(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】卵分類装置、卵分類方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 29/44 20060101AFI20221214BHJP
A01K 43/00 20060101ALI20221214BHJP
G01N 3/30 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G01N29/44
A01K43/00
G01N3/30 N
(21)【出願番号】P 2019046260
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】樫森 亜由子
(72)【発明者】
【氏名】才田 和輝
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-227766(JP,A)
【文献】特開2008-151538(JP,A)
【文献】特開2018-009906(JP,A)
【文献】特開2017-127277(JP,A)
【文献】特開2006-051017(JP,A)
【文献】特開2012-011322(JP,A)
【文献】特開2003-057216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045479(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0021470(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107064021(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
A01K 43/00 - A01K 43/10
G01N 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵を分類する卵分類装置において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と
、
予め定められたルールに基づいて、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第2判定部とを備え、
前記決定部は、前記第1判定部による判定結果及び前記第2判定部による判定結果に応じて、卵の分類先を決定すること
を特徴とする卵分類装置。
【請求項2】
卵を分類する卵分類装置において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と
、
品質を指定する情報を取得する第2情報取得部と、
取得した前記情報に応じて、前記第1判定部で用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記決定部で前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整する第2調整部と
を備えることを特徴とする卵分類装置。
【請求項3】
卵を分類する卵分類装置において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と
、
推定される産卵からの経過時間を表す情報を取得する第3情報取得部と、
取得した前記情報に応じて、前記第1判定部で用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記決定部で前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整する第3調整部と
を備えることを特徴とする卵分類装置。
【請求項4】
卵を分類する卵分類装置において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と
、
卵に打撃を付与する打撃部と、
該打撃部の状態又は環境を表す情報を取得する第4情報取得部と、
取得した前記情報に応じて、前記第1判定部で用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記決定部で前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整する第4調整部と
を備えることを特徴とする卵分類装置。
【請求項5】
卵を分類する卵分類方法において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、
予め定められたルールに基づいて、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、
前記学習モデルによって卵殻の状態を判定した判定結果、及び前記ルールに基づいて卵殻の状態を判定した判定結果に応じて、卵の分類先を決定すること
を特徴とする卵分類方法。
【請求項6】
卵を分類する卵分類方法において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定
し、
品質を指定する情報を取得し、
取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整すること
を特徴とする卵分類方法。
【請求項7】
卵を分類する卵分類方法において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定
し、
推定される産卵からの経過時間を表す情報を取得し、
取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整すること
を特徴とする卵分類方法。
【請求項8】
卵を分類する卵分類方法において、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定
し、
卵に打撃を付与する打撃部の状態又は環境を表す情報を取得し、
取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整すること
を特徴とする卵分類方法。
【請求項9】
コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、
予め定められたルールに基づいて、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、
前記学習モデルによって卵殻の状態を判定した判定結果、及び前記ルールに基づいて卵殻の状態を判定した判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップと
を含む処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップと
、
品質を指定する情報を取得するステップと、
取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整するステップと
を含む処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップと
、
推定される産卵からの経過時間を表す情報を取得するステップと、
取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整するステップと
を含む処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータに、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップと
、
卵に打撃を付与する打撃部の状態又は環境を表す情報を取得するステップと、
取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整するステップと
を含む処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵を卵殻の状態に応じて分類する卵分類装置、卵分類方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
卵殻を有する卵は、集荷された後、洗浄され、大きさに応じて分類され、容器に収容され、出荷される。以下、卵殻を有する卵を単に卵と言う。卵は、例えば、鶏卵である。卵には、鶏卵以外の卵殻を有する卵も含まれ得る。卵は、出荷前に、汚れの有無、汚れの程度、卵殻の破損の有無、及び破損の程度が検査される。また、卵が血卵、みだれ卵、無黄卵又は腐敗卵等の内部異常卵であるか否かが検査される。検査の結果に応じて、卵は出荷前に分類される。例えば、卵殻が破損した卵は、別の出荷先用の卵等、破損の無い卵とは別の分類先に分類される。卵の検査を行うために、種々の装置が開発されている。特許文献1には、卵殻を棒で叩くことによって卵に衝撃を付与し、衝撃によって発生した振動音を測定し、振動音に基づいて卵殻の破損の有無を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、卵殻の破損の有無に応じて振動音が異なることに基づいて、卵殻の破損の有無を判定する。しかしながら、卵殻の破損の程度、破損部分の位置、卵の種類、卵のサイズ、卵の形状、及び卵殻の厚み等、振動音に影響を与える要因は多く、卵によっては正確に検査を行って分類することが困難になることがある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、卵を従来よりも適切に分類することを可能にする卵分類装置、卵分類方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る卵分類装置は、卵を分類する卵分類装置において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と、予め定められたルールに基づいて、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第2判定部とを備え、前記決定部は、前記第1判定部による判定結果及び前記第2判定部による判定結果に応じて、卵の分類先を決定することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る卵分類装置は、卵を分類する卵分類装置において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と品質を指定する情報を取得する第2情報取得部と、取得した前記情報に応じて、前記第1判定部で用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記決定部で前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整する第2調整部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る卵分類装置は、卵を分類する卵分類装置において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と、推定される産卵からの経過時間を表す情報を取得する第3情報取得部と、取得した前記情報に応じて、前記第1判定部で用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記決定部で前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整する第3調整部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る卵分類装置は、卵を分類する卵分類装置において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する第1判定部と、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部と、卵に打撃を付与する打撃部と、該打撃部の状態又は環境を表す情報を取得する第4情報取得部と、取得した前記情報に応じて、前記第1判定部で用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記決定部で前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整する第4調整部とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る卵分類方法は、卵を分類する卵分類方法において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、予め定められたルールに基づいて、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、前記学習モデルによって卵殻の状態を判定した判定結果、及び前記ルールに基づいて卵殻の状態を判定した判定結果に応じて、卵の分類先を決定することを特徴とする。
