユニット226は、液体供給混合物の流量と軽相の流量または重相の流量との間の所望の関係に基づいて、重相導管208に接続された重相圧力制御装置262を制御する。すなわち、重相圧力制御装置262は、所望の関係に到達するかまたはそれを維持するために、重相出口通路218内の重相反対圧力を制御するために制御ユニット226によって制御される。所望の関係は、遠心分離システム200の操作者によって選択される。たとえば、所望の関係は、軽相の流量が液体供給混合物の流量の90%であることであり得る。これは、軽相と重相との間で液体供給混合物の流量を90/10に分割することをもたらす。液体供給混合物の流量と軽相の流量または重相の流量との間の所望の関係は、体積流量にも質量流量にも適用され得る。
【0133】
液体供給混合物が、細胞培養混合物などの液体の中で漂う粒子を含む実施形態では、重相中の所望の粒子含量など、重相の所望の濃度は、たとえば、70%であり得る。液体供給混合物容器236から採取された液体供給混合物の試料は、液体供給混合物の粒子含量が、たとえば、7%であることを示し得る。したがって、遠心分離機202が100%の分離効率を有すること、すなわち分離された軽相が粒子を全く含有しないことが仮定される場合、重相中の70%の粒子含量は、
7%/0.70=10%
の計算につながる。
【0134】
すなわち、この例では、液体供給混合物の10%である重相の流量が、70%の粒子含量を有することになる。それに応じて、軽相の流量は、液体供給混合物の流量の90%であり、制御ユニット226は、軽相の流量が液体供給混合物の流量の90%である所望の関係をもたらすために、重相圧力制御装置262を制御するように設定される。それは、同じく、重相の流量が、液体供給混合物の流量の10%である所望の関係に対応する。制御ユニット226は、液体供給混合物測定デバイス220ならびに軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223によって与えられる流量測定値に基づいて、軽相の流量と重相の流量との間の90/10の分割に向けて、重相圧力制御装置262を制御するように構成される。
【0135】
液体供給混合物が細胞培養混合物であることに関連する上記の例の場合、粒子含量は細胞培養混合物の血中血球容積PCVであり、重相の粒子含量は重相のバイオ含量と呼ばれ得る。
【0136】
制御ユニット226は、液体供給混合物の流量と軽相の流量または重相の流量との間の所望の関係を維持するために重相出口通路218内の重相反対圧力を制御するために、重相圧力制御装置262を制御するためのPIまたはPID制御アルゴリズムなどの知られている制御アルゴリズムを適用し得る。軽相の所望の流量または重相の所望の流量は、液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係を達成するために、制御ユニット226がそれに向けて流量制御弁224を制御する制御ユニット226内の設定点を形成し得る。
【0137】
液体供給混合物測定デバイス220ならびに軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223が体積流量計である場合、上記の制御手法が適切に働くために、液体供給混合物導管204内の液体供給混合物の重相含量、この場合は粒子含量などは、液体供給混合物容器236からの一バッチの液体供給混合物を分離する持続時間の主要部分にわたって、実質的に一定であるべきである。液体供給混合物容器236が徐々に中身を出している間に液体供給混合物をかくはんするかくはん部材237を設けることで、一バッチの液体供給混合物を分離する持続時間の少なくとも主要部分にわたって、液体供給混合物の均等な濃度が確保され得る。当然ながら、制御手法は、代替的に、体積流量の代わりに質量流量を使用して均等な濃度の液体供給混合物上で実施され得る。
【0138】
液体供給混合物測定デバイス220が質量流量計であるかまたは追加の質量流量計244が液体供給混合物導管204内に設けられる実施形態では、液体供給混合物の変化する質量流量が考慮に入れられ得る。すなわち、変化する重相含量を有する液体供給混合物の流量が考慮に入れられ得る。すなわち、質量流量計は、質量流量の測定値m’のみを与えるのではなく、液体供給混合物の密度ρおよび体積流量V’も与える。これらのパラメータの間の関係は、
m’=ρ(t)*V’
である。
【0139】
それに応じて、体積流量は、質量流量計を用いても獲得され得る。液体供給混合物の流量と軽相の流量または重相の流量との間の所望の関係は、液体供給混合物の密度が変化するにつれて調整されなければならない場合がある。したがって、密度測定値に基づいて、制御ユニット226は、重相圧力制御装置262を制御するために所望の関係を計算して更新し、重相圧力制御装置262を制御するように構成されることになる。たとえば、重相内の所望の粒子含量が70%である上記の例を継続すると、液体供給混合物の密度は、10%の粒子含量まで上昇し得る。これは、計算
