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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】自動体外式除細動器および使用の方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A61N1/39
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019532736
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2017067442
(87)【国際公開番号】W WO2018119008
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】62/436,208
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519065684
【氏名又は名称】ハートヒーロー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】モンタギュー, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ファレル, デイビッド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ドッター, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】グランディー, クリスタ
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート, ジェイムズ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブランク, ニール ディー.
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532929(JP,A)
【文献】特表2007-506238(JP,A)
【文献】特表2008-523878(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0190839(US,A1)
【文献】特表2013-519448(JP,A)
【文献】特表2016-513496(JP,A)
【文献】特開2012-085049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0132465(US,A1)
【文献】特表2013-542814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型自動体外式除細動器(AED)システムであって、前記システムは、
電子モジュールであって、前記電子モジュールは、
電源と、
前記電源から電荷を発生させ、貯蔵し、分配するための電子回路であって、前記電荷は、突然心停止(SCA)患者に印加されるべき少なくとも1つの電気ショックのために好適である、電子回路と、
ガイダンスを前記システムのユーザに提供するためのディスプレイであって、前記ガイダンスは、前記システムを使用することについてのユーザ指示を含む、ディスプレイと、
前記電子回路および前記ディスプレイを制御するための、その上にインストールされたファームウェアを含む、マイクロプロセッサと
を含む、電子モジュールと、
前記電子モジュールをモバイル通信デバイスと接続するためのインターフェースであって、前記インターフェースは、前記マイクロプロセッサと通信しており、前記ファームウェアは、前記モバイル通信デバイスのGPSシステムを使用して決定される前記AEDシステムの場所データを前記モバイル通信デバイスから受信するための指示を前記マイクロプロセッサに提供する、インターフェースと、
前記電子モジュールと電気的に接続された少なくとも2つの心臓パッドと
を備え、
前記少なくとも2つの心臓パッドは、前記電子モジュールからの前記少なくとも1つの電気ショックを前記SCA患者に伝達するように、前記SCA患者への外部取り付けのために構成され、
前記電源は、家庭用バッテリであり、前記家庭用バッテリは、複数のCR123バッテリであり、
前記電子モジュールは、電流充電器と、コンデンサとを含み、前記電流充電器は、前記コンデンサが45秒以内で充電されるような電流定充電率で前記コンデンサを充電し、前記電流定充電率は、前記マイクロプロセッサからのパルス幅変調(PWM)信号によって制御される、システム。
【請求項2】
前記システムの寸法は、約8インチ×6インチ×3インチ未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも2つの心臓パッドのうちの各1つは、少なくとも1つのセンサを含み、前記少なくとも1つのセンサは、前記SCA患者の心調律および身体インピーダンスを測定するために構成され、前記SCA患者の上に前記少なくとも2つの心臓パッドが取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ファームウェアは、前記身体インピーダンスに従って前記少なくとも1つの電気ショックの波形特性を自動的に調節するために構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電子モジュールは、ソフトウェアアプリケーションインストーラをさらに含み、前記ソフトウェアアプリケーションインストーラは、前記モバイル通信デバイスが前記インターフェースを介して前記電子モジュールに接続されると、前記電子モジュールとインターフェースをとるための特殊ソフトウェアを前記モバイル通信デバイス上にインストールするために、自動的にアクティブにされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記場所データは、前記AEDシステムのGPS場所である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記指示は、前記GPS場所をオーディオ合図に翻訳することをさらに含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記マイクロプロセッサに指示を提供する前記ファームウェアは、
前記マイクロプロセッサを動作させるように前記電源の電力ステータスを周期的に決定することと、
前記電荷を発生させ、貯蔵し、分配するための前記電子回路を動作させるように前記電源の電力ステータスを周期的に決定することと
を含む、前記AEDシステムの周期的監視を提供することを含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第62/436,208号(2016年12月19日出願、名称「Automatic External Defibrillator Device And Methods Of Use」)の利益を主張し、上記出願は、その全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、自動体外式除細動器(AED)およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
米国では、395,000件の院外心停止(OHCA)が毎年発生している。研究は、自動体外式除細動器(AED)の使用がOHCAの生存率を40%増加させ得ることを示している。しかしながら、OHCAの2%のみが、AEDが利用可能である場所で発生するであろう。パブリックアクセス除細動器(パッド)の普及を増加させることが強力に後押しされているが、研究はまた、OHCAの80%が、大多数の人々がAEDへのアクセスを有していない家庭で起こることも示している。
【0004】
加えて、研究は、発生とショックとの間の時間の長さが短縮されるときに、突然心停止(SCA)患者が向上した転帰を有することを示している。AEDが、OHCAが発生する場所において容易に利用可能ではないとき、発生からショックまでの時間は、救急医療サービス(EMS)の適時な到着に依存する。EMS到着の時間の全国平均は、9分であり、これらの9分の間に、患者生存の機会は、毎分7~10%減少する。その結果として、SCA患者は、EMS応答時間が8分以内である場合に、良好な転帰を伴って生存する可能性が高い。
【0005】
心停止の3つの時間的制約のある段階、すなわち、1)電気相(その間に心臓が電気ショックを最も受け入れる、心停止後の最大4分)、2)循環相(心停止後の約4分~10分)、および3)代謝相(心停止後の約10分を超えて延在する)がある。ウェアラブル心臓除細動器を使用する研究は、初期電気相中に心停止に対処することが、98%初回電気的除細動成功率をもたらすことを示している。結果として、電気相中のSCA患者へのAED治療の急速投与は、74%と同程度の高さの生存率を伴う成功を示している。
【0006】
現在、SCAは、米国およびいくつかの他の国では、40歳以上の成人の間の主要な死因である。米国だけで、全ての年齢の約326,200人が、毎年、院外非外傷性SCAを体験し、これらの犠牲者の10人のうち9人が、結果として死亡している。SCA患者によって罹患される致死的不整脈の除細動のためのいくつかのAED解決策が存在する。これらの解決策のうちのいくつかは、AEDをより携帯用にしようとするが、依然として、煩雑で重く、したがって、正確には携帯用デバイスではないため、ユーザの必要性を満たすことができない。例えば、現在市場で入手可能な最軽量AEDは、2.5ポンドであり、AEDを身に着けて持ち運ぶことは、可能性が低い。他の製品は、高品質CPRを与える際に居合わせた人を促すことによって、その人を支援しようとするが、これらの製品は、依然として、欠点を有する。研究は、EMS人員の到着前にCPRを与え、AEDを使用することによって、居合わせた人が介入するときに、10人のSCA患者のうち4人が生存するように、ショックまでの時間を短縮することが、患者生存の可能性を大いに増加させ得ることを示している。残念ながら、SCA患者の3分の1(32%)のみが、居合わせた人によるCPRを受け、居合わせた人は、AEDを用いてこれらの2%のみを治療する。居合わせた人が、EMS通知、心調律の分析、およびショックの送達までの時間も短縮し得る、容易に利用可能なAEDを有する場合、潜在的に1年あたり100,000人が、米国だけで救助され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
本明細書で提供される実施形態によると、携帯用自動体外式除細動器(AED)を用いて心臓除細動を実施する方法が提供されている。方法は、電極パッドと通信する制御モジュール上で心臓除細動プログラムを開始することと、電極パッドから患者の心調律を検出することとを含む。方法はさらに、制御モジュールをモバイルデバイスに接続することと、救急サービスとの通話を実行することと、地理位置情報を収集することと、可聴スピーカ上で救急サービスへの通話をチャネリングすることとを含む。方法はまた、心調律が検出されない場合、心肺蘇生法(CPR)を開始するようにユーザを促すことと、制御モジュール上でCPRのための指示を表示することとを含む。方法は、患者の心調律を分析し、ショックを受けることができる心調律が検出されると、ユーザおよび救急サービスに通知することと、CPRを停止するようにユーザに通知することとを継続する。方法はまた、患者にショックを与えることと、正常な脈拍に対して患者の心調律を分析することと、正常な脈拍が検出されない場合、CPRのための指示を再開することとを含む。
【0008】
別の実施形態では、小型自動体外式除細動器(AED)システムが開示される。システムは、電子モジュールを含み、これは、ひいては、電源と、電源から電荷を発生させ、貯蔵し、分配するための電子回路であって、電荷は、突然心停止(SCA)患者に印加されるべき少なくとも1つの電気ショックのために好適である、電子回路とを含む。電子モジュールはまた、システムを使用することについての指示を含む、ガイダンスをシステムのユーザに提供するためのディスプレイと、電子回路およびディスプレイを制御するためのファームウェアとを含む。システムはまた、電子モジュールと電気的に接続され、電子モジュールからSCA患者に少なくとも1つの電気ショックを伝達するように、SCA患者への外部取り付けのために構成される、少なくとも2つの心臓パッドも含み、電源は、家庭用バッテリである。実施形態では、システムの寸法は、約8インチ×6インチ×3インチ未満である。別の実施形態では、電源は、9Vバッテリまたは複数のCR123バッテリ等の一般的に入手可能な家庭用バッテリである。なおも別の実施形態では、心臓パッドの各々は、その上に心臓パッドが取り付けられているSCA患者の患者心調律および身体インピーダンスを測定するための少なくとも1つのセンサを含み、ファームウェアは、測定された身体インピーダンスに従って電気ショックの波形特性を自動的に調節するために構成される。さらに別の実施形態では、システムは、システムが使用中ではないときに電子モジュールおよび心臓パッドを収納するためのブラケットを含む。ブラケットは、1)電子モジュールがブラケットから除去されるとき、2)電源が事前設定された最小電力閾値を下回るとき、および3)システムが点検を必要とするときのうちの少なくとも1つを感知するために構成される。
【0009】
さらなる実施形態では、小型自動体外式除細動器(AED)システムを使用する方法が開示される。システムは、ブラケットの中に収納される電子モジュールおよび少なくとも2つの心臓パッドを含む。方法は、ブラケットからシステムを除去することによって、システムを初期化することと、救急医療サービス(EMS)に連絡することと、突然心停止(SCA)患者上に心臓パッドを取り付けることと、心臓パッドの中に含まれるセンサを使用して、SCA患者の少なくとも患者心調律および身体インピーダンスを測定することとを含む。方法はさらに、電子モジュールからのガイダンスによってそのように示される場合、SCA患者にAED投与プロトコルを実施することと、SCA患者の患者心調律を監視し続け、EMS人員の到着まで電子モジュールからの追加のガイダンスに従うこととを含む。
【0010】
ある実施形態は、具体的実施形態の観点から説明されるが、本発明は、これらの開示される実施形態に限定されないことを理解されたい。本開示および添付の請求項の両方によって網羅されることを意図し、かつ網羅される、本発明の修正および他の実施形態が、本発明が関連する当業者に想起されるであろう。本発明の範囲は、当業者によって理解されるように、本明細書および付随する図面内の本開示に依拠して、添付の請求項およびそれらの法的均等物の適切な解釈および構築によって決定されるべきであることが実際に意図される。
【0011】
本発明の実施形態が、ここで、本概要、詳細な説明、ならびに具体的に議論もしくは別様に開示される任意の好ましいおよび/または特定の実施形態の両方と併せて解読されることを意図している、付随する図面を参照して、以降でより完全に説明されるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、例証のみとして、本開示が徹底的で完全となり、本発明の全範囲を当業者に完全に伝えるであろうように、提供される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
