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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】綴じ具
(51)【国際特許分類】
   B42F 13/26 20060101AFI20221214BHJP
   B42F 13/22 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B42F13/26
B42F13/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019077334
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020175524
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 莞二
(72)【発明者】
【氏名】有本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】岩本 真一
(72)【発明者】
【氏名】長和 伸晃
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3217876(JP,U)
【文献】特開2000-141973(JP,A)
【文献】特許第5374721(JP,B2)
【文献】特開2007-030321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 13/26
B42F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のベース及び該ベースから突出し、前記ベースに沿って軸方向に並んだ複数の半リングとを有する二つの部材を備え、一方の前記部材における前記半リングの先端部と、他方の前記部材における前記半リングの先端部とを係合させる綴じ具であって、
前記複数の半リングは、
前記ベースの軸方向端部に配置された第一半リング部と、
前記ベースの軸方向中央部に配置され、前記第一半リング部よりも柔軟な第二半リング部とを含む
綴じ具。
【請求項2】
前記二つの部材それぞれの前記第一半リング部は互いに嵌合する嵌合構造を有し、前記第一半リング部の厚みは前記第二半リング部の厚みよりも大きい
請求項1に記載の綴じ具。
【請求項3】
前記一方の部材における前記第二半リング部の先端部分と、前記他方の部材における前記第二半リング部の先端部分とは、前記ベースの反対側に向けて突出するようにそれぞれ湾曲し、係合時に前記第二半リング部の径方向に重畳する
請求項1又は2に記載の綴じ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、例えば紙葉を綴じる綴じ具に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状のベースと、該ベースから突出し、前記ベースに沿って軸方向に並んだ複数の半リング部とを有する二つの部材を備える綴じ具が従来提案されている。綴じ具は、紙葉に形成した孔に半リング部を挿入させて、二つの部材における半リング部それぞれの先端部分を突き合わせて、紙葉を綴じる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019―25844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
綴じ具に綴じた紙葉にユーザが筆記しているときに、ユーザの手又は腕が綴じ具に当たり、筆記の妨げとなるおそれがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、筆記の妨げとなることを抑制することができる綴じ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る綴じ具は、棒状のベース及び該ベースから突出し、前記ベースに沿って軸方向に並んだ複数の半リングとを有する二つの部材を備え、一方の前記部材における前記半リングの先端部と、他方の前記部材における前記半リングの先端部とを係合させる綴じ具であって、前記複数の半リングは、前記ベースの軸方向端部に配置された第一半リング部と、前記ベースの軸方向中央部に配置され、前記第一半リング部よりも柔軟な第二半リング部とを含む。
【0007】
ユーザの手又は腕は、筆記中に、ベースの軸方向中央部に配置されたリングに当たることが多い。本開示においては、柔軟な第二半リング部をベースの軸方向中央部に配置することによって、ユーザの手又は腕が第二半リング部に当たった場合、第二半リング部は変形し、筆記の妨害が抑制される。
【0008】
本開示に係る綴じ具は、前記二つの部材それぞれの前記第一半リング部は互いに嵌合する嵌合構造を有し、前記第一半リング部の厚みは前記第二半リング部の厚みよりも大きい。
【0009】
本開示においては、第一半リング部が嵌合構造を有し、また第二半リング部よりも大きい厚みを有し、高い剛性を有するので、紙葉を綴じた場合、綴じ具は容易には開かない。
