(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2020059422
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】續木 清貴
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-213812(JP,A)
【文献】特開2013-255758(JP,A)
【文献】特開2016-101442(JP,A)
【文献】特開2016-022243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否抽選の当選態様として、小当たりおよび当該小当たりよりも遊技者が享受する利益の期待値が大きい大当たりが設定された遊技機であって、
当否抽選に利用される当否抽選情報を、所定数を限度に保留情報として記憶する記憶手段と、
小当たりに当選して小当たり遊技が実行されているときに発生する演出であって、前記記憶手段に記憶されている前記保留情報に対応する対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する小当たり先読み演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記小当たり先読み演出として、前記小当たり遊技にて対象の入賞領域が開放されたことを示す開放画像の態様により、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する演出が設定されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
当否抽選の当選態様として、小当たりおよび当該小当たりよりも遊技者が享受する利益の期待値が大きい大当たりが設定された遊技機であって、
当否抽選に利用される当否抽選情報を、所定数を限度に保留情報として記憶する記憶手段と、
小当たりに当選して小当たり遊技が実行されているときに発生する演出であって、前記記憶手段に記憶されている前記保留情報に対応する対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する小当たり先読み演出を実行する演出実行手段と、
を備え、
前記小当たり先読み演出として、前記小当たり遊技にて開放される入賞領域の場所を示す指示画像の態様により、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する演出が設定されていることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
当否抽選の当選態様として、大当たりだけでなく、小当たりが設定された遊技機が公知である。例えば、下記特許文献1には、いわゆる「小当たりラッシュ」が搭載された遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、小当たりを利用して遊技の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否抽選の当選態様として、小当たりおよび当該小当たりよりも遊技者が享受する利益の期待値が大きい大当たりが設定された遊技機であって、当否抽選に利用される当否抽選情報を、所定数を限度に保留情報として記憶する記憶手段と、小当たりに当選して小当たり遊技が実行されているときに発生する演出であって、前記記憶手段に記憶されている前記保留情報に対応する対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する小当たり先読み演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、小当たりを利用して遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】遊技機の全体(正面)を模式的に示した図である。
【
図2】遊技盤と表示装置のユニットの正面図(遊技領域を説明するための図)である。
【
図3】表示領域に表示される識別図柄、保留図柄を示した図である。
【
図4】遊技領域右側の通路や各領域の位置関係を模式的に示した図である(遊技釘の図示を省略している)。
【
図5】(a)は各遊技状態を説明するための図であり、(b)は遊技状態の移行を説明するための図である。
【
図6】小当たり先読み演出を説明するための図である。
【
図7】小当たり先読み演出の一つの特徴(一般的な先読み演出との違い)を説明するための図である。
【
図8】第一具体例(小入賞領域開放を契機として発生しうる小当たり先読み演出であって、開放画像を用いた小当たり先読み演出)を説明するための図である。
【
図9】第一具体例(小入賞領域開放を契機として発生しうる小当たり先読み演出であって、指示画像を用いた小当たり先読み演出)を説明するための図である。
【
図10】第一具体例(小当たり変動開始を契機として発生しうる小当たり先読み演出であって、背景画像を用いた小当たり先読み演出)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明の一実施形態にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1、
図2を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明において、特に明示することなく「画像」というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。また、以下で説明する各領域等には、遊技球が検出可能なセンサ(図示せず)が設けられており、当該センサにより各領域に遊技球が進入(入賞)したかどうかが検出される。例えば「○○領域に遊技球が進入(入賞)」とは、厳密には当該○○領域に設けられたセンサが遊技球を検出したことをいうものとする。
【0009】
遊技機1の筐体には遊技球を発射するための発射装置908が設けられている。発射装置908を操作することで、上皿909aに貯留された遊技球が発射される。いわゆる賞球は上皿909aに払い出され、上皿909aから溢れた遊技球は下皿909bに送られる。
【0010】
発射された遊技球が到達する遊技領域902は、透明板906を通じて視認される。遊技機1は手前側に遊技領域902が形成される遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0011】
遊技領域902には、始動領域(第一始動領域21、第二始動領域22)、大入賞領域10、アウト口907などが設けられている。各種演出を実行する表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0012】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0013】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、大入賞領域10等の入賞領域に進入すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0014】
なお、遊技機1のその他の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0015】
2)当否抽選
本実施形態にて実行される当否抽選は、特別図柄抽選(以下、特図抽選と称することもある)と、普通図柄抽選(以下、普図抽選と称することもある)に区分けされる。以下、各抽選について説明する。なお、以下の説明において、特に明示することなく単に当否抽選(当否判定)というときは、特図抽選のことを指すものとする。
【0016】
2-1)特図抽選
特図抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選(特図抽選)手段が始動領域(第一始動領域21(いわゆる特
図1の始動領域)、第二始動領域22(いわゆる特
図2の始動領域))への遊技球の進入を契機として実行する。具体的には、始動領域への遊技球の進入を契機として乱数源から数値(以下、当否抽選情報と称することもある。以下、第一始動領域21に遊技球が進入することで取得される当否抽選情報を第一当否抽選情報と、第二始動領域22に遊技球が進入することで取得される当否抽選情報を第二当否抽選情報とする。)が取得される。本実施形態では、特図抽選の結果として起こりうる態様としては、「大当たり」「小当たり」「はずれ」の三態様が設定されている。上記数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、小当たりの数値と同じである場合には小当たりとなり、大当たりおよび小当たりのいずれでもない場合にははずれとなる。なお、「小当たり」は、第一当否抽選情報に基づく当否抽選(第一当否抽選)では当選することがなく、第二当否抽選情報に基づく当否抽選(第二当否抽選)で当選しうる設定とされている(
図5(a)参照)。
【0017】