携帯用自動体外式除細動器(AED)を用いて心臓除細動を実施する方法であって、前記方法は、
電極パッドと通信する制御モジュール上で心臓除細動プログラムを開始することと、
前記電極パッドから患者の心調律を検出することと、
前記制御モジュールをモバイルデバイスに接続することと、
救急サービスとの通話を実行することと、
地理位置情報を収集することと、
可聴スピーカ上で前記救急サービスへの前記通話をチャネリングすることと、
前記心調律が検出されない場合、心肺蘇生法を開始するようにユーザを促すことと、
前記制御モジュール上で心肺蘇生法のための指示を表示することと、
前記患者の心調律を分析し、ショックを受けることができる心調律が検出されると、前記ユーザおよび救急サービスに通知することと、
心肺蘇生法を停止するように前記ユーザに通知することと、
前記患者にショックを与えることと、
正常な脈拍に対して前記患者の心調律を分析することと、
前記正常な脈拍が検出されない場合、心肺蘇生法のための指示を再開することと
を含む、方法。
(項目2)
小型自動体外式除細動器(AED)システムであって、前記システムは、
電子モジュールであって、前記電子モジュールは、
電源と、
前記電源から電荷を発生させ、貯蔵し、分配するための電子回路であって、前記電荷は、突然心停止(SCA)患者に印加されるべき少なくとも1つの電気ショックのために好適である、電子回路と、
ガイダンスを前記システムのユーザに提供するためのディスプレイであって、前記ガイダンスは、前記システムを使用することについての指示を含む、ディスプレイと、
前記電子回路および前記ディスプレイを制御するためのファームウェアと
を含む、電子モジュールと、
前記電子モジュールと電気的に接続された少なくとも2つの心臓パッドと
を備え、
前記少なくとも2つの心臓パッドは、前記電子モジュールからの前記少なくとも1つの電気ショックを前記SCA患者に伝達するように、前記SCA患者への外部取り付けのために構成され、
前記電源は、家庭用バッテリである、システム。
(項目3)
前記システムの寸法は、約8インチ×6インチ×3インチ未満である、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記家庭用バッテリは、9Vバッテリである、項目2に記載のシステム。
(項目5)
前記家庭用バッテリは、複数のCR123バッテリである、項目2に記載のシステム。
(項目6)
前記少なくとも2つの心臓パッドのうちの各1つは、少なくとも1つのセンサを含み、前記少なくとも1つのセンサは、前記SCA患者の患者心調律および身体インピーダンスを測定するために構成され、前記SCA患者の上に前記少なくとも2つの心臓パッドが取り付けられている、項目2に記載のシステム。
(項目7)
前記ファームウェアは、前記身体インピーダンスに従って前記電気ショックの波形特性を自動的に調節するために構成されている、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記ファームウェアは、AED動作のための米国心臓協会の現在の最良実践ガイダンスに従って前記患者心調律を分析し、適宜、ガイダンスを前記ユーザに提供するために構成されている、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記システムが使用中ではないときに前記電子モジュールおよび前記少なくとも2つの心臓パッドを収納するためのブラケットをさらに備えている、項目2に記載のシステム。
(項目10)
前記ブラケットは、1)前記電子モジュールが前記ブラケットから除去されるとき、2)前記電源が事前設定された最小電力閾値を下回るとき、および、3)前記システムが点検を必要とするときのうちの少なくとも1つを感知するために構成されている、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記ブラケットは、視覚アラートを含み、前記視覚アラートは、1)前記電子モジュールが前記ブラケットから除去されること、2)前記電源が事前設定された最小電力閾値を下回ること、および、3)前記電子モジュールが点検を必要とすることのうちの少なくとも1つの条件が満たされるとき、トリガされる、項目10に記載のシステム。
(項目12)
前記ブラケットは、少なくとも1つの外部連絡先と通信するために構成されている、項目10に記載のシステム。
(項目13)
前記ブラケットは、前記電子モジュールが前記ブラケッから除去されると、救急医療サービス(EMS)との連絡を自動的に開始する、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記ブラケットは、前記電源が事前設定された最小電力閾値を下回ると、前記少なくとも1つの外部連絡先に自動的に警告する、項目12に記載のシステム。
(項目15)
前記ブラケットは、アラートシステムを含み、前記アラートシステムは、前記アラートシステムがアクティブにされると、前記少なくとも1つの外部連絡先に即時に連絡する、項目12に記載のシステム。
(項目16)
前記電子モジュールをモバイル通信デバイスと接続するためのインターフェースをさらに備えている、項目2に記載のシステム。
(項目17)
さらに、前記電子モジュールは、ソフトウェアアプリケーションインストーラをさらに含み、前記ソフトウェアアプリケーションインストーラは、前記モバイル通信デバイスが前記インターフェースを介して前記電子モジュールに接続されると、前記電子モジュールとインターフェースをとるための特殊ソフトウェアを前記モバイル通信デバイス上にインストールするために、自動的にアクティブにされる、項目16に記載のシステム。
(項目18)
小型自動体外式除細動器(AED)システムを使用する方法であって、前記システムは、ブラケットの中に収納された電子モジュールと少なくとも2つの心臓パッドとを含み、
前記方法は、
前記ブラケットから前記システムを除去することによって、前記システムを初期化することと、
救急医療サービス(EMS)に連絡することと、
突然心停止(SCA)患者上に前記心臓パッドを取り付けることと、
前記心臓パッドの中に含まれるセンサを使用して、前記SCA患者の少なくとも患者心調律および身体インピーダンスを測定することと、
前記電子モジュールからのガイダンスによってそのように示される場合、前記SCA患者にAED投与プロトコルを実施することと、
前記SCA患者の前記患者心調律を監視し続け、EMS人員の到着まで前記電子モジュールからの追加のガイダンスに従うことと
を含む、方法。
(項目19)
前記ブラケットは、アラートシステムを含み、前記アラートシステムは、前記アラートシステムがアクティブにされると、前記少なくとも1つの外部連絡先に即時に連絡し、
EMSに連絡することは、前記アラートシステムをアクティブにすることを含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
EMSに連絡することは、
1)有線接続および2)無線接続のうちの1つを介して、モバイル通信デバイスを前記システムに接続することと、
前記電子モジュールに含まれるソフトウェアアプリケーションインストーラをアクティブにすることと、
前記電子モジュールとインターフェースをとるための特殊ソフトウェアを前記モバイル通信デバイス上にインストールすることと、
前記モバイル通信デバイス上の通信プロトコルを使用して、EMSとの通話を開始することと
を含む、項目18に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ある実施形態による、自動体外式除細動器(AED)モジュールである。
図2図2は、ある実施形態による、AEDモジュール内の制御盤の内部構成である。
図3図3は、ある実施形態における、AED制御モジュールの内部コンポーネントの構成である。
図4図4は、ある実施形態における、AEDモジュールの分解図である。
図5図5は、ある実施形態における、光電式容積脈波記録(PPG)モニタ、心臓パッド、およびスマートフォン/モバイルデバイスに接続された制御盤を伴うAEDモジュールの構成である。
図6A図6Aは、ある実施形態における、AEDモジュールの電子構成である。
図6B図6Bは、ある実施形態における、PPGモニタの構成である。
図7図7は、アプリケーション、制御モジュール、スマートフォン、および救急サービスの実施形態とのユーザの相互作用を示すフローチャートである。
図8図8は、アプリケーション、制御モジュール、スマートフォン、および救急サービスの実施形態とのユーザの相互作用を示すフローチャートである。
図9図9は、アプリケーション、制御モジュール、スマートフォン、および救急サービスの実施形態とのユーザの相互作用を示すフローチャートである。
図10図10は、ある実施形態における、簡略化されたAED二相性切断指数関数(BTE)電力段である。
図11図11は、ある実施形態による、身体インピーダンスに基づいて衝撃波形に行われた調節を示すグラフである。
図12図12は、ある実施形態における、代替的ブースト電力段である。
図13図13は、ある実施形態による、AED動作制御モジュールとAEDモジュール内の他のファームウェアとの間の通信を示す関係図である。
図14図14は、ある実施形態による、AEDスタンバイモードのためのファームウェアプロセスを示すフローチャートである。
図15図15-16は、ある実施形態による、ショックプロトコルの投与のためのファームウェアプロセスを示すフローチャートである。
図16図15-16は、ある実施形態による、ショックプロトコルの投与のためのファームウェアプロセスを示すフローチャートである。
図17図17は、ある実施形態による、AEDモジュールを使用してSCA患者を監視するためのファームウェアプロセスを示すフローチャートである。
図18図18-19は、ある実施形態による、ショックプロトコルを管理し、電気ショックを発生させるためのファームウェアプロセスを示すフローチャートである。
図19図18-19は、ある実施形態による、ショックプロトコルを管理し、電気ショックを発生させるためのファームウェアプロセスを示すフローチャートである。
図20図20は、ある実施形態による、AEDモジュールが搭載されるブラケットの構成である。
図21図21-23は、ある実施形態による、例示的AEDモジュールの等角、上面、および側面図である。
図22図21-23は、ある実施形態による、例示的AEDモジュールの等角、上面、および側面図である。
図23図21-23は、ある実施形態による、例示的AEDモジュールの等角、上面、および側面図である。
図24図24は、ある実施形態による、AEDモジュールの例示的電子アーキテクチャである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本発明は、既存の製品と比べて改良された特徴を伴うAEDデバイスを提供することによって、背景技術で説明される問題を解決しようとする。例えば、心臓パッドの正しい位置付けが生存率の向上と相関しているため、AEDが、心臓パッドがSCA患者上に正しく設置されているかどうかという指示を提供することが望ましいであろう。また、現在利用可能なAEDデバイスは、EMSに連絡し、救急医療従事者によるより速い応答、続いて、より早い病院への到着を開始し得る、モバイルデバイスに接続するオプションを提供しない。また、現在利用可能なAEDデバイスは、EMSへの疑わしい心停止事例の通知および治療のためのスマートフォン/モバイルデバイスを提供しない。
【0014】
ショックを受けることができる心調律を検出し、治療電気ショックをSCA患者に印加する能力を、医学的に訓練されていない個人にさえも提供することによって、SCA患者の転帰を有意に向上させ得る、デバイスを有することが望ましいであろう。したがって、現在、業界では、正確に携帯用のAED、および発生、CPRの印加、ならびにショックの送達の間の間隙を閉鎖する関連方法の必要性が存在している。
【0015】
既存の技術分野の前述の欠点に対処するために、本明細書に説明されるシステムのある実施形態は、救急医療サービスへの疑わしい心停止の通知を支援し、居合わせた人によるCPRおよび不整脈変換を誘導することを支援する、小型自動体外式除細動器およびスマートフォンデバイスアプリケーションを提供する。
【0016】
本発明のある実施形態はさらに、関連付けられるアプリケーションソフトウェアを伴うスマートフォンデバイスを含む。代替として、スマートフォンデバイスまたは制御モジュールは、心臓監視、生命兆候監視、除細動、および救急サービスとのGPS特異的連絡を可能にする電気通信を可能にする。
【0017】
AEDの例示的実施形態は、(1)電気ショックを貯蔵および送達するためのコンデンサを充電するためのバッテリを含む、除細動器と、(2)有線または無線接続を介して除細動器をスマートフォン/モバイルデバイスに接続するための通信モジュールと、(3)胸壁圧迫深度、圧迫率、および胸壁インピーダンス、ならびに心調律を検出および監視するための電極を伴う心臓パッドと、(4)心臓パッドから受信される情報を分析し、適切な治療を推奨するためのスマートフォンまたはモバイルデバイスアプリケーションであって、GPS、Wi-Fi、および/またはセルラー能力を伴うスマートフォン/モバイルデバイスを介してEMSに連絡する能力も有する、アプリケーションとを含む。ある実施形態では、これらのコンポーネントは、以下のように接続される。アプリケーションを伴うスマートフォンが、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi等の有線もしくは無線接続のいずれかを介して、除細動器に接続され、次いで、心臓パッド内で終端するワイヤを伴う少なくとも2つの電極が、バッテリ/コンデンサパックから患者の胸部に接続する。
【0018】
