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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】パッケージ基板の加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
H01L21/78 C
H01L21/78 Q
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018042492
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019160887
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】張 秉得
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-084573(JP,A)
【文献】特開2000-340698(JP,A)
【文献】特開2014-175853(JP,A)
【文献】特開2004-039944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0055856(US,A1)
【文献】特開2002-016189(JP,A)
【文献】特開2012-253190(JP,A)
【文献】特開2011-187747(JP,A)
【文献】特開2009-099681(JP,A)
【文献】特開昭58-064037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基材と、交差する複数の分割予定ラインで区画された配線基材上の各デバイス領域にそれぞれ搭載された複数のデバイスチップと、該デバイスチップを封止する封止剤と、からなるパッケージ基板の加工方法であって、
該封止剤側を保持し、該デバイス領域外の該封止剤で封止されない配線基材外周を含む部分に、複数の分割予定ラインに沿って少なくとも該配線基材を貫通して分割溝を形成する配線基材加工ステップと、
該配線基材加工ステップを実施した後に、該封止剤側と反対面に保持テープを貼着又は保持治具に吸引保持するパッケージ基板保持ステップと、
該パッケージ基板保持ステップを実施した後に、該配線基材外周の分割溝を基準にアライメントを行い、該パッケージ基板を分割して分割予定ラインに沿って個々のパッケージに個片化する個片化ステップと、
を備えるパッケージ基板の加工方法。
【請求項2】
該個片化ステップにおいては、配線基材外周の該分割溝を基準にアライメントを行い、該分割溝と連通するまで該封止剤側からV溝形成手段で切り込み、該分割予定ラインに対応する領域に沿って該封止剤上面から溝底に向かって傾斜した側壁を備えるようにV溝を形成するとともに個々のパッケージに個片化し、
該個片化ステップを実施した後に、複数の該パッケージの該封止剤上面及び側壁に導電性のシールド層を形成するシールド層形成ステップを備える請求項に記載のパッケージ基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ基板の加工方法として、パッケージ基板をダイシングによって分割予定ラインに沿って個片化するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の加工方法では、配線基板の一方の面にバンプ等の電極が配設されると共に、配線基板の他方の面に半導体チップが搭載されて封止剤で一括封止されてパッケージ基板が形成されている。パッケージ基板の分割予定ラインに沿ってダイシングされることで、パッケージ基板が個々のパッケージに分割され、分割後のパッケージは電極を介してメイン基板等に実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-039104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したようなパッケージ基板を個片化する際に、封止剤側からパッケージ基板を分割したいという要望がある。封止剤側からパッケージ基板を分割するためには、パッケージ基板のバンプ側を保持しなければならない。しかしながら、通常はパッケージ基板のバンプ側にアライメントマークが設けられているため、パッケージ基板のバンプ側を保持した状態ではアライメントマークを検出することができない。このため、パッケージ基板を分割予定ラインに沿って精度よく分割することが困難になっていた。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、パッケージ基板を封止剤側から分割する際に的確な位置でアライメントすることができるパッケージ基板の加工方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様のパッケージ基板の加工方法は、配線基材と、交差する複数の分割予定ラインで区画された配線基材上の各デバイス領域にそれぞれ搭載された複数のデバイスチップと、該デバイスチップを封止する封止剤と、からなるパッケージ基板の加工方法であって、該封止剤側を保持し、該デバイス領域外の該封止剤で封止されない配線基材外周を含む部分に、複数の分割予定ラインに沿って少なくとも該配線基材を貫通して分割溝を形成する配線基材加工ステップと、該配線基材加工ステップを実施した後に、該封止剤側と反対面に保持テープを貼着又は保持治具に吸引保持するパッケージ基板保持ステップと、該パッケージ基板保持ステップを実施した後に、該配線基材外周の分割溝を基準にアライメントを行い、該パッケージ基板を分割して分割予定ラインに沿って個々のパッケージに個片化する個片化ステップと、を備える。
【0012】
この構成によれば、複数の分割予定ラインに沿って少なくとも配線基材を貫通した分割溝が形成されているため、パッケージ基板の分割時には分割溝を基準にしてアライメントを行うことができる。このため、パッケージ基板の封止剤側にアライメントマークが無くても、パッケージ基板を分割予定ラインに沿って精度よく分割することができる。