10%/0.70=14.3%
につながる。
【0140】
それに応じて、重相の体積流量は、70%の粒子含量を維持するために、14.3%に増加しなければならない。次いで、軽相の体積流量は、液体供給混合物の体積流量の85.7%であり、制御ユニット226は、軽相の体積流量が液体供給混合物の流量の85.7%である所望の関係をもたらすために、重相圧力制御装置262を制御するように設定される。それは、同じく、重相の体積流量が、液体供給混合物の体積流量の14.3%である所望の関係に対応する。
【0141】
したがって、液体供給混合物の流量と軽相の流量または重相の流量との間の所望の関係を利用し、かつ液体供給混合物導管204ならびに軽相導管206および/または重相導管208内の体積流量に基づく、上記で説明した制御手法は、依然として利用され得る。しかしながら、供給混合物の変化する密度につれて、所望の関係は、それに応じて調整されなければならない。
【0142】
質量流量計が利用され、分離された重相の穏やかな取り扱いが所望の実施形態では、好適には、質量流量計は、そこを通って流れる液体をせん断力にさらす場合があることに起因して、質量流量計は、重相導管208において設けられない。それに応じて、そのような実施形態では、質量流量計を設けられた、遠心分離機202からつながる唯一の導管が、軽相導管206であり得る。すなわち、そのような場合の軽相測定デバイス222は、質量流量計である。しかしながら、上記の説明から分かるように、液体供給混合物測定デバイス220が質量流量計であるとき、または追加の質量流量計244が液体供給混合物導管204内に設けられるとき、遠心分離機の出口側の流量計は、依然として体積流量計であり得る。
【0143】
図2は、実施形態による遠心分離機202の一部を通る断面を概略的に示す。遠心分離機202は、
図1を参照しながら上記で説明したように、遠心分離システム200内で利用され得る。
【0144】
再び、遠心分離機202は、分離空間88を設けられたロータ212と、分離空間88の内部に配置された分離円板92の積層体90と、第1の固定部84と、第2の固定部86とを含む。入口通路214は、第2の固定部86を介して分離空間88内に延び、軽相出口通路216は、第2の固定部86を介して分離空間88から延び、重相出口通路218は、第1の固定部84を介して分離空間88から延びる。
【0145】
再び、重相出口通路218は、分離空間88の半径方向外部からロータ212の中心部に向けてロータ212内部で延びる少なくとも1つのチャネル102を含む。これらの実施形態では、チューブの形の1つのチャネル102が設けられる。
【0146】
再び、入口通路214、軽相出口通路216、および重相出口通路218の各々は、ロータ212と第1および第2の固定部84、86の各々との間で機械的に気密シールされる。入口通路214および出口通路216、218の機械的気密シールは、シール部材246によって設けられる。シール部材246は、ロータ212内に配置された回転部と、第1および第2の固定部84、86内に配置された固定部とを含む。
【0147】
再び、入口通路214は、R0において回転軸20上でロータ212の中心に入り、重相出口通路218は、第1の半径R1においてロータ212を退出し、軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータ212を退出し、R1≧R2≧R0およびR1>R0である。
【0148】
ロータ212は、遠心分離機202の筐体213の内部に回転可能に搭載される。ロータ212は、軸受248内に挿入される(is journaled)。電気モータ34および変速機48を含む駆動装置が、ロータ212を回転軸20周りに回転させるように構成される。
これらの実施形態では、遠心分離機202は、モジュール式遠心分離機202である。モジュール式遠心分離機202は、ベースユニット4と交換可能な分離用挿入物6との2つの主要部分を含む。ベースユニット4は、交換可能な分離用挿入物6を支持して回転させるための基本的構成要素を含む。交換可能な分離用挿入物6は、液体供給混合物の実際の分離がその中で発生するように構成される。
【0149】
交換可能な分離用挿入物6は、ロータケーシング82と、ロータケーシング82のそれぞれの軸端120、122に配置された第1および第2の固定部84、86とを含む。ロータケーシング82は、その中に、分離空間88と、分離円板92と、少なくとも1つのチャネル102とを含む。
【0150】
