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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】シェーカー
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/28 20060101AFI20221214BHJP
   A47J 43/27 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A47J43/28
A47J43/27
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022052863
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-05-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504136993
【氏名又は名称】独立行政法人国立病院機構
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】千葉 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】岡部 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】荒木 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】古澤 三千代
(72)【発明者】
【氏名】玉木 綾子
(72)【発明者】
【氏名】秋山 真美
(72)【発明者】
【氏名】寳崎 輝
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-088245(JP,U)
【文献】国際公開第2013/175288(WO,A1)
【文献】特開2000-229654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0221905(US,A1)
【文献】米国特許第06332704(US,B1)
【文献】登録実用新案第3172474(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 42/00-44/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の本体に対する蓋の開閉が自在であり、その内部空間に投入された材料の混合のために、閉状態で振り動作されるシェーカーであって、
閉状態での内圧上昇に伴い、前記内部空間を囲む部位に設けられた可逆変形部が変形して容量が増大するように構成してあり、
閉状態で前記内部空間に面するように配される計量手段を少なくとも前記本体以外の部位に一つは設けてあり、
前記蓋は、前記可逆変形部を有する外蓋と、前記計量手段を有する内蓋とを具備するシェーカー。
【請求項2】
前記内蓋は、閉状態で前記可逆変形部よりも前記本体に近い位置にあり、通気孔を有する請求項1に記載のシェーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、嚥下障害者に供する飲料等に適量のトロミ剤を混合するために用いて好適なシェーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
誤嚥防止等の目的で嚥下障害者の飲食物(水、茶、味噌汁等)にトロミを付ける場合、コップや吸い飲み等の容器内にそれぞれ計量した飲食物とトロミ剤とを投入し、スプーンでかき混ぜるのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の方法では、スプーンと飲食物等(飲食物及びトロミ剤)との接触面積が限られている上、激しくスプーンを動かすと飲食物等がこぼれてしまうので、飲食物とトロミ剤とが十分に混ざった状態になるまでに時間がかかる。そのため、かき混ぜが不十分になってダマや溶け残りが多くなりがちであり、それが誤嚥に繋がる懸念もある。
【0004】
そこで、トロミ付け作業にシェーカーを用いることが考えられる。シェーカーに飲食物等を投入し、蓋をした状態で振り動作を行えば、飲食物等がこぼれる心配をすることなくその全体を激しく動かすことも可能であり、作業時間の縮減を期待できる。
【0005】
しかし、シェーカーを用いる方法について本発明者らが検討したところ、飲食物が高温の場合、振り動作後にシェーカーの蓋を開けると中身が噴き出すという現象が生じることが分かった。この現象は、シェーカー内の空気が飲食物の熱によって温められ、熱膨張により内圧が高まることに原因があると考えられる。
【0006】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、トロミ付け作業のような混合作業を迅速に行えるものでありながら、その混合対象が高温の場合でも噴き出し現象の発生を抑えることができ、さらには混合に使用する器具等を減らしてその準備や後片付け作業の省力化にも資するシェーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るシェーカーは、中空の本体に対する蓋の開閉が自在であり、その内部空間に投入された材料の混合のために、閉状態で振り動作されるシェーカーであって、閉状態での内圧上昇に伴い、前記内部空間を囲む部位に設けられた可逆変形部が変形して容量が増大するように構成してあり、閉状態で前記内部空間に面するように配される計量手段を少なくとも前記本体以外の部位に一つは設けてあり、前記蓋は、前記可逆変形部を有する外蓋と、前記計量手段を有する内蓋とを具備する(請求項1)。
