(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】温度測定アセンブリおよび電気的なデバイス
(51)【国際特許分類】
G01K 1/18 20060101AFI20221214BHJP
G01K 7/22 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G01K1/18
G01K7/22 J
G01K7/22 L
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017154306
(22)【出願日】2017-08-09
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】201620877446.7
(32)【優先日】2016-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201621262508.X
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508079120
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】スン・ポンチョン
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122577(JP,A)
【文献】特開2015-118731(JP,A)
【文献】特開2015-069738(JP,A)
【文献】特開平09-005173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度測定アセンブリであって、
被測定デバイスの熱を伝導するための伝熱要素
、
前記伝熱要素によって伝導される熱に従って測定される被測定デバイスの温度信号が測定されるように、また温度信号が出力接続素子へと出力されるように、前記伝熱要素とコンタクトして、前記伝熱要素と熱的に伝導するように配置される温度測定素子、
および
取付けキャビティを有する保持フレーム
を有して成り、
前記伝熱要素および前記温度測定素子が、別個に形成される要素であって、一体化要素として接続され得、前記伝熱要素のコンタクト部分および前記温度測定素子のコンタクト部分が、共に平面であ
り、
全ての前記温度測定素子が、前記取付けキャビティに収容される、
温度測定アセンブリ。
【請求項2】
前記伝熱要素が、セラミック要素である、請求項1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項3】
前記伝熱要素が、第1伝熱面および第2伝熱面を有し、
前記第1伝熱面および前記第2伝熱面が、背面同士に設けられ、
前記第1伝熱面が、前記温度測定素子と熱的に伝導するように配置され、ならびに
前記第2伝熱面が、前記被測定デバイスと熱的に伝導するように配置される、請求項1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項4】
前記温度測定素子が、サーミスタである、請求項1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項5】
前記温度測定素子が、出力接続素子をさらに有して成り、および
前記出力接続素子が、前記温度測定素子に電気的に接続される、請求項1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項6】
前記出力接続素子が、フレキシブルなフラット・ケーブルであり、
前記フレキシブルなフラット・ケーブルが、2つの導電層を含み、および
前記温度測定素子が、前記2つの導電層にそれぞれ電気的に接続される、請求項5に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項7】
前記2つの導電層が、間隔を空けて設けられ、および
前記温度測定素子が、少なくとも部分的に延在して前記伝熱要素とコンタクトするように配置される、請求項
6に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項8】
封止接続要素をさらに有して成り、
前記封止接続要素が、前記伝熱要素および前記温度測定素子とそれぞれコンタクトし、また前記伝熱要素および前記温度測定素子を一体的に接続する、請求項1~
7のいずれかに記載の温度測定アセンブリ。
【請求項9】
前記伝熱要素の熱伝導率が、前記封止接続要素の熱伝導率よりも大きい、請求項
8に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項10】
前記封止接続要素が、前記温度測定素子を封止するように、前記温度測定素子を被覆および包囲するように配置される、請求項
8に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項11】
前記封止接続要素が、液体接着剤の硬化体または溶融シリコーン液体の硬化体である、請求項