【0013】
本発明の態様のパッケージ基板の加工方法において、該個片化ステップにおいては、配線基材外周の該分割溝を基準にアライメントを行い、該分割溝と連通するまで該封止剤側からV溝形成手段で切り込み、該分割予定ラインに対応する領域に沿って該封止剤上面から溝底に向かって傾斜した側壁を備えるようにV溝を形成するとともに個々のパッケージに個片化し、該個片化ステップを実施した後に、複数の該パッケージの該封止剤上面及び側壁に導電性のシールド層を形成するシールド層形成ステップを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パッケージ基板のデバイス領域外に分割予定ラインに対して所定の位置関係のアライメントの基準を貫通形成することで、パッケージ基板を分割する際に的確な位置でアライメントすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態の半導体パッケージの断面模式図である。
図2】本実施の形態のパッケージ基板の裏面図及び表面図である。
図3】比較例の半導体パッケージの製造方法の説明図である。
図4】本実施の形態のパッケージ基板の第1の加工方法の説明図である。
図5】本実施の形態のパッケージ基板の第1の加工方法の説明図である。
図6】本実施の形態のパッケージ基板の第1の加工方法の説明図である。
図7】本実施の形態のパッケージ基板の第2の加工方法の説明図である。
図8】本実施の形態のパッケージ基板の第2の加工方法の説明図である。
図9】本実施の形態のパッケージ基板の第3の加工方法の説明図である。
図10】本実施の形態のパッケージ基板の第3の加工方法の説明図である。
図11】試験体に設けたシールド層の厚みを示す図である。
図12】試験体の側面の傾斜角とシールド層の厚みとの関係を示す図である。
図13】半導体パッケージの変形例を示す図である。
図14】貫通孔形成ステップの変形例を示す図である。
図15】V溝形成ステップの変形例を示す図である。
図16】個片化ステップの変形例を示す図である。
図17】Vブレードの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態のパッケージ基板の加工方法について説明する。図1は、本実施の形態の半導体パッケージの断面模式図である。図2は、本実施の形態のパッケージ基板の裏面図及び表面図である。図3は、比較例の半導体パッケージの製造方法の説明図である。なお、以下の実施の形態はあくまでも一例を示すものであり、各ステップ間に他のステップを備えてもよいし、ステップの順序を適宜入れ換えてもよい。また、図2及び図3の平面図では説明の便宜上バンプを省略して記載している。
【0017】
図1に示すように、半導体パッケージ10(パッケージ)は、いわゆるEMI(Electro-Magnetic Interference)で遮断を要する全てのパッケージの半導体装置であり、外面のシールド層16によって周囲への電磁ノイズの漏洩を抑制するように構成されている。シールド層16の内側では、配線基板(配線基材)11の表面に実装されたデバイスチップ12が樹脂層(封止剤)13で封止されており、配線基板11の裏面にバンプ14が配設されている。配線基板11には、デバイスチップ12に接続される電極やグランドライン17を含む各種配線が形成されている。
【0018】
デバイスチップ12は、半導体ウェーハをデバイス毎に個片化して形成され、配線基板11の所定の位置にマウントされている。また、パッケージ側面(側壁)23にはパッケージ上面(封止剤上面)22から下方に向かって外側に広がるような傾斜面25が形成されており、この傾斜面25に対してスパッタ法等によって上方から導電性のシールド層16が形成されている。一般的な半導体パッケージの鉛直なパッケージ側面とは異なり、パッケージ側面23の傾斜面25がシールド層16の形成方向に対して斜めに交差しているため、傾斜面25にシールド層16が形成され易くなっている。
【0019】
ところで、図2に示すように、半導体パッケージはパッケージ基板15の分割によって形成されるが、パッケージ基板15の裏面は分割予定ライン27によって格子状に区画され、パッケージ基板15の表面は樹脂層13によって分割予定ライン27が覆われている。また、パッケージ基板15の裏面にはアライメントマーク28が設けられており、パッケージ基板15の表面にはアライメントマーク28が設けられていない。このため、通常はパッケージ基板15の裏面側を上面に向けることで、アライメントマーク28を基準にパッケージ基板15が個々に分割される。
【0020】
パッケージ基板15を分割するだけであれば、パッケージ基板15の裏面でアライメントすればよいが、分割後の半導体パッケージ10(図1参照)に傾斜面25を付けるためにはパッケージ基板15の樹脂層13側からV溝47(図5C参照)を形成しなければならない。上記したように、パッケージ基板15の表面にはアライメントマーク28が存在しないため、樹脂層13を上方に向けた状態では樹脂層13側に分割予定ライン27に沿ったV溝47を形成することが難しい。このように、パッケージ基板15の表面の樹脂層13にV溝47を形成するために、パッケージ基板15の裏面のアライメントマーク28を使用することができない。
【0021】
この場合、図3Aに示すように、パッケージ基板15の表面にアライメントマーク29を設ける構成も考えられる。しかしながら、樹脂ラミネートとメタルめっき等の既存の方法では、パッケージ基板15の裏面のアライメントマーク28とパッケージ基板15の表面のアライメントマーク29を一致させることが難しい。例えば、パッケージ基板15の裏面のアライメントマーク28とパッケージ基板15の表面のアライメントマーク29が数十μm以上位置ズレすることもあり、分割予定ラインに沿ってパッケージ基板15を加工することが困難になっている。
【0022】