【0008】
【0009】
上記シェーカーにおいて、前記内蓋は、閉状態で前記可逆変形部よりも前記本体に近い位置にあり、通気孔を有していてもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、トロミ付け作業のような混合作業を迅速に行えるものでありながら、その混合対象が高温の場合でも噴き出し現象の発生を抑えることができ、さらには混合に使用する器具等を減らしてその準備や後片付け作業の省力化にも資するシェーカーが得られる。
【0011】
すなわち、本願の各請求項に係る発明のシェーカーでは、混合対象をその内部に投入して振り動作することにより、混合作業を迅速に行える。また、内部に投入した材料が高温の場合、振り動作によって温められた空気が熱膨張して内圧が高まると、可逆変形部が変形して容量が増大し、これにより内圧が低下するので、噴き出し現象の発生を抑制することができる。さらに、トロミ剤等の計量を計量手段によって行えるので、別の計量スプーン等が不要となり、それだけ混合に必要な器具等が減るのでその準備や後片付け作業の省力化をも図ることができる。
【0012】
本願の各請求項に係る発明のシェーカーでは、可逆変形部を外蓋に設けるので、可逆変形部の変形が他の部材等によって阻害され難くするのが容易であり、つまりは噴き出し現象発生防止の確実化を図ることができる。また、内蓋に計量手段を設けるので、この計量手段を閉状態でシェーカーの内部空間に面するように配するのが容易である上、閉状態で計量手段が本体の内側空間に向くようにしておくことにより、計量手段によって計量した混合対象の一部が計量手段の表面等に残留していても、振り動作に伴う混合対象の接触を受けて他の混合対象に混合されることになるので、より良好な混合の実現が確実化する。
【0013】
請求項2に係る発明のシェーカーでは、閉状態で可逆変形部よりも本体に近い位置にある内蓋に通気孔を設けるので、本体内で高温の混合対象によって温められ熱膨張した空気を外蓋側に確実に逃がすことができ、内圧の上昇による噴き出し現象の発生防止を図ることができる。また、本体側から外蓋側に逃げた空気は、本体内にある高温の混合対象の接触を受け難くなる一方、外気に接する外蓋によって多少は冷却されるのであり、内圧が高まり変形した状態の可逆変形部はそれだけ外気に接する面積が大きくなり冷却効率が高まるので、内圧の最大値の低減化をも期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るシェーカーの斜視図であり、(A)は可逆変形部が折畳み状態にあるとき、(B)は展開状態にあるときを示す。
図2】前記シェーカーの構成を模式的に示す縦断面図である。
図3】(A)は前記シェーカーの斜視図、(B)は外蓋を外した状態の前記シェーカーの部分拡大分解斜視図、(C)は内蓋の斜視図、(D)は内蓋の底面図、(E)は本体の斜視図、(F)は本体の正面図である。
図4】(A)は外蓋の基部と内蓋の接続部との接続構造の一例を示す説明図、(B)及び(C)はそれぞれ前記接続構造の他の例を示す説明図である。
図5】(A)は前記シェーカーの模式図、(B)~(D)はそれぞれ前記シェーカーの変形例の模式図である。
図6】(A)~(D)は前記内蓋の変形例を示す斜視図、平面図、正面図及び底面図である。
図7】(A)~(D)は前記内蓋の変形例を示す斜視図、平面図、正面図及び底面図である。
図8】(A)及び(B)は前記内蓋の変形例を示す斜視図及び底面図である。
図9】(A)及び(B)は前記内蓋の変形例を示す斜視図及び底面図である。
図10】(A)及び(C)は本発明の変形例に係るシェーカーの本体及び内蓋の斜視図、(B)はこれらを組み合わせた状態の斜視図である。
図11】(A)及び(B)は本発明の変形例に係るシェーカーの斜視図及び内蓋の正面図である。
図12】(A)及び(B)は前記内蓋の変形例を示す上側及び下側からみた斜視図である。
図13】(A)及び(B)は前記内蓋の変形例を示す上側及び下側からみた斜視図である。
図14】(A)及び(C)は本発明の変形例に係るシェーカーの本体及び内蓋の斜視図、(B)はこれらを組み合わせた状態の斜視図である。
図15】(A)及び(B)は本発明の変形例に係るシェーカーの斜視図及び内蓋の正面図である。
図16】(A)及び(B)は本発明の変形例に係るシェーカーの斜視図及び正面図である。
図17】(A)~(C)は、前記本体の下部を拡大して示す説明図、底面側からの斜視図及び底面図である。
図18】(A)~(E)は、前記外蓋の平面図、正面図、底面図、斜視図及び部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0016】
図1(A)及び(B)に示すシェーカーSは、有底筒状で中空の本体1(図3(E)及び(F)も参照)と、本体1に対する開閉(口部1aに対する着脱)が自在な蓋2とを具備し、その内部空間に投入された材料(混合対象)の混合のために、閉状態(蓋2を閉めた状態)で振り動作され、閉状態での内圧上昇に伴い、前記内部空間を囲む部位に設けられた可逆変形部10が変形して容量が増大するように構成したものである。