代替実施形態によれば、交換可能な分離用挿入物6は、第1の固定部84など、唯一の固定部を含み得る。そのような実施形態では、入口通路214、軽相出口通路216、および重相出口通路218は、第1の固定部84を介して延びる。
【0151】
交換可能な分離用挿入物6について、
図3を参照しながら以下でさらに説明する。
【0152】
ロータ212は、交換可能な分離用挿入物6の回転可能部材16とロータケーシング82とを含む。
【0153】
図2では、ベースユニット4内に搭載された交換可能な分離用挿入物6が示される。交換可能な分離用挿入物6のロータケーシング82は、回転可能部材16の内部空間26内で係合される。交換可能な分離用挿入物6の第1の固定部84は、回転可能部材16の第1の開口28を通って延び、交換可能な分離用挿入物6の第2の固定部86は、回転可能部材16の第2の開口30を通って延びる。
【0154】
ロータケーシング82は、いくつかの異なる方法で回転可能部材16の内部で係合され得る。たとえば、回転可能部材16は、キャップ35およびロータボディ32を含み得る。キャップ35がロータボディ32と係合されるとき、キャップ35は、その中でロータケーシング82と係合する。回転可能部材16の内部は、突出部を設けられてよく、ロータケーシング82は、対応する凹部などを設けられてよい。
【0155】
第1の固定部84の少なくとも一部は、ロータ212の外側に配置される。それに応じて、モジュール式遠心分離機202の動作中に、第1の固定部84が固定のままであることを確保するために、第1の固定部84は、筐体213と係合され得る。
【0156】
第2の固定部86の少なくとも一部は、ロータ212の外側に配置される。それに応じて、モジュール式遠心分離機202の動作中に、第2の固定部86が固定のままであることを確保するために、第2の固定部86は、筐体213またはベースユニット4の別の部分と係合され得る。
【0157】
筐体213は、蓋54を含む。
【0158】
回転可能部材16の内部空間26の中で、交換可能な分離用挿入物6を設置するためまたは内部空間26の中で、交換可能な分離用挿入物6を交換するために、内部空間26へのアクセスが、筐体213の蓋54を開いて回転可能部材16のキャップ35を開くことによって得られる。
【0159】
回転可能部材16の第1および第2の開口28、30ならびに筐体213内の対応する開口は、交換可能な分離用挿入物6を回転可能部材16内に、入口通路214、軽相出口通路216、重相出口通路218にそれぞれつながる導管204、206、208とともに容易に搭載することをもたらす。
【0160】
交換可能な分離用挿入物6を用いるモジュール式遠心分離機202の使用に起因して、遠心分離機202内の液体供給混合物の分離は、一バッチの液体供給混合物または限定された数のバッチの液体供給混合物の分離に対して適応される。1つまたは複数のバッチの液体供給混合物の分離の後、使用済みの交換可能な分離用挿入物は、新しい交換可能な分離用挿入物6と交換される。
【0161】
交換可能な分離用挿入物6を用いるモジュール式遠心分離機202を利用することで、遠心分離機202内に無菌の室内、すなわち無菌の流路が提供される。
【0162】
好適には、分離システム200内で、他の交換可能な構成要素も、液体供給混合物ならびに分離された軽相および重相のための無菌の流路を設けるために利用され得る。
図1を参照されたい。単に例として説明すると、液体供給混合物容器236、液体供給混合物導管204、軽相導管206、重相導管208、および重相受け容器232は、一バッチの液体供給混合物または限定された数のバッチの液体供給混合物の分離のために使用される交換可能な構成要素であり得る。
【0163】
図3は、実施形態による交換可能な分離用挿入物6を通る断面を概略的に示す。交換可能な分離用挿入物6は、
図2に関連して上記で説明したモジュール式遠心分離機202など、モジュール式遠心分離機の一部を形成し得る。
【0164】
交換可能な分離用挿入物6は、ロータケーシング82、第1の固定部84、および第2の固定部86を含む。ロータケーシング82は、回転軸20周りに回転可能である。ロータケーシング82は、第1の軸端部120および第2の軸端部122を有する。ロータケーシング82は、第1の固定部84と第2の固定部86との間に配置される。モジュール式遠心分離機の動作中、第1の固定部84は、交換可能な分離用挿入物6の上部軸端に配置される一方で、第2の固定部86は、交換可能な分離用挿入物6の下部軸端に配置される
【0165】
