(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】見守り装置及び見守りシステム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20221214BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20221214BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221214BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221214BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221214BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
H04Q9/00 301B
H04M11/00 301
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019017917
(22)【出願日】2019-02-04
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503326557
【氏名又は名称】株式会社コンピューター総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】根本 龍男
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121242(JP,A)
【文献】特開2015-060382(JP,A)
【文献】特開2018-128707(JP,A)
【文献】特開2015-216566(JP,A)
【文献】特開2013-206012(JP,A)
【文献】特開2019-029824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
G08B 21/00-25/00
H04N 5/00-21/00
H04Q 9/00
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレビジョン受信器のリモートコントローラに設けられている特定のボタンが押下されたときに当該リモートコントローラから送信される無線信号を受信する第1無線信号受信部と、
前記第1無線信号受信部によって無線信号が受信されたことを報知する第1報知部と、
前記第1無線信号受信部によって無線信号が受信された場合に予め設定された登録先に前記特定のボタンが押下されたことを示す信号を送信する信号送信部と、
前記登録先から送信される前記特定のボタンの押下に対応する信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部によって信号を受信したことを報知する第2報知部と、
を備える見守り装置。
【請求項2】
前記特定のボタンは、カラーボタンであり、
前記第1又は第2報知部は、前記カラーボタンに割り当てられているカラーと同色のランプを点灯、点滅又は消灯させることによって報知する、請求項1記載の見守り装置。
【請求項3】
さらに、
前記リモートコントローラに設けられている電源ボタンが押下されたときに当該リモートコントローラから送信される無線信号を受信する第2無線信号受信部と、
前記第2無線信号受信部によって無線信号が受信された際に見守り装置本体の周辺音量レベルの変化を示す信号と前記電源ボタンが押下されたことを示す信号とを送信する電源信号送信部と、
を備える、請求項1記載の見守り装置。
【請求項4】
請求項1記載の見守り装置と、
前記信号送信部から送信される信号を受信する端末と、
がネットワークを介して接続されている見守りシステム。
【請求項5】
さらに、前記見守り装置と前記端末とを仲介するサーバを備え、
前記サーバは、
前記
リモートコントローラに設けられている電源ボタンが押下されたことをトリガとして前記見守り装置から送信される見守り装置本体の周辺音量レベルの変化を示す信号と当該電源ボタンが押下されたことを示す信号とを受信する電源信号受信部を備える、請求項4記載の見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り装置及び見守りシステムに関し、特に、テレビジョン受信器(以下、「テレビ」と称する。)のリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する。)を用いた見守り装置及び見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、特別な機器を用意することなく、既存の機器を利用して、見守り対象者の見守り可能な見守りシステムが開示されている。この見守りシステムは、見守り対象者が在宅する対象者宅側にテレビの電源ON/OFF、チャネルの切り替えを行うリモコンから発信される赤外線信号を受信し、赤外線信号の含まれるテレビ操作情報のイベント情報(電源ON/OFF、チャネルの切り替え)、イベント情報の発生時のタイムスタンプ情報、見守り対象者を識別するID情報、からなる視聴情報(見守り情報)を収集する視聴情報収集ユニットと、視聴情報収集ユニットにて収集した視聴情報を蓄積して管理する視聴情報蓄積サーバに送信する通信ユニット(ルータ)を増設するものである。
