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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】集魚灯装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 79/00 20060101AFI20221214BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20221214BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20221214BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20221214BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20221214BHJP
【FI】
A01K79/00 H
F21S2/00 642
F21V13/02 400
F21V7/04 500
F21V23/00 140
F21V7/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019112138
(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2020202782
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000151944
【氏名又は名称】株式会社東和電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】浜出 雄一
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3154711(JP,U)
【文献】国際公開第2007/96938(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/123449(WO,A1)
【文献】登録実用新案第357659(JP,Z1)
【文献】特開2003-134967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 79/00
F21S 2/00
F21V 13/02
F21V 7/04
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漁船に取り付けられ、光を照射することにより魚群を集めるための集魚灯装置であって、
少なくとも1つの発光ダイオードを有する光源部と、頂部が前記光源部の光軸上で前記光源部に対向するように配置され、前記光源部からの光を光軸から離れる周囲方向に反射する反射体とを備え、
前記反射体の反射面が、略錐形又は略錐台形の側面の形状を有しており、
前記光源部は、複数の第1の発光ダイオードと、該第1の発光ダイオードより短波長の光を発光する複数の第2の発光ダイオードとを基板上に配置して構成される面状光源であり、前記複数の第1の発光ダイオードは前記基板の外周部に配置され、前記複数の第2の発光ダイオードは前記基板の内周部に配置されていることを特徴とする集魚灯装置。
【請求項2】
前記反射面が、前記光軸を軸中心とする略錐形又は略錐台形の側面の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の集魚灯装置。
【請求項3】
前記反射面が、略円錐形又は略円錐台形の側面の形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の集魚灯装置。
【請求項4】
前記反射面が、前記光軸を含む平面内において、凹状湾曲又は凸状湾曲の母線の形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の集魚灯装置。
【請求項5】
前記光源部の前面を覆うカップ形状の透光カバーをさらに備え、
前記反射体は、前記透光カバー内の前面に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の集魚灯装置。
【請求項6】
各々が前記光源部と前記光源部の光軸上に配置された前記反射体とからなる光源-反射体ユニットが前記光軸に沿って複数段重畳して配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の集魚灯装置。
【請求項7】
前記複数段重畳して配置された光源-反射体ユニットにおける各光源-反射体ユニットが、前記光軸に関して同一方向に向いて重畳されていることを特徴とする請求項に記載の集魚灯装置。
【請求項8】
前記複数段重畳して配置された光源-反射体ユニットにおける各光源-反射体ユニットが、前記光軸に関して交互に逆方向に向いて重畳されていることを特徴とする請求項に記載の集魚灯装置。