本発明に係る卵分類方法は、卵を分類する卵分類方法において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定し、品質を指定する情報を取得し、取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整することを特徴とする。
本発明に係る卵分類方法は、卵を分類する卵分類方法において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定し、推定される産卵からの経過時間を表す情報を取得し、取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整することを特徴とする。
本発明に係る卵分類方法は、卵を分類する卵分類方法において、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得し、卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定し、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定し、卵に打撃を付与する打撃部の状態又は環境を表す情報を取得し、取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、予め定められたルールに基づいて、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、前記学習モデルによって卵殻の状態を判定した判定結果、及び前記ルールに基づいて卵殻の状態を判定した判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップと、品質を指定する情報を取得するステップと、取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整するステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップと、推定される産卵からの経過時間を表す情報を取得するステップと、取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整するステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、卵を分類するための処理を実行させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データ及び卵殻の状態を表す情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、取得された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定するステップと、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定するステップと、卵に打撃を付与する打撃部の状態又は環境を表す情報を取得するステップと、取得した前記情報に応じて、用いるべき学習モデルを複数の学習モデルの中から選択するか、又は前記判定結果に応じて卵の分類先を決定する基準を調整するステップとを含む処理を実行させることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、卵分類装置は、打撃音等、卵に打撃を付与することで発生する現象を表す打撃データを取得し、学習モデルによって、打撃データに応じて卵殻の状態を判定し、判定結果に応じて卵の分類先を決定する。卵殻の状態を判定するために学習モデルを利用することにより、正確に卵殻の状態を判定し、適切に卵を分類することが可能となる。打撃データは、卵に打撃を付与した場合に得られる信号を意味する。打撃データには、例えば、打撃によって発生した振動を表す振動データ、又は、叩き棒等の打撃を付与する物体の変形若しくは跳ね返りを表すデータが挙げられる。
【0017】
本発明の一形態においては、卵分類装置は、卵殻の状態として、卵殻の破損の有無、卵殻の破損の大きさの程度、卵殻の強度、又は卵殻の剛性を判定する。卵殻の破損は、ひびを含む。卵殻の破損の有無、卵殻の破損の大きさの程度、卵殻の強度、又は卵殻の剛性は、卵を分類する際の指標となる。これらの卵殻の状態に応じて卵を分類することにより、卵の選別を適切に行うことが可能となる。
【0018】
本発明の一形態においては、卵分類装置は、ルールに基づいた判定と学習モデルを用いた判定とを組み合わせることにより、適切な判定を行い、適切に卵を分類することが可能となる。
【0019】
本発明の一形態においては、卵分類装置は、卵殻の状態が判明している卵について、卵殻の状態を表す情報を受け付け、打撃データを取得し、卵殻の状態を表す情報及び打撃データを教師データとして学習モデルの再学習を行う。実際の卵の卵殻の状態に応じて学習モデルが再学習され、より正確に卵殻の状態を判定することができるように学習モデルが更新される。
【0020】
本発明の一形態においては、卵分類装置は、卵の形状、サイズ又は重量に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデルを調整するか、又は卵の分類先を決定するための基準を調整する。これにより、適切に卵を分類することを可能にする。
【0021】
本発明の一形態においては、卵分類装置は、指定された卵の品質に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデルを調整するか、又は卵の分類先を決定するための基準を調整する。これにより、必要な品質の卵が得られるように適切に卵を分類することが可能となる。
【0022】
本発明の一形態においては、卵分類装置は、推定される産卵からの経過時間に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデルを調整するか、又は卵の分類先を決定するための基準を調整する。これにより、適切に卵を分類することを可能にする。
【0023】
本発明の一形態においては、卵分類装置は、卵に打撃を付与する打撃部を備え、劣化状態等の打撃部の状態又は打撃部の環境に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデルを調整するか、又は卵の分類先を決定するための基準を調整する。これにより、適切に卵を分類することを可能にする。
【発明の効果】
【0024】
本発明にあっては、卵殻の状態の判定に影響を与える種々の要因が存在する中でも、より正確に卵殻の状態を判定し、より適切に卵を分類することが可能となる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】卵を分類して出荷するために用いられる卵分類システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】打撃分析装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図4】打撃部の一部の構成例を示し、
図3とは異なる方向から打撃部を見た模式図である。
【
図5】実施形態1に係る打撃データ取得部の構成例を示すブロック図である。
【
図6】打撃分析装置の分析部が行う卵を分類するための処理の手順を示すフローチャートである。
【
図7】判定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】学習モデルの機能構成例を示す概念図である。
【
図9】設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】打撃分析装置の分析部が行う再学習の処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】再学習の際に表示部に表示される画面例を示す模式図である。
【
図12】再学習の際に表示部に表示される他の画面例を示す模式図である。
【
図13】学習を外部で行う打撃分析装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図14】記憶装置の内部構成例を示すブロック図である。
【
図15】実施形態2に係る打撃データ取得部の構成例を示すブロック図である。
【
図16】実施形態3に係る打撃データ取得部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施形態1)
図1は、卵を分類して出荷するために用いられる卵分類システム100の構成例を示す模式図である。多数の卵が養鶏場等の生産場から集荷され、卵分類システム100で処理される。卵分類システム100は、卵を線状に搬送する搬送装置11を備えている。搬送装置11は、多数の卵を載置され、載置された卵を搬送する搬送路を用いて構成されている。搬送装置11は、例えば、多数のローラを備えたコンベヤであり、ローラ上に卵が載置され、ローラが移動することによって卵を搬送する。
図1には卵の搬送方向を矢印で示している。集荷された多数の卵は、搬送装置11によって搬送され、搬送されながら種々の処理を受ける。
【0027】
卵は、長径方向が搬送方向に交差するように、搬送路上に載置される。卵は、長径方向に沿った軸を回転軸として回転しながら搬送される。例えば、卵が載置されたローラが回転することによって、卵が回転させられる。卵は、搬送方向に沿って複数の卵が列状に並んだ状態で搬送される。また、卵は、搬送方向に交差する方向に複数の列が並んだ状態で搬送される。
【0028】
搬送装置11には、移動量検出装置36が接続されている。移動量検出装置36は、搬送装置11の動作を測定し、搬送装置11の動作に基づいて、搬送装置11で搬送されている個々の卵の移動量を検出する。例えば、移動量検出装置36は、ローラコンベヤが有する個々のローラの通過を検出するセンサを備え、センサの検出結果に基づいて各ローラの移動を検出する。移動量検出装置36は、検出したローラの移動に基づいて、搬送されている個々の卵の移動量を検出する。更に、移動量検出装置36は、個々の卵の移動量を表す情報を出力する。
【0029】
卵分類システム100は、洗浄機31を備える。洗浄機31は、搬送装置11で搬送される卵を洗浄する。卵分類システム100は、破卵検出装置41を備える。破卵検出装置41は、洗浄された後で搬送される卵に含まれる破卵を検出する。破卵は、卵殻が破損した卵である。破卵検出装置41は、夫々の卵の画像を撮像し、画像解析により、卵が破卵であるか否かを判定する。また、破卵検出装置41は、破卵と判定した卵を搬送装置11から排除する。また、破卵検出装置41は、卵殻の破損の程度を判定してもよい。卵分類システム100は、乾燥機32を備える。乾燥機32は、搬送装置11で搬送される卵を乾燥させる。
【0030】