ある実施形態は、以下のうちの1つ以上のものを含む、すなわち、(1)スマートフォンアプリケーションインストーラは、バッテリパックの中に常駐し、それに接続された任意のデバイスに自動的にアプロードされる、(2)デバイスは、有線または無線接続(例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi)を介して、もしくはマイクロホンを通して、スマートフォンまたはモバイルデバイスに接続する、(3)除細動ショックのための電荷は、交換可能なデバイス中心源(例えば、バッテリ)から、またはスマートフォンの内部バッテリから発生される、(4)デバイスは、制御モジュールと、少なくとも1つのコンデンサと、任意の範囲の電気ショックを検出および送達するためのアプリケーションとを含む、(5)システムコンポーネントおよびアプリケーションは、犠牲者の胸壁のインピーダンスおよび心臓パッド設置を検出する、(6)インピーダンス情報を与えられると、システムおよびアプリケーションは、所与のSCA患者(例えば、小児または成人)のための電荷を自動的に推奨または構成する、(7)心臓パッドは、SCA患者の身体上のいずれかの場所に設置されることができる、(8)心臓パッドは、例えば、圧力センサ、インピーダンス検出器、および/または加速度計を使用して、SCA患者上のCPR圧迫の力を検出する、(9)スマートフォンは、有線または無線接続(例えば、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi)もしくはマイクロホンを介して複数の他の医療デバイスとインターフェースをとる、(10)アプリケーションは、種々のデータ源を監視し、A)CPR関連ガイダンスを精緻化する、および/またはB)第1対応者によってアクセス可能であるようにデータを束ねる、(11)スマートフォンは、他の医療デバイスとインターフェースをとり、限定されないが、血圧、心拍数、酸素飽和度、温度、呼吸数、カプノグラフィ、および電気心臓活動を含む、SCA患者上の生命兆候を検出および監視する、(12)デバイスは、患者に接続する2つ以上の電極(例えば、心臓パッド)を含む、(13)スマートフォン/デバイス/電極の組み合わせは、12リード線心電図検査(ECG)出力を提供する、(14)AEDは、スマートフォンまたはオペレーティングシステムに関してブランドに依存しない、(15)スマートフォンは、無線通信を介してペアリングされる、またはワイヤを介して同時に複数の医療デバイスに接続することができる、(16)AEDは、同時に複数のスマートフォンに接続/ペアリングされることができ、ペアリングされた場合、これらのデバイスの各々は、AEDにわたって制御を有することができる、(17)デバイスは、ユーザが適切な知識を有する場合、ユーザがスマートフォンデバイスから心臓ペーシング/同期ショックを実施することを可能にする、(18)スマートフォンは、ライブビデオ、音声、データ、またはこれらのフィードの任意の組み合わせを別の医療施設に提供する、(19)スマートフォンは、セルラーネットワーク、ビデオ、SMS、またはそれによってEMSが情報を受信することができる任意の他のモダリティを介した自動音声告知を介して、EMSと通信する、(20)EMSに与えられる情報は、限定されないが、現在の生命兆候、CPR結果、検出可能な心調律、与えられるショックの数、および進行中の事象のGPS座標/地理位置を含む、(21)そのような情報は、周期的に生成され、着信EMSに伝送される、またはアプリケーションを介したEMSによる要求に応じて生成される、(22)EMSは、ペアリングされたモバイルデバイス上のアプリケーションにアクセスすることができ、そこからのデバイス場所およびデータ要求を促進する、(23)アプリケーションは、制御モジュールがEMSによって使用される情報システムとペアリングされることを可能にし、したがって、(例えば、小児が成人用のデバイスを使用している場合)心臓ショックの遠隔投与を可能にする、(24)デバイスおよびソフトウェアアプリケーションは、例えば、スマートフォンカメラ、Google Glass、または進行中の事象および指示の直接可視化ならびに表示を可能にするための類似製品を含む、関連デバイスのカメラと通信する、(25)デバイスおよびソフトウェアアプリケーションは、適切な心臓パッド設置のためにユーザを誘導する、(26)デバイスおよびソフトウェアアプリケーションは、内蔵光電式容積脈波記録(PPG)センサが脈拍を検出しない場合、脈拍なしの確認を提案する、(27)デバイスは、ショックおよびCPRの送達のタイミングのための業界標準を使用して、ガイダンスを提供する、ならびに(28)デバイスは、救急サービスへの通話が第1のショックの送達後に手動で開始されない場合に、EMSに自動的に連絡する。
【0019】
ある実施形態は、本明細書に説明される種々の実施形態が、(1)権限を持ったスマートフォンを用いて、心停止犠牲者の除細動を提供する、(2)既製品として購入され得るバッテリを使用する、(3)既製のバッテリから治療電荷を発生させる特殊コンデンサおよび回路を含む、(4)CPR中に心調律を連続的に分析する、(5)胸壁のインピーダンスを検出し、適切なパッド接続を確実にするためのセンサを心臓パッドの中に含む、(6)CPRの圧迫力、率、および深度を監視するための追加のセンサを心臓パッドの中に含む、(7)生命兆候を監視するためにセンサを使用することによって、心臓ショックが望ましくない時間に与えられていないことを確実にする、ならびに(8)心臓パッドの内側のセンサを介して、胸壁のサイズに関する情報をソフトウェアシステムに通信し、次いで、犠牲者のサイズおよびその個々の生体構造、例えば、小児または成人と相関性がある治療ショックの推奨を可能にするため、他の現在利用可能なデバイスおよび解決策と異なる。
【0020】
同様に、本明細書に説明される関連付けられる方法は、(1)スマートフォンソフトウェアアプリケーションが、救急サービス(米国では911)に電話をし、効果的なCPRを提供する際に居合わせた人を支援する能力を与え、(2)スマートフォンデバイスソフトウェアアプリケーションが、限定されないが、生命兆候、心調律、CPRの品質、および電気ショックの転帰等の蘇生努力のデータをアップロードおよび記録することができるという点で、既存の方法と異なる。ある実施形態はまた、リアルタイムで、または事実の後に、データを別のモバイルデバイスに伝送する。
【0021】
本発明のある実施形態は、(1)デバイスが、容易に商業的に入手可能な消費者バッテリから起動する、(2)デバイスが、モバイルデバイスに接続し、毎日の携帯性のために十分に小さい、および(3)胸壁のインピーダンスとともに、圧迫の力、率、および深度を検出し得る心臓パッドを含むという点で、他の既知のデバイスまたは解決策と構造的に異なる。
【0022】
さらに、本発明のある実施形態と関連付けられるプロセスは、(1)デバイスが、EMSとの通信を開始するスマートフォンデバイスソフトウェアアプリケーションを含む、(2)ソフトウェアアプリケーションが、圧迫深度、圧迫率、および手の設置等の心臓パッドから取得されるデータを使用して、高品質CPRを通して居合わせた人を誘導する、(3)心臓パッドがチェックもしくは再適用される必要がある場合、またはCPR技法が修正される必要がある場合に、デバイスが、データを使用し、ユーザを促す、(4)ソフトウェアアプリケーションが、アクティブな胸部圧迫中に心調律を検出する、(5)ソフトウェアアプリケーションが、心調律を分析し、適切な心不整脈のための電気ショックを提供する、および(6)ユーザが、自己心拍再開(ROSC)に応じてCPRを停止するように促されるであろうという点で、既知のプロセスおよび解決策と異なる。
【0023】
とりわけ、EMSへの疑わしい心停止の通知、および居合わせた人によるCPRならびに不整脈変換を誘導することを支援し、以前の解決策と関連付けられる問題または欠陥を克服する、自動体外式除細動器およびスマートフォンデバイスアプリケーションを提供することが、本発明のある実施形態の目的である。
【0024】
なおもさらに、費用効果的である自動体外式除細動器デバイスを作成し、したがって、AEDへの公衆のアクセスを増加させ、それによって、生命を救助することが、本発明のある実施形態の目的である。
【0025】
なおもさらに、他の解決策よりも小さく、軽量であるデバイスを提供し、それによって、デバイスが容易に携帯用であることを可能にすることが、本発明のある実施形態の目的である。ある実施形態は、1ポンド未満の重量を有する。それをより携帯用にすることによって、アクセス可能性を増加させ、したがって、製品が、より頻繁に利用され、最終的に、より多くの生命を救助するであろう。
【0026】
なおもさらに、ストレスの高い状況で居合わせた人を助け、効率的な様式で適切な手助けを提供することができる、デバイスを作成することが、本発明のある実施形態の目的である。
【0027】
本発明のある実施形態は、EMSへの疑わしい心停止の通知を支援し、居合わせた人によるCPRならびに不整脈変換を誘導することを支援する、自動体外式除細動器およびスマートフォンデバイスソフトウェアアプリケーションに関する。
【0028】
ある実施形態は、スマートフォン/モバイルデバイスと、外部バッテリパック/特殊コンデンサと、少なくとも2つの心臓パッドと、関連付けられるワイヤを伴うセンサとを含む。実施形態では、これらのコンポーネントは、以下のように接続される。すなわち、モバイルデバイスは、配線、Bluetooth(登録商標)、またはWi-Fiを介して、バッテリ、特殊コンデンサ、および回路を保持するケースに接続される。ケースはまた、ワイヤを介して接続されるセンサを伴う少なくとも2つの心臓パッドを保持し、それらは、ひいては、患者に接続される。例示的実施形態では、ケースは、電気ショックの危険性からユーザを保護し、電子機器を安全ではない方法で故障または誤動作させ得る、静電放電(ESD)から内部電子機器を保護する。ケースのための好適な材料は、例えば、種々のプラスチックおよび他の絶縁材料を含む。
【0029】
種々のコンポーネントをモバイルデバイスに接続することは、モバイルデバイス上の接続ポートへのワイヤを介して、またはBluetooth(登録商標)もしくはWi-Fi等の無線機構を介して行われる。モバイルデバイスは、ケースおよび他の生命兆候アタッチメントからワイヤまたは無線接続を介して入力を受信するためのソフトウェアを含む。ソフトウェアは、救急サービス(例えば、911)への通話を開始することを推奨することができる。EMSへのセルラーネットワーク、ビデオ、またはSMSを介した自動接続は、動作されているAEDの場所を開示することができるであろう。デバイスおよびソフトウェアは、限定されないが、生命兆候および心調律を含む、患者の情報を、EMS派遣および/または地域医療センターに自動的に送信することができる。自動システムは、圧迫の正しい深度および率に関してユーザを誘導し、心臓ショックを助言することができる。ケースは、携帯用バッテリ、コンデンサ、および回路を保持し、少なくとも1つの電荷を発生させて貯蔵し、自己心拍再開(ROSC)を目的に、心不整脈がある患者を心変換するための治療電荷を生成する。心臓パッドは、配線を介してケースに接続される。心臓パッドは、アクティブなCPRが行われているときに、心調律を検出することができる。実施例として、心臓パッドは、CPRを提供する、居合わせた人の圧迫率および深度を検出することができるであろう、埋め込まれたセンサを有する。心臓パッド内のセンサは、ショックを受けることができる心調律対ショックを受けることができない心調律の分析のために、情報をモバイルデバイスアプリケーションに返送する。心臓パッドは、治療ショックを心臓に送達するために使用される。心臓パッドは、胸部のインピーダンスを検出し、アプリケーションが、正しい治療電気ショック用量を計算することを可能にし、また、心臓パッドが患者上の適切な接続を有し、心変換の最良の機会を増加させることを確実にする。
【0030】
ある実施形態では、方法は、疑わしい心停止の犠牲者である個人を識別することと、携帯用自動体外式除細動器デバイスを展開することと、有線または無線接続を使用して、携帯用除細動器デバイスをモバイルに接続することと、ソフトウェアを自動的に開始し、画面ボタンプロンプトによってEMSに電話をするようにユーザを促すことと、モバイルデバイスの画面上のオプションを選択し、EMSへの通話を開始することと、モバイルデバイスの内部GPSシステムおよびいったん接続されると手助けが送信されるという要求を使用して、AEDの現在の場所をEMSに知らせることとを含む。ある実施形態では、ユーザは、心臓パッドを開き、前方/後方設置、またはAEDのケース上に提供されるパッキング図上に説明される前外側設置のいずれかで、犠牲者の胸部上にそれらを設置する。心臓パッドが犠牲者の胸部上に設置されるとすぐに、システムは、犠牲者の心調律を検出および分析しようとする。同時に、ソフトウェアは、CPRをユーザに実施する方法の音声プロンプトおよび視覚表示を与える。ソフトウェアはまた、米国心臓協会ガイドラインに従って、効果的な高品質CPRのための手の設置、圧迫深度、および圧迫率を推奨する。ショックを受けることができる調律が識別されるとすぐに、システムは、音声およびビデオ表示を介して、CPRを停止し、犠牲者へのショックを開始するように促すであろう。いったんショックが送達されると、システムは、CPRの適切なステップを再開するようにユーザに促すであろう。デバイスはまた、デバイスが展開される時間の間に、画面上に患者の生命兆候を表示することもできる。生命兆候および心調律はまた、他のモバイルデバイスおよび/または救急サービス派遣もしくは地域医療センターによって見られることもできる。任意の時間に、心臓パッド上のセンサが、CPRが米国心臓協会(AHA)ガイドライン(例えば、“AED Implementation”(2017年12月18日にアクセスされた、http://cpr.heart.org/AHAECC/CPRandECC/Programs/AEDImplementation/UCM_473198AED-implementation.jsp)を参照)によって推奨される適切な率または圧迫深度において与えられていないことを検出する場合、ソフトウェアは、それに応じて調節するように音声およびビデオ画像によってユーザを促す。センサはまた、インピーダンスが高すぎる場合にユーザを促し、必要に応じて心臓パッドをチェックする、および/または再び取り付けることを推奨する。事象全体に関するデータが、監視され、リアルタイムまたは後続の比較分析のために、別のデバイスに、もしくはアクティブなデバイスに保存されることができる。
【0031】
ある実施形態は、デバイス、デバイスと関連付けられる専用ソフトウェアおよび方法に関する。ある実施形態によると、本発明は、スマートフォンおよびソフトウェアと連動する携帯用除細動器を含む。心停止した患者に接続されたとき、2つ以上の電極およびバッテリパック/特殊コンデンサを介して、救急医療サービスに電話をし、場所を提供する。これは、心調律および生命兆候等の患者情報を記録し、これは、次いで、医療提供者による評価のために承認された施設に伝送されることができる。デバイスはまた、心調律を分析することもでき、1つ以上のショックを適切な心不整脈がある患者に投与することを提案し、適切なCPRについて居合わせた人に指示する。携帯用除細動器デバイスおよびソフトウェアは、支援のために近くの場所にダウンロードされるアプリを用いて任意の他の人員に警告することができる。デバイスは、居合わせた人によって、心停止していると考えられる任意の個人のために使用されることができる。本発明のコンポーネントは、スマートフォン用のアプリケーションと、スマートフォンに接続され、ソフトウェアをアクティブにするデバイスとを含み、デバイスは、個人の胸部およびバッテリパックならびにコンデンサに接続し、電気ショックを提供するための心臓パッドを伴う2つ以上の電極を含む。ある実施形態では、構成は、患者の胸部上に設置される心臓パッドに接続される、電極に接続される、バッテリパックおよびコンデンサにワイヤによって接続される、スマートフォンを含む。
【0032】