このため、図3Bに示すように、アライメントマーク28の代わりに、パッケージ基板15を貫通した切削痕91でアライメントする方法が考えられる。この場合、パッケージ基板15の裏面を上方に向けた状態で、分割予定ライン27の延長線上でパッケージ基板15の外縁付近に切削ブレード92が位置付けられる。そして、切削ブレード92を上下動させる、いわゆるチョッパーカットが実施されることで、分割予定ライン27に対応した箇所に切削痕91が形成される。切削痕91がパッケージ基板15を貫通しているため、パッケージ基板15の表面側で切削痕91を基準にアライメントを実施することができる。
【0023】
しかしながら、チョッパーカットで形成した切削痕91を利用した加工方法では、切削痕91を基準にパッケージ基板15の表面側でV溝を形成することができるが、V溝形成後にパッケージ基板15を良好に分割することが難しい。チョッパーカットの場合、パッケージ基板15の外縁から樹脂層13、すなわちデバイス領域まで切削痕91が延びているため、パッケージ基板15のデバイス領域の強度が低下している。パッケージ基板15を個片化する際には、個片化ブレード95で切削痕91からパッケージ基板15を切り込むことになるが、貫通した切削痕91を個片化ブレード95が通ることでバタツキ等が生じてチップ飛び、クラック、チッピング等の品質に影響する。そこで、本実施の形態では、パッケージ基板15の裏面のアライメントマーク28を基準に、V溝形成時のアライメントの基準をパッケージ基板15に貫通形成している。
【0024】
以下、図4から図6を参照して、パッケージ基板の第1の加工方法について説明する。図4から図6は、パッケージ基板の第1の加工方法の説明図である。なお、図4Aはマウントステップ、図4Bは基板作成ステップ、図4Cは貫通孔形成ステップのそれぞれ一例を示す図である。図5Aはパッケージ基板保持ステップ、図5B及び図5CはV溝形成ステップのそれぞれ一例を示す図である。図6Aは個片化ステップ、図6B及び図6Cはシールド層形成ステップのそれぞれ一例を示す図である。
【0025】
図4Aに示すように、先ずマウントステップが実施される。マウントステップでは、配線基板11の表面が交差する分割予定ラインで格子状に区画されており、区画された各デバイス領域に複数のデバイスチップ12が搭載される。配線基板11内にはグランドライン17等の配線が形成され、配線基板11の裏面にはバンプ14が配設されている。デバイスチップ12の上面の電極にワイヤ19の一端が接続され、配線基板11の表面の電極18にワイヤ19の他端が接続される。なお、ワイヤボンディングに限らず、デバイスチップ12の裏面の電極を配線基板11の表面の電極に直接接続するフリップチップボンディングが実施されてもよい。
【0026】
図4Bに示すように、マウントステップが実施された後に基板作成ステップが実施される。基板作成ステップでは、複数のデバイスチップ12がマウントされた配線基板11の表面側に封止剤31が供給され、各デバイスチップ12が封止剤31で一括封止されてパッケージ基板15(図4C参照)が作成される。この場合、デバイスチップ12が実装された配線基板11の裏面が保持治具(不図示)に保持されており、配線基板11の上面を覆うように枠型32が配置されている。枠型32の上壁には注入口33が開口しており、注入口33の上方には封止剤31の供給ノズル34が位置付けられている。
【0027】
そして、供給ノズル34から注入口33を通じて、配線基板11の上面に封止剤31が供給されてデバイスチップ12が封止される。この状態で、封止剤31が加熱又は乾燥されることで硬化されて、配線基板11の上面に樹脂層13(図3C参照)を形成したパッケージ基板15が作成される。なお、封止剤31には、硬化性を有するものが用いられ、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、又はポリイミド樹脂等から選択することができる。また、封止剤31は液状に限らず、シート状、パウダー状の樹脂を使用することもできる。このようにして、配線基板11上の複数のデバイスチップ12が一括で封止される。なお、パッケージ基板15が予め用意されている場合には、マウントステップ、基板作成ステップを省略してもよい。
【0028】
図4Cに示すように、基板作成ステップが実施された後に貫通孔形成ステップが実施される。貫通孔形成ステップでは、パッケージ基板15の表面が保持治具(不図示)に保持されており、パッケージ基板15の裏面のアライメントマーク28が上方に向けられる。アライメントマーク28は、パッケージ基板15のデバイス領域外で、分割予定ラインの延長上に設けられている。パッケージ基板15がデバイスチップ12の一括封止によって収縮しても、パッケージ基板15の収縮に応じてアライメントマーク28が変位されるため、アライメントマーク28と分割予定ラインの位置関係が大きく変わることがない。
【0029】
パッケージ基板15の上方にはドリル36が位置付けられており、撮像手段(不図示)でアライメントマーク28を撮像することで、アライメントマーク28の中央にドリル36が位置合わせされる。ドリル36のドリル径はアライメントマーク28よりも小さく形成されている。そして、ドリル36がパッケージ基板15に向けて降ろされることで、パッケージ基板15が貫通されて、アライメントマーク28の中央に貫通孔37が形成される。この貫通孔37によって、パッケージ基板15の表面側からでも分割予定ラインを検出可能なアライメント用のマークが形成される。
【0030】
貫通孔37は、小型のドリル36によってアライメントマーク28よりも小さな円形に形成されているため、高倍率で撮像することによってアライメント精度を高めることができる。このように、パッケージ基板15のデバイス領域外の領域でパッケージ基板15が貫通されて、分割予定ラインに対して所定の位置関係を有する貫通孔37が形成される。なお、分割予定ラインに対する所定の位置関係とは、アライメントマーク28上に貫通孔37を形成する構成に限られない。分割予定ラインの位置が特定可能な位置であれば、アライメントマーク28から外れた位置に貫通孔37が形成されてもよい。
【0031】
また、パッケージ基板15の全てのアライメントマーク28に貫通孔37を形成する必要はない。貫通孔37は、少なくとも分割予定ライン27の位置検出及びθ補正に必要な箇所だけに形成されていればよい。