ロータケーシング82は、その中で分離空間88を区切る。交換可能な分離用挿入物6は、分離空間88内に配置された円すい台形の分離円板92の積層体90を含む。積層体90内の分離円板92は、第2の固定部86において仮想の頂点を有して、および/または第2の固定部86の方を指すように配置される。積層体90は、少なくとも100個の分離円板92など、少なくとも150個の分離円板92など、少なくとも25個の分離円板92または少なくとも50個の分離円板92を含み得る。例として説明すると、分離円板92は、100~400mmの範囲内の外径と、15~100mmの範囲内の内径と、35~40度の範囲内の回転軸20と円板92の内面との間の角度αとを有し得る。明快さのために、ほんの少数の円板92が、
図3に示されている。
【0166】
入口通路214は、第2の固定部86を介して分離空間88内に延び、軽相出口通路216は、第2の固定部86を介して分離空間88から延び、重相出口通路218は、第1の固定部84を介して分離空間88から延びる。
【0167】
入口通路214は、R0において回転軸20上でロータ212の中心に入り、重相出口通路218は、第1の半径R1においてロータ212を退出し、軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータ212を退出し、R1≧R2≧R0である。
【0168】
入口通路214は、液体供給混合物導管204に接続されるか、またはそれの一部を形成する。軽相出口通路216は、軽相導管206に接続されるか、またはそれの一部を形成する。重相出口通路218は、重相導管208に接続されるか、またはそれの一部を形成する。液体供給混合物導管204、軽相導管206、および重相導管208は、交換可能な分離用挿入物6の一部を形成し得る。したがって、各々の新しい交換可能な分離用挿入物6が、遠心分離システム200の遠心分離機202内に設置されるとともに、
図1に示すように、液体供給混合物導管204、軽相導管206、および重相導管208のうちの少なくとも一部も交換される。
【0169】
液体供給混合物導管204、軽相導管206、および重相導管208は、プラスチックチューブなどのチューブを含み得る。
【0170】
重相出口通路218は、分離空間88の半径方向外部からロータ212の中心部に向けてロータ212内部で延びる少なくとも1つのチャネル102を含む。これらの実施形態では、チューブの形の1つのチャネル102が設けられる。
【0171】
チューブの数ならびにたとえば重相の密度および/または粘度に応じて、1つまたは複数のチューブの形のそのような1つまたは複数のチャネル102は、それぞれ、2~10mmの範囲内の内径を有してよく、2つ以上チューブを含む実施形態では、たとえば、ロータケーシング82の周囲にわたって均等に分配された、2つのチューブ、または少なくとも3つもしくは少なくとも5つのチューブを設けられ得る。
【0172】
第1の固定部84は、第1の軸端部120においてロータケーシング82に当接する。第2の固定部86は、第2の軸端部122においてロータケーシング82に当接する。機械的気密シール246は、それぞれの第1および第2の固定部84、86とロータケーシング82との間に設けられる。シール246の各々は、ロータケーシング82の一部を形成する回転シール面と、固定部84、86の一部を形成する固定シール面とを含む。シールにおいて、第1および第2の固定部84、86はそれぞれ、ロータケーシング82に当接する。
【0173】
機械的気密シール246は、入口通路214、軽相出口通路216、および重相出口通路218を、ロータケーシング82と第1および第2の固定部84、86との間のそれらのそれぞれの推移においてシールする。
【0174】
シール246は、冷却液などの流体を供給して引き出すために、流体入口109および流体出口を設けられ得る。したがって、シール246は、冷却され得る。
図3において、1つの流体入口109が、上部シール246において示されている。しかしながら、同じく、下部シールにおいて、少なくとも1つの流体入口が設けられてよく、さらなる流体入口が両シールにおいて設けられてよく、1つまたは複数の流体出口が両シールにおいて設けられてよい。
【0175】
図4は、実施形態による遠心分離機202を通る断面を概略的に示す。遠心分離機202は、
図1を参照しながら上記で説明したように、遠心分離システム200内で利用され得る。
【0176】
再び、遠心分離機202は、分離空間88を設けられたロータ212と、分離空間88の内部に配置された分離円板92の積層体と、第1の固定部84と、第2の固定部86とを含む。
図4において、ほんの少数の分離円板92が示されている。積層体は、たとえば、200個以上の分離円板92など、100個以上の分離円板92を含有し得る。
【0177】
再び、入口通路214は、第2の固定部86を介して分離空間88内に延び、軽相出口通路216は、第2の固定部86を介して分離空間88から延び、重相出口通路218は、第1の固定部84を介して分離空間88から延びる。
【0178】
