(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】MEMSスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 59/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
H01H59/00
(21)【出願番号】P 2022096251
(22)【出願日】2022-06-15
【審査請求日】2022-06-15
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522071603
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ジェイ カニンガム
(72)【発明者】
【氏名】ダナ リチャード デリウス
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06160230(US,A)
【文献】特表2008-515150(JP,A)
【文献】特表2005-536013(JP,A)
【文献】特開2015-088339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 51/00 - 59/00
B81B 1/00
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMSスイッチであって、
ケースと、スイッチユニットと、第1作動電極と、第1接点と、第2作動電極と、第2接点と、第3作動電極と、第4作動電極とを含み、
前記スイッチユニットは、前記ケース内に収容され、且つ前記スイッチユニットの厚さ方向において第1側と前記第1側に対向する第2側とを有し、前記スイッチユニットは、第1閉状態と第2閉状態と開状態との間で切り替えることができ、
前記第1作動電極は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、
前記第1接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、前記スイッチユニット及び前記第1作動電極と間隔を隔てて設けられ、
前記第2作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第1作動電極に対応し、
前記第2接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、
前記第3作動電極は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、
前記第4作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第3作動電極に対応し、
前記スイッチユニットは、厚さ方向に沿った応力勾配を有し、前記第1作動電極と前記第2作動電極との間に電圧を印加しない場合、前記スイッチユニットは、前記第1閉状態にあり、前記第1接点に接触し、
前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第1電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向駆動されて、前記スイッチユニットを前記開状態にし、前記第1接点及び前記第2接点と離間させ、
前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第2電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向駆動されて、前記スイッチユニットを前記第2閉状態にし、前記第2接点に接触させる、ことを特徴とするMEMSスイッチ。
【請求項2】
前記スイッチユニットは、前記ケースに対して固定された第1端と、前記ケースに対して変位及び回転自在可能な第2端とを有し、
前記第1作動電極から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離は、前記第1接点から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSスイッチ。
【請求項3】
前記スイッチユニットは、コアと、第1接触部材と、第2接触部材とをさらに含み、
前記第1接触部材は、前記スイッチユニットの前記第1側の前記コアに設けられ、前記第1接点に向かい、
前記第2接触部材は、前記スイッチユニットの前記第2側の前記コアに設けられ、前記第2接点に向かい、
前記スイッチ
ユニットが前記第1閉状態にある場合、前記第1接触部材は、前記第1接点に接触し、
前記スイッチ
ユニットが前記第2閉状態にある場合、前記第2接触部材は、前記第2接点に接触する、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSスイッチ。
【請求項4】
前記コアは、少なくとも2つのサブ層を含み、且つ前記少なくとも2つのサブ層の応力は、互いに異なり、及び/又は
前記第1接触部材は、第1応力を有し、前記第2接触部材は、前記第1応力と等しくない第2応力を有し、及び/又は
前記第1接触部材は、第1厚さを有し、前記第2接触部材は、前記第1厚さと等しくない第2厚さを有し、及び/又は
前記第1接触部材は、第1パターンを有し、前記第2接触部材は、前記第1パターンと異なる第2パターンを有し、及び/又は
前記第1接触部材は、第1材料で製造され、前記第2接触部材は、前記第1材料と異なる第2材料で製造され、及び/又は
前記第1接触部材の厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、前記コアの厚さ方向に対して略垂直な方向における長さよりも大きく、前記第2接触部材の前記厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、前記コアの前記長さよりも小さく、及び/又は
前記コアは、階段状をなし、及び/又は
前記コアは、金属で製造され、前記厚さ方向に応力勾配を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のMEMSスイッチ。
【請求項5】
前記スイッチユニットは、第1誘電体部材と、第2誘電体部材とをさらに含み、
前記第1誘電体部材は、前記第1接触部材の前記コアと対向する側に固定され、
前記第2誘電体部材は、前記第2接触部材の前記コアと対向する側に固定され、
前記第1接触部材は、第1接触部を有し、前記第1接触部は、前記第1誘電体部材から露出し、前記スイッチユニットが前記第1閉状態にある場合、前記第1接触部は、前記第1接点に接触することができ、
前記第2接触部材は、第2接触部を有し、前記第2接触部は、前記第2誘電体部材から露出し、前記スイッチユニットが前記第2閉状態にある場合、前記第2接触部は、前記第2接点に接触することができる、ことを特徴とする請求項3に記載のMEMSスイッチ。