8に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項12】
前記取付けキャビティの一方の端部が、取付け開口部を有し、および
前記伝熱要素の少なくとも一部が、前記取付け開口部から前記取付けキャビティに収容される、請求項
1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項13】
出力接続素子をさらに有して成り、
前記出力接続素子が、前記温度測定素子と電気的に接続される、請求項
1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項14】
リミッティング・ノッチが、前記保持フレームの一方の側壁に設けられ、
前記リミッティング・ノッチが、前記取付けキャビティと連通するように配置され、および
前記出力接続素子の一部が、前記リミッティング・ノッチに設けられている、
請求項
1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項15】
前記取付けキャビティに収容され、前記温度測定素子を包み、封止する、封止接続要素をさらに有して成る、請求項
1に記載の温度測定アセンブリ。
【請求項16】
被測定デバイスおよび請求項1~
15のいずれかに記載の温度測定アセンブリを有して成る、電気的なデバイスであって、
前記被測定デバイスが、前記伝熱要素と伝熱するように配置される、電気的なデバイス。
【請求項17】
前記被測定デバイスがバスバーである、請求項
16に記載の電気的なデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に、温度を測定するための構造、ならびにより詳細には温度測定アセンブリおよび電気的なデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、被測定デバイスは、一定の温度範囲内で安定かつ安全な場合に限り、動作することができる。それゆえ、被測定デバイスの温度はモニターされる必要がある。加えて、被測定デバイスの温度測定に対する応答速度は、温度測定のパフォーマンス(または機能、もしくは性能、performance)を反映し、それに付随するデバイスのオペレーション(または操作、もしくは動作、operation)にも大きな影響を及ぼす。例えば、乗り物(または自動車、vehicle)にとって、付随するデバイスの応答速度は、安全運転において重要な役割を担う。乗り物における被測定デバイスは、可能な限り迅速にその温度を得る必要がある。その上、新規エネルギーの増加に伴い、電気的な乗り物は、消費者の間でますます普及している。電気的な乗り物の電源(または動力源、power source)としての乗り物用バッテリーパックの安定したオペレーションは、乗り物の安全上のパフォーマンスの重要な点となる。乗り物用バッテリーパックは、動作中に比較的高い電流を出力し、容易に温度上昇を引き起こす。一般的に、乗り物の運転の安全性を保証するために、乗り物用バッテリーの温度は特にモニターされるべき必要があるパラメータの一つに過ぎないが、乗り物用バッテリーパックのオペレーション・パラメータはモニターされる必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の目的の一つは、従来技術の欠点を克服するために、迅速な温度測定の応答速度を有し、安全に接続される温度測定アセンブリ(temperature measuring assembly)、および電気的なデバイス(electrical device)を供すことである。
【0004】
上記目的を達成するために、本開示は、以下の技術的な解決手段を介して実現される。
【0005】
本開示の第1の特徴によれば、本開示は、伝熱要素(または伝熱素子、heat conducting element)および温度測定素子(temperature measuring element)を有して成る温度測定アセンブリを供する。伝熱要素によって伝導された熱に従って被測定デバイスの温度信号を測定するために、また出力接続素子(output connecting element)に温度信号を出力するために、伝熱要素は、被測定デバイスの熱を伝熱するように配置され、温度測定素子および伝熱要素は伝熱するように配置される。伝熱要素および温度測定素子は、別個に形成され、また一体化要素として接続されるように配置されてもよい。
【0006】