デバイスAEDモジュールのある実施形態に関して、さらに、いったんデバイスが患者に適用され、スマートフォンに差し込まれると、場所、生命兆候、および心調律を救急サービスに伝送するであろうソフトウェアをアクティブにし、また、心臓パッドの設置を分析し、深度、率、およびインピーダンスを介して、適切な調律分析および適切なCPRを確実にすることを留意されたい。デバイスは、電気ショックを適切な影響を受けやすい心不整脈に投与することを推奨するであろう。デバイスが適切に使用され、ショックを受けることができる調律が存在する場合、目標は、自己心拍再開(ROSC)、救急医療サービスのアクティブ化、および事象中に発生したデータの記録ならびに伝送である。関連付けられる方法に関して、ある実施形態では、方法は、心停止を有し得る患者を識別することと、デバイスを設置し、スマートフォンに差し込むことと、スマートフォンアプリケーションにアクセスすることと、デバイスからの指示に従い、推奨される場合にショックを送達し、または推奨される場合にCPRを提供し、救急サービスが到達することを待機することとを含む。最終的に、これらのステップの終わりに、デバイスは、居合わせた人が生命を脅かす状況で救急および十分なケアを提供することに役立つという包括的な目的を持って、セルまたはWi-Fi信号が可能にする場合に救急サービスに通知し、CPRのための指示を提供し、または心臓ショックを推奨および送達し、生命兆候および心調律を記録する。携帯用AEDは、患者転帰の向上およびより多くの生命が救助されることにつながるであろう。
【0033】
図を参照すると、図1は、実施形態による、自動体外式除細動器(AED)モジュール10を示す。図1で見られるように、AEDモジュール10は、コネクタ11と、電子モジュール12と、少なくとも2つの導電性心臓パッド13と、心臓パッド13を電子モジュール12と接続する配線14等の電気導体とを含む。心臓パッド13は、例えば、心臓パッド13が接続されるSCA患者の心調律および身体インピーダンスを監視するためのセンサ(図示せず)を含む。心臓パッド13内のセンサはまた、心臓パッド13がSCA患者上に適切に設置されているかどうかも示し、心臓パッド13の一方または両方がSCA患者から接続解除される場合に、電子モジュール12に示すことができる。さらに、心臓パッド13内のセンサはまた、SCA患者に実施される任意の心肺蘇生法(CPR)を監視することに役立つための圧迫の力、率、および深度の検出等の追加の能力を含むこともできる。コネクタ11は、図1に示される実施形態では、ワイヤ15を介して電子モジュール12に取り付けられる。代替として、モバイルデバイスと電子モジュール12との間の接続は、例えば、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fiを通して、無線で確立される。コネクタ11は、レセプタクル16を介してモバイルデバイス24に取り付けられる。
【0034】
図1のモバイルデバイス24は、スマートフォンとして示されるが、これは、携帯電話、タブレット、スマートウォッチ、電子リーダ、ラップトップ、または同等物等の別の好適な携帯用デバイスであってもよい。好適なモバイルデバイスは、例えば、Bluetooth(登録商標)、オーディオ、キーボード、マウス、トラックパッド、またはタッチスクリーン等の有線もしくは無線接続を介して、入力を受信する能力を有する。加えて、モバイルデバイスは、振動、カメラライト、ビデオ表示、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、またはオーディオ等の出力を生成する。好適なデバイスの内部コンポーネントは、例えば、マイクロプロセッサ、バッテリ、GPS、Wi-Fiおよび/またはBluetooth(登録商標)、オペレーティングシステム、ソフトウェア可読媒体、ならびに記憶装置を含む。モバイルデバイス24がAEDモジュール10と接続されるとき、心調律認識、患者監視、インピーダンス測定、および外部通信オプション等の特徴を含む、特殊アプリケーションソフトウェアが、AEDモジュール10と通信することができるように、モバイルデバイス24上にダウンロードおよびインストールされる。
【0035】
AEDモジュール10は、図1に示される実施形態では、コネクタ11を介してモバイルデバイス24のレセプタクル16に接続する。ある実施形態は、限定されないが、マイクロUSB、Lightningコネクタ、およびUSB-C、30ピン、Thunderbolt、オーディオ、またはさらにモバイルデバイス24の複数の入力との同時接続等の当業者に公知である標準接続機構を含む。代替として、AEDモジュール10は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、またはオーディオ等の機構を介して、(記号25によって示されるように)無線でモバイルデバイス24に接続する。コネクタ11は、例えば、特殊ソフトウェアアプリケーションのアクティブ化、心調律分析、および治療ショックの送達に関連する通信等の信号を電子モジュール12から受信し、そこに送信する。
【0036】
ある実施形態では、AEDモジュール10は、コネクタ11がレセプタクル16を介してモバイルデバイス24に接続されるときに、モバイルデバイス上にインストールされた特殊ソフトウェアアプリケーションを自動的にアクティブにする。例えば、モバイルデバイス24上のインストールされたソフトウェアは、電子モジュール12において処理/フィルタ処理される心臓パッド13からの心調律を分析する。代替として、電子モジュール12は、心臓パッド13から受信されるデータの分析を実施し、モバイルデバイス24上に分析結果を表示する。電子モジュール12は、少なくとも1つの電気ショックのための電荷を発生させて貯蔵する。電子モジュール12またはモバイルデバイス24内のインストールされたソフトウェアが、患者が現在心停止を受けており、除細動を用いて治療され得ると見なす場合、電子モジュール12内の制御回路(図示せず)が、心臓パッド13を介して発生された電荷をSCA患者に送信する。代替として、ショックは、ユーザがモバイルデバイス24上にインストールされた特殊ソフトウェアを通してショック送達を承認するときに、送達されるであろう。
【0037】
実施形態では、心臓パッド13の各々は、二次心肺蘇生法(ACLS)および米国心臓協会(AHA)規格によって現在推奨されている、二相性波形の形態の電荷に適応するように構成される。心臓パッド13は、とりわけ、標準前方/側方位置に設置されることができる、または前方/後方位置に設置されることができる。
【0038】
実施形態では、電子モジュール12自体またはモバイルデバイス上の特殊ソフトウェアは、心臓パッド13内のセンサを介して受信される、心電図検査(ECG)信号を分析するであろう。分析は、例えば、業界標準に従って、SCA患者から測定される心調律が、実際にショックを受けることができる調律であるかどうかを決定する。業界標準のショックを受けることができる調律は、例えば、0.2mVを上回る平均波形振幅を有する心室細動(VF)、0.1mV~0.2mVの振幅を有する微細心室細動(FVF)、および単一形態(単形性VT)またはいくつかの形態(多形性VT)の心室頻拍(VT)を含む(例えば、“AED Algorithm Application Note,” Philips, 2008(2017年12月10日にアクセスされた、http://laerdalcdn.blob.core.windows.net/downloads/f2374/AED_algorithm_application_note.pdf)を参照)。
【0039】
電子モジュール12またはインストールされたモバイルデバイス24上にソフトウェアによる分析が、検出される心調律がショックを受けることができる調律であることを決定するとき、身体インピーダンスに関するデータが、心臓パッド13を介してSCA患者に送達される適切な衝撃波形を計算および調節するために使用される。例えば、電子モジュール12から出力されるエネルギーは、現代の除細動器で使用される、容認された標準二相性パターンに従って、波形を生成するように、身体インピーダンスに従って調節される。ある実施形態では、この電圧波形は、概して、総エネルギーにおいて120~200ジュールである。
【0040】
ある実施形態では、電子モジュール12またはソフトウェアによって実施される分析は、より小さい/異なる電気出力における電気ショックを要求する調律が識別され得る、随意のモードを提供する。そのような調律に関する実施例は、外部電気心臓ペーシングを用いた治療電気的除細動または徐脈を要求する、上室性頻拍(SVT)である。実施形態では、電子モジュール12またはモバイルデバイス24上のソフトウェアは、ECG読取値のQRS波上で送達される同期ショックの必要性を区別することができる。これらの調律の実施例は、上室性頻拍(SVT)、安定した心室頻拍、症候性心房細動、およびその他であろう。
【0041】
ある実施形態では、ショック可能性分析のためのさらなるデータ入力に関して、追加の電極が、例えば、12リード線ECG読取値を取得するように、業界標準位置に設置されることができる。本オプションを用いると、12リード線ECGデータは、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の識別等のSCA患者の症状のより良好な分析を可能にする。例えば、左心室(LV)肥大または左脚ブロック(LBBB)が存在しない場合の診断的ST上昇は、心筋梗塞の普遍的定義のための欧州心臓病学協会/ACCF/AHA/世界心臓連邦特別委員会によって、リード線V2-V3において男性では>2mm(0.2mV)もしくは女性では>1.5mm(0.15mV)、および/または他の隣接胸部リード線もしくは四肢リード線において>1mm(0.1mV)の少なくとも2本の隣接リード線でのECG読取値のJ点における新しいST上昇として定義される。そのような症状が電子モジュール12またはモバイルデバイス24上にインストールされたソフトウェアによって識別される場合、AEDモジュール10は、実施形態では、EMSに通知し、したがって、症状の治療のために必要とされる心臓カテーテル法までの時間を潜在的に短縮する。
【0042】
ある実施形態では、モバイルデバイス24用の特殊ソフトウェアは、ソフトウェアアプリケーション市場(例えば、Apple App Store)、インターネット上の具体的ウェブサイトで入手可能にされる、または手動でアップロードされる。代替として、ソフトウェアインストーラが、モバイルデバイス24が接続されるときに、特殊ソフトウェアがモバイルデバイス24上に自動的にダウンロードおよびインストールされるように、電子モジュール12上に記憶される。ある実施形態では、オリジナル機器製造業者が、電子モジュール12上に事前ロードされる特殊ソフトウェアを事前ロードするであろう。ある実施形態では、モバイルデバイス24内のバッテリは、電力をAEDモジュール10に提供するために使用されることができる。
【0043】
図2を参照すると、AEDモジュールまたは電子モジュール12の内部構成のある実施形態が、示される。ある実施形態では、バッテリ17は、9ボルトバッテリであり、ある実施形態では、限定されないが、単独で、またはそれらの組み合わせで、NiMH、NiCd、リチウムイオン、アルカリ、酸化銀、または銀亜鉛バッテリを含む、別の既製の家庭用バッテリを含むことができる。
【0044】
ある実施形態では、電子モジュール12はまた、少なくとも1つの電気除細動のための電荷を発生させて貯蔵するための一例のコンデンサ18も含む。ある実施形態では、電子モジュール12はまた、心臓パッドから受信される信号を増幅およびフィルタ処理するためのブースティング要素19も含む。心臓パッドからの信号は、ワイヤ14を介して受信され、ブースティング要素19において増幅およびフィルタ処理され、マイクロプロセッサ20からモバイルデバイス上のソフトウェアに送信されて分析される。ブースティング要素19におけるフィルタ処理は、受信された信号の中の筋電図検査(EMG)雑音および/または電磁干渉(EMI)を低減させる。実施形態では、ブースティング要素19が、心調律の分析を可能にする一方で、アクティブな胸部圧迫(すなわち、CPR)が、SCA患者上に投与されている。ある実施形態では、マイクロプロセッサ20は、ソフトウェアがデバイス上にまだインストールされていない場合において、モバイルデバイス24にアップロードされるように製造業者からのダウンロードされたソフトウェアを記憶する。
【0045】
電子モジュール12はまた、伝送機21を使用して、Bluetooth(登録商標)およびWi-Fi等の無線配列を介して、任意の情報をモバイルデバイス24から受信し、そこに伝送する。ある実施形態では、ポート22が、限定されないが、カプノグラフィ、血圧、パルスオキシメトリ、およびグルコースモニタを含む、生命兆候デバイス23等の追加の電極、スマートウォッチ、ならびにGoogle Glassを受け入れるように電子モジュール12上に提供される。生命兆候デバイス23と同等のソフトウェアアプリケーションもまた、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、もしくはオーディオ等の無線接続、または有線接続を使用して、電子モジュール12またはモバイルデバイス24上にインストールされ得る。
【0046】
ある実施形態では、図3に示されるような携帯用AEDモジュール30が、ワイヤ15を介してモバイルデバイス24に接続される。AEDモジュール30のコンポーネントは、筐体31内または上に設置される。ある実施形態は、心臓発作に罹患した個人を蘇生するためのステップをユーザに視覚的に示す、複数のインジケータ32を含む。なおも図3を参照すると、一実施例では、インジケータは、例えば、心臓分析インジケータ32a、AED/CPRパッドを設置するインジケータ32b、CPRを実施するインジケータ32c、離れるインジケータ32d、警告ショックインジケータ32e、およびパッドを除去するインジケータ32fを含む。インジケータ32は、実施形態では、上側カバー41上に搭載される。AEDモジュール上で見出されるインジケータは、これらのインジケータタイプに限定されず、これらのインジケータタイプを上回る、またはそれよりも少ないものを含み得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0047】
ある実施形態では、インジケータ32は、ユーザが、SCA患者に除細動/CPRを実施するためのステップを視覚的に検証することを可能にするように照明される。例えば、インジケータ32は、半透明であり、図4に示されるように、インジケータ基板39上で見出されるライト38aによって照明される。ある実施形態では、ディスプレイ34が、さらなる情報を提供する。例えば、ディスプレイ34は、LCD、VFD、OLED、アナログ、または情報を提供するための他のディスプレイであってもよい。ある実施形態では、ディスプレイ34は、ユーザフィードバック、ステータス情報、または除細動もしくはCPRのプロセスに関連する他の情報を提供する。ある実施形態では、ディスプレイ34は、心拍数情報を提供する。ある実施形態では、ディスプレイ34は、インジケータ基板39の一部を形成する。
【0048】
図3を再び参照すると、ある実施形態では、インターフェース33は、AEDを使用する、および/またはCPRを投与するためのオーディオ合図を伝送する、スピーカを含む。ある実施形態では、ユーザは、インターフェース33からのオーディオ合図を聞き、オーディオ合図の指示に従う。スピーカは、限定されないが、とりわけ、GPS場所、EMS人員とのリアルタイム会話、使用のための指示を含む、他の情報を伝送することができる。ある実施形態では、インターフェース33はさらに、バッテリ寿命インジケータを含む。
【0049】