【文献】特開2017-117168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている見守りシステムは、テレビのリモコンの赤外線信号の含まれるテレビ操作情報のイベント情報、イベント情報の発生時のタイムスタンプ情報などを収集して蓄積するものの、見守り対象者とその家族とのコミュニケーションを図ることについては深く検討されていない。
【0004】
このため、見守り対象者の家族は、見守り対象者のテレビの閲覧状況等について把握することはできるものの、見守り対象者とその家族との間でコミュニケーションを図ろうとすると、電話をかける・手紙を出すなど、別媒体を用いることが必要であった。これでは、見守り装置の使用方法は限定的であり、その利用価値を高めて欲しいとの要望があった。
【0005】
そこで、本発明は、見守り装置自体を用いて、見守り対象者とその家族との間で簡単なコミュニケーションを図れるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の見守り装置は、
テレビのリモコンに設けられている特定のボタンが押下されたときに当該リモコンから送信される無線信号を受信する第1無線信号受信部と、
前記第1無線信号受信部によって無線信号が受信されたことを報知する第1報知部と、
前記第1無線信号受信部によって無線信号が受信された場合に予め設定された登録先に前記特定のボタンが押下されたことを示す信号を送信する信号送信部と、
前記登録先から送信される前記特定のボタンの押下に対応する信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部によって信号を受信したことを報知する第2報知部と、
を備える。
【0007】
前記特定のボタンは、カラーボタンとすることができ、この場合には、前記第1又は第2報知部は、前記カラーボタンに割り当てられているカラーと同色のランプを点灯、点滅又は消灯させることによって報知するとよい。
【0008】
さらに、
前記リモコンに設けられている電源ボタンが押下されたときに当該リモコンから送信される無線信号を受信する第2無線信号受信部と、
前記第2無線信号受信部によって無線信号が受信された際に見守り装置本体の周辺音量レベルの変化を示す信号と前記電源ボタンが押下されたことを示す信号とを送信する電源信号送信部と、
を備えることもできる。
【0009】
また、本発明の見守りシステムは、
上記見守り装置と、
前記信号送信部から送信される信号を受信する端末と、
がネットワークを介して接続されている。
【0010】
さらに、前記見守り装置と前記端末とを仲介するサーバを備えてもよく、
前記サーバは、
前記電源ボタンが押下されたことをトリガとして前記見守り装置から送信される見守り装置本体の周辺音量レベルの変化を示す信号と当該電源ボタンが押下されたことを示す信号とを受信する電源信号受信部を備えるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の見守りシステムの模式的な構成図である。
【
図2】
図1に示す見守りシステムの動作を示すタイムチャートである。
【
図3】
図1のスマートフォン500にインストールされている既述のアプリケーションプログラムを起動した際のスマートフォン500のディスプレイに表示される画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0012】
100 見守り装置
110,130 報知部
120 赤外線信号受信部
140 集音部
150 通信部
200 リモコン
300 テレビ
400 サーバ
500 スマートフォン
600 赤外線信号
700 ネットワーク回線
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(概要の説明)
まず、本実施形態の見守りシステムの概要について説明する。本実施形態の見守りシステムは、見守り対象者がテレビのリモコンに設けられているカラーボタンを押下した場合に、典型的には、いずれの色のカラーボタンが押下されたかを、見守り対象者の家族に報知するものである。
【0015】
このように、本実施形態の見守りシステムは、典型的な見守り対象者となろう年配者は
、複雑なリモコン操作をすることなく、自身の家族に向けてカラーボタンの押下を通じて意思表示を行うことが可能になる。
【0016】
また、本実施形態の見守りシステムは、見守り対象者の家族からスマートフォン又はパーソナルコンピュータから、カラーボタンの押下に対応する信号が送信された場合に、そのことを見守り対象者に報知する。
【0017】