【請求項6】
前記第2作動電極は、前記第1誘電体部材の前記第1接触部材から離れる面に固定設置される、ことを特徴とする請求項5に記載のMEMSスイッチ。
【請求項7】
前記第1誘電体部材の厚さと前記第2誘電体部材の厚さは、いずれも前記コアの厚さよりも小さい、ことを特徴とする請求項5に記載のMEMSスイッチ。
【請求項8】
前記コア、前記第1誘電体部材及び前記第2誘電体部材のそれぞれは、酸化物で製造される、ことを特徴とする請求項5に記載のMEMSスイッチ。
【請求項9】
前記ケースは、基板と、蓋板とを含み、
前記蓋板は、前記基板と組み立てられ、前記蓋板と前記基板はともに収容空間を囲み、前記スイッチユニットは、前記収容空間に収容され、
前記第1作動電極と前記第1接点は、前記基板に固定設置され、
前記第2接点は、前記蓋板に固定設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSスイッチ。
【請求項10】
前記MEMSスイッチは、第1固定部材をさらに含み、
前記スイッチユニットは、前記第1固定部材により前記基板に固定接続された第1端と、前記第1端に対向する第2端とを含み、
前記スイッチユニットの前記第2端は、変位自在可能であり、前記ケースに対して回転可能であり、又は
前記スイッチユニットの前記第2端は、弾性部材により支持される、ことを特徴とする請求項9に記載のMEMSスイッチ。
【請求項11】
前記第1作動電極と前記第1接点は、前記第1接触部材の同じ側に設けられ、前記コアに対向する、ことを特徴とする請求項
3に記載のMEMSスイッチ。
【請求項12】
MEMSスイッチであって、
ケースと、スイッチユニットと、第1作動電極と、第1接点と、第2作動電極と、第2接点と、第3作動電極と、第4作動電極とを含み、
前記スイッチユニットは、前記ケース内に収容され、且つ前記スイッチユニットの厚さ方向において第1側と前記第1側に対向する第2側とを有し、
前記第1作動電極は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、
前記第1接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、
前記第2作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第1作動電極に対応し、
前記第2接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、
前記第3作動電極は、前記ケースに固定され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、
前記第4作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第3作動電極に対応し、
前記スイッチユニットは、前記第1接点に接触し、且つ前記第1作動電極と前記第2作動電極との間に電圧を印加しない場合、前記第1接点と前記スイッチユニットとの間に短絡が形成される、ことを特徴とするMEMSスイッチ。
【請求項13】
前記スイッチユニットは、コアと、第1接触部材と、第2接触部材とを含み、
前記第1接触部材は、前記スイッチユニットの前記第1側のコアに設けられ、前記第1接点に向かい、
前記第2接触部材は、前記スイッチユニットの前記第2側のコアに設けられ、前記第2接点に向かい、
前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第1電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向されて、前記第1接触部材と前記第1接点を離間させ、前記第2接触部材と前記第2接点を離間させ、
前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第2電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが前記第2接点へ偏向することにより、前記第2接触部材は前記第2接点に接触することができる、ことを特徴とする請求項12に記載のMEMSスイッチ。
【請求項14】
前記コアは、少なくとも2つのサブ層を含み、前記少なくとも2つのサブ層の応力は、互いに異なり、及び/又は
前記第1接触部材は、第1応力を有し、前記第2接触部材は、前記第1応力と等しくない第2応力を有し、及び/又は
前記第1接触部材は、第1厚さを有し、前記第2接触部材は、前記第1厚さと等しくない第2厚さを有し、及び/又は
前記第1接触部材は、第1パターンを有し、前記第2接触部材は、前記第1パターンと異なる第2パターンを有し、及び/又は
前記第1接触部材は、第1材料で製造され、前記第2接触部材は、前記第1材料と異なる第2材料で製造され、及び/又は
前記第1接触部材の厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、前記コアの前記厚さ方向に対して略垂直な方向における長さよりも大きく、前記第2接触部材の前記厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、前記コアの長さよりも小さく、及び/又は
前記コアは、階段状をなし、及び/又は
前記コアは、金属で製造され、前記厚さ方向に応力勾配を有する、ことを特徴とする請求項13に記載のMEMSスイッチ。
【請求項15】
前記スイッチユニットは、前記ケースに対して固定された第1端と、前記ケースに対して変位及び回転自在可能な第2端とを有し、
前記第1作動電極から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離は、前記第1接点から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離よりも小さい、ことを特徴とする請求項13に記載のMEMSスイッチ。
【請求項16】
前記スイッチユニットは、第1誘電体部材と、第2誘電体部材とをさらに含み、
第1誘電体部材は、前記第1接触部材の前記コアと対向する側に固定され、
第2誘電体部材は、前記第2接触部材の前記コアと対向する側に固定され、
前記第1接触部材は、第1接触部を有し、前記第1接触部は、前記第1誘電体
部材から露出し、前記スイッチユニットが第1閉状態にある場合、前記第1接触部は、前記第1接点に接触することができ、
前記第2接触部材は、第2接触部を有し、前記第2接触部は、前記第2誘電体部材から露出し、前記スイッチユニットが第2閉状態にある場合、前記第2接触部は、第2接点に接触することができる、ことを特徴とする請求項13に記載のMEMSスイッチ。
【請求項17】
