(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】液体塗布具
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20221214BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20221214BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
A61M37/00 514
A45D34/04 555
(21)【出願番号】P 2021562933
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 JP2021008004
(87)【国際公開番号】W WO2021177318
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2020035332
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514277260
【氏名又は名称】シンクランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】宮地 邦男
(72)【発明者】
【氏名】及川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 義浩
(72)【発明者】
【氏名】日隈 薫
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-087562(JP,A)
【文献】特表2017-537690(JP,A)
【文献】特表2018-534018(JP,A)
【文献】特開2013-188613(JP,A)
【文献】特開2005-118409(JP,A)
【文献】特表2020-501681(JP,A)
【文献】実開平06-029532(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
A61M 37/00
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の軸部と、
前記軸部の外側に形成され、物理的に移動させるスイッチ機構と、
前記軸部の内側に形成され、液体を収納する液体収納部と、
前記軸部の長手方向の端部又は端部近傍に設けられ、複数の微小突起
のうち、1以上の微小突起に貫通孔が形成された吐出部と、
前記スイッチ機構に連動して定量の液体を前記吐出部から吐出する定量吐出機構とを有し、
前記複数の微小突起は、
円錐台の先端に円柱が重ねられた形状を有することにより、前記複数の微小突起の形成された平面部と平行な先端平面が形成されており、先端平面の直径は、根元部の直径の1/10~1/3である
ことを特徴とする液体塗布具。
【請求項2】
前記貫通孔の形成された微小突起の裏面には、
前記貫通孔と接続する凹部である裏穴が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体塗布具。
【請求項3】
前記裏穴は、
円錐台形状の円錐台部と、前記円錐台部の先細部分に接続する円筒形状の裏穴先端部とを有し、前記裏穴先端部と前記貫通孔とが接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の液体塗布具。
【請求項4】
前記液体は、
化粧品である
ことを特徴とする請求項2~請求項4のいずれかに記載の液体塗布具。
【請求項5】
前記微小突起は、
前記平面部からの高さが100~300μmである
ことを特徴とする請求項5に記載の液体塗布具。
【請求項6】
前記複数の微小突起は、
前記微小突起同士が互いに同じ間隔で配列されている
ことを特徴とする請求項10に記載の液体塗布具。
【請求項7】
前記微小突起は、
前記平面部からの高さが100~300μmであり、
前記微小突起同士の間隔は、
前記微小突起の根本直径よりも大きい
ことを特徴とする請求項11に記載の液体塗布具。
【請求項8】
前記孔あり突起は、
前記微小突起の形成された突起領域の端を結んだ端円に対して、直径が1/4~3/4の中間領域に離散して配置されている
ことを特徴とする請求項11に記載の液体塗布具。
【請求項9】
前記孔あり突起1に対して、3~20本の孔なし突起が形成されている
ことを特徴とする請求項13に記載の液体塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療又は美容用途の液体を皮膚などの被塗布対象に対して塗布するのに使用される液体塗布具に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、化粧水や美容液などの液体の化粧品を塗布する際には、コットンや塗布用のシートに予め化粧品を含ませた状態で顔の皮膚などに付着させて塗布するのが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかる操作を行うためには、塗布用シートをまず手に載せ、その状態で該塗布用シートに量を調整しながら化粧水等の液体を垂らし、指で塗布用シートを挟んで顔の皮膚に塗布するといった一連の操作が必要となる。
