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特許7193877ウェブ化サーバーおよび該ウェブ化サーバーを用いたアプリケーション運用システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ウェブ化サーバーおよび該ウェブ化サーバーを用いたアプリケーション運用システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/38 20180101AFI20221214BHJP
   G06F 9/451 20180101ALI20221214BHJP
【FI】
G06F8/38
G06F9/451
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021067098
(22)【出願日】2021-04-12
(65)【公開番号】P2022162320
(43)【公開日】2022-10-24
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】503359050
【氏名又は名称】ソフラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】井本 裕順
【審査官】山本 俊介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0151372(US,A1)
【文献】特開2008-262450(JP,A)
【文献】特開2013-122655(JP,A)
【文献】特開2010-072898(JP,A)
【文献】特開2011-028406(JP,A)
【文献】特開2007-157037(JP,A)
【文献】特開2001-101132(JP,A)
【文献】特開2012-221255(JP,A)
【文献】特開2012-079084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00- 8/77
9/00- 9/54
15/00-15/82
H04L 67/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ウェブ開発用言語でプログラミングされた業務アプリケーションが導入されているアプリケーションサーバーに接続して使用され、クライアント端末に導入されているウェブブラウザアプリケーションとの間でインターネット網を介して情報をやり取りすることで該ウェブブラウザアプリケーションに前記業務アプリケーションの操作画面を表示させるウェブ化サーバーであって、
前記ウェブ化サーバーは、ウェブサーバとして機能する通信アプリケーションおよび、変換アプリケーションを有しており、
前記通信アプリケーションは、前記ウェブブラウザアプリケーションから受け取った表示要求を前記変換アプリケーションに送る機能と、前記変換アプリケーションから受け取った表示応答を前記ウェブブラウザアプリケーションに返す機能とを有しており、
前記変換アプリケーションは、前記通信アプリケーションから受け取った表示要求を表示要求電文に変換して前記業務アプリケーションに送る機能と、前記業務アプリケーションから返される表示応答電文をHTML形式の文字列である表示応答に変換して前記通信アプリケーションに返す機能とを有しており、
前記業務アプリケーションは、前記変換アプリケーションから受け取った表示要求電文に基づいて各種処理を行う機能と、処理後の操作画面の情報を表示応答電文として前記変換アプリケーションに返す機能とを有しており、
前記表示要求電文および前記表示応答電文は、前記業務アプリケーションの操作画面に表示される表示内容が種別情報、位置情報および個別情報によって規定された文字情報であることを特徴とするアプリケーション運用システム用のウェブ化サーバー。
【請求項2】
非ウェブ開発用言語でプログラミングされた業務アプリケーションが導入されているアプリケーションサーバーと、
前記アプリケーションサーバーと通信可能に接続されており、変換アプリケーションおよびウェブサーバとして機能する通信アプリケーションが導入されているウェブ化サーバーと、
ユーザに操作される入力装置およびユーザ操作用の画面を表示する表示モニタを備えており、インターネット網と接続するウェブブラウザアプリケーションが導入されているクライアント端末とからなるアプリケーション運用システムであって、
前記ウェブブラウザアプリケーションは、前記通信アプリケーションに対して、前記業務アプリケーションの操作画面を表示するよう求める表示要求、或いは、前記業務アプリケーションの操作画面に入力された情報を付加して次の操作画面を求める表示要求を要求する機能と、前記変換アプリケーションから返される表示応答を解析して前記表示モニタに画面出力する機能とを有しており、
ウェブサーバーとしての前記通信アプリケーションは、前記ウェブブラウザアプリケーションから受け取った表示要求を前記変換アプリケーションに送る機能と、前記変換アプリケーションにおいて変換された表示応答を前記ウェブブラウザアプリケーションに返す機能とを有しており、
前記変換アプリケーションは、前記通信アプリケーションから受け取った表示要求を表示要求電文に変換して前記業務アプリケーションに送る機能と、前記業務アプリケーションから返される表示応答電文をHTML形式の文字列である表示応答に変換して前記通信アプリケーションに返す機能とを有しており、
前記業務アプリケーションは、前記変換アプリケーションから受け取った表示要求電文に基づいて各種処理を行う機能と、処理後の操作画面の情報を表示応答電文として前記変換アプリケーションに返す機能とを有しており、
