(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】水田用除草装置およびこれを用いた水田の除草方法並びに栽培作物の作成方法
(51)【国際特許分類】
A01B 39/18 20060101AFI20221214BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20221214BHJP
A01M 21/02 20060101ALI20221214BHJP
B63H 1/12 20060101ALI20221214BHJP
B63H 21/17 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A01B39/18 C
A01B69/00 303F
A01M21/02
B63H1/12 A
B63H21/17
(21)【出願番号】P 2021540940
(86)(22)【出願日】2020-08-17
(86)【国際出願番号】 JP2020031022
(87)【国際公開番号】W WO2021033669
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】P 2019151124
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520307067
【氏名又は名称】有機米デザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】塩路 義行
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0003538(KR,A)
【文献】実公昭43-030900(JP,Y1)
【文献】特開2009-278967(JP,A)
【文献】特開2019-083708(JP,A)
【文献】特開2015-128408(JP,A)
【文献】特開2002-034305(JP,A)
【文献】特開2011-205967(JP,A)
【文献】特開2016-152775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 39/18
A01B 69/00
A01M 21/02
B63H 1/12
B63H 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に浮くフロートボディと、該フロートボディの下面から水中に張り出すスクリューと、を備え、
前記フロートボディによって水に浮い
て前記スクリューの下端による喫水が水底に至らない状態で、前記スクリューにより推進しつつ水田の
水を攪拌して泥を巻き上げ泥幕を生じさせ、その泥幕により雑草の生育を防止または抑制する水田用除草装置であって、
当該水田用除草装置の喫水位置を上下させる喫水調整機構を備えることを特徴とする水田用除草装置。
【請求項2】
前記喫水調整機構は、前記フロートボディと前記スクリューとの相対高さ寸法を調整可能に構成されている請求項1に記載の水田用除草装置。
【請求項3】
前記喫水調整機構は、前記フロートボディに対する空気の充填による容量調整によりフロートボディの浮力を調整可能に構成されている請求項1または2に記載の水田用除草装置。
【請求項4】
前記フロートボディは、複数に分割された浮体の組によって構成されており、
前記喫水調整機構は、前記複数に分割された浮体の装着数の増減によりフロートボディ全体の浮力を調整可能に構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の水田用除草装置。
【請求項5】
前記フロートボディは、前記スクリューを囲繞するように配置されることでスクリューの周囲に稲を倒すためのガード面を構成している請求項1~4のいずれか一項に記載の水田用除草装置。
【請求項6】
前記フロートボディは、前記ガード面の周縁部に、平面視において、当該フロートボディの下方から上方に向けて拡幅するように形成された斜面からなるそり形状部が設けられている請求項5に記載の水田用除草装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の水田用除草装置を用いて水田の除草をすることを特徴とする水田の除草方法。
【請求項8】
作物の苗が植えられ且つ水が張られた水田において栽培作物を作成する方法であって、
請求項1~6のいずれか一項に記載の水田用除草装置を稼働して除草をする除草工程を含むことを特徴とする栽培作物の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田の除草技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水田の泥を攪拌して泥幕を生じさせることにより、水面下の雑草の光合成を阻害して雑草の生育を防止または抑制するために、アイガモロボット等の水田用除草装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の装置は、条間方向に依存せずに作物間を走行可能とされるものの、板状の水掻きを備えた車輪にて推進する構造なので、例えば浅瀬に乗り上げた場合、スタックし易いという問題がある。