好ましい態様では、伝熱要素はセラミック要素である。別の好ましい態様では、伝熱要素は第1伝熱面および第2伝熱面を有しており、第1伝熱面および第2伝熱面は、背面同士(または、互いに表面と裏面になるよう、back-to-back)に設けられ、第1伝熱面は、温度測定素子と伝熱されるように配置され、また第2伝熱面は、被測定デバイスと伝熱するように配置される。さらに別の好ましい態様では、温度測定素子はサーミスタ(thermistor)である。別の好ましい態様では、温度測定素子は、温度測定素子に電気的に接続される出力接続素子をさらに有して成る。さらに好ましくは、出力接続素子は、温度測定素子と伝熱要素との間へと延在するように配置される。さらに好ましくは、出力接続素子は、2つの導電層を含むフレキシブルなフラット・ケーブル(flexible flat cable)であり、温度測定素子はその2つの導電層とそれぞれ電気的に接続される。さらにより好ましくは、導電層は第1導電面および第2導電面を有し、第1導電面および第2導電面は背面同士に設けられ、第1導電面は、溶接によって温度測定素子に接続されるように構成され、また第2導電面は、伝熱要素と向かい合ってコンタクトする(face-to-face contact)ように構成される。なお、より好ましくは、2つの導電層は、間隔を空けて(at an interval)設けられ、また温度測定素子は、少なくとも部分的に延在して伝熱要素とコンタクトするように配置される。
【0007】
上述するいくらかの態様では、温度測定アセンブリは、伝熱要素および温度測定素子とそれぞれコンタクトするように、また伝熱要素および温度測定素子を一体的に接続するように配置される、封止接続要素(または封止接続素子、sealing connection element)をさらに有して成る。好ましくは、伝熱要素の伝熱性は、封止接続要素よりも大きい。好ましい態様では、封止接続要素は、温度測定素子を封止するために、温度測定素子を被覆および包囲する(または、覆い、取り囲む)。別の好ましい態様では、封止接続要素は液体接着剤の硬化体または溶融シリコーン液体の硬化体である。
【0008】
上述するいくらかの態様では、好ましくは、温度測定アセンブリは、全ての温度測定素子が収容される(または収まる、accommodate)取付けキャビティ(mounting cavity)を有する保持フレーム(holding frame)をさらに有して成る。さらに好ましくは、取付けキャビティの一方の端部は、取付け開口部を有し、少なくとも伝熱要素の一部がその取付け開口部を通るように取付けキャビティに収容される。さらに好ましくは、温度測定アセンブリは、温度測定素子と電気的に接続される出力接続素子をさらに有して成る。さらにより好ましくは、リミッティング(または制限、もしくは制限的、limiting)・ノッチ(または切り欠き、もしくは溝、notch)は、保持フレームの一方の側に供され、リミッティング・ノッチは、取付けキャビティと連通するように配置され、出力接続素子の一部が、リミッティング・ノッチ中に供される。さらにより好ましくは、温度測定アセンブリは取付けキャビティに収容され、また温度測定素子をラップ(または含む、wrap up)および封止するように構成される、封止接続要素をさらに有して成る。
【0009】
本開示の第2の特徴によれば、被測定デバイスおよび上述したいずれかに従う温度測定アセンブリを有して成る電気的なデバイスをさらに供し、被測定デバイスは、伝熱要素と伝熱するように配置される。好ましくは、被測定デバイスは、バスバー(または母線、bus-bars)である。
【0010】
従来技術と比較すると、本開示の温度測定アセンブリの伝熱要素は、良好な絶縁性および伝熱パフォーマンスを有し、また特に、被測定デバイスの温度測定に適しており、また温度測定素子の温度測定の応答時間を短縮することができる。
【0011】
さらに、伝熱要素の第1伝熱面および第2伝熱面は、被測定デバイスと温度測定素子との間の伝熱距離を縮め、また温度測定の時間を短縮するように、背面同士に供される。第1伝熱面および第2伝熱面は平面(planar)であり、伝熱エリアを広げ、またそれによって温度測定の時間を短縮する。
【0012】
さらに、本開示の温度測定アセンブリの保持フレームは、温度測定素子の保護を供し得、また温度測定素子と接続素子との間の接続パフォーマンスを、外部の環境および物質による影響から防ぎ、それによって高収率でのバッチ製品のパフォーマンスを保証する。さらに、保持フレームの取付けキャビティは、液体のゾル-ゲルおよび溶融シリコーンなどを保持することができ、また温度測定素子をラップおよび封止するように、予め設定される形状の封止接続要素を形成し、それによってまた温度測定素子の保護パフォーマンスを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の温度測定アセンブリの第1の態様の構造概略図である。
【0014】
【
図2】
図2は、
図1の温度測定アセンブリの分解概略図である。
【0015】
【0016】
【
図4】
図4は、本開示の温度測定アセンブリの第2の態様の構造概略図である。
【0017】
【
図5】
図5は、
図4の温度測定アセンブリの分解概略図である。
【0018】
【
図6】
図6は、本開示の温度測定アセンブリの第3の態様の構造概略図である。
【0019】
【
図7】
図7は、封止接続要素の表示を有さない
図6の温度測定アセンブリの正面図である。
【0020】
【
図8】
図8は、
図6の温度測定アセンブリのF-F線に沿った断面図である。
【0021】
【
図9】
図9は、本開示の温度測定アセンブリの第4の態様の構造概略図である。
【0022】
【0023】
【
図11】
図11は、本開示の保持フレームの頂面の表示を有する温度測定アセンブリの第5の態様の構造概略図である。