前記表示要求電文および前記表示応答電文は、前記業務アプリケーションの操作画面に表示される表示内容が種別情報、位置情報および個別情報によって規定された文字情報であることを特徴とするアプリケーション運用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
クライアント端末とサーバ端末とがローカルエリアネットワーク接続されたクライアントサーバ型のアプリケーション運用システムをウェブ化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント端末とサーバ端末とがローカルエリアネットワーク接続されたクライアントサーバ型のアプリケーション運用システムとして、特許文献1が知られている。この従来のアプリケーション運用システムは、サーバ端末と、1台或いは複数台のクライアント端末とを有しており、サーバ端末とクライアント端末とがローカルエリアネットワーク接続されている。
【0003】
サーバ端末には、業務用アプリケーションが導入されている。業務用アプリケーションは、販売・売上管理、在庫管理あるいは受発注管理といった各種管理業務を行うためのソフトウェアで、データ入力等の処理に優れたプログラム言語(例えば、RPG言語)によって構築されている。クライアント端末には、業務用アプリケーションの操作画面を表示するための、当該運用システム独自の画面表示用アプリケーションが導入されている。
【0004】
従来技術において、ユーザーがクライアント端末の入力装置から必要な情報を入力すると、当該入力情報がクライアント端末からローカルエリアネットワークを介してサーバ端末に送られ、サーバ端末の業務アプリケーションにおいて演算処理される。演算結果は、サーバ端末からローカルエリアネットワークを介してクライアント端末に送られる。クライアント端末に導入されている専用の画面表示ソフトでは、演算結果の情報が解析され表示画面に次の操作画面が(場合によっては演算結果とともに)表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-28406号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今、自宅で使用している端末からインターネットを経由して職場のパソコンにアクセスして業務を行う、いわゆる「テレワーク」と呼ばれる勤務形態が推進されている。このような背景から、サーバ端末とクライアント端末とがローカルエリアネットワーク接続されている従来のアプリケーション運用システムをテレワーク対応して欲しい(換言すれば、自宅で使用している端末からインターネットを経由して職場のサーバ端末にアクセスできるようにして欲しい)との要望がユーザから寄せられている。
【0007】
従来技術のようなクライアント端末とサーバ端末とがローカルエリアネットワーク接続されたクライアントサーバ型のアプリケーション運用システムをテレワーク対応する方法としては、「インターネット化」と呼ばれる手法と、「ウェブ化」と呼ばれる手法とが考えられる。
【0008】
「インターネット化」は、インターネット網からサーバ端末にアクセスするための窓口となる「ウェブサーバー」と呼ばれる装置を設置する方法で、これをサーバ端末と接続することで実現することが可能である。
【0009】
この「インターネット化」によれば、ウェブサーバーを導入するだけでテレワーク対応が可能であり、業務アプリケーションや画面表示アプリケーションに修正を加える必要がほとんどない(あっても軽微な修正で対応が可能)というメリットがある一方、後述するマルチデバイス対応が困難であるという問題がある。
【0010】
すなわち、クライアント端末には、サーバマシンから送られてくる演算結果を表示画面に表示するための、業務アプリケーションに対応した専用の画面表示用アプリケーションを導入する必要があるが、職場での使用と異なり、自宅で使用される端末には、デスクトップ型パソコン、ノートブック型パソコン、タブレット端末など様々な種類があり、また、各端末に採用されているオペレーティングシステムなどもまちまちである(つまり、端末ごとに使用環境が大きく異なる)。
【0011】
そのため、アプリケーション運用システムの開発者には、各クライアント端末の使用環境ごとに、これに適した画面表示用アプリケーションを開発すること(マルチデバイス対応)が求められるが、このようなマルチデバイス対応は大変な労力とコストを必要とする。また、画面表示用アプリケーションのプログラムを修正する必要が生じた場合、使用環境ごとに開発された全ての画面表示用アプリケーションの修正が必要となり、その対応も非常に大変なものとなる。
【0012】
一方「ウェブ化」は、ウェブサーバを設置する点は「インターネット化」と同様であるが、クライアント端末に導入されているGoogleChrome(登録商標)やSafali(登録商標)といった汎用のウェブブラウザを該システム専用の画面表示アプリケーションの代わりに利用することで実現できる。
【0013】
このような「ウェブ化」の手法によれば、業務アプリケーションの操作画面をクライアント端末に表示させるためのアプリケーションとして汎用のウェブブラウザアプリケーションを利用できるため、マルチデバイス化への対応は問題ないが、当該システムの業務アプリケーションの操作画面をウェブブラウザアプリケーションに表示させるための大掛かりな修正を該業務アプリケーションに加える必要がある。
【0014】
しかしながら、このようなウェブ化のための修正を行うためには、業務アプリケーションのプログラムが、JavaやRubyあるいはPHPといったウェブ開発用の言語でプログラミングされている必要がある。一方、業務アプリケーションは、その使い勝手や操作性の点から、非ウェブ開発言語でプログラミングされているが、非ウェブ開発言語は、「ウェブ化」に対応していないため、非ウェブ開発用言語でプログラミングされている業務アプリケーションでは「ウェブ化」をすることができないという問題があった。
