(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】配車装置および配車方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20221214BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2018124379
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏夫
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-178386(JP,A)
【文献】特開2003-044702(JP,A)
【文献】特開2012-058889(JP,A)
【文献】特開2002-150470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
B60W 10/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場に車を駐車した者が目的地に移動するために乗り換える公共車の配車を行う
制御部を有する配車装置であって、
前記制御部は、
前記公共車の利用を希望する
複数の利用者からの依頼情報を受け付
け、
前記公共車への乗換場所と前記駐車場とを兼ねる乗換駐車場、および、当該乗換駐車場への前記公共車の配車予定時間の決定を含む配車処理を
前記複数の利用者からの前記依頼情報に基づいて
調整し、
前記乗換駐車場および前記配車予定時間を前記
複数の利用者に案内す
る、配車装置。
【請求項2】
前記依頼情報には、少なくとも、前記利用者の出発地、前記目的地、前記公共車の利用日、および、利用人数が含まれる、請求項1に記載の配車装置。
【請求項3】
駐車場に車を駐車した者が目的地に移動するために乗り換える公共車の配車を行う制御部を有する配車装置であって、
前記制御部は、
前記公共車の利用を希望する利用者からの依頼情報を受け付け、
前記公共車への乗換場所と前記駐車場とを兼ねる乗換駐車場、および、当該乗換駐車場への前記公共車の配車予定時間の決定を含む配車処理を前記依頼情報に基づいて行い、
前記乗換駐車場および前記配車予定時間を前記利用者に案内し、
前記利用者ごとに、前記
利用者の出発地の情報に基づいて前記乗換駐車場の候補地を検索し、
同一の前記公共車に乗る前記利用者ごとの前記候補地により想定される前記乗換駐車場の組み合わせパターンの中から前記目的地に向かう途中で停車する前記乗換駐車場の数が最小となるパターンを選択して前記乗換駐車場を決定する
、配車装置。
【請求項4】
前記
制御部は、前記乗換駐車場、前記配車予定時間、および、前記出発地に基づいて求められる推奨出発時間を前記利用者に案内する、請求項2又は3に記載の配車装置。
【請求項5】
前記依頼情報には、前記目的地への希望到着時間が含まれ、
前記
制御部は、前記希望到着時間に基づいて前記配車予定時間の推定を行う、請求項1から4のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記乗換駐車場の予約処理を行
う、請求項1から5のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記駐車場の空き状況を確認
し、前記駐車場の空き状況に基づいて前記乗換駐車場を決定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の配車装置。
【請求項8】
駐車場に車を駐車した者が目的地に移動するために乗り換える公共車の配車を行う装置によって実行される配車方法であって、
前記公共車の利用を希望する
複数の利用者からの依頼情報を受け付ける受付工程と、
前記公共車への乗換場所と前記駐車場とを兼ねる乗換駐車場、および、当該乗換駐車場への前記公共車の配車予定時間の決定を含む配車処理を
前記複数の利用者からの前記依頼情報に基づいて
調整する配車処理工程と、
前記乗換駐車場および前記配車予定時間を前記
複数の利用者に案内する案内工程と、
を備える、配車方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車装置および配車方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所望の目的地に行くために自動車から公共車両に乗り継いで移動するパークアンドライドシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。パークアンドライドシステムの利用者は、自宅から自家用車で出発し、自家用車を公共車両の停留所の近傍にある駐車場に駐車する。
【0003】