【請求項9】
前記複数段重畳して配置された光源-反射体ユニットを駆動するための駆動制御部をさらに備え、前記駆動制御部は、前記複数段重畳された光源-反射体ユニットにおける前記光源部が互いに同じ発光強度又は発光色で発光するべく制御するように構成されていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の集魚灯装置。
【請求項10】
前記複数段重畳して配置された光源-反射体ユニットを駆動するための駆動制御部をさらに備え、前記駆動制御部は、前記複数段重畳された光源-反射体ユニットにおける前記光源部が互いに異なる発光強度又は発光色で発光するべく制御するように構成されていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の集魚灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁船に取り付けられ、船上からの光でイカや魚などを集め、効率よく漁を行うための集魚灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚群を集めるために光を海面又は海中に照射する光照射器具である集魚灯は、漁船の船体上方の位置に取り付けられ、複数の光源(白熱灯光源、メタルハライドランプ)からの光を海面に照射するように構成されている。特に、イカ釣船などの漁船においては、夜間に集魚灯を点灯させて船体両側の水面を照らし、イカが船体の近くに集まる習性を利用して捕獲を行う。
【0003】
近年、省電力化を図って漁船の燃費を削減するために、白熱灯光源やメタルハライドランプに代えて、発光ダイオード(LED)を光源とする集魚灯装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の集魚灯装置は、図10に示すように、複数のLEDを基板上にマトリックス状に配置してパネル式LED集魚灯1を構成し、このようなパネル式LED集魚灯1を、漁船Sの甲板の上方の海面を所定の角度で照射できる位置に設置することによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2006/123449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなパネル式LED集魚灯を備えた集魚灯装置によると、電力消費量が少ないことから燃料消費量は抑えられるものの、従来のメタルハライドランプを使用した場合のような漁獲量を得ることができなかった。本願発明者が、その理由を研究、考察した結果、メタルハライドランプを用いた集魚灯は全周方向に光照射が行われるのに対して、パネル式LED集魚灯は照射方向がパネルの向きによって限定されるために漁獲量が伸びないのではないかとの知見を得た。
【0007】
即ち、特許文献1に記載のごときパネル式LED集魚灯によると、光の照射される方向に制限があり全周方向ではないため、イカ釣り等において漁獲量に大きな影響を及ぼすのではないかと推察された。さらに、パネル式LED集魚灯は照射面が平面であるため、横風を受けやすいという問題点があった。
【0008】
従って、本発明は、LED光源を使用した場合にも、光軸に関して360度方向に光を照射することができ、効率の良い漁獲ができる集魚灯装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、LED光源を使用した場合にも、光軸に関して360度方向に光を照射することができ、しかも、より多量の光を照射することができる集魚灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、漁船に取り付けられ、光を照射することにより魚群を集めるための集魚灯装置は、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)を有する光源部と、頂部が光源部の光軸上でこの光源部に対向するように配置され、光源部からの光を光軸から離れる周囲方向に反射する反射体とを備えている。特に、反射体の反射面が、略錐形又は略錐台形の側面の形状を有している。
【0011】
反射体の反射面が略錐形又は略錐台形の側面の形状を有しているため、少なくとも1つのLEDからの光がこの反射面によって光軸から離れる周囲方向に反射されるので、光軸に関して360度方向に光を照射することができ、効率の良い漁獲が可能となる。なお、本明細書において、「略錐形」又は「略錐台形」の側面形状とは、側面の断面(軸を含む断面)が、一般的な「錐形」や「錐台形」形状のように直線であること以外に、曲線である場合も含むことを意味している。
【0012】
反射体の反射面が、光軸を軸中心とする略錐形又は略錐台形の側面の形状を有していることが好ましい。