再び、重相出口通路218は、分離空間88の半径方向外部からロータ212の中心部に向けてロータ212内部で延びる少なくとも1つのチャネル102を含む。これらの実施形態では、少なくとも1つのチャネル102が、半径方向外部において分離空間88の中心部の方より大きい断面積を有するいくつかの通路によって形成される。
【0179】
再び、入口通路214、軽相出口通路216、および重相出口通路218の各々は、ロータ212と第1および第2の固定部84、86の各々との間で機械的に気密シールされる。入口通路214および出口通路216、218の機械的気密シールが、シール部材246によって設けられる。シール部材246は、ロータ212内に配置された回転部と、第1および第2の固定部84、86内に配置された固定部とを含む。
【0180】
再び、入口通路214は、R0において回転軸20上でロータ212の中心に入り、重相出口通路218は、第1の半径R1においてロータ212を退出し、軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータ212を退出し、R1≧R2≧R0である。
【0181】
遠心分離機202は、フレーム250と、下部軸受33bおよび上部軸受33aの中でフレーム250によって回転可能に支持される中空スピンドル40とを含む。ロータ212は、回転軸20周りにスピンドル40とともに回転するために、スピンドル40の軸方向上端に隣接する。フレーム250の筐体213は、ロータ212を取り囲む。
【0182】
分離されるべき液体供給混合物は、分配器23を介して分離空間88内に入れられる。これらの実施形態では、入口通路214は、スピンドル40を通って延びる中心ダクト41を含み、中心ダクト41は、したがって、中空のチューブ状部材の形を取る。したがって、液体供給混合物は、ロータ212の底部からロータ212内に導かれる。スピンドル40は、分離されるべき液体供給混合物が、たとえば、供給ポンプによって中心ダクト41まで移送され得るように、気密シール246のうちの1つを介して遠心分離機202の下部軸端において固定の液体供給混合物導管204にさらに接続される。これらの実施形態では、分離された軽相は、スピンドル40内の外側の環状ダクト42を介して排出される。
【0183】
スピンドル40の下端に配置された機械的気密シール246は、中空スピンドル40を第2の固定部86に対して軸方向にシールする。気密シール246は、スピンドル40の下端に配置された部分と、第2の固定部86に配置された部分とを含む。気密シール246は、液体供給混合物導管204に対する中心ダクト41と軽相導管206に対する外側の環状ダクト42の両方をシールする同心の二重シールである。他の機械的気密シール246は、第1の固定部84において重相出口通路218をシールする。
【0184】
遠心分離機202は、電気モータ34を含む駆動装置を含む。電気モータ34は、たとえば、固定要素と回転可能要素とを含んでよく、回転可能要素は、動作中に駆動トルクをスピンドル40におよびそれゆえロータ212に伝達するように、回転可能要素は、スピンドル40を取り囲んでスピンドル40に接続される。代替的に、遠心分離機202は、変速手段を介してスピンドル40に接続された電気モータを含む駆動装置を含み得る。変速手段は、ピニオンと、駆動トルクを受けるためにスピンドル40に接続された要素とを含むウォームギアの形であり得る。変速手段は、代替的に、プロペラシャフト、駆動ベルトなどの形を取ってよく、または電気モータは、代替的に、スピンドル40に直接接続されてもよい。
【0185】
図5は、実施形態による遠心分離システムを制御する方法300を示す。遠心分離システムは、本明細書で説明する態様および/または実施形態のうちのいずれか1つによる遠心分離システム200であり得る。したがって、以下において、
図1~
図4も参照される。
【0186】
上記で説明したように、遠心分離システム200は、遠心分離機202と、液体供給混合物導管204と、軽相導管206と、重相導管208と、流量制御システム210とを含む。遠心分離機202は、回転軸20周りに回転するように構成されかつ分離空間88を備えるロータ212と、分離空間88の内部に配置された分離円板92の積層体90と、ロータ212の第1の軸端22に配置された第1の固定部84と、ロータ212の第2の軸端24に配置された任意選択の第2の固定部86とを含む。入口通路214は、第1または第2の固定部84、86を介して分離空間88内に延び、軽相出口通路216は、第1または第2の固定部84、86を介して分離空間88から延び、重相出口通路218は、第1または第2の固定部84、86を介して分離空間88から延びる。入口通路214、軽相出口通路216、および重相出口通路218の各々は、ロータ212と第1の固定部84または第2の固定部86との間で機械的に気密シールされる。入口通路214は、R0において回転軸20上でロータ212の中心に入り、重相出口通路218は、第1の半径R1においてロータ212を退出し、軽相出口通路は、第2の半径R2においてロータ212を退出し、R1≧R2≧R0および前記R1>R0である。流量制御システム210は、重相導管208に接続された反対圧力生成装置260と、液体供給混合物測定デバイス220と、軽相測定デバイス222および/または重相測定デバイス223とを含む。反対圧力生成装置260は、重相受け容器232と重相受け容器232に接続された重相圧力制御装置262とを含む。