【0005】
特に、水田の水深が深い場合には水底の泥を攪拌できず、また、浅い場合には攪拌時の泥の抵抗が大きくなって水田用除草装置が進めなくなるという問題がある。そのため、水田の除草効果をより向上させる上で未だ改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、水田の除草効果をより向上させ得る水田用除草技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る水田用除草装置は、水に浮くフロートボディと、該フロートボディの下面から水中に張り出すスクリューと、を備え、前記フロートボディによって水に浮いた状態で、前記スクリューにより推進しつつ水田の水または泥を攪拌して泥を巻き上げ泥幕を生じさせ、その泥幕で水面下の雑草の光合成を阻害すること等により、雑草の生育を防止または抑制する水田用除草装置であって、当該水田用除草装置の喫水位置を上下させる喫水調整機構を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る水田用除草装置によれば、水田用除草装置の喫水位置を上下可能な喫水調整機構を有するので、これにより、水田の水深に合わせて、水深に応じた適切な撹拌動作が可能となる。そのため、除草効果をより向上させることができる。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る水田の除草方法は、本発明のうちのいずれか一の態様に係る水田用除草装置を用いて水田の除草をすることを特徴とする。
本発明の一態様に係る水田の除草方法によれば、本発明のうちのいずれか一の態様に係る水田用除草装置を用いて水田の除草をするので、水田の除草効果をより向上させることができる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る栽培作物の作成方法は、作物の苗が植えられ且つ水が張られた水田において栽培作物を作成する方法であって、本発明のうちのいずれか一の態様に係る水田用除草装置を稼働して除草をする除草工程を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る栽培作物の作成方法によれば、本発明のうちのいずれか一の態様に係る水田用除草装置を稼働して除草をするので、水田の除草効果をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
上述のように、本発明によれば、水田の除草効果をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一態様に係る水田用除草装置の第一実施形態を説明する斜視図であり、同図(a)は正面側の左側面上方から見た図、同図(b)は(a)の太陽光パネルを取り外した状態の図、同図(c)は(b)を背面側の左側面上方から見た図である。
【
図2】本発明の一態様に係る水田用除草装置の第一実施形態の説明図であり、同図(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【
図3】本発明の一態様に係る水田用除草装置の第一実施形態を説明する分解斜視図であり、同図(a)は正面側の左側面上方から見た図、(b)は背面側の左側面上方から見た図である。
【
図4】本発明の一態様に係る水田用除草装置の第一実施形態を説明する構成ブロック図である。
【
図5】第一実施形態に係る水田用除草装置のスクリュー推進機構を説明するための斜視断面図であり、同図では、要部を拡大して併せて図示している。
【
図6】第一実施形態に係る水田用除草装置のスクリュー推進機構を説明するための斜視断面図であり、同図では、要部を拡大して併せて図示している。
【
図7】第一実施形態に係る水田用除草装置のスクリュー推進機構におけるスクリューを説明する図であり、同図(a)は、スクリュー部分の拡大図、(b)は、上下に分割された状態を示す斜視図である。
【
図8】第一実施形態に係る水田用除草装置のスクリュー推進機構を説明する図であり、同図(a)は、底面部分の拡大図、(b)は側面部分の拡大図である。
【
図9】第一実施形態に係る水田用除草装置のスクリュー推進機構を説明するための要部の斜視図であり、同図では、チェーンカバーキャップをチェーンカバーから取り外した状態を示している。
【
図10】第一実施形態に係る水田用除草装置のスクリュー推進機構を説明する底面図であり、同図(a)は一対のスクリュー相互を同相とした例、(b)は一対のスクリュー相互を逆相とした例を示している。
【
図11】制御基板のシングルボードコンピュータが実行する駆動機構制御処理(直進駆動制御)を説明するフローチャートである。
【
図12】第一実施形態に係る水田用除草装置の機械室内の機器を冷却する冷却構造を説明するための要部の模式的断面図である。
【
図13】第一本実施形態に係る水田用除草装置の機械室内の機器を冷却する冷却構造を説明する斜視図であり、同図では、機械室周囲の支持パネルを透視した状態のイメージで示している。
【
図14】本発明の一態様に係る水田用除草装置の第一実施形態における喫水調整機構を説明する図((a)~(e))である。