【0013】
反射体の反射面が、略円錐形又は略円錐台形の側面の形状を有していることも好ましい。
【0014】
反射体の反射面が、光軸を含む平面内において、凹状湾曲又は凸状湾曲の母線の形状を有していることがより好ましい。これにより、光源部からの光を所望の方向に反射するように制御することができる。
【0015】
光源部の前面を覆うカップ形状の透光カバーをさらに備え、反射体は、透光カバー内の前面に配置されていることも好ましい。
【0016】
光源部は、複数の第1のLEDと、第1のLEDより短波長の光を発光する複数の第2のLEDとを基板上に配置して構成される面状光源であり、複数の第1のLEDは基板の外周部に配置され、複数の第2のLEDは基板の内周部に配置されていることも好ましい。
【0017】
各々が光源部と光源部の光軸上に配置された反射体とからなる光源-反射体ユニットが光軸に沿って複数段重畳して配置されていることも好ましい。光源-反射体ユニットを光軸に沿って複数段重畳して配置することにより、光軸に関して360度方向に光を照射することができ、かつより多量の光を広範囲に照射することが可能となる。
【0018】
この場合、複数段重畳して配置された光源-反射体ユニットにおける各光源-反射体ユニットが、光軸に関して同一方向に向いて重畳されていることがより好ましい。
【0019】
また、この場合、複数段重畳して配置された光源-反射体ユニットにおける各光源-反射体ユニットが、光軸に関して交互に逆方向に向いて重畳されていることも好ましい。
【0020】
複数段重畳して配置された光源-反射体ユニットを駆動するための駆動制御部をさらに備え、駆動制御部は、複数段重畳された光源-反射体ユニットにおける光源部が互いに同じ発光強度又は発光色か、又は互いに異なる発光強度又は発光色で発光するべく制御するように構成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、反射体の反射面が略錐形又は略錐台形の側面の形状を有しているため、少なくとも1つのLEDからの光がこの反射面によって光軸から離れる周囲方向に反射される。このため、光軸に関して360度方向に光を照射することができ、効率の良い漁獲が可能な集魚灯装置を提供できる。集魚灯装置の外径形状が略円柱形状のため、横風だけでなく全方位からの風の影響をすくなくすることができ、漁船の操縦安定性を向上することができる。
【0022】
また、光源-反射体ユニットが光源部と光源部の光軸上に配置された反射体とから構成され、各光源-反射体ユニットが光軸に沿って複数段重畳して配置されていることで、光軸に関して360度方向に光を照射することができ、かつより多量の光を広範囲に照射することが可能な集魚灯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施形態における集魚灯装置の構成を概略的に示す側面図である。
図2図1の集魚灯装置の光源部のLEDの配置を概略的に示す平面図である。
図3図1の集魚灯装置の配光を示すイメージ図である。
図4図1の集魚灯装置の反射鏡の変更態様を概略的に示す側面図である。
図5図1の集魚灯装置の反射鏡の他の変更態様を概略的に示す側面図である。
図6図1の集魚灯装置の反射鏡のさらに他の変更態様を概略的に示す側面図である。
図7図1の集魚灯装置を漁船に設置した状態を概略的に示す図であり、(A)1列配置、(B)2列配置の例である。
図8】本発明の第2の実施形態における集魚灯装置の構成を概略的に示す側面図である。
図9】本発明の第3の実施形態における集魚灯装置の構成を概略的に示す側面図である。
図10】従来のLED集魚灯の構成及び漁船に設置した状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る集魚灯装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明の第1の実施形態における集魚灯装置100の全体の構成を示している。図2は集魚灯装置100の光源部10のLEDの配置例を概略的に示しており、同図(A)はマトリクス状の配置例、同図(B)は同心状の配置例、同図(C)は中央部に集中配置した例をそれぞれ示している。図3は集魚灯装置100の配光のイメージを示しており、同図(A)は反射体なしの場合の配光、同図(B)は本発明のように反射体がある場合の配光をそれぞれ示している。図4は集魚灯装置100の反射体20Aの構成を示しており、図5は集魚灯装置100の反射体20Bの構成を示しており、図6は集魚灯装置100の反射体20Cの構成を示している。図7は集魚灯装置100の配列状態を示しており、同図(A)は小型船における1列配置の例、同(B)は大型船における2列配置の例である。
【0026】