【0187】
方法300は、
- ロータ212を回転させるステップ302と、
- 液体供給混合物導管204および入口通路214を介して液体供給混合物の流れを分離空間88内に導くステップ304と、
- 分離空間88内で液体供給混合物を重相と軽相とに分離するステップ306と、
- 液体供給混合物の流量を測定するステップ308と、
- 軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ310と、
- 重相出口通路218内の重相反対圧力を制御するために、液体供給混合物の流量を測定するステップ308において獲得された測定値ならびに軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ310において獲得された測定値に基づいて重相圧力制御装置262を制御するステップ312とを含む。
【0188】
本明細書の前の説明と同様に、機械的気密シールと、R1≧R2≧R0およびR1>R0である半径R0、R1およびR2の特定の配置と、重相出口通路218内の重相反対圧力を制御するために液体供給混合物の流量を測定するステップ308において獲得された測定値ならびに軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ310において獲得された測定値に基づいて重相圧力制御装置262を制御するステップ312とが、遠心分離システム200を制御する方法300を提供し、重相が穏やかな取り扱いを受けるための条件が規定される。
【0189】
好適には、液体供給混合物の流量を測定するステップ308、軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ310、ならびに重相圧力制御装置262を制御するステップ312は、一バッチの液体供給混合物を分離する期間の実質的にすべてにわたって実行される。
【0190】
本方法の実施形態によれば、重相受け容器232はガスタイト容器であり、重相圧力制御装置262は圧縮ガスのソース264を含み、重相圧力制御装置262を制御するステップ312は、
- 圧縮ガスのソース264から重相受け容器232に備えるガス圧力を制御するステップ314を含み得る。
図1を参照しながら上記で説明したように、したがって、重相出口通路218内の反対圧力ならびに分離空間88の外への重相および軽相の流量が、制御され得る。
【0191】
本方法の実施形態によれば、重相導管208は、重相受け容器232の下端に接続され、重相圧力制御装置262は、重相受け容器232を揚げ下げするように構成された昇降装置266を含み、重相圧力制御装置262を制御するステップ312は、
- 重相受け容器232を重相出口通路の上の特定の高さに設置するために昇降装置266を制御するステップ316を含み得る。
図1bを参照しながら上記で説明したように、したがって、重相出口通路218内の反対圧力ならびに分離空間88の外への重相および軽相の流量が、制御され得る。
【0192】
実施形態によれば、ロータ212を回転させるステップ302は、
- 液体供給混合物の入口通路214への基準流量において、少なくとも+100mbarの入口通路214と重相出口通路218との間の圧力差を生成するステップ318を含み得る。このようにして、少なくとも重相が、分離空間88の外にポンプでくみ出されることが確保され得る。
【0193】
実施形態によれば、方法300は、
- 液体供給混合物の圧力を制御するステップ320を含み得る。このようにして、液体供給混合物を遠心分離機202に供給するステップが制御され得る。上記で説明した、軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ310とともに液体供給混合物の流量を測定するステップ308は、依然として、重相圧力制御装置262を制御するステップ312に対する基準を提供する。
【0194】
方法300の実施形態によれば、液体供給混合物の圧力を制御するステップ320は、