【0015】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、非ウェブ開発用言語でプログラミングされた業務アプリケーションが導入されているサーバ端末に対して、ウェブ化とマルチデバイス化を容易に実現することが可能なウェブ化サーバーおよび該ウェブ化サーバーを用いたアプリケーション運用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載した発明は、「非ウェブ開発用言語でプログラミングされた業務アプリケーションAが導入されているアプリケーションサーバー12に接続して使用され、クライアント端末16に導入されているウェブブラウザアプリケーションWとの間でインターネット網18を介して情報をやり取りすることで該ウェブブラウザアプリケーションWに業務アプリケーションAの操作画面を表示させるアプリケーション運用システム10用のウェブ化サーバー14であって、
ウェブ化サーバー14は、ウェブサーバとして機能する通信アプリケーションC2および、変換アプリケーションBを有しており、
通信アプリケーションC2は、ウェブブラウザアプリケーションWから受け取った表示要求S,Siを変換アプリケーションBに送る機能と、変換アプリケーションBから受け取った表示応答S’をウェブブラウザアプリケーションWに返す機能とを有しており、
変換アプリケーションBは、通信アプリケーションC2から受け取った表示要求S,Siを表示要求電文T,Tiに変換して業務アプリケーションAに送る機能と、業務アプリケーションAから返される表示応答電文T’をHTML形式の文字列である表示応答S’に変換して通信アプリケーションC2に返す機能とを有しており、
業務アプリケーションAは、変換アプリケーションBから受け取った表示要求電文T,Tiに基づいて各種処理を行う機能と、処理後の操作画面の情報を表示応答電文T’として変換アプリケーションBに返す機能とを有しており、
表示要求電文T,Tiおよび表示応答電文T’は、業務アプリケーションAの操作画面に表示される表示内容が種別情報、位置情報および個別情報によって規定された文字情報である」ことを特徴とするアプリケーション運用システム10用のウェブ化サーバー14である。
【0017】
請求項2に記載した発明は、「非ウェブ開発用言語でプログラミングされた業務アプリケーションAが導入されているアプリケーションサーバー12と、
アプリケーションサーバー12と通信可能に接続されており、変換アプリケーションBおよびウェブサーバとして機能する通信アプリケーションC2が導入されているウェブ化サーバー14と、
ユーザに操作される入力装置48bおよびユーザ操作用の画面を表示する表示モニタ48aを備えており、インターネット網18と接続するウェブブラウザアプリケーションWが導入されているクライアント端末16とからなるアプリケーション運用システム10であって、
ウェブブラウザアプリケーションWは、通信アプリケーションC2に対して、業務アプリケーションAの操作画面を表示するよう求める表示要求S、或いは、業務アプリケーションAの操作画面に入力された情報を付加して次の操作画面を求める表示要求Siを要求する機能と、変換アプリケーションBから返される表示応答S’を解析して表示モニタ48aに画面出力する機能とを有しており、
ウェブサーバーとしての通信アプリケーションC2は、ウェブブラウザアプリケーションWから受け取った表示要求S,Siを変換アプリケーションBに送る機能と、変換アプリケーションBにおいて変換された表示応答S’をウェブブラウザアプリケーションWに返す機能とを有しており、
変換アプリケーションBは、通信アプリケーションC2から受け取った表示要求S,Siを表示要求電文T,Tiに変換して業務アプリケーションAに送る機能と、業務アプリケーションAから返される表示応答電文T’をHTML形式の文字列である表示応答S’に変換して通信アプリケーションC2に返す機能とを有しており、
業務アプリケーションAは、変換アプリケーションBから受け取った表示要求電文T,Tiに基づいて各種処理を行う機能と、処理後の操作画面の情報を表示応答電文T’として変換アプリケーションBに返す機能とを有しており、
表示要求電文T,Tiおよび表示応答電文T’は、業務アプリケーションAの操作画面に表示される表示内容が種別情報、位置情報および個別情報によって規定された文字情報である」ことを特徴とするアプリケーション運用システム10である。
【発明の効果】
【0019】
これらの発明において、業務アプリケーションの演算処理をするために利用される表示要求電文および表示応答電文は、業務アプリケーションの操作画面を構成する全ての表示内容が、種別情報、位置情報および個別情報によって規定された文字情報で構成されているので、非ウェブ開発用言語でプログラムされている業務アプリケーションと、一般的な処理言語でプログラミングされている変換アプリケーションの両方で共通して取り扱うことが可能である。そして、この共通情報を変換アプリケーションにおいて、クライアント端末のウェブブラウザアプリケーションが読み取ることができる情報(HTML形式の文字列である表示応答)に変換することにより、クライアント端末のウェブブラウザアプリケーションWに業務アプリケーションAの操作画面を表示させることが可能となる(換言すれば、ウェブ化とマルチデバイス化を実現できる)。
【0020】