依然として、図3および4を参照すると、携帯用AEDモジュール30のある実施形態は、筐体ベゼル40を含む。筐体ベゼル40は、ライト38bからの光が通過することを可能にするように半透明である。ライト38bは、AED電力基板43上に搭載され、筐体ベゼル40を通して面積35を照明し、除細動および/またはCPRを実施するプロセスの間にユーザを支援するためのさらなる視覚情報を提供する。照明は、面積の外側35で発生することもできる。ライト38aおよび38bは、発光ダイオード(LED)、白熱灯、または蛍光灯等の任意の数の光源によって提供される色特有の情報を提供するように、1つ以上の色であり得ることを理解されたい。
【0050】
図4を参照すると、ある実施形態では、AED電力基板43は、電荷を保持するようにバルク電荷貯蔵アレイ44を含む。ある実施形態では、AED電力基板43と接続されるバッテリ17は、除細動のために必要な電荷をAEDモジュール30に提供する。代替として、モバイルデバイス24内のバッテリ等の他の電源が、使用されることができる。ある実施形態では、絶縁45が、インジケータ基板39とAED電力基板43との間の回路の分離を提供する。加えて、後部カバー42が、筐体31の一部を封入する。ある実施形態では、後部カバー42は、ユーザがバッテリ17を交換することを可能にするように除去可能であり得る。
【0051】
図3および5を参照すると、AEDモジュール30のある実施形態はさらに、他のコンポーネントに接続される。例えば、AEDモジュール30は、ワイヤ15、36、37を介して、モバイルデバイス24、光電式容積脈波記録(PPG)モニタ46、および複数のパッド47に接続可能である。例えば、PPGモニタ46は、血流、心拍数、生存心臓調律、および血液酸素飽和度(0.2%)等の生命兆候を検出するように、耳たぶまたは指に取り付けられる。ある実施形態では、いかなる脈拍も検出しないPPGモニタ46は、AEDモジュール30をトリガし、CPRの投与を開始するようにユーザに指図する。
【0052】
パッド47は、例えば、心臓パッド13に加えて、CPR指導パッド48を含む。ある実施形態では、CPR指導パッド48は、加速度計、圧力センサ、インピーダンスセンサ等のセンサを含み、またはそれと接続され、随意に、図6Aに示されるように、スピーカ、ライトインジケータ、およびその他等の出力に接続される。加速度計は、パッドの移動を測定し、圧力センサは、CPR圧迫のアクティブな力および解放を測定する。したがって、CPR指導パッド48は、より圧迫を速くする、より強くする、または停止するための命令を含む、患者へのCPRの適切な投与についてユーザに指図する。CPR指導パッド48の実施例が、図6Bに示される。CPR指導パッド48内のセンサは、ユーザがCPRを実施するにつれて、CPRデータを受信し、CPRの業界標準タイミングおよびショックの送達が実施されるように、リアルタイムフィードバックを発生させ、それに応じてCPRを調節する。
【0053】
心臓パッド13のある実施形態は、限定されないが、身体インピーダンスおよびECG信号等のデータをSCA患者から検出するためのセンサをその中に含む。ある実施形態では、心臓パッド13の各々は、患者の身体上のそのようなパッドの正しい設置を視覚的に/グラフィックで示す、面積49を含む。
【0054】
図6Aおよび図6Bを参照し続けると、太くて黒い矢印は、心臓パッド13へのAED出力を示し、太くて白い矢印は、アナログデータ転送を示し、実線矢印は、デジタル転送を示す。PPGモニタ46、CPR指導パッド48、および心臓パッド13からのデータは、安全プロセッサ50によって収集および処理される。いったん除細動が所与の状況で適切であるという決定が行われると、安全プロセッサ50は、AED電力および波形モジュール51ならびにスイッチおよび分離モジュール52と通信し、電気ショックを開始し、心臓パッド13に送達する。ある実施形態では、安全プロセッサ50は、LightningまたはUSBコネクタ等のインターフェースモジュール53を通してモバイルデバイス24と通信する。患者ステータス、除細動指示、CPR指示、救急サービス通信、および本明細書に説明されるその他に関する情報は、ユーザインターフェース(UI)スピーカ54およびUIディスプレイ55を介する等、視覚およびオーディオ合図を使用して安全プロセッサ50からインターフェースモジュール53に通信される。安全プロセッサはまた、バッテリおよび電力監視モジュール56と通信する。
【0055】
ある実施形態では、携帯用AEDモジュール30は、モバイルデバイスへの接続を伴わずに、独立型デバイスとして使用されることができる。単独で使用されるとき、AEDモジュール30は、例えば、二相性波形を伴う3つの電気ショックを提供し、各ショックは、治療使用のために好適な電荷レベルと、9Vバッテリ等の1つの標準家庭用バッテリまたはバッテリパックからの0℃の周囲温度における1分またはそれよりも良好な送達時間とを伴う。例えば、AEDモジュール30は、AEDモジュール30が電源を入れられるとすぐに充電し始める。ある実施形態では、ショックの送達は、適切なショックを受けることができる心調律の検出後に、充電シーケンスの開始の1分以内に起こる。AEDモジュール30上に位置するLEDアイコンまたはインジケータ32は、視覚的に、かつ業界推奨規格に従って除細動のためにAEDモジュール30を設定する適切なステップを通してユーザを誘導するための可聴プロンプトを用いて、ユーザを促す。ある場合には、AEDモジュール30は、AEDモジュール30の一部として提供され得るPPGモニタから、脈拍が検出されない場合、および脈拍がユーザによって確認されない場合に、CPRを開始するようにユーザに指図する。そのような場合において、AEDモジュール30のある実施形態は、前述で議論されたように、リアルタイムCPRガイダンスにフィードバックを提供する。ある実施形態では、AED指導パッド48内の圧力センサは、CPR投与中に患者胸部反跳を監視する。ある実施形態では、AEDモジュール30は、インピーダンスセンサおよび加速度計を使用して、CPRの適切な率および深度を通してユーザを指導する。例えば、AED指導パッド48の加速および移動を測定するために使用されるXYZ加速度計、ならびに各CPR圧迫のアクティブな力および解放を測定するために使用される圧力センサ膜は、ある実施形態によると、コネクタ(ワイヤ36等)を介してCPR関連データをAEDモジュール30に送信し、CPR努力の有効性に関するフィードバックをユーザに提供する。AED指導パッド48は、図6Bに示される実施形態では、例えば、上層補剛材、加速度計、フレックス回路、圧力センサ膜、および接着剤を伴う底層補剛材を含む。ある実施形態では、AEDモジュール30の使用中に提供されるガイダンスは、心停止に対処するためのステップに関して米国心臓協会(AHA)等の業界標準団体によって記載されるガイドラインを順守する。
【0056】
AEDモジュールがモバイルデバイス24と併用されるとき、上記の特徴、ならびに追加の特徴が、提供されることができる。ある実施形態では、AEDモジュール30は、モバイルデバイス24から地理位置データを受信する。AEDモジュール30がモバイルデバイス24と接続されるとき、ソフトウェアアプリケーションが、自動的に開かれる。モバイルデバイス24の通信能力は、EMS(米国では「911」等)に連絡し、通信を受信する通信指令係に場所データを提供するために、使用されることができる。実施形態では、ショートメッセージサービス(SMS)メッセージが、SCA患者の現在のステータスについてEMSに送信され、SCA患者の症状の任意の変化をEMSに更新し続ける。EMSに配信される情報は、限定されないが、提供される任意のショックの詳細、自己心拍再開(ROSC)、現在の心拍数、パルスオキシメータ読取値、および心調律ステータスを含む。本情報を提供することは、具体的SCA患者のケアにおいて必要とされる介入により良く備えている能力をEMSまたは病院に与えるであろう。
【0057】
図7-9は、ある実施形態による、携帯用AEDモジュールを使用することに関与することを示す。ある実施形態は、アプリケーションを開始することであって、アプリケーションは、緊急事態があるかどうかを尋ねる、ことと、救急サービスに電話することを要求することと、デバイスを経由した自動ボイスオーバーを介して、かつテキストメッセージを介して、場所をEMSに提供することと、救急サービスへの公開通話を自動的にスピーカフォン上にのせることと、PPGモニタを設置することと、脈拍が検出されない場合に、CPRが開始するべきであることを提案することと、脈拍確認をチェックすることと、オーディオおよび画面上の視覚表示を介してプロンプトを提供し、効果的な圧迫が実施されていることを確実にすることと、CPRを提供する個人が疲労していることを決定することと、低品質CPRが実施されている場合、提供者を変更することを推奨することと、CPRが進行中である間に、調律を分析するときを通知することと、スピーカフォンを介して、CPRおよびEMSを実施する個人に、ショックを受けることができる/ショックを受けることができない調律が検出されていることを通知することと、犠牲者がショックを与えられることができることを通知し、CPRを停止し、患者に触れないように助言することと、CPRを再開することと、PPGモニタが脈拍を検出する場合、および生存調律が検出される場合に、脈拍および応答性をチェックすることを推奨することと、画面上に表示される回復位置に患者を設置することと、患者を監視し続けることとを含む。ある実施形態では、AEDモジュールは、限定されないが、GPS追跡装置、携帯電話サービス、モデム、および救急サービスと通信するためのWi-Fiを含む、他のコンポーネントを含む。
【0058】
図10を参照すると、除細動のための電荷を発生させるための例示的回路がある。ある実施形態では、簡略化されたAED二相性切断指数関数(BTE)電力段は、バルクエネルギー貯蔵コンデンサに供給する定電力ブースト充電器(例えば、SEPIC乗算ブースト充電器)を有し、その後に、正および負の半相を操向するための高電圧フルブリッジが続く、エネルギーベースの2段設計である。図12は、フルブリッジ操向とともに、タップインダクタブースト充電器を含む、代替的AEDモジュールの代替実施形態を示す。実施例では、高電圧および電流感知フィードバックが、誤った投与を防止し、エラー状態を検出するように、マイクロプロセッサに提供される。低電圧ECG感知段は、ショック送達中の過電圧損傷を防止するように、継電器によって分離される。電流充電器は、60秒またはそれ未満以内で規定量のエネルギーまでエネルギー貯蔵コンデンサを充電するように、マイクロプロセッサからのパルス幅変調(PWM)信号によって制御される(ミリアンペア範囲内の)低電流定充電率を使用する。例示的実施形態では、約45秒またはそれ未満の充電時間が、電源として4つのCR123バッテリを使用して、達成されている。充電電流の本時間の長さおよびレベルは、標準9Vアルカリバッテリが、完全バッテリ条件における少なくとも6つの完全定格ショックならびに3つのショックを用いた数時間の目標動作時間およびAEDの使用に先立った最小指示バッテリレベルにおける15分の動作時間を満たすために使用され得るようなものである。出力電流は、例えば、10~20ミリ秒の合計持続時間パルスのハードスイッチングを実施する、高電圧フルブリッジを使用して、正および負の相を通して操向される。相遷移時間が、例えば、図11で見られるように、身体インピーダンス(50オーム~150オーム)に基づいて決定される。すなわち、正および負の相のタイミングおよび振幅を調節することによって、SCA患者に印加されるショックの全エネルギーが、具体的患者に関して修正されることができる。例示的実施形態では、身体インピーダンスは、心臓パッドを横断して低電圧方形波を送信し、方形波の極性が逆転されるときに検出される心臓パッドの間の負荷を計算することによって、心臓パッドの既存の配線を使用して測定される。
【0059】
図11に示される実施例では、波形は、ある実施形態によると、異なる身体インピーダンス値に関して計算される、異なる遷移時間およびに対応する。ショックあたりのSCA患者に印加される全エネルギーは、以下の方程式1を使用して計算されることができる。
【数1】
式中、
【数1-1】
であり、R=身体インピーダンスであり、t=時間である。図11では、波形1100は、R=50オームに対応し、波形1120は、R=75オームに対応し、波形1130は、R=125オームに対応する。例えば、示されるように、50オームの身体インピーダンスに関する200Jのエネルギーピークは、i=約40アンペアの電流に対応する。1,640Vの電荷を保持する120マイクロファラッドコンデンサよって提供される電荷の実施例に関して、スイッチングおよび終了時間(図11のtおよびt)が、表1で要約される。
【表1】
【0060】
本明細書に説明される実施形態は、以前に利用可能であったAEDによって対面されていない問題の革新的解決策を要求することに留意することが重要である。例えば、本明細書に説明される実施形態は、以下を提供する。
1.市販のAEDのものよりもはるかに小さい形状因子を伴う高度に携帯用のAED(例えば、回路基板は、ある実施形態では、6インチ×6インチ×2インチ以内に適合する)
2.通常のユーザに容易に利用可能である消費者バッテリから業界標準二相性ショックを発生させるための回路
3.FDA要求時間枠内で発生された電荷を患者に送達する準備ができているAED
4.随意に、AEDが救急医療サービス人員との通信のためにモバイルデバイスと接続する能力
これらは、以前のAED製造業者によって対面されているものを超える要件である。
【0061】
特に、家庭用バッテリから、小型の携帯用AEDからの必要な性能を達成するために、電子設計およびファームウェアの協調が重要であることが強調される。特に、市販の家庭用バッテリによって給電され、手頃な価格において使いやすい小型パッケージで提示される、ショックの発生およびその調整は、有意な工学的達成であることが強調される。家庭用バッテリからの最良実践に従って、特に、治療ショックを発生させることに関与する種々の電圧変換器および高電圧ドライバを伴う、AEDのパッケージサイズを縮小することに、著しい課題が存在する。特に、訓練を受けていないユーザによる高電圧デバイスの動作が、物理的特徴において提供される安全対策ならびにファームウェアに関与する論理およびユーザインターフェースにおける使いやすさの広範な考慮を伴うため、特に、著しい工学的創意工夫が、上記の列挙された限定の下で必要な性能を達成するために要求される。本明細書に説明される実施形態のいかなるデバイス均等物も、現在公知ではない。
【0062】
1つ以上の9VもしくはCR123バッテリ等の一般的家庭用バッテリからの二相性波形の発生は、そのようなバッテリによって提供される、限定された電圧および電流に起因して、有意な課題である。高度に携帯用のパッケージ内に適合する一方で、家庭用バッテリから、図11に図示されるもの等の調節可能な二相性波形を発生させるために要求される回路は、本明細書に説明される実施形態において解決される一意の課題である。
【0063】
例えば、図10で「フルブリッジ操向」として示されるHブリッジ上に焦点を当てると、本明細書に説明されるある実施形態において二相性波形を発生させるために使用される方法は、患者に投与するときに時間遅延回路を使用して、正および負の相を別個に発生させ、次いで、それらを組み合わせるもの等の既存の設計と異なる。例示的実施形態では、二相性波形は、マイクロプロセッサ制御下のHブリッジ構成を使用して、単一の高電圧コンデンサを放電することによって発生される。