【0017】
シェーカーSの内部空間に投入する材料(混合対象)としては、例えば、飲食物(水、茶、味噌汁等)と、これにトロミを付けるためのトロミ剤とを挙げることができるが、これに限らず、本例のシェーカーSは、種々の材料を混合可能である。
【0018】
図1(A)及び(B)に示すように、本体1の側壁には、本体1内に投入された材料を計量するための計量目盛(計量手段)3を設けてあり、図示例では、50~300mlを示す目盛が50ml間隔で設けてある。なお、本例の本体1は、透明または半透明の樹脂等の材料で成形し、その側壁外面に計量目盛3を設けているが、これに限らず、例えば本体1を不透明な材料で成形し、計量目盛3を側壁内面に設けてもよい。
【0019】
図1(A)及び(B)、図3(E)及び(F)に示すように、本体1にはまた、その側壁外面の上部から側方に突出し下向きに延びる把手4を設けてある。この把手4は、例えば物を掴んだり握ったりといった手の動作に多少の不自由を感じる人でも握り易くなるように太めにしてあり、かつ、手のひら全体で支持できるくらいの長さにしてある。具体的には、把手4の長さL(図3(F)参照)を70~80mmとしてある。ここで、長さLは、把手4の基端部下面の最も高い位置から把手4の下端までの距離を指す。また、把手4の最も太い部分4aの厚みT(図3(F)参照)を10~15mm、幅W(図3(E)参照)を15~20mmとし、この最も太い部分4aが把手4の長さLのおよそ半分以上の範囲にわたって上下に連続して延びるようにしてある。
【0020】
しかも、把手4の下部(最も太い部分4aよりも下方の部分)4bは、図3(F)に示すように、下側ほど本体1の側壁外面から離間するように延びているので、把手4と本体1の側壁外面との間に手を入れて把手4を握る動作が行い易くなっている。
【0021】
ここで、本体1に投入された材料が例えば氷点下以下の低温や80℃以上の高温であると、本体1の側面(側壁外面)を手で持った際、その材料の冷たさや熱さが手に伝わり、本体1を持った者に苦痛を与える恐れがあるが、本例のシェーカーSでは、熱が比較的伝わり難い把手4を持つことにより、そうした苦痛を回避・軽減することができる。
【0022】
図1(A)及び(B)、図3(A)、(E)及び(F)に示すように、本体1の下部には、その全周にわたって本体1の側方にフランジ状に例えば10~15mm程度張り出す張出部5を設けてある。この張出部5は、図2に示すように、外側ほど下方に位置するように傾斜し、張出部5の下端は本体1の底面よりも下方に位置する。
【0023】
このように本体1の下部に張出部5を設けたことにより、テーブル等に置いた本体1が転倒し難くなる利点が得られる。
【0024】
さらに、張出部5がいわゆる切り高台として機能するように、張出部5の接地部分(下面)に張出部5の外側から内側に至る溝6(図17(A)~(C)参照)を設けてあるので、高温の混合対象を投入した状態でテーブルに置いた本体1が、張出部5とテーブルの間に密封された空気の膨張等の影響でテーブル上を滑るように動くことを防止することができる。なお、溝6の数は複数でも単数でもよく、複数の場合は、張出部5の周方向に等間隔に溝6を配することが考えられる。図示例では、張出部5の周方向に等間隔に三つの溝6を配し、本体1が3点(三つの脚)で立つようにしたことにより、その姿勢安定性を高めてある。
【0025】
一方、蓋2は、図1(A)及び(B)、図2に示すように、外蓋7と内蓋8とを具備する。
【0026】
外蓋7は、蒸気、湯、洗剤等に長期間晒されても劣化しにくい耐久性、耐摩耗性と弾性とを有する材料(例えばシリコーンゴム等)で成形されていて、図18(A)~(E)に示すように、略円筒状の基部9と、この基部9に連なる可逆変形部10と、この可逆変形部10に連なる略円盤状の天部11とを有する。
【0027】
可逆変形部10は、図18(E)に示すように、薄肉部10aを介して複数の壁片10bを連ね、各壁片10bが交互に内外に折り曲がることにより、図1(A)に示す折り畳み状態と同図(B)に示す展開状態とに可逆変形可能に構成してある。
【0028】
内蓋8は、図3(D)に示すように、平面視略円形状を呈し、図3(A)に示すように、本体1の上部にある口部1a(図3(E)参照)を塞いだ閉状態では、本体1の上部(口部1a)よりも全周にわたって側方に張り出すように構成してある。
【0029】
内蓋8はまた、図3(B)に示すように、その周縁部から上方に突出する環状の接続部12を有し、この接続部12に外蓋7の基部9が着脱自在に接続される。この接続構造は適宜に構成すればよいが、例えば、図4(A)に示すように、基部9の下部内側にその周方向に連続して又は断続して延びるフック9aを設ける一方、接続部12の外周面上部に環状突起12aを形成し、基部9を接続部12に対して外嵌可能とし、外嵌時には各々のガイド面9b、12bにより相互にガイドされてフック9aが環状突起12aに係合するように構成することが考えられる(図4(B)参照)。
【0030】
一方、基部9の下部外側には、内蓋8よりも側(外)方に突出するフランジ9cを設けてあり、このフランジ9cを引き上げ操作することにより、内蓋8からの外蓋7の取り外しを容易に行える。ここで、図4(A)に示すように、フランジ9cはフック9aよりもやや上方にあり、上下方向にみて、フック9aの上部にフランジ9cの下部がオーバーラップするように構成してある。斯かる構成により、基部9における上記オーバーラップ部分は拡径し難くなっているので、図4(B)に示すように環状突起12aにフック9aを係合させると、この係合は容易に解除されず、外蓋7が内蓋8から不意に外れてしまうことの防止を図ることができる。