卵分類システム100は、卵画像分析装置42を備えている。卵画像分析装置42は、搬送装置11で搬送される夫々の卵の画像を撮像し、画像解析により、卵の状態を判定する。例えば、卵画像分析装置42は、卵の状態を表す情報及び卵の画像を表す画像データを含む教師データを用いて学習された学習モデルを有している。卵画像分析装置42は、卵を撮影した画像を表す画像データを取得し、学習モデルによって、取得した画像データに基づいて卵の状態を判定する。例えば、卵画像分析装置42は、卵を撮像した画像に基づいて、卵殻の色、卵殻の汚れの有無、汚れの程度、汚れの種類、又は表面性状を判定する。また、卵画像分析装置42は、卵を撮像した画像に基づいて、卵の形状又はサイズを計測してもよい。例えば、卵画像分析装置42は、卵を撮像した画像から、卵の形状を表す値として、卵の長径及び短径を計測する。例えば、卵画像分析装置42は、卵のサイズを表す値として、卵を撮像した画像中の卵の面積を計測する。卵画像分析装置42は、夫々の卵の状態を表す情報を出力する。
【0031】
卵分類システム100は、サイズ測定器33を備えている。サイズ測定器33は、搬送装置11で搬送される夫々の卵のサイズを計測する。例えば、サイズ測定器33は、発光器及び受光器を有し、発光器からの光が卵に遮られて受光器で受光できない時間を計測し、計測した時間と搬送装置11による卵の移動速度とに基づいて、卵の搬送方向の長さを計測する。
【0032】
卵分類システム100は、打撃分析装置5を備えている。打撃分析装置5は、搬送装置11で搬送される夫々の卵に対して打撃を付与し、打撃によって発生する現象を測定し、測定結果に基づいて卵殻の状態を判定する。打撃分析装置5は、打撃によって発生する音を測定する。また、打撃分析装置5は、測定結果に基づいて、卵殻の破損の有無、破損の大きさの程度、卵殻の厚み、卵殻の強度、又は卵殻の剛性等を判定する。打撃分析装置5は、卵殻の状態を表す情報を出力する。なお、打撃分析装置5については、後ほど詳細に説明する。
【0033】
卵分類システム100は、搬送装置11で搬送される卵を殺菌する殺菌機34を備えている。例えば、殺菌機34は、卵に紫外線を照射することによって、卵殻表面を殺菌する。洗浄機31、破卵検出装置41、乾燥機32、卵画像分析装置42、計量機35、打撃分析装置5及び殺菌機34は、搬送装置11の搬送路に沿って配置されている。卵分類システム100は、卵の重量を計量する計量機35を備えている。計量機35は搬送装置11の搬送路の終端付近に配置されている。
【0034】
卵分類システム100は、卵を線状に搬送する分配装置12を備えている。分配装置12は、キャリアを備え、計量機35で重量を計量された後の卵をキャリアで搬送する。例えば、キャリアは、個別に卵を載置させて移動するバケット、又は、個別に卵を掴んで持ち運ぶフィンガ及びアームである。分配装置12には、分配装置12を制御する制御装置37が接続されている。制御装置37は、各卵の位置を特定し、卵を載置させたバケットの底を開くか、卵を掴んだフィンガを動作させることにより、卵をキャリアの外へ放出させることができる。
【0035】
卵分類システム100は、透過光分析装置6を備えている。透過光分析装置6は、分配装置12で搬送される夫々の卵に対して光を照射し、卵を透過した光に基づいて夫々の卵の内部の状態を判定する。例えば、透過光分析装置6は、卵の内部の状態を表す情報及び卵を透過した光を表す透過光データを含む教師データを用いて学習された深層学習モデルを有している。透過光分析装置6は、卵を透過した光を表す透過光データを取得し、深層学習モデルによって、取得した透過光データに基づいて卵の内部の状態を判定する。例えば、透過光分析装置6は、卵が血卵、みだれ卵、無黄卵又は腐敗卵等の内部異常卵であるか否かを判定する。また、例えば、透過光分析装置6は、卵の異常の種類又は異常の程度を判定する。
【0036】
本実施形態では、移動量検出装置36、卵画像分析装置42、サイズ測定器33、打撃分析装置5、計量機35、透過光分析装置6及び制御装置37を用いて、搬送装置11及び分配装置12で搬送される複数の卵を分類する。移動量検出装置36、卵画像分析装置42、サイズ測定器33、打撃分析装置5、計量機35、透過光分析装置6及び制御装置37は、互いに接続されている。卵画像分析装置42、打撃分析装置5、及び透過光分析装置6は、判定結果に基づいて、夫々の卵を分類すべき分類先を決定する。例えば、分類先は、出荷先の異なる卵のグループである。例えば、卵画像分析装置42は、卵殻の汚れに応じて卵を分類し、打撃分析装置5は、卵殻の破損に応じて卵を分類し、透過光分析装置6は、内部の異常に応じて卵を分類する。卵画像分析装置42、打撃分析装置5、及び透過光分析装置6は、夫々の卵の分類先を示す情報を出力する。
【0037】
卵分類システム100は、分配装置12と交差する複数のコンベヤを備えている。
図1には、分配装置12と交差するコンベヤ13及び14を示す。分配装置12と交差する夫々のコンベヤは夫々の分類先に対応する。例えば、コンベヤ13は、一般の商店へ出荷されるべき卵に分類された卵が搬送され、コンベヤ14は、卵殻の破損等のために一般の商店以外へ出荷されるべき卵に分類された卵が搬送される。分配装置12に交差するコンベヤの数は3個以上であってもよい。出荷されない卵が搬送されるコンベヤがあってもよい。制御装置37は、卵画像分析装置42、サイズ測定器33、打撃分析装置5、計量機35及び透過光分析装置6のうちの少なくとも一つからの情報を受け付け、夫々の卵の位置を特定し、分配装置12を制御して、夫々の卵の分類先に対応するコンベヤへ卵を移動させる。このようにして、卵が分類される。また、卵分類システム100は、一般の商店へ出荷されるべき卵について、さらに卵のグレード(例えば、卵殻強度や卵殻剛性等)別に卵を分類してもよい。
【0038】
分配装置12から放出された卵は、コンベヤ13上で容器に収容されて出荷されるものとする。コンベヤ13上には、容器内画像分析装置43が配置されている。また、コンベヤ13上には、賞味期限等の卵に関する情報を記載したラベルを容器内に収容するか、又は容器若しくは卵に貼り付ける機能を有するラベル配置装置があってもよい。
【0039】
容器内画像分析装置43は、容器に収容された卵の画像を撮像し、画像解析により、容器中の卵の状態を判定する。例えば、容器内画像分析装置43は、画像に基づいて、容器中の卵の卵殻の汚れの有無、汚れの程度、汚れの種類、卵殻の破損の有無、又は破損の程度を判定する。容器内画像分析装置43は、判定した卵の状態に応じて、容器中の卵を分類すべき分類先を決定する。一つの容器に収容された複数の卵は、容器ごとに同一の分類先へ分類される。例えば、汚れ又は卵殻の破損によって出荷すべきでない卵が容器に収容されていれば、その容器に収容された卵は出荷すべきでない卵に分類される。容器内画像分析装置43は、夫々の容器について分類先を示す情報を出力する。
【0040】
卵分類システム100は、卵の分類に関係する情報を入力される入力装置38を備えている。例えば、入力装置38は、使用者が操作するキーボード等の操作部を備え、使用者が操作部を操作することにより情報が入力される。例えば、入力装置38は、通信インタフェースを備え、通信インタフェースを通じて情報が入力される。例えば、入力装置38は、卵分類システム100外の図示しない通信ネットワークに接続されており、通信ネットワークを介して情報が入力される。入力装置38は、卵画像分析装置42、打撃分析装置5、透過光分析装置6及び容器内画像分析装置43に接続されている。
【0041】
入力装置38には、出荷すべき卵の品質を指定する情報が入力される。例えば、生産場から集荷された卵の状態に応じた品質を指定する情報が入力装置38へ入力される。また、例えば、顧客からの要求に応じた品質を指定する情報が入力装置38へ入力される。入力装置38は、入力された情報を、卵画像分析装置42、打撃分析装置5、透過光分析装置6及び容器内画像分析装置43へ出力する。卵画像分析装置42、打撃分析装置5、透過光分析装置6及び容器内画像分析装置43は、入力装置38から出力された情報を受け付け、受け付けた情報に応じて、卵の分類先を決定するための基準を調整する。例えば、集荷された卵の状態に特定の傾向がある場合に、その傾向がある卵を分類するための基準が用いられる。例えば、特定の用途のために要求された卵の数が多い場合に、その用途のための卵を多く確保できるように基準が調整される。また、例えば、要求された品質の高低に応じて基準が調整される。
【0042】
また、入力装置38は、卵が産卵されてからの経過時間に関する情報が入力されてもよい。例えば、入力装置38は、卵が産卵されてから卵分類システム100へ搬入されるまでの経過時間の推定値を表す情報が入力される。また、例えば、入力装置38は、生産場にて飼育されている家禽の点灯管理時間及び卵分類システム100への卵の搬入時刻を表す情報が入力される。家禽は光感受性が非常に高く、産卵時刻は光線の管理や飼料摂取と密接な関係にある。従って、家禽の産卵タイミングを点灯管理によってある程度調整することが可能である。つまり、明暗周期より産卵時刻を推定することができる。入力装置38は、入力された情報が表す照明の時刻から産卵時刻の推定値を計算し、産卵時刻の推定値と卵が搬入された時刻とに基づいて、産卵から搬入までの経過時間の推定値を計算する。
【0043】
入力装置38は、卵が産卵されてからの経過時間を表す情報を、卵画像分析装置42、打撃分析装置5、透過光分析装置6及び容器内画像分析装置43へ出力する。産卵からの経過時間によって、卵を撮影した画像、卵に打撃を付与したときに発生する現象、及び卵の透過光は、若干変化する。卵画像分析装置42、打撃分析装置5、透過光分析装置6及び容器内画像分析装置43は、入力装置38から出力された情報を受け付け、受け付けた情報に応じて、卵の分類先を決定するための基準を調整する。
【0044】
図1に示した卵分類システム100の構成は一例であり、卵分類システム100の構成は
図1に示した例に限るものではない。卵分類システム100に含まれる複数の装置は、
図1に示した順とは異なる順番で配置されていてもよい。卵分類システム100は、
図1に示した各装置の一部を備えていなくてもよい。例えば、卵分類システム100は、洗浄機31および乾燥機32を備えていなくてもよい。卵分類システム100により分類された卵は、出荷されずに保管されてもよい。
【0045】
本実施形態では、打撃分析装置5は、卵分類装置に対応し、卵分類方法を実行する。
図2は、打撃分析装置5の機能構成例を示すブロック図である。打撃分析装置5は、情報処理を行う分析部51と、搬送装置11により搬送される卵に打撃を付与する打撃部53と、打撃によって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部54とを備えている。打撃部53及び打撃データ取得部54は、分析部51に接続されている。
【0046】
分析部51は、コンピュータを用いて構成されている。分析部51は、演算部511と、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶するメモリ512と、光ディスク等の記録媒体50から情報を読み取るドライブ部513と、ハードディスク等の不揮発性の記憶部514とを備えている。演算部511は、例えばCPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)、又はマルチコアCPUを用いて構成されている。また、演算部511は、量子コンピュータを用いて構成されていてもよい。メモリ512は、例えばRAM(Random Access Memory)である。また、分析部51は、打撃データに応じて卵の卵殻の状態を判定するために用いられる学習モデル515を備えている。
【0047】