【
図15】本発明の一態様に係る水田用除草装置の第二実施形態の説明図であり、同図(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【
図16】本発明の一態様に係る水田用除草装置の第二実施形態を説明する斜視図であり、同図(b)は正面側の左側面上方から見た図、同図(a)は(b)の太陽光パネルを取り外した状態の要部拡大図であって一部を破断して図示している。
【
図17】第二実施形態の喫水調整機構を説明する図である。
【
図18】第二実施形態の喫水調整機構による喫水位置の上下動作を説明する図((a)、(b))である。
【
図19】第二実施形態の喫水調整機構の構成例および同構成例による喫水位置の上下動作を説明する図((a)、(b))である。
【
図20】第二実施形態の喫水調整機構の構成例および同構成例による喫水位置の上下動作を説明する図((a)、(b))である。
【
図21】第二実施形態の喫水調整機構の構成例および同構成例による喫水位置の上下動作を説明する図((a)、(b))である。
【
図22】第二実施形態の喫水調整機構の構成例および同構成例による喫水位置の上下動作を説明する図((a)、(b))である。
【
図23】第二実施形態の喫水調整機構の構成例および同構成例による喫水位置の上下動作を説明する図((a)、(b))である。
【
図24】第二実施形態の喫水調整機構の構成例および同構成例による喫水位置の上下動作を説明する図((a)、(b))である。
【
図25】第二実施形態での稲を倒すガード面を説明する図であり、同図(a)は底面図、(b)はガード面が稲を倒す前の状態を示し、(c)はガード面が稲を倒した後の状態を示している。
【
図26】第二実施形態でのガード面周囲に設けたそり形状部の作用を説明する図である。
【
図27】第一実施形態に係る水田用除草装置において、太陽光パネルの電力取り出し口を設けた変形例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0014】
本実施形態の水田用除草装置は、例えば、代掻きから田植え後の1カ月程度の期間使用されるものであり、
図1および
図2に示すように、この水田用除草装置100は、略矩形枠状のフロートボディ10と、フロートボディ10の上面に設けられた樹脂製のベース板20と、ベース板20の上方に、四隅のポスト22を介して離隔配置された太陽光パネル80と、ベース板20の上面中央部に設けられた機械室30と、機械室30の下部に設けられたスクリュー推進機構40と、ベース板20の上面に設けられた、GPS等の測位/方位センサ装置90と、を備える。
【0015】
図3および
図4に示すように、機械室30には、制御基板50と、一対の駆動モータ48L、48Rと、バッテリ60と、チャージコントローラ70と、が必要な回線を介して接続された状態で配置されている。機械室30の周囲は、4枚の支持パネル32によって覆われており、内部が保護されている。
【0016】
スクリュー推進機構40は、
図2(c)に示すように、左右同一形状の一対のスクリュー41L、41Rを備えるとともに、
図4および
図5に示すように、一対のスクリュー41L、41Rを駆動する駆動機構を構成する、駆動モータ48L、48Rおよびチェーン47L、47Rとを備える。
【0017】
各スクリュー41L、41Rは、
図7に示すように、両端が回転自在に軸支された円筒状の本体部42L、42Rと、本体部42L、42Rの外周面に軸方向に離隔して螺旋状に突設された複数条のフィン43と、を有する。一対のスクリュー41L、41R相互の本体部42L、42Rの軸線は、
図8および
図9に示すように、左右に相互の軸線を並行にして併設配置され、また、水中側に突設するように配置されている。
【0018】
ここで、本実施形態の水田用除草装置100は、
図4に示すように、太陽光パネル80で発電した電力により、左右一対のスクリューそれぞれの駆動モータ48L、48Rを回転させる。駆動モータ48L、48Rの回転は、上記チェーン47L、47Rを介して左右一対のスクリュー41L、41Rに伝達される。
【0019】
水田用除草装置100の進行方向は、制御基板50に実装されたシングルボードコンピュータ(例えばRaspberry Pi)から指令しており、その指令値は、測位/方位センサ装置90で計測した水田用除草装置100自身の位置、方向の情報からシングルボードコンピュータが演算している。
【0020】
本実施形態の水田用除草装置100は、測位/方位センサ装置90で自身の位置情報を取得し、制御基板50のシングルボードコンピュータは、水田の全面を移動するように航行制御する。本実施形態の水田用除草装置100では、シングルボードコンピュータは、自身の現在位置等の動作情報を無線通信によって管理者のスマートフォン300に通知する。
【0021】
本実施形態の水田用除草装置100では、予め、水田の4隅などの所定の位置情報(緯度/経度)を、シングルボードコンピュータが実行する所定の航行プログラムに入力しておくことで、水田用除草装置が圃場を満遍なく動くコースを自動航行可能に構成されている。
【0022】