本実施形態では、始動領域として、二つの第一始動領域21と、一つの第二始動領域22が設けられている(
図2参照)。第一始動領域21として、開放第一始動領域21aと開閉第一始動領域21bが設けられている。開放第一始動領域21aは表示領域911の下に設けられたものであり、常時開放された(常時遊技球が通過可能な)領域である。いわゆる左打ち(表示領域911の左側を遊技球が流下するように遊技球を発射させる)により開放第一始動領域21aに遊技球が進入する可能性がある。本実施形態では、いわゆる右打ち(表示領域911の右側を遊技球が流下するように遊技球を発射させる)を行った場合には開放第一始動領域21aに遊技球が進入する可能性はない。
【0018】
開閉第一始動領域21bは、始動用開閉部材211によって入口が開閉されるものである(いわゆる「電チュー」である)。始動用開閉部材211は、開閉第一始動領域21bの入口を閉鎖する閉位置(原位置)と、入口を開放する開位置との間を往復動作可能なものである。始動用開閉部材211が閉位置に位置した状態においては、開閉第一始動領域21bに遊技球が進入することは不可能である。本実施形態における始動用開閉部材211は、遊技球が通過する通路の底面に沿うようにして前後にスライドするものであって、閉位置に位置した状態(最前端に位置した状態)においては当該通路の底面の一部を構築する。そのため、始動用開閉部材211が開位置に位置した状態(最後端に位置した状態)では当該通路に「穴」が開いたような状態となる。したがって、開閉第一始動領域21bまで到達した段階で始動用開閉部材211が開位置に位置していれば、(極めてイレギュラーな動きをしない限り)もれなく遊技球は開閉第一始動領域21bに進入する。
【0019】
第二始動領域22は、常時開放された(常時遊技球が通過可能な)領域である。本実施形態では、右打ちを行えば、比較的容易に第二始動領域22に遊技球が進入する。逆の見方をすれば、第二始動領域22に遊技球が進入しないように(第二当否抽選情報が取得されないように)右打ちを行うことは不可能である。本実施形態における第二始動領域22は、当該領域を遊技球が通過する「ゲート」タイプのものである(当該「ゲート」は、幅方向に二以上の遊技球が並ぶことができない大きさとされている)。当該領域に進入した遊技球が内部に取り込まれるタイプのものとしてもよい。
【0020】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、識別図柄80の組み合わせによって当否抽選結果を報知する。大当たりとなる場合には、識別図柄80(
図3参照)が大当たり組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となる。小当たりとなる場合には、識別図柄80が小当たり組み合わせ(例えば、「3」と「7」の識別図柄80から構成される組み合わせ)となる。それ以外の組み合わせははずれを示す組み合わせである。識別図柄80の変動開始から、当否抽選結果に対応する組み合わせで停止するまでの演出を「報知演出」と称する(当該「報知演出」が実行されている期間は、いわゆる(図柄)変動中の期間ということである)。上記数値は、報知演出の内容を決定するためにも利用される。なお、図示しないが、識別図柄80よりも小さく(表示領域911の外縁付近)に、識別図柄80とは別の図柄(小図柄)が表示されるようにしてもよい。報知演出の結末段階においては、当該小図柄(一の小図柄または複数の小図柄の組み合わせ)の態様が当否抽選結果に応じたものとなる。当該小図柄は、報知演出にて常時表示されるようにする(識別図柄80が表示されない状況での補助図柄として機能する)。
【0021】
本実施形態では、基本的には、当否抽選情報が取得された順に対応する報知演出が開始される(識別図柄80の変動が開始される)こととなる。より具体的には、第一当否抽選情報に基づく当否抽選(第一当否抽選)の結果の報知(特
図1の変動)と、第二当否抽選情報に基づく当否抽選(第二当否抽選)の結果の報知(特
図2の変動)が同時期に進行する(「特
図1・特
図2同時変動」である)。ただし、新たに第一当否抽選情報が取得されたときに、それよりも前に取得された第一当否抽選情報に基づく当否抽選結果が報知されている際(変動中である際)には、新たに取得された第一当否抽選情報は、「第一保留情報」としてそれに対応する報知演出が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。同様に、新たに第二当否抽選情報が取得されたときに、それよりも前に取得された第二当否抽選情報に基づく当否抽選結果が報知されている際(変動中である際)には、新たに取得された第二当否抽選情報は、「第二保留情報」としてそれに対応する報知演出が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。当該保留情報は当否抽選情報の下位概念であるといえる。本実施形態では、第一保留情報および第二保留情報の最大の記憶数はそれぞれ四つである。保留情報として記憶された数値は、報知演出が開始される時点で当否抽選に利用される。
【0022】
当否抽選情報の存在を示すマークである保留図柄70が、表示装置91の表示領域911に表示される。具体的には、当否抽選を実行するための数値が取得された順に並ぶよう、保留図柄70が表示装置91の表示領域911に表示される(
図3参照)。具体的には、報知演出が開始されているものの、報知演出が終了していない(当否抽選結果の報知が完了していない)当否抽選情報(いわゆる「当該変動保留」)の存在を示す変動中保留図柄71、報知演出が開始されていない当否抽選情報(保留情報)の存在を示す変動前保留図柄72が表示される。これら保留図柄70は、対応する報知演出が開始される順(いわゆる消化順)に並ぶように表示される。また、図示しないが、遊技状態に応じて、第一当否抽選情報の存在を示す保留図柄70(第一保留図柄)と、第二当否抽選情報の存在を示す保留図柄70(第二保留図柄)の一方は表示されるものの、他方は表示されないといった制御がなされる。詳細を後述するように、遊技者は、遊技状態に応じ、第一当否抽選および第二当否抽選の一方を「主」として受ける(遊技状態に応じて受けるべき当否抽選。以下、主抽選と称することもある)にて大当たりや小当たり当選を目指して遊技する)ことになるところ、主抽選に対応する一方の保留図柄(第一保留図柄および第二保留図柄の一方)を表示し、他方の保留図柄を表示しないという制御がなされる。
【0023】
2-2)普図抽選
普図抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否抽選(普図抽選)手段が普通始動領域28(いわゆる「スルー」)への遊技球の進入を契機として実行する。普通始動領域28は、右打ちによって遊技球が進入する領域に設けられている(
図2参照)。継続的に右打ちすれば、遊技球は比較的容易に普通始動領域28に進入する。普通抽選に当選することを契機として始動用開閉部材211が閉位置から開位置に変位する。つまり、開閉第一始動領域21bが開放される。普図抽選の結果の報知方法は周知であるから説明および図示を省略する。表示領域911に普図抽選の結果を示す図柄等が表示されるようにしてもよいし、表示領域911外に設けられるランプ等で報知されるようにしてもよい。遊技者は、遊技状態に応じて遊技球を発射させるだけで、普図抽選の結果に着目することなく遊技することができる(普図抽選の結果は、特図抽選の結果に比して目立たないように示される)。
【0024】
3)遊技状態
本実施形態では、特図抽選(第一当否抽選や第二当否抽選)による大当たりに当選する確率が異なる状態として、当該確率が低い低確率状態と、低確率状態よりも高い確変状態(確率変動状態)とが設定されている(
図5(a)参照)。大当たりの当選しやすさが異なるがゆえ、低確率状態よりも、確変状態の方が、遊技者にとって有利な遊技状態であるということができる。本実施形態では、低確率状態における大当たり確率が約1/220、確変状態における大当たり確率が約1/100に設定されている。なお、いずれの状態においても、第一当否抽選(特
図1抽選)による大当たり確率と第二当否抽選(特
図2抽選)による大当たり確率は同じである。
【0025】
小当たりは、第一当否抽選では当選することがなく、第二当否抽選で当選しうる。当該第二当否抽選での小当たり確率は約1/15に設定されている。つまり、小当たりには比較的容易に当選する。本実施形態では、低確率状態および確変状態のいずれであっても小当たり確率は同じである。
【0026】
低確率状態は、普図抽選に当選する確率が低い状態である。本実施形態における当選確率は約1/500である(当選確率=0であってもよい)。このような設定であるため、低確率状態にて右打ちを行っても、始動用開閉部材211が開位置に変位して開閉第一始動領域21bが開放されることはほぼない。すなわち、いわゆる電チューサポートが無い状態(「電サポ無」状態)である。
【0027】