したがって、本実施形態の見守りシステムは、見守り対象者の家族から見守り対象者に対して、見守り対象者の意思表示に応答することもできるし、自発的に見守り対象者に対する意思表示をすることができる。
【0018】
見守り対象者の家族から見守り対象者に対する意思表示は、見守り装置を通じて行う。具体的には、これに限定されるものではないが、リモコンには通常、青色ボタン、赤色ボタン、緑色ボタン、黄色ボタンといった4つのカラーボタンが設けられているので、見守り装置にはこれらの4つのカラーボタンに対応する色のLEDランプを設けておき、見守り対象者の家族から送信される信号に応じた色のLEDランプを点灯、点滅、消灯の切り替えをすることによって実現することができる。
【0019】
なお、4つのカラーボタンが押下された場合の意思表示の意味内容は、事前に見守り対象者とその家族との間で取り決めをしておけばよいし、予め見守りシステムの管理者等が決めておいてもよい。これにより、両者間で簡便に意思表示を相手方に伝えることが可能となる。
【0020】
例えば、青色ボタンが押下された場合には「元気だよ」という意味内容であること、赤色ボタンが押下された場合には「電話ちょうだい」という意味内容であること、緑色ボタンが押下された場合には「おはよう」という意味内容であること、黄色ボタンが押下された場合には「おやすみ」という意味内容であることを事前に取り決めすればよい。
【0021】
さらには、これらの4つのバリエーションに加えて、既述のように、LEDランプの点灯/点滅の別を加味すると、これだけで8つの意味内容を相手方に伝えることが可能になるし、点滅時間、点灯間隔などの点滅パターンを変更することで、更に多くの意味内容を相手方に伝えることも可能となる。
【0022】
このように、本実施形態の見守りシステムでは、見守り装置自体を用いて、見守り対象者とその家族との間で簡単なコミュニケーションを図れるようにしている。以下、具体的に見守りシステムの構成及び動作について説明する。
【0023】
(構成の説明)
図1は、本発明の実施形態の見守りシステムの模式的な構成図である。
図1には、以下説明する、見守り装置100と、リモコン200と、テレビ300と、サーバ400と、スマートフォン500と、赤外線信号600と、ネットワーク回線700と、を示している。
【0024】
見守り装置100は、通常、見守り対象者のテレビ300の近傍に設置され、リモコン200のいずれかのボタン210等が押下された際に、リモコン200から送信される赤外線信号(無線信号)600を受信するものである。
【0025】
また、見守り装置100は、リモコン200の電源ボタン210が押下された際にリモコンから送信される赤外線信号600が受信されたときに、見守り装置100本体の周辺音量レベルの変化を示す信号と電源ボタン210が押下されたことを示す信号とを、サー
バ400に送信し、サーバ400において設定された異常条件となれば予め設定された登録先に付帯するスマートフォン500などにアラームを向けて送信させるものである。
【0026】
見守り装置100は、以下説明する、報知部110,130と、赤外線信号受信部120と、集音部140と、通信部150と、を備えている。
【0027】
報知部110,130は、赤外線信号受信部120によってカラーボタン230のうち、例えば、青色ボタン232又は黄色ボタン234が押下されたことを示す赤外線信号600が受信されたことを見守り対象者に対して報知するものである。
【0028】
なお、見守り対象者が意図せず青色ボタン232又は黄色ボタン234に触れてしまい、リモコン200から見守り装置100に向けて赤外線信号600が送信された場合に、見守り装置100が反応して応答することを回避するために、報知部110,130は、青色ボタン232又は黄色ボタン234が例えば2~3秒程度長押しされたことをもって、報知処理を行うこともできる。
【0029】
また、報知部110,130は、登録先に付帯するスマートフォン500などからサーバ400を経由して送信される青色ボタン232又は黄色ボタン234の押下に対応する信号が、通信部150によって受信されたことを報知するものである。
【0030】
なお、
図1には、報知部110,130という2つの報知部を示しているが、報知部の数は、1つでもよいし3つ以上でもよい。また、報知部110,130は、カラーボタン230に対応するもの以外のもの、すなわち、例えば、決定ボタンに対応する報知部を設けてもよい。
【0031】
また、報知部110,130は、これらに限定されるものではないが、カラーボタンに割り当てられているカラーと同色のLEDランプを点灯、点滅又は消灯させることによって、視覚を通じて理解しやすい態様で報知するとよい。
【0032】
赤外線信号受信部120は、テレビ300のリモコン200に設けられている、電源ボタン210、数字ボタン群220のいずれかのボタン、カラーボタン230、その他のボタンが押下されたときに、押下したボタンに対応してリモコン200から送信される赤外線信号600を受信するものである。
【0033】