また、操作画面に表示される各表示内容の表示位置は、位置情報によって規定されているので、全てのクライアント端末のウェブブラウザアプリケーションに対して、業務アプリケーションの操作画面を同一のレイアウトで表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明に係るアプリケーション運用システムを示す概念である。
図2】アプリケーションサーバーの構成を示す図である。
図3】ウェブ化サーバーの構成を示す図である。
図4】クライアント端末の構成を示す図である。
図5】ウェブブラウザアプリケーションの操作画面を示す図である。
図6】オブジェクトの文字列の一例を示す図である。
図7】HTMLの一例を示す図である。
図8】業務アプリケーションの操作画面(初期画面)を示す図である。
図9】業務アプリケーションの操作画面に情報を入力した状態を示す図である。
図10】入力情報を含む表示要求Siの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図面に従って説明する。図1は、本発明にかかるアプリケーション運用システム10を示す概念図である。
【0023】
この図が示すように、本発明のアプリケーション運用システム10は、アプリケーションサーバー12に導入されている非ウェブ開発言語で構築された業務アプリケーションAを、ウェブブラウザアプリケーションWが導入されているクライアント端末16からインターネット環境下で操作できるようにしたものであり、図1に示すように、アプリケーションサーバー12、ウェブ化サーバー14、クライアント端末16、およびウェブ化サーバー14とクライアント端末16とを接続するインターネット網18により大略構成されている。
【0024】
アプリケーションサーバー12は、図2に示すように、アプリケーションサーバー用中央処理装置20、アプリケーションサーバー用主記憶装置22、アプリケーションサーバー用補助記憶装置24およびアプリケーションサーバー用通信装置26を備えている。
【0025】
アプリケーションサーバー用中央処理装置20は、アプリケーションサーバー12全体の動きを司るもので、後述するアプリケーションサーバー用主記憶装置22上に一時的に記憶されるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込み、これを解釈・実行することで情報の加工が行われる。例えば、アプリケーションサーバー用補助記憶装置24に導入されている(インストールされ、使用可能な状態となっている)業務アプリケーションA(後述)を実行する際には、業務アプリケーションAのプログラムがアプリケーションサーバー用主記憶装置22に一時記憶され、この一時記憶された業務アプリケーションAのプログラムがアプリケーションサーバー用中央処理装置20によって順に読み込まれ、解釈・実行されることによって業務アプリケーションAが実行されることになる。
【0026】
アプリケーションサーバー用主記憶装置22は、アプリケーションサーバー用補助記憶装置24上にある起動プログラム(例えば、業務アプリケーションAのプログラム)を一時的に記憶する機能を有するものである。
【0027】
アプリケーションサーバー用補助記憶装置24は、各種データを長期的に保存(記憶)するためのハードウェアで、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)といった各種記録媒体が利用される(本実施例では、HDDが採用されている)。
【0028】
本実施例において、アプリケーションサーバー用補助記憶装置24には、アプリケーションサーバー用オペレーティングシステムOS1、業務アプリケーションA、通信アプリケーションC1および各種データDがそれぞれ記憶されている。
【0029】
アプリケーションサーバー用オペレーティングシステムOS1は、アプリケーションサーバー12の基本的な動き(制御機能や演算機能)を司るために導入されるシステムソフトウェアで、タスク管理機能(アプリケーションの起動や終了、切り替え等を行う機能)、ファイル管理機能(各種ファイルの読み込みや書き込みを行う機能)、或いは通信機能といったアプリケーションサーバー12を操作する上で必要な基本的な機能を実行できるようになっている。
【0030】
業務アプリケーションAは、販売・売上管理、在庫管理、あるいは受発注管理といった各種管理業務を行うためのソフトウェアで、ウェブ化サーバー14から受け取った情報(後述する表示要求電文T)に基づいてロジック処理を行い、処理後の操作画面の画面情報を表示応答電文T’(後述)としてウェブ化サーバー14に応答する機能を担っている。
【0031】
業務アプリケーションAでは、例えば、販売・売上管理を行うためのプログラムSMP00、在庫管理を行うためのプログラムSMP01、受発注管理を行うためのプログラムSMP02といった具合に、管理業務の内容によって起動するプログラムがそれぞれ存在しており、ユーザーは、管理業務の内容に応じて起動するプログラムを任意に選択して起動できるようになっている。
【0032】
業務アプリケーションAは、上述したように販売・売上管理、在庫管理あるいは受発注管理といった各種管理業務を行うためのソフトウェアであることから、データ入力等の処理に優れたプログラム言語(本実施例では、非ウェブ開発言語であるIBM社のRPG)によってプログラミングされており、実行されるロジック処理は、「演算命令」と「条件式」とで記述されており、入力装置からの入力受付や画面表示といった「制御命令」が記述されていない点に特徴を有している。
【0033】
業務アプリケーションAでは、操作画面に表示される全ての表示内容(画面情報)が特定の電文形式、具体的には、「種別情報」「位置情報」「個別情報」の各項目を指定することによって記述されている点に特徴を有している(この点は後述する)。
【0034】