特許文献1においては、パークアンドライドシステムの利用者の自家用車は、利用者が公共車両の停留所にて降車した後に、停留所から駐車場まで車を自動的に移動させるパークアンドライド制御部を備える。これによれば、パークアンドライドシステムの利用者は、駐車場から公共車両の停留所まで長い距離を歩くことを避けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、パークアンドライドシステムの利用者は、公共車両の停留所から離れた位置に自家用車を駐車する必要がある。このために、パークアンドライドシステムの利用者は、停留所まで歩くか、又は、自動車を自動で駐車場まで移動させる必要があり、肉体的な負担を感じたり、経済的な負担を感じたりする可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、パークアンドライドシステムの利便性を向上して、パークアンドライドシステムを促進することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の配車装置は、駐車場に車を駐車した者が目的地に移動するために乗り換える公共車の配車を行う配車装置であって、前記公共車の利用を希望する利用者からの依頼情報を受け付ける受付部と、前記公共車への乗換場所と前記駐車場とを兼ねる乗換駐車場、および、当該乗換駐車場への前記公共車の配車予定時間の決定を含む配車処理を前記依頼情報に基づいて行う配車処理部と、前記乗換駐車場および前記配車予定時間を前記利用者に案内する案内部と、を備える構成(第1の構成)になっている。
【0008】
上記第1の構成の配車装置において、前記依頼情報には、少なくとも、前記利用者の出発地、前記目的地、前記公共車の利用日、および、利用人数が含まれる構成(第2の構成)であることが好ましい。
【0009】
上記第2の構成の配車装置において、前記配車処理部は、前記利用者ごとに、前記出発地の情報に基づいて前記乗換駐車場の候補地を検索し、同一の前記公共車に乗る前記利用者ごとの前記候補地により想定される前記乗換駐車場の組み合わせパターンの中から前記目的地に向かう途中で停車する前記乗換駐車場の数が最小となるパターンを選択して前記乗換駐車場を決定する構成(第3の構成)であってよい。
【0010】
上記第2又は第3の構成の配車装置において、前記案内部は、前記乗換駐車場、前記配車予定時間、および、前記出発地に基づいて求められる推奨出発時間を前記利用者に案内する構成(第4の構成)であってよい。
【0011】
上記第1から第4のいずれかの構成の配車装置において、前記依頼情報には、前記目的地への希望到着時間が含まれ、前記配車処理部は、前記希望到着時間に基づいて前記配車予定時間の推定を行う構成(第5の構成)であってよい。
【0012】
上記第1から第5のいずれかの構成の配車装置は、前記乗換駐車場の予約処理を行う駐車場予約部を更に備える構成(第6の構成)であることが好ましい。
【0013】
上記第1から第6のいずれかの構成の配車装置は、前記駐車場の空き状況を確認する駐車場確認部を更に備え、前記配車処理部は、前記駐車場の空き状況に基づいて前記乗換駐車場を決定する構成(第7の構成)であることが好ましい。
【0014】
上記目的を達成するために本発明の配車方法は、駐車場に車を駐車した者が目的地に移動するために乗り換える公共車の配車を行う装置によって実行される配車方法であって、前記公共車の利用を希望する利用者からの依頼情報を受け付ける受付工程と、前記公共車への乗換場所と前記駐車場とを兼ねる乗換駐車場、および、当該乗換駐車場への前記公共車の配車予定時間の決定を含む配車処理を前記依頼情報に基づいて行う配車処理工程と、前記乗換駐車場および前記配車予定時間を前記利用者に案内する案内工程と、を備える構成(第8の構成)になっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、パークアンドライドシステムの利便性を向上して、パークアンドライドシステムを促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る配車システムの概要を示す図
【
図2】本発明の実施形態に係る配車装置の構成を示すブロック図
【
図3】配車装置を利用した配車に関わる処理の一例を示す図
【
図4】配車装置によって行われる配車処理の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<1.配車システムの概要>