左右一対のスクリュー41L、41Rは、シングルボードコンピュータが実行する所定の航行プログラムに基づき、一対のスクリュー41L、41R相互の回転量制御および回転方向が制御され、これにより、本実施形態の水田用除草装置100は、2個のスクリュー41L、41Rの回転量制御および回転方向制御により、直進、左右回転、後進が可能になっている。
【0023】
以上説明したように、本実施形態の水田用除草装置100は、太陽光パネル80で発電し、水田に浮いて自動航行する。本実施形態の水田用除草装置100によれば、フロートボディ10によって浮いた状態で、一対のスクリュー41L、41Rにて推進するので、稲を避けなくても稲にダメージを与えずに航行できる。本実施形態の水田用除草装置100は、水田に浮いていることで、電力消費量が少なく、電池容量を小さく抑えることができる。
【0024】
以下、本実施形態の水田用除草装置100に採用されている技術について、より詳しく説明する。
【0025】
[技術1] 水田用除草装置の駆動機構
第一実施形態の水田用除草装置100は、上述のように、水上に位置する駆動モータ48L、48Rの回転を水中に位置するスクリュー41L、41Rにチェーン47L、47Rを介して伝達して推進する。
このような駆動機構において、回転軸に軸シール部を設けると、回転軸の軸シール部で駆動抵抗が発生する。また、長期に亘って使用しない場合、軸シール部のさび付き等で動かなくなるおそれがある。
【0026】
これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、
図5に示すように、水面下の回転部(スクリュー41L、41R)は、水上に位置する駆動モータ48L、48Rの回転をチェーン47L、47Rを介して水中に位置するスクリュー41L、41Rに伝達して推進するように構成されている。
そして、水面上回転部(駆動モータ48L、48R)に対しては、チェーン47L、47Rの部分を覆うように、筐体となるフロートボディ10の外からの水はねを防ぐカバー49がそれぞれ設けられている。
【0027】
第一実施形態の水田用除草装置100の駆動機構によれば、水上に位置する駆動モータ48L、48Rの回転を、チェーン47L、47Rを介して水中に位置するスクリュー41L、41Rに伝達して推進可能である。
そのため、水面下回転部(スクリュー41L、41R)には、電気部品を配置しないことにより軸シールが不要である。さらに、水面上回転部(駆動モータ48L、48R)には、フロートボディ10の外からの水はねを防ぐカバー49が設けられているので、回転軸の軸シールを不要とすることができる。
【0028】
これにより、第一実施形態の水田用除草装置100の駆動機構によれば、回転軸に軸シール部を設けていないので、軸シール部により駆動抵抗が生じることがない。そのため、駆動抵抗を低減できるとともに、長期に亘って使用しない場合であっても、軸シール部のさび付き等の懸念もないため、耐久性を向上させることができる。そのため、稼動効率をより向上させ、除草効果をより向上させることができる。また、メンテナンス労力を低減できる。
【0029】
[技術2] 水田用除草装置の駆動構造
第一実施形態の水田用除草装置100は、
図4および
図5に示したように、駆動モータ48L、48Rの回転をチェーン47L、47Rを介してスクリュー41L、41Rに伝達する。チェーン駆動であると、チェーン47L、47Rに雑草などが絡まるので、チェーン47L、47Rを覆うチェーンカバー45が必要となる。
【0030】
しかし、チェーンカバー45を単にチェーン47L、47Rを覆うように設けると、水や泥がチェーンカバー45内に溜まって駆動抵抗が増し、稼動効率が低下するという問題がある。また、万一、チェーンカバー45内にゴミが入った場合に、ゴミを取り除くのが困難という問題がある。
【0031】
これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、駆動モータ48L、48Rの回転をチェーン47L、47Rを介してスクリュー41L、41Rに伝達する構造において、
図3、
図6および
図9に示すように、チェーン47L、47Rを覆うチェーンカバー45を備えている。
チェーンカバー45には、チェーンカバー45の下面に水抜きおよび泥抜き可能な穴45hが設けられるとともに、チェーンカバーキャップ46をねじで着脱可能にすることにより、
図9に示すように、雑草などが詰まった際に取り除くことができる点検口Sが設けられている。
【0032】
第一実施形態の水田用除草装置100によれば、チェーンカバー45の下面に水抜きおよび泥抜き可能な穴45hを設けているので、チェーンカバー45内への水や泥の溜まりによる駆動抵抗の上昇を防止または抑制できる。
【0033】
さらに、第一実施形態の水田用除草装置100によれば、チェーンカバーキャップ46をねじで着脱可能に構成することにより、チェーン47L、47Rの点検口Sをチェーンカバー45に設けているので、雑草などがチェーンカバー45の内部に詰まった際に、これを取り除く時間を短縮できる。これにより、駆動抵抗低減の防止または抑制により稼動効率をより向上させ、除草効果をより向上させることができる。また、メンテナンス労力を低減できる。
【0034】
[技術3] 水田用除草装置のスクリュー推進機構