【0024】
【
図12】
図12は、底面の表示を有する
図11の温度測定アセンブリの保持フレームの構造概略図である。
【0025】
【0026】
【
図14】
図14は、
図11の温度測定アセンブリを保持フレームの上面から下面に投影した投影図である。
【0027】
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本開示を詳細に記載される。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
図1~3を参照して、本開示によって供される温度測定アセンブリ101は示される。温度測定アセンブリ101は、伝熱要素10および温度測定素子20を有して成る。伝熱要素10は、被測定デバイス(以下に記載される)の熱を伝導するように、また被測定デバイスの温度を測定するように温度測定素子20と熱伝導するように配置される。伝熱要素10および温度測定素子20は、個々に分離して形成される要素であり、一体化要素としても接続されてもよい。すなわち、それらが一体的に組み立てられない場合、伝熱要素10および温度測定素子20は分離した素子であり、個々に製造される必要がある。
【0030】
伝熱要素10の具体的な形状および表面エリアは、必要に応じて選択され得る。伝熱要素10の具体的な構成は、伝熱要求に対応する安全性のみが求められる。電気的なデバイスの温度を安全かつ便利な測定を可能にするために、伝熱要素10は、電気絶縁素子(electrically insulating element)、すなわち電気非導電性の絶縁体である。伝熱要素10の伝熱性は必要に応じて選択され得る。伝熱性は、メートル/ケルビン(W/(m・K))のワット単位の熱伝導率を意味してもよい。熱損失を避け、温度測定素子20に迅速に熱を伝導することができるように、伝熱要素10の伝熱性は、封止接続要素40(以下に記載される)よりも大きくしてもよい。伝熱要素10の伝熱性が封止接続要素40よりも大きい範囲は、必要に応じて選択してもよい。伝熱要素10の伝熱性は、封止接続要素40よりも少なくとも10倍(例えば、10倍、18倍または34倍)高くし得る。温度測定精度および温度測定素子20の応答速度を可能な限り高めるために、伝熱要素10の伝熱性は、封止接続要素40よりも少なくとも100倍(例えば、100倍、167倍または537倍)高くし得る。伝熱パフォーマンスを高めるために、伝熱要素10は、セラミック伝熱要素であってもよい。本態様では、伝熱要素10は、AlN(窒化アルミニウム、Aluminum Nitride)セラミック集積素子、すなわち主結晶相としてAlNを有するセラミックである。AlNセラミックを用いることによって、伝熱要素10は高伝熱性、高強度、耐腐食性、高抵抗率などのような利点を達成することができる(すなわち、良好な伝熱性および電気絶縁パフォーマンスを有することができる)。温度測定素子20の応答速度を短縮するように、可能な限り熱抵抗を低減するために、伝熱要素10は温度測定素子20とコンタクトするように配置され得る。伝熱要素10の第1伝熱面11(以下に記載される)は、温度測定素子20とコンタクトさせてもよい。
【0031】
温度測定素子20の応答速度を短縮するように、さらに熱抵抗を低減するために、伝熱要素10は実質的にパネル形状(panel shape)であってもよい。加えて、伝熱要素10は第1伝熱面11および第2伝熱面(図示せず)を有する。第1伝熱面11および第2伝熱面は、背面同士に設けられる。具体的には、図示するように、第1伝熱面11と第2伝熱面とは互いに関連した上下面である。温度測定素子20の応答速度を短縮するように、熱抵抗を低減するために、第1伝熱面11および第2伝熱面の少なくとも1つは、平面であってもよい。本態様では、第1伝熱面11および第2伝熱面は、共に平面である。第1伝熱面11は、温度測定素子20と伝熱するように配置されてもよい。第2伝熱面は、被測定デバイス(以下に記載される)と伝熱するように配置されてもよい。それゆえ、上記の伝熱要素10を配置する方法は、被測定デバイスと温度測定素子20との間の最短伝熱距離を達成することができる(すなわち、伝熱要素10の厚さが最短伝熱距離であり、それによって温度測定素子20の応答速度を短縮させる)。第1伝熱面11と第2伝熱面との間の距離(すなわち、伝熱要素10の厚さ)は、被測定デバイスから温度測定素子20の安全な絶縁を満たしている限り、可能な限り短くすることのみが求められる。さらに、第1伝熱面11は平面として供されてもよく、それによって伝熱要素10と温度測定素子20との間のコンタクト・エリアを広げることができ、またさらに温度測定素子20の応答時間を短縮することができる。第2伝熱面は平面として供されてもよく、対応して温度測定素子20の応答時間を短縮することができる。
【0032】