確変状態として、第一確変状態および第二確変状態が設定されている。第一確変状態よりも、第二確変状態の方が、遊技者にとって有利な状態である。具体的には、第一確変状態および第二確変状態は、大当たり確率は同じであるものの、普図抽選に当選する確率が異なるものである。第一確変状態は、普図抽選に当選する確率が高い状態である。すなわち、いわゆる電チューサポートがある状態(「電サポ有」状態)である。本実施形態における第一確変状態での普図抽選の当選確率は、約1/1.01である。つまり、容易に普図抽選に当選し、始動用開閉部材211が開位置に変位して開閉第一始動領域21bが開放される。一方、第二確変状態は、普図抽選に当選する確率が低い状態(「電サポ無」状態)である。上記の通り、普図抽選の当選確率は約1/500である。
【0028】
「大当たり確率の高低/電チューサポート(電サポ)の有無」というように表記するとすれば、低確率状態は「低確率/電サポ無」状態である。第一確変状態は、「高確率/電サポ有」状態である。第二確変状態は、「高確率/電サポ無」状態である。電チューサポートが無い第二確変状態であっても「ベース」を確保することができる理由については後述する。
【0029】
4)大当たり遊技
4-1)基本構成
大当たりに当選した場合(識別図柄80が大当たりを示す組み合わせとなった場合)には、大入賞領域10(
図2等参照)が開放される大当たり遊技状態に移行する。大入賞領域10は、右打ちにより発射された遊技球が進入する可能性がある位置に設けられている。本実施形態では、いわゆる左打ちを行った場合には大入賞領域10に遊技球が進入する可能性はない。
【0030】
大当たり遊技は、一または複数の単位遊技を含む。各単位遊技は、いわゆる「1ラウンド」分の遊技である。例えば、「10ラウンド大当たり」は、10回の単位遊技を含む大当たり遊技である。各単位遊技は、常態において閉鎖されている大入賞領域10が所定の終了条件成立まで開放されるものである。大入賞領域10の入口は、大入賞開閉部材11により開閉される。大入賞開閉部材11は、大入賞領域10の入口を閉鎖する閉位置(原位置)と、入口を開放する開位置との間を往復動作可能なものである(いわゆるスライドアタッカーである)。大入賞開閉部材11が閉位置に位置した状態においては、大入賞領域10に遊技球が進入することは不可能である。本実施形態における大入賞開閉部材11は、遊技球が通過する通路の底面に沿うようにして前後にスライドするものであって、閉位置に位置した状態(最前端に位置した状態)においては当該通路の底面の一部を構築する。そのため、大入賞開閉部材11が開位置に位置した状態(最後端に位置した状態)では当該通路に「穴」が開いたような状態となる。したがって、大入賞領域10まで到達した段階で大入賞開閉部材11が開位置に位置していれば、(極めてイレギュラーな動きをしない限り)もれなく遊技球は大入賞領域10に進入する。なお、本実施形態では、大入賞領域10に1個の遊技球が入賞したときの払い出し個数(賞球数)は10個である。
【0031】
本実施形態では、単位遊技開始から所定個数の遊技球が入賞したこと(入賞条件)、および、単位遊技開始から所定時間経過したこと(時間条件)のいずれか一方の成立が終了条件として設定されている。入賞条件として設定される遊技球の入賞個数は、いわゆる「カウント」(C)と称される数である。本実施形態ではC=10に設定されている。遊技者が継続して大入賞領域10を狙って遊技球を発射し続けていれば(右打ちを行っていれば)、一の単位遊技にて所定個数の遊技球は入賞する。つまり、遊技者が継続して大入賞領域10を狙って遊技球を発射し続けていれば、入賞条件が成立して単位遊技が終了する。
【0032】
また、本実施形態では、第二始動領域22に遊技球が進入することを契機として1ラウンド目の単位遊技(最初の単位遊技)が開始される。したがって、大当たりに当選した後、右打ちが行わなければ1ラウンド目の単位遊技が開始されない。なお、必ずしもこのような設定としなければならないわけではない。大当たり当選後、自動的に1ラウンド目の単位遊技が開始される設定としてもよい。
【0033】
4-2)種類
大当たり(遊技)の種類を、大当たり遊技終了後の遊技状態に応じて区分けする(ラウンド数を考慮しない)と以下の通りとなる。まず、大まかに、低確大当たり(通常大当たり)と確変大当たりに区分けされる。低確大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が低確率状態となるものである。確変大当たりは大当たり遊技終了後の遊技状態が確変状態となるものである。
【0034】
確変大当たりは、第一確変大当たりと第二確変大当たりに区分けされる。第一確変大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が第一確変状態となるものである。第二確変状態は、大当たり遊技終了後の遊技状態が第二確変状態となるものである(ただし、後述する特別領域13への遊技球の進入が条件となる)(
図5(b)参照)。
【0035】
4-3)特別領域
大入賞領域10内には、特別領域13が設けられている(
図2、
図4参照)。特別領域13の入口は大入賞領域10内に位置するため、大入賞領域10に進入した遊技球しか、特別領域13に進入することはない。特別領域13の入口には当該入口を開閉する開閉部材(以下、特別開閉部材131と称する)が設けられている。特別開閉部材131は上記入口を閉鎖する閉位置と開放する開位置との間を往復動作するものである。特別開閉部材131が閉位置に位置する状態では特別領域13に遊技球が進入することはない。逆に、特別開閉部材131が開位置に位置する状態では、大入賞領域10に進入した遊技球は特別領域13に進入する。
【0036】
大当たり遊技にて特別領域13に遊技球が進入することが、第二確変状態に移行する条件として設定されている。特別領域13はV領域等とも称される領域であり、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるV確変機である。第二確変大当たりに当選した場合、当該大当たり遊技の所定の単位遊技(例えば、2ラウンド目の単位遊技にて)特別開閉部材131が閉位置から開位置に変位して特別領域13が開放される。したがって、大入賞領域10を狙って継続的に遊技球を発射し続けていれば、確実に特別領域13に遊技球が進入することになる。つまり、第二確変大当たり遊技の終了後は、第二確変状態に移行することになる。
【0037】
一方、低確大当たりや第一確変大当たりに当選した場合には、当該大当たり遊技にて特別領域13に遊技球が進入することは極めて困難または不可能とされる。例えば、2ラウンド目の単位遊技が開始されると同時(大入賞領域10が開放されると同時)に、一瞬だけ特別領域13が開放される(極めて短時間の間に、特別開閉部材131が閉位置→開位置→閉位置の往復動作を行う)ようにして、大入賞領域10に進入した遊技球が特別領域13の入口まで到達するときには既に特別領域13が閉鎖された状態にあるように設定する。したがって、低確大当たりや第一確変大当たり遊技の終了後は、第二確変状態に移行することはない(低確率状態または第一確変状態となる)。なお、低確大当たりや第一確変大当たり遊技にて特別領域13に遊技球が進入したときには、不正行為がなされた可能性があるとして警告音が出力される。
【0038】
5)小当たり
小当たりに当選した場合には、小当たり用の入賞領域(小入賞領域15と称する)(
図2、
図4参照)が開放される小当たり遊技が実行される。小入賞領域15は、右打ちにより発射された遊技球が進入する可能性がある位置に設けられている。本実施形態では、いわゆる左打ちを行った場合には小入賞領域15に遊技球が進入する可能性はない。
【0039】
小入賞領域15の入口は、小入賞開閉部材19により開閉される。小入賞開閉部材19は、小入賞領域15の入口を閉鎖する閉位置(原位置)と、入口を開放する開位置との間を往復動作可能なものである(いわゆるスライドアタッカーである)。小入賞開閉部材19が閉位置に位置した状態においては、小入賞領域15に遊技球が進入することは不可能である。本実施形態における小入賞開閉部材19は、遊技球が通過する通路の底面に沿うようにして前後にスライドするものであって、閉位置に位置した状態(最前端に位置した状態)においては当該通路の底面の一部を構築する。そのため、小入賞開閉部材19が開位置に位置した状態(最後端に位置した状態)では当該通路に「穴」が開いたような状態となる。したがって、小入賞領域15まで到達した段階で小入賞開閉部材19が開位置に位置していれば、(極めてイレギュラーな動きをしない限り)もれなく遊技球は小入賞領域15に進入する。
【0040】
本実施形態では、小当たり遊技開始(小入賞領域15が開放されて)から所定の開放時間(例えば1秒)経過することで小当たり遊技が終了する(小入賞領域15が閉鎖される)。上述した単位遊技(大当たり遊技)とは異なり、小入賞領域15に向かって遊技球を発射し続けていれば、予め所定個数の入賞が実現されるというものではない。小入賞領域15に向かって遊技球を発射し続けていても、遊技球が全く入賞しない小当たり遊技は起こりうる。本実施形態では、第二確変状態にて、一回の小当たり当選につき、平均2個程度の遊技球の入賞が見込めるように設定されている。なお、本実施形態では、小入賞領域15に1個の遊技球が入賞したときの払い出し個数(賞球数)は10個である。本実施形態では、小当たり遊技の態様は上記の一種のみである。小当たり遊技の態様として複数種の態様が設定された構成としてもよい。例えば、一回の小当たり遊技あたりの開放時間の長さ異なる複数種の態様が設定された構成とすることが考えられる。また、一回の小当たり遊技あたりの開放回数が異なる複数種の態様が設定された構成とすることも考えられる。