第一実施形態の水田用除草装置100は、フロートボディ10によって水に浮いた状態で水田に投入され、水中の一対のスクリュー41L、41Rにより推進する。ここで、各スクリュー41L、41Rを単に中実構造にすると、重量の増大により駆動時の回転抵抗が大きくなるという問題がある。
【0035】
一方、スクリュー41L、41R内に空洞を設けた中空構造にすると、スクリュー41L、41Rの軽量化はできるものの、空洞内に水が浸入すると、左右のスクリュー41L、41R相互のバランスを崩して制御が困難になるおそれがある。そのため、更に、密閉するためのシール構造が必要になるという問題がある。
【0036】
これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、
図6および
図7(b)に示すように、各スクリュー41L、41R内に空洞を設けた中空構造とし、さらに、各スクリュー41L、41Rの空洞中に、
図6に示す、空洞部分を満たすように円筒状の発泡材44が挿入されている。
【0037】
第一実施形態の水田用除草装置のスクリュー推進機構によれば、各スクリュー41L、41Rの空洞中に空洞部分を満たすように発泡材44が挿入されているので、密閉するためのシール構造が不要であり、挿入されている発泡材44により空洞内への水の浸入を防ぐことができる。
【0038】
そして、このような発泡材44を挿入したスクリュー推進機構であれば、シール構造と比較して廉価なので、製品のコストを低減できる上、制御不能(=除草効果低下)のリスクをも低減できる。そのため、稼動効率をより向上させ、除草効果をより向上させることができる。また、製品コストを低減するとともに、制御不能となるリスクを低減できるので、メンテナンス労力を低減できる。
【0039】
[技術4] 水田用除草装置のスクリュー推進機構
第一実施形態の水田用除草装置100は、水田に投入され、フロートボディ10によって水に浮いた状態で水中の一対のスクリュー41L、41Rにより推進する。しかし、効率的に推進するためには、水や泥の抵抗を低減する必要がある。
【0040】
これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、
図7に示すように、本体部42L、42Rの表面に対して、各フィン43の突設する高さTを5~10mm程度とすることで、泥に深く噛みこまず負荷を低減可能になっている。
また、第一実施形態の水田用除草装置100では、フィン43の数を複数条とすることで、負荷を分散して一部に負荷が集中することを回避している。さらに、第一実施形態の水田用除草装置100では、フィン43の数を偶数条(本実施形態では4条)とすることにより、形状を対称にして型数を半減している。
【0041】
なお、
図7(a)に示すように、スクリュー41L、41Rの本体部42L、42Rの支持部39等の軸方向前後端に、そり形状部41sをそれぞれ設けることにより、水/泥の抵抗をより低減するように構成することも好ましい。
【0042】
また、スクリュー41L、41Rの本体部42L、42Rの外形形状は、円筒状に限定されず、中央部の直径に対し、両端部分の直径を小さくした太鼓ないし俵型形状にすることは好ましい。これにより、水ないし泥の抵抗を低減することができる。第一実施形態の水田用除草装置100に、これらの構成を適宜組み合わせて、稼動効率をより向上させ、除草効果をより向上させることができる。また、コストを低減させることができる。
【0043】
[技術5] 水田用除草装置のスクリュー推進機構
水田用除草装置100のスクリュー推進機構としては、
図10に示すように、左右同相(同図(a))または逆相(同図(b))のスクリュー41L、41Rで推進するように構成できるところ、上述した
図2(c)、
図8(a)にも示したように、第一実施形態の水田用除草装置100では、一対のスクリュー41L、41Rは同相とされ、特に、本実施形態では、一対のスクリュー41L、41Rは同一形状とされている。
なお、ここでいう「同相」とは、本体部42L、42Rの外周面に螺旋状に突設されたフィン43のリード捩じれ方向が同じ方向であることをいい、「逆相」とは、本体部42L、42Rの外周面に螺旋状に突設されたフィン43のリード捩じれ方向が逆方向であることをいう。
【0044】
ただし、一対のスクリュー41L、41Rを同相にて構成する場合、同じ回転数であると同じ方向の水流が強く発生するため、直進できずに、曲がってしまうという問題がある。これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、
図11に示す、制御基板50のシングルボードコンピュータが実行する駆動機構制御処理により、左右一対のスクリュー41L、41Rが、相互の回転数に差を設けることで直進可能に構成されている。
【0045】
つまり、
図11に示すように、駆動機構制御処理が実行されると、ステップS1に移行して、実験によって予め格納されているデータを参照し、直進するための回転数の差の制御値を把握し、続くステップS2に移行して制御値に応じた回転数差を設定し、その設定値に応じた出力制御によって一対のスクリュー41L、41Rを駆動する。
【0046】