【0031】
なお、基部9を接続部12に対して外嵌可能ではなく内嵌可能とするようにしてもよい。また、図4の例では、基部9の下部においてフック9a及びフランジ9cを除いた部分をストレート状に成形してあるが、これに限らず、例えば、同部分を成形時に下向きに拡径あるいは縮径させたり、外嵌時に弾性変形により拡径するように構成したりしてもよい。その他、フック9a及び環状突起12aの代わりに、例えば相互に嵌合する凹凸構造等を設けるようにしてもよい。
【0032】
内蓋8はさらに、図2に示すように、本体1の口部1aを閉じる(塞ぐ)際にその周縁部の下面が口部1aに当接するのであり、この当接部分の内周側には、口部1a内に嵌入する略円筒状の嵌入部13(図3(B)~(D)参照)を有し、嵌入部13の外周面には、図2に示すパッキン14が着脱自在に装着される環状溝15が形成されている。このパッキン14は、蒸気、湯、洗剤等に長期間晒されても劣化しにくい耐久性や耐摩耗性を有するシリコーンゴム等の材料で成形してあるのが好ましい。
【0033】
なお、本例では、図3(B)及び(C)に示すように、嵌入部13において環状溝15よりも先端側の部位に切欠き13aを設け、環状溝15に装着したパッキン14を容易に取り外せるようにしてある。
【0034】
一方、内蓋8の周縁部下面における前記当接部分の外周側の相互に180°離れた二か所には、図3(C)及び(D)に示すようにL型爪16を形成してあり、嵌入部13を本体1の口部1a内に挿入した状態で内蓋8をその軸回りに回転させることにより、二つのL型爪16を本体1の側壁外面上部の二つの係合用突起17(図3(E)及び(F)参照)にそれぞれ係合させる(ロックする)ことができる。この状態では、内蓋8が本体1に密着した閉状態となる。なお、図3(C)及び(D)に示すように、内蓋8の周縁部側面においてL型爪16と位相が90°ずれた位置に計二つの回転操作用突起8aを設けてあり、これらに手指を引っ掛けることにより、内蓋8の回転操作が容易となるのであり、そのため、回転操作用突起8aは適宜の大きさ(例えば外蓋7よりも側方に突出する大きさ)とするのが好ましい。
【0035】
ここで、図3(B)及び(E)に示すように、各係合用突起17にはL型爪16よりも縦(上下)方向に長いストッパ部17aを設けてあり、L型爪16がストッパ部17aに当接すると内蓋8はそれ以上の回転が不能となり、これによりユーザーは係合完了を認識できる。また、ストッパ部17aの上部には、本体1の外周面に沿って周方向に延びる先細の案内部17bを設けてあり、これによりL型爪16を係合用突起17に係合させ易くしてある。
【0036】
そして、内蓋8は、嵌入部13よりも内側に計量手段としての複数(図示例では三つ)の凹入部18を有し、凹入部18は、計量の際に内蓋8の周縁部下面を上向きにした計量可能状態(図3(C)に示す状態であり、図3(B)に示す状態とは上下逆の状態)で用いる。
【0037】
詳述すると、図3(C)及び(D)に示すように、内蓋8における嵌入部13の内側の空間を嵌入部13(内蓋8)の中心から3方に放射状に延びる仕切り壁19によって3分し、このように分割した各空間における内蓋8の中央寄りの位置にそれぞれ凹入部18を設けてある。そして、計三つの凹入部18は相互に大きさが異なり、図3(D)に「2.5」の記載のある空間に設けた凹入部18(以下、他の二つの凹入部18と区別する場合、凹入部18Aともいう)が最も小さく、「5」の記載のある空間に設けた凹入部18(以下、凹入部18Bともいう)がその次に小さく、「10」の記載のある空間に設けた凹入部18(以下、凹入部18Cともいう)が最も大きい。
【0038】
具体的には、図3(D)に示すように、三つの凹入部18はそれぞれ中心角が120度の底面視(平面視)略扇形状を呈し、凹入部18Aと凹入部18Bとは扇形の半径が略同一で凹入部18Bを凹入部18Aよりも深く(凹入部18Aを凹入部18Bの約80%の深さに)してある(図3(B)参照)。また、凹入部18Bと凹入部18Cとは深さが同一で凹入部18Cの扇形の半径をより長くしてある。
【0039】
すなわち、本例の内蓋8では、凹入部18A~18Cにより2.5ml、5ml及び10mlの3種の計量を行うことができるようにしてあり、これにより計量作業の容易化及び迅速化を図ることができる。そして、3種の計量をそれぞれ正確に行えるように、凹入部18A~18Cの計量面(開口)よりも高さのある仕切り壁19を凹入部18A~18Cの境界位置に設け、投入対象としない凹入部18への混合対象(材料)の投入防止を図っている。なお、図3(C)に示すように、仕切り壁19の高さは嵌入部13の半分程度としてあるが、これに限らず、例えば嵌入部13と同一高さとなるように構成してもよい。
【0040】
また、図3(B)に示すように、凹入部18A~Cよりも接続部12を上方に突出させ、その天面(図3(C)に示す計量可能状態では底面となる)を平らにしてあるので、図3(C)に示す計量可能状態の内蓋8を安定性良くテーブル等の水平面上に載置可能となっている。
【0041】
さらに、図3(D)に示すように、凹入部18A~18Cの各角を丸めてあることにより、洗浄性の向上を図っている。
【0042】