- 液体供給混合物導管204内に配置された供給ポンプ230を制御するステップ322を含み得る。このようにして、液体供給混合物を遠心分離機202に供給するステップは、供給ポンプ230によって与えられる圧力によって制御され得る。上記で説明した、軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ310とともに液体供給混合物の流量を測定するステップ308は、依然として、重相圧力制御装置262を制御するステップ312に対する基準を提供する。
【0195】
方法300の実施形態によれば、遠心分離システム200は、液体供給混合物容器236を含み、液体供給混合物の圧力を制御するステップ320は、
- 液体供給混合物容器236内の圧力を制御するステップ324を含み得る。このようにして、液体供給混合物を遠心分離機202に供給するステップは、液体供給混合物容器236の内部の圧力によって制御され得る。上記で説明した、軽相の流量および/または重相の流量を測定するステップ310とともに液体供給混合物の流量を測定するステップ308は、依然として、重相圧力制御装置262を制御するステップ312に対する基準を提供する。
【0196】
方法300の実施形態によれば、遠心分離システム200は、重相導管208内に配置された遮断弁234を含み、方法300は、
- 軽相と重相との間の接触面が分離空間88内に生じる間に一バッチの液体供給混合物を分離する初期の分離段階の間に、遮断弁234を閉に維持するステップ326と、
- 接触面が生じたときに一バッチの液体供給混合物を分離する主たる分離段階の間に、遮断弁234を全開に維持するステップ328とを含み得る。
【0197】
したがって、一定量の重相が、遮断弁234が開かれる前に分離空間88内で分離され得る。それに応じて、重相導管208を通る流れは、重相が分離空間88内で分離されるまで開始しない。
【0198】
たとえば、遮断弁234を閉に維持するステップ326、および遮断弁234を全開に維持するステップ328は、それぞれ、分離するステップ306が始動される間、および測定するステップ308の前に実行され得る。したがって、重相圧力制御装置262を制御するステップ312は、遮断弁234が開かれた後に初めて開始され得る。
【0199】
軽相と重相との間の接触面が生じる間に一バッチの液体供給混合物を分離する初期の分離段階は、一バッチの液体供給混合物の分離の開始において発生する。分離された重相が重相導管208を通って流れるために利用可能になる前に、一定量の液体供給混合物は、分離空間88に流入するための時間を持たねばならず、また軽相と重相とに分離するための時間を持たなければならない。接触面が生じたときに一バッチの液体供給混合物を分離する主たる分離段階は、初期の分離段階の後に発生する。好適には、主たる分離段階の間、分離空間88内に導かれた液体供給混合物と分離された軽相および重相の流れとの間の安定状態が得られる(prevail)。重相圧力制御装置262を制御するステップ312は、分離空間88の中への液体供給混合物の流量に関して、分離空間88の外への分離された軽相の流量と重相の流量との間のバランスを確保する。
【0200】
遠心分離システム200を制御する方法300は、細胞培養混合物の形の液体供給混合物を、細胞培養混合物からの細胞を含有する重相と細胞培養混合物の液体の主要部分を含有する軽相とに分離することを制御するために利用され得る。それに応じて、液体供給混合物の流れを分離空間88内に導くステップ304は、細胞培養混合物を含む液体供給混合物の流れを分離空間88内に導くステップ332を含み得る。
【0201】
方法300の実施形態によれば、重相圧力制御装置262を制御するステップ312は、
- 液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係に向けて、反対圧力生成装置260によって生成された重相反対圧力を制御するステップ334を含み得る。
【0202】
所望の関係に向けて反対圧力生成装置260によって生成された重相反対圧力をいかにして制御するかについての例示的な実施形態が、
図1~
図1bを参照しながら上記で説明されている。
【0203】
方法300の実施形態によれば、遠心分離システム200は遮断弁234を含み、方法300は、
- 一バッチの液体供給混合物を分離する主たる分離段階が終了した後、遮断弁234を閉に維持するステップ330を含み得る。したがって、重相受け容器232内の分離された重相が、重相導管208を通って元の遠心分離機202に流れることが防止され得る。
【0204】
液体供給混合物の流量と軽相の流量および/または重相の流量との間の所望の関係に向けて重相圧力制御装置(262)を制御する種々の態様が、とりわけ、
図1を参照しながら上記で説明された。
【0205】
方法300の実施形態によれば、液体供給混合物の流量ならびに軽相の流量および/または重相の流量は、体積流量であり得る。
【0206】