第一実施形態の水田用除草装置によれば、一対のスクリュー41L、41R相互を同一形状としたので、型費を削減(2個→1個)できる。また、左右のスクリュー41L、41Rが同じ方向に回転して進むので、浅瀬に乗り上げた場合は、横にスライドするように移動して浅瀬から脱出できる(逆相の場合は、横スライドせず、浅瀬を回避できない。)。これにより、浅瀬の回避が可能となり、除草効果を向上させることができる。
【0047】
[技術6] 水田用除草装置の冷却構造
第一実施形態の水田用除草装置100は、水上に位置する駆動モータ48L、48Rの回転を、水中に位置するスクリュー41L、41Rに伝達して推進する。しかし、駆動モータ48L、48R、制御基板50、バッテリー60の消費電力による発熱で、駆動モータ48L、48R、制御基板50、バッテリー60の損失が増え、稼動効率が低下するという問題がある。発熱が過大な場合は、焼き付きなどの故障に至るおそれがある。
【0048】
これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、
図12および
図13に示すように、駆動モータ48L、48R、制御基板50、バッテリー60からの熱をベース板20に伝えるように、フロートボディ10の上面に配置されたベース板20をヒートシンクとしている。
【0049】
そして、フロートボディ10の上面に付設されてヒートシンクとして機能するベース板20は、スクリュー41L、41Rで巻き上げた水によって、ベース板20の裏面が冷却されるように配置されている。なお、
図12において、符号Wout,Winを付して示す矢印は、スクリュー41L、41Rで巻き上げた水の移動するイメージを示している。
【0050】
ここで、第一実施形態の水田用除草装置100の冷却構造において、駆動モータ48L、48R、制御基板50、バッテリー60に対して、直射日光が当たらないように太陽光パネル80によって上部が覆われているので好適である。なお更に、駆動モータ48L、48R、制御基板50、バッテリー60に対して、直射日光が当たらないように外装カバーを設けることは好ましい。
【0051】
第一実施形態の水田用除草装置100の冷却構造によれば、フロートボディ10の上面に付設されたヒートシンクとなるベース板20は、スクリュー41L、41Rで巻き上げた水によって裏面が冷却されるように配置されているので、スクリュー41L、41Rで巻き上げた水で冷やされたベース板20により、駆動モータ48L、48R、制御基板50、バッテリー60の冷却効率を上げることができる。
第一実施形態の水田用除草装置100によれば、駆動モータ48L、48R、制御基板50、バッテリー60の冷却により損失を抑えて、稼動効率をより向上させることができる。これにより、除草効果をより向上させることができる。
【0052】
[技術7] 水田用除草装置の喫水調整機構
第一実施形態の水田用除草装置100は、フロートボディ10によって水に浮いた状態で推進する。しかし、水田の水深が深い場合には水底の泥を攪拌できず、浅い場合には攪拌時の泥の抵抗が大きくなって水田用除草装置100が進めなくなるという問題がある。
これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、
図14に複数の例を示すように、水田の水深に合わせて水田用除草装置100の喫水位置を上下可能な喫水調整機構を有する。
【0053】
第一実施形態の水田用除草装置100においては、スクリュー推進機構40が、フロートボディ10に対して、上下に相対的にスライド移動できる喫水調整機構を装備しており、フロートボディ10とスクリュー41L、41Rとの相対高さ寸法を調整できる。相対高さ寸法の調整量としては、例えば50~150mm程度あることが好ましい。
【0054】
喫水調整機構の例として、例えば第一変形例としては、
図14(a)に示すように、フロートボディ10の上面とベース板20の下面との間に、喫水調整機構としてのスペーサ92Aを適宜に介装して、フロートボディ10とスクリュー41L、41Rとの相対高さ寸法を調整することができる。
【0055】
また、第二変形例として、同図(b)に示すように、ベース板20に装着されたねじ92Bを喫水調整機構として用い、ねじ92Bによる螺合の程度を変えることにより、ベース板20の下面からのねじ92Bのねじ部の張り出し量を調整して、フロートボディ10とスクリュー41L、41Rとの相対高さ寸法を調整することができる。
【0056】
また、第三変形例として、同図(c)に示すように、棒ねじ92nと、円環状のスペーサ92sと、により喫水調整機構92Cを構成して、ベース板20に装着された棒ねじ92nの螺合の程度や、スペーサ92sの厚みや挿入枚数を変えることにより、フロートボディ10とスクリュー41L、41Rとの相対高さ寸法を調整することができる。
【0057】
また、第四変形例として、同図(d)に示すように、フロートボディ10の上面とベース板20の下面との間に、円筒コイルばね等によるダンパ部材92Dを介装することにより、フロートボディ10とスクリュー41L、41Rとの相対高さ寸法を調整することができる。
【0058】
また、第五変形例として、同図(e)に示すように、段付きねじ92Eを用いて、段付きねじ92Eの段部に沿って上下方向でのスライド移動させる程度を変えることにより、フロートボディ10とスクリュー41L、41Rとの相対高さ寸法を調整することができる。