前記第2作動電極は、前記第1誘電体部材の前記第1接触部材から離れる面に固定設置される、ことを特徴とする請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項18】
前記第1誘電体部材の厚さと前記第2誘電体部材の厚さは、いずれも前記コアの厚さよりも小さい、ことを特徴とする請求項16に記載のMEMSスイッチ。
【請求項19】
前記ケースは、基板と、蓋板とを含み、
前記蓋板は、前記基板と組み立てられ、前記蓋板と前記基板はともに収容空間を囲み、前記スイッチユニットは、前記収容空間に収容され、
前記第1作動電極と前記第1接点は、前記基板に固定設置され、
前記第2接点は、前記蓋板に固定設置される、ことを特徴とする請求項12に記載のMEMSスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電子機械システム(MEMS)の技術分野に関し、特にMEMSスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
MEMSスイッチは、電気通信分野に応用され、電気、機械又は光信号の流れを制御するためである。例えば、MEMSスイッチは、デジタル加入者線(DSL)スイッチマトリックス、携帯電話、自動テスト装置(ATE)及び他の低コストスイッチを必要とするか、又は低コスト及び高密度スイッチアレイを必要とするシステムであってもよい。しかしながら、大部分のMEMSスイッチは、開状態で製造され、電源制御で閉状態に切り替える。従来のスイッチは、電源がない場合には閉状態にならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、MEMSスイッチを提供し、従来技術におけるMEMSスイッチが電源がない場合に閉状態にならないという問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、MEMSスイッチを提供し、当該MEMSスイッチは、ケースと、スイッチユニットと、第1作動電極と、第1接点と、第2作動電極と、第2接点と、第3作動電極と、第4作動電極とを含み、前記スイッチユニットは、前記ケース内に収容され、且つ前記スイッチユニットの厚さ方向において第1側と前記第1側に対向する第2側とを有し、前記スイッチユニットは、第1閉状態と第2閉状態と開状態との間で切り替えることができ、前記第1作動電極は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、前記第1接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、前記スイッチユニット及び前記第1作動電極と間隔を隔てて設けられ、前記第2作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第1作動電極に対応し、前記第2接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、前記第3作動電極は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、前記第4作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第3作動電極に対応し、前記スイッチユニットは、厚さ方向に沿った応力勾配を有し、前記第1作動電極と前記第2作動電極との間に電圧を印加しない場合、前記スイッチユニットは、前記第1閉状態にあり、前記第1接点に接触し、前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第1電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向駆動されて、前記スイッチユニットを前記開状態にし、前記第1接点及び前記第2接点と離間させ、前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第2電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向駆動されて、前記スイッチユニットを前記第2閉状態にし、前記第2接点に接触させる。
【0005】
好ましくは、前記スイッチユニットは、前記ケースに対して固定された第1端と、前記ケースに対して変位及び回転自在可能な第2端とを有し、前記第1作動電極から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離は、前記第1接点から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離よりも小さい。
【0006】
好ましくは、前記スイッチユニットは、コアと、第1接触部材と、第2接触部材とをさらに含み、第1接触部材は、前記スイッチユニットの前記第1側の前記コアに設けられ、前記第1接点に向かい、第2接触部材は、前記スイッチユニットの前記第2側の前記コアに設けられ、前記第2接点に向かい、前記スイッチ装置が前記第1閉状態にある場合、前記第1接触部材は、前記第1接点に接触し、前記スイッチ装置が前記第2閉状態にある場合、前記第2接触部材は、前記第2接点に接触する。
【0007】
好ましくは、前記コアは、少なくとも2つのサブ層を含み、且つ前記少なくとも2つのサブ層の応力は、互いに異なり、及び/又は前記第1接触部材は、第1応力を有し、前記第2接触部材は、前記第1応力と等しくない第2応力を有し、及び/又は前記第1接触部材は、第1厚さを有し、前記第2接触部材は、前記第1厚さと等しくない第2厚さを有し、及び/又は前記第1接触部材は、第1パターンを有し、前記第2接触部材は、前記第1パターンと異なる第2パターンを有し、及び/又は前記第1接触部材は、第1材料で製造され、前記第2接触部材は、前記第1材料と異なる第2材料で製造され、及び/又は前記第1接触部材の厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、前記コアの厚さ方向に対して略垂直な方向における長さよりも大きく、前記第2接触部材の前記厚さに垂直な方向での長さは、前記コアの前記長さよりも小さく、及び/又は前記コアは、階段状をなし、及び/又は前記コアは、金属で製造され、前記厚さ方向に応力勾配を有する。
【0008】
好ましくは、前記スイッチユニットは、第1誘電体部材と、第2誘電体部材とをさらに含み、前記第1誘電体部材は、前記第1接触部材の前記コアと対向する側に固定され、前記第2誘電体部材は、前記第2接触部材の前記コアと対向する側に固定され、前記第1接触部材は、第1接触部を有し、前記第1接触部は、前記第1誘電体部材から露出し、前記スイッチユニットが前記第1閉状態にある場合、前記第1接触部は、前記第1接点に接触することができ、前記第2接触部材は、第2接触部を有し、前記第2接触部は、前記第2誘電体部材から露出し、前記スイッチユニットが前記第2閉状態にある場合、前記第2接触部は、前記第2接点に接触することができる。