【0064】
より具体的には、図10に示される例示的実施形態では、スイッチM4およびM3が、閉鎖され、次いで、開放される。続いて、スイッチM5およびM2が、閉鎖され、次いで、開放される。ソフトウェアが、上記の方程式1に従って、各相の適切なタイミングを決定し、例えば、150Jの全電荷を送達するために使用され、相毎に減衰抵抗器コンデンサ(RC)電位の各方向に等しい電荷を伴う(すなわち、M4-M3の組み合わせ、次いで、M5-M2の組み合わせ)。本例示的Hブリッジ構成は、ある実施形態が、1つだけの電荷リザーバを使用して、要求される二相性波形を発生させることを可能にし、したがって、両方の極性のために1つの電荷リザーバから要求される電荷の全てを送達する。さらに、ファームウェア論理が、Hブリッジの誤った制御を防止するために使用される(例えば、図10に示されるコンポーネントに関してM4-M2およびM5-M3等の組み合わせ)。IXYS H-ブリッジドライバ基板等のHブリッジ基板は、本明細書で開示されるように構成され得る、基板の実施例である。Hブリッジ構成で使用するための追加の潜在的候補は、例えば、Powerexモジュールおよび分離ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、Texas InstrumentsモジュールおよびIGBT、Infineon PCBモジュール、CT-Concept/Technologie PowerIntegrations、IXYSドライバおよびIGBT、ならびに他の好適な均等物である。
【0065】
本明細書に説明されるある実施形態のための別の革新の点は、1分以内または30秒未満と同程度の少ない時間に、コンデンサ充電を有効にすることが可能である、例えば、図10および図12に示されるDC-DC変換器実装である。実施例では、高電圧DC-DC変換器は、順方向ダイオードトポロジを伴うフライバック変圧器を使用する。複数のそのようなDC-DC変換器は、バッテリからの電流引き込みを増加させるというトレードオフを伴って、充電時間を短縮するように、ダイオード論理和を使用して並列に設置されることができる。実施例では、1Aにおいて9Vから発生され得る電力は、9Wである。200W秒と同等である200ジュールのエネルギー出力である場合には、本エネルギー出力のレベルは、100%バッテリ効率において200W秒/9W=22秒で取得されることができる。効率は、より少なくあり得、充電時間を増加させ得る。
【0066】
代替として、それぞれ3.0Vの公称電圧を伴って容易に利用可能でもある、3つまたは4つのCR123バッテリが、要求される時間枠内で十分な電荷を供給するために、9Vバッテリの代わりに使用されてもよい。例示的実施形態では、回路設計は、バッテリの並列または直列の組み合わせを用いて達成され得る、1Aの電流において動作する9Vの使用に基づく。例えば、N個の9Vバッテリの並列の組み合わせは、ダイオード論理和を要求し、それぞれに1/N電流能力を供給するであろう。直列の組み合わせは、各バッテリが9Vの1/Nであり、完全な1Aを送達することを要求するであろう。CR123バッテリ(例えば、Energizerリチウム/マンガンダイオードEL123APバッテリ(http://data.energizer.com/pdfs/123.pdf))は、1.5Aの連続電流において3Vを送達することができ、したがって、直列の3つのそのようなCR123バッテリが、基準を満たすであろう。
【0067】
ある実施形態では、高電圧DC-DC変換器のさらなる変形例が、FDA要求充電時間内で要求される二相性波形をより効率的に生成するために、使用される。本変形例は、変換器が、通常、固定量の電力を出すように設計されるため、低電圧DC-DC変換器が高電圧DC-DC変換器よりも高い電流出力を生成し得るという知識に基づく。単一の既製のDC-DC変換器は、十分に短い充電時間を提供しないが、異なる電圧容量を伴う複数のDC-DC変換器の出力のダイオード論理和によって、多段アプローチが使用されることができる。
【0068】
例えば、既製のDC-DC変換器の異なる異型が、12V入力から2,000V~4,000Vに段階的である出力を生じさせるように階段状であり得る。9V入力が同一の構成に接続される場合、出力は、1,500V~3,000Vに段階的となるであろう。
【0069】
より速い充電のための本ダイオード論理和概念は、最大1,500Vのより高い充電電流を送達するために低電圧変換器を利用し、次いで、電圧を最終的な所望の値まで上昇させるために高電圧変換器のうちの1つ以上のものを利用する。換言すると、単一またはさらに2つの高電圧DC-DC変換器を利用するのではなく、階段状構成で低電圧および高電圧DC-DC変換器の組み合わせを使用することによって、より速い充電が達成されることができる。American Power DesignsのEMCO HV DC-DC変換器、およびカスタム変圧器ならびに回路トポロジを伴うLinearTech DC-DC変換器等の高電圧DC-DC変換器の組み合わせが、本明細書で開示されるような実施形態を実装するために使用されることができる。
【0070】
ある実施形態では、ファームウェアは、具体的患者への印加される二相性波形のパラメータを調節するために、回路のための制御論理、ならびに心臓パッドを横断するインピーダンス測定(すなわち、患者のサイズに関連するインピーダンス)をマージする。実施例として、AED内のマイクロコントローラユニット(MCU)が、種々の方法でAEDの性能の全体的制御を提供する役割を果たす。
【0071】
実施形態では、MCUは、完全に機能的なAEDにおいていくつかの責任を有する。例えば、MCUは、以下を行う。
【0072】
1.精密なタイミング仕様に従って、精密な形状を伴う二相性波形としてショックを送達する。
【0073】
2.心臓パッドから感知されるECG信号を監視し、「ショックを受けることができる」調律と「ショックを受けることができない」パターンとを区別する。関連付けられるアルゴリズムは、クラウドまたはスマートフォン等の任意のアタッチされたデバイスへのリアルタイムアクセスを伴わずに、AED内で内部から起動する。そのようなアルゴリズムは、本開示では、ショックインジケータアルゴリズム(SIA)として定義される。SIAによる、ショックを受けることができる心調律とショックを受けることができない心調律との区別のために要求される、識別される具体的条件は、ACLSおよびAHAの推奨等の業界団体からのガイダンスに従う。実施形態では、SIAは、SIAがMCU内の任意の他のアクティビティを中断し、他のアクティビティを除外して、ショックプロトコルを開始するように、AED内の他の処理アクティビティを上回って優先される。SIAに関するさらなる詳細が、適切な時点で本明細書の以降で提供される。
【0074】
3.離れて立つ指示を表示し、救助者がこれらの指示に従うための要求される時間量を許容し、最終的に、ショック自体をトリガすることによって等、ショックプロトコルを通してユーザを誘導する。
【0075】
4.CPRを実施するかどうかという決定に関連する生理学的信号を監視する。
【0076】
5.CPR訓練を受けていない一般人にさえもガイダンスを提供するように、CPR自体に関連するセンサ測定ならびに患者からの生理学的データを含む、CPRを投与する個人の成績を監視する。
【0077】
6.AEDおよびCPRガイダンス、ならびに救急医療サービス人員との通信等の拡張特徴のために、有線または無線接続を介して、スマートフォンと接続および通信する。
【0078】
7.例えば、ショックを投与することに備えて充電シーケンスを制御すること等のあるAEDハードウェアコンポーネントを制御する。
【0079】
8.心臓パッドがSCA患者にうまく取り付けられていない場合に、例えば、AEDがユーザに状態を警告するように、SCA患者への心臓パッドの取り付けステータスを検出する。
【0080】
上記のリストの中のアクティビティは、同時に起こる必要はない。
例えば、デバイスは、充電シーケンス(上記の項目7)を通して進行する一方で、ECG信号入力をSIAに提供し(上記の項目2)、また、CPRの投与に有用な他の生理学的兆候に関して患者を監視する(上記の項目4)とともに、ユーザのCPR成績を監視する(上記の項目5)。
【0081】
SIAが、ショックが必要とされることを示す場合、MCUは、まだ完了していない場合、時限充電シーケンス(上記の項目7)を継続する一方で、同時にショックプロトコルを通してユーザを誘導し(上記の項目3)、おそらく、生理学的兆候を監視し続ける(上記の項目4)。例示的実施形態では、MCUは、ある基準が満たされるときのみ、ショックの投与が開始されるように、論理を含有する。例えば、MCUは、1)ショックシーケンスがユーザによって開始された、2)充電シーケンスが完了した、および3)ショックプロトコルが変位された心臓パッドに起因する等してアラートを伴わずに完了したときのみ、ショックが投与されるように設定されることができる。
【0082】
別の実施例として、ショックの実際の投与中に、MCUは、対立を回避するため、かつ敏感なコンポーネントを保護するために、その主要な機能に不可欠ではない全ての他のAEDアクティビティをオフにする。加えて、ショックが投与された後、MCUは、ショックに先立って収集されたデータがもはや関連しない、または正確ではない場合があるため、これらの他のアクティビティのうちのいくつかを新規開始状態にリセットする。
【0083】
例示的実施形態では、MCUは、以下を含む、ショック機能に関連するいくつかのタスクを有する。
【0084】
1.SCA患者の生命兆候を監視し、ショックを受けることができるパターンを探すようにSIAを従事させる。
【0085】
2.ショックプロトコルを通してユーザを誘導する。
【0086】
3.充電シーケンスを管理する。
【0087】
4.AED回路によって生成される衝撃波形を制御する。
【0088】
より具体的には、実施形態では、MCUは、ショックを投与する前に従うために十分な時間をユーザに許容するためのプロトコルを含む、ショック投与を予想して「後ろに下がる」または「離れる」こと等のガイダンスをユーザに提供する。MCUはまた、例えば、SCA患者上の心臓パッドの設置、ハードウェアの準備状態(例えば、充電されたコンデンサ)、およびSIAによる分析についての情報を組み合わせるための論理を提供し、要件の全てが満たされる場合、離れて立つようにユーザに指示し、妥当な時間後にショックを開始することができる。
【0089】
実施形態では、MCUは、AEDによって生成される二相性波形の発生の具体的タイミング側面を管理する。例えば、MCUは、いったん開始されると、中断なく完了するまで、規定順序で全てのステップを通して進行する、一連のいくつかの慎重にタイミングを計ったプロセスを管理する。例示的実施形態では、MCUファームウェア内の状態機械が、種々の持続時間のタイマの設定を管理し、これらのタイマを使用し、出力ピンを駆動してAEDハードウェアを制御する。例えば、状態機械は、100マイクロ秒のタイミング精度とともに数ミリ秒のタイミングを伴う8つの一意の状態を含む。
【0090】
実施例では、いくつかの事象が、ショックが投与される前に要求される。これらは、以下を含む。
【0091】
1.SIAからの「ショックが必要とされる」信号(すなわち、ショック要求)。
【0092】
2.後ろに下がってSCA患者から離れるようにユーザに警告する、ガイダンスシーケンスの完了。
【0093】
3.充電機能が完了したという回路ハードウェアからの指示。
【0094】
これらの要求される事象は、相互に対して非同期的に起こる。例えば、ショック要求は、ユーザアラート動作を即時にトリガすることができる、または充電シーケンスは、本ステップがSIAからのショック要求と直接の関係がないように、AEDユニットがオンにされるとすぐに開始するように設定されることができる。加えて、MCUは、限定されないが、以下等の特徴を含むことができる。
【0095】
1.充電シーケンス完了(例えば、「HV_Ready」)は、インタラプトサービスルーチン(ISR)を介したハードウェアインタラプトである。
【0096】
2.ショック要求は、そのソリューションがプロセッサチップまたは同等物に内蔵して提供される場合、ファームウェアの1つの部分から別の部分へ、または別個のハードウェアコンポーネントからのメッセージである。
【0097】
3.(例えば、点滅光および/またはオーディオアラートを介して)ユーザに警告するためのアクションは、ファームウェア内のクロックによって管理される。
【0098】
実施例として、ファームウェアのメインループは、ショックが要求されていること、およびショックを投与することに先立つプロトコル(例えば、ユーザが「後ろに下がる」ように警告されており、コンデンサが完全に充電されている)が完了したことをチェックし、次いで、ショックを自動的に投与するための論理を含有する。ファームウェアメインループは、例えば、1)充電要求、2)ショック要求、3)(例えば、ショックプロトコルが中止された場合)安全な状態への放電要求、および4)バッテリ試験要求を管理する。そのような要求は、ボタンとして、または端末コマンドとして、ファームウェアに提示されることができる。例えば、ボタンとして、要求は、最小論理が許容される(例えば、端末出力がない)ISRに着信する。実施例では、ボタンおよび端末要求は、同じように挙動し、すなわち、直接アクションの代わりに、要求は、メインループがその次の反復でチェックするであろうという状態変数に登録される。そのような構成は、依然として、必要である場合、ISRが迅速に終了することを可能にしながら、端末を介した開発者へのフィードバックを安全に可能にする。
【0099】
ある実施形態による、AEDを制御するファームウェアの例示的プロセスフローが、図13-19に説明される。
【0100】
最初に図13を参照すると、関係図が、ある実施形態による、AED動作制御モジュールとAEDモジュール内の他のファームウェアとの間の通信を示す。図13に示されるように、AED動作制御モジュール(Ops Ctrl)1305は、図1のAEDモジュール10等のAEDモジュールの全体的動作を調整するための回路および論理を含む。Ops Ctrl1305は、スタンバイモードであるときにAEDモジュールの動作を管理する、スタンバイ電力使用管理および監視モジュール(Stdby)1310と通信する。Stdby1310は、例えば、低電力モードでマイクロプロセッサおよび関連回路を維持し、AEDモジュール内のバッテリシステムのより長い保存期間を促進するための回路および論理を含む。ユーザが治療使用のためにAEDモジュールをアクティブにするとき、Stdby1310は、Ops Ctrl1305に信号1312を送信し、AEDモジュールの治療動作を開始する。
【0101】
実施形態では、Stdby1310は、AEDモジュールのショック発生に給電する、バッテリのバッテリ容量ステータスを試験するための回路および論理を含む、充電電圧バッテリ試験モジュール(充電BTM)1315と通信する。周期的に、Stdby1310は、AEDモジュール内のメインバッテリのバッテリ容量をチェックし、次いで、メインバッテリステータスチャネル1316を介して指示をStdby1310に返送するように、充電BTM1315に指示する。