【0041】
6)各領域の位置関係
右打ち遊技を行ったときに遊技球が進入する遊技領域902の右側においては、上述した「遊技球が進入可能な各領域」が次のような位置関係で配置されている。
図4に模式的に示すように、遊技領域902の右側には、遊技球が通過する通路(以下、右側通路40と称する)が左右に往復するように形成されている。右側通路40の入口には、普通始動領域28が設けられている。右側通路40における普通始動領域28が設けられた箇所よりも下流側の部分は、上流側から見て、右から左にかけてわずかに下方に傾斜した第一段部41と、第一段部41の左端に繋がり下方に延びる第一中継部412と、第一中継部412の下端に繋がり左から右にかけてわずかに下方に傾斜した第二段部42と、第二段部42の右端に繋がり下方に延びる第二中継部423と、第二中継部423の下端に繋がり右から左にかけてわずかに下方に傾斜した第三段部43と、を含む。
【0042】
第一段部41~第三段部43は、水平方向に沿う部分であって、各部分の底面は遊技球が下流方向に向かって転動可能な程度にわずかに傾斜した(水平方向に対して1度~5度の範囲で傾斜した)状態にある。上から、第一段部41、第二段部42、第三段部43の順で並び、各段部は上下方向にて少なくとも一部が重なるように配置されている。第一段部41の底面に沿うようにして大入賞開閉部材11が配置されている。つまり、第一段部41を遊技球が通過する際、大入賞開閉部材11が開位置に位置していれば遊技球は大入賞領域10に進入し、大入賞開閉部材11が閉位置に位置していれば遊技球は第一段部41を通過する(第一中継部412に移動する)。第二段部42の底面に沿うようにして始動用開閉部材211が配置されている。つまり、第二段部42を遊技球が通過する際、始動用開閉部材211が開位置に位置していれば遊技球は開閉第一始動領域21bに進入し、始動用開閉部材211が閉位置に位置していれば遊技球は第二段部42を通過する(第二中継部423に移動する)。第三段部43の底面に沿うようにして小入賞開閉部材19が配置されている。つまり、第三段部43を遊技球が通過する際、小入賞開閉部材19が開位置に位置していれば遊技球は小入賞領域15に進入し、小入賞開閉部材19が閉位置に位置していれば遊技球は第三段部43を通過する。このように、上から、大入賞開閉部材11(大入賞領域10)、始動用開閉部材211(開閉第一始動領域21b)、小入賞開閉部材19(小入賞領域15)の順で並び、各開閉部材(領域)は上下方向にて少なくとも一部が重なるように配置されている。開閉部材が開位置に位置している際には、対応する領域に遊技球が進入するため、(イレギュラーな動き等が生じなければ)それより下流の領域に遊技球は到達しないことになる。
【0043】
第三段部43を通過した遊技球は、第二始動領域22に進入する。つまり、大入賞領域10、開閉第一始動領域21b、小入賞領域15のいずれにも進入しなかった遊技球は、第二始動領域22に進入する。ゆえに、右打ちした場合には比較的容易に第二当否抽選を受けることができる。換言すれば、第二当否抽選を受けないように右打ちすることは不可能である。
【0044】
なお、右側通路40の途中に適宜アウト口(遊技球が進入しても、当否抽選の実行や賞球の払い出しがなく、進入した遊技球が内部に取り込まれる(遊技球が遊技領域902外に移動することになる)口が設けられていてもよい。本実施形態では、大入賞領域10から第二始動領域22までの通路にはアウト口が設けられていない。
【0045】
7)遊技方法・大当たり振分
低確率状態(低確率/電サポ無)においては、遊技者は左打ち遊技を行い(左打ち遊技が促され)、開放第一始動領域21aに遊技球が進入することを契機とした第一当否抽選にて大当たりに当選することを目指して遊技する(第一当否抽選が主抽選となる)(
図5(a)参照)。なお、低確率状態中に右打ち遊技を行った場合、比較的容易に第二始動領域22に遊技球が進入する。つまり、比較的容易に第二当否抽選情報(第二保留情報)が取得される。しかし、低確率状態中においては、第一当否抽選の結果を報知する報知演出に要する時間(第一変動時間)に比して、第二当否抽選の結果を報知する報知演出に要する時間(第二変動時間)の方が著しく長くなるように設定されている。具体的には、第一変動時間の平均は数秒~数十秒程度に設定される一方、第二変動時間の平均は十分超となるといった設定とされる。したがって、低確率状態にて右打ちすることで第二当否抽選により大当たり当選を目指しても、一つの当否抽選の結果の報知に長時間を要することになるから、まともに遊技をすることができないことになる。つまり、遊技者は左打ち遊技をして第一当否抽選にて大当たり当選を目指すことになる。
【0046】
低確率状態での第一当否抽選(特
図1抽選)にて大当たりに当選した場合の大当たり振分(以下、「低確率時振分」と称することもある)は、第一確変大当たり(10ラウンド)が49.2%、第二確変大当たり(3ラウンド)が0.8%、低確大当たり(3ラウンド)が50%である。大当たり全体に占める確変大当たりの割合(確変割合)という点でいえば50%である(
図5(b)参照)。
【0047】
第一確変状態(高確率/電サポ有)においては、遊技者は右打ち遊技を行う(右打ち遊技が促される)。上述した通り、普図抽選の当選確率は極めて高く、始動用開閉部材211が開位置に変位して頻繁に開閉第一始動領域21bが開放される。つまり、第一確変状態では、開閉第一始動領域21bに遊技球が進入することを契機とした第一当否抽選にて大当たりに当選することを目指して遊技する(第一当否抽選が主抽選となる)ことになる(
図5(a)参照)。なお、第一確変状態にて右打ちすると、開閉第一始動領域21bに進入しなかった遊技球が第二始動領域22に到達する。つまり、比較的容易に第二当否抽選情報(第二保留情報)が取得される。しかし、低確率状態中と同様に、第一確変状態においても、第一当否抽選の結果を報知する報知演出に要する時間(第一変動時間)に比して、第二当否抽選の結果を報知する報知演出に要する時間(第二変動時間)の方が著しく長くなる(具体的な長さは上述した通りである)ように設定されている。本実施形態では「特
図1・特
図2同時変動」であるところ、第一当否抽選情報(第一保留情報)と第二当否抽選情報(第二保留情報)の両方が取得されても、第二当否抽選の結果を享受する回数は第一当否抽選に比べて著しく少なくなる。
【0048】
第一確変状態での第一当否抽選(特
図1抽選)にて大当たりに当選した場合の大当たり振分(以下、「第一確変時振分」と称することもある)は、第二確変大当たり(10ラウンド)が49.2%、第二確変大当たり(3ラウンド)が0.8%、低確大当たり(3ラウンド)が50%である。大当たり全体に占める確変大当たりの割合(確変割合)という点でいえば50%であり低確率時振分と同じである。また、ラウンド数の振分も低確率時振分と同じである(
図5(b)参照)。つまり、低確率状態と第一遊技状態は遊技状態が異なるものの、第一当否抽選が実行されることに変わりはないのであるから、当該第一当否抽選を経た大当たりの確変割合およびラウンド数の振分は同じとされる(ぱちんこ遊技機の規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)に適合させるのであれば同じとする必要がある)。
【0049】
第二確変状態(高確率/電サポ無)においては、遊技者は右打ち遊技を行う(右打ち遊技が促される)。上述した通り、普図抽選の当選確率は極めて低いから、開閉第一始動領域21bに遊技球が進入することはほとんどない(普図抽選の当選確率=0であれば進入する可能性はない)。したがって、右打ちされた遊技球は右側通路40を通過し(開閉第一始動領域21bに進入せず)、第二始動領域22に到達する。つまり、第二確変状態では、第二始動領域22に遊技球が進入することを契機とした第二当否抽選にて大当たりに当選することを目指して遊技する(第二当否抽選が主抽選となる)ことになる(
図5(a)参照)。
【0050】
第二確変状態での第二当否抽選(特
図2抽選)にて大当たりに当選した場合の大当たり振分(以下、「第二確変時振分」と称することもある)は、第二確変大当たり(10ラウンド)が50%、第二確変大当たり(3ラウンド)が30%、低確大当たり(3ラウンド)が20%である(
図5(b)参照)。つまり、第二確変時振分の確変割合(80%)は、低確率時振分や第一確変時振分の確変割合よりも高い(第一当否抽選よりも、第二当否抽選の方が、大当たり時に確変となる確率が高い)。その点において、第二確変状態は、第一確変状態よりも遊技者にとって有利な状態であるといえる。上述した通り、本実施形態にかかる遊技機1は特別領域13(V領域)を設けたいわゆるV確変機(「V確変」機能を用いたものである)であるため、第一当否抽選の確変割合と、第二当否抽選の確変割合に差を設定することができるものである。