図1に示すように、第1の実施形態に係る集魚灯装置100は、光源部10と、頂部が光源部10の光軸10a上でこの光源部10に対向するようにかつ光源部10とは離隔して配置され、光源部10からの光を光軸10aから離れる周囲方向に反射する反射面20aを備えた反射体20と、光源部10の前面を覆うカップ形状の透光カバー30とを備えている。反射体20は、透光カバー30内に配置されている。なお、この集魚灯装置100は、光源部10を駆動するための駆動制御部(図示せず)も備えている。
【0027】
光源部10は、基板11と、基板11の表面上に実装された光源としての少なくとも1つの高出力のLED(発光ダイオード)12と、基板11の背面に設けられた放熱部材13及び冷却ファン14と、この集魚灯装置100を取り付けるために使用する取り付け金具15とを備えている。光源部10のLED12は、単色のLED、例えば青色系の短波長光のLEDを用いる。単数のLED12を基板11上に設置しても良いし、複数のLED12を基板11上に設置して面状光源としても良い。複数のLED12を基板11上に設置する場合、図2(A)に示すようにLED12をマトリックス状に配置しても良いし、図2(B)に示すようにLED12を同心状に配置しても良い。最も望ましくは、図2(C)に示すように、LED12を基板11の中央部のみに集中的に配置することである。これにより、配光の制御が容易となる。このLEDとしては、表面実装型のSMDチップを用いても良いし、チップオンボード型のCOBチップを用いても良い。
【0028】
また、複数のLED12を、青色系の短波長光、緑色系の中波長光、及び赤色系の長波長光の3種類のLEDから構成しても良い。この場合は、それぞれ青色系、緑色系、及び赤色系の複数のLEDを、基板11上にランダムに配置しても良いし、基板11の外周部に長波長のLED(本発明の第1のLEDに対応)を配置し、内周部(中央部)にこの第1のLEDより短波長のLED(本発明の第2のLEDに対応)を配置するようにしても良い。例えば、外周部にオレンジ色(白色、電球色)のLEDを配置し、内周部に青系色(水色)のLEDを配置するように構成しても良い。このように配置することにより、外周部のオレンジ色のLEDの光(一部)は反射体20をかわして漁船に近い海面を直接照射するが波長が長いため海中に深く入射しない。これに対して、内周部(中央部)の水色のLEDの光は反射体20により反射され、漁船から遠い海面を照射し、海中に比較的深く入射することでき、これによって集魚効果が向上する。また、オレンジ色のLEDの光(一部)は、集魚作用は必ずしも高くないが、作業者の手元を照明するので、船舶上の作業の効率化を図ることができる。
【0029】
複数のLED12を基板11上にマトリックス状に配置して構成した光源部10を用いることで、必要な光量を容易に確保でき、従来のメタルハライド光源やハロゲン灯を用いた集魚灯に比べ総消費電力も小さく、低コストを図ることができる。
【0030】
放熱部材13としては、例えば、アルミ材料製の放熱フィンを用いる。さらに、放熱部材13の付近に冷却ファン14を設けることにより、冷却作用がより向上する。
【0031】
反射体20は、その反射面(反射鏡)20aが、略錐形の側面の形状を有している。ここで略錐形の側面形状とは、側面の断面(軸を含む断面)形状が、直線であること又は曲線であることを意味している。本実施形態では、反射面20aは、例えば、円錐形(直円錐形)の側面の形状を有している。反射体20の頂点は光源部10の光軸10a上にあり、反射面20aの頂角は、所望の配光特性が得られるように、即ち、光源部10からの光の反射光が所望の方向へ進むように、適宜に設計される。
【0032】
図3(B)に示すように、反射体20の配光特性のうち、水平面から上方へ照射される上方への光50aの照射角度範囲θは、θ=5~10度とすることが望ましい。照射角度範囲θがこれより小さいと、漁船が揺れた場合、集魚灯装置100からの光があたかも点滅しているように照射が行われてしまう。なお、この照射角度範囲θは、反射面20aの頂角と光源部10のLED12の位置とで設定することができる。反射体20の配光特性のうち、反射体20の周辺下方に漏れる下方への光50bも船に近い海面及び甲板上の照射に利用することができる。この下方への光50bが必要な場合、反射体20の直径(底面直径)をより小さくなる方向に設定し、下方の光へ50bが不要な場合、反射体20の直径(底面直径)を大きく設定する。
【0033】
本実施形態における反射体の変更態様として、図4に示すように、反射体20Aの反射面20Aaが、光軸10aを含む平面内において凹状湾曲の母線の形状の、略円錐形の側面の形状を有していても良い。この場合、図4中の矢印で示すように反射光がほぼ水平方向に照射するようになる。
【0034】
本実施形態における反射体の他の変更態様として、図5に示すように、反射体20Bの反射面20Baが、光軸10aを含む平面内において凸状湾曲の母線の形状の、略円錐形の側面の形状を有していても良い。この場合、図5中の矢印で示すように反射光が放射状に照射するようになる。