通信アプリケーションC1は、後述するウェブ化サーバー14に導入されている変換アプリケーションBから送られてきた情報(表示要求電文T(後述))を業務アプリケーションAに伝達するためのソフトウェアである。
【0035】
データDは、業務アプリケーションAを実行する上で使用される情報であり、その内容としては、例えば、操作画面の画面情報、業務アプリケーションAの実行時にユーザーが入力した入力データ、業務アプリケーションAの演算処理によって得られた処理データなどが挙げられる。各データDは、上述した電文形式に則して記述されている。
【0036】
なお、本実施例では、アプリケーションサーバー用補助記憶装置24にデータDが保存されているが、図示しない外部補助記憶装置を別途用意し、これに各種データDを保存するようにしてもよい。
【0037】
アプリケーションサーバー用通信装置26は、後述するウェブ化サーバー14との間で情報の送受信を行うために設けられるハードウェアであり、上述した通信アプリケーションC1によって、業務アプリケーションAとウェブ化サーバー14の変換アプリケーションBとの間で情報(表示要求電文T、表示応答電文T’)のやり取りが行われる。
【0038】
ウェブ化サーバー14は、図3に示すように、ウェブ化サーバー用中央処理装置32、ウェブ化サーバー用主記憶装置34、ウェブ化サーバー用補助記憶装置36およびウェブ化サーバー用通信装置38を備えている。
【0039】
ウェブ化サーバー用中央処理装置32は、ウェブ化サーバー14全体の動きを司るもので、ウェブ化サーバー用主記憶装置34に一時的に記憶されるプログラム(命令列)を順に読み込み、解釈実行することで情報の加工が行われる。
【0040】
ウェブ化サーバー用主記憶装置34は、ウェブ化サーバー用補助記憶装置36上にある起動プログラムを一時的に記憶する機能を有するもので、この一時的に記憶されるプログラムが上述のウェブ化サーバー用中央処理装置32に読み込まれることでプログラムが実行される。
【0041】
ウェブ化サーバー用補助記憶装置36は、各種データを長期的に記憶(保存)するためのハードウェアで、本実施例では、ウェブ化サーバー用オペレーティングシステムOS2、変換アプリケーションBおよび通信アプリケーションC2が記憶されている。
【0042】
ウェブ化サーバー用オペレーティングシステムOS2は、ウェブ化サーバー14の基本的な動きを司るために導入されるシステムソフトウェアであり、その機能については、上述したアプリケーションサーバー用オペレーティングシステムOS1と同様であり、後述するウェブ化サーバー用主記憶装置34上に一時的に記憶されるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込み、これを解釈・実行することで情報の加工が行われる。
【0043】
通信アプリケーションC2は、後述するクライアント端末16から受け取った情報(表示要求S)をウェブ化サーバー14の変換アプリケーションBに伝達する機能と、変換アプリケーションBから受け取った情報(表示応答S’)をクライアント端末16に返す機能とを有するソフトウェアである。通信アプリケーションC2は、後述するクライアント端末16のウェブブラウザアプリケーションWから、業務アプリケーションAの操作画面(ウェブページ)への表示要求Sがあったときに、対応する画面情報(表示応答S’)を返す「ウェブサーバー」としての機能を有している。
【0044】
変換アプリケーションBは、通信アプリケーションC2から受け取った情報(表示要求S)を、業務アプリケーションAで使用されている電文形式の情報(表示要求電文T)に変換し、該電文形式の情報(表示要求電文T)をアプリケーションサーバー12の業務アプリケーションAに伝達する機能と、業務アプリケーションAにおいて処理された電文形式の処理結果情報(表示応答電文T’)を受け取ってHTML形式のテキスト情報に変換し、これをクライアント端末16に返す機能とを有するソフトウェアである。
【0045】
ウェブ化サーバー用通信装置38は、アプリケーションサーバー12やインターネット網18との間で情報の送受信を行うために設けられるハードウェアであり、上述した通信アプリケーションC2や変換アプリケーションBによって、アプリケーションサーバー12やクライアント端末16との間での各情報(表示要求S、表示応答S’、表示要求電文T、表示応答電文T’)のやり取りが行われる。
【0046】
クライアント端末16は、アプリケーションサーバー12に導入されている業務アプリケーションAを操作するための操作用端末として使用されるものである。クライアント端末16の具体例としては、ノート型パソコン16aやタブレット端末16bなどが挙げられる。
【0047】
クライアント端末16の基本的な設計は、アプリケーションサーバー12やウェブ化サーバー14と同様であり、図4に示すように、クライアント端末用中央処理装置40、クライアント端末用主記憶装置42、クライアント端末用補助記憶装置44、クライアント端末用通信装置46および入出力装置48を備えている。
【0048】
クライアント端末用中央処理装置40は、クライアント端末16全体の動きを司るもので、後述するクライアント端末用主記憶装置42に一時的に記憶されるプログラム(命令列)を順に読み込み、解釈実行することで情報の加工が行われる。
【0049】
クライアント端末用主記憶装置42は、クライアント端末用補助記憶装置44上にある起動プログラムを一時的に記憶する機能を有するもので、この一時的に記憶されるプログラムをクライアント端末用中央処理装置40が読み込むことでプログラムが実行される。
【0050】
クライアント端末用補助記憶装置44は、各種データを保存するためのハードウェアで、本実施例では、クライアント端末用オペレーティングシステムOS3およびウェブブラウザアプリケーションWが記憶されている。