【0051】
8)ベース
遊技球が100球発射されたときに得られる賞球の期待値を「ベース」とする。ベース<100である場合は遊技球を発射するほど遊技者の持ち球が減る状態、ベース=100である場合は持ち球が現状維持である状態、ベース>100である場合は遊技球を発射するほど遊技者の持ち球が増える状態ということになる。各遊技状態におけるベースに関し、一般的な遊技機と同じように、低確率状態(左打ち状態)におけるベースは最も低い。例えば、ベース=30~50程度に設定されるとよい。なお、本実施形態では、開放第一始動領域21aに遊技球が進入したことによって払い出される賞球数は「3」である。
【0052】
第一確変状態や第二確変状態(右打ち状態)のベースは、低確率状態よりも高い。例えば、第一確変状態および第二確変状態のいずれも、ベース90~120程度に設定されるとよい。
【0053】
ここで、第一確変状態と第二確変状態では、主として得られる賞球の契機が異なる。第一確変状態では、開閉第一始動領域21bに遊技球が進入することにより払い出される賞球が主として得られる賞球となって、所定のベース(設計値)が確保される。なお、本実施形態では、本実施形態では、開閉第一始動領域21bに遊技球が進入したことによって払い出される賞球数は「1」である。つまり、頻繁に開閉第一始動領域21bが開放され、多くの遊技球が開閉第一始動領域21bに進入することになるから、所定のベースが確保される。また、第一確変状態では、第二当否抽選により小当たりに当選して小入賞領域15が開放されたとしても、ほとんどの遊技球が開閉第一始動領域21bに進入し、それよりも下流側に位置する小入賞領域15まで到達しない。つまり、第一確変状態では、小入賞領域15に遊技球が進入することによる賞球はほとんど期待できない。仮に、第一当否抽選により小当たりに当選する可能性がある設定とする場合であっても同様である。つまり、比較的容易に小入賞領域15が開放される設定とする場合であっても、ほとんどの遊技球が開閉第一始動領域21bに進入し、それよりも下流側に位置する小入賞領域15まで到達しないことになる。
【0054】
一方、第二確変状態は、開閉第一始動領域21bに遊技球が進入することはほとんどない(普図抽選の当選確率=0であれば進入する可能性はない)状態である。ただし、第二当否抽選による小当たりには比較的当選しやすく(約1/15)、当該小当たりに当選することで小入賞領域15が開放される。つまり、小入賞領域15に遊技球が進入することにより払い出される賞球が主として得られる賞球となって、所定のベース(設計値)が確保される。本実施形態では、小入賞領域15に遊技球が進入したことによって払い出される賞球数は「10」である(なお、大入賞領域10の賞球数も「10」である)。本実施形態における第二確変状態のベースは100程度である(ほとんど現状維持である)が、小当たり当選確率を高くし、第二確変状態が継続すればするほど、持ち球が増加するいわゆる「小当たりラッシュ」状態としてもよい。
【0055】
このように、本実施形態では、主として得られる賞球の契機が異なるものの、第一確変状態のベースと第二確変状態のベースはそれほど大きな差がない。それゆえ、確変割合(確変ループ確率)が異なる(第一確変状態;50% 第二確変状態;80%)分、第一確変状態よりも第二確変状態が有利な設定であるといえる。
【0056】
9)遊技性
上記の通り、本実施形態にかかる遊技機1では第二確変状態が遊技者にとって最も有利な遊技状態(以下、「最高状態」と称することもある)であるため、遊技者は当該第二確変状態に到達することを少なくとも一つの目標として遊技する。当該観点から本実施形態にかかる遊技機1の遊技性を説明する。
【0057】
通常、遊技者は低確率状態(遊技者にとって最も不利な遊技状態(以下、「最低状態」と称することもある))にて遊技を開始する。つまり、左打ち遊技を行い、第一当否抽選にて大当たり当選を目指す。また、大当たりに当選するのであれば、低確大当たりよりも第一確変大当たりに当選することを、第一確変大当たりよりも第二確変大当たりに当選することを願う。ただ、低確率時振分は、第一確変大当たりとなる確率(割合)よりも第二確変大当たりとなる確率(割合)が小さいことに照らせば、低確率状態から一気に(第一確変状態を経ずに)第二確変状態に移行することはハードルが高いと遊技者が考える蓋然性が高い。つまり、まずは第一確変大当たりに当選して、第一確変状態に移行することを目指す遊技者が多くなりやすい。特に、本実施形態では、(第一確変大当たりとなる確率(49.2%)に比して)第二確変大当たりとなる確率(0.8%)が著しく低い(
図5(b)参照)ため、一気に第二確変状態に移行することは極めて困難であるから、その傾向は顕著になる。
【0058】
第一確変状態に移行した場合には、右打ち遊技を行い、第一当否抽選にて大当たり当選を目指す。第一確変時振分は、第一確変大当たりとなる確率(0%)よりも第二確変大当たりとなる確率(50%)が高い設定であるから、通常遊技状態にあるときよりも第二確変状態に移行することのハードルが低い。特に、本実施形態では、確変大当たりの全て(大当たりの50%)が第二確変大当たりとなるものである(
図5(b)参照)から、その傾向は顕著となる。
【0059】
最高状態である第二確変状態では、右打ち遊技を行い、第二当否抽選にて大当たり当選を目指す。第二確変時振分は、低確率時振分および第一確変時振分よりも確変大当たりとなる確率(80%)が高い設定である(
図5(b)参照)し、第一確変大当たりとなる可能性もないから、大当たりを重ねつつ、第二確変状態をループさせることを目指して遊技者は遊技する。
【0060】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、低確率状態にて当選した大当たり遊技終了後に第二確変状態に移行する確率(0.8%)よりも、第一確変状態にて当選した大当たり遊技終了後に第二確変状態に移行する確率(50%)の方が高く設定されているから、最高状態である第二確変状態を目指すにあたり、まずは第一確変状態への移行(
図5(b)に示すAルートでの第一確変状態への移行)を目指し、そこから第二確変状態への移行(
図5(b)に示すBルートでの第二確変状態への移行)を目指すという遊技性、すなわち遊技状態を段階的にステップアップさせて最高状態を目指すという面白みのある遊技性が実現される。
【0061】
また、本実施形態のように、第一確変状態にて第一確変大当たりに当選しない設定(第一確変時振分の第一確変大当たりの割合が0%である設定)とすることで、第一確変状態にて確変大当たりに当選すれば第二確変状態(最高状態)に移行し、そうでなければ低確率状態(最低状態)に移行するという分かりやすい遊技性が実現される。
【0062】
また、本実施形態のように、第二確変状態にて第一確変大当たりに当選しない設定(第二確変時振分の第一確変大当たりの割合が0%である設定)とすることで、最高状態である第二確変状態に移行した後は、確変大当たりに当選する限りにおいて当該最高状態がループするという分かりやすい遊技性が実現される。
【0063】
また、本実施形態では、低確率状態および第一確変状態の主抽選が第一当否抽選であるため、低確率状態にて当選した大当たり遊技終了後に確変状態に移行する確率(確変割合)と、第一確変状態にて当選した大当たり遊技終了後に確変状態に移行する確率(確変割合)を同じ(50%)としている。低確率状態および第一確変状態の主抽選を第一当否抽選とし、第二確変状態の主抽選を第二当否抽選としているため、第二確変状態の確変割合(80%)を低確率状態および第一確変状態の確変割合(50%)よりも高くすることができる(いわゆるV確変の機能(第一当否抽選と第二当否抽選の確変割合を異ならせるための機能)を利用して、確変割合の高い「最高状態」である第二確変状態を作り出している)ともいえる。
【0064】
10)第二確変状態における先読み演出(小当たり先読み演出)
本実施形態にかかる遊技機1は、第二確変状態特有の(低確率状態や第一確変状態では発生しない)先読み演出(以下、小当たり先読み演出と称することもある)を実行することが可能である。上述した通り、第二確変状態は小当たり当選に期待できる状態である。当該小当たりを利用した演出が小当たり先読み演出である。
【0065】
小当たり先読み演出は、ある保留情報(以下、「対象保留情報」と称することもある)に対応する当否抽選結果(以下、「対象当否抽選結果」と称することもある)が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)を示唆する演出であって、対象保留情報よりも先に取得された保留情報(以下、「先の保留情報」と称することもある)に対応する当否抽選結果(以下、「先の当否抽選結果」と称することもある)が小当たりとなって小当たり遊技が実行される場合、当該小当たり遊技が実行されているときに発生する演出(演出が実行される期間の少なくとも一部が小入賞領域15が開放されている期間と重複する)である。端的にいえば、先読み対象となる保留よりも前に、小当たり当選となる保留が存在していることを条件として発生しうる演出である。小当たり先読み演出は、小当たり当選を契機として発生するのであるから、小当たりに当選しない場合(はずれや大当たり)には発生しない。