図1は、本発明の実施形態に係る配車システム100の概要を示す図である。配車システム100は、いわゆるパークアンドライドに好適なシステムである。パークアンドライドにおいては、その利用者は、目的地に移動する途中で例えば自家用車から公共車に乗り換えて、公共車で目的地に到着する。目的地は、例えば都心部や市街地である。ただし、目的地は都心部等に限らず、例えば人気の旅行スポットがある郊外等であってよい。また、パークアンドライドの利用者が公共車に乗り換える前に使用する車は、個人が所有する自家用車に限られず、例えばレンタカーやシェアカー等であってもよい。以下においては、利用者が公共車に乗り換える前に使用する車が自家用車である場合を例に説明する。
【0019】
図1に示すように、配車システム100は、配車装置1と、利用者端末装置2と、駐車場端末装置3と、公共車端末装置4とを備える。これらの装置1~4は、いずれもインターネットなどのネットワークNに接続可能に設けられる。換言すると、配車装置1は、利用者端末装置2、駐車場端末装置3、および、公共車端末装置4とネットワークNを介して通信可能に設けられる。
【0020】
配車装置1は、公共車の配車を管理する配車センターが備えるサーバ装置である。公共車は、不特定多数の人々が利用することができる公共交通機関に属する自動車である。公共車は、特に限定する趣旨ではないが、例えば乗車定員が10人程度の自動車であることが好ましい。配車装置1は、駐車場に車を駐車した者が目的地に移動するために乗り換える公共車の配車を行う。上述のように、本実施形態では、駐車場に駐車する車は自家用車であるが、レンタカーやシェアカー等の他の車であってよい。駐車場は、例えば、不特定多数の人が利用することができる公共の駐車場である。ただし、駐車場は、配車システム100の利用者だけが利用することができる専用の駐車場であってもよい。配車装置1は、利用者からの依頼に基づいて公共車の配車を行う。配車装置1は、複数の利用者からの依頼を調整して配車を行う。配車装置1の詳細については後述する。
【0021】
利用者端末装置2は、公共車の利用を希望する利用者が有する端末装置である。
図1においては、利用者端末装置2は1つしか示されていないが、配車システム100は、複数の利用者端末装置2を備える。利用者端末装置2は、利用者によって公共車の利用依頼に関する情報(依頼情報)が入力されると、ネットワークNを介して依頼情報を配車装置1に送信する。利用者端末装置2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、パーソナルコンピュータ(PC)、車載機器(例えばカーナビゲーション装置やドライブレコーダ)等であってよい。利用者端末装置2は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等の携帯型の端末装置であることが好ましい。
【0022】
駐車場端末装置3は、駐車場ごとに備えられる。
図1においては、駐車場端末装置3は1つしか示されていないが、配車システム100は、複数の駐車場端末装置3を備える。駐車場端末装置3は、駐車場に設けられた駐車スペースの空き状況を把握可能に設けられる。駐車場端末装置3は、例えば配車装置1からの要求により、ネットワークNを介して駐車スペースの空き状況を知らせたり、駐車スペースの予約を受け付けたりする。なお、本実施形態では、配車装置1と駐車場端末装置3とが通信を行う構成としているが、これは例示にすぎない。例えば、配車装置1は、各駐車場に備えられる駐車場端末装置3を一括管理する業者の端末装置(例えばPC)と通信することによって、各駐車場の空き状況の把握等を行う構成でもよい。
【0023】
公共車端末装置4は、各公共車に搭載される。
図1においては、公共車端末装置4は1つしか示されていないが、配車システム100は、複数の公共車端末装置4を備える。公共車端末装置4は、ネットワークNを介して配車装置1からの配車に関する指示を受け付ける。例えば、公共車端末装置4は、配車装置1から配車予約を受け付ける。また、公共車の運転手は、公共車端末装置4を介して公共車に関する情報を配車装置1に知らせることができる。例えば、運転手は、公共車端末装置4を介して、公共車の利用状況等を配車装置1に知らせることができる。なお、本実施形態では、配車装置1と公共車端末装置4とが通信を行う構成としているが、これは例示にすぎない。例えば、配車装置1と、公共車を所有する業者の端末装置(例えばPC)とが、配車に関する情報(例えば配車予約等)のやりとりを行う構成としてもよい。
【0024】
<2.配車装置>
図2は、本発明の実施形態に係る配車装置1の構成を示すブロック図である。配車装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信インターフェース(通信IF)13とを備える。
【0025】
記憶部12は、配車装置1の動作に必要な各種の情報を記憶する。記憶部12は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置である。記憶部12は、配車装置1に対して着脱可能なメモリカードなどの可搬型記録媒体であってもよい。