温度測定素子20の配置方法は、伝熱要素10と伝熱接続されていることのみが求められる。本態様では、応答時間を短縮するように、可能な限り熱抵抗を低減するために、温度測定素子20は、伝熱要素10の第1伝熱面11とコンタクトするように配置される。そのうえ、そのコンタクト部分は、共に平面である。温度測定素子20は、被測定デバイスの測定された温度信号を出力するために、出力接続素子30(以下に記載される)に電気的に接続されてもよい。温度測定素子20と出力接続素子30との間の安定した電気的な接続を達成するために、温度測定素子20は溶接によって出力接続素子30に接続されてもよい。温度測定素子20の具体的なタイプおよび仕様の選択は、温度測定の必要に対応することを満たすことのみが求められる。高速出力を容易にするように、温度信号を電気信号に変えることを可能にするために、温度測定素子20は感熱性の抵抗であってもよい。温度測定素子20の安全な取付けパフォーマンス(mounting performance)及び組立効率(assembly efficiency)を高めるために、温度測定素子20は、SMD(表面取付けデバイス、surface-mount device)レジスタである。さらに、温度測定素子20の測定精度を高めるために、温度測定素子20は、負の温度係数(NTC)のサーミスタであってもよい。
【0033】
図4および5は、実施例1の変更例として、本開示によって供される温度測定アセンブリ102を示す。実施例1とは異なり、本態様の温度測定アセンブリ102は、温度測定素子10と電気的に接続されている出力接続素子30をさらに有して成る。
【0034】
出力接続素子30は温度測定素子10によって測定される温度信号を変換するために配置される。温度信号処理の異なる要求に応じて、出力接続素子30は、異なる温度信号処理デバイス(例えば、プロセッサ)と電気的に接続されてもよい。本態様では、出力接続要素30は、BMS(バッテリー管理システム、Battery Management System)と電気的に接続されるように配置される。出力接続素子30の具体的なタイプおよび仕様は、温度信号を出力することを可能にすることのみが求められる。出力接続素子30は、回路基板(circuit board)またはケーブルであってもよい。回路基板は、FPC(フレキシブルな印刷された回路基板、Flexible Printed Circuit Board)であってもよい。 出力接続要素30は、取付けスペースを十分に確保し、また温度測定要素20との安定した電気的な接続を形成するために、温度測定要素20と熱伝導要素10との間へと延在する。
【0035】
本態様では、異なる取付け環境の適用およびコスト抑制のために、出力接続素子30は容易に曲げられるように、出力接続素子30はフレキシブルなフラット・ケーブル(FFC)であってもよい。温度測定素子10と安定した電気的な接続を形成するために、出力接続素子30は、2つの導電層31を有して成る。導電層31は導電回路であり、銅箔回路(copper foil circuit)であってもよい。2つの導電層31および温度測定素子30は、電気的な接続のために溶接される。2つの導電層31は、温度測定素子20と電気的に接続される。2つの導電層31と温度測定素子20との間の電気的な接続方法は、必要に応じて選択され得る。本態様では、温度測定素子20は、2つの導電層31とそれぞれ直列に電気的に接続されてもよい。相互絶縁を容易にするために、また温度測定素子20を伝熱要素と容易にコンタクトさせるために、2つの導電層31は、間隔を空けて供される。温度信号の変換を容易にするために、出力接続素子30の2つの導電層31は、間隔を空けて平行に設けられる。導電層31は、自由端部(図示せず)を有して成る。材料および取付けスペースを十分に確保するために、2つの導電層31の自由端は、絶縁層33(以下に記載される)から突出し、また温度測定素子10と電気的に接続される。具体的には、2つの導電層31の自由端部は、温度測定素子20と伝熱要素10との間へと延在し、溶接によって温度測定素子10と接続される。
【0036】
導電層31は、第1導電面311および第2導電面(図示せず)を有する。第1導電面311および第2導電面は、背面同士に配置される。第1導電面311は、温度測定素子20と電気的に接続される。第2導電面およびセラミック伝熱要素10は向かい合ってコンタクトするように配置され、それによって伝熱パフォーマンスを高めることができる(例えば、凸状曲面(convex curve)と凹状曲面(recessed curve)との間でコンタクトし得る)。本態様では、取付けスペースが実質的に利用されるように、また熱抵抗が伝熱パフォーマンスを高めるために低減されるように、第2導電面および伝熱要素10は、平面同士でコンタクトするように配置される。
【0037】
より良い絶縁パフォーマンスを達成するために、出力接続素子30は、絶縁層33をさらに有して成る。絶縁層33は2つの導電層31を覆い、ラップするように配置される(すなわち、導電層31は絶縁層33に埋め込まれる)。絶縁層33は、絶縁材料から作られてもよい(例えば、プラスチックまたはラバー材料)。
(実施例3)
【0038】