【0032】
図5Aに示すように、貫通孔形成ステップが実施された後に、パッケージ基板保持ステップが実施される。パッケージ基板保持ステップでは、環状フレーム41の中央を塞ぐように保持テープ42が貼着され、この保持テープ42にパッケージ基板15の樹脂層13と反対面が貼着される。これにより、保持テープ42の外周部が環状フレーム41によって支持され、保持テープ42を介してパッケージ基板15が環状フレーム41の内側に位置付けられる。なお、パッケージ基板保持ステップは、マウンタ等の専用装置によって機械的に実施されてもよいし、オペレータの手作業によって実施されてもよい。
【0033】
なお、保持テープ42は、全体として、後段のシールド層形成ステップ(図6B参照)のプラズマ処理に対する耐性を有する材料で形成されることが好ましい。プラズマ処理に対する耐性とは、耐プラズマ性、耐熱性、耐真空性を含むプラズマ耐性を示している。保持テープ42のテープ基材は、150度-170度の耐熱温度の材料で形成されることが好ましく、例えば、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリイミド樹脂から選択することができる。また、環状フレーム41は、上面視リング状に形成されていてもよいし、上面視矩形枠状に形成されていてもよい。
【0034】
図5Bに示すように、パッケージ基板保持ステップが実施された後にV溝形成ステップが実施される。V溝形成ステップでは、パッケージ基板15が保持テープ42を介してチャックテーブル(不図示)に保持され、パッケージ基板15の上方に撮像手段45が位置付けられる。撮像手段45によってパッケージ基板15の表面側から貫通孔37が撮像されて、貫通孔37を基準にアライメントが実施されて分割予定ラインが検出される。このとき、貫通孔37が小さく形成されているため、撮像手段45によって高倍率で撮像することでアライメント精度が高められている。
【0035】
図5Cに示すように、アライメントによって分割予定ラインが検出されると、V溝形成用の切削ブレード(以下、Vブレード46(V溝形成手段)と称する)が分割予定ラインに位置合わせされる。Vブレード46は、ダイヤモンド砥粒等が結合剤で固められて、先端がV形状の円板状に成形されている。パッケージ基板15の外側でVブレード46がパッケージ基板15の厚み方向途中の深さまで降ろされ、Vブレード46に対してパッケージ基板15が水平方向に切削送りされる。これにより、Vブレード46で樹脂層(封止剤)13側からパッケージ基板15が切り込まれてハーフカットされ、分割予定ラインに対応する領域に沿って樹脂層13の上面から切削溝底に向かって傾斜した側壁を備えるようにV溝47が形成される。
【0036】
なお、本実施の形態では、Vブレード46の先端が尖ったV字形状に形成されたが、この構成に限定されない。Vブレード46の先端は、パッケージ基板15に対してV溝47を形成可能な形状であればよい。例えば、図17に示すように、Vブレード49の先端が平坦なV字形状に形成されていてもよい。よって、切削ブレードの先端がV字形状とは、切削ブレードの先端まで尖った完全なV字形状に限らず、切削ブレードの先端が平坦な略V字形状を含む形状である。また、Vブレードの先端のV字面は直線的に傾斜している必要はなく、僅かに丸みを帯びていてもよい。
【0037】
図6Aに示すように、V溝形成ステップが実施された後に個片化ステップが実施される。個片化ステップでは、パッケージ基板15が保持テープ42を介してチャックテーブル(不図示)に保持され、V溝形成ステップと同様に撮像手段(不図示)で貫通孔37を基準にアライメントが実施される。アライメントによって分割予定ラインが検出されると、個片化用の切削ブレード(以下、ストレートブレード51と称する)がパッケージ基板15のV溝47に位置合わせされる。ストレートブレード51は、ダイヤモンド砥粒等が結合剤で固められて、先端が矩形状の円板状に成形されている。
【0038】
そして、パッケージ基板15の外側でストレートブレード51が保持テープ42の厚み方向途中の深さまで降ろされ、ストレートブレード51に対してパッケージ基板15が水平方向に切削送りされる。これにより、ストレートブレード51で樹脂層13側から保持テープ42の途中まで切り込まれてパッケージ基板15がフルカットされ、V溝47の溝底から保持テープ42に向かって矩形溝52が形成される。このように、V溝47に沿ってパッケージ基板15が分割されて、分割予定ラインに沿ってパッケージ基板15が個々の半導体パッケージ10に個片化される。
【0039】
なお、全ての分割予定ラインに対してV溝形成ステップが完了してから、個片化ステップが実施される構成に限られない。Vブレード46及びストレートブレード51を備えたツインダイサによって、分割予定ライン毎にV溝形成ステップと個片化ステップが連続的に実施されてもよい。
【0040】
図6Bに示すように、個片化ステップが実施された後にシールド層形成ステップが実施される。シールド層形成ステップでは、複数の半導体パッケージ10のパッケージ外面に導電性材料でシールド層16が形成される。この場合、各半導体パッケージ10が保持テープ42を介してプラズマ装置(不図示)内に搬入され、所定の形成条件で各半導体パッケージ10に対して上方からスパッタ等のプラズマ処理によって導電性材料が成膜される。これにより、各半導体パッケージ10のパッケージ上面22及びパッケージ側面23(図6C参照)に所望の厚みでシールド層16が形成される。
【0041】
このとき、図6Cに示すように、パッケージ側面23の傾斜面25がパッケージ上面22から下方に向かって外側に広がっており、傾斜面25がシールド層16の形成方向(鉛直方向)に対して斜めに交差している。よって、半導体パッケージ10にシールド層16を形成する際に、パッケージ上面22だけでなくパッケージ側面23の傾斜面25にも、十分なシールド効果が発揮できる厚みでシールド層16が形成される。さらに、保持テープ42がプラズマ処理に対して耐性を有しているため、プラズマ処理によって保持テープ42が劣化することがない。