また、分析部51は、使用者からの操作を受け付ける操作部516と、画像を表示する表示部517と、インタフェース部518とを備えている。操作部516は、使用者からの操作を受け付けることにより、テキスト等の情報を受け付ける。操作部516は、例えば、タッチパネル、キーボード又はポインティングデバイスである。表示部517は、例えば液晶ディスプレイ又はELディスプレイ(Electroluminescenct Display)である。また、分析部51は、通信部を備え、通信部を通じて、分析部51外のスマートフォン等の操作部から情報を受け付け、分析部51外のスマートフォン等の表示部に画像を表示する機能を有していてもよい。インタフェース部518は、卵画像分析装置42、計量機35、移動量検出装置36及び入力装置38と接続されている。分析部51は、インタフェース部518を介して、卵画像分析装置42、計量機35、移動量検出装置36及び入力装置38との間で情報を入出力する。
【0048】
演算部511は、記録媒体50に記録されたコンピュータプログラム52をドライブ部513に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム52を記憶部514に記憶させる。演算部511は、記憶部514に記憶されたコンピュータプログラム52に従った処理を実行する。例えば、演算部511は、必要に応じてコンピュータプログラム52を記憶部514からメモリ512へロードし、ロードしたコンピュータプログラム52に従って、分析部51に必要な処理を実行する。なお、コンピュータプログラム52は、分析部51の外部からダウンロードされてもよい。この場合は、分析部51はドライブ部513を備えていなくてもよい。
【0049】
学習モデル515は、打撃データに応じて卵の卵殻の状態を判定する処理を行うための学習済みの学習モデルである。学習モデル515は、コンピュータプログラム52に従って演算部511が情報処理を実行することにより実現される。また、学習モデル515は、プロセッサと、必要なプログラム及びデータを記憶するメモリとを含んで構成されていてもよい。また、学習モデル515は、量子コンピュータを用いて実現されてもよい。
【0050】
図3は、打撃部53の一部の構成例を示す模式図である。卵2の搬送方向は、
図3に交差する方向である。打撃部53は、叩き棒531を有している。叩き棒531は、固定された固定端と、固定端の反対側の端である先端を有する。叩き棒531の固定端は回動軸532に連結されている。叩き棒531の先端は固定されていない。回動軸532は周期的に回動する。回動軸532が回動することによって、
図3中に矢印で示すように、叩き棒531は揺動する。叩き棒531が揺動することによって、叩き棒531の先端は上下に移動する。叩き棒531は、搬送装置11で搬送される卵2の直上に位置するように配置されている。叩き棒531の先端が下方へ移動したとき、叩き棒531の先端は卵2に衝突し、卵2に打撃を与える。
図3中には、先端が卵2に衝突した状態での叩き棒531を二点鎖線で示している。
【0051】
図4は、打撃部53の一部の構成例を示し、
図3とは異なる方向から打撃部53を見た模式図である。卵2の搬送方向は、
図4中の左右方向である。卵2が搬送される向きを白矢印で示している。打撃部53は、複数の叩き棒531を有しており、複数の叩き棒531は、卵2の搬送方向に沿って配置されている。
図4中には、搬送装置11に含まれるローラ101を示している。卵2は、複数のローラ101に載置されている。ローラ101は、回転する。ローラ101が回転することにより、卵2も回転する。
図4中には、ローラ101及び卵2の回転する向きを矢印で示している。卵2は、搬送装置11に搬送されながら、搬送方向に沿って配置された複数の叩き棒531によって、打撃を付与される。即ち、卵2は、搬送されながら打撃を複数回付与される。また、卵2は回転しながら打撃を付与される。このため、卵2は、複数の部分に打撃を付与される。更に、打撃部53は、卵2の搬送方向に沿って配置された複数の叩き棒531を、複数列備えている。打撃部53は、複数の列が並んだ状態で搬送される多数の卵2の夫々に対して打撃を付与する。なお、打撃部53は、叩き棒531とは異なる手段で卵2に打撃を付与する形態であってもよい。
【0052】
図5は、実施形態1に係る打撃データ取得部54の構成例を示すブロック図である。打撃データ取得部54は、夫々の叩き棒531によって卵2に打撃を付与し、打撃を付与された卵2が振動することによって発生した現象を測定し、この現象を表す打撃データを取得する個別データ取得部543を有する。個別データ取得部543は、打撃音取得部541と、動作検出部542とを含む。打撃音取得部541は、打撃部53から打撃を付与された卵2が振動することによって卵2から発生する音である打撃音を取得する。例えば、打撃音取得部541は、マイクロホンを用いて構成されている。なお、打撃音取得部541は、打撃音として、卵2に打撃を付与した打撃部53が振動することによって発生する音を取得する形態であってもよい。
【0053】
動作検出部542は、叩き棒531の動作を検出する。例えば、動作検出部542は、卵2に打撃を付与する際に叩き棒531の先端が下方へ移動する距離を検出する。例えば、動作検出部542は、回動軸532の回動角度を検出するセンサ、又は叩き棒531の先端が下方へ移動する時間を検出するセンサを用いて構成されている。打撃データ取得部54は、複数の個別データ取得部543を有する。夫々の叩き棒531の近傍に個別データ取得部543が配置されており、夫々の個別データ取得部543は個別に打撃データを取得する。打撃データは、打撃音取得部541が取得した打撃音を表すデータを含む。例えば、打撃音を表すデータは、打撃音取得部541が含むマイクロホンが検出した打撃音の大きさの時間変化を表すデータである。夫々の個別データ取得部543は、取得した打撃データを分析部51へ入力する。夫々の打撃音取得部541は個別に打撃音を取得し、打撃データ取得部54は、一つの卵2について複数の打撃音を表すデータを含む打撃データを取得する。また、個別データ取得部543は、動作検出部542が検出した叩き棒531の動作を表すデータを分析部51へ入力する。なお、個別データ取得部543は、動作検出部542を含まない形態であってもよい。
【0054】
また、打撃データ取得部54は、環境情報取得部544と、劣化情報取得部545とを有している。環境情報取得部544は、打撃部53の環境を表す情報を取得する。例えば、環境情報取得部544は、打撃部53の環境音を測定する。環境音には、打撃部53の周囲から発生する音が含まれる。環境情報取得部544は、環境を表す情報として、環境音を表すデータを分析部51へ入力する。環境情報取得部544は、環境を表す情報として、打撃部53の環境温度等、環境音以外の環境を表すデータを取得してもよい。劣化情報取得部545は、打撃部53の劣化状態を表す劣化情報を取得する。例えば、劣化情報取得部545は、劣化情報として、打撃部53の稼働時間又は打撃部53で卵2に打撃を付与した回数を取得する。また、例えば、劣化情報取得部545は、夫々の回動軸532のトルク等に基づいて、劣化情報として叩き棒531による打撃の強度を取得する。劣化情報取得部545は、取得した劣化情報を分析部51へ入力する。
【0055】
分析部51は、打撃データに基づいて、夫々の卵2の卵殻の状態を判定し、判定結果に応じて、夫々の卵2の分類先を決定する処理を行う。判定される卵殻の状態は、具体的には、卵殻の破損の有無、破損の大きさの程度、卵殻の形成時の異常(例えば、薄殻または無殻)、卵殻の厚み(例えば、部分的な厚み又は厚みの均一性)、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性(例えば、動的剛性又は静的剛性)である。打撃データは、卵殻の状態に応じて変化する。このため、打撃データに応じて卵殻の状態を判定することが可能である。
【0056】
特許文献1には、打撃音に応じて卵殻の破損の有無を判定する技術が開示されている。打撃音のスペクトルは、ある周波数帯域でピークを有する。卵殻の破損の無い部分に打撃を付与した場合の打撃音と卵殻の破損のある部分に打撃を付与した場合の打撃音とでは、ピークのある周波数帯域が異なる。このため、複数の周波数帯域でのスペクトル強度の比は、卵殻の破損のある部分に打撃を付与した場合と、卵殻の破損の無い部分に打撃を付与した場合とで異なる。従って、打撃音の複数の周波数帯域でのスペクトル強度の比を、卵2の複数の部分に打撃を付与して得られた複数の打撃音の間で比較することにより、卵殻の破損の有無を判定することができる。このように、打撃音に応じて、卵殻の破損の有無を判定することができる。
【0057】
卵殻の破損の程度が大規模になるほど、卵殻の破損の無い部分との差は顕著になる。このため、打撃音に応じて、卵殻の破損の大きさの程度を判定することができる。また、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性に応じて、打撃音は変化する。例えば、卵殻の厚み、卵殻の強度、又は卵殻の剛性が大きいほど、打撃音に含まれる高周波が増加し、低周波が減少する。このため、同様にして、打撃音に応じて、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定することができる。
【0058】
図6は、打撃分析装置5の分析部51が行う卵2を分類するための処理の手順を示すフローチャートである。以下、ステップをSと略す。分析部51の演算部511は、コンピュータプログラム52に従って以下の処理を実行する。分析部51は、インタフェース部518で移動量検出装置36からの情報を受け付け、演算部511は、移動量検出装置36からの情報に基づいて夫々の卵2の位置を特定する。演算部511は、位置を特定した一の卵2についての打撃データを打撃データ取得部54から取得する(S1)。S1では、演算部511は、位置を特定した卵2に打撃を付与した叩き棒531の近傍に配置された個別データ取得部543から打撃データを取得し、複数の叩き棒531による複数回の打撃の夫々に関する打撃データを夫々の個別データ取得部543から取得する。即ち、演算部511は、一の卵2について、打撃複数回分の打撃データを取得する。演算部511は、打撃データを記憶部514に記憶する。演算部511は、次に、卵2を分類するための設定を行う設定処理を行う(S2)。設定処理の詳細については後述する。演算部511は、S1とS2との処理を逆の順で実行してもよい。
【0059】
演算部511は、次に、打撃データに基づいて、卵2の卵殻の状態を判定する判定処理を行う(S3)。
図7は、判定処理の手順を示すフローチャートである。演算部511は、ルールベースで卵2の卵殻の状態を判定する(S31)。S31では、演算部511は、予め定められているルールに基づいて、打撃データに応じて卵殻の状態を判定する。演算部511は、従来知られている方法により、卵殻の状態を判定する処理を行ってよい。例えば、演算部511は、打撃音を表すデータをフーリエ変換し、所定の低周波帯域でのスペクトル強度と所定の高周波帯域でのスペクトル強度とを用いて、両者の比等の指標値を計算し、一つの卵2について得られた複数の打撃音の間で指標値を比較して、卵2の卵殻の状態を判定する。演算部511は、卵殻の状態として、卵殻形成時の異常、卵殻の破損の有無、破損の大きさの程度、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定する。演算部511は、打撃複数回分の打撃データを利用して判定を行う。S31の処理は、第2判定部に対応する。
【0060】
演算部511は、次に、学習モデル515を用いて卵2の卵殻の状態を判定する(S32)。学習モデル515は、卵2に打撃を付与したときに得られた打撃データと打撃を付与された卵2の卵殻の状態を表す情報とを含む教師データを用いて、打撃データから卵殻の状態を判定するように、予め学習がなされている。例えば、学習モデル515は、ニューラルネットワークを用いている。
【0061】