【0051】
クライアント端末用オペレーティングシステムOS3は、クライアント端末16の基本的な動きを司るために導入されるシステムソフトウェアであり、その機能については、上述したアプリケーションサーバー用オペレーティングシステムOS1やウェブ化サーバー用オペレーティングシステムOS2と同様であり、後述するクライアント端末用主記憶装置42上に一時的に記憶されるプログラムと呼ばれる命令列を順に読み込み、これを解釈・実行することで情報の加工が行われる。
【0052】
ウェブブラウザアプリケーションWは、ウェブページを表示するための汎用ソフトウェアであり、インターネット網18上のウェブサーバー(本実施例ではウェブ化サーバー14の通信アプリケーションC2がこれに該当する)にアクセスしてウェブページを表示するための情報(表示応答S’)を取得し、取得した情報に応じて文字や画像などを適切に配置し、描画する機能を有する。ウェブブラウザアプリケーションWの一例としては、例えば、GoogleChrome(登録商標)やSafali(登録商標)等が知られている。
【0053】
クライアント端末用通信装置46は、インターネット網18を介してウェブ化サーバー14との間で情報の送受信を行うために設けられるハードウェアであり、ウェブブラウザアプリケーションWの働きによってウェブ化サーバー14との間で情報(表示要求S、表示応答S’)のやり取りが行われる。
【0054】
入出力装置48は、業務アプリケーションAを操作するために必要な情報(文字や数字等)を入力したり、業務アプリケーションAの操作画面を表示するためのハードウェアであり、表示モニタ48aと入力装置48bとを有する。なお、クライアント端末16がノート型パソコン16aの場合、外部キーボードが入力装置48bに該当し、タブレット端末16bの場合、表示モニタ48aに表示されたソフトウェアキーボードが入力装置48bに該当する。
【0055】
以上のように構成されているアプリケーション運用システム10を用いて、アプリケーションサーバー12に導入されている業務アプリケーションAを、クライアント端末16から操作する方法について説明する。最初に、クライアント端末16(ここではノート型パソコン16aを例に取り上げる)の表示モニタ48aに業務アプリケーションAの操作画面(初期画面)を表示させる方法について説明し、然る後、業務アプリケーションAを実際に操作する方法について説明する。
【0056】
[業務アプリケーションAの初期画面の表示]
クライアント端末16(ノート型パソコン16a)の電源をオンにして使用可能な状態とし、ウェブブラウザアプリケーションWを起動させる。ウェブブラウザアプリケーションWが起動すると、クライアント端末16の表示モニタ48aには、ウェブブラウザアプリケーションWの操作画面56が表示される(図5参照)。
【0057】
ウェブブラウザアプリケーションWの操作画面56には、その画面上部にアドレスバー56aや更新ボタン56b等が設けられている(これらはウェブブラウザアプリケーションWの種類を問わず共通して設けられている)。アドレスバー56aには、業務アプリケーションAにアクセスするためのURLがドメイン名(本実施例では、http://abc.co.jp/SMP00)で入力され、更新ボタン56bがクリックされる。
【0058】
更新ボタン56bがクリックされると、ウェブブラウザアプリケーションWは、アドレスバー56aに入力されたドメイン名(ここでは「abc.co.jp」が該当する)を手掛かりに、対応するドメインを管理しているウェブサーバー(ここでは、ウェブ化サーバー14の通信アプリケーションC2)をインターネット網18から探し出してアクセスし、ウェブサーバーとしての通信アプリケーションC2に対して、業務アプリケーションAの操作画面のページ情報(画面情報)を要求する。業務アプリケーションAを最初に起動する段階では、業務アプリケーションAのプログラムSMP00の初期画面の情報が画面情報として要求されることになる。
【0059】
なお、本明細書において、ウェブブラウザアプリケーションWが通信アプリケーションC2に対して画面情報を要求することを「表示要求S」と呼ぶ。
【0060】
通信アプリケーションC2がウェブブラウザアプリケーションWからの「表示要求S」を受け取ると、この「表示要求S」がそのまま変換アプリケーションBに伝達される。
【0061】
変換アプリケーションBでは、通信アプリケーションC2から受け取った「表示要求S」が「表示要求電文T」に変換され、変換された「表示要求電文T」がアプリケーションサーバー12の通信アプリケーションC1を介して業務アプリケーションAに送られる。
【0062】
ここで、「表示要求電文T」とは、「表示要求S」をアプリケーションサーバー12で使用されている電文形式に則って記載したものである。
【0063】
アプリケーションサーバー12の業務アプリケーションAが、変換アプリケーションBから「表示要求電文T」を受け取ると、「表示要求電文T」に対応する操作画面の画面情報が「表示応答電文T’」としてウェブ化サーバー14の変換アプリケーションBに返却される。ここでは、業務アプリケーションAのプログラムSMP00の初期画面の画面情報が「表示応答電文T’」としてウェブ化サーバー14の変換アプリケーションBに返されることになる。
【0064】
ここで「表示応答電文T’」についてさらに説明すると、「表示応答電文T’」は、業務アプリケーションAの操作画面の画面情報を、アプリケーションサーバ-12で使用されている電文形式に則った文字列(テキストデータ)として記載したものである。
【0065】