【0005】
また、直接液体を皮膚に塗布する場合であっても、一旦掌に適量の液体を垂らし、液体がこぼれ落ちないように掌に液体を一旦広げてから液体を指に付着させ、付着させた液体を皮膚に塗布する必要があった。すなわち、液体を皮膚に塗布するのは操作ステップが多く煩雑であるという問題があった。
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の液体塗布具は、
筒状の軸部と、
前記軸部の外側に形成され、物理的に移動させるスイッチ機構と、
前記軸部の内側に形成され、液体を収納する液体収納部と、
前記軸部の長手方向の端部又は端部近傍に設けられ、複数の微小突起のうち、1以上の微小突起に貫通孔が形成された吐出部と、
前記スイッチ機構に連動して定量の液体を前記吐出部から吐出する定量吐出機構とを有し、
前記複数の微小突起は、円錐台の先端に円柱が重ねられた形状を有することにより、前記複数の微小突起の形成された平面部と平行な先端平面が形成されており、先端平面の直径は、根元部の直径の1/10~1/3であることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため、本発明の液体塗布具は、
筒状の軸部と、
前記軸部の外側に形成され、物理的に移動させるスイッチ機構と、
前記軸部の内側に形成され、液体を収納する液体収納部と、
前記軸部の長手方向の端部又は端部近傍に設けられ、複数の微小突起及び複数の貫通孔が形成された吐出部と、
前記スイッチ機構に連動して定量の液体を前記吐出部から吐出する定量吐出機構とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、簡易な操作で皮膚等の被塗布対象に液体を塗布可能な液体塗布具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態における液体塗布具の構成(1)を示す概略図である。
【
図2】第1の実施の形態における液体塗布具の構成(2)を示す概略図である。
【
図3】第2の実施の形態における液体塗布具の構成を示す概略図である。
【
図4】他の実施の形態における液体塗布具の構成を示す概略図である。
【
図5】第3の実施の形態における液体塗布具の構成を示す概略図である。
【
図6】第3の実施の形態における吐出部の構成(1)を示す概略図である。
【
図7】第3の実施の形態における吐出部の構成(2)を示す概略図である。
【
図8】第3のの実施の形態における吐出部のa-a’断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、全体として本発明の液体塗布具1を示している。液体塗布具1は、全体として筆記具のような細長い円筒形状を有している。液体塗布具1は、軸本体部2の長手方向(軸方向)における根元側にスイッチ機構3を、先端側に吐出部4を有している。
【0012】
図2(A)に示すように、軸本体部2は、内部に液体充填部5と定量吐出部6とを有している。液体充填部5は、塗布される液体である塗布液LQが充填されている。液体充填部5は、カートリッジなどの交換式であっても良く、交換不能な使い切りタイプであっても良い。この液体充填部5は、例えば1~30μl程度の塗布液LQを収納することが可能である。
【0013】
液体充填部5に充填される塗布液LQとしては、特に限定されないが、人体若しくは動物の皮膚などの被塗布対象に対して塗布されることが想定されているため、化粧水や美容液などの化粧用途や皮膚に対する医療用途の薬剤、若しくは頭髪保護剤や育毛剤などの頭髪用薬剤、などが主に挙げられる。
【0014】
定量吐出部6は、スイッチ機構3に対するユーザの操作に応じて、液体充填部5の塗布液LQを吐出部4から定量吐出させる機構である。すなわち、ユーザがスイッチ機構3を1回操作(押下又はスライド)させると、液体充填部5の塗布液LQが定量だけ吐出部4へ供給される。
【0015】
吐出部4の先端表面4Aには、複数の微小突起11が形成されている。微小突起11は、縦×横=5×5の25本形成されており、互いに同じ間隔で正方形状に配列されている。
図2(B)に示すように、微小突起11には、微小突起11の先端11Aから先端裏面4Bまでを貫通する貫通孔12が形成されており、
【0016】
吐出部4は、液体充填部5から先端裏面4Bに供給される塗布液LQが先端表面4Aに形成された微小突起11の先端11Aを介してから吐出する。微小突起の高さ(先端表面4Aから先端11Aまでの高さ)は製造の容易性及び安全性の観点から、50~900μm、さらには100~300μm程度であることが好ましい。
【0017】
貫通孔12は、微小突起11の中心軸を中心に又は中心軸からオフセットされた位置に形成されており、貫通孔12の中心軸が微小突起11の先端11Aまたは先端近傍(中心軸が微小突起11の高さの1/2より先端側)に位置している。貫通孔12の形状に制限は無く、例えば全体的にほぼ同じサイズ(すなわち円柱状や角柱状などの柱形状に)形成されても良く、根元へいくほど大きくなるように(すなわち円錐状や三角錐状などの錐形状に)形成されていても良い。
【0018】