【0102】
例示的実施形態では、Stdby1310はまた、マイクロプロセッサおよび関連制御回路に給電するための制御バッテリを試験する、制御電圧バッテリ試験モジュール(制御BTM)1320と接続される。周期的に、Stdby1310は、制御バッテリステータスチャネル1322を介して、制御バッテリの容量を試験し、次いで、指示をStdby1310に返送するように、制御BTM1320に指示する。
【0103】
加えて、実施形態では、Stdby1310は、デバイス保守に関して、ならびにAED動作中に、ユーザへの情報の伝達を管理するための回路および論理を含む、ユーザ通知モジュール(UI)1325と通信する。例えば、メインバッテリステータスチャネル1316または制御バッテリステータスチャネル1322からのいずれかの信号が、個別のバッテリの充電が低く、交換または保守を要求することを示す場合、Stdby1310は、ステータスアラート信号1327をUI1325に送信し、アラート指示を表示してユーザに問題を通知する。UI1325はまた、下記の適切な時点で詳細に解説されるであろうように、UI通信チャネル1329を介してOps Ctrl1305と直接通信し、AEDモジュールの動作中にユーザガイダンスまたはアラートを表示する。
【0104】
図13を参照し続けると、例示的実施形態では、Ops Ctrl1305は、ユーザがSCA患者上に一対の心臓パッドを適切に取り付けたかどうかを監視するための回路および論理を含む、パッド設置監視モジュール(パッドMon)1330と接続される。AED動作の開始に応じて、Ops Ctrl1305がUI1325へのUI通信チャネル1329を介してSCA患者上に心臓パッドを設置するようにユーザを促した後、Ops Ctrl1305は、パッドステータスチャネル1332を介して心臓パッドが実際に適切に取り付けられていることを確実にするように、パッドMon1330を用いてチェックする。加えて、パッドMon1330は、非同期的にOps Ctrl1305と通信し(鎖線矢印1334によって示される)、例えば、心臓パッドがSCA患者から取り外された場合に、Ops Ctrl1305に警告することができる。
【0105】
依然として、図13を参照すると、Ops Ctrl1305はまた、実施形態では、マルチショックチャネル1337を介して多重ショックプロトコル管理モジュール(マルチショック)1335と通信する。マルチショック1335は、初期ショックがSCA患者のために正常洞調律に戻らせない場合において、AEDの状況挙動を管理するための論理を含む。Ops Ctrl1305はまた、事象記録チャネル1342を介して事象記録モジュール1340と通信する。実施形態では、事象記録モジュール1340は、例えば、SCA患者の症状、AEDによる治療努力、および外部通信記録に関連するデータの捕捉を管理するための回路および論理を含む。
【0106】
例示的実施形態では、Ops Ctrl1305は、充電/放電管理および監視モジュール(充電Mod)1345を管理する。充電Mod1345は、治療ショックを投与するために、正しいレベルまで電荷を貯蔵するためのコンデンサの充電を管理するための回路および論理を含む。充電Mod1345はまた、AEDが安全に取り扱われ、安全な状態で保管場所に戻され得るように、治療ショックが要求されない場合において、コンデンサの放電を管理するための回路および論理も含む。充電Mod1345は、充電管理チャネル1347を介してOps Ctrl1305と通信し、例えば、充電または放電コマンドを受信および確認する。また、充電Mod1345は、放電コマンドがOps Ctrl1305から受信された後しばらくして、コンデンサ充電が安全な取扱レベルまで低減されたことを示すため等に、(鎖線矢印1349によって示されるように)そのステータスをOps Ctrl1305に非同期的に通信することができる。
【0107】
実施形態では、Ops Ctrl1305はまた、SIAを含む、対象監視/ショック可能性決定モジュール(対象Mon)1350も制御する。対象Mon1350は、心調律、身体インピーダンス、および/またはECG信号等の生理学的測定の収集を管理するための回路および論理を含む。対象Mon1350はまた、収集されたデータを分析し、SCA患者の症状が除細動ショックを要求する、またはそれから利益を享受し得るものであるかどうかを決定するための回路および論理も含む。Ops Ctrl1305は、要求を対象Mon1350に発行し、対象監視チャネル1352を介してSCA患者のショック可能性を決定する。SCA患者のショック可能性の決定が行われる度に、Ops Ctrl1305からのショック可能性決定の要求の受信後しばらくして、対象Mon1350は、(鎖線矢印1354によって示される)非同期通信を介してインジケータをOps Ctrl1305に返送する。最終的に、Ops Ctrl1305はまた、ショック制御チャネル1357を介してショック制御モジュール(ショックCtrl)1355も制御する。実施形態では、ショックCtrl1355は、身体インピーダンス等の生理学的測定の分析に基づいて、二相性ショックまでの正および負の成分の持続時間等の衝撃波形パラメータの決定を管理するための回路および論理を含む。ショックCtrl1355はさらに、実施形態では、計算されたパラメータに従って二相性衝撃波形を生成し、次いで、ショックをSCA患者上に設置された心臓パッドに送達するための回路および論理を含む。ショックCtrl1355は、通信をOps Ctrl1305に非同期的に送信し(鎖線矢印1359によって示される)、例えば、ショックが心臓パッドに送達されたこと、ならびに波形パラメータおよび患者生命兆候等の追加の情報を示す。
【0108】
図14は、ある実施形態による、AEDスタンバイモードのためのファームウェアプロセスを示す、スタンバイプロセスフロー1400を示す。スタンバイプロセスフロー1400は、ステップ1405においてAEDモジュールが稼働されるときに開始する。本ステップは、例えば、適切なレセプタクルの中への9Vバッテリの挿入、または電源を内部回路の他の部分と接触させるためのバッテリコンパートメントからの絶縁ストリップの除去を伴ってもよい。次いで、AEDが通常動作モードでアクティブにされるものであるかどうかを決定するように、決定1407が行われる。決定が「はい」である場合には、Stdby1310は、図13でも示されたように、スタンバイ信号1312をOps Ctrl1305に送信し、稼働中のAEDモジュールの通常の非スタンバイ機能を開始する。決定1407が「いいえ」である場合には、Stdby1310は、ステップ1410において保存(低電力)モードでAEDモジュールをアクティブにする。
【0109】
低電力モードである間、図14に示される実施形態では、Stdby1310は、周期的起動ステップ1415においてバッテリのステータスをチェックするように、事前設定されたスケジュールでアクティブにされる。一側面では、メッセージ1417が、次いで、コンデンサ(または複数のコンデンサ)を充電するために使用される家庭用バッテリのステータスをチェックするように、充電BTM1315内のステップ1420に送信される。充電バッテリステータスが良好である(すなわち、必要な治療ショックに給電するために充電バッテリの中に十分な電荷が残っている)かどうかを決定するように、決定1425が充電BTM1315において行われる。充電バッテリステータスが、「はい、良好」または「いいえ、良好ではない」であるかどうかにかかわらず、バッテリステータスは、ステップ1430において記録される。連続的に、または並行して、メッセージ1442が、ある実施形態によると、AEDモジュール内の制御回路に給電するために使用される、別個のバッテリのステータスをチェックするように、制御BTM1320内のステップ1443に送信される。コントローラバッテリステータスが良好であるかどうか、決定が決定1445において行われ、ステータスが「はい、良好」または「いいえ、良好ではない」かどうかにかわらず、バッテリステータスは、再度、ステップ1430において記録される。充電バッテリおよびコントローラバッテリの両方のステータスは、ステップ1450においてUI1325に送信され、次いで、ステップ1460においてユーザに表示される。
【0110】
ここで図15および16を考慮すると、AEDのショックプロトコルを開始するための信号1312があるときに開始される、プロセスの例示的実施形態が、図示される。信号1312がOps Ctrl1305において受信されるとき、ステップ1505は、通常動作のためにAEDモジュールを初期化する。ステップ1510では、SCA患者上に心臓パッドを設置するためのコマンドが、UI1325に送信され、そこで、インジケータまたは表示メッセージが、ステップ1515において心臓パッドを設置するようにユーザに指示する。次いで、ステップ1520では、マルチショックプロトコルが、マルチショック1335において初期化され、「マルチショック」は、ある事前設定された条件が満たされる場合には、一連のショックがAEDモジュールにおいて発生され、次いで、必要に応じてSCA患者に印加され得る、治療プロトコルを指す。マルチショック1335におけるマルチショックプロトコルの初期化は、SCA患者を伴う救急セッションの開始、およびショックの認可のための将来の要求が本具体的SCA患者に関連することをマルチショック1335に示す。次いで、ステップ1525では、許容されたショックを制御するための論理が、マルチショック1335において初期化される。論理は、例えば、すでに印加されているショックの数の分析、およびSCA患者から測定される生理学的インジケータの現在のステータスを含んでもよい。ステップ1530では、要求が、ショックを印加するための認可を要求するようにマルチショック1335に行われる。マルチショック1335内の論理は、要求を分析し、決定1540において、ショックの発生およびSCA患者への印加を承認するかどうかを決定する。決定1540への回答が「いいえ」である場合には、このプロセスは、ステップ1542において終了される。決定1540への回答が「はい」である場合には、このプロセスは、図16に示されるように、Ops Ctrl1305に戻る。
【0111】
ここで図16を参照すると、マルチショック1335からの決定1540の「はい」結果は、Ops Ctrl1305に通信され、そこで、ステップ1605が、充電Mod1345にコマンドを発行し、コンデンサを充電する。同時に、または連続的に、Ops Ctrl1305は、ステップ1607において患者を監視し始める。監視は、例えば、パッドMon1330においてステップ1615でSCA患者上の心臓パッド設置を感知するステップを伴う。SCA患者上の心臓パッドの正しい設置等の心臓パッドからのフィードバックは、パッドMon1330においてステップ1617で監視され、結果は、種々の監視信号を処理するように、ステップ1610にフィードバックされる。ステップ1607の患者監視はまた、対象Mon1350においてステップ1620でSCA患者の生命兆候を監視するステップを含んでもよい。心調律等の生命兆候は、監視されるようにステップ1610にフィードバックされる。加えて、対象Mon1350はまた、決定1625において、上記に前述で説明されたように、検出された心調律がショックを受けることができる調律に対応するかどうかも決定する。決定1625への回答が「はい」である場合には、結果は、信号監視の一部としてステップ1610に通信される。決定1625への回答が「いいえ」である場合には、対象Mon1350は、ステップ1620に戻り、生命兆候を監視し続ける。
【0112】
実施形態では、充電Mod1345において、ステップ1635は、コンデンサ充電回路を有効にし、コンデンサ充電ステータスは、ステップ1640において監視される。決定1642は、コンデンサがSCA患者へのショックの印加を可能にするために十分に充電されているかどうかを決定する。決定1640への回答が「はい」である場合には、結果は、ステップ1610に通信される。決定1640への回答が「いいえ」である場合には、充電Mod1345は、ステップ1640に戻り、コンデンサ充電ステータスを監視し続ける。
【0113】
ステップ1610からの監視された信号は、次いで、充電システムおよびSCA患者の両方がショックの印加のために準備ができているかどうかを決定するように、決定1645にフィードされる。決定1645への回答が「いいえ」である場合には、Ops Ctrl1305は、ステップ1610において着信信号を監視し続ける。決定1645への回答が「はい」である場合には、Ops Ctrl1305は、ステップ1650においてSCA患者から離れて立つようにユーザに命令し、これは、ステップ1652において表示メッセージまたは他の手段を介して離れて立つようにユーザに指示する、UI1325を通して通信される。その間にユーザがSCA患者から離れて立っていたはずである、5~10秒等の設定された時間周期後に、Ops Ctrl1305は、ステップ1655で着信ショックをユーザに警告し、これは、UI1325においてステップ1657でユーザに通信される。Ops Ctrl1305は、次いで、ステップ1660においてショックを要求し、これは、ステップ1662においてショック管理プロトコルを開始するようにショックCtrl1355を促す。ショック印加の完了に応じて、Ops Ctrl1305は、追跡調査プロトコルステップ1665に進む。
【0114】
ここで図17を参照すると、ある実施形態による、対象Mon1350によって実施される処理のさらなる詳細が、説明される。対象Mon1350は、図16および17に示されるように、Ops Ctrl1305から信号を受信し、患者監視を開始する。本信号が対象Mon1350において受信されるとき、ステップ1705は、AEDモジュールとともに提供される患者監視回路を初期化する。例えば、心電計監視、心調律監視、および呼吸調律のためのセンサが、AEDモジュールとともに含まれることができる。種々の監視された信号は、事象記録モジュール1330においてステップ1710で記録され、また、種々の監視信号の処理のステップ1610までOps Ctrl1305に戻される。そのように測定される患者生命兆候はまた、前述で説明されたように、ショック可能性分析アルゴリズムを適用するようにステップ1715にフィードされ、次いで、SCA患者がショックを受けることができる心調律を呈しているかどうかを決定するように決定1625にフィードされる。
【0115】
図18および19は、ある実施形態による、図16に示されるようなショック管理プロトコルを開始するステップ1662のさらなる詳細を図示する。ショック管理プロトコルは、ある実施形態による、ショックプロトコルを管理し、電気ショックを発生させるためのファームウェアプロセスを伴う。Ops Ctrl1305が、ステップ1660においてショックが発生されることを要求するとき、ショックCtrl1355は、要求を受信し、ステップ1805において身体インピーダンス測定回路を初期化する。次いで、例えば、心臓パッド内のセンサを使用して、またはAEDモジュールの特定の実施形態とともに提供される他の測定機構によって、SCA患者の身体インピーダンスは、ステップ1810において測定される。測定された身体インピーダンスは、ステップ1815において事象記録モジュール1340に記録される。