【0066】
なお、本実施形態では、小当たり先読み演出の対象となる「大当たり」は、第二確変大当たりとされている。つまり、第二確変状態は、第二確変大当たりに当選して当該第二確変状態が継続することを目指す遊技状態である(裏を返せば、低確大当たりに当選しないことを願う遊技状態である)から、第二確変大当たりに当選する蓋然性が小当たり先読み演出によって示唆される(小当たり先読み演出に関係する説明において、単に大当たりというときには、第二確変大当たりのことを指すものとする)。このように、遊技者にとって有利な大当たりと不利な大当たりが存在するという条件下において、有利な大当たりに当選する蓋然性が小当たり先読み演出によって示唆される。ただし、これとは逆に、遊技者にとって不利な大当たりに当選する蓋然性が小当たり先読み演出によって示唆される構成とすることを否定するわけではない。このように、小当たり先読み演出の対象が一部の種類の大当たりに限定されていてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、対象保留情報となる保留図柄70がいずれであるかは、遊技者は明確に判別することができない。例えば、周知の保留変化演出(保留図柄70の態様により信頼度を示唆する演出)が発生する構成である場合において、ある保留図柄70が通常の態様よりも高信頼度の態様となった場合、当該高信頼度となった保留図柄70に対応する当否抽選結果が小当たり先読み演出の対象である蓋然性は高くなるかもしれないが、当該高信頼度となった保留図柄70に対応する当否抽選結果が小当たり先読み演出の対象であることが確定するわけではない。
【0068】
本実施形態における小当たり先読み演出は、小当たりに当選し(
図6(a)参照)小入賞領域15に遊技球が入賞すること(
図6(b)参照)を契機として発生するものである。小入賞領域15は小入賞開閉部材19が開位置(なお、図面では開位置に位置した小入賞開閉部材19を点線で示す)に変位しない限り遊技球が入賞することはないのであるから、小当たり当選が小当たり先読み演出発生の必須条件となることは当然である。また、本実施形態では、小当たりに当選してある小当たり遊技が実行されたとしても、当該ある小当たり遊技にて小入賞領域15に遊技球が入賞しなかった場合には、当該ある小当たり遊技を契機とした小当たり先読み演出が発生することはない(入賞個数ではなく、所定時間経過で小入賞領域15が閉鎖されるため、ある小当たり遊技にて遊技球が全く入賞しないことはありうる)。つまり、ある小当たり遊技にて少なくとも一の遊技球が小入賞領域15に入賞することが小当たり先読み演出発生の必須条件となる。
【0069】
小当たりに当選して(
図6(a)参照)小入賞領域15に遊技球が入賞したとき(
図6(b)参照)には、遊技者が得られた利益を表す利益画像50が表示領域911に表示される。本実施形態における小当たり先読み演出は、利益画像50の態様によるものである。本実施形態における利益画像50は、入賞により払い出される遊技球の個数の数字を含むものである。上述した通り、小入賞領域15に1個の遊技球が入賞したときの払い出し個数(賞球数)は10個であるから、利益画像50は「10」の数字を含む。本実施形態における利益画像50は「+10」というものである(
図6(c-1)(c-2)参照)。なお、利益画像50の基本的な態様は適宜変更可能である。例えば、払い出し個数(賞球数)ではなく、払い出し個数から入賞した遊技球を差し引いた純増数(賞球数が10であれば「9」となる)を利益画像50として表示してもよい。
【0070】
利益画像50の態様として通常態様50nと特殊態様50sが設定されており、「特殊態様50sの利益画像50が表示されること」(
図6(c-2)参照)が小当たり先読み演出として設定されている。「通常態様50nの利益画像50が表示されること」は小当たり先読み演出ではない(
図6(c-1)参照)。本実施形態では、「+10」が白文字であるのが通常態様50nであり、赤文字であるのが特殊態様50sとされている。図面では、通常態様50nをハッチング無と、特殊態様50sをハッチング有としている(
図6(c-2)参照)。なお、後述するその他の画像(背景画像53を除く)についても同様に描いている(通常態様をハッチング無と、特殊態様をハッチング有としている)。
【0071】
小入賞領域15に一の遊技球が入賞することを契機として、小当たり先読み演出を発生させるかどうかの抽選(先読み抽選)が実行される。当該先読み抽選に当選した場合には特殊態様50sの利益画像50が表示され、当選しなかった場合には通常態様50nの利益画像50が表示される。本実施形態では、先の当否抽選結果の報知演出が開始される時点(小当たり変動の開始時点)で存在している一または複数の保留情報(
図6(a)にて点線で囲まれる変動前保留図柄72に対応する保留情報)を全て対象保留情報とし、そのうちの一つでも大当たりであれば高確率先読み抽選を実行し、全てがはずれであれば低確率先読み抽選(当選確率は高確率先読み抽選よりも低い)を実行するようにしている。このような構成であるため、保留内に大当たりが存在する場合の方が、存在しない場合に比して、小当たり先読み演出が発生する(特殊態様50sの利益画像50が表示される)蓋然性が高くなる。
【0072】
なお、小当たり当選の時点(
図6(a)の識別図柄80の組み合わせが示された時点)や、小入賞領域15に遊技球が入賞した時点(
図6(b)の時点)で存在している一または複数の保留情報のうちの一部のみを対象保留情報として上記先読み抽選を行ってもよい。
【0073】
低確率先読み抽選の当選確率は0%であってもよい。このようにすれば、保留内に大当たりが存在しない場合には小当たり先読み演出が発生することはないのであるから、小当たり先読み演出が発生した時点で大当たり確定となる。また、高確率先読み抽選の当選確率は100%であってもよい。これと併せて低確率先読み抽選の当選確率を0%とすれば、小入賞領域15への遊技球の入賞を契機として小当たり先読み演出が発生するか否かで、保留内に大当たりが存在するか否かが判明する構成となる。ただし、小当たり当選時には比較的容易に小入賞領域15に遊技球が入賞することを考慮すれば、保留内での大当たりの当選の有無が安易に確定しない構成とすることが好ましい。つまり、高確率先読み抽選の当選確率は100%未満であり、低確率先読み抽選の当選確率は0%以上であることが好ましい。
【0074】
利益画像50は、小入賞領域15に遊技球が入賞したことが検出されたことを契機に表示される。利益画像50が表示される期間(時間)の長さは適宜設定することができるが、遊技球の入賞タイミングが遅くなるほど利益画像50が表示されている期間が後ろにずれこむ。したがって、利益画像50が表示される期間は、対象当否抽選結果(
図7に示す対象保留T)の報知演出(対象変動)が実行される期間の一部と重複する可能性がある。例えば、対象保留情報の一つ前の先の保留情報が小当たりとなって小入賞領域15に遊技球が進入し、先読み抽選に当選して小当たり先読み演出が発生する(
図7(a)参照)場合、当該小当たり先読み演出が実行される期間(利益画像50が表示領域911に表示されている期間)は、対象変動が実行される期間の一部と重複する可能性がある(
図7(b)参照)。一般的な先読み演出は、対象変動の開始時点よりも前に終了するのに対し、小当たり先読み演出は対象変動が開始された後も継続する可能性がある。かかる点が、一般的な先読み演出と、本実施形態の小当たり先読み演出の大きな違いの一つであるともいえる。
【0075】
一回の小当たり遊技(一回の小当たり当選で実行される小当たり遊技をいう)において、二以上の遊技球が入賞した場合、各入賞に対応する利益画像50が表示されることとなる。本実施形態では、各入賞のそれぞれを契機として先読み抽選(高確率先読み抽選または低確率先読み抽選)を実行する。したがって、一回の小当たり遊技の当選を契機として、二回以上の小当たり先読み演出が発生する可能性もある。
【0076】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、小当たり遊技が実行されているときに小当たり先読み演出が発生するものであるから、小当たりを利用して遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0077】
本実施形態における小当たり先読み演出は、小当たりに当選しても小入賞領域15に遊技球が入賞しなければ発生しないものである。したがって、小入賞領域15への遊技球の入賞が、賞球が払い出されるという実質的な利益だけでなく、小当たり先読み演出を発生させるという演出上の利益をもたらすという遊技性が実現される。
【0078】
上記小当たり先読み演出に関する事項を改良、変形、具体化等した具体例を以下に示す。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例にて説明する事項を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