【0035】
本実施形態における反射体のさらに他の変更態様として、図6に示すように、反射体20Cの反射面20Caが、略円錐台形(直円錐台形)の側面の形状を有するように構成しても良い。ここで略錐台形の側面形状とは、側面の断面(軸を含む断面)形状が、直線であること又は曲線であることを意味している。
【0036】
透光カバー30は、透光性樹脂材料から構成されており、その形状は光源部10の前面を覆うカップ形状を有している。この透光カバー30内の前面(図1にて内部底面)上には、反射体20がその頂部を光源部10に対向させた状態で配置されている。透光カバー30の深さは、反射体20の高さ及び光源部10と反射体20との間の間隙に応じて設定される。
【0037】
図7は本実施形態の集魚灯装置100を漁船に設置した状態を示している。図7(A)は例えば10トン未満の小型漁船Saに集魚灯装置100を設置した例であり、この場合、集魚灯装置100は漁船Saの中央部に1列配置されている。図7(B)は10~200トン程度の大型漁船Sbに集魚灯装置100を設置した例であり、この場合、集魚灯装置100は漁船Sbの両サイドに2列配置されている。これらの図に示すように、複数の本実施形態の集魚灯装置100を吊り下げ設置することにより、光軸に関して360度方向に光を効率良く照射することができ、効率の良い漁獲を行うことができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の集魚灯装置100によれば、少なくとも1つの高出力のLED12を備えた光源部10と、頂部が光源部10の光軸10a上でこの光源部10に対向するようにかつ光源部10とは離隔して配置され、光源部10からの光を光軸10aから離れる周囲方向に反射する反射面20aを備えた反射体20と、光源部10の前面を覆うカップ形状の透光カバー30とを備え、反射体20の反射面20aが、略錐形又は略錐台形の側面の形状を有している。これにより、LED12からの光がこの反射面20aによって光軸10aから離れる周囲方向に反射される。このため、光軸10aに関して360度方向に光を照射することができ、効率の良い漁獲が可能となる。集魚灯装置の外径形状が略円柱形状のため、横風だけでなく全方位からの風の影響をすくなくすることができ、漁船の操縦安定性を向上することができる。
【0039】
図8は本発明の第2の実施形態における集魚灯装置200の全体の構成を示している。図8に示すように、本実施形態の集魚灯装置200は、光源部10と光源部10の光軸10a上に配置された反射体20とからなる光源-反射体ユニット500が光軸10aに沿って複数段重畳されて構成されている。各光源-反射体ユニット500は、第1の実施形態における集魚灯装置100と同様の構成を有している。即ち、光源部10と、頂部が光源部10の光軸10a上でこの光源部10に対向するようにかつ光源部10とは離隔して配置され、光源部10からの光を光軸10aから離れる周囲方向に反射する反射面20aを備えた反射体20と、光源部10の前面を覆うカップ形状の透光カバー30とを備えており、反射体20の反射面20aが、略錐形又は略錐台形の側面の形状を有している。また、各段の光源部10を駆動するための駆動制御部40を備えている。
【0040】
本実施形態の集魚灯装置200においては、複数の光源-反射体ユニット500複数段重畳して配置された光源-反射体ユニット500の各々が、光軸10aに関して同一方向に向いて重畳されている。即ち、図8において、各光源-反射体ユニット500の光源10が下向きとなり、反射体20の反射面20a(の頂部)が上向きとなるように重畳されている。なお、図8では、3段の光源-反射体ユニット500が重畳されているが、この重畳数は2段でも、4段以上であっても良い。また、これら複数の光源-反射体ユニット500が間隔を空けずに重畳されているが、これら複数の光源-反射体ユニット500を互いに間隔を空けて重畳するように構成しても良いことはもちろんである。
【0041】
本実施形態の集魚灯装置200は、複数の光源-反射体ユニット500の光源部10を駆動する駆動制御部40を備えている。この駆動制御部40は、本実施形態においては、複数段重畳された光源-反射体ユニット500における光源部10が互いに異なる発光強度又は発光色で発光するべく制御するように構成されている。本実施形態の変更態様として、駆動制御部40を、各光源-反射体ユニット500における光源部10が同じ発光強度又は発光色で発光するべく制御するように構成しても良い。その場合、複数の光源-反射体ユニット500の光源部10の多数のLEDを直列接続すれば、電圧降下装置を不要とすることも可能となる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の集魚灯装置200によれば、複数の光源-反射体ユニット500が、光軸に関して同一方向に向いて複数段重畳して配置されているため、光軸に関して360度方向に光を照射することができ、かつより多量の光を広範囲に照射することができる。また、各光源-反射体ユニット500における光源部10が互いに異なる色で点灯するように構成した場合には、広範囲でイカ等の魚類を集めることができ、効率良く漁獲することができる。