【0026】
通信IF13は、配車装置1がネットワークNを介して外部装置と通信するためのインターフェースである。本実施形態では、利用者端末装置2、駐車場端末装置3、および、公共車端末装置4が外部装置に含まれる。
【0027】
制御部11は、配車装置1の全体を制御する。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Unit)、及び、ROM(Read Only Memory)などを備えるコンピュータで構成される。制御部11のCPUが記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部11として必要な各種の機能が実現される。
【0028】
図2に示す受付部111、配車処理部112、案内部113、駐車場確認部114、および、駐車場予約部115は、記憶部12に記憶されるプログラムの実行により実現される制御部11の機能のうちの一部である。換言すると、配車装置1は、受付部111と、配車処理部112と、案内部113と、駐車場確認部114と、駐車場予約部115とを備える。
【0029】
なお、制御部11が備える各部111~115の少なくともいずれか1つは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部11が備える各部111~115は、概念的な構成要素である。1つの構成要素が実行する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてよい。
【0030】
受付部111は、公共車の利用を希望する利用者からの依頼情報を受け付ける。詳細には、依頼情報は、利用者端末装置2からネットワークNを介して受付部111に入力される。依頼情報には、少なくとも、利用者の出発地、目的地、公共車の利用日、および、利用人数が含まれる。詳細には、利用者の出発地は、利用者が自家用車で公共の駐車場まで移動する際の出発地であり、例えば利用者の居住地等である。目的地は、利用者が公共車に乗って行きたい場所である。公共車の利用日は、利用者が公共車を利用したい日付である。利用人数は、公共車に乗る予定の人数であり、単数又は複数である。少なくともこれらの情報が依頼情報に含まれることによって、配車装置1は、複数の利用者からの依頼情報に基づいてグループ分けを行い、公共車の配車を行うことができる。
【0031】
なお、依頼情報には、上述の4つの依頼情報の他に、例えば、目的地への希望到着時間、自家用車の種類、駐車場予約に関する情報等が含まれることが好ましい。依頼情報には、目的地への希望到着時間が含まれることがより好ましい。
【0032】
配車処理部112は、受付部111で受け付けた依頼情報に基づいて配車処理を行う。配車処理の結果に応じて、各公共車の配車予定が決まる。各公共車は、配車装置1からネットワークNを介して受け取った配車予定にしたがって動く。本実施形態では、配車処理には、公共車への乗換場所と自家用車を駐車する駐車場とを兼ねる乗換駐車場の決定が含まれる。また、配車処理には、乗換駐車場への公共車の配車予定時間の決定が含まれる。配車処理部112は、或る目的地に向かう公共車が途中で停車する乗換駐車場の数を1つとすることもあるし、複数とすることもある。
【0033】
なお、乗換駐車場および配車予定時間は、利用者ごと(利用者からの依頼ごと)に決定される。同一の公共車に乗る予定であって、出発地(例えば居住地)が異なる各利用者に関して、乗換駐車場および配車予定時間が、全ての利用者間で同じになることも有り得るし、少なくとも一部の利用者間で異なることも有り得る。
【0034】
案内部113は、乗換駐車場および配車予定時間を利用者に案内する。詳細には、案内部113は、配車処理部112で決定された乗換駐車場および配車予定時間について、利用者ごとに案内情報を生成する。案内部113は、生成した案内情報を、ネットワークNを介して各利用者の利用者端末装置2に送信する。
【0035】
なお、案内部113が利用者に案内する情報は、乗換駐車場および配車予定時間に限定される趣旨ではなく、他の情報も案内されてよい。例えば、案内部113は、乗換駐車場および配車予定時間に加えて、利用者の推奨出発時間や配車手数料を案内してもよい。また、案内部113は、例えば公共車に乗り合う利用者が定員に満たない場合に、乗換駐車場および配車予定時間の案内に替えて、利用者が希望する公共車の配車が不可能である旨の案内等を行ってよい。
【0036】
本実施形態では、公共車に乗り換える場所として駐車場が利用されるために、車両への乗換場所が駅や停留所である場合に比べて乗換場所の設定自由度を高めることができる。また、乗換場所が駐車場であるために、自家用車で駐車場まで移動した利用者は、歩行距離を少なくして公共車に乗り換えることができる。