【0079】
○第一具体例
上記実施形態にて説明した小当たり先読み演出は、小入賞領域15に遊技球が入賞することを契機として発生するものである(「入賞」が発生しなければ小当たり先読み演出は発生しない)。小当たり先読み演出の発生契機として遊技球の「入賞」以外の契機を設定することも可能である。例えば、以下のような契機を設定することもできる。
【0080】
(1)小入賞領域開放
小当たりに当選し、小入賞領域15が開放されたことを契機として小当たり先読み演出が実行されうるものとする。具体的には、小当たりに当選し(
図8(a)、
図9(a)参照)、小入賞開閉部材19が閉位置から開位置に変位したこと(
図8(b)、
図9(b)参照)を契機として先読み抽選が実行され、それに当選した場合に小当たり先読み演出が実行される(
図8(c-2)、
図9(c-2)参照)ものとする。
【0081】
上記契機により発生する小当たり先読み演出の具体的態様としては種々考えられるが、小入賞領域15が開放されるという事象に関連する態様とすることが好ましい。例えば、小入賞領域15が開放される際、当該開放に対応づけられる開放画像51が表示領域911に表示されるものとし、当該開放画像51を用いて小当たり先読み演出が実行されるようにすることが考えられる。具体的には、例えば「OPEN」、「狙え」、「打て」といったような、小入賞領域15が開放されたことや、小入賞領域15を狙うべきであることを示す文字を含むものが開放画像51として表示される構成とすることが考えられる(
図8(c-1)(c-2)参照)。
【0082】
また、小当たりに当選して小入賞領域15が開放される際、当該小入賞領域15の場所(位置)を示す指示画像52が表示領域911に表示されるものとし、当該指示画像52を用いて小当たり先読み演出が実行されるようにすることが考えられる。具体的には、例えば「矢印」を含むものが指示画像52として表示される構成とすることが考えられる(
図9(c-1)(c-2)参照)。
【0083】
このような開放画像51や指示画像52として、通常態様51n、52n(
図8(c-1)、
図9(c-1)参照)と特殊態様51s、52s(
図8(c-2)、
図9(c-2)参照)を設定し、通常態様51n、52nの開放画像51や指示画像52が表示された場合よりも、特殊態様51s、52sの開放画像51や指示画像52が表示された場合の方が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高い設定とする。つまり、特殊態様51s、52sの開放画像51や指示画像52が表示されること(
図8(c-2)、
図9(c-2)参照)が、小当たり先読み演出の発生であるとする。
【0084】
(2)小当たり変動開始
先の当否抽選結果(当該結果は「小当たり」となる)を報知する報知演出の開始時、すなわち最終的に小当たりとなる識別図柄80の変動開始(小当たり変動開始)を契機として小当たり演出が実行されうるものとする(
図10(b-2)参照)。「小入賞領域15への遊技球の入賞」や「小入賞領域15の開放」という契機を設定した場合はあくまで小当たり当選の報知が完了(小当たりを示す組み合わせで識別図柄80の変動が停止した)した後に成立しうる契機である一方、「小当たり変動開始」の契機は小当たり当選の報知が完了する前に成立しうる契機ということになる。
【0085】
上記契機により発生する小当たり先読み演出の具体的態様としては種々考えられるが、小当たり変動開始という事象に関連する態様とすることが好ましい。例えば、変動する識別図柄80の背景として表示領域911に表示される画像(背景画像53)を用いて小当たり先読み演出が実行されるようにすることが考えられる。背景画像53として、通常態様53n(
図10(b-1)参照。図面においては無地とする)と特殊態様53s(
図10(b-2)参照)を設定し、小当たり変動開始時に特殊態様53sの背景画像53が表示される(通常態様の背景画像53(
図10(a)参照)から特殊態様53sの背景画像53(
図10(b-2)参照)に変化する)ことが、小当たり先読み演出の発生であるとする。当該背景画像53は、少なくとも対象当否抽選結果の報知演出が開始されるまで表示され続けるようにすることが好ましい。対象当否抽選結果の報知演出中に表示されるようにしてもよい。これにより先読みの対象が明確になる。
【0086】
なお、上記(1)小入賞領域15開放や(2)小当たり変動開始を契機とする構成は、小入賞領域15に入賞しなくても小当たり先読み演出が発生しうる(すなわち、小当たり当選が条件であり、小入賞領域15への遊技球の入賞が条件ではない)という点で、上記実施形態にて説明した構成と大きく相違する。上記実施形態のように、小入賞領域15への遊技球の入賞が条件である構成とした方が、先読み小当たり演出発生のハードルは高くなる。
【0087】
○第二具体例
一回の小当たり遊技にて得られる利益が所定の基準値(閾値)に到達した場合に小当たり先読み演出が発生することがあり、基準値に到達しない場合には小当たり先読み演出が発生しない設定とする。つまり、上記基準値に到達することを契機として先読み抽選が実行され、それに当選した場合に小当たり先読み演出が実行されるものとする。小入賞領域15に遊技球が入賞することで払い出される遊技球の数(賞球数)が一定であれば、一回の小当たり遊技にて小入賞領域15に入賞した遊技球の個数が所定の基準個数に到達するか否かが小当たり先読み演出が発生しうるかどうかの境界となる。例えば、上記実施形態の設定において、賞球数=20に到達することが基準値とされるのであれば、一回の小当たり遊技にて小入賞領域15に遊技球が二個入賞すること(
図11(b)参照)が小当たり先読み演出発生(
図11(c-2)参照)の最低条件となる。
図11に示した例は、二個目の入賞によって表示される利益画像50が特殊態様50sとなる(一個目の入賞によって表示される利益画像50は通常態様50nである)ことが小当たり先読み演出とされるものである(
図11(c-2)参照)。先読み演出抽選に漏れた場合(小当たり先読み演出が発生しない場合)は、一個目の入賞および二個目の入賞によって表示される利益画像50のいずれも通常態様50nとなる(
図11(c-1)参照)。
【0088】
このように、一回の小当たり遊技にて二以上の遊技球が入賞することを最低条件として設定することで、小当たり先読み演出発生のためのハードルが高くなり、小当たり先読み演出の発生頻度が高くなりすぎることが抑制される。また、小当たり遊技にてより多くの遊技球を入賞させて賞球を増加させること(遊技者であれば当然にもつ目標)が、小当たり先読み演出を発生させることにもつながるという遊技性が実現される。
【0089】
本例のようにする場合、上記基準値に到達することを契機として先読み演出の発生が確定する設定としてもよい(先読み抽選の当選確率が100%である設定であるとみることもできる)。このようにすれば、一回の小当たりにて得られる利益が所定の基準値に到達する(入賞個数が基準個数に到達する)か否かで、小当たり先読み演出が発生するか否かが決まるという分かりやすい遊技性が実現される。
【0090】
なお、一回の小当たり遊技ではなく、所定回数の小当たり遊技(所定回数の小当たり当選)をひとまとまりとして、当該所定回数の小当たり遊技にて得られる利益が基準値に到達した場合に小当たり先読み演出が発生しうる設定としてもよい。例えば、五回の小当たり遊技をひとまとまりとして、当該五回の小当たり遊技にて得られる利益が基準値に到達するか否かが判断されるものとする。五回の小当たり遊技が終了した後、再び五回の小当たり遊技が実行されるまでの利益が基準値に到達するか否かが判断される。
【0091】
○第三具体例
上記実施形態における小当たり先読み演出は利益画像50を利用して実行されるものであることを説明したが、小当たり領域への入賞を契機として表示される画像は利益画像50以外の画像も考えられるため、当該画像を小当たり先読み演出に利用してもよい。例えば、次のような数画像54を利用した小当たり先読み演出とすることも考えられる。
【0092】
数画像54は、一回の小当たり遊技にて小入賞領域15に入賞した遊技球の数を示すものである。数画像54としては、「○Hit」、「○Point」といった態様とすることが考えられる(「○」の部分は入賞した遊技球の数(入賞個数)に相当する数字である)(
図12(c-1)(c-2)参照)。「数字」のみを含む数画像54としてもよい。遊技球が小入賞領域15に入賞する度に、数画像54の数字の部分が増加していくことになる。新たな入賞があったとき、新たな数画像54が表示される構成としてもよいし、新たな数画像54が表示されるのではなく数画像54の数の部分が変化する構成としてもよい。このような数画像54が表示されるようにすることで、一回の小当たりでどれだけの入賞があったのかを容易に把握することができる。当該数画像54の態様として通常態様54n(
図12(c-1)参照)と特殊態様54s(