図8は、学習モデル515の機能構成例を示す概念図である。学習モデル515は、夫々に複数のノードを有する入力層、中間層及び出力層を備えたニューラルネットワークを用いる。入力層は、打撃データが入力される複数のノード551を有する。例えば、打撃複数回分の打撃データに含まれる打撃音を表すデータの夫々が、いずれかのノード551へ入力される。入力層へは、打撃音を表すデータをフーリエ変換したデータが入力されてもよい。入力層へは、打撃データに加えて、卵2の形状、サイズ又は重量を表す情報、打撃部53の状態又は環境を表す情報、品質を指定する情報、産卵からの経過時間を表す情報の少なくとも1つが入力されてもよい。中間層は、入力層のノード551から入力されるデータにパラメータを用いて演算する複数のノード552を有する。出力層は、中間層のノード552から演算されたデータを受け付け、卵殻の状態を出力する複数のノード553を有する。例えば、一のノード553は、卵殻に破損が存在する確率をスコアとして出力し、他のノード553は、破損の大きさがある大きさである確率をスコアとして出力する。
図8には、中間層が一層である例を示しているが、中間層は複数層であってもよい。学習モデル515は、ニューラルネットワークとして、畳みこみニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)、又は再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)を用いてもよい。
【0062】
学習モデル515は、教師データを用いて予め学習がなされている。卵殻が正常な多数の卵2を含む、卵殻の状態が判明している多数の卵2について、打撃データが取得され、教師データが作成される。教師データに含まれる各卵2についての複数回分の打撃データの夫々が入力層の各ノード551へ入力され、教師データに含まれる情報が示す各卵2の卵殻の状態に合致したスコアを出力層の各ノード553が出力されるように、各ノードの演算のパラメータが調整される学習がなされている。例えば、学習では、出力層の各ノード553の出力値及び教師データから期待される出力値を変数とする誤差関数により誤差を計算し、誤差逆伝搬法によって当該誤差が最小となるように、各ノードの演算のパラメータを調整している。
【0063】
学習モデル515の学習は打撃分析装置5で行ってもよい。例えば、卵殻の状態が判明している卵2の打撃データを打撃データ取得部54で取得することで教師データが作成され、分析部51が学習のための情報処理を実行する。代替的に、打撃分析装置5の外部から教師データが入力され、分析部51が学習のための情報処理を実行してもよい。代替的に、打撃分析装置5の外部にある学習装置で学習が行われ、学習の結果に基づいて学習モデル515が作成されていてもよい。学習装置は、コンピュータを用いて構成される。卵2の打撃データが取得され、打撃データが取得された後の卵2の卵殻の状態が破壊検査等の方法で調べられ、打撃データと調べられた卵殻の状態を表す情報とを含む教師データが作成されてもよい。学習装置は、教師データを入力され、学習を行ってもよい。学習装置は、打撃データと卵殻の状態を表す情報とを入力され、入力されたデータ及び情報を含む教師データを作成し、作成した教師データを用いて学習をおこなってもよい。
【0064】
演算部511は、学習モデル515の出力に応じて、卵2の卵殻の状態を判定する。例えば、演算部511は、卵殻に破損が存在する確率が所定の閾値未満である場合に卵殻に破損が無いと判定し、卵殻に破損が存在する確率が所定の閾値以上である場合に卵殻に破損があると判定する。例えば、演算部511は、スコアが最大の値になる破損の大きさを、卵殻の破損の大きさの程度であると判定する。また学習モデル515は、卵殻の状態として、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定してもよい。例えば、出力層の各ノード553は、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性がある値である確率をスコアとして出力する。例えば、出力層の各ノード553が卵2の卵殻の各部分の厚みを出力することで、卵殻の厚みが判定される。また、例えば、卵殻の厚みがゼロであることが判定されることで、卵2に卵殻が無い卵殻形成時の異常があることが判定される。
【0065】
また、学習モデル515は、打撃データに加えて、卵の形状、サイズ又は重量を表す情報、打撃部53の状態又は環境を表す情報、品質を指定する情報、産卵からの経過時間を表す情報のうち少なくともいずれか1つを含む教師データを用いて、予め学習されていてもよい。この場合の学習モデル515を用いて卵殻の状態を判定する際には、打撃データに加えて、卵の形状、サイズ又は重量を表す情報、打撃部53の状態又は環境を表す情報、品質を指定する情報、産卵からの経過時間を表す情報のうち少なくともいずれか1つのデータが入力層へ入力される。
【0066】
また、学習モデル515は、卵殻の破損の有無を判定する学習モデル、破損の大きさの程度を判定する学習モデル、卵殻の形成時の異常を判定する学習モデル、卵殻の厚みを判定する学習モデル、卵殻の強度を判定する学習モデル、卵殻の弾性率を判定する学習モデル、又は卵殻の剛性を判定する学習モデルを、個別に含んでいてもよい。S32では、演算部511は、夫々の学習モデルを用いて各状態の判定を行う。
【0067】
また、学習モデル515は、打撃データとして画像データを入力され、卵殻の状態を出力する形態であってもよい。打撃音を表す画像データは、例えば、打撃を卵2に付与してからの経過時間と打撃音の大きさとの関係を表したグラフの画像データ、又は打撃音のスペクトルの画像データである。S32では、演算部511は、画像データを生成して学習モデル515へ入力し、卵2の卵殻の状態を判定する。S32の処理は、第1判定部に対応する。S31の処理とS32の処理とは逆の順番で実行されてもよく、並列に実行されてもよい。
【0068】
演算部511は、次に、S31での判定結果及びS32での判定結果に基づいて、卵殻の状態の判定結果を確定する(S33)。S33では、S31のルールベースでの判定結果とS32の学習モデル515を用いた判定結果とを組み合わせて、卵殻の状態の判定結果を確定する。例えば、S31で卵殻の状態が不明であるという判定が可能であるとしておき、演算部511は、S31での判定結果が不明でない場合はS33ではS31での判定結果を採用し、S31での判定結果が不明である場合は、S32の処理を行い、S33ではS32での判定結果を採用する。また、例えば、演算部511は、S32の処理で得られたスコアと所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて、S31での判定結果とS32での判定結果とのどちらを採用するのかを決定する。また、例えば、演算部511は、S32の処理を先に行い、スコアの値が所定の閾値未満である等、S32で卵殻の状態が不明である場合に、S31の処理を行ってS33ではS31での判定結果を採用し、S32での判定結果が不明でない場合はS33ではS32での判定結果を採用する。例えば、演算部511は、S32及びS33で卵殻の状態が複数の状態の夫々である確率を表すスコアを生成し、S32及びS33で得られたスコアを合計、平均又は重み付平均等の所定の計算方法で組み合わせた組み合わせスコアを計算し、組み合わせスコアに基づいて判定結果を確定する。S33が終了した後、演算部511は、処理をメインの処理へ戻す。ルールベースでの判定と学習モデル515を用いた判定とを組み合わせることにより、適切な判定を行うことができる。なお、S3の処理では、ルールベースでの判定を行わず、学習モデル515を用いた判定の処理のみを行ってもよい。
【0069】
演算部511は、次に、卵2の卵殻の状態の判定結果を出力する(S4)。S4では、演算部511は、判定結果を含む画像を表示部517に表示させる。例えば、演算部511は、卵殻形成時の異常がある卵2の数、卵殻に破損の無い卵2の数、卵殻に破損のある卵2の数、又は卵殻の破損の程度が所定の範囲に含まれる卵2の数を表示部517に表示する。また、例えば、演算部511は、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性が所定の範囲に含まれる卵2の数を表示部517に表示する。演算部511は、S31のルールベースでの判定結果とS32の学習モデル515を用いた判定結果との夫々を表示部517に表示させてもよい。また、演算部511は、インタフェース部518を通じて、卵殻の状態を表すデータを打撃分析装置5の外部へ出力する。例えば、透過光分析装置6は、卵殻の状態を表すデータを取得し、取得したデータを利用した処理を行う。
【0070】
演算部511は、次に、卵殻の状態の判定結果に応じて、卵2の分類先を決定する(S5)。例えば、演算部511は、卵殻に破損が無い場合、卵2の分類先は一般の商店へ出荷可能な卵2のグループであると決定する。例えば、演算部511は、卵殻の破損がある場合に、卵2の分類先は、加工用の卵2のグループ等、商店へ出荷される卵2とは用途の異なる卵2のグループであると決定する。判定された卵殻の状態が卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性である場合であっても、演算部511は、所定の基準に基づいて、卵殻の状態に応じて卵2の分類先を決定する。例えば、卵殻の厚みが顕著に小さい場合は、卵殻が破損し易いので、卵2は商店へ出荷される卵2とは用途の異なる卵2のグループに分類されることが望ましい。S5の処理は決定部に対応する。
【0071】
演算部511は、次に、インタフェース部518を通じて、卵2の分類先を表す分類先データを打撃分析装置5の外部へ出力する(S6)。制御装置37は、分類先データを取得し、分類先データに基づいて分配装置12を制御し、卵2の分類先に対応するコンベヤ上の容器へ卵2を移動させることにより、卵2の分配を行う。演算部511は、以上で卵2を分類するための処理を終了する。分析部51は、S1~S6の処理を、搬送装置11で搬送される複数の卵2の夫々について実行する。分析部51は、複数の卵2についての処理を順次的に行ってもよく、並列に行ってもよい。
【0072】
次に、S2の設定処理を説明する。
図9は、設定処理の手順を示すフローチャートである。S2の処理では、まず、演算部511は、位置を特定した一の卵2の形状、サイズ又は重量を表す情報を取得する(S21)。例えば、演算部511は、卵2の形状を表す情報として、卵画像分析装置42から、卵2の長径及び短径を表す情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。例えば、演算部511は、卵2のサイズを表す情報として、卵画像分析装置42から、卵2の面積を表す情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。例えば、演算部511は、卵2のサイズを表す情報として、サイズ測定器33から、卵2の搬送方向の長さを表す情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。例えば、演算部511は、卵2のサイズを表す情報として、動作検出部542から、卵2に打撃を付与する際に叩き棒531の先端が下方へ移動する距離を表す情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。例えば、演算部511は、卵2の搬送の上流側に計量機35等の卵2の重量を測定する装置が配置されている場合に、当該装置から、卵2の重量を示す情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。S21の処理は、第1情報取得部に対応する。
【0073】
卵2の形状、サイズ又は重量に応じて、卵2に打撃を付与することによって発生する現象は変化する。例えば、卵2のサイズが異なれば、打撃音の複数の周波数帯域でのスペクトル強度の比は異なる。このため、正確に卵殻の状態を判定し、適切に卵2を分類するためには、卵2の形状、サイズ又は重量に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデル515を調整することが望ましい。或いは、判定された卵殻の状態に応じて卵2の分類先を決定するための基準を、卵2の形状、サイズ又は重量に応じて調整することによっても、適切に卵2を分類することが可能となる。なお、打撃分析装置5は、S21で卵2の重量を表す情報を取得してもよい。卵2の重量に応じても、卵2に打撃を付与することによって発生する現象は変化する。卵2の重量に応じて学習モデル515を調整するか、又は卵2の分類先を決定するための基準を卵2の重量に応じて調整することが望ましい。