なお、リモコン200は、赤外線信号600を送信するものが現状では多く見受けられるが、ブルートゥース(登録商標)、ジグビー(登録商標)などの無線規格に従った無線信号を送信できるものもあるので、その場合に、これらの無線信号に対応する受信部を設ければよい。
【0034】
集音部140は、見守り装置100本体の周辺音量レベルの変化を示す信号を得るために、例えば常時、見守り装置100本体の周辺の音を集めるマイクロフォンと、マイクロフォンで集められた音を記録するFIFOメモリとを備える。
【0035】
通信部150は、赤外線信号受信部120によってカラーボタン230が押下されたことを示す赤外線信号600が受信された場合に、登録先に付帯するスマートフォン500などに、カラーボタン230が押下されたことを示す信号をサーバ400を経由して送信するものである。
【0036】
また、通信部150は、登録先に付帯するスマートフォン500などからサーバ400を経由して送信される、カラーボタン230の押下に対応する信号を受信するものである
。
【0037】
さらに、通信部150は、リモコン200の電源ボタン210が押下されたことを示す赤外線信号600が受信された場合に、集音部140で集音され記録されている見守り装置100本体の周辺音量レベルの変化を示す信号と電源ボタン210が押下されたことを示す信号とをサーバ400に送信するものである。
【0038】
リモコン200は、少なくとも、電源ボタン210、数字ボタン群220のいずれかのボタン、青色ボタン232及び黄色ボタン234を含むカラーボタン230、決定ボタンを含むその他のボタンを備えている。リモコン200は、赤外線送信タイプのものであってもよいし、これ以外の無線信号送信タイプのものであってもよい。
【0039】
テレビ300は、既知のように、地上波、BS放送、CS放送などの各種放送波を受信可能なアンテナ、チューナーなどを内蔵したものである。なお、見守り装置100の各機能を、テレビ300自体に搭載して一体化することもできる。
【0040】
サーバ400は、見守り装置100及びスマートフォン500などから送信される各種信号を入力して、当該信号に対応する処理を行うものである。具体的な各種処理については、動作説明とともに後述するが、サーバ400は、見守り対象者が黄色ボタン234を押下すると、スマートフォン500に対してそのことを報知したり、反対に、スマートフォン500から黄色ボタン234に対応する指示がされた場合に、そのことを見守り装置100の報知部130によって報知させるものである。
【0041】
スマートフォン500は、見守り対象者の家族、関係者などが所有するものである。スマートフォン500には、後述する動作を実行するためのアプリケーションプログラムをインストールすることができる。なお、当該動作については、ブラウザによって実現することもできる。
【0042】
赤外線信号600は、リモコン200の電源ボタン210、カラーボタン230等が押下されたときに、リモコン200から送信されるものである。繰り返しになるが、リモコン200が赤外線以外の無線信号を送信するタイプのものであれば、赤外線信号600は無線信号となる。
【0043】
ネットワーク回線700は、インターネット回線、携帯電話回線などの総称である。具体的には、典型例を示すと、見守り装置100とサーバ400とはインターネット回線乃至はLTEなどの通信回線で接続され、サーバ400とスマートフォン500とはインターネット回線及び携帯電話回線で接続される。
【0044】
(動作の説明)
図2は、
図1に示す見守りシステムの動作を示すタイムチャートである。まず、初期設定について説明する。なお、初期設定は、ステップS1~ステップS7を実行することによってなされる。
【0045】
見守り対象者又はその家族は、リモコン200が汎用リモコンと称されるものである場合には、テレビ300のメーカ名・型番などの情報をリモコン200に対して設定する(ステップS1)。
【0046】
また、見守り対象者等は、リモコン200から送信される赤外線信号600を、見守り装置100で受信できるように、リモコン200を操作するなどして、テレビ300のメーカ名・型番などを示す信号を見守り装置100に送信する(ステップS2)。
【0047】
見守り装置100では、通信部150によってリモコン200からのメーカ名・型番を示す信号受信すると、それを図示しないメモリに格納することによって、リモコン200の設定登録を行う(ステップS3)。
【0048】
つぎに、見守り装置100では、サーバ400とのやり取りを行えるように、通信部150が、自装置に固有に割り当てられている装置IDを、ネットワーク回線700を介してサーバ400に送信する(ステップS4)。
【0049】
また、スマートフォン500は、本実施形態の見守りシステムのサービスを受けられるようにするために、見守り装置100に付帯して割り当てられる固有のログインID、装置IDなどを用いて、ユーザの会員登録を行う(ステップS5)。
【0050】
具体的には、スマートフォン500からサーバ400に対して、本実施形態の見守りシステムのサービスを受ける際に必要な、ログインID、パスワード及び既述の登録先となる登録アドレスを、上記の装置IDとともにネットワーク回線700を通じてサーバ400に送信する(ステップS6)。