貫通孔12の大きさに制限はないが、微小突起11の強度及び塗布液LQの通過液量を確保するため、最も細い部分の直径が好ましくは微小突起11の直径の1/20~1/2程度、特に好ましくは1/10~1/3程度である。具体的には、微小突起11の根元部分の直径は100~900μm程度、200~600μm程度であることが好ましい。また貫通孔の根元部分から先端部分までの平均直径は、10~200μm、さらには20~100μmに形成されることが好ましい。
【0019】
また、先端裏面4Bに隣接して、塗布液充填空間13が形成されている。定量吐出部6は、液体充填部5から供給される塗布液LQを塗布液充填空間13に供給し、貫通孔12を通過させて塗布液を吐出部4から吐出させる。
【0020】
なお微小突起11の本数に制限は無く任意の数にすることができる。また、微小突起11の配置の仕方に制限は無く、規則正しく配置したり、ランダムに配置したり、自由に配置することができる。例えば円形に配置させたり、楕円形や多角形状に配置することも可能である。
【0021】
従って、
図2(C)に示すように、ユーザによるスイッチ機構3の操作に応じて、貫通孔12の先端12Aから一定量の塗布液LQが吐出される。このとき、複数の貫通孔12から分散した状態で塗布液LQが吐出されると共に、塗布液LQの表面張力によって微小突起11よって塗布液LQがトラップされるため、液だれが生じにくくなる。
【0022】
なお、塗布液LQの1回当たりの吐出量は、塗布液LQの性質に応じて決定されるが、例えば1~100μl、より好ましくは3~30μlである。1回当たりの吐出量が少なすぎると多数回の操作が必要となる一方、多すぎると液だれの可能性が高まるからである。
【0023】
塗布液LQの粘度に制限はないが、低粘度の液体を塗布液LQとして使用することにより、本発明の液体塗布具1の効果を適切に発揮することができる。低粘度の液体とは、60rpmにおける粘度(L型粘度計/25℃)が、150mPa・s以下、さらには80mPa・s以下であることが好ましい。同様に、チキソ性が小さく、6rpm/60rpm=3.0以下、さらには2.0以下であることが好ましい。高粘度の液体又は半液体(ジェル)は、そもそもユーザがそのまま手にとって塗布したりでき、塗布に格別の困難性を有しないからである。
【0024】
従ってユーザは、適量の塗布液LQを好みの箇所にある程度広げた状態で等の被塗布対象に対して吐出して浸透させることができるため、後はゆっくりと被塗布対象に対して塗布液LQを塗り込んだり、広げたりすることにより、簡易な操作で被塗布対象に対して塗布液LQを浸透させることができる。
【0025】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について、
図3を用いて説明する。第2の実施の形態では、頭皮に対して塗布液LQを塗布することが想定されている点が第1の実施の形態とは相違している。なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同一箇所に同一符号を、対応する箇所に100を加算した符号を附し、同一箇所についての説明を省略する。
【0026】
液体塗布具101における微小突起111は、櫛やブラシと同様、毛髪間に入り込んでその先端を頭皮近傍まで近づけた状態で使用される。従って、液体塗布具101において、吐出部104に形成された微小突起111の高さは、第1の実施の形態よりも大きく設計されており、例えば約800μmである。また、微小突起111は、約70本程度形成されており、円形に配列されている。
【0027】
日本人の毛髪の平均直径が80μm、欧米人の毛髪の平均直径が50μmであることから、微小突起111間の中心間距離であるピッチが、好ましくは微小突起111の根元の直径+50μm以上、さらには+80μm以上に形成されることにより、微小突起111間に毛髪を挟み込む効果を得ることができる。
【0028】
言い換えると、微小突起111間の根元部分における離隔距離は少なくとも50μm以上、さらには80μm以上であることが好ましい。また、多くの微小突起111を効率良く配置するため、微小突起111間の根元部分における離隔距離は500μm以下、さらには300μm以下であることが好ましい。
【0029】
液体塗布具101では、微小突起111が形成されている突起領域の外側に、ガード部114が形成されている。ガード部114は、吐出部104の先端表面104Aから約600μmの高さまで形成された壁、若しくは棒状部材であり、先端表面104Aからの高さは微小突起111よりも100~500μm、例えば約200μmだけ小さく形成されている。言い換えると、微小突起111は、ガード部114の先端より200μmだけ突出している。
【0030】
従って、ユーザが液体塗布具101の吐出部104を頭皮に対して接触させると、
図3(C)に示すように、微小突起111間の間隙に毛髪が入り込み、微小突起111の先端111Aを頭皮近傍に配置させることができる。この状態でユーザがスイッチ機構3を操作すると、被塗布対象である頭皮に対して直接的に液体を塗布することが可能となる。
【0031】
また、ガード部114の存在により、微小突起111が誤って頭皮に刺さってしまうことを防止でき、毛髪量が少ない領域に対しても安全性を担保することができる。