図6を参照して、実施例2の変更例として、実施例3によって供される温度測定アセンブリ103を示す。実施例2とは異なり、本態様の温度測定アセンブリ103は、封止接続要素40をさらに有して成る。封止接続要素40は、伝熱要素10および温度測定素子20とそれぞれコンタクトされ、また伝熱要素10および温度測定素子20と一体的に接続される。言い換えれば、封止接続要素40は、伝熱要素10と温度測定素子20とを安全かつ一体的に接続し、また封止接続要素40とコンタクトする部分を封鎖させることのみが求められる。
【0039】
好ましくは、封止接続要素40は、温度測定素子10を封止するように、温度測定素子10を覆い、ラップするように配置される。封止接続要素40の具体的な材料または構造は、温度測定素子10の封止を可能とすることのみが求められる。例えば、封止接続要素40は、液体接着剤または溶融シリコーンの硬化素子(すなわち、液体接着剤または溶融シリコーンの硬化によって形成される一体化要素)であってもよい。本態様では、封止接続要素40は、液体の紫外線硬化接着剤によって一体的に硬化される。紫外線硬化接着剤はまた、感光性接着剤、シャドーレス(または無影の、shadowless)接着剤またはUV(紫外線、Ultraviolet Rays)接着剤を意味してもよい。本態様では、出力接続素子30の絶縁パフォーマンスおよび、出力接続素子30と温度測定素子10との間の安定した電気的な接続パフォーマンスを高めるように、封止接続要素40は、導電層31の両方を覆うように配置される。安全なパフォーマンスを高めるために、封止接続要素40は、伝熱要素20に延在し、また伝熱要素20と一体的に接合されるよう配置される。具体的には、封止接続要素40は、全ての伝熱要素10の第1伝熱面11を覆う。
【0040】
図7を参照して、温度測定素子20が伝熱要素10から離隔されることを可能とするように、導電層31の自由端は温度測定素子20と伝熱要素10との間へと延在する。
図8を参照して、封止接続要素40は空間を封止する(すなわち、封止接続要素40が、温度測定素子20と伝熱要素10との間の空間を満たすように延在し、それによって、熱抵抗を低減させる)。具体的には、温度測定素子20は、2つの間隔の空いた導電層31をクロスオーバーする。2つの導電層31は、空間が温度測定素子20と伝熱要素10との間に形成されることを可能とする。
(実施例4)
【0041】
図9を参照して、本開示はさらに温度測定アセンブリ201を供する。温度測定アセンブリ201は、保持フレーム210、出力接続素子220および温度測定素子230を有して成る。出力接続素子220の少なくとも1部は、保持フレーム210に供され、また温度測定素子230と電気的に接続されるよう配置される。
【0042】
図10を参照して、保持フレーム210は、温度測定素子230をサポートするために配置される。保持フレーム210は、取付けキャビティ215を有する。保持フレーム210は、底面217aおよび頂面217bを有する。本態様では、底面217aおよび頂面217bは共に平面である。取付けキャビティ215は、温度測定素子230を収容するために配置される。本態様では、取付けキャビティ215は、スルー・キャビティ(through-cavity)となるように構成される。本態様では、取付けキャビティ215は、
図15に示すように、トップ-ダウン方向に沿うように保持フレーム210のトップ端部およびボトム端部を通るように貫通する。加えて、取付けキャビティ215の一方の端部は、取付け開口部215aを有し、またもう一方の端部は、収容開口部215bを有する。本態様では、取付けキャビティ215の一方の端部は、
図15に示すように、トップ-ダウン方向でのトップ端部であり、またもう一方の端部は、ボトム端部である。保持フレーム210は、4つの側壁を有し、また保持フレーム210は、実質的に矩形の(rectangular)フレームを囲む。
【0043】
リミッティング・ノッチ213は保持フレーム210の一方の側壁に供される。リミッティング・ノッチ213は、出力接続素子220を収容するように配置され、また出力接続素子220を保持する。リミッティング・ノッチ213は、直接的に互いに向き合う1対のリミッティング壁213a、213bを有して成る。リミッティング壁213a、213bは、出力接続素子220に対して隣接するように配置される。具体的な指示がない限り、「隣接する“abut”」という用語は、2つの構成要素間のコンタクトを伴う直接的な接触、または第3の部分の伝達作用を介する間接的な接触を意味し得ると解され得る。
【0044】
本態様では、出力接続素子220と接触する保持フレーム210の保持パフォーマンスを高めるために、また解体を容易にするために、リミッティング壁213a、213bにはそれぞれリミッティング凸状リブ214が供される。リミッティング凸状リブ214は、出力接続素子220に対して隣接するように配置される。本態様では、リミッティング凸状リブ214は、出力接続素子220に対して、直接的に隣接するように配置される。リミッティング凸状リブ214の具体的な形状は、出力接続素子220に対して隣接することを可能とすることのみが求められる。本態様では、リミッティング凸状リブ214は、実質的に三角柱形状である。
【0045】