【0051】
サーバ400は、スマートフォン500から送信される装置ID等を受信すると、先に見守り装置100から送信されている装置IDと照合することで、登録アドレス等を一組の対応情報として図示しないメモリなどに格納する(ステップS7 )。
【0052】
こうして、リモコン200と、見守り装置100と、サーバ400と、スマートフォン500との間で関連付けがされる。以上の各処理を実行することによって、初期設定が完了する。
【0053】
初期設定が完了した後に、見守り対象者が、リモコン200の赤外線信号発信部をテレビ300の赤外線信号受信部に向けた状態で、リモコン200のカラーボタン230の一つである黄色ボタン234を長押ししたとする(ステップS8 )。
【0054】
そうすると、リモコン200からテレビ300及びこの近傍に設置されている見守り装置100に向けて、黄色ボタン234に対応する赤外線信号600の送信が開始することになる(ステップS9,ステップS10)。
【0055】
見守り装置100では、赤外線信号受信部120によって、リモコン200から黄色ボタンに対応する赤外線信号600を受信し、この状態が所定期間継続することで長押しされたという判定をした場合には、見守り対象者の長押し操作に対して見守り装置100が反応したことを示すために、報知部130を点灯させる(ステップS11)。
【0056】
つぎに、見守り装置100では、通信部150がサーバ400に対して黄色ボタンが長押しされたことを示す黄色ボタン信号を、自装置に割り当てられている固有の装置IDを付加して、ネットワーク回線700を通じてサーバ400に向けて送信する(ステップS12)。
【0057】
サーバ400は、見守り装置100から送信された黄色ボタン信号を受信すると、そこに付加されている装置IDに対応する登録先アドレスを、宛先としてメモリから読み出す(ステップS13)。
【0058】
そして、サーバ400が、その登録アドレスに対して、ネットワーク回線700を通じて黄色ボタン信号を送信すると(ステップS14)、スマートフォン500では、この信
号を受信することができるので、見守り対象者のリモコン200の黄色ボタン234が長押しされたことを、その家族にスマートフォン500を通じて報知することができる(ステップS15)。
【0059】
ここでいう報知の手法としては、これらに限定されるものではないが、登録先アドレスに対して電子メールを送信してもよいし、ショートメッセージを送信してもよいし、本実施形態の見守りシステムのサービスに付帯するアプリケーションプログラムを通じてアラームを出してもよい。
【0060】
これに気づいた家族は、黄色ボタン信号を受信したことの返信をするために、スマートフォン500などを操作することによって、見守り装置100の報知部130の点灯状態を解除するための解除操作を実行したとする(ステップS16)。
【0061】
これにより、スマートフォン500などから、ネットワーク回線700を通じて、登録先を示す情報が付加された解除指示信号が送信される(ステップS17)。
【0062】
サーバ400は、スマートフォン500などから送信された解除指示信号を受信すると、そこに付加されている登録先アドレスに対応する装置IDを、宛先としてメモリから読み出す(ステップS18)。
【0063】
そして、サーバ400が、その装置IDに対して、ネットワーク回線700を通じて解除指示信号を送信すると(ステップS19)、見守り装置100では、この信号を受信することができるので、報知部130を点灯状態から必要に応じて点滅状態を経由して消灯状態に切り替える(ステップS20)。
【0064】
以上説明したように、初期設定がされた後、ステップS8~ステップS20に示す処理を実行することによって、見守り対象者からその家族に向けて意思表示をすることができる。
【0065】
一方、見守り対象者の家族から見守り対象者に向けて意思表示をする場合には、見守り対象者の家族がスマートフォン500などを操作することによって実現することができる。具体的には、例えば、スマートフォン500にインストールされているアプリケーションプログラムを通じて、青色ボタンを模した画像をスワイプ操作又はタップ操作等すればよい(ステップS21)。
【0066】
これにより、スマートフォン500などから、ネットワーク回線700を通じて、登録先を示す情報が付加された青色ボタン232に対応する報知部110を点滅させるための点滅指示が送信される(ステップS22)。
【0067】
サーバ400は、スマートフォン500などから送信された点滅指示信号を受信すると、そこに付加されている登録先アドレスに対応する装置IDを、宛先としてメモリから読み出す(ステップS23)。
【0068】
そして、サーバ400が、その装置IDに対して、ネットワーク回線700を通じて点滅指示信号を送信すると(ステップS24)、見守り装置100では、この信号を受信することができるので、報知部130を消滅状態から点滅状態に切り替える(ステップS25)。
【0069】