【0009】
好ましくは、前記第2作動電極は、前記第1誘電体部材の前記第1接触部材から離れる面に固定設置される。
【0010】
好ましくは、前記第1誘電体部材の厚さと前記第2誘電体部材の厚さは、いずれも前記コアの厚さよりも小さい。
【0011】
好ましくは、前記コア、前記第1誘電体部材及び前記第2誘電体部材のそれぞれは、酸化物で製造される。
【0012】
好ましくは、前記ケースは、基板と、蓋板とを含み、前記蓋板は、前記基板と組み立てられ、前記蓋板と前記基板はともに収容空間を囲み、前記スイッチユニットは、前記収容空間に収容され、前記第1作動電極と前記第1接点は、前記基板に固定設置され、前記第2接点は、前記蓋板に固定設置される。
【0013】
好ましくは、前記MEMSスイッチは、第1固定部材をさらに含み、前記スイッチユニットは、前記第1固定部材により前記基板に固定接続された第1端と、前記第1端に対向する第2端とを含み、前記スイッチユニットの前記第2端は、変位自在可能であり、且つ前記ケースに対して回転可能であり、又は前記スイッチユニットの前記第2端は、弾性部材により支持される。
【0014】
好ましくは、前記第1作動電極と前記第1接点は、前記第1接触部材の同じ側に設けられ、前記コアに対向する。
【0015】
好ましくは、前記MEMSスイッチは、ケースと、スイッチユニットと、第1作動電極と、第1接点と、第2作動電極と、第2接点と、第3作動電極と、第4作動電極とを含み、前記スイッチユニットは、前記ケース内に収容され、且つ前記スイッチユニットの厚さ方向に第1側と前記第1側に対向する第2側とを有し、前記第1作動電極は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、前記第1接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第1側に設けられ、前記第2作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第1作動電極に対応し、前記第2接点は、前記ケースに固定設置され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、前記第3作動電極は、前記ケースに固定され、前記スイッチユニットの前記第2側に設けられ、前記スイッチユニットと間隔を隔てて設けられ、前記第4作動電極は、前記スイッチユニットに固定設置され、前記第3作動電極に対応し、前記スイッチユニットは、前記第1接点に接触し、前記第1作動電極と前記第2作動電極との間に電圧を印加しない場合、前記第1接点と前記スイッチユニットとの間に短絡が形成される。
【0016】
好ましくは、前記スイッチユニットは、コアと、第1接触部材と、第2接触部材とを含み、第1接触部材は、前記スイッチユニットの前記第1側のコアに設けられ、前記第1接点に向かい、第2接触部材は、前記スイッチユニットの前記第2側のコアに設けられ、前記第2接点に向かい、前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第1電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向されて、前記第1接触部材と前記第1接点を離間させ、前記第2接触部材と前記第2接点を離間させ、前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第2電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが前記第2接点へ偏向することにより、前記第2接触部材は、前記第2接点に接触することができる。
【0017】
好ましくは、前記コアは、少なくとも2つのサブ層を含み、前記少なくとも2つのサブ層の応力は、互いに異なり、及び/又は前記第1接触部材は、第1応力を有し、前記第2接触部材は、前記第1応力と等しくない第2応力を有し、及び/又は前記第1接触部材は、第1厚さを有し、前記第2接触部材は、前記第1厚さと等しくない第2厚さを有し、及び/又は前記第1接触部材は、第1パターンを有し、前記第2接触部材は、前記第1パターンと異なる第2パターンを有し、及び/又は前記第1接触部材は、第1材料で製造され、前記第2接触部材は、前記第1材料と異なる第2材料で製造され、及び/又は前記第1接触部材の厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、前記コアの前記厚さ方向に対して略垂直な方向における長さよりも大きく、前記第2接触部材の前記厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、前記コアの長さよりも小さく、及び/又は前記コアは、階段状をなし、及び/又は前記コアは、金属で製造され、前記厚さ方向に応力勾配を有する。
【0018】
好ましくは、前記スイッチユニットは、前記ケースに対して固定された第1端と、前記ケースに対して変位及び回転自在可能な第2端とを有し、前記第1作動電極から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離は、前記第1接点から前記スイッチユニットの前記第1端までの距離よりも小さい。
【0019】
好ましくは、前記スイッチユニットは、第1誘電体部材と、第2誘電体部材とをさらに含み、第1誘電体部材は、前記第1接触部材の前記コアと対向する側に固定され、第2誘電体部材は、前記第2接触部材の前記コアと対向する側に固定され、前記第1接触部材は、第1接触部を有し、前記第1接触部は、前記第1誘電体から露出し、前記スイッチユニットが第1閉状態にある場合、前記第1接触部は、前記第1接点に接触することができ、前記第2接触部材は、第2接触部を有し、前記第2接触部は、前記第2誘電体部材から露出し、前記スイッチユニットが第2閉状態にある場合、前記第2接触部は、第2接点に接触することができる。
【0020】
好ましくは、前記第2作動電極は、前記第1誘電体部材の前記第1接触部材から離れる面に固定設置される。
【0021】
好ましくは、前記第1誘電体部材の厚さと前記第2誘電体部材の厚さは、いずれも前記コアの厚さよりも小さい。
【0022】
好ましくは、前記ケースは、基板と、蓋板とを含み、前記蓋板は、前記基板と組み立てられ、前記蓋板と前記基板はともに収容空間を囲み、前記スイッチユニットは、前記収容空間に収容され、前記第1作動電極と前記第1接点は、前記基板に固定設置され、前記第2接点は、前記蓋板に固定設置される。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る実施例は、MEMSスイッチを提供する。当該MEMSスイッチは、開状態と少なくとも1種の閉状態を有することができる。MEMSスイッチは、静電機構、電磁機構、電熱機構、圧電機構、形状記憶機構、固体(SOI、GaAS)機構等を含む複数の作動機構により操作することができ、それにより、MEMSスイッチは、開状態と少なくとも1種の閉状態との間で切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例の説明に使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明する図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者は図面に基づいて他の図面を取得することができ、創造的な努力を必要としない。