方法300の代替実施形態によれば、液体供給混合物の流量ならびに軽相の流量および/または重相の流量は、質量流量であり得る。
【0207】
遠心分離システム200を制御する方法300は、プログラムされた命令によって実装され得ることは、当業者には諒解されよう。これらのプログラムされた命令は、一般的に、命令を含むコンピュータプログラムによって構成され、命令は、コンピュータまたは制御ユニットによって実行されるとき、コンピュータまたは制御ユニットが方法ステップ302~334などの所望の制御を遂行することを確実にする。制御ユニットは、本明細書で説明した制御ユニット226であり得る。コンピュータプログラムは、通常、コンピュータプログラムがその上に記憶される好適なデジタル記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品90の一部である。
【0208】
図6は、実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体90を示す。これらの実施形態では、コンピュータ可読記憶媒体90は、CD-ROMディスクの形で提供される。
【0209】
コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータおよび/または制御ユニットの1つまたは複数の計算ユニット内にロードされたときに、上記で説明した方法300のステップ302~326のうちの少なくとも一部を遂行させるためのコンピュータプログラムコードを伝送するデータキャリアの、任意の好適な形で提供され得る。データキャリアは、たとえば、ROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラマブル読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的消去書き込み可能PROM)、ハードディスク、CD ROMディスク、メモリスティック、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または非一時的に機械可読データを保持し得るディスクもしくはテープなどの任意の他の適切な媒体であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、さらに、サーバ上のコンピュータプログラムコードとして提供されてもよく、たとえば、インターネットもしくはイントラネット接続上で、または他のワイヤードもしくはワイヤレス通信システムを介してリモートにコンピュータおよび/または制御ユニットにダウンロードされてもよい。
【0210】
上記は、様々な例示的な実施形態の例であり、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定されることを理解されたい。例示的な実施形態は修正され得ること、および例示的な実施形態の種々の特徴が、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明した実施形態以外の実施形態を生成するために組み合わされ得ることは、当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0211】
4 ベースユニット
6 交換可能な分離用挿入物
16 回転可能部材
20 回転軸
22 第1の軸端
23 分配器
24 第2の軸端
26 内部空間
28 第1の開口
30 第2の開口
33a 上部軸受
33b 下部軸受
34 電気モータ
35 キャップ
40 スピンドル
41 中心ダクト
42 環状ダクト
48 変速機
54 蓋
82 ロータケーシング
84 第1の固定部
86 第2の固定部
88 分離空間
90 積層体、コンピュータプログラム製品、コンピュータ可読記憶媒体
92 分離円板
102 チャネル
106 不明
109 流体入口
120 第1の軸端部
122 第2の軸端部
200 遠心分離システム
202 遠心分離機
204 液体供給混合物導管
206 軽相導管
208 重相導管
210 流量制御システム
212 ロータ
213 筐体
214 入口通路
216 軽相出口通路
218 重相出口通路
220 液体供給混合物測定デバイス
222 軽相測定デバイス
223 重相測定デバイス
224 流量制御弁
226 制御ユニット
228 液体供給混合物のソース
230 供給ポンプ
232 重相受け容器
234 遮断弁
236 液体供給混合物容器
237 かくはん部材
238 液体供給混合物圧力制御装置
240 コンプレッサ
242 圧力センサ
244 質量流量計
246 機械的気密シール
248 軸受
250 フレーム
260 反対圧力生成装置
262 重相圧力制御装置
264 圧縮ガスのソース
265 圧力センサ
266 昇降装置
268 圧力リリーフ弁