【0042】
また、パッケージ側面23の鉛直面26やパッケージ間の溝底53にもシールド層16が形成されるため、保持テープ42から半導体パッケージ10をピックアップする際に、半導体パッケージ10の下部にシールド層16でバリが生じる場合がある。この場合、シールド層16の成膜条件に加えて、パッケージ間のアスペクト比(縦横比)を調整することで、半導体パッケージ10のバリの発生を抑えることが可能である。パッケージ間のアスペクト比は、ストレートブレード51(図6A参照)の幅寸法及び切り込み量によって調整される。
【0043】
パッケージ間のアスペクト比は、パッケージ側面23の傾斜面25の下端から保持テープ42に切り込んだ溝底53までの深さをYmm、パッケージ側面23の鉛直面26の対向間隔をXmmとした際にY/Xで表される。パッケージ側面23の鉛直面26の下側やパッケージ間の溝底53はアスペクト比の影響を受け易く、パッケージ間のアスペクト比が高くなるのに伴ってシールド層16が薄く形成される。したがって、アスペクト比を高めることで、アスペクト比が影響し難い傾斜面25にシールド層16が適度な厚みで形成され、アスペクト比が影響し易い鉛直面26の下側や溝底53にシールド層16が薄く形成されてバリの発生が抑えられる。
【0044】
また、配線基板11のグランドライン17は、パッケージ側面23の傾斜面25の下側で外部に露出している。傾斜面25の下側で適度な厚みのシールド層16にグランドライン17が接続されるため、半導体パッケージ10で生じた電磁ノイズがグランドライン17を通じて半導体パッケージ10外に逃がされる。なお、パッケージ側面23の鉛直面26の下側ではシールド層16が薄くなるが、配線基板11の多数の配線(不図示)によって電磁ノイズがカットされている。したがって、半導体パッケージ10の周囲の電子部品への電磁ノイズの漏洩が全体的に防止される。
【0045】
なお、配線基板11のグランドライン17は、シールド層16に接続されていればよく、パッケージ側面23の鉛直面26でシールド層16に接続されてもよい。また、シールド層16は、銅、チタン、ニッケル、金等のうち一つ以上の導電性材料によって厚さ数μm以上の金属層であり、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD(chemical Vapor Deposition)法等のプラズマ処理によって形成されてもよい。このようにして、パッケージ上面22及びパッケージ側面23がシールド層16でカバーされた半導体パッケージ10が製造される。
【0046】
次に、図7及び図8を参照して、パッケージ基板の第2の加工方法について説明する。第2の加工方法は、アライメントマークに貫通孔を形成する代わりに、最外周の分割予定ラインに沿って貫通溝を形成する点で第1の加工方法と相違している。したがって、第1の加工方法と同じマウントステップ、基板作成ステップについては説明を省略する。図7及び図8は、パッケージ基板の第2の加工方法の説明図である。なお、図7A及び図7Bは貫通溝形成ステップ、図7Cはパッケージ基板保持ステップのそれぞれ一例を示す図である。図8AはV溝形成ステップ、図8Bは個片化ステップ、図8Cはシールド層形成ステップのそれぞれ一例を示す図である。
【0047】
図7A及び図7Bに示すように、基板作成ステップが実施された後に貫通溝形成ステップが実施される。貫通溝形成ステップでは、パッケージ基板15の表面が保持治具(不図示)に保持されており、パッケージ基板15の裏面のアライメントマーク28が上方に向けられる。パッケージ基板15の裏面には第1の方向及び第1の方向に直交する第2の方向に延在する格子状に分割予定ライン27が形成されており、パッケージ基板15のデバイス領域外で複数の分割予定ライン27の延長上にアライメントマーク28が設けられている。なお、上記したように、パッケージ基板15がデバイスチップ12の一括封止によって収縮しても、アライメントマーク28と分割予定ライン27の位置関係が大きく変わることがない。
【0048】
パッケージ基板15の上方には切削ブレード59が位置付けられており、撮像手段(不図示)で最外周のアライメントマーク28を撮像することで、複数の分割予定ライン27の内のそれぞれの最外周の分割予定ライン27に切削ブレード59が位置合わせされる。そして、パッケージ基板15の外側で切削ブレード59がパッケージ基板15を貫通可能な深さまで降ろされ、切削ブレード59に対してパッケージ基板15が水平方向に切削送りされる。これにより、切削ブレード59で配線基板11側から切り込まれ、最外周の分割予定ラインに沿って樹脂層13(封止剤)まで貫通させて分割される。最外周の分割予定ライン27の分割によって、パッケージ基板15の表面側からでも分割予定ライン27を検出可能なアライメント用の貫通溝40が形成される。
【0049】
なお、ここでは、分割予定ライン27の最外周の直交する2本の分割予定ライン27に沿って貫通溝40が形成される構成にしたが、この構成に限定されない。貫通溝40は、最外周の分割予定ライン27の4本全てに沿って形成されてもよい。また、ここでは、分割予定ライン27の最外周の分割予定ライン27に沿って貫通溝40が形成される構成にしたが、この構成に限定されない。貫通溝40は、分割予定ライン27に平行に形成されていればよく、パッケージ基板15の樹脂層13から露出した外周領域に形成されてもよい。
【0050】
図7Cに示すように、貫通溝形成ステップが実施された後に、パッケージ基板保持ステップが実施される。パッケージ基板保持ステップでは、第1の加工方法と同様に、環状フレーム41の中央を塞ぐように保持テープ42が貼着され、この保持テープ42にパッケージ基板15の樹脂層13と反対面が貼着される。これにより、保持テープ42の外周部が環状フレーム41によって支持され、保持テープ42を介してパッケージ基板15が環状フレーム41の内側に位置付けられる。なお、パッケージ基板保持ステップは、機械的に実施されてもよいし、手作業によって実施されてもよい。また、保持テープ42は、プラズマ処理に対する耐性を有する材料で形成されることが好ましい。