【0010】
本開示に係る綴じ具は、前記一方の部材における前記第二半リング部の先端部分と、前記他方の部材における前記第二半リング部の先端部分とは、前記ベースの反対側に向けて突出するようにそれぞれ湾曲し、係合時に前記第二半リング部の径方向に重畳する。
【0011】
本開示においては、先端部分を重畳させることによって、第二半リング部によって紙葉を綴じることができる。またベースの反対側に向けて突出するように第二半リング部は湾曲するので、軸方向に沿って第二半リング部が移動することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る綴じ具にあっては、柔軟な第二半リング部をベースの軸方向中央部に配置することによって、ユーザの手又は腕が第二半リング部に当たった場合、第二半リング部は変形し、筆記の妨害を抑制できる。即ち、紙葉の挿脱と筆記の妨害の回避とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】綴じ具の略示分解平面図である。
図2】左嵌合半リング部及び右嵌合半リング部の略示拡大平面図である。
図3図2に示すIII-III線を切断線とした略示断面図である。
図4】左嵌合半リング部の上部の略示右側面拡大図及び右嵌合半リング部の上部の略示左側面拡大図である。
図5】左嵌合半リング部及び右嵌合半リング部の上部の略示底面拡大図である。
図6図2に示すVI-VI線を切断線とした左嵌合半リング部の略示断面図、及びVI-VI線に対応した位置にて切断した右嵌合半リング部の略示断面図である。
図7】左上半リング部及び右下半リング部の略示正面断面図、並びに右上半リング部及び左下半リング部の略示背面断面図である。
図8】左上半リング部の上部の部分拡大右側面図、及び右上半リング部の上部の部分拡大左側面図である。
図9】右下半リング部の上部の部分拡大左側面図、及び左下半リング部の上部の部分拡大左側面図である。
図10】構成を一部変更した左嵌合半リング部及び右嵌合半リング部の略示拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施の形態に係る綴じ具1を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下左右前後を使用する。図1は、綴じ具1の略示分解平面図である。綴じ具1は、孔を形成した紙葉及び表紙を綴じることができる。
【0015】
綴じ具1は、左右にそれぞれ配置された第一部材10及び第二部材20を備える。第一部材10は棒状のベース11を備える。ベース11は前後方向に延びる。即ちベース11の軸方向は前後方向である。ベース11の下側に複数のフック12が前後方向に並設されている。ベース11の後端部に後カバー13が設けられている。後カバー13は有底筒状をなし、その底面は後側に配置され、開口は前側に配置される。複数のフック12には後述のシャフトが掛止され、シャフトの後端は後カバー13に挿入される。ベース11には、左側に膨らんだ複数の左嵌合半リング部14と、左側に膨らんだ複数の左上半リング部15と、左側に膨らんだ複数の左下半リング部16とが前後方向に並設されている。
【0016】
左嵌合半リング部14はベース11の上端部及び下端部に配置され、ベース11から上方に突出する。例えば、ベース11の上端部及び下端部それぞれに、三つの左嵌合半リング部14が設けられている。なお左嵌合半リング部14の数は三つに限定されず、二つ以下でもよいし、四つ以上でもよい。左上半リング部15と、左下半リング部16とはベース11の中央部分に交互に配置され、ベース11から上方に突出する。左上半リング部15の上端部は左下半リング部16の上端部よりも右側に延びる。左嵌合半リング部14、左上半リング部15及び左下半リング部16の軸方向は前後方向である。左嵌合半リング部14は第一半リング部に対応し、左上半リング部15及び左下半リング部16は第二半リング部に対応する。
【0017】
第二部材20は棒状のベース21を備える。ベース21は前後方向に延びる。即ちベース21の軸方向は前後方向である。ベース21の下側に複数のフック22が前後方向に並設されている。第一部材のフック12と第二部材20のフック22とは、前後方向に沿って、千鳥状に配置される。ベース21の前端部に前カバー23が設けられている。前カバー23は有底筒状をなし、その底面は前側に配置され、開口は後側に配置される。複数のフック22には後述のシャフトが掛止され、シャフトの前端は前カバー23に挿入される。ベース21には、右側に膨らんだ複数の右嵌合半リング部24と、右側に膨らんだ複数の右上半リング部25と、右側に膨らんだ複数の右下半リング部26とが前後方向に並設されている。
【0018】
右嵌合半リング部24はベース21の上端部及び下端部に配置され、ベース21から上方に突出する。例えば、ベース21の上端部及び下端部それぞれに、三つの右嵌合半リング部24が設けられている。なお右嵌合半リング部24の数は三つに限定されず、二つ以下でもよいし、四つ以上でもよい。右嵌合半リング部24の先端部分は、左嵌合半リング部14の先端部分に対向する。