【0116】
図18を参照し続けると、ステップ1810において測定される身体インピーダンスが、AEDモジュール電力回路が特定の患者への安全な印加のために衝撃波形を調節し得る範囲内であるかどうかを決定するように、決定1820が行われる。例えば、図12に示されるような二相性波形がショックに使用されるものである場合、AEDモジュールが米国心臓協会ガイドライン内のショックの印加のために波形パラメータを調整および調節することができる、身体インピーダンス値の範囲が存在する。測定された身体インピーダンスが、許容身体インピーダンス値よりも低い(すなわち、SCA患者が小さすぎる)または高い(すなわち、SCA患者が大きすぎる)場合には、Ops Ctrl1305は、ステップ1825においてそのように通知され、ショックが投与されない。ショックCtrl1355は、次いで、ステップ1830においてエラーメッセージを表示するようにUI1325に指示し、UI1325は、故に、ステップ1832においてユーザのためのエラーメッセージを表示する。
【0117】
決定1820が、測定された身体インピーダンスが好適な波形が発生され得る範囲内であることを決定する場合には、必要な波形パラメータが、ステップ1840において計算される。ステップ1840は、限定されないが、身体インピーダンス、心調律、およびECGデータ等の患者からの生命兆候測定を考慮して、前述で議論された図11に示されるように、発生された波形の正および負相の適切なタイミングおよび振幅を計算する、アルゴリズムを伴う、例えば、それを使用する。計算された波形パラメータは、ステップ1845において事象記録モジュール1340に記録され、次いで、指示が、ステップ1850において電源を入れるようにAEDモジュール内の高電圧ドライバに送信される。
【0118】
ここで図19を参照すると、いったん高電圧ドライバがステップ1850において電源を入れられると、ショックCtrl1355は、ステップ1905において二相性波形ショックの時限正相成分を発生させるように高電圧ドライバに指示する。ショックCtrl1355は、時限正相成分の発生を監視し、決定1910において、時限正相成分の発生が完了しているかどうかを決定する。決定1910が、高電圧ドライバが時限正相成分の発生を完了していないことを決定する場合には、ショックCtrl1355は、高電圧ドライバを監視し続ける。決定1910の結果が「はい」であるときには、ショックCtrl1355は、ステップ1915において、二相性波形の正相と負相との間の時限相間または静止成分を発生させるように高電圧ドライバに指示する。再度、ショックCtrl1355は、時限相間成分の発生を監視し、決定1920において、時限相間成分の発生が完了しているかどうかを決定する。決定1920が、時限相間成分発生がまだ完了していないことを決定する場合には、ショックCtrl1355は、高電圧ドライバを監視し続ける。決定1920の結果が「はい」であるときには、ショックCtrl1355は、ステップ1925において時限負相成分を発生させるように高電圧ドライバに指示する。さらに再度、ショックCtrl1355は、時限負相成分の発生を監視し、決定1930において、時限負相成分の発生が完了しているかどうかを決定する。決定1930が、時限負相成分発生がまだ完了していないことを決定する場合には、ショックCtrl1355は、高電圧ドライバを監視し続ける。決定1930の結果が「はい」であるときには、ショックCtrl1355は、ステップ1935において電源を切るように高電圧ドライバに指示し、Ops Ctrl1305における追跡調査プロトコルに進む。ショック事象の詳細はまた、ステップ1940において事象記録モジュール1340に記録される。
【0119】
別の実施形態では、携帯用AEDは、壁または他の場所の上に搭載可能である、ブラケットに収納されるように構成される。ブラケットは、再充電可能バッテリがAEDモジュール内で使用される場合に、ブラケットがAED用の充電ステーションとしての役割を果たし得るように、または追加の機能を提供するように、例えば、電源出力への接続を含むことができる。例えば、ブラケットは、1)AEDがブラケットから除去されている、2)AED内のバッテリが少なく、交換される必要がある、および3)AEDが問題を有し、点検される必要がある等の状況の場合に、例えば、ブラケット上の視覚的警告、または関連付けられるモバイルデバイスアプリケーションもしくはユーザウェブページを通した通知を介して、ユーザに警告するように、AEDのための監視機能を提供する。ブラケットはまた、緊急の場合にEMSまたはモバイルデバイスアプリケーションにプログラムされた他の連絡先に即時に警告するための物理的ボタンまたはタッチスクリーン上のいずれかであるボタンを含むこともできる。
【0120】
ブラケットの例示的実施形態が、図20に示される。ブラケットシステム2000は、ブラケット本体2010を含み、これは、ひいては、AEDモジュールが使用中ではないときにAEDモジュール(図示せず)を収納するための1つ以上のリップ2012(3つが図20に図示される実施形態に示される)を含む。図20に示される実施例では、ブラケットシステム2000は、(例えば、米国では911通話を介して)救急医療サービスに即時に連絡するようにユーザによって押され得る、緊急通話ボタン2020を含む。代替として、通話ボタン2020は、緊急通話機能、ならびにAEDバッテリステータスおよびAEDユーザガイダンス等の追加の情報を表示することが可能であることを含む、タッチスクリーンによって置換されることができる。通話ボタン2020(またはタッチスクリーン均等物)はまた、モバイルデバイス上にインストールされたソフトウェアアプリケーションにプログラムされた規定連絡先に警告するように構成されることもできる。例えば、ブラケットシステム2000内のファームウェアは、EMSならびにブラケットシステム2000とペアリングされたモバイルデバイス上のソフトウェアアプリケーションにプログラムされた規定連絡先(例えば、親類および友人)に自動的に連絡するように構成されることができる。
【0121】
ブラケットシステム2000はまた、AEDモジュールがブラケット本体2010に収納されているかどうかを検出するためのセンサ2022も含む。例えば、AEDモジュールがブラケット本体2010に収納されるとき、センサ2022は、ブラケットシステム2000が低電力モードに留まるように、AEDモジュールの存在を検出する。AEDモジュールがブラケットシステム2000から除去されるときに、次いで、ブラケットシステム2000は、ブラケットシステム2000のある機能がアクティブにされる、アクティブモードになる。随意に、ブラケットシステム2000は、センサ2022が、AEDモジュールがブラケットシステム2000から除去されたことを検出するときに、ブラケットシステム2000が、EMSに連絡する、またはさらに追加のユーザ入力を伴わずにEMSに即時に連絡するようにユーザを自動的に促すように、構成されることができる。
【0122】
図20に示されるように、ブラケットシステム2000はまた、ブラケットシステム2000が外部通信システムに接続可能であるように構成される場合、Wi-Fi接続またはセルラー信号強度のステータスをユーザに示すために使用され得る、インジケータ2024も含む。ブラケットシステム2000はまた、ブラケットシステム2000を介してEMSとのハンズフリー通信を促進するためのマイクロホン2030およびスピーカ2035も含む。例えば、AEDモジュールがブラケットシステム2000から除去されるとき、ブラケットシステム2000は、緊急事態があることをEMSに自動的に警告し、また、(図20に示されるように)オーディオによって、または(例えば、タッチスクリーンが緊急通話ボタン2020の代わりに使用される場合)視覚プロンプトによって、ユーザを促す。実施例として、ブラケットシステム2000からのAEDモジュールの除去は、ブラケットシステム2020に、EMSに自動的に連絡させ、ユーザへの音声プロンプト2037を発生させる。オプションとして、AEDモジュールが偶発的に除去された場合、ユーザがAEDモジュールを交換し、EMSに不必要に連絡することを回避するための時間を与えられるように、例えば、1分の時間遅延が、AEDモジュールがブラケットシステム2000から除去される時間とEMSが連絡されるときとの間に与えられてもよい。
【0123】
図21-23は、上記で説明されるような特徴を有する、携帯用AEDモジュールの例示的実施形態を図示する。携帯用AEDモジュール2100は、約8インチ×6インチ×3インチの寸法を有し、それぞれ、図21-23の等角、側面、および底面図に示される。例示的実施形態に示されるように、携帯用AEDモジュール2100は、複数のバッテリ2112を含む、バッテリ配列2110によって給電される。図21-23に示される実施形態では、バッテリ2112は、一般的に入手可能な家庭用バッテリである、4つのCR123バッテリである。AEDモジュール2100はまた、心臓パッドのための接続を提供する種々の接続ポート2120および2210、ならびに試験入力および出力も含む。携帯用AEDモジュール2100の外側エンクロージャ2150は、ユーザへのショックの危険性を最小限にするように、ならびに静電放電(ESD)および湿気等の危険からAEDモジュールの内部電子回路を保護するように構成される。携帯用AEDモジュール2100はさらに、携帯用AEDモジュール2100の種々の機能性にアクセスする、ならびにボタンスイッチの色分けされた照明によるステータスインジケータとしての役割を果たすための複数のボタンスイッチ2170を含む。単一の家庭用9Vアルカリバッテリを使用して、1,700Vの高電圧が、第1の充電サイクルで、電流制限を伴わずに48秒で達成され、安全性およびバッテリ電力節約のための電流制限を伴って55秒で達成された。9Vバッテリを直列の4つのCR123バッテリと置換する実施形態は、カスタム回路を使用して、約30秒のはるかに速い充電時間を達成することが実証されている。
【0124】
ここで図24を参照すると、ある実施形態による、携帯用AEDモジュールと併用するために好適な電子アーキテクチャ2400の実施例が、示される。電子アーキテクチャ2400は、論理制御回路2420の動作を監視する、マイクロコントローラ2410(図2のマイクロプロセッサ20と同等である)を含む。マイクロコントローラ2410および論理制御回路2420への電力は、コントローラ動作が充電バッテリを消耗しないように、携帯用AEDモジュール内で治療電荷を発生させるために使用されるバッテリから分離している、専用コントローラバッテリ2435から、論理供給回路2430を介して供給される。実際の電荷発生のための電源は、9Vバッテリとして図24に示される充電バッテリ2450であるが、他のタイプの家庭用バッテリも使用されることができる。電流制限器2455は、電荷発生のために充電バッテリ2450から引き出される電流を調節する。充電バッテリ2450からの電流は、そこから出力が高電圧コンデンサ2465を充電するために使用される、高電圧DC-DC変換器2460を通して指向される。論理制御回路2420は、高電圧DC-DC変換器2460を安全に動作させる、ならびに発生された電荷が必要とされない、または携帯用AEDモジュールの動作が中断される場合に、高電圧コンデンサ2465を放電するための必要な論理を提供する。高電圧コンデンサ2465に貯蔵された電荷は、ひいては、論理制御回路2420によって制御される、Hブリッジドライバ2475によって制御されるHブリッジ2470を介して、心臓パッド(「パドル」として図24に示される)に出力される。Hブリッジドライバ2475は、生命兆候測定によって示されるように、具体的SCA患者のために好適である適切な波形パラメータを伴って、二相性波形等の適切な衝撃波形の発生を制御する。電子アーキテクチャ2400は、例えば、図13-19に関連して説明されるファームウェア構成との併用のために好適である。
【0125】
本明細書に説明される配列の例証は、種々の実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図しており、本明細書に説明される構造を利用する場合がある、装置およびシステムの全ての要素および特徴の完全な説明としての役割を果たすことを意図してない。多くの他の配列が、上記の説明を精査することに応じて、当業者に明白であろう。他の配列が、構造および論理的代用ならびに変更が本開示の範囲を逸脱することなく行われ得るように、利用され、そこから導出されてもよい。図はまた、表現にすぎず、均等に縮尺して描かれていない場合がある。その一定の割合が、誇張され得る一方で、他は、最小限にされ得る。したがって、本明細書および図面は、制限的ではなくて例証的な意味で認識されるものである。
【0126】
先行する明細書では、具体的実施形態が説明されている。しかしながら、当業者は、種々の修正および変更が、下記の請求項に記載されるような発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解する。故に、本明細書および図は、制限的ではなくて例証的な意味で認識されるものであり、全てのそのような修正は、本教示の範囲内に含まれることを意図している。図中の数字の参照と関連付けられる記述的標識は、単に本発明の実施形態を例証することを意図しており、本発明を記述的標識の範囲に限定することをいかようにも意図していない。システム、方法、手段、および実施可能性は、本開示に明示的に例証されていない、複数の可能性として考えられる実施形態が存在し得るため、説明される特定のシステムおよび方法に限定されない。また、説明で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明する目的のためにすぎず、本願の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。
【0127】
その特徴を例証する、いくつかの実施形態が、ここで詳細に議論されるであろう。言葉「~を備えている(comprising)」、「~を有する(having)」、「~を含有する(containing)」、および「~を含む(including)」、ならびにそれらの他の形態は、意味が同等であり、これらの言葉のうちのいずれか1つに続く1つまたは複数の項目が、そのような1つまたは複数の項目の包括的一覧であるように意図されていない、もしくは列挙された1つまたは複数の項目のみに限定されるように意図されていないという点で、非制約的であることを意図している。また、本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別様に明確に決定付けない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。本明細書に説明されるものに類似する、または同等である、任意の方法およびシステムは、実施形態の実践または試験で使用されることができるが、好ましい方法およびシステムが、ここで説明される。開示される実施形態は、例示的にすぎない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24