【0051】
図8Aに示すように、パッケージ基板保持ステップが実施された後にV溝形成ステップが実施される。V溝形成ステップでは、パッケージ基板15が保持テープ42を介してチャックテーブル(不図示)に保持され、撮像手段で貫通孔エッジ43を基準にアライメントが実施される。アライメントによって分割予定ラインが検出されると、第1の加工方法と同様にして、Vブレード46によって分割予定ラインに沿ってパッケージ基板15が切り込まれる。これにより、分割予定ラインに対応する領域に沿って樹脂層13の上面から切削溝底に向かって傾斜した側壁を備えるようにV溝47が形成される。
【0052】
図8Bに示すように、V溝形成ステップが実施された後に個片化ステップが実施される。個片化ステップでは、パッケージ基板15が保持テープ42を介してチャックテーブル(不図示)に保持され、撮像手段(不図示)で貫通溝エッジ43を基準にアライメントが実施される。アライメントによって分割予定ラインが検出されると、第1の加工方法と同様にして、ストレートブレード51によってV溝47に沿ってパッケージ基板15が分割される。これにより、分割予定ラインに沿ってパッケージ基板15が個々の半導体パッケージ10に個片化される。
【0053】
図8Cに示すように、個片化ステップが実施された後にシールド層形成ステップが実施される。シールド層形成ステップでは、複数の半導体パッケージ10のパッケージ外面に導電性材料でシールド層16が形成される。この場合、第1の加工方法と同様にして各半導体パッケージ10が保持テープ42を介してプラズマ装置(不図示)内に搬入され、所定の形成条件で各半導体パッケージ10に対して上方からスパッタ等のプラズマ処理によって導電性材料が成膜される。これにより、各半導体パッケージ10のパッケージ上面及びパッケージ側面に所望の厚みでシールド層16が形成される。
【0054】
次に、図9及び図10を参照して、パッケージ基板の第3の加工方法について説明する。第3の加工方法は、アライメントマークに貫通孔を形成する代わりに、分割予定ラインに沿って少なくとも配線基板を貫通した分割溝を形成する点で第1の加工方法と相違している。したがって、第1の加工方法と同じマウントステップ、基板作成ステップについては説明を省略する。図9及び図10は、パッケージ基板の第3の加工方法の説明図である。なお、図9A及び図9Bは配線基材加工ステップ、図9Cはパッケージ基板保持ステップのそれぞれ一例を示す図である。図10Aは個片化ステップ、図10Bはシールド層形成ステップのそれぞれ一例を示す図である。
【0055】
図9A及び図9Bに示すように、基板作成ステップが実施された後に配線基材加工ステップが実施される。配線基材加工ステップでは、パッケージ基板15の樹脂層13側が保持治具(不図示)に保持されており、パッケージ基板15の裏面のアライメントマーク28が上方に向けられる。パッケージ基板15の裏面には第1の方向及び第1の方向に直交する第2の方向に延在する格子状に分割予定ラインが形成され、パッケージ基板15のデバイス領域外で複数の分割予定ラインの延長上にアライメントマーク28が設けられている。なお、上記したように、パッケージ基板15がデバイスチップ12の一括封止によって収縮しても、アライメントマーク28と分割予定ライン27の位置関係が大きく変わることがない。
【0056】
パッケージ基板15の上方には切削ブレード51が位置付けられており、撮像手段(不図示)で最外周のアライメントマーク28を撮像することで、分割予定ラインに切削ブレード51が位置合わせされる。そして、パッケージ基板15の外側で切削ブレード51が少なくとも配線基板11を貫通可能な深さまで降ろされ、切削ブレード51に対してパッケージ基板15が水平方向に切削送りされる。これにより、切削ブレード51で配線基板11側から切り込まれ、各分割予定ラインに沿って配線基板11を貫通させて分割溝48が形成される。配線基板11の分割によって、パッケージ基板15の外周で表面側からでも分割予定ラインを検出可能なアライメント用の分割溝48が形成される。
【0057】
図9Cに示すように、配線基材加工ステップが実施された後に、パッケージ基板保持ステップが実施される。パッケージ基板保持ステップでは、第1の加工方法と同様に、環状フレーム41の中央を塞ぐように保持テープ42が貼着され、この保持テープ42にパッケージ基板15の樹脂層13と反対面が貼着される。これにより、保持テープ42の外周部が環状フレーム41によって支持され、保持テープ42を介してパッケージ基板15が環状フレーム41の内側に位置付けられる。なお、パッケージ基板保持ステップは、機械的に実施されてもよいし、手作業によって実施されてもよい。また、保持テープ42は、プラズマ処理に対する耐性を有する材料で形成されることが好ましい。
【0058】
図10Aに示すように、パッケージ基板保持ステップが実施された後に個片化ステップが実施される。個片化ステップでは、パッケージ基板15が保持テープ42を介してチャックテーブル(不図示)に保持され、撮像手段で分割溝48を基準にアライメントが実施される。アライメントによって分割予定ラインが検出されると、パッケージ基板15の外側でVブレード46が樹脂層13を貫通する深さまで降ろされ、Vブレード46に対してパッケージ基板15が水平方向に切削送りされる。これにより、分割予定ラインに対応する領域に沿って樹脂層13の上面から切削溝底に向かって傾斜した側壁を備えるように、分割溝48に連通したV溝47が形成されると共に個々の半導体パッケージ10に個片化される。
【0059】
図10Bに示すように、個片化ステップが実施された後にシールド層形成ステップが実施される。シールド層形成ステップでは、複数の半導体パッケージ10のパッケージ外面に導電性材料でシールド層16が形成される。この場合、第1の加工方法と同様にして各半導体パッケージ10が保持テープ42を介してプラズマ装置(不図示)内に搬入され、所定の形成条件で各半導体パッケージ10に対して上方からスパッタ等のプラズマ処理によって導電性材料が成膜される。これにより、各半導体パッケージ10のパッケージ上面及びパッケージ側面に所望の厚みでシールド層16が形成される。