【0019】
右上半リング部25と、右下半リング部26とはベース21の中央部分に交互に配置され、ベース21から上方に突出する。右上半リング部25の上端部は右下半リング部26の上端部よりも右側に延びる。左右方向において、右上半リング部25は左下半リング部16に対向し、右下半リング部26は左上半リング部15に対向する。右嵌合半リング部24、右上半リング部25及び右下半リング部26の軸方向は前後方向である。右嵌合半リング部24は第一半リング部に対応し、右上半リング部25及び右下半リング部26は第二半リング部に対応する。
【0020】
綴じ具1はシャフトを備え、該シャフトは前後方向に延びる。第一部材10及び第二部材20のフック12、22はシャフトに掛止する。シャフトの前端は前カバー23に挿入され、後端は後カバー13に挿入される。第一部材10及び第二部材20はシャフトの軸回りに回転可能である。シャフトには、ばね3が取り付けられており、該ばね3は第一部材10を前側に付勢し、第二部材20を後側に付勢する。ばね3の付勢力によって、左嵌合半リング部14と、右嵌合半リング部24とは嵌合する。
【0021】
図2は、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24の略示拡大平面図、図3は、図2に示すIII-III線を切断線とした略示断面図である。左嵌合半リング部14の上部前側に凹部14aが形成されており、左嵌合半リング部14の先端部分には、前側に突出した凸部14bが形成されている。
【0022】
右嵌合半リング部24の上部後側に凹部24aが形成されており、右嵌合半リング部24の先端部分には、後側に突出した凸部24bが形成されている。右嵌合半リング部24の凸部24bの形状は、左嵌合半リング部14の凹部14aに倣った形状であり、左嵌合半リング部14の凸部14bの形状は、右嵌合半リング部24の凹部24aに倣った形状である。右嵌合半リング部24の凸部24bは左嵌合半リング部14の凹部14aに嵌合し、左嵌合半リング部14の凸部14bは、右嵌合半リング部24の凹部24aに嵌合する。ばね3の付勢力によって、嵌合した凹部14a、24a及び凸部14b、24bは容易には外れない。
【0023】
図4は、左嵌合半リング部14の上部の略示右側面拡大図及び右嵌合半リング部24の上部の略示左側面拡大図、図5は、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24の上部の略示底面拡大図、図6は、図2に示すVI-VI線を切断線とした左嵌合半リング部14の略示断面図、及びVI-VI線に対応した位置にて切断した右嵌合半リング部24の略示断面図である。図4図6において、右嵌合半リング部24の前後方向及び符号は括弧書きにて表されている。
【0024】
左嵌合半リング部14の上部内周面から板部14fが右側に突出している。板部14fは凹部14aの下側に配置されており、凸部14bよりも左側に配置されている。板部14f上面の前後方向中央部には下溝14gが形成されており、該下溝14gは左右方向に延びる。下溝14gの前側に、上方に突出した突出部14kが形成されている。下溝14gの前側面は、下溝14gの底面に対して傾斜した傾斜面14hを形成する。傾斜面14hは、後側に向かうに従って下降するように傾斜する。傾斜面14hは突出部14kの上面に連なる。
【0025】
左嵌合半リング部14の凸部14bの下部後側に上溝14cが形成されている。上溝14cは左右方向に延びる。凸部14bの下部前側に下側に突出した突出部14eが形成されている。上溝14cの前側面は傾斜面14dを形成し、該傾斜面14dは前側に向かうに従って下降するように傾斜する。傾斜面14dは突出部14eの下面に連なる。
【0026】
右嵌合半リング部24の上部にも、左嵌合半リング部14と同様に、板部24f、下溝24g、傾斜面24h及び突出部24kが形成されている。右嵌合半リング部24の下溝24gの後側面が傾斜面24hを形成し、該傾斜面24hは前側に向かうに従って下降するように傾斜する。突出部24kは板部24fの後部上面に形成される。
【0027】
右嵌合半リング部24の凸部24bの下部にも、左嵌合半リング部14の凸部14bと同様に、上溝24c、突出部24e及び傾斜面24dが形成されている。右嵌合半リング部24の上溝24cは凸部24bの前側に形成され、突出部24eは凸部24bの後側に形成されている。また凸部24bの傾斜面24dは後側に向かうに従って下降するように傾斜する。傾斜面24dは突出部24eの下端に連なる。
【0028】
左嵌合半リング部14の凸部14bの形状は、右嵌合半リング部24の凹部24aの形状に対応し、右嵌合半リング部24の凸部24bの形状は、左嵌合半リング部14の凹部14aの形状に対応する。綴じ具1を閉じた場合、左嵌合半リング部14の凸部14bは、右嵌合半リング部24の凹部24aに嵌合し、右嵌合半リング部24の凸部24bは、左嵌合半リング部14の凹部14aに嵌合する。
【0029】