【0032】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について、
図5~
図8を用いて説明する。第3の実施の形態では、微小突起の形状と、微小突起として孔あり突起211と、孔なし突起221とを有する点が第1の実施の形態とは相違している。なお、第3の実施の形態においては、第1の実施の形態と同一箇所に同一符号を、対応する箇所に200を加算した符号を附し、同一箇所についての説明を省略する。
【0033】
図5及び
図6に示すように、液体塗布具101の吐出部204は、交換可能なキャップである。吐出部204の先端面204Aには、微小突起が合計46個形成されている。この微小突起のうち、42個は貫通孔の形成されていない孔なし突起221であり、4個は貫通孔212の形成された孔あり突起である。すなわち、孔あり突起1に対し、孔なし突起が10.5本形成されている。
【0034】
この比率に制限はないが、好ましくは孔あり突起1に対して3~20本の孔なし突起が形成されることが好ましい。孔なし突起が多すぎると塗布液LQが微小突起間に行き渡らなくなり、少なすぎると塗布液の保持力が低下するからである。
【0035】
図7に示すように、孔あり突起212は、微小突起の外側の根元端部を繋げた突起領域を示す突起領域外円の突起外縁直径DL(約7.5mm)を「1」としたとき、直径が「1/4~3/4」の中間領域MA(斜線で示す)に孔あり突起212の中心が入るように散りばめて配置されている。これにより、貫通孔212から吐出される塗布液LQを吐出部204の突起領域に満遍なく広げることができる。また、直径が「1/2~3/4」の中間外側領域MAo、すなわち直径の半分より少し外側に、面積の大きくなる外側に寄せて配置することで塗布液LQを内側及び外側とで均一に広げることができる。
【0036】
また、微小突起は中心間距離L3が1mmずつ離間するように配置されており、211間は紙面横方向のL1=3.2mm、縦方向のL2=3.0mm離間して配置されている。
【0037】
また、微小突起(孔あり突起211と、孔なし突起221)の先端部分には、平坦部204Aと平行な平面である先端平面211A及び221Aが形成されている。これにより、皮膚に刺さりにくくすると共に、平面で滑りを生じさせることができ、安全性と塗布性とを向上させることができる。先端平面211A及び221Aの直径に制限はないが、微小突起における根元部の直径の1/10~1/3、より好ましくは1/8~1/4に形成されることが好ましい。先端平面211A及び221Aが小さすぎると十分な安全性及び塗布性が得られず、大きすぎると皮膚に対する刺激性が低減するため、好ましくない。
【0038】
ここで、
図8に示すように、裏穴16は、裏面13B側から円錐台形を有する裏穴台部16A及び円筒形状を有する裏穴先端部16Bとを有している。裏穴台部16Aの先端(最細径)部分と、裏穴先端部16Bの直径とは同一である。裏穴先端部16Bの直径D2は、針山14の根元の直径D1よりも小さくかつ貫通孔17の直径よりも大きく形成されている。裏穴台部16Aの底辺(最太径)部分は、根元の直径D1よりも大きく形成されている。
【0039】
これにより、針山14のある部分にのみ裏穴先端部16Bが配置されるため、裏穴16の深さT3を極力大きくすると共に、裏穴16によって生じる強度低下を抑制することができる。また、裏穴16が単に円筒形状に形成される場合と比して、射出形成の剥離性を向上させることができる。さらに、裏穴台部16Aの形状により、貫通孔17が形成された、もしくはこれから形成される針山14の視認性を高めることができ、製造工程や品質管理において活用することが可能となる。
【0040】
例えば、基材部15の厚さT1=0.5mm、針山14の高さT2=0.2mm、裏穴16の深さT3=0.37mm、針山14の根元の直径D1=0.3mm、裏穴先端部16Bの直径D2=0.15mm、裏穴台部16Aの底辺直径D3=0.55mm、貫通孔17の直径0.03mmであり、。また、貫通孔17の延長線上に裏穴16の中心軸が位置している。貫通孔17の合計面積は11304平方μmであり、塗布液LQの1回当たりの想定吐出量が6μlである。
【0041】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0042】
以上の構成によれば、本発明の液体塗布具(液体塗布具1)は、
筒状の軸部(軸本体部2)と、
前記軸部の外側に形成され、物理的に移動させるスイッチ機構(スイッチ機構3)と、
前記軸部の内側に形成され、液体を収納する液体収納部(液体充填部5)と、
前記軸部の長手方向の端部又は端部近傍に設けられ、複数の微小突起(微小突起11)及び複数の貫通孔(貫通孔12)が形成された吐出部(吐出部4)と、
前記スイッチ機構に連動して定量の液体を前記吐出部から吐出する定量吐出機構(定量吐出部6)とを有することを特徴とする。
【0043】
これにより、液体塗布具は、互いに離隔した小径の貫通孔から定量の液体を少量ずつ吐出できると共に、微小突起によって液体をトラップすることができるため、液だれを生じさせることなく、被塗布対象に液体を付着させることができる。
【0044】