【0060】
続いて、半導体パッケージの側面の傾斜角度とシールド層との関係について説明する。図11は、試験体に設けたシールド層の厚みを示す図である。図12は、試験体の側面の傾斜角とシールド層の厚みとの関係を示す図である。
【0061】
図11に示すように、側面62の傾斜角度θを変えた複数の試験体60を用意し、180℃、8×10-4Paの条件下でイオンプレーティング法によってシールド層を形成した。側面62の傾斜角度θは、90°、82°、68°、60°、45°とした。また、上面61に形成された上部シールド層63、側面62に形成された側部シールド層64に分けて、走査型電子顕微鏡の観察画像に基づいて上部シールド層63、側部シールド層64の厚みt1、t2を測定した。上部シールド層63及び側部シールド層64の厚みt1、t2は、次式(1)に示すステップカバレッジ(step coverage)の値として算出し、この値と傾斜角度θの関係を図12にまとめた。
(1)
step coverage=(t2/t1)×100
【0062】
この結果、傾斜角度θが90°から小さくなるにつれてステップカバレッジの値が徐々に大きくなり、傾斜角度θが45°になるとステップカバレッジの値が100%になった。具体的には、傾斜角度θが45°になるように設定した場合、上部シールド層63の厚みt1と側部シールド層64の厚みt2が一致し、試験体60の上面61及び側面62に均一な厚みのシールド層が確認された。また、発明者の実験によれば、ステップカバレッジの値が50%を下回ると、側部シールド層64の成膜に時間を要し、プロセスコストが増大するため、ステップカバレッジの値が50%以上となる範囲が好ましい。したがって、半導体パッケージの側面の傾斜角度θは45°以上かつ82°以下であることが好ましい。
【0063】
以上のように、本実施の形態のパッケージ基板15の加工方法によれば、パッケージ基板15のデバイス領域外に分割予定ラインに対して所定の位置関係の貫通孔37又は貫通溝40が形成されているため、パッケージ基板15に対するV溝形成時には貫通孔37、貫通溝エッジ43、分割溝48を基準にしてアライメントを行うことができる。このため、パッケージ基板15の樹脂層13側にアライメントマークが無くても、パッケージ基板15の封止剤側に分割予定ラインに沿ったV溝47を精度よく形成することができる。また、パッケージ基板15を分割した個々のパッケージ側面23が傾斜するため、パッケージに対して十分なシールド効果を発揮可能な厚みでシールド層16を形成することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、配線基板に1つのデバイスチップを実装した半導体パッケージを例示したが、この構成に限定されない。配線基板に複数のデバイスチップを実装した半導体パッケージを製造してもよい。例えば、図13Aに示すように、配線基板71に複数(例えば、3つ)のデバイスチップ72a-72cを実装し、デバイスチップ72a-72cをまとめてシールドした半導体パッケージ70を製造するようにしてもよい。この場合、パッケージ単位でパッケージ基板にV溝が形成され、パッケージ単位でパッケージ基板が分割される。なお、デバイスチップ72a-72cは同一機能を有してもよいし、異なる機能を有してもよい。
【0065】
また、図13Bに示すように、配線基板76に複数(例えば、2つ)のデバイスチップ77a、77bを実装し、デバイスチップ77a、77bを個別にシールドした半導体パッケージ75を製造するようにしてもよい。この場合、チップ単位でパッケージ基板にV溝が形成され、パッケージ単位でパッケージ基板が分割される。なお、デバイスチップ77a、77bは同一機能を有してもよいし、異なる機能を有してもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、貫通孔形成ステップで貫通孔形成手段としてドリルが使用される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、図14に示すように、貫通孔形成手段としてレーザアブレーション用の加工ヘッド81を用いてパッケージ基板15に貫通孔37を形成するようにしてもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、第1、第2の加工方法のV溝形成ステップ、第3の加工方法の個片化ステップでV溝形成手段としてVブレードが使用される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、図15Aに示すように、V溝形成手段として通常のストレートブレード83を用いてパッケージ基板15にV溝を形成するようにしてもよい。この場合、パッケージ基板15の分割予定ライン上の鉛直面Pに対してストレートブレード83を所定角度だけ一方側に傾けて切削した後に、鉛直面Pに対してストレートブレード83を所定角度だけ他方側に傾けて切削する。これにより、ストレートブレード83によってパッケージ基板15の上面がV状に切り取られて、分割予定ラインに沿ってV溝が形成される。
【0068】
また、図15Bに示すように、V溝形成手段としてレーザアブレーション用の加工ヘッド84を用いてパッケージ基板15にV溝を形成するようにしてもよい。この場合、パッケージ基板15の分割予定ライン上の鉛直面Pに対して加工ヘッド84を所定角度だけ一方向に傾けてアブレーション加工を実施した後に、鉛直面Pに対して加工ヘッド84を所定角度だけ他方側に傾けてアブレーション加工を実施する。パッケージ基板15に対して吸収性を有するレーザ光線によって、パッケージ基板15の上面がV字状に切り取られて、分割予定ラインに沿ってV溝が形成される。
【0069】