以上の構成を有する蓋2では、環状溝15にパッキン14が装着された状態の嵌入部13を本体1の口部1aに嵌入し、この状態で内蓋8を軸回りに回転させてL型爪16を係合用突起17に係合させることにより、本体1の口部1aに内蓋8を取り付けることができ、内蓋8の接続部12に外蓋7の基部9を接続することにより、内蓋8に外蓋7を取り付けることができるのであり、口部1aに内蓋8を取り付け、内蓋8に外蓋7を取り付けたロック状態では、外蓋7及び内蓋8により構成される蓋2で口部1aを塞ぐことができ、この状態で本体1内の材料(混合対象)が漏れることはない。そのため、このロック状態では、把手4を持って片手でシェーカーSをシェークすることができる。
【0043】
そして、図2図3(B)及び(D)に示すように、内蓋8の適宜の位置(本例では、内蓋8において嵌入部13と仕切り壁19によって囲まれ、凹入部18Aが位置する領域)に、内蓋8を上下方向に貫く貫通孔である通気孔20を設けてある。
【0044】
ここで、本体1に高温の材料を投入した状態で口部1aを蓋2で塞ぎ、この閉状態でシェーカーSの振り動作を行うと、シェーカーS内の空気が高温の材料と接触して加熱され、熱膨張するのであり、これに伴い、シェーカーSの内圧が上昇すると、蓋2を外したときに中身(混合対象)が噴き出す現象が生じる恐れがある。また、シェーカーS内の空気の温度低下により、本体1の内圧が低下すると、蓋2が本体1に貼り付いたような状態となり、蓋2を外し難くなる現象が生じる恐れもある。
【0045】
しかし、上記のような可逆変形部10及び通気孔20を設ける本例のシェーカーSでは、上記振り動作を行う際に、図1(A)に示すように、可逆変形部10を折り畳んだ状態にしておくことにより、シェーカーSの内圧が上昇すると、例えば図1(B)及び図2に示すように、可逆変形部10が変形(展開)して容量が増大するのであり、これにより、内圧上昇を緩和ないし抑制させ、上記のような中身が噴き出す現象の発生防止を図ることができる。なお、図1(B)及び図2には、可逆変形部10が最大限展開した状態を示してあるが、可逆変形部10は常に最大限展開するわけではなく、シェーカーSの内圧上昇度合いが小さい場合には、可逆変形部10の展開度合いも小さくなるのはもちろんである。
【0046】
また、シェーカーSの内圧が上昇し、例えば図1(B)及び図2に示すように、可逆変形部10が変形(展開)して容量が増大した後、シェーカーS内の空気の温度低下により、本体1の内圧が低下した場合に、仮に可逆変形部10が展開した状態に維持されると、内圧低下により蓋2が本体1に貼り付いたような状態となり、蓋2を外し難くなるが、本例のシェーカーSでは、内圧低下に伴い、可逆変形部10も折り畳まれる(萎む)ように変形するのであり、これにより、内圧低下を緩和ないし抑制させ、上記のように蓋2が本体1に貼り付いたような状態となり、蓋2を外し難くなるといった現象の発生防止を図ることもできる。
【0047】
以上説明した本例のシェーカーSでは、混合対象をその内部に投入して閉状態で振り動作することにより、混合作業を迅速に行える。ここで、この振り動作の際、上記ロック状態にしてあれば把手4を用いて片手でシェークすることができるが、筋力等の関係で片手でのシェークが難しかったり、蓋2から手を離してシェークするのに不安を感じたりする場合は、例えば本体1下部からその側方に張り出す張出部5と、本体1上部からその側方に張り出す内蓋8の外縁部分とを持って相互に押し付けながらシェークしてもよく、いずれの場合も、シェーカーS内に投入された混合対象の熱が手に伝わりづらい。しかも、混合作業の完了後、L型爪16が係合用突起17に係合していない状態になっていれば、把手4を持ちながら内蓋8の外縁部分を押し上げることで、片手でも容易に蓋2(内蓋8)を開けることができる。
【0048】
また、シェーカーSでは、本体1の計量目盛3を利用して例えば味噌汁を計量し、蓋2(内蓋8)の凹入部18を利用して例えばトロミ剤を計量する、というように、本体1と蓋2とでそれぞれ別の材料を計量することにより、複数材料の適量での混合を行える。斯かる混合は、本体1と蓋2とのみで行えるので、使用する器具類を減らしてその準備や使用後の器具類の洗浄等の作業に掛かる労力を大幅に軽減することも可能である。
【0049】
さらに、シェーカーSでは、可逆変形部10を外蓋7に設けるので、可逆変形部10の変形が他の部材等によって阻害され難くするのが容易であり、つまりは噴き出し現象発生防止の確実化を図ることができる。
【0050】
その上、内蓋8に計量手段(凹入部18)を設けるので、この計量手段を閉状態でシェーカーSの内部空間に面するように配するのが容易であり、実際、閉状態で計量手段(凹入部18)が本体1の内側空間に向くようにしてあることにより、計量手段によって計量した材料の一部がその粘性の高さ等に起因して計量手段の表面等に残留していても、振り動作に伴う他の材料の接触を受けて混合されることになるので、より良好で迅速な混合の実現が確実化する。
【0051】
加えて、シェーカーSでは、閉状態で可逆変形部10よりも本体1に近い位置にある内蓋8に通気孔20を設けるので、本体1内で高温の混合対象によって温められ熱膨張した空気を外蓋7側に確実に逃がすことができ、内圧の上昇による噴き出し現象の発生防止を図ることができる。また、本体1側から外蓋7側に逃げた空気は、本体1内にある高温の混合対象の接触を受け難くなる一方、外気に接する外蓋7によって多少は冷却されるのであり、内圧が高まり変形した状態の可逆変形部10はそれだけ外気に接する面積が大きくなり冷却効率が高まるので、内圧の最大値の低減化をも期待することができる。