【0074】
演算部511は、次に、打撃部53の状態又は環境を表す情報を取得する(S22)。S22では、演算部511は、打撃部53の状態を表す情報として、打撃部53の劣化状態を表す劣化情報を劣化情報取得部545から取得する。また、演算部511は、打撃部53の環境を表す情報として、打撃部53の環境音を表すデータを環境情報取得部544から取得する。演算部511は、環境音を表すデータと劣化情報との一方のみを取得してもよい。打撃部53の環境を表す情報として、環境音以外の環境を表すデータが用いられてもよい。S22の処理は、第4情報取得部に対応する。
【0075】
打撃部53の状態又は環境に応じて、取得される打撃データは変化する。例えば、環境音が大きい場合、環境音に起因するノイズが打撃音に重畳し、打撃音のスペクトルが変化する。また、打撃部53の劣化に応じて、卵2に付与される打撃の強度が変化し、打撃データは変化する。このため、正確に卵殻の状態を判定し、適切に卵2を分類するためには、打撃部53の状態又は環境に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデル515を調整することが望ましい。或いは、判定された卵殻の状態に応じて卵2の分類先を決定するための基準を、打撃部53の状態又は環境に応じて調整することによっても、適切に卵2を分類することが可能となる。
【0076】
演算部511は、次に、出荷すべき卵2の品質を指定する情報を取得する(S23)。集荷された卵2の状態に応じた卵2の品質が、入力装置38で設定され、S23では、演算部511は、入力装置38から、設定された品質を指定する情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。又は、顧客からの要求に応じた品質を指定する情報が入力装置38へ入力され、演算部511は、入力装置38から、品質を指定する情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。S23の処理は、第2情報取得部に対応する。
【0077】
出荷すべき卵2の品質に応じて、卵2の分類先を決定するための基準は調整される必要がある。例えば、出荷すべき卵2の品質が高い場合は、卵殻の破損が許容されず、出荷すべき卵2の品質が低くてもよい場合は、卵殻の破損が許容される。卵2の分類先を決定するための基準を調整することにより、必要な品質の卵2が得られるように適切に卵2を分類することが可能となる。或いは、出荷すべき卵2の品質に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデル515を調整することによっても、判定した卵殻の状態に応じて適切に卵2を分類することが可能となる。
【0078】
演算部511は、次に、卵2の産卵からの経過時間を表す情報を取得する(S24)。S24では、演算部511は、入力装置38から、卵2が産卵されてからの経過時間の推定値を表す情報をインタフェース部518を通じて受け付ける。又は、演算部511は、入力装置38から、生産場にて飼育されている家禽を照明する時刻及び卵2が搬入された時刻を表す情報を受け付け、受け付けた情報に基づいて産卵からの経過時間の推定値を計算してもよい。S24の処理は、第3情報取得部に対応する。
【0079】
産卵されてからの経過時間に応じて、卵2の状態は変化する。このため、産卵されてからの経過時間に応じて、卵2に打撃を付与することによって発生する現象は変化し、取得される打撃データは変化する。例えば、経過時間に応じて、打撃音の時間経過を表した波形又は打撃音のスペクトル波形が変化する。正確に卵殻の状態を判定し、適切に卵2を分類するためには、卵2が産卵されてからの経過時間に応じて、卵殻の状態を判定するために用いる学習モデル515を調整することが望ましい。或いは、判定された卵殻の状態に応じて卵2の分類先を決定するための基準を、卵2が産卵されてからの経過時間に応じて調整することによっても、適切に卵2を分類することが可能となる。
【0080】
演算部511は、次に、S32の処理で用いるべき学習モデルを選択する(S25)。学習モデル515は、パラメータの異なる複数の学習モデルを含んでいる。S25では、演算部511は、学習モデル515が含んでいる複数の学習モデルから、S32の処理で用いるべき学習モデルを選択する。より詳しくは、演算部511は、卵2の形状、サイズ又は重量、打撃部53の状態又は環境、出荷すべき卵2の品質、並びに産卵からの経過時間に応じて、適切な学習モデルを選択する。S32の処理では、S25で選択された学習モデルが使用され、適切に卵2の卵殻の状態が判定される。
【0081】
演算部511は、次に、S5の処理で用いるべき卵2の分類の基準を調整する(S26)。S26では、演算部511は、卵2の形状、サイズ又は重量、打撃部53の状態又は環境、出荷すべき卵2の品質、並びに産卵からの経過時間に応じて、卵2の分類の基準を調整する。例えば、演算部511は、卵2の分類先を決定するために利用される卵殻の破損の大きさの基準を、変更する。S5の処理では、S26で調整された基準が使用され、適切に卵2の分類先が決定される。S25及びS26の処理は、第1調整部、第2調整部、第3調整部及び第4調整部に対応する。S26が終了した後、演算部511は、処理をメインの処理へ戻す。
【0082】
なお、分析部51は、S25及びS26の処理の内、いずれか一方のみを実行してもよい。また、分析部51は、S21~S24の処理の内、一部のみを実行し、実行した処理で取得した情報に基づいてS25又はS26の処理を実行してもよい。また、S22~S24の処理で取得される情報は、複数の卵2に共通する情報であるので、分析部51は、各卵2について行うS1~S6の処理とは別に、S22~S24の処理と設定とを行ってもよい。例えば、複数の卵2を搬送する前に、分析部51は、S22~S24の一部又は全部の処理を行い、取得した情報に応じて、学習モデルの選択又は分類の基準の調整を行う。S2の設定処理では、演算部511は、S21の処理を行い、取得した情報に応じて、学習モデルの選択又は分類の基準の調整を行う。
【0083】
以上詳述した如く、本実施形態においては、打撃分析装置5は、夫々の卵2に打撃を付与し、発生する現象を表す打撃データを取得し、学習モデル515によって、打撃データに応じて卵殻の状態を判定し、判定結果に応じて卵2の分類先を決定する。卵殻の状態を判定するために学習モデル515を利用することにより、卵殻の状態の判定に影響を与える種々の要因が存在する中でも、より正確に卵殻の状態を判定し、より適切に卵2を分類することが可能となる。また、本実施形態においては、打撃分析装置5は、卵殻の状態として、卵殻形成時の異常、卵殻の破損の有無、破損の大きさの程度、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定する。卵殻形成時の異常、卵殻の破損の有無、破損の大きさの程度、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性は、卵2を分類する際の指標となる。これらの卵殻の状態に応じて卵2を分類することにより、卵2の選別を適切に行うことが可能となる。
【0084】
本実施形態では、打撃分析装置5は、学習モデル515を再学習することが可能である。
図10は、打撃分析装置5の分析部51が行う再学習の処理の手順を示すフローチャートである。分析部51の演算部511は、コンピュータプログラム52に従って以下の処理を実行する。再学習を行う際には、卵殻の状態が判明している卵2に打撃を付与して打撃データを取得し、卵殻の状態を表す情報と取得した打撃データとを教師データとして、再学習を行う。まず、使用者は、搬送装置11を停止させた状態で、卵殻の状態が判明している卵2を搬送装置11の搬送路上に配置する。分析部51は、使用者が操作部516を操作することによって、卵殻の状態を表す情報を含む、卵殻の状態が判明している卵2に関する設定を受け付ける(S41)。演算部511は、受け付けた設定の内容を表すデータを記憶部514に記憶する。S41の処理は受付部に対応する。
【0085】
図11は、再学習の際に表示部517に表示される画面例を示す模式図である。
図11は、操作部516及び表示部517がタッチパネルを構成している例を示しており、画面中には操作部516の一部である操作ボタンが含まれている。
図11Aは、設定時に表示部517に表示される画面の例を示す。使用者が操作部516を操作することによって設定が入力される。搬送装置11によって卵2が搬送される複数の列の内、卵殻の状態が判明している卵2が載置される列を指定する列Noが入力される。また、配置される卵2の個数、卵2の配置の方法、及び卵殻の破損の程度を指定する情報が入力される。卵殻の破損の程度を指定する情報は、卵殻の状態を表す情報である。
図11には、列Noとして1が入力され、個数として30が入力され、卵2の配置の方法として「1個置き」が入力された例を示す。「1個置き」とは、複数の卵2を、卵一個分の隙間を開けながら並べることを意味する。
図11には、卵殻の破損の程度として、Lv3が入力された例を示す。Lvはレベルを意味している。レベルの数値は卵殻の破損の程度を表しており、数値に卵殻の破損の規模の大小が対応している。
図11Aの例では、列Noが1である位置に、破損の程度がLv3である卵2が1個置きに30個並べて配置されるという設定が入力されている。
【0086】
演算部511は、次に、打撃データを取得する(S42)。S42では、
図11Aに示す画面上で使用者が開始ボタンを押下する等、使用者が操作部516を操作することにより、演算部511は、打撃データの取得の指示を受け付ける。搬送装置11は卵2を搬送し、演算部511は、打撃部53に卵2へ打撃を付与させ、S1の処理と同様にして、打撃データ取得部54から、夫々の卵2に関する打撃データを取得する。演算部511は、打撃データを記憶部514に記憶する。
【0087】
演算部511は、次に、判定処理を行う(S43)。S43では、
図11Aに示す画面上で使用者が終了ボタンを押下する等、使用者が操作部516を操作することにより、演算部511は、判定の指示を受け付ける。演算部511は、S3の処理と同様にして、取得した打撃データに基づいて卵2の卵殻の状態を判定する判定処理を行う。演算部511は、卵殻の状態の判定結果を表示部517に表示させる。
図11Bは、判定結果が表示された画面例を示す。30個の卵2の夫々について、卵殻の状態の判定結果が示されている。正常卵は、卵2に破損が無いことを意味している。
図11Bに示す例では、設定された卵殻の破損の程度がLv3であるのに対して、判定結果がLv3とは異なっている卵2が多く、正確に判定が行われていないことが示唆されている。
【0088】
演算部511は、次に、打撃データのチェックを行う(S44)。打撃部53若しくは打撃データ取得部54等の機器の不具合、又は何らかの偶然によって、打撃データが異常になることがある。例えば、ノイズの混入によって打撃データが大きく変化することがある。打撃データが異常である場合は、打撃データを利用した再学習は不正確な学習になる。このため、打撃データのチェックが必要となる。S44では、
図11Bに示す画面上で使用者がチェックボタンを押下する等、使用者が操作部516を操作することにより、演算部511は、チェックの指示を受け付ける。演算部511は、機器の不具合の有無を判定するか、又は所定の基準に基づいて打撃データに異常があるか否かを判定する等の方法により、打撃データのチェックを行う。
【0089】