以上説明したように、初期設定がされた後、ステップS21~ステップS25に示す処理を実行することによって、見守り対象者からその家族に向けて意思表示をすることがで
きる。
【0070】
なお、同様の説明が重複することを避けるため、図示していないが、報知部130の点滅に気づいた見守り対象者がリモコン200の青色ボタン232を押下すれば、これに連動してステップS15~ステップS20に対応する処理がなされ、スマートフォン500に対して点滅処理が解除されたことを報知することができる。
【0071】
また、後述するように、本実施形態の見守りシステムでは、リモコン200の電源ボタン210が押下されたときに、テレビ300の電源がオンされたかオフされたかを判定することができるので、見守り装置100とテレビ300との関係を強固にするとともに、所要の処理を実行するプログラムをこれらにセットしておき、テレビ300の電源がオンである場合には、報知部110,130を通じて報知すべき内容をテレビ300の画面に表示することも一法である。この場合には、テレビ300としては、いわゆるスマートテレビを用いるとよい。
【0072】
すなわち、具体的には、既述のように青色ボタン232が押下された場合には「元気だよ」という意味内容であるということを、見守り対象者とその家族との間で取り決めした場合には、見守り装置100及びテレビ300に対してその意味内容を、リモコン200を通じて設定できるようにする。
【0073】
そして、テレビ300の電源がオン状態でリモコン200の青色ボタン232が長押しされ、それを見守り装置100で検知した場合には、見守り装置100からテレビ300に対して、その旨を出力可能とする。一方、テレビ300では、この出力信号を入力すると「元気だよというメッセージを送りました」というような情報をディスプレイに表示可能とする。
【0074】
或いは、テレビ300の電源がオンしているのだから、リモコン200の青色ボタン232が長押しされたことを、テレビ300で検知して、見守り装置100を介すことなく、同様の動作を可能とする。この場合、見守り装置100からテレビ300に対して重複した指示がなされないように、テレビ300の電源がオン状態である場合には、見守り装置100からテレビ300に対する出力を抑止すればよい。
【0075】
図3は、
図1のスマートフォン500にインストールされている既述のアプリケーションプログラムを起動した際のスマートフォン500のディスプレイに表示される画面例を示す図である。なお、
図3に示す画面例はあくまで例示したものであり、レイアウト、表示内容、表示態様、表示対象などは、これに限定されるものではない。
【0076】
図3に示す画面例は、以下説明する、サービス名等表示領域510と、メニュー表示領域520と、LED点灯状態表示領域530と、青色LEDランプオン/オフ表示領域540と、青色LEDランプ点灯/点滅指示表示領域550と、黄色LEDランプオン/オフ表示領域560と、黄色LEDランプ点灯/点滅指示表示領域570とを含む。
【0077】
サービス名等表示領域510は、本実施形態の見守りシステムによって提供されるサービス名を表示したり、このアプリケーションプログラムの各種設定画面に遷移する指示領域を表示したり、当該アプリケーションプログラムからのログアウトの指示領域を表示したりするなどするものである。
【0078】
メニュー表示領域520は、当該アプリケーションプログラムのトップ画面に遷移する指示領域「会員TOP」を表示したり、サーバ400を通じて送信されるカラーボタン信号受信時のアラーム設定を行う画面に遷移する指示領域「アラーム設定」を表示したり、
見守り装置100で収集される見守り対象者のリモコン200の簡易な操作履歴等の閲覧画面に遷移する指示領域「履歴サマリー」を表示したり、見守り装置100で収集される見守り対象者のリモコン200の詳細な操作履歴等の閲覧画面に遷移する指示領域「生活リズム」を表示したりするものである。
【0079】
LED点灯状態表示領域530は、青色LEDランプオン/オフ表示領域540と、青色LEDランプ点灯/点滅指示表示領域550と、黄色LEDランプオン/オフ表示領域560と、黄色LEDランプ点灯/点滅指示表示領域570とを含む領域である。
【0080】
青色LEDランプオン/オフ表示領域540は、報知部110であるところの青色LEDランプのオン/オフを切り替えるためのスワイプ操作がされる領域である。
図3には、青色LEDランプが「オン」されている状態を示している。
【0081】
青色LEDランプ点灯/点滅指示表示領域550は、青色LEDランプオン/オフ表示領域540が「オン」を示している際に、報知部110が点灯状態であるか点滅状態であるかが示される領域である。ここでは、「点灯」であることが示されている。
【0082】
黄色LEDランプオン/オフ表示領域560は、 青色LEDランプオン/オフ表示領
域540に対応する領域である。両者の相違点は、表示対象となるものが報知部110から報知部130といった黄色LEDランプに変わっただけである。
【0083】