【0059】
喫水調整機構の他の構成としては、例えば、フロートボディ10を空気の充填によって拡縮可能な構成とし、このフロートボディ10に対して空気の充填量の増減による容量調整により、フロートボディ10の浮力を調整することができる(第六変形例)。
【0060】
また、例えば、フロートボディ10を複数に分割された浮体の組によって構成し、その分割された浮体の装着数量の増減による調整により、水田用除草装置100全体の浮力を調整することができる。よって、当該水田用除草装置100の喫水位置を上下させることができる。これにより、第一実施形態の水田用除草装置100によれば、除草効果をより向上させることができる(第七変形例)。
【0061】
以下、上述した喫水調整機構の構成について、
図15~
図26に示す第二実施形態を例にしてより詳しく説明する。
なお、第二実施形態は、外観の意匠は相違するものの、基本的構成要件は共通する機種である。そのため、上述した第一実施形態と同様若しくは対応する構成については同一の符号を付すとともにその説明は適宜省略する。
【0062】
図15および
図16に示すように、第二実施形態の水田用除草装置100では、フロートボディ10は、平面視が略正方形状の意匠を採用しており、その中央部分にスクリュー推進機構40が配置されている。
【0063】
ここで、第二実施形態の水田用除草装置100においても、上述した第一実施形態と同様若しくは対応する喫水調整機構が装備されているので、
図17および
図18に示すように、水深Wに応じた吃水Sの深さ調整(S1(最小)~S2(最大))が可能である。
【0064】
第二実施形態の水田用除草装置100における喫水調整機構では、上記第一実施形態の第一ないし第三変形例を適宜に組み合わせて喫水調整機構を構成した例を示す。
詳しくは、第二実施形態の水田用除草装置100における喫水調整機構において、
図19に示す喫水調整機構92Fでは、上記第一実施形態の第二および第三変形例を組み合わせる構成として、フロートボディ10の上面に立設する棒ねじ92aと、この棒ねじ92aの軸線に沿って上下にスライド移動可能に係合するとともにスクリュー推進機構40を支持する喫水調整板92bと、棒ねじに対して喫水調整板92bを所望に位置で固定するボルト・ナット92cと、を有する。喫水調整機構92Fによれば、およびボルト・ナット92cの組の棒ねじ92aの軸線上での固定位置によって、喫水調整板92bを上下することにより、フロートボディ10とスクリュー推進機構40との相対高さ寸法を調整する喫水調整機構を構成している。
【0065】
また、
図20に示す喫水調整機構92Gでは、上記第一実施形態の第一および第三変形例を組み合わせる構成として、喫水調整機構92F同様の、棒ねじ92aと、喫水調整板92bと、棒ねじ92aに挿通されるとともに、フロートボディ10の上面と喫水調整板92bの下面との間に介装されるスペーサ92dを備える。この喫水調整機構92Gでは、棒ねじ92aに挿通されるスペーサ92dを厚さの異なるものと入れ替える。
【0066】
つまり、同図(a)では相対的に厚いスペーサ92dが介装され、同図(b)では相対的に薄いスペーサ92dが介装される。そして、ボルト92cによって軸方向の拘束位置を保持することで、フロートボディ10とスクリュー推進機構40との相対高さ寸法を調整する喫水調整機構を構成している。
【0067】
また、
図21に示す喫水調整機構92Hでは、上記第一実施形態の第一変形例および第三変形例を組み合わせる構成として、棒ねじ92aに挿通されるスペーサ92dの介装数を調整する例である。つまり、同図(a)では相対的に多い数(例えば三枚)のスペーサ92dが介装され、同図(b)では相対的に少ない数(例えば二枚)のスペーサ92dが介装される。そして、ボルト92cによって軸方向の拘束位置を保持することで、フロートボディ10とスクリュー推進機構40との相対高さ寸法を調整する喫水調整機構を構成している。
【0068】
また、
図22に示す喫水調整機構92Jでは、上記第一実施形態の第三変形例および第四変形例を組み合わせる構成として、棒ねじ92aに挿通される円筒コイルバネで構成されるダンパ部材92eを、フロートボディ10の上面と喫水調整板92bの下面との間に介装している。そして、ボルト92cによって軸方向の拘束位置を保持することで、フロートボディ10とスクリュー推進機構40との相対高さ寸法を調整可能な喫水調整機構を構成している。
【0069】
さらに、フロートボディ10の浮力を調整する例としては、
図23に示すように、空気の充填による容量調整が可能なフロートボディ10を採用してもよい。同図の例では、例えば伸縮可能な蛇腹状のフロートを有し、空気の充填により蛇腹状フロートが伸長し(同図の符号L1)、空気を抜くことにより蛇腹状フロートが短縮する(同図の符号L2)。
【0070】
このような構成であれば、フロートボディ10に対する空気の充填による容量調整によりフロートボディの浮力を調整できる。これにより、フロートボディ10とスクリュー推進機構40との相対高さ寸法を調整する喫水調整機構を構成可能である。
また、