温度測定アセンブリ201がコンパクトに組み立てられ、また温度測定素子230が伝熱要素240(以下に記載される)に対して、可能な限り接近または隣接することを可能にするために、クランプ・アーム(clamping arm)216が、保持フレーム210の側壁に供される。クランプ・アーム216は、取付けキャビティ215へと延在し、また出力接続素子220に対して隣接するように配置され、出力接続素子220が伝熱要素240(以下に記載される)に対して隣接することを可能とし得る。言い換えれば、クランプ・アーム216および伝熱要素240は、出力接続素子220を固定するように配置される。保持アーム(holding arm)216の具体的な構造、数および分布は、温度測定アセンブリ201が一体的に組み立てられる場合、出力接続素子220に対してコンタクトまたは隣接することを可能とすることのみが求められる。本態様では、クランプ・アーム216は、保持フレーム210の2つの側壁上のストリップ状のクロスバーにそれぞれ実質的に接続される。出力接続素子220のリミッティングおよび保持パフォーマンスをさらに高め、温度測定素子230を可能な限り、後述する伝熱要素240に接近またはコンタクトさせるために、本態様では、2つのクランプ・アーム216がある。2つのクランプ・アーム216は、温度測定素子230の2つの側部に離隔し、分布する。
【0046】
封止接続要素250(以下に記載される)と一体的に保持するように、保持フレーム210のパフォーマンスを高めるために、保持部(retaining part)218は、保持フレーム210の内部の側壁に供される。保持部218は、トップ・ノッチ212bに延在する。保持部218の具体的な構造、数および分布は、封止接続要素250がトップ・ノッチ212bで取付けキャビティ215から分離されることからブロックすることを可能とすることのみが求められる。本態様では、保持部218は、取付けキャビティ215の突出サイズがボトムからトップまで徐々に増加する円柱形状である。
【0047】
伝熱要素240(以下に記載される)の安全な保持パフォーマンスを高めるために、また伝熱要素240の解体を容易にするために、隣接凸状リブ219は、保持フレーム210の内側の側壁から突出するように供される。隣接凸状リブ219は、伝熱要素240(以下に記載される)に対して隣接してもよい。隣接凸状リブ219の具体的な構造、数および分布は、後述する伝熱要素240に対して隣接することを強化することを可能とすることのみが求められる。本態様では、保持フレーム210は内側の側壁の大部分にそれぞれ分布する、多数の隣接凸状リブ219がある。隣接凸状リブ219は、突出部であってもよい。本態様では、隣接凸状リブ219は、実質的に三角柱形状である。
【0048】
保持フレーム210の一体的および安全パフォーマンスを高めるために、保持フレーム210は、一体化要素である。保持フレーム210の絶縁パフォーマンスを高め、また製造コストを抑えるために、保持フレーム210は、射出成形部である。言い換えれば、本態様では、保持フレーム210は射出成形された一体化部である。
【0049】
図9を続けて参照して、出力接続素子220は温度測定素子230に接続され、また温度測定素子230によって出力される電気信号を出力し得る。出力接続素子220は導電部223を有して成る。導電部223は、出力接続素子220の端部から延在し、保持フレーム210に設けられる。すなわち、導電部223は、出力接続素子220の一方の端部に突出し、保持フレーム210へと延在するように配置される。導電部223は、前述した導電層31であってもよい。出力接続素子220は他の処置部(例えば、出力された電気信号を処理するためのプロセッサ)と接続されてもよい。出力接続素子220の少なくとも一部は、取付けキャビティ215に延在し、保持フレーム210に設けられる。出力接続素子220の仕様およびタイプは、接続の必要に応じて選択される。例えば、印刷された回路基板(PCB)または汎用的なワイヤーであってもよい。本態様では、出力接続素子220は、フレキシブルなフラット・ケーブル(FFC)である。具体的には、フレキシブルなフラット・ケーブルは、絶縁層221および導電層223a、223bを含む。絶縁層221は、導電層223a、223bの一部をラップし、電気的に絶縁するように配置される。絶縁層221は、絶縁材料で作られてもよい。温度測定素子230と電気的に接続されるように配置されるために、導電層223a、223bは、絶縁層221から突出し、部分的に取付けキャビティ215へと延在する。本態様では、安全で電気的な接続パフォーマンスを高めるために、出力接続素子220は溶接によって、温度測定素子230と接続される。具体的には、導電層223a、223bは溶接によって、温度測定素子230とそれぞれ接続される。本明細書において他に示されない限り、フレキシブルなフラット・ケーブルの導電層223a、223bは、出力接続素子220の導電部分の態様であることに留意する必要がある。
【0050】