【
図1】本発明に係る第1実施例によるMEMSスイッチの第2閉状態の構造概略図である。
【
図2】本発明に係る第1実施例によるMEMSスイッチの開状態の構造概略図である。
【
図3】本発明に係る第1実施例によるMEMSスイッチの第1閉状態の構造概略図である。
【
図4】本発明に係る第2実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図5】本発明に係る第3実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図6】本発明に係る第4実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図7】本発明に係る第5実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図8】本発明に係る第6実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図9】本発明に係る第7実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図10】本発明に係る第8実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図11】本発明に係る第9実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図12】本発明に係る第10実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【
図13】本発明に係る第11実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施例における技術的解決手段は図面を参照しながら本発明の実施例を明確で完全に説明する。明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者は創造的な努力をすることなく他の実施例を得ることができる。いずれの実施例も本発明の保護範囲に属する。
【0026】
図1は、本発明に係る第1実施例によるMEMSスイッチの構造概略図である。いくつかの実施例では、MEMSスイッチは、常閉スイッチであってもよい。
図1に示すMEMSスイッチは、トライステートスイッチであり、1つの開状態及び2つの閉状態(第1閉状態(以下、「閉1」と呼ばれる)と第2閉状態(以下、「閉2」と呼ばれる))。通電する場合、当該スイッチは、開状態と閉1状態と閉2状態との間で切り替える。
図3に示すように、MEMSスイッチは、通常、第1閉状態/閉1状態にある。閉1状態では、MEMSにも駆動力が提供される。MEMSスイッチに第1駆動力が提供される場合、MEMSスイッチは、
図2に示す開状態に切り替えられる。MEMSスイッチに第2駆動力が提供される場合、
図1に示すように、MEMSスイッチは、第2閉状態/閉2状態に切り替えられる。他の実施例では、MEMSスイッチは、1つの開状態及び1つの閉状態を有する2状態スイッチであってもよく、且つ通電する場合、開状態と閉状態との間で切り替えることができる。MEMSスイッチに駆動力が供給されていない場合、MEMSスイッチは、通常、閉状態にある。当然のことながら、いくつかの実施例では、MEMSスイッチは、4つ以上の状態に切り替えることができ、本発明はこれを限定しないものとする。
【0027】
具体的に、
図1及び
図2に示すように、MEMSスイッチは、ケース1とスイッチユニット3とを含むことができる。いくつかの実施例では、ケース1には、収容空間1Aが設けられる。スイッチユニット3は、ケース1の収容空間1Aに収容可能である。いくつかの実施例では、スイッチユニット3は、可動梁であり、具体的には、
図1に示すカンチレバーであってもよい。スイッチユニット3は、第1端3a及び第2端3bを含むことができる。第1端3aは、固定/制限端である。いくつかの実施例では、第1端3aの変位はゼロであり、且つ第1端3aの勾配はゼロであってもよく、それにより、第1端3aには回転しない。第1端3aは、固定部材4によりケース1に固定接続され、且つケース1に対して固定されることが可能である。第2端3bは、自由端であってもよく、変位及び回転自在可能であり、剛性以外に何ら制限されない。スイッチユニット3は、偏向又はカールするように駆動されることが可能であり、それにより、スイッチユニット3の自由端3bは、固定部材4に固定された第1端3a周りに移動又は偏向することができる。当然のことながら、本発明の第3実施例では、
図5に示すように、固定部材4を省略してもよく、すなわち、第1端3aは、固定部材4を介することではなく、ケース1に直接的に且つ固定的に接続されてもよい。
【0028】
図1にさらに示すように、スイッチユニット3は、第1側3cと、第1側3cに対向する第2側3dとを含むことができる。スイッチユニット3は、コア31、第1接触部材33及び第2接触部材35をさらに含むことができる。第1接触部材33及び第2接触部材35は、コア31の2つの対向する側面に設けられるか、又はさらに固定されてもよい。より具体的には、第1接触部材33は、スイッチユニット3の第1側3cに設けられてもよく、第2接触部材35は、スイッチユニット3の第2側3dに設けられてもよい。第1接触部材33及び第2接触部材35は、コア31に直接的に設けられ、コア31にさらに接触してもよい。第1接触部材33及び第2接触部材35は、金属オーミック接触としてもよく、又は伝導経路としてもよい。
【0029】
コア31は、誘電体コア、金属コア(例えば全金属コア)、半導電性コアなどであってもよい。すなわち、コア31は、誘電体材料(例えば、酸化ケイ素)、金属(例えば、銅)又は半導体(例えば、多結晶シリコン)で製造されてもよい。いくつかの実施例では、コア31が誘電体コアである場合、コア31は、酸化物で製造されてもよい。酸化物は、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムから選択することができる。
【0030】