例えば、業務アプリケーションAの操作画面に、3つのオブジェクト(オブジェクト1~オブジェクト3)が表示されている場合、「表示応答電文T’」には、「オブジェクト1の文字列、オブジェクト2の文字列、オブジェクト3の文字列」といった具合に、各オブジェクトを、アプリケーションサーバー12で使用されている電文形式に則った文字列で記載したものが、1行にまとめられて記載されることになる。
【0066】
各オブジェクトは、例えば、図6に示すように「種別情報」「位置情報」「個別情報」の3つの項目に分けて規定され、各項目がさらに要素に分けて規定される。各要素は、半角英数文字や全角文字或いは記号で表され、要素と要素との間には区切り文字が挿入される。これにより、各オブジェクトが文字列として記載されることになる。
【0067】
各項目とその要素について説明すると、「種別情報」は、表示内容(オブジェクト)の種別を規定する項目で、例えば、文字や数字或いは記号(以下、「文字等」という)の入力を行う「入力フィールド」であれば「01」、所定の動作のトリガーとなる「ボタン」であれば「02」、いくつかあるオプションから複数の項目を選択するのに使用する「チェックボックス」であれば「03」、いくつかある選択肢から1つの項目を選択するのに使用する「ラジオボタン」であれば「04」、画面に表示されている内容に関する情報を表示する「ラベル」であれば「05」といった具合に、種別毎に付与された固有番号が要素として規定されている。
【0068】
「位置情報」は、オブジェクトを操作画面のどの位置にどれぐらいの大きさで表示するか、その位置と大きさを規定する項目で、ここでは、各オブジェクトの(X座標、Y座標、幅、高さ)が要素として規定されている。
【0069】
「個別情報」は、表示内容(オブジェクト)の具体的な情報を規定する項目で、ここでは(連番、ID、フィールド、桁数、書式)が要素として規定されている。各要素について簡単に説明すると、「連番」は、各オブジェクトに付与された通し番号であり、「ID」は、操作画面に表示されている複数のオブジェクトの中から目的のオブジェクトを特定するために付与される識別子である。「フィールド」は、オブジェクトに入力される文字(テキスト)の種別を指定するもので、例えば、半角数字だけが入力できるよう指定する場合は「1」、半角英数字を入力できるよう指定する場合は「2」、全角文字を入力できるよう指定する場合は「3」といった具合に、各オブジェクトに入力できる文字の種別が要素として規定される。「桁数」は、入力可能なオブジェクトの文字数を規定するものである。「書式」は、入力されたオブジェクトの体裁を規定するためのもので、本実施例では(文字フォント、文字の大きさ、文字の書体、文字の整形)が要素として規定されている。文字の書体については、例えば太字であれば「1」、イタリックであれば「2」といった具合に、各書体毎の固有番号が要素として規定されている。文字の整形については、例えば左詰めで表示であれば「1」、中央揃えであれば「2」、右詰めであれば「3」といった具合に、各整形毎の固有番号が要素として規定されている。
【0070】
表示応答電文T’を構成している各項目(種別情報、位置情報、個別情報))の記載順は、業務アプリケーションAの仕様(業務アプリケーションAにおいて読み込む順番が定められている)に準じている。本実施例では、「種別情報」「位置情報」「個別情報」の順で並んでいるが、例えば、業務アプリケーションAにおいて、表示応答電文T’の各項目を「個別情報」「種別情報」「位置情報」の順に読み込んで処理するようプログラムされている場合は、表示応答電文T’もその仕様に準じて「個別情報」「種別情報」「位置情報」の順に記載されることになる。
【0071】
要素を区切る「区切り文字」は、コンマやスペースなど、区切り文字として一般的に使用されているものを任意に選択できるが、本実施例では、処理のしやすさの観点からタブ文字が採用されている(コンマやスペースは、要素として使用される可能性があり、その場合、表示応答電文T’中のコンマやスペースが、区切り文字なのか要素なのかの判別がつかなくなるという問題が生じる)。
【0072】
以上を踏まえると、図6には、「幅100、高さ20の大きさの入力フィールドを左から60、上から10の位置に表示する。入力フィールドの桁数は40で、ID番号G1001として指定されている入力情報を、ゴシック体、イタリック、左詰めの書式で表示する」という内容がアプリケーションサーバー12の電文形式で記載されていることになる。
【0073】
そして、業務アプリケーションAの操作画面に表示される全てのオブジェクトが、上記と同様の手法にて順次文字列に変換され、これらが、「表示応答電文T’」として1行の文字列にまとめられ、ウェブ化サーバー14の変換アプリケーションBに送られることになる。
【0074】
ウェブ化サーバー14の変換アプリケーションBが「表示応答電文T’」を受け取ると、変換アプリケーションBでは、これらがHTML形式の文字列に自動変換され、1行の文字列にまとめられる。そして、この1行にまとめられたHTML形式の文字列が「表示要求Si」としてクライアント端末16のウェブブラウザアプリケーションWに返される。
【0075】
HTMLとは、ウェブページを表示するために使用される汎用のプログラミング言語であり、図7に示すように、ウェブページに表示される各要素(表示内容)をタグと呼ばれる記号(“<”,“>”)で括るという規則に従ってウェブページの操作画面が規定されている。
【0076】
つまり、変換アプリケーションBでは、英数字で表現された表示内容(表示応答電文T’)が、タグで括られたHTML形式の文字列に変換され、これが「表示応答S’」としてウェブブラウザアプリケーションWに返されるということになる。なお、図7では、説明の便宜上、タグ間に改行が設けられて複数行で表示されているが、「表示応答S’」は、このような改行を含まない1行にまとめられた文字列として記載されている。
【0077】