黄色LEDランプ点灯/点滅指示表示領域570は、青色LEDランプ点灯/点滅指示表示領域550に対応する領域である。両者の相違点は、表示対象となるものが報知部110から報知部130といった黄色LEDランプに変わっただけである。
【0084】
なお、
図3には、黄色LEDランプが「オン」されている状態を示しているので、これは
図2のステップS15が実行された状態に対応している。また、見守り対象者の家族が、黄色LEDランプを「オフ」に切り替えるためのスワイプ操作を行うと、
図2のステップS16~ステップS20の各処理が実行されることになる。
【0085】
つぎに、リモコン200の電源ボタン210のオン/オフの判定手法について説明する。電源ボタン210が押下されると、テレビ300の電源がオン状態であっても、テレビ300の電源がオフ状態であっても、リモコン200から送信される赤外線信号600は同じである。
【0086】
つまり、理解容易のために、テレビ300とリモコン200との関係で説明すると、テレビ300の電源がオフ状態で電源ボタン210が押下され、これがテレビ300の赤外線信号受信部において受信された場合には、テレビ300の電源がオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0087】
反対に、テレビ300の電源がオン状態で電源ボタン210が押下され、これがテレビ300の赤外線信号受信部において受信された場合には、テレビ300の電源がオン状態からオフ状態に切り替わる。
【0088】
このように、リモコン200の電源ボタン210が押下された際に送信される赤外線信号600は、「オフ状態からオン状態に切り替えることの指示」或いは「オン状態からオフ状態に切り替えることの指示」という具体的なものを指すのではなく、単に「電源ボタン210が押下された」という指示を指すに過ぎない。
【0089】
上記のように、テレビ300であれば、電源ボタン210が押下され、それを検知する
たびに、電源のオン/オフ状態を切り替えればよいが、見守り装置100においては、見守り対象者がテレビ300の電源をオンする意図で電源ボタン210を押下したのか、見守り対象者がテレビ300の電源をオフする意図で電源ボタン210を押下したのかを判定することが求められることがある。
【0090】
そこで、本実施形態の見守り装置100では、既述のように、集音部140を設けている。今一度説明すると、集音部140は、見守り装置100本体の周辺音量レベルの変化を示す信号を得るために、例えば常時、見守り装置100本体の周辺の音を集めるマイクロフォンと、マイクロフォンで集められた音を記録するFIFOメモリとを備えている。
【0091】
このため、典型的には、テレビ300の電源のオン/オフに拘わらず、常時、マイクロフォンを用いて見守り装置100本体周辺の音を集め、それをサンプリングしてアナログ信号からディジタル信号に変換し、周辺音量レベルを示す情報をFIFOメモリに記録していく。FIFOメモリは少なくとも過去30秒間程度の情報が記録できるような容量とすればよい。
【0092】
そして、見守り対象者がリモコン200の電源ボタン210を押下し、これを赤外線信号受信部120によって受信した場合には、通信部150は、15秒ほど経過するまで待って、FIFOメモリに記録されている過去30秒間程度の情報を示す信号と電源ボタン210が押下されたことを示す信号とを、自装置に割り当てられている固有の装置IDをこれに付加してからサーバ400にネットワーク回線700を通じて送信する。これにより、電源ボタン210の押下前後それぞれ15秒程度の情報がサーバ400に送信されることになる。
【0093】
サーバ400は、見守り装置100から送信される信号を受信すると、当該信号に付加されている装置IDに紐づけをしてメモリに信号が示す情報を格納する。また、サーバ400は、例えば、当該情報を示す信号の周辺音声のレベルの大小で、テレビ300の電源がオンからオフに切り替わったのか、オフからオンに切り替わったのかを判定することができる。また、電源ボタン210の押下信号の前後に、数字ボタン群220のいずれかのボタンやその他のボタンの押下信号をもとに電源オン・オフを判定してもよい。
【0094】
ここでは、電源ボタン210が押下された場合の処理について説明したが、リモコン200の数字ボタン群220のいずれかのボタンであったり、その他のボタンだったりが押下された場合にも、リモコン200の操作履歴が見守り装置100からサーバ400に対して送信されるようにしている。
【0095】
このため、スマートフォン500は、サーバ400からこれらの操作履歴を受信することによって、メニュー表示領域520に「履歴サマリー」又は「生活リズム」と表示されている指示領域を押下することによって、操作履歴の閲覧が可能となる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態の見守りシステムによれば、見守り対象者としてはリモコン200の特定のボタンを押下するといった簡易な操作をするだけで、見守り対象者とその家族との間で、簡単なコミュニケーションを図ることが可能となる。