いくつかの実施例では、第1接触部材33及び第2接触部材35は、金属で製造され、すなわち、第1接触部材33及び第2接触部材35は、金属層であってもよい。他のいくつかの実施例では、第1接触部材33及び第2接触部材35は、合金で製造されてもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、MEMSスイッチは、さらに、互いに間隔を隔てた第1作動電極5及び第1接点7を含むことができる。第1作動電極5及び第1接点7は、ケース1の第1側3cに固定設置され、且つ第1接触部材33に向かってもよく、第1作動電極5及び第1接点7は、さらにスイッチユニット3の第1接触部材33と間隔を隔てて設けられてもよい。すなわち、第1作動電極5及び第1接点7は、第1接触部材33の同じ側に設けられてもよく、当該側は、コア31から離れるか、又はコア31に対向する側である。いくつかの実施例では、第1作動電極5からスイッチユニット3の第1端3aまでの距離は、第1接点7からスイッチユニット3の第1端3aまでの距離よりも小さくてもよい。
【0032】
同様に、MEMSスイッチは、さらに第2接点8を含むことができる。第2接点8は、スイッチユニット3の第2側3dにおけるケース1に固定設置され、且つ第2接触部材35に向かってもよい。第2接点8は、さらにスイッチユニット3の第2接触部材35と間隔を隔てて設けられてもよい。すなわち、第2接点8は、第2接触部材35のコア31から離れるか、又はコア31に対向する側に設けられてもよい。
【0033】
いくつかの実施例では、第2作動電極9は、スイッチユニット3に固定接続され、且つスイッチユニット3と共に移動可能である。より具体的には、第2作動電極9は、第1接触部材33の第1側3cに直接的に設けられ、又は接触してもよく、すなわち、コア31から離れるか、又はコア31に対向する側にある。第2作動電極9は、第1作動電極5に対応して設けられ、且つ第1作動電極5に向かってもよい。第2作動電極9は、さらに第1作動電極5と間隔を隔てて設けられてもよい。
【0034】
いくつかの実施例では、MEMSスイッチは、さらに、ケース1に固定設置され、且つ第2接点8と間隔を隔て設けられた第3作動電極12を含むことができる。第3作動電極12は、第2接触部材35に向かう。同様に、第4作動電極10は、スイッチユニット3に固定接続され、且つスイッチユニット3と共に移動可能である。より具体的には、第4作動電極10は、第2接触部材35の第2側3dに直接的に設けられるか、又は第2接触部材35の第2側3dに接触してもよい。第4作動電極10は、第3作動電極12に対応し、且つ第3作動電極12に向かってもよい。第4作動電極10は、さらに、第3作動電極12と間隔を隔てて設けられてもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、スイッチユニット3は、内的応力勾配を有することができ、スイッチユニット3のカール及び偏向をもたらし、それにより、スイッチユニット3は、第1接点7又は第2接点8に接触し、又は第1接点7及び第2接点8と離間して第1接点7及び第2接点8に接触しない。例えば、
図3に示すように、スイッチユニット3は、内的応力により第1接点7へカールする。これは、通常の閉1状態である。閉1状態では、第1作動電極5及び第2作動電極9に電圧が印加されない。すなわち、スイッチユニット3と第1接点7との接触は、内的応力のみによるものである。なお、
図2に示すのは、MEMSスイッチの開状態である。第3作動電極12及び第4作動電極10に電圧を印加すると、スイッチユニット3が引き上げられて第1接点7との接触を切断する。しかしながら、上述したように、MEMSスイッチは、通常、閉じられており、第3作動電極12及び第4作動電極10への作動電圧の印加が停止すると、第1接触部材33は、通常、第1接点7に接触する。
【0036】
いくつかの実施例では、スイッチユニット3は、スイッチユニット3の厚さ方向に応力勾配を有し、それにより、スイッチユニット3をカールさせるか、又は偏向させて第1接点7に向かって変位して閉じる。従って、スイッチユニット3は、偏向して第1接点7に接触することができる。通常の閉1状態での接触力は、スイッチユニット3の応力勾配の唯一の効果である。なお、
図1~
図3に示すMEMSスイッチは、2種類の動作方式を有する。第1種の方式では、応力勾配がスイッチユニット3をカールさせるのに十分な大きさである場合、スイッチユニット3は、第1接点7に接触することができる。通常の閉1状態では、第1作動電極5及び第2作動電極9を必要としない。しかしながら、第2種の方式では、応力勾配がスイッチユニット3を第1接点7に接触するようにカールするのに不十分である場合、第1作動電極5及び第2作動電極9に電圧を印加することにより、スイッチユニット3を第1接点7に接触するまで偏向させ、通常の閉1状態を実現することができる。
【0037】
また、本発明の第2実施例では、
図4に示すように、MEMSスイッチは、第1実施例における第1作動電極5及び第2作動電極9を含まない。この実施例では、MEMSスイッチは、1種の方式のみで動作することができる。スイッチユニット3と第1接点7との接触は、応力勾配の存在のみによるものである。応力勾配は、スイッチユニット3をカールさせて第1接点7に接触させる。
【0038】
スイッチユニット3の応力勾配は、様々な方式で生成することができ、これらの方式は、異なる積極的又は消極的属性を有する。応力勾配は、応力の変化をスイッチユニット3の厚さの変化で除算する(Δσ/Δt)と説明することができ、ただし、σは応力であり、tは厚さである。応力勾配を生成させる方法は、多くある。
【0039】
例えば、第1実施例では、コア31は、第1接触部材33に堆積により形成された酸化物コアであってもよい。第1接触部材33及び第2接触部材35は、同じであってもよく、すなわち、同じ配置を有し、形状及び寸法を含む。このような場合、コア31の堆積条件を変更することができる。例えば、堆積温度又は無線周波数の電力を変更することにより、スイッチユニット3の厚さ方向での応力変化を生成することができる。
【0040】
本発明の第4実施例では、コア31は、少なくとも2つのサブ層311に分けることができ、且つ各サブ層311は、異なる応力を有することができる。すなわち、少なくとも2つのサブ層311の応力は、互いに異なってもよい。例えば、
図6に示すように、コア31は、3つのサブ層311に分けることができる。
【0041】
本発明の第5実施例では、
図7に示すように、コア31は、均一な平均応力を有してもよい(すなわち、コア31には、応力の勾配を有しない)。しかしながら、第1接触部材33と第2接触部材35は、互いに異なってもよく、それにより、スイッチユニット3の厚さ方向に応力勾配を生成することができる。例えば、
図7に示すように、第1接触部材33は、第1応力σ1を有し、第2接触部材35は、第2応力σ2を有し、且つσ1≠σ2であってもよい。
【0042】
本発明の第6実施例では、