【0043】
図9は本発明の第3の実施形態における集魚灯装置300の全体の構成を示している。図9に示すように、本実施形態の集魚灯装置300は、光源部10と光源部10の光軸10a上に配置された反射体20とからなる光源-反射体ユニット500が光軸10aに沿って複数段重畳されて構成されている。各光源-反射体ユニット500は、第1の実施形態における集魚灯装置100と同様の構成を有している。即ち、光源部10と、頂部が光源部10の光軸10a上でこの光源部10に対向するようにかつ光源部10とは離隔して配置され、光源部10からの光を光軸10aから離れる周囲方向に反射する反射面20aを備えた反射体20と、光源部10の前面を覆うカップ形状の透光カバー30とを備えており、反射体20の反射面20aが、略錐形又は略錐台形の側面の形状を有している。また、各段の光源部10を駆動するための駆動制御部40a及び40bを備えている。
【0044】
本実施形態の集魚灯装置300においては、複数の光源-反射体ユニット500複数段重畳して配置された光源-反射体ユニット500の各々が、光軸10aに関して交互に逆方向に向いて重畳されている。即ち、図9において、最上段の光源-反射体ユニット500では光源10が下向きとなり、反射体20の反射面20a(の頂部)が上向きとなり、その下段の光源-反射体ユニット500では光源10が上向きとなり、反射体20の反射面20a(の頂部)が下向きとなり、その下段の光源-反射体ユニット500では光源10が下向きとなり、反射体20の反射面20a(の頂部)が上向きとなり、最下段の光源-反射体ユニット500では光源10が上向きとなり、反射体20の反射面20a(の頂部)が下向きとなるように重畳されている。なお、図9では、4段の光源-反射体ユニット500が重畳されているが、この重畳数は2段でも、3段でも、5段以上であっても良い。また、これら複数の光源-反射体ユニット500は間隔を空けずに重畳されているが、これら複数の光源-反射体ユニット500を互いに間隔を空けて重畳するように構成しても良いことはもちろんである。
【0045】
上述した実施形態の集魚灯装置100、200及び300において、反射体20の反射面20aは、水平方向の断面輪郭線が、例えば円等の2次曲線形状の例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、角錐又は角錐台からなる反射面を有するものを用いても良い。即ち、断面形状が多角形であっても良い。
【0046】
また、上述した実施形態の集魚灯装置100、200及び300において、光源部10は、複数のLEDを基板上にマトリックス状に、同心状に又は中央部に集中して配置して構成される面状光源の例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つのLEDからなる光源を用いても良い。また、これらLEDからなる光源部10は、交流電源(AC)で駆動されても、直流電源(DC)で駆動されても良い。交流電源を使用する場合、内蔵の交流電流を直流電流に変換する変換ユニットを介して駆動する。
【0047】
さらに、上述した実施形態の集魚灯装置100において、光源部10は、外周部に長波長のLEDを配置し、内周部(中央部)にこのLEDより短波長のLEDを配置するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、全面に同じ発光波長のLEDを配置して構成しても良い。
【0048】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、イカ、サンマなどの光に反応して集まる魚類の性質を利用して、それらの魚群を集めるために用いられる集魚灯、及びその集魚灯を利用する漁船における集魚システム等に適用され、特に漁船におけるイカ釣漁を効率よく行う目的に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1、100、200、300 集魚灯装置
10 光源部
10a 光軸
11 基板
12 LED
13 放熱部材
14 冷却ファン
20、20A、20B 反射体
20a、20Aa、20Ba 反射面
30 透光カバー
40、40a、40b 駆動制御部
50a 上方への光
50b 下方への光
S、Sa、Sb 漁船
500 光源-反射体ユニット
図1
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図10