左嵌合半リング部14の上溝14c、突出部14e及び傾斜面14dの位置は、右嵌合半リング部24の突出部24k、下溝24g及び傾斜面24hの位置にそれぞれ対応し、右嵌合半リング部24の上溝24c、突出部24e及び傾斜面24dの位置は、左嵌合半リング部14の突出部14k、下溝14g及び傾斜面14hの位置にそれぞれ対応する。綴じ具1を閉じた場合、左嵌合半リング部14の上溝14cには、右嵌合半リング部24の突出部24kが挿入され、左嵌合半リング部14の突出部14eは、右嵌合半リング部24の下溝24gに挿入され、左嵌合半リング部14の傾斜面14dは、右嵌合半リング部24の傾斜面24hに対向する。ユーザは、凸部24bに対して、前方への力を作用させることによって、突出部24eを傾斜面14hに沿って移動させて、嵌合を解除させることができる。
【0030】
右嵌合半リング部24の上溝24cには、左嵌合半リング部14の突出部14kが挿入され、右嵌合半リング部24の突出部24eは、左嵌合半リング部14の下溝14gに挿入され、右嵌合半リング部24の凸部24bの傾斜面24dは、左嵌合半リング部14の板部14fの傾斜面14hに対向する。突出部24eは下溝14gに嵌まるので、突出部24eは容易には外れない。ユーザは、凸部14bに対して、後方への力を作用させることによって、突出部24eを傾斜面14hに沿って移動させて、嵌合を解除させることができる。
【0031】
図7は、左上半リング部15及び右下半リング部26の略示正面断面図、並びに右上半リング部25及び左下半リング部16の略示背面断面図、図8は、左上半リング部15の上部の部分拡大右側面図、及び右上半リング部25の上部の部分拡大左側面図、図9は、右下半リング部26の上部の部分拡大左側面図、及び左下半リング部16の上部の部分拡大左側面図である。図7図9において、右上半リング部25及び左下半リング部16の前後方向と左右方向、並びに符号は括弧書きにて表されている。
【0032】
左上半リング部15の内周面に周方向に延びる溝15aが形成されている。左上半リング部15の先端部分に右方に突出した突出部15bが形成されている。突出部15bの下面15cは上方に突出するように湾曲している。図8に示すように、右側面視において下面15cは円弧状をなす。下面15cの左端に下方に突出した係止面15dが形成されている。係止面15dと左上半リング部15の内周面とは傾斜面15eを介して連なる。
【0033】
右下半リング部26の内周面に周方向に延びる溝26aが形成されている。右下半リング部26の先端部分の上面26bは、上方に突出するように湾曲している。図9に示すように、左側面視において上面26bは円弧状をなす。上面26bと下面15cとは対応した形状を有する。右下半リング部26の先端部分の端面は突き当たり面26cを形成する。綴じ具1を閉じた場合、突出部15bは上面26bの上側に配置され、上面26bと下面15cは対向し、突き当たり面26cは係止面15dに突き当たる。即ち、左上半リング部15の先端部分と右下半リング部26の先端部分とは、リングの径方向に重畳する。
【0034】
右上半リング部25も、左上半リング部15と同様に、溝25a、突出部25b、下面25c、係止面25d及び傾斜面25eを備え、左下半リング部16も、右下半リング部26と同様に、溝16a、上面16b及び突き当たり面16cを有する。前記溝25a、突出部25b、下面25c、係止面25d及び傾斜面25eは右側に配置され、前記溝16a、上面16b及び突き当たり面16cは左側に配置される。綴じ具1を閉じた場合、突出部25bは上面16bの上側に配置され、上面16bと下面25cは対向し、突き当たり面16cは係止面25dに突き当たる。即ち、右上半リング部25の先端部分と左下半リング部16の先端部分とは、リングの径方向に重畳する。
【0035】
図3に示すように、左嵌合半リング部14の中途部の厚みをA1とし、左嵌合半リング部14の上部の最も厚い部分の厚みをB1とし、また図7に示すように、左上半リング部15の中途部の厚みをA2とし、左上半リング部15の上部の最も厚い部分の厚みをB2とした場合、厚みA1は厚みA2よりも大きく、厚みB1は厚みB2よりも大きい。
【0036】
なお右嵌合半リング部24の中途部の厚みは、左嵌合半リング部14と同様にA1であり、右嵌合半リング部24の上部の最も厚い部分の厚みは、左嵌合半リング部14と同様にB1である。また右下半リング部26の中途部の厚みは、左上半リング部15と同様にA2である。右下半リング部26の上部の最も厚い部分の厚みは、左上半リング部15よりも小さい。
【0037】
図示は省略しているが、右上半リング部25の中途部の厚みはA2であり、右上半リング部25の上部の最も厚い部分の厚みはB2である。また左下半リング部16の中途部の厚みはA2であり、左下半リング部16の上部の最も厚い部分の厚みは、右上半リング部25よりも小さい。
【0038】