演算部511は、次に、チェックの結果、打撃データに異常があったか否かを判定する(S45)。異常があった場合は(S45:YES)、異常があったことを表示部517に表示させ、処理を終了する。異常が無かった場合は(S45:NO)、異常が無かったことを表示部517に表示させ、次に、再学習の処理を行う(S46)。
【0090】
図11Cは、打撃データに異常が無かった場合の画面例を示す。打撃データに異常が無いことが表示されており、教示ボタンが使用可能になっている。
図11Cに示す画面上で使用者が教示ボタンを押下する等、使用者が操作部516を操作することにより、演算部511は、再学習の指示を受け付ける。
図11Dは、打撃データに異常がある場合の画面例を示す。打撃データに異常があることが表示されている。教示ボタンが使用できないようになっており、使用者は再学習の指示を入力することができない。
【0091】
S46では、演算部511は、S41で受け付けた設定に含まれる卵殻の状態を表す情報と、S42で取得した各卵2についての打撃データとの関係を教師データとして、学習モデル515の機械学習を行う。学習モデル515は、打撃データが入力層のノード551へ入力され、設定に応じた卵殻の状態が出力層のノード553から出力されることができるように、教師データに基づいて中間層の各ノード552のパラメータを調整する機械学習を行う。機械学習によって、再学習された学習モデル515が得られる。S46の処理は再学習部に対応する。
【0092】
分析部51は、以上で再学習の処理を終了する。S41~S46の処理は必要に応じて実行される。S41~S46の処理では、複数の卵2についての打撃データの何れかに異常があれば学習モデル515の再学習を行わない。代替的に、分析部51は、打撃データに異常のある卵2と打撃データに異常の無い卵2との両方がある場合に、打撃データに異常の無い卵2のみについて再学習を行ってもよい。
【0093】
図11には卵殻の状態が同じカテゴリーに分けられる複数の卵2を用いて再学習を行う例を示したが、打撃分析装置5は、卵殻の状態が異なるカテゴリーに分けられる複数の卵2を用いて再学習を行う形態であってもよい。
図12は、再学習の際に表示部517に表示される他の画面例を示す模式図である。複数の列に並べられる複数の卵2の夫々について、卵殻の破損の程度が入力されている。卵2が配置される位置を示すために、複数の列の一つを構成している列Noが入力されている。
図11に示した例と同様にして、打撃データが取得され、判定が行われ、打撃データのチェックが行われ、各卵2について入力された卵殻の状態を表す情報と各卵2について取得された打撃データとを教師データとして、再学習が行われる。
【0094】
図11及び
図12には、卵殻の状態が卵殻の破損の有無及び卵殻の破損の程度である例を示したが、打撃分析装置5は、卵殻の状態を、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性として再学習を行う形態であってもよい。例えば、演算部511は、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を表す情報を含む設定を受け付けることによりS41の処理を行う。複数の卵2についての卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性は、ルールベースで判定を行う方法等、学習モデルを用いる方法とは別の方法で求めておく。S46では、演算部511は、卵殻の厚み、卵殻の強度、又は卵殻の剛性を表す情報を含む教師データを用いて再学習を行う。
【0095】
図11及び
図12には、正常卵ではない卵2を用いて再学習を行う例を示したが、打撃分析装置5は、正常卵である卵2を用いて再学習を行う形態であってもよい。正常卵である複数の卵2が搬送路上に配置され、演算部511は、S41で、正常卵である卵2に関する設定を受け付ける。S42で、打撃分析装置5は、正常卵である卵2に打撃を付与し、打撃データを取得する。S46では、正常卵の卵殻の状態を表す情報と、各卵2についての打撃データとの関係を教師データとして、学習モデル515の機械学習が行われる。
【0096】
なお、打撃分析装置5は、学習を外部で行う形態であってもよい。
図13は、学習を外部で行う打撃分析装置5の機能構成例を示すブロック図である。分析部51は、通信部519を備える。通信部519は、インターネット等の通信ネットワークNに接続する。通信ネットワークNには、記憶装置7が接続されている。分析部51は、通信部519により、通信ネットワークNを介して記憶装置7との間で通信を行う。
【0097】
図14は、記憶装置7の内部構成例を示すブロック図である。記憶装置7は、サーバ装置等のコンピュータである。記憶装置7は、演算部71と、メモリ72と、ハードディスク等の不揮発性の記憶部73と、通信部74とを備えている。通信部74は、通信ネットワークNに接続する。記憶部73は、コンピュータプログラム731を記憶している。演算部71は、コンピュータプログラム731に従って処理を実行する。
【0098】
S46では、分析部51は、S41で受け付けた設定に含まれる卵殻の状態を表す情報とS42で取得した各卵2についての打撃データとを含む教師データを、記憶装置7へ送信する。記憶装置7は、通信部74で教師データを受信し、演算部71は教師データを記憶部73に記憶する。演算部71は、教師データを用いて、学習モデルの機械学習を行い、学習モデルの学習結果を表した学習結果データを記憶部73に記憶する。更に、演算部71は、通信部74に打撃分析装置5へ学習結果データを送信させる。分析部51は、通信部519で学習結果データを受信し、演算部511は、学習結果データに基づいて学習モデル515を更新する。このようにして、学習モデル515の再学習が行われる。
【0099】
以上詳述した如く、本実施形態においては、打撃分析装置5は、卵殻の状態が判明している卵2について、卵殻の状態を表す情報を受け付け、打撃データを取得し、卵殻の状態を表す情報及び打撃データを教師データとして学習モデル515の再学習を行う。実際の卵の卵殻の状態に応じて学習モデル515が再学習されるので、より正確に卵殻の状態を判定することができるように学習モデル515が更新される。このため、より正確に卵殻の状態を判定し、より適切に卵2を分類することが可能となる。
【0100】
(実施形態2)
図15は、実施形態2に係る打撃データ取得部54の構成例を示すブロック図である。打撃データ取得部54以外の打撃分析装置5の構成は、実施形態1と同様である。また、打撃分析装置5以外の卵分類システム100の構成は、実施形態1と同様である。
【0101】
打撃データ取得部54は、複数の個別データ取得部543を有する。個別データ取得部543は、受光部546と、動作検出部542とを含む。受光部546は、卵2に打撃を付与した叩き棒531に発生する応力発光を測定する。叩き棒531は、応力発光を発生させる材料を用いて構成されている。例えば、受光部546は、光センサを用いて構成されている。応力発光を表すデータは、例えば、受光部546が受光した光の強度を表すデータを表すデータである。打撃部53が叩き棒531とは異なる手段で卵2に打撃を付与する形態であっても、受光部546は、卵2に打撃を付与する物体から発生する応力発光を測定してもよい。
【0102】
夫々の叩き棒531の近傍に個別データ取得部543が配置されており、夫々の個別データ取得部543は、個別に打撃データを取得し、打撃データを分析部51へ入力する。打撃データは、受光部546が測定した光を表すデータを含む。夫々の受光部546は個別に応力発光を測定し、打撃データ取得部54は、一つの卵2について複数回の応力発光を表すデータを含む打撃データを取得する。また、個別データ取得部543は、動作検出部542が検出した叩き棒531の動作を表すデータを分析部51へ入力する。なお、個別データ取得部543は、動作検出部542を含まない形態であってもよい。実施形態1と同様に、打撃データ取得部54は、環境情報取得部544と、劣化情報取得部545とを有している。
【0103】
応力発光は、卵殻の状態に応じて変化する。卵殻の破損の無い部分に打撃を付与した場合は、叩き棒531に加わる外力は大きく、卵殻の破損のある部分に打撃を付与した場合は、外力は小さくなる。卵殻の破損の程度が大規模になるほど、叩き棒531に加わる外力は小さくなり、応力発光の強度は低下する。例えば、一つの卵2についての複数回の応力発光(卵2の複数の部分に打撃を付与したときに夫々に発生した応力発光)の中に、強度が所定の閾値以下である応力発光がある場合に、卵殻にある程度以上の破損があると判定することができる。このように、応力発光に応じて、卵殻の破損の有無、又は破損の大きさの程度を判定することができる。同様に、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性に応じて、応力発光は変化する。このため、同様にして、応力発光に応じて、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定することができる。従って、応力発光を表すデータを含む打撃データに応じて卵殻の状態を判定することが可能である。
【0104】
打撃分析装置5の分析部51が行う卵2を分類するための処理の手順は、実施形態1と同様である。学習モデル515は、応力発光を表すデータを打撃データに含む教師データを用いて、予め学習されている。S32の処理では、打撃データに含まれる応力発光を表すデータが学習モデル515の入力層へ入力される。学習モデル515は、一つの卵2についての打撃複数回分の応力発光を表すデータから卵2の状態を判定する形態であってよい。打撃複数回分の応力発光を表すデータは、並列に学習モデル515の入力層へ入力され、判定が行われる。
【0105】
代替的に、学習モデル515は、打撃一回分の応力発光を表すデータから卵2の状態を判定する形態であってもよい。この形態では、S32の処理において、演算部511は、一つの卵2についての打撃複数回分の応力発光を表すデータを、順次的に学習モデル515へ入力する。学習モデル515は、応力発光を表すデータが入力される都度、卵殻の状態を判定する。演算部511は、一のデータを学習モデル515へ入力し、学習モデル515により卵殻に破損が無いと判定された場合に、次のデータを学習モデル515へ入力する。一つの卵2に関する打撃複数回分の応力発光を表すデータの全てについて学習モデル515により卵殻に破損が無いと判定された場合に、演算部511は、卵殻に破損が無いと判定する。一つの卵2に関するいずれか一つの応力発光を表すデータについて学習モデル515により卵殻に破損があると判定された場合に、演算部511は、当該卵2についての判定を終了し、卵殻に破損があると判定する。この形態では、学習モデル515が簡略化され、S32の処理を短縮する可能性がある。
【0106】
また、学習モデル515は、打撃データとして応力発光を表す画像データを入力され、卵殻の状態を出力する形態であってもよい。応力発光を表す画像データは、打撃を卵2に付与してからの経過時間と光の強度との関係を表したグラフの画像データである。また、実施形態1と同様に、学習モデル515は、卵殻の状態として、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定してもよい。
【0107】
実施形態2においては、打撃分析装置5は、卵2に打撃を付与し、打撃データとして、打撃によって発生する応力発光を表すデータを取得し、学習モデル515によって、打撃データに応じて卵殻の状態を判定し、判定結果に応じて卵2の分類先を決定する。実施形態2においても、打撃分析装置5は、卵殻の状態を判定するために学習モデル515を利用することにより、卵殻の状態の判定に影響を与える種々の要因が存在する中でも、より正確に卵殻の状態を判定し、より適切に卵2を分類することが可能となる。
【0108】