【0052】
また、シェーカーSでは、本体1に把手4を設けてあることにより、蓋2を開ければ(外せば)本体1をカップとしてそのまま利用(飲用)可能となる。
【0053】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0054】
図1(A)及び(B)に示す把手4では、軽量化と成形時の収縮変形防止のためにその左右両側の肉をぬすんであるが、肉のぬすむ位置等は適宜に変更可能であり、例えば肉をぬすまないようにしてもよい。また、把手4は、様々な形態をとらせることができ、その数も一つに限らず、二つ以上としてもよい。
【0055】
図5(A)のように模式的に示すことができる上記のシェーカーSは、本体1と、可逆変形部10を有する外蓋7と、計量手段としての凹入部18及び通気孔20を有する内蓋8とで構成してあるが、これに限らず、例えば図5(B)に示すように、内蓋8を無くし、内蓋8に設けてあった計量手段としての凹入部18を外蓋7の例えば天部11に設けるようにしてもよい。この場合、外蓋7が本体1に着脱自在な蓋2となるように構成すればよい。
【0056】
また、図5(B)の例では、可逆変形部10の存在によって天部11の面積が限定され、この天部11に設けることのできる凹入部18も小さくなる恐れがあり、この点が懸念される場合は、例えば図5(C)に示すように、外蓋7(蓋2)の側壁に上下方向に伸縮する蛇腹状の可逆変形部10を設け、天部11ひいては凹入部18の拡大を図ってもよい。
【0057】
また、図5(A)~(C)の例では可逆変形部10を蓋2側に設けているが、これに限らず、例えば図5(D)に示すように、可逆変形部10を本体1側に設けるようにしてもよい。但しこの場合、可逆変形部10を本体1の計量目盛3よりも上方に設け、計量目盛3による計量を阻害しないように構成してあるのが好ましい。
【0058】
図3(A)~(C)の例では、計量手段としての凹入部18を蓋2(内蓋8)に三つ設けてあるが、これに限らず、凹入部18を二つ以下としても四つ以上としてもよく、凹入部18の大きさも適宜変更可能である。また、複数の凹入部18を設ける場合、必ずしもこれらを蓋2(内蓋8)の中心まわりに周方向に並べる必要はなく、例えば一列その他の行列状に並べたり、千鳥状等に並べたりしてもよい。
【0059】
そして、計量手段としての例えば一つの凹入部18を設ける場合、図6(A)~(D)に示すように、計量手段として一つの凹入部18を蓋2(内蓋8)の中心に設け、この凹入部18の横断面は上(開口)側から下(奥)側に向かって段階的に小さくなるステップ状にしてもよい。なお、図6(A)~(C)に示す内蓋8では、外蓋7を接続するための接続部12の図示を省略してあり、この点は、後述の図7(A)~(C)についても同様である。
【0060】
すなわち、図6(A)~(D)に示す蓋2(内蓋8)は、計量の際には図6(A)、(C)に示す姿勢から上下逆さにした状態(計量可能状態)で用いるのであり、この際、凹入部18の最も下(奥)側の段部18aにより2.5mlの計量が可能であり、この段部18aとこれに連なる段部18bとを合わせて5mlの計量が、さらに三つの段部18a~18cを合わせて10mlの計量が可能となっている。
【0061】
もちろん、段部18a~18cの数は三つに限らず、二つ以下でも四つ以上でもよい(図7(A)~(D)には四つの段部18a~18dを設けた例を示してある)。また、図3(B)~(D)に示すように、二つ以上の凹入部18を設ける場合でも、任意の凹入部18をステップ状にし、より多種類の計量を可能とするようにしてもよい(図8(A)及び(B)には二つの凹入部18にそれぞれ二つの段部18a、18b及び段部18c、18dを設けた例を示してある)。
【0062】
また、上述したように、図3(B)~(D)に示す内蓋8は、図3(C)に示す計量可能状態で安定性良くテーブル等の水平面上に載置可能としてあり、図6(A)~(D)に示す蓋2(内蓋8)も同じく計量可能状態(図6(A)、(C)に示す姿勢から上下逆さにした状態)で安定性良く載置可能となるように、凹入部18の先端側の面に平面視十字リブ型の脚部21を設けている。そして、脚部21の形状、大きさや配置等は種々に変形可能であり、例えば図7(A)~(D)に示す例のように、脚部21が内蓋8の全体にわたって延びるようにしてもよい。
【0063】
凹入部18をステップ状にする場合、図6(A)、(C)、図7(A)、(C)に示すように、段部18a~18d自体に計量用の表記を設けてもよいが、これに限らず、例えば図9(A)や同図(B)に示すように、内蓋8の周縁部等に計量用の表記を設け、各表記と段部18a~18dとの関連性が分かるように、段部18a~18dの側面の見た目(例えば色、表面粗さや印刷等)と各表記とを関連付けるように構成してもよい。
【0064】
図1図3に示すシェーカーSでは、本体1の口部1aに対する蓋2(内蓋8)の着脱自在な取付けを嵌入部13による嵌入と係合用突起17に対するL型爪16の係合とによって行っているが、これに限らず、例えば、図10図13に示す各例のように、本体1の口部1aの外周面に設けた雄ねじ22(図10(A)参照)と、蓋2(内蓋8)の内周面に設けた雌ねじ23(図12(B)、図13(B)参照)とのねじ結合によって行ってもよいし、これとは逆に、例えば図14図15に示す各例のように、本体1の口部1aの内周面に設けた雌ねじ24(図14(A)参照)と、蓋2(内蓋8)の外周面に設けた雄ねじ25(図14(C)、図15(B)参照)とのねじ結合によって行ってもよく、この他、図16に示す例のように、蓋2(内蓋8)に一対のストッパ26を設け、蓋2(内蓋8)が本体1に着脱自在となるようにしてもよい。以下、図10図16の各例について補足説明する。