図8に示すように、コア31は、均一な平均応力を有してもよく(すなわち、コア31には、応力の勾配を有しない)、且つ第1接触部材33の応力は、第2接触部材35の応力と同じであってもよい。しかしながら、第1接触部材33の厚さは、第2接触部材35の厚さと異なるか、又は等しくなくてもよい。このように、応力勾配は、スイッチユニット3の厚さ方向に生成することができる。例えば、
図8に示すように、第1接触部材33の厚さは、第2接触部材35の厚さよりも小さくてもよく、従って、応力勾配を生成することができる。
【0043】
本発明の第7実施例では、
図9に示すように、コア31は、均一な平均応力を有してもよく(すなわち、コア31には、応力の勾配を有しない)、且つ第1接触部材33及び第2接触部材35は、同じ応力及び同じ厚さを有してもよい。しかしながら、第1接触部材33のパターンは、第2接触部材35のパターンと異なってもよく、それにより、応力勾配を生成する。
【0044】
本発明の第8実施例では、
図10に示すように、コア31は、均一な平均応力を有してもよく(すなわち、コア31には、応力の勾配を有しない)、且つ第1接触部材33及び第2接触部材35は、同じ応力及び同じ厚さを有してもよい。しかしながら、第1接触部材33は、第2接触部材35と材料が異なってもよく、それにより、応力勾配を生成する。例えば、
図10に示すように、第1接触部材33の材料は、TiNであってもよく、第2接触部材35の材料は、Ti/AlCuであってもよい。
【0045】
本発明の第9実施例では、
図11に示すように、コア31は、均一な平均応力を有してもよく(すなわち、コア31には、応力の勾配を有しない)、且つ第1接触部材33及び第2接触部材35は、同じ応力及び同じ厚さを有してもよい。しかしながら、第1接触部材33は、第2接触部材35と、積層方向が異なってもよく、それにより、応力勾配を生成する。例えば、
図11に示すように、第1接触部材33は、底面のTi/AlCu層332を含んでもよく、第2接触部材35は、頂面のTiN層352を含んでもよい。
【0046】
本発明の第10実施例では、本発明の第1実施例に対して、第10実施例は、第1端3aでスイッチユニット3のアンカー又は根を修正することができる。例えば、
図12に示すように、第1接触部材33の厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、コア31の厚さ方向に対して略垂直な方向における長さよりも大きくてもよく、それにより、第1接触部材33は、延長されて固定部材4を覆うことができる。第2接触部材35の厚さ方向に対して略垂直な方向における長さは、コア31の長さよりも小さくてもよい。従って、効果的な応力勾配を生成することができ、スイッチユニット3がオフセットするようにする。
【0047】
好ましい実施例において、コア31は、名義上の均一な厚さ構造を有さず、コア31は、階段状であってもよい。すなわち、コア31は、階段構造を有することができる。従って、応力勾配は、スイッチユニット3に生成することもできる。
【0048】
他の好ましい実施例において、コア31は、金属で製造されてもよく、且つコア31自体は、厚さ方向での応力勾配を有することができる。
【0049】
前記のように、スイッチユニット3の厚さ方向での任意の非対称性は、いずれも効果的な応力勾配を生成することができる。また、応力勾配は、必要な応答(例えば、必要な撓み)を生成するように設計されてもよく、且つ、前記のような全ての特徴の組み合わせに基づくことができる。本発明の第11実施例では、例えば、
図13に示すように、コア31は、異なる応力を有するサブ層311を3つ含むことができ、第1接触部材33及び第2接触部材35は、応力、厚さ、パターン、材料などの面で異なってもよい。本発明に係る実施例は、応力勾配を生成する具体的な態様を限定するものではない。
【0050】
また、第1作動電極5は、第2作動電極9と共に動作することができ、スイッチユニット3を駆動して変位させることができ、それにより、第1接触部材33を第1接点7に接触させ、又は第2接触部材35を第2接点8に接触させ、又はスイッチユニット3を駆動して第1接点7及び第2接点8から離間させることができる。
【0051】
MEMSスイッチの動作プロセスについては、後述する。以下では、静電機構によって給電されるMEMSスイッチを例として説明する。上述したように、MEMSスイッチは、常閉であり、また、
図3に示すように、第1作動電極5と第2作動電極9との間に電圧を印加せず、且つスイッチユニット3が応力勾配を有する場合、MEMSスイッチは、通常、閉1の状態にある。このような状態で、第1接点7は、第1接触部材33に接触し、このように、スイッチユニット3は、外部回路に電気的に接続することができる。第3作動電極12と第4作動電極10との間に第1電圧を印加する場合、スイッチユニット3は、偏向するように駆動され、それにより、スイッチユニット3を第1接点7及び第2接点8から離間させ、従って、スイッチユニット3は、外部回路と接続を切断することができる。このような場合、
図2に示すように、MEMSスイッチは、開状態にある。第3作動電極12と第4作動電極10との間に第2電圧を印加する場合、第2接触部材35は、駆動されて第2接点8に向かって移動して、さらに第2接点8に接触することができ、このとき、MEMSスイッチは、閉2状態にあり、
図1に示す通りである。
【0052】
第1作動電極5及び第2作動電極9が閉1状態をもたらす場合、第1作動電極5及び第2作動電極9に第3電圧を印加する。なお、第3電圧は、第2電圧よりも小さいものである。スイッチユニット3の応力勾配によりそれ自体が第1接点7に向かってカールし、これは、第1接点7とスイッチユニット3との間のオフセット距離を減少させる。
【0053】
また、MEMSスイッチは、常閉スイッチであるため、MEMSスイッチが一対の端子に接続される場合、静電気放電(ESD)又は高電圧破壊(VBD)を防止する可能性がある。これらの端子は、電気的に浮動することができ、特定の電圧に制御されない。端子対間の接続は、コンデンサ、抵抗又はインダクタンスに相当し、電気的分離と見なすこともできる。本発明のいくつかの実施例に説明されるMEMSスイッチは、2つの分離する端子に応用される場合、低抵抗の伝導経路を生成し、このように、端子に高電圧(HV)を生成せず、従って、電流が制限されない場合、VBD又は電気的過応力損傷(EOD)が発生する可能性を低減することができる。当然のことながら、そのうちの1つの端子が接地されるか、又は1つの固定電圧に接続される場合、高電圧が発生しない。
【0054】
いくつかの実施例では、MEMSスイッチは、固定抵抗を有することができ、これは、端末に小さい電圧降下が発生することによる結果である。
【0055】