図12(c-2)参照)を設定し、通常態様54nの数画像54が表示された場合よりも、特殊態様54sの数画像54が表示された場合の方が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高い設定とする。つまり、特殊態様54sの数画像54が表示されることが、小当たり先読み演出の発生であるとする。
【0093】
なお、小入賞領域15に遊技球が入賞する度に先読み抽選が実行されるようにしてもよいし、入賞個数が所定数に到達すること(上記数字が所定数に到達すること)を契機として先読み抽選が実行されるようにしてもよい。また、一回の小当たり遊技ではなく、所定回数の小当たり遊技(所定回数の小当たり当選)をひとまとまりとして、当該所定回数の小当たり遊技における入賞個数が所定数に到達することを契機として先読み抽選が実行されるようにしてもよい。
【0094】
○第四具体例
上記実施形態では、特殊態様50sの利益画像50が表示されることが小当たり先読み演出であることを説明したが、複数種の特殊態様が設定された構成としてもよい。例えば、第一特殊態様、第二特殊態様、第三特殊態様の三種が設定され、発生したときにおける対象当否抽選結果の大当たり信頼度が当該順で高くなる(第三特殊態様が最も高い)設定とする。このようにすることで、遊技者は利益画像50が特殊態様となることに期待しつつ、特殊態様となった場合にはその種類にも注目する遊技性が実現される。
【0095】
上述した開放画像51、指示画像52、背景画像53、数画像54についても、複数種の特殊態様が設定された構成としてもよい。
【0096】
○第五具体例
上記実施形態や上記一部の具体例では、通常態様の画像が表示されることとの対比の上で、特殊態様の画像が表示されることが小当たり先読み演出として設定されていることを説明したが、通常であれば表示されない画像の表示が先読み演出として設定された構成としてもよい。換言すれば、通常態様の画像の表示がデフォルトの演出(基準となる演出)であり、特殊態様の画像の表示がチャンスアップの演出(先読み演出)であるという構成ではなく、所定の画像(以下、好機画像55とする)が表示されないことがデフォルトの演出であり、好機画像55が表示されることがチャンスアップの演出(小当たり先読み演出)であるという構成とする。
【0097】
例えば、小当たりに当選し(
図13(a)参照)、小入賞領域15に遊技球が入賞すること(
図13(b)参照)を契機として先読み抽選を行い、当該抽選に当選した場合には好機画像55として「excellent」の文字が表示される(
図13(b-2)参照)ようにする。先読み抽選に当選しなかった場合には当該文字(好機画像55)は表示されない(
図13(b-1)参照)。このようにすることで、通常では表示されない画像が表示されることがチャンスであるという演出形態とすることができる。
【0098】
上述した利益画像50、開放画像51、指示画像52、背景画像53、数画像54等が、本例のように制御される構成としてもよい。つまり、これらの画像が表示されないことがデフォルトの演出であり、これらの画像が表示されることがチャンスアップの演出(小当たり先読み演出)である構成としてもよい。
【0099】
○第六具体例
小当たり先読み演出が連続して発生する場合がある設定とし、当該連続する回数(連続回数)により対象当否抽選結果の大当たり信頼度が異なる設定とする。例えば、連続回数が多いほど大当たり信頼度が高い設定とする。具体的には、先読み抽選に当選した場合には、回数決定抽選を実行し、連続回数として1回、2回、3回のいずれかが決定されるものとする。回数決定抽選は、対象当否抽選結果がはずれである場合と大当たりである場合とで異なり、大当たりである場合ほど連続回数が多くなる抽選態様とする。
【0100】
決められた連続回数に応じて、小当たり先読み演出が連続して発生するようにする。例えば、ある遊技球が小入賞領域15に入賞して(
図14(a)参照)連続回数3回の小当たり先読み演出を実行することが決定された場合、当該ある遊技球の入賞を契機として小当たり先読み演出を実行する(1回目)(
図14(b)参照)ことが決定されるだけでなく、当該ある遊技球の後の遊技球の入賞時(2回目)(
図14(c)(d)参照)、その次の遊技球の入賞時(3回目)(
図14(e)(f)参照)にも小当たり先読み演出を実行することが決定されるようにする。つまり、決定された連続回数分、小入賞領域15への遊技球の入賞の度に小当たり先読み演出を実行する(その間は先読み抽選を実行しない)。
【0101】
決定された連続回数は、小当たり遊技の終了の度にリセットされるようにしてもよい。例えば、ある小当たり遊技にて一球目の遊技球が入賞したときに、連続回数が2回に決定されたとする。その場合、当該ある小当たり遊技にて二球目の遊技球が入賞すれば小当たり先読み演出は発生するものの、二球目の遊技球が入賞しなければ小当たり先読み演出が発生せず、次の小当たり遊技にて遊技球が入賞しても小当たり先読み演出が発生するとは限られない設定とする。つまり、連続回数は小当たり遊技毎に決定されるようにして、当該小当たり遊技にて連続回数分の遊技球の入賞が発生しない場合には当該連続回数が反映されない可能性がある設定としてもよい。
【0102】
本例のようにすることで、小当たり先読み演出の連続回数にも注目する遊技性が実現される。
【0103】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0104】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0105】
・手段1
当否抽選の当選態様として、小当たりおよび当該小当たりよりも遊技者が享受する利益の期待値が大きい大当たりが設定された遊技機であって、当否抽選に利用される当否抽選情報を、所定数を限度に保留情報として記憶する記憶手段と、小当たりに当選して小当たり遊技が実行されているときに発生する演出であって、前記記憶手段に記憶されている前記保留情報に対応する対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する小当たり先読み演出を実行する演出実行手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、小当たり遊技が実行されているときに小当たり先読み演出が発生するものであるから、小当たりを利用して遊技の趣向性を向上させることが可能である。
【0106】
・手段2
前記小当たり遊技にて所定の基準値以上の利益が得られない場合、当該小当たり遊技にて前記小当たり先読み演出が発生しないように設定されていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、基準値以上の利益が得られること(実質的な利益の獲得)が、小当たり先読み演出発生(演出上の利益)にもつながる可能性があるという面白みのある遊技性を実現することが可能である。
【0107】
・手段3
前記小当たり先読み演出として、前記小当たり遊技にて遊技者が得られた利益を表す利益画像の態様により、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する演出が設定されていることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
【0108】
・手段4
前記小当たり先読み演出として、前記小当たり遊技にて開放される入賞領域に入賞した遊技球の数を示す数画像の態様により、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する演出が設定されていることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
【0109】
・手段5
前記小当たり先読み演出として、前記小当たり遊技にて対象の入賞領域が開放されたことを示す開放画像の態様により、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する演出が設定されていることを特徴とする手段1から手段4のいずれかに記載の遊技機。
【0110】
・手段6
前記小当たり先読み演出として、前記小当たり遊技にて開放される入賞領域の場所を示す指示画像の態様により、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性を示唆する演出が設定されていることを特徴とする手段1から手段5のいずれかに記載の遊技機。
【符号の説明】
【0111】
1 遊技機
10 大入賞領域
15 小入賞領域
19 小入賞開閉部材
21 第一始動領域(21a 開放第一始動領域 21b 開閉第一始動領域)
22 第二始動領域
50 利益画像(50n 通常態様 50s 特殊態様)
51 開放画像(51n 通常態様 51s 特殊態様)
52 指示画像(52n 通常態様 52s 特殊態様)
53 背景画像(53n 通常態様 53s 特殊態様)
54 数画像(54n 通常態様 54s 特殊態様)
55 好機画像
70 保留図柄(71 変動中保留図柄 72 変動前保留図柄)
80 識別図柄
91 表示装置
911 表示領域