【0065】
図10(B)に示すシェーカーSは、図10(A)に示す本体1に同図(C)に示す内蓋8を装着したものであり、内蓋8には外蓋7を装着するための接続部12が設けられるが、分かり易さのために外蓋7及び接続部12の図示を省略してあり、この点は、図11図13も同様である。
【0066】
図10(C)の内蓋8は、本体1の口部1aの雄ねじ22に螺合する雌ねじ23(図12(B)、図13(B)参照)が設けられた略筒状の周縁部27を有する。そして、図10(B)に示すように内蓋8が本体1の口部1aを塞ぐ際に、周縁部27の下端27a(図10(C)参照)の下面が口部1aの下端に設けられた環状突起28(図10(A)参照)に当接するとともに、周縁部27の上部に設けられた内向きフランジ状の段部27b(図10(C)参照)の下面が口部1aの上端1b(図10(A)参照)に当接する。なお、この当接の際、口部1aまたは周縁部27のいずれか一方にパッキン等のシール部材を設けたり、口部1aの内周面に密着する外周面を有するシール構造を段部27b内に連設したりすることにより、水密性を確保できるように構成してあるのが好ましい。
【0067】
図3(B)~(D)に示す内蓋8は、各凹入部18を計量手段として構成しているが、図10(B)及び(C)に示す内蓋8では、凹入部18の天面29と側面30の一部とで挟まれる位置にある稜線31を真下に向けた状態(つまり凹入部18全体がやや傾いた状態)で凹入部18内に所定量の液状の材料を投入したときの液面位置を示す目盛線32を凹入部18の内面に設け、目盛線32と凹入部18とで計量手段を構成してある。但し、凹入部18に投入する材料は液状に限らず、例えば一般的なトロミ剤のような粉状のものでもよく、この場合も目盛線32による計量は可能である。なお、図示例では、三つの目盛線32を設け、三種類(1.00ml、3.00ml、4.00ml)を計量可能としてあるが、目盛線32を二つ以下としても四つ以上としてもよい。
【0068】
図10(B)及び(C)に示す内蓋8では、内蓋8を斜めにした状態(凹入部18の開口を斜め上向きにした状態)で材料(混合対象)の計量を行え、計量した材料を本体1に投入する際、内蓋8内の材料が本体1内に流れ落ちるように内蓋8を傾けるが、斜めの状態の内蓋8を傾ければよく、内蓋8が完全に真上を向いている状態(天面22全体が完全に真下を向いている状態)から傾ける場合に比べ、その傾けのための動作を小さくすることができ、つまりはこの傾け動作の前後にわたって内蓋8内面において材料が接触する面積が小さくなり、この接触面積の縮小は、内蓋8の内面に接触・付着してその場所(つまりは内蓋8内)に残存する材料の低減、ひいては材料の混合性の向上に資することになる。
【0069】
また、図10(C)に示す内蓋8では、同図(B)にも示すように、その上面において各目盛線32からみて稜線31と反対側の領域に通気孔20を配してあり、通気孔20は上蓋33により開閉自在に閉塞可能としてある。すなわち、図10(B)に示す本体1と内蓋8とを含むシェーカーSにより高温の材料を混合する場合には、上述した噴き出し現象の発生防止の観点から、通気孔20を上蓋33で塞がず内蓋8に外蓋7を接続した状態で振り動作を行うのが望ましいが、混合対象が高温ではなく噴き出し現象が発生しないと考えられる場合には、内蓋8に外蓋7を接続せず、通気孔20を上蓋33で塞いだ状態で振り動作を行うようにすることが可能となり、この場合、外蓋7を汚さなくて済む分、後始末に係る作業の省力化を図ることができる。また、この場合、上蓋33が開いた状態の通気孔20は、シェーカーS内の材料を直接飲むための飲み口や、ストローの挿し込み口としても利用可能である上、通気孔20は目盛線32を用いた計量時には各目盛線32よりも上方に位置しており、内蓋8で計量した混合対象を通気孔20から本体1に投入することも可能であり、この場合も内蓋8を少し傾けるだけで本体1への混合対象の投入を行える。なお、図10(C)に示すように、上蓋33は、可撓性を有するアーム34を介して内蓋8(凹入部18)の上面等の適宜の位置に連結固定してあり、これにより、上蓋33の紛失防止を図ることができる。
【0070】
ここで、図10(A)~(C)に示すシェーカーSは、内蓋8の凹入部18と目盛線32とで計量手段を構成しているが、これに限らず、例えば、図11(A)及び(B)に示すように、図6に示す例と同様に、ステップ状の凹入部18によって計量手段を構成するものとしてもよく、ここからさらに変形させて、例えば図12(A)及び(B)に示すように、凹入部18を内蓋8の中央に設けつつその周囲にテーパ面35を設けて、図12(B)に示す状態で材料を計量する際に、凹入部18に材料が集まり易くなるようにしてもよい。なお、この場合も、通気孔20及び上蓋33を設けてあるのが好ましい。
【0071】