いくつかの実施例では、第1接触部材33、第2接触部材35、第1作動電極5、第1接点7、第2接点8及び第2作動電極9は、必要に応じて、誘電体、導体及び半導体の任意の組み合わせの材料で製造することができる。例えば、当該組み合わせは、誘電体-誘電体、導体-導体、半導体-半導体、誘電体-導体、誘電体-半導体、導体-半導体などを含むことができる。いくつかの実施例では、第1接触部材33、第2接触部材35、第1作動電極5、第1接点7、第2接点8及び第2作動電極9は、アルミニウム(又はアルミニウム合金、例えば、Al-0.5%Cu、Al-0.5%Si又は類似材料)、金、銅又は他の導電性材料で製造することができる。本発明は、第1接触部材33、第2接触部材35、第1作動電極5、第1接点7、第2接点8及び第2作動電極9を製造するための材料を限定するものではない。
【0056】
図1及び
図2にさらに示すように、ケース1は、基板11及び基板11と組み立てられた蓋板13を含むことができ、基板11と蓋板13によってともに収容空間1Aが囲まれて形成される。第1作動電極5及び第1接点7は、基板11に固定設置されてもよく、且つスイッチユニット3は、固定部材4により基板11に固定されてもよい。第2接点8は、蓋板13に固定設置されてもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、固定部材4は、固定柱、固定ロッド、ブラケットなどを含むことができるが、これらに限定されない。スイッチユニット3の第1端3aは、固定部材4に接続することができ、スイッチユニット3の自由端3bは、第1端3a周りに回転することができる。
【0058】
いくつかの実施例では、
図1及び
図2にさらに示すように、スイッチユニット3は、さらに第1接触部材33の一方側に固定された第1誘電体部材37を含むことができ、当該側は、コア31から離れるか、又はコア31に対向する。第2作動電極9は、第1誘電体部材37の第1接触部材33から離れる面に固定設置されてもよい。第2誘電体部材39は、さらに第2接触部材35のコア31から離れるか、又はコア31に対向する側に固定されてもよい。第1誘電体部材37は、パターン化されてもよく、それにより、第1接触部材33は、第1接触部331を有し、第1接触部331は、第1誘電体部材37から露出し、且つスイッチユニット3は、第1接点7へ偏向するとき、第1接点7に接触することができる。第2誘電体部材39は、パターン化されてもよく、それにより、第2接触部材35は、第2接触部351を有し、第2接触部351は、第2誘電体部材39から露出し、且つスイッチユニット3は、第2接点8へ偏向するとき、第2接点8に接触することができる。
【0059】
図1及び
図2に示す実施例では、第2電極9は、スイッチユニット3の第1側3cでの第1誘電体部材37に設置又は固定されている。しかしながら、いくつかの実施例では、第2電極9をスイッチユニット3の第2側3dに設置又は固定することができる。すなわち、第2電極9は、第2誘電体部材39に設置又は固定されてもよい。
【0060】
いくつかの実施例では、第1コア31、第1誘電体部材37及び第2誘電体部材39は、酸化物で製造することができる。酸化物は、酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸化アルミニウムから選択される。
【0061】
いくつかの実施例では、第1誘電体部材37の厚さ及び第2誘電体部材39の厚さは、いずれもコア31の厚さよりも小さい。
【0062】
上記実施例では、スイッチユニット3は、カンチレバーであってもよい。しかしながら、いくつかの実施例では、スイッチユニット3は、バネカンチレバーであってもよい。例えば、本発明のいくつかの実施例では、MEMSスイッチは、バネをさらに含むことができる。第1端3aは、固定/制限端であってもよく、固定部材4に制限される。第2端3bは、自由端であってもよく、バネが許容する範囲内で自由に変位し、バネが制限する範囲内で回転する。このように、真のカンチレバーにより実現されたオフセットを制限することができる。カンチレバーとするスイッチユニット3に比べて、バネに接続された第2端3bを有するスイッチユニット3は、より多くの変位及び回転を有することができる。いくつかの実施例では、バネは、任意の弾性部材に置き換えられてもよく、当該弾性部材は、バネに類似する弾性力を提供することができる。このとき、スイッチユニット3は、弾性カンチレバーと呼ばれてもよい。
【0063】
いくつかの実施例では、スイッチユニット3は、固定-固定又は二重支持の配置方式で実現することができる。例えば、本発明のいくつかの実施例では、MEMSスイッチは、さらに追加の固定部材を含むことができる。第1端3aは、固定/制限端であり、固定部材4により制限される。第2端3bは、固定/制限端であってもよく、追加の固定部材により制限される。
【0064】
いくつかの実施例では、スイッチユニット3は、マルチ支持の配置で実現することができ、すなわち、複数の側面、縁部又は点で支持される。
【0065】
従って、スイッチユニット3の幾何学的配置は、カンチレバー、バネ又は弾性カンチレバー、固定-固定配置又はマルチ支持の配置で実現することができ、本発明の実施例は、これを限定しない。また、必要に応じて異なる配置のスイッチユニット3のセンサ機構を選択することができる。スイッチユニット3が静電機構により給電される場合、スイッチユニットの構造、幾何学的形状及び材料特性に基づきスイッチユニット3に印加する電圧を選択することができ、本発明は、これを限定しない。
【0066】
本発明に係る実施例は、MEMSスイッチを提供する。当該MEMSスイッチは、開状態及び少なくとも1種の閉状態を有することができる。MEMSスイッチは、静電機構、電磁機構、電熱機構、圧電機構、形状記憶機構、固体(SOI、GaAS)機構などを含む複数の作動機構により、操作することができ、それにより、MEMSスイッチは、開状態及び少なくとも1種の閉状態の間で切り替えることができる。
【0067】
以上は本発明の実施例に過ぎない。明確にすべきことは、当業者は本発明の発明思想から逸脱することなく改善することができるが、これらの改善は本発明の保護範囲に属する。
【要約】
【課題】本発明は、MEMSスイッチを提供する。
【解決手段】MEMSスイッチは、ケース、スイッチユニット、第1作動電極、第1接点、第2作動電極、第2接点、第3作動電極及び第4作動電極を含み、前記第1作動電極と前記第2作動電極との間に電圧を印加しない場合、前記スイッチユニットは、前記第1閉状態にあり、前記第1接点に接触している。前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第1電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向駆動されて、前記スイッチユニットを前記開状態にし、前記第1接点及び前記第2接点と離間させる。前記第3作動電極と前記第4作動電極との間に第2電圧を印加する場合、前記スイッチユニットが偏向駆動されて、前記スイッチユニットを前記第2閉状態にして前記第2接点に接触させる。本発明に係るMEMSスイッチは、開状態と少なくとも1種の閉状態を有する。
【選択図】
図1