また、実施形態2においても、打撃分析装置5は、学習モデル515を再学習することが可能である。分析部51が行う再学習の処理の手順は、実施形態1と同様である。S42の処理では、演算部511は、打撃データとして、打撃によって発生する応力発光を表すデータを取得する。S46の処理では、演算部511は、卵殻の状態を表す情報と、応力発光を表すデータである打撃データとの関係を教師データとして、学習モデル515の機械学習を行う。実際の卵の卵殻の状態及び応力発光に応じて学習モデル515が再学習され、より正確に卵殻の状態を判定し、より適切に卵2を分類することが可能となる。更に、実施形態2においても、打撃分析装置5は、学習を外部で行う形態であってもよい。
【0109】
(実施形態3)
図16は、実施形態3に係る打撃データ取得部54の構成例を示すブロック図である。打撃データ取得部54以外の打撃分析装置5の構成は、実施形態1と同様である。また、打撃分析装置5以外の卵分類システム100の構成は、実施形態1と同様である。
【0110】
打撃データ取得部54は、複数の個別データ取得部543を有する。個別データ取得部543は、動作検出部542を含む。動作検出部542は、卵2に打撃を付与した後の叩き棒531の跳ね返りの大きさ、及び卵2に打撃を付与する際に叩き棒531の先端が下方へ移動する距離を検出する。例えば、動作検出部542は、回動軸532の回動角度を検出するセンサ、及び叩き棒531の先端が下方へ移動する時間を検出するセンサを用いて構成されている。例えば、叩き棒531の跳ね返りの大きさは、卵2に打撃を付与した後に回動軸532が回動した回動角度で表される。夫々の叩き棒531に動作検出部542が設けられている。夫々の個別データ取得部543は、動作検出部542が検出した叩き棒531の動作を表すデータを含む打撃データを取得し、打撃データを分析部51へ入力する。打撃部53が叩き棒531とは異なる手段で卵2に打撃を付与する形態であっても、動作検出部542は、卵2に打撃を付与する物体の動作を検出してもよい。実施形態1と同様に、打撃データ取得部54は、環境情報取得部544と、劣化情報取得部545とを有している。
【0111】
卵殻の破損の無い部分に打撃を付与した場合、卵2に打撃を付与した後の叩き棒531は跳ね返り易く、卵殻の破損のある部分に打撃を付与した場合は、叩き棒531は跳ね返り難い。卵殻の破損の程度が大規模になるほど、叩き棒531はより跳ね返り難い。このため、卵2に打撃を付与した後の叩き棒531の跳ね返りの大きさに応じて、卵殻の破損の有無、又は破損の大きさの程度を判定することができる。例えば、一つの卵2についての複数回の跳ね返りの中に、大きさが所定の閾値以下である跳ね返りがある場合に、卵殻にある程度以上の破損があると判定することができる。同様に、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性に応じて、跳ね返りの大きさは変化する。このため、同様にして、叩き棒531の跳ね返りに応じて、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定することができる。従って、叩き棒531の動作を表すデータを含む打撃データに応じて卵殻の状態を判定することが可能である。
【0112】
打撃分析装置5の分析部51が行う卵2を分類するための処理の手順は、実施形態1と同様である。学習モデル515は、叩き棒531の動作を表すデータを打撃データに含む教師データを用いて、予め学習されている。S32の処理では、打撃データに含まれる叩き棒531の動作を表すデータが学習モデル515の入力層へ入力される。入力されるデータは、例えば、卵2に打撃を付与した後の叩き棒531の跳ね返りの大きさを回動軸532の回動角度で表したデータである。学習モデル515は、一つの卵2についての打撃複数回分の叩き棒531の動作を表すデータから卵2の状態を判定する形態であってよい。打撃複数回分の応力発光を表すデータは、並列に学習モデル515の入力層へ入力され、判定が行われる。
【0113】
代替的に、学習モデル515は、打撃一回分の叩き棒531の動作を表すデータから卵2の状態を判定する形態であってもよい。この形態では、S32の処理において、演算部511は、一つの卵2についての打撃複数回分の叩き棒531の動作を表すデータを、順次的に学習モデル515へ入力する。学習モデル515は、叩き棒531の動作を表すが入力される都度、卵殻の状態を判定する。演算部511は、一のデータを学習モデル515へ入力し、学習モデル515により卵殻に破損が無いと判定された場合に、次のデータを学習モデル515へ入力する。一つの卵2に関する打撃複数回分の叩き棒531の動作を表すデータの全てについて学習モデル515により卵殻に破損が無いと判定された場合に、演算部511は、卵殻に破損が無いと判定する。一つの卵2に関するいずれか一つの叩き棒531の動作を表すデータについて学習モデル515により卵殻に破損があると判定された場合に、演算部511は、当該卵2についての判定を終了し、卵殻に破損があると判定する。この形態では、学習モデル515が簡略化され、S32の処理を短縮する可能性がある。
【0114】
また、学習モデル515は、打撃データとして叩き棒531の動作を表す画像データを入力され、卵殻の状態を出力する形態であってもよい。叩き棒531の動作を表す画像データは、例えば、打撃を卵2に付与してからの経過時間と回動軸532の回動角度との関係を表したグラフの画像データである。また、実施形態1と同様に、学習モデル515は、卵殻の状態として、卵殻形成時の異常、卵殻の厚み、卵殻の強度、卵殻の弾性率、卵殻の剛性を判定してもよい。
【0115】
実施形態3においては、打撃分析装置5は、叩き棒531を用いて卵2に打撃を付与し、打撃データとして、叩き棒531の動作を表すデータを取得し、学習モデル515によって、打撃データに応じて卵殻の状態を判定し、判定結果に応じて卵2の分類先を決定する。実施形態3においても、打撃分析装置5は、卵殻の状態を判定するために学習モデル515を利用することにより、卵殻の状態の判定に影響を与える種々の要因が存在する中でも、より正確に卵殻の状態を判定し、より適切に卵2を分類することが可能となる。
【0116】
また、実施形態3においても、打撃分析装置5は、学習モデル515を再学習することが可能である。分析部51が行う再学習の処理の手順は、実施形態1と同様である。S42の処理では、演算部511は、打撃データとして、叩き棒531の動作を表すデータを取得する。S46の処理では、演算部511は、卵殻の状態を表す情報と、叩き棒531の動作を表すデータである打撃データとの関係を教師データとして、学習モデル515の機械学習を行う。実際の卵の卵殻の状態及び叩き棒531の動作に応じて学習モデル515が再学習され、より正確に卵殻の状態を判定し、より適切に卵2を分類することが可能となる。更に、実施形態2においても、打撃分析装置5は、学習を外部で行う形態であってもよい。
【0117】
なお、打撃分析装置5は、実施形態1~3に係る機能をすべて備えた形態であってもよい。この形態では、打撃データ取得部54は、打撃音取得部541、受光部546及び動作検出部542を含み、打撃音、応力発光及び叩き棒531の動作を表すデータを含む打撃データを取得する。S32の処理では、打撃音、応力発光及び叩き棒531の動作を表すデータが学習モデル515の入力層へ入力される。学習モデル515は、打撃音を表すデータを入力される学習モデルと、応力発光を表すデータを入力される学習モデルと、叩き棒531の動作を表すデータを入力される学習モデルとを個別に含んでいてもよい。この場合、S32では、演算部511は、夫々の学習モデルを用いて判定を行い、打撃音、応力発光及び叩き棒531の動作の夫々に応じた判定結果に基づいて、卵殻の状態を判定する。例えば、打撃音、応力発光及び叩き棒531の動作に応じて得られたスコアの平均、又は重み付き平均を計算することによって、最終的なスコアを得る。
【0118】
実施形態1~3においては、打撃分析装置5が自身で卵殻の状態を判定する形態を示したが、卵分類システム100は、打撃分析装置5の外部で卵殻の状態を判定する形態であってもよい。例えば、学習済みの学習モデルを含んだ判定装置が打撃分析装置5の外部に設けられている。打撃分析装置5は、打撃データを取得し、打撃データを判定装置へ入力する。判定装置は、学習モデルによって、入力された打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する。判定装置は、判定結果を打撃分析装置5へ入力し、打撃分析装置5は、入力された判定結果に応じて、卵2の分類先を決定する。判定装置は、コンピュータを用いて構成されている。判定装置は、複数のコンピュータで構成されてもよく、クラウドを利用して実現されてもよい。
【0119】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0120】
(付記1)
卵を分類するための卵分類システムにおいて、
卵の分類先を決定する第1の卵分類装置及び第2の卵分類装置と、
前記第1の卵分類装置又は前記第2の卵分類装置が決定した分類先に応じて、卵を分配する分配装置とを備え、
前記第1の卵分類装置は、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する判定部と、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部とを有し、
前記第2の卵分類装置は、卵の内部の状態を表す情報及び前記卵を透過した光を表す透過光データを含む教師データを用いて学習された深層学習モデルを有し、卵を透過した光を表す透過光データを取得し、前記深層学習モデルによって、取得した前記透過光データに基づいて卵の内部の状態を判定し、卵の内部の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定すること
を特徴とする卵分類システム。
【0121】
(付記2)
卵の分類先を決定する第3の卵分類装置を更に備え、
前記第3の卵分類装置は、卵の状態を表す情報及び前記卵を撮影した画像を表す画像データを含む教師データを用いて学習された学習モデルを有し、卵を撮影した画像を表す画像データを取得し、前記学習モデルによって、取得した前記画像データに基づいて卵の状態を判定し、卵の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定し、
前記分配装置は、前記第1の卵分類装置、前記第2の卵分類装置又は前記第3の卵分類装置が決定した分類先に応じて、卵を分配すること
を特徴とする付記1に記載の卵分類システム。
【0122】
(付記3)
卵を分類するための卵分類システムにおいて、
卵の分類先を決定する第1の卵分類装置及び第3の卵分類装置と、
前記第1の卵分類装置又は前記第3の卵分類装置が決定した分類先に応じて、卵を分配する分配装置とを備え、
前記第1の卵分類装置は、
卵に打撃を付与することによって発生する現象を表す打撃データを取得する打撃データ取得部と、
卵殻の状態を表す情報及び前記卵についての打撃データを含む教師データを用いて学習された学習モデルによって、前記打撃データ取得部が取得した打撃データに応じて、卵殻の状態を判定する判定部と、
卵殻の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定する決定部とを有し、
前記第3の卵分類装置は、卵の状態を表す情報及び前記卵を撮影した画像を表す画像データを含む教師データを用いて学習された学習モデルを有し、卵を撮影した画像を表す画像データを取得し、前記学習モデルによって、取得した前記画像データに基づいて卵の状態を判定し、卵の状態の判定結果に応じて、卵の分類先を決定すること
を特徴とする卵分類システム。
【符号の説明】
【0123】
11 搬送装置
12 分配装置
13、14 コンベヤ
100 卵分類システム
2 卵
5 打撃分析装置
51 分析部
511 演算部
515 学習モデル
52 コンピュータプログラム
53 打撃部
531 叩き棒
54 打撃データ取得部
541 打撃音取得部
542 動作検出部
543 個別データ取得部
546 受光部
7 記憶装置
N 通信ネットワーク