あるいは、例えば、図13(A)及び(B)に示すように、内蓋8における周縁部27の内側に、天井を有し底の無い略楕円(オーバル)筒状を呈するように上向きに突出した突出部分36を設け、この突出部分36の内側の空間を、仕切り壁19によって大きさが異なる二つの空間に分け、各空間を計量手段としての凹入部18D、18Eとして構成してもよい。図示例では、投入(計量)する材料がトロミ剤(所定の密度を有するもの)であることを前提にしており、凹入部18Dにて1.5gと3.0gを、凹入部18Eにて4.5gを計量可能である。そして、この場合も、通気孔20及び上蓋33を設けてあるのが好ましい。もちろん、グラム(質量)基準とはせず、例えばミリリットル(体積)基準で凹入部18D、18Eを構成してもよい。
【0072】
なお、図13(A)及び(B)の例では、内蓋8の適宜の箇所に名前記入欄37を設けてあり、この名前記入欄37を本体1側や外蓋7に設けてもよいことはいうまでもない。
【0073】
図14(B)に示すシェーカーSは、図14(A)に示す本体1に同図(C)に示す内蓋8を装着したものであり、内蓋8には外蓋7を装着するための接続部12が設けられるが、分かり易さのために外蓋7及び接続部12の図示を省略してあり、この点は、図15も同様である。
【0074】
図14(C)の内蓋8は、本体1の口部1aの雌ねじ24に螺合する雄ねじ25が設けられた略筒状の周縁部27を有する。そして、図14(B)に示すように内蓋8が本体1の口部1aを塞ぐ際に、周縁部27の下端27a(図14(C)参照)の下面が口部1aの下端に設けられた段部38(図14(A)、(B)参照)に当接するとともに、周縁部27の中間部に設けられた外向きフランジ状の段部27c(図14(C)参照)の下面が口部1aの上端1b(図14(A)参照)に当接する。なお、この当接の際、口部1aまたは周縁部27のいずれか一方にパッキン等のシール部材を設け、水密性を確保できるように構成してあるのが好ましい。
【0075】
その他、図14(B)及び(C)において、凹入部18等の構成は、図12(A)に示す凹入部18等と同様であり、その説明を省略する。
【0076】
そして、図14(A)~(C)に示すように、雌ねじ24と雄ねじ25とのねじ結合により本体1に内蓋8を連結する場合についても種々の変形が可能であり、例えば、図15(A)及び(B)に示すように構成してもよい。すなわち、図15(A)及び(B)に示す例では、図13(A)及び(B)の例と同様に、内蓋8に突出部分36を設けてあり、突出部分36は、2.5ml、5ml及び10mlを計量可能な凹入部18Fと、15mlを計量可能な凹入部18Gとを含む。また、図14(B)及び(C)の例では、周縁部27の側面に名前記入欄37を設けてあるが、図15(A)の例では突出部分36の上面に名前記入欄37を設けてある。
【0077】
図16(A)及び(B)に示すシェーカーSは、本体1に内蓋8を装着するものであり、内蓋8には外蓋7を装着するための接続部12が設けられるが、分かり易さのために外蓋7及び接続部12の図示を省略してある。そして、この例では、内蓋8の周縁部27の左右にそれぞれストッパ26を設け、内蓋8を本体1の口部1aに押し込んでいくと各ストッパ26が口部1aの周縁部に係合して内蓋8が本体1に固定され、ストッパ26の側方への突出部26aを押し上げて上記係合を解除するか、口部1aの一部に設けた切り欠き部1cの位置にストッパ26がくるまで内蓋8を回すと、本体1から内蓋8を外せるように構成してある。また、切り欠き部1cにストッパ26を位置合わせした状態で内蓋8を回転させても本体1に対して内蓋8を閉状態で固定することができるようにしてある。その他の構成は、図14(A)~(C)と同様であり、その説明を省略する。
【0078】
なお、本明細書で挙げた変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0079】
1 本体
1a 口部
1b 上端
1c 切り欠き部
2 蓋
3 計量目盛
4 把手
4a 最も太い部分
4b 下部
5 張出部
6 溝
7 外蓋
8 内蓋
8a 回転操作用突起
9 基部
9a フック
9b ガイド面
9c フランジ
10 可逆変形部
10a 薄肉部
10b 壁片
11 天部
12 接続部
12a 環状突起
12b ガイド面
13 嵌入部
13a 切欠き
14 パッキン
15 環状溝
16 L型爪
17 係合用突起
17a ストッパ部
17b 案内部
18 凹入部(18A~18G)
18a~18d 段部
19 仕切り壁
20 通気孔
21 脚部
22 雄ねじ
23 雌ねじ
24 雌ねじ
25 雄ねじ
26 ストッパ
26a 突出部
27 周縁部
27a 下端
27b 段部
27c 段部
28 環状突起
29 天面
30 側面
31 稜線
32 目盛線
33 上蓋
34 アーム
35 テーパ面
36 突出部分
37 名前記入欄
38 段部
L 長さ
S シェーカー
T 厚み
W 幅
【要約】
【課題】トロミ付け作業のような混合作業を迅速に行えるものでありながら、その混合対象が高温の場合でも噴き出し現象の発生を抑えることができ、さらには混合に使用する器具等を減らしてその後片付け作業の省力化にも資するシェーカーを提供すること。
【解決手段】中空の本体1に対する蓋2の開閉が自在であり、その内部空間に投入された材料の混合のために、閉状態で振り動作されるシェーカーSであって、閉状態での内圧上昇に伴い、前記内部空間を囲む部位に設けられた可逆変形部10が変形して容量が増大するように構成してあり、閉状態で前記内部空間に面するように配される計量手段18を少なくとも前記本体1以外の部位に一つは設けてある。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18