クライアント端末16のウェブブラウザアプリケーションWでは、変換アプリケーションBから受け取ったHTML形式の文字列である「表示応答S’」の内容を解釈し、その内容に従って表示モニタ48aに表示する(図8参照)。これにより、クライアント端末16(ノート型パソコン16a)の表示モニタ48aには、業務アプリケーションAの操作画面(初期画面)58が表示されることになる(図8)。
【0078】
図8に示す業務アプリケーションA(プログラムSMP00)の操作画面(初期画面)58には、第1の入力欄60、第2の入力欄62および確定ボタン64が表示されている。第1の入力欄60の左横には「社名」とラベル表示されており、第2の入力欄62の左横には「TEL」とラベル表示されている。
【0079】
[情報入力とその処理]
次に、業務アプリケーションAの操作画面(初期画面)58に各種情報を入力する場合の手順について説明する。
【0080】
第1の入力欄60には、ユーザーによって会社名(図9では「イロハ株式会社」)が入力され、第2の入力欄62には、電話番号(図9では「012-345-6789」)が入力され、最後に登録ボタン64がクリックされる。
【0081】
すると、ウェブブラウザアプリケーションWは、上述同様、ウェブ化サーバー14のウェブサーバー(通信アプリケーションC2)に対して、次の操作画面を表示することを求める「表示要求S」を送ることになるが、このとき上述した初期画面を要求する場合と異なるのは、「表示要求S」には、ユーザーが入力した情報(各入力欄60,62に入力した情報)が付加されるという点である。なお、ユーザーの入力情報を含む「表示要求S」を「表示要求Si」と記載する。入力情報を含む「表示要求Si」の具体例としては、例えば図10のようなものである。
【0082】
図10の内容について簡単に説明すると、第1の入力欄60(個別情報のID=G1001で特定される)には、「イロハ株式会社」が入力され、第2の入力欄62(ID=G1002で特定される)には、「012-345-6789」が入力されたという情報が付加されていることを示している。
【0083】
「表示要求Si」は、上述同様、クライアント端末16からインターネット網18を経由してウェブ化サーバー14の変換アプリケーションBに送られる。
【0084】
表示要求Siを受け取った変換アプリケーションBは、これを表示要求電文Tiに変換し、表示要求電文Tiをアプリケーションサーバー12に送る。
【0085】
表示要求電文Tiを受け取ったアプリケーションサーバー12では、業務アプリケーションAが表示要求電文Tiに付加されている入力情報を元に処理を実行し、処理後の操作画面の画面情報を表示応答電文T’として変換アプリケーションBに応答する。
【0086】
変換アプリケーションBでは、上述同様、表示応答電文T’をHTMLドキュメントに自動変換し、変換されたHTML形式の文字列を「表示応答S’」としてクライアント端末16のウェブブラウザアプリケーションWに返す。これにより、クライアント端末16(16a)の表示モニタ48aには、処理後の操作画面(ここでは、図8に示す新たな操作画面58)が表示される。
【0087】
そして、ユーザーは、次の情報入力作業を行い、入力情報を含む「表示要求Si」がクライアント端末16からウェブ化サーバー14に送られ、ウェブ化サーバー14で入力情報を含む「表示要求電文Ti」に変換され、アプリケーションサーバー12で処理が行われた後、処理後の画面情報が「表示応答電文T’」としてウェブ化サーバー14に返され、ウェブ化サーバー14でHTML変換が行われて「表示応答S’」に変換され、クライアント端末16の表示モニタ48aに新たな操作画面が表示されるといった動作が繰り返される。
【0088】
以上のように、本実施例のアプリケーション運用システム10によれば、ウェブ化サーバー14を導入するだけで、非ウェブ開発言語でプログラミングされた業務アプリケーションAが導入されているアプリケーションサーバーAのウェブ化とマルチデバイス化の両方を実現できる。
【0089】
操作画面に表示される各表示内容(オブジェクト)は、その表示位置が位置情報によって規定されているので、クライアント端末16の使用環境に関わらず、全てのウェブブラウザアプリケーションWに対して、業務アプリケーションAの操作画面を同一のレイアウトで表示させることができる。
【符号の説明】
【0090】
10:アプリケーション運用システム、12:アプリケーションサーバー、14:ウェブ化サーバー、16:クライアント端末、16a:ノート型パソコン、16b:タブレット端末、18:インターネット網、20:アプリケーションサーバー用中央処理装置、22:アプリケーションサーバー用主記憶装置、24:アプリケーションサーバー用補助記憶装置、26:アプリケーションサーバー用通信装置、32:ウェブ化サーバー用中央処理装置、34:ウェブ化サーバー用主記憶装置、36:ウェブ化サーバー用補助記憶装置、38:ウェブ化サーバー用通信装置、40:クライアント端末用中央処理装置、42:クライアント端末用主記憶装置、44:クライアント端末用補助記憶装置、46:クライアント端末用通信装置、48:入出力装置、48a:表示モニタ、48b:入力装置、A:業務アプリケーション、B:変換アプリケーション、C1:通信アプリケーション、C2:通信アプリケーション、D:データ、OS1:アプリケーションサーバー用オペレーティングシステム、OS2:ウェブ化サーバー用オペレーティングシステム、OS3:クライアント端末用オペレーティングシステム、Si:表示要求、S’:表示応答、T,Ti:表示要求電文、T’:表示応答電文、W:ウェブブラウザアプリケーション

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10