図9を続けて参照して、温度測定素子230は、取付けキャビティ215に収容され、出力接続素子220に電気的に接続される。温度測定素子230のタイプは、適用の必要に応じて選択される。本態様では、温度測定素子230は、測定対象物(図示せず)の温度を検出するように配置される。具体的には、温度測定素子230は温度センサーである。温度測定素子230は、サーミスタであってもよい。本態様では、温度測定素子230は、負の温度係数(NTC)のサーミスタである。温度測定精度および応答速度を高めるために、可能な限り熱抵抗を低減するように、温度測定素子230は伝熱要素240(以下に記載される)とコンタクトするように配置される。本態様では、温度測定素子230は、SMD素子としてのNTCレジスタを使用し、それによって組み立てを容易にし、スペースを抑制できる。温度測定素子230はまた、他のSMD素子を適用してもよい。
(実施例5)
【0051】
図11~15を参照して、実施例4の変更例として、本開示はもう一つの温度測定アセンブリ202を供する。温度測定アセンブリ202は、伝熱要素240をさらに有して成る。伝熱要素240は、取付けキャビティ215内に供され、温度測定素子230と伝熱接続される。
【0052】
図12および13を続けて参照して、伝熱要素240の具体的な材料および構造は、熱伝達の要件に対応することを満たすことを可能とすることのみが求められる。伝熱要素240は、伝熱底面241および伝熱頂面243を含む。伝熱頂面243は、温度測定素子230と直接的に向き合い、またはコンタクトするように配置される。本態様では、伝熱頂面243は、平面である。コンタクト・エリアを広げるために、また温度測定精度および応答速度を高めるために、伝熱底面241は平面である。伝熱底面241は測定対象物と直接コンタクトしてもよい。本態様では、伝熱要素240は、実質的に矩形平面形状である。温度測定精度および応答速度を向上させるために、熱抵抗を低減するように、伝熱要素240は比較的高い伝熱性を有する材料から作られてもよい。本態様では、伝熱要素240はセラミック・プレートである。取付ける場合、伝熱要素240は、取付けキャビティ215の取付け開口部215aから取付けキャビティ215へと取付けられ、また少なくとも部分的に取付けキャビティ215に収容される。任意の形状および寸法の測定対象物と熱的なコンタクトを容易にするために、本態様では、伝熱要素240は、保持フレーム210の底面217aから突出されるように配置される。言い換えれば、伝熱要素240の一部は取付けキャビティ215の外側に延在する。
【0053】
図13~15を続けて参照して、温度測定素子230の封止および保護パフォーマンスをさらに高めるために、また伝熱パフォーマンスを向上させるために、温度測定アセンブリ202は、封止接続要素250をさらに有して成る。封止接続要素250は、取付けキャビティ215に収容され、また温度測定素子230をラップおよび封止するように配置される。具体的には、封止接続要素250は、取付けキャビティ215の収容開口部215bから取付けキャビティ215に収容される。封止接続要素250の材料および構造は、温度測定素子230を封止することを可能とすることのみが求められる。温度測定素子230の封止および保護パフォーマンスを高めるために、封止接続要素250は、硬化接着剤層(すなわち、取付けキャビティ215へと接着剤を浸出することによって、温度測定素子230を封止および包囲(または密閉、enclose)するように形成される硬化層)であってもよい。本態様では、封止接続要素250は、硬化シリコーン層(すなわち、取付けキャビティ215へと溶融シリコーンを浸出させることによって形成される硬化層)である。封止接続要素250は、取付けキャビティ215内に満たされ、また保持フレーム210と一体的に保持するパフォーマンスを高めるために、取付けキャビティ215の側壁とコンタクトするように配置される。具体的には、溶融シリコーンの液体接着剤は、取付けキャビティ215の収容開口部215bから取付けキャビティ215へと浸出され、封止接続要素250として硬化される。
(実施例6)
【0054】
本開示は、電気的なデバイスをさらに供する。電気的なデバイスは、上述した態様に示す、測定対象物(図示せず)および温度測定アセンブリ102、103、201または202を有して成る。被測定デバイスおよび伝熱要素10は伝熱するように配置される。
【0055】
被測定デバイスの仕様およびタイプは、必要に応じて選択される。本態様では、被測定デバイスはバスバーである。被測定デバイスは、バッテリーパックと電気的に接続されるように配置される。被測定デバイスを通るような比較的大きい電流に起因して、過度に高温する問題が非常に起こりやすく、それによって温度測定アセンブリ102、103、201または202は、温度をモニターすることが必要とされる。温度測定素子10の応答時間を短縮するために、被測定デバイスは伝熱要素10とコンタクトするように配置される。具体的には、被測定デバイスは、第2伝熱面13と平面同士でコンタクトするように供される。
【0056】
上述したことは、本開示の単なる好ましい態様であり、本開示の保護範囲を限定するものではない。本開示の主旨の範囲内であれば、いずれの変更、均等な置換または改良は、本開示の特許請求の範囲によって定義される範囲内に含まれるべきである。