図24に示すように、フロートボディ10は、複数に分割された浮体の組によって構成してもよい。同図の例では、フロートボディは、本体部10と、本体部10の端部に着脱可能な調整部10Xと、によって構成されている。
複数に分割されたフロートボディ10の装着数量を加減する調整により(同図の例では、調整部10Xの着脱)、フロートボディ全体の浮力を調整することで、フロートボディ10とスクリュー推進機構40との相対高さ寸法を調整する喫水調整機構を構成できる。
【0071】
[技術8] 水田用除草装置のスクリュー推進機構
各実施形態の水田用除草装置100は、水田に投入されて、水に浮いた状態で水中の一対のスクリュー41L、41Rにより推進する。その際、フロートボディ10で水に浮いた状態で稲を避けずに一対のスクリュー41L、41Rで推進するので、稲をスクリュー41L、41Rで巻き込んでしまうと、収量が低下するおそれがある。
【0072】
これに対し、第一実施形態の水田用除草装置100は、
図8に網掛け部分として示すように、一対のスクリュー41L、41Rの周囲に、稲を倒すためのガード面10mを設けている。ガード面10mは浮き機能を兼用している。
稲が倒れた状態でスクリュー41L、41Rの下を通過するように、ガード面10mは、下記の領域に、少なくともその一部存在するように設けている(
図8(a)に示す二点鎖線の領域)。
【0073】
第一実施形態の水田用除草装置100では、ガード面10m(
図8の網掛け部分)を設定するに際し、スクリュー41L、41Rの左右側の幅t1は、幅方向に0~150mmの範囲に設けている。この例では、幅方向に150mmを確保するように設定されている。
【0074】
また、第一実施形態の水田用除草装置100では、ガード面10mを設定するに際し、スクリュー41L、41Rの前後側での幅t2は、スクリュー41L、41Rの支持部端面から、前後方向に0~150mmの範囲に設けている。この例では、前後方向に150mm以上となるように設定されている。
【0075】
また、各実施形態の水田用除草装置100では、ガード面10mは、稲を倒しやすいように、ガード面10mの周縁部に、フロートボディ10の下方から上方に向けて拡幅するように形成された斜面からなるそり形状部10sを設けている。
【0076】
ここで、
図25(a)に示すように、第二実施形態の水田用除草装置100では、フロートボディ10は、平面視が略正方形状であり、その中央部分にスクリュー推進機構40が配置されているので、スクリュー推進機構40周囲のガード面10mは、四方の幅がほぼ同一寸法とされている。これにより、同図(b)~(c)に示すように、第二実施形態の水田用除草装置100においても、稲が倒れた状態でスクリュー41L、41Rの下を通過することができる。
【0077】
また、
図26に示すように、第二実施形態の水田用除草装置100においても、ガード面10mの周縁部に、フロートボディ10の下方から上方に向けて拡幅するように形成された斜面からなるそり形状部10sを設ければ、水に浮いた状態で水中の一対のスクリュー41L、41Rにより推進する際、稲に傷を付けずに倒しやすい。
【0078】
このように、各実施形態の水田用除草装置100によれば、一対のスクリュー41L、41Rの周囲に、稲を倒すためのガード面10mを設けているので、水に浮いた状態で稲を避けずに一対のスクリュー41L、41Rで推進しても、稲がスクリュー41L、41Rに巻き込まれることが防止され、これにより、米の収量を増加させることができる。
【0079】
以上説明したように、各実施形態の水田用除草装置100によれば、水田の除草効果をより向上させることができる。なお、本発明に係る水田用除草装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
【0080】
例えば、透明な外装カバーの中に太陽光パネル80を配置してもよい。また、反射光を利用して発電効率を高めるように構成してもよい。
【0081】
また、例えば、各実施形態の水田用除草装置100は、田植え後、1か月程度は稼働するところ、稼働期間が1か月程度なので、残りの期間は水田用除草装置としての稼働はせずに利用できないという問題がある。
これに対し、
図27に示すように、太陽光パネル80の電力取り出し口82を設け、各実施形態の水田用除草装置100の非稼働期間において、太陽光発電電源として利用する(例えば、露地やビニールハウスの環境モニタの電源に利用する等)ことは好ましい。このような構成であれば、コストを低減する上で好適である。
【符号の説明】
【0082】
10 フロートボディ
20 ベース板(ヒートシンク)
22 ポスト
30 機械室
32 支持パネル
40 スクリュー推進機構
41L、41R スクリュー
42L、42R 本体部
43 フィン
44 発泡材
45 チェーンカバー
46 チェーンカバーキャップ
47L、47R チェーン
48L、48R 駆動モータ
49 カバー
50 制御基板(制御部)
60 バッテリー
70 チャージコントローラ
80 太陽光パネル
82 電力取り出し口
90 測位/方位センサ装置
92A~92J 喫水調整機構
100 水田用除草装置
200 除草管理システム
300 スマートフォン
F 圃場(水田)