本発明の液体塗布具において、
前記微小突起は、
平面部(先端表面4A)からの高さが100~900μmであることを特徴とする。
【0045】
これにより、液体塗布具は、微小突起の液体をトラップする効果と、製造の容易性の双方を担保することができる。。
【0046】
本発明の液体塗布具において、
前記微小突起は、
微小突起間の離隔距離が500μm以下であることを特徴とする。
【0047】
これにより、液体塗布具は、液体をトラップする効果を存分に発揮することができる。
【0048】
本発明の液体塗布具において、
前記貫通孔は、
前記微小突起の内部を貫通していることを特徴とする。
【0049】
これにより、液体塗布具は、被塗布対象に接触させた微小突起の先端を介して直接的に液体を塗布することができるため、液体を無駄なく被塗布対象に付着させることができ、少量の液体を効果的に皮膚に塗布することができる。
【0050】
本発明の液体塗布具において、
前記液体は、化粧品であることを特徴とする。
【0051】
これにより、液体塗布具は、化粧品を簡易な操作で皮膚に塗布させることができる。
【0052】
本発明の液体塗布具において、
前記微小突起は、平面部からの高さが100~300μmであることを特徴とする。
【0053】
これにより、液体塗布具は、液体を塗布する際の安全性を向上できる。
【0054】
本発明の液体塗布具において、
前記液体は、頭皮塗布用の薬剤液であることを特徴とする。
【0055】
これにより、液体塗布具は、頭皮塗布用の薬剤液を簡易な操作で頭皮又は毛髪の根元に塗布することができる。
【0056】
本発明の液体塗布具において、
前記微小突起は、平面部からの高さが200~900μmであることを特徴とする。
【0057】
これにより、液体塗布具は、微小突起の間の間隙に毛髪を入れ込むことができ、微小突起の先端を頭皮により近づけることが可能となる。
【0058】
本発明の液体塗布具において、
前記微小突起の周囲には、
前記平面部から突出し前記微小突起よりも低いガード部が形成されていることを特徴とする。
【0059】
これにより、微小突起間に毛髪を入れ込む効果を維持しつつ、ガード部によって微小突起が皮膚に刺さることを抑制し、安全性を高めることができる。
【0060】
本発明の液体塗布具において、前記微小突起は、
前記ガード部より突出する領域の高さが300μm以下であることを特徴とする。
【0061】
これにより、微小突起が皮膚に刺さる最大深さを小さくできるため、一段と安全性を高めることができる。
【0062】
液体塗布具において、前記複数の微小突起は、貫通孔の形成された孔あり突起と、貫通孔の形成されていない孔なし突起とを有することを特徴とする。
【0063】
これにより、微小突起間に塗布液をキープするという機能はそのままに、貫通孔の断面積合計を調整できるため、塗布液が吐出される速度を自在に変更することができる。
【0064】
液体塗布具において、前記微小突起の先端には、
前記微小突起の形成された平面部と平行な先端平面が形成されていることを特徴とする。
【0065】
これにより、皮膚に対して刺さりにくくできると共に、皮膚上を滑らかに滑らすことができ、安全性と塗布性を向上させ得る。
【0066】
液体塗布具において、前記孔あり突起は、微小突起の形成された突起領域の端を結んだ端円に対して、直径が1/4~3/4の中間領域に離散して配置されていることを特徴とする。
【0067】
これにより、液体塗布具は、離散して吐出される塗布液を突起領域の全域を使って皮膚に塗布することができる。
【0068】
<他の実施の形態>
上述実施形態では、微小突起の内部に貫通孔が形成されたが、本発明はこれに限らず、微小突起の脇に貫通孔が形成されていても良い。この場合であっても、貫通孔から吐出された液体が微小突起を伝って被塗布対象に到達でき、上述実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
上述実施形態では、吐出部104は平面に微小突起111を有するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば
図4に示すように、くぼみ123を有する突起シート121に連続するようにして微小突起111を設けても良い。突起シート121には、貫通孔112と連続する貫通孔122が形成される。これにより、突起シート121がたくさんの毛髪を入れ込むことができるので、毛髪が多い人や動物の被塗布対象(主に皮膚)に対して確実に液体を浸透させることができる。
【0070】
上述実施形態では、軸部としての軸本体部2と、スイッチ機構としてのスイッチ機構3と、液体収納部としての液体充填部5と、吐出部としての吐出部4と、貫通孔としての貫通孔12と、定量吐出機構としての定量吐出部6とによって液体塗布具としての液体塗布具1を構成したが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成による軸部と、スイッチ機構と、液体収納部と、吐出部と、貫通孔とによって本発明の液体塗布具を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、簡易な操作で被塗布対象に液体を塗布可能な液体塗布具に適用することができる。