即ち、左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26は、全体的に、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24よりも薄く、柔軟に構成されている。また左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24よりも左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24は互いに嵌合する嵌合構造を有し、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24の厚みは、全体的に、左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26の厚みよりも大きい。
【0039】
図10は、構成を一部変更した左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24の略示拡大断面図である。嵌合構造は上述した構造に限定されない。例えば、図10に示すように、左嵌合半リング部14の先端に凸部141を形成し、右嵌合半リング部24の先端に凹部241を形成して、凸部141を凹部241に挿入し、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24を嵌合させてもよい。
【0040】
なお左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24と、左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26とを異なる材料によって構成し、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24を左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26よりも高い剛性にしてもよい。例えば、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24をポリプロピレン材、ABS樹脂材又はアクリル樹脂材などで構成し、左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26をポリエチレン材、軟質塩化ビニル材などで構成してもよい。この場合、左嵌合半リング部14及び右嵌合半リング部24と、左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26との厚みは同じでもよい。
【0041】
実施の形態に係る綴じ具1にあっては、柔軟な左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26をベース11、21の軸方向中央部に配置することによって、ユーザの手又は腕が左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26に当たった場合、左上半リング部15、左下半リング部16、右上半リング部25及び右下半リング部26は変形し、筆記の妨害が抑制される。
【0042】
例えば全てのリングを柔軟に構成させた場合、筆記の妨害を回避することはできるが、紙葉の挿脱は困難となる。何故なら、柔軟な半リング部同士を嵌合させて、嵌合した状態を保つことができないからである。実施の形態に係る綴じ具1にあっては、剛性の高い半リング部と、柔軟な半リング部とを備えるので、紙葉の挿脱と筆記の妨害の回避とを両立させることができる。
【0043】
また第一半リング部が嵌合構造を有し、また高い剛性を有するので、紙葉を綴じた場合、綴じ具1は容易には開かない。
【0044】
また左上半リング部15及び右下半リング部26の先端部分を重畳させ、右上半リング部25及び左下半リング部16の先端部分を重畳させることによって、紙葉を綴じることができる。またベース11、21の反対側に向けて突出するように各半リング部の先端部分は湾曲するので、前後方向(リングの軸方向)に沿って各半リング部が移動することを抑制することができる。
【0045】
なお上面16b、26b及び下面15c、25cは円弧状に湾曲しているが、上側に頂点が位置するように90度回転させた「く」の字状、下側が開口するように90度回転させた「コ」の字状に屈曲していてもよい。即ち、リングの軸方向への移動が妨げられるように、リングの径方向外向きに向けて突出するように変形していればよい。
【0046】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 綴じ具
10 第一部材
11 ベース
14 左嵌合半リング部(第一半リング部)
14a 凹部
14b 凸部
15 左上半リング部(第二半リング部)
15b 突出部
15c 下面
16 左下半リング部(第二半リング部)
16b 上面
20 第二部材
21 ベース
24 右嵌合半リング部(第一半リング部)
24a 凹部
24b 凸部
25 右上半リング部(第二半リング部)
25b 突出部
25c 下面
26 右下半リング部(第二半リング部)
26b 上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10