また、図15Cに示すように、V溝形成手段としてプロファイラ85を用いてパッケージ基板15にV溝を形成するようにしてもよい。プロファイラ85はアルミ基台86の略V字状の加工面にダイヤモンド砥粒から成る砥粒層87を電着して構成されている。プロファイラ85は、Vブレードと比較して消耗し難く、V字形状を長く維持し続けることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、第1、第2の加工方法の個片化ステップで分割手段としてストレートブレードが使用される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、図16Aに示すように、分割手段としてレーザアブレーション用の加工ヘッド88を用いてパッケージ基板15を分割するようにしてもよい。また、図16Bに示すように、分割工具として総型砥石89を用いて、パッケージ基板15にV溝を形成する同時に分割するようにしてもよい。また、総型砥石89の代わりにマルチブレードが使用されてもよい。すなわち、V溝形成ステップと個片化ステップが同時に実施されてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、貫通溝形成ステップで溝形成手段として切削ブレードが使用される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、溝形成手段としてレーザアブレーション用の加工ヘッド88を用いてパッケージ基板15に貫通溝を形成してもよい。
【0072】
また、本実施の形態では、デバイスチップがワイヤを介して配線基板の電極にワイヤボンディングされた半導体パッケージを製造する構成について説明したが、この構成に限定されない。半導体パッケージは、デバイスチップが配線基板の電極に直接接続されてフリップチップボンディングされていてもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、電極としてバンプが設けられたパッケージ基板を加工する構成にしたが、この構成に限定されない。パッケージ基板の電極は特に限定されず、例えば、電極としてランドが設けられたパッケージ基板が加工されてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、パッケージ基板保持ステップで保持テープにパッケージ基板の樹脂層と反対面が貼着される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、パッケージ基板の樹脂層と反対面に保持テープが貼着される代わりに、パッケージ基板の樹脂層と反対面が保持治具で吸引保持され、保持治具に保持された状態で後段のステップが実施されてもよい。保持治具は、基板を保持可能であればよく、例えば、チャックテーブルやサブストレートで構成されてもよい。
【0075】
また、本実施の形態では、パッケージ基板に貼着された保持テープを貼り替えずに各ステップを実施する構成にしたが、この構成に限定されない。V溝形成ステップ及び個片化ステップでは切削用の保持テープを使用し、シールド層形成ステップではプラズマ処理用の保持テープを使用してもよい。
【0076】
また、上記の実施の形態では、デバイスチップとして半導体チップを例示したが、この構成に限定されない。デバイスチップは配線基板上に実装されるチップ部品であればよい。
【0077】
また、本実施の形態では、パッケージ基板に対するV溝の形成とパッケージ基板の分割が同一の装置で実施されてもよいし、別々の装置で実施されてもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、パッケージ基板にV溝を形成して分割し、分割後の半導体パッケージにシールド層を形成する構成にしたが、この構成に限定されない。上記のパッケージ基板の加工方法は、パッケージ基板であれば、V溝の有無、シールド層の形成の有無に関わらず適用可能である。したがって、V溝の形成、シールド層の形成が実施されなくてもよく、例えば、パッケージ基板を封止剤側からステップカットで個片化する場合等に適用することが可能である。
【0079】
また、半導体パッケージは、携帯電話等の携帯通信機器に用いられる構成に限らず、カメラ等の他の電子機器に用いられてもよい。
【0080】
また、パッケージ基板は、シールド層が形成可能なワークであれば特に限定されない。例えば、CSP(Chip Size Package)、WLCSP(Wafer Level Chip Size Package)、SIP(System In Package)、FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)用の各種基板が用いられてもよい。FOWLP基板の場合には、再配線層上に厚みの異なる複数チップを実装する構成にしてもよい。したがって、配線基材は、PCB基板等の配線基板に限定されず、FOWLP基板の再配線層を含む概念である。
【0081】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、本発明の他の実施の形態として、上記各実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0082】
また、本発明の実施の形態は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。
【0083】
また、本実施の形態では、本発明をパッケージ基板の加工方法に適用した構成について説明したが、他の加工対象の加工方法に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、パッケージ基板を分割する際に的確な位置でアライメントすることができるという効果を有し、特に、携帯通信機器に用いられるパッケージ基板の加工方法に有用である。
【符号の説明】
【0085】
10 :半導体パッケージ(パッケージ)
11 :配線基板
12 :デバイスチップ
13 :樹脂層(封止剤)
15 :パッケージ基板
16 :シールド層
22 :パッケージ上面
23 :パッケージ側面
37 :貫通孔
40 :貫通溝
42 :保持テープ
46 :Vブレード(V溝形成手段)
47 :V溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17