【0037】
駐車場確認部114は、駐車場の空き状況を確認する。詳細には、駐車場確認部114は、ネットワークNを介して所定のエリア内に存在する複数の駐車場に備えられる駐車場端末装置3と通信を行い、各駐車場における駐車場の空き状況を確認する。所定のエリアは、例えば、同一の公共車を手配することができる利用者の居住地範囲として、配車システム100において予め定められた範囲である。本実施形態では、配車処理部112は、駐車場確認部114で確認された駐車場の空き状況に基づいて乗換駐車場を決定する。これによれば、利用者が希望する日時に駐車スペースの空きが無い駐車場を乗換駐車場として案内することを防止することができる。
【0038】
駐車場予約部115は、乗換駐車場の予約処理を行う。駐車場予約部115は、配車処理部112で乗換駐車場に決定された駐車場の駐車場端末装置3と通信して、利用者が自家用車を駐車するためのスペースを予約する。駐車場の予約をスムーズに行うことができるように、利用者は、依頼情報中に駐車場の利用予定時間を記載しておくことが好ましい。乗換駐車場が複数存在する場合には、複数の駐車場に対して予約処理を行う。駐車場予約部115は、利用者ごと(利用依頼ごと)に駐車場(駐車スペース)の予約を行う。
【0039】
本実施形態では、駐車場予約部115は、配車処理部112による乗換駐車場および配車予定時間の決定に応じて、自動的に乗換駐車場の予約処理を行う。ただし、これは例示である。駐車場予約部115は、利用者からの乗換駐車場の予約指示があった場合に、乗換駐車場の予約処理を行う構成であってもよい。駐車場予約部115が設けられることによって、乗換駐車場の決定後に、他人が駐車場の予約を行って、利用者が乗換駐車場の利用が出来なくなるという事態が発生することを防止できる。
【0040】
図3は、配車装置1を利用した配車に関わる処理の一例を示す図である。まず、利用者が、利用者端末装置2を介して依頼情報を入力する(ステップS1)。利用者端末装置2に入力された依頼情報は、ネットワークNを介して配車装置1に送信される。これにより、配車装置1の受付部111は、利用者からの依頼情報を受け付ける(ステップS2)。なお、本例においては、依頼情報には、利用者の出発地、目的地、公共車の利用日、利用人数、目的地への希望到着時間、および、駐車場利用予定時間が含まれる。また、利用者によって、駐車場予約部115が乗換駐車場の予約処理を自動的に行うことが許可されているとする。
【0041】
配車装置1は、依頼情報を受け付けると、公共車依頼の募集期間の終了を監視する(ステップS3)。例えば、公共車依頼の募集期間は、公共車の利用日の第1期間前から第2間前まで等に設定される。例えば、第1期間は3か月で、第2期間は1週間であってよい。利用者は、募集期間中であれば、公共車の利用希望の依頼と取消を自由に行うことができる。この例では、配車装置1は、第2期間前(例えば1週間前)を過ぎると、公共車の募集期間が終了したと判断する。配車装置1の配車処理部112は、募集期間中に配車処理を行わず、募集期間の終了後に配車処理を開始する。依頼を募集するために複数の日数が準備されているために、配車処理部112は、通常は複数の依頼に基づいて配車処理を行う。ただし、これは例示であり、配車処理部112は、募集期間中に仮の配車処理を行ってもよい。
【0042】
なお、配車装置1は、各利用者から依頼を受け付けた時点で、例えば、依頼を受け付けたこと、および、募集期間後に配車内容を連絡することを利用者端末装置2に送信することが好ましい。
【0043】
公共車の募集期間が終了すると(ステップS3でYes)、配車処理部112が配車処理を行う(ステップS4)。本実施形態では、配車処理には、各依頼に対して配車が可能であるか否かの判断が含まれる。配車装置1は、配車が不可能である場合には、対象となる利用者に予約が不成立であることを送信する。これに対応して、利用者端末装置2は、予約が成立しなかったことを利用者に報知する(ステップS5)。報知の手法は、例えば画面表示や音声通知等であってよい。なお、配車装置1は、利用者の予約が不成立であった場合に、例えば希望到着時間の変更によって配車が可能となる等の代案を利用者端末装置2に送信してもよい。
【0044】
また、配車処理部112は、配車処理を行うに当たって駐車場の空き状況を利用する。このため、配車装置1の駐車場確認部114が、駐車場端末装置3に対して駐車場の空き状況の確認を行う。駐車場端末装置3は、駐車場確認部114からの要求に応じて駐車場の空き状況を通知する(ステップS6)。配車処理により、利用者(利用依頼)ごとに、乗換駐車場および当該乗換駐車場への配車予定時間が決定される。配車処理の詳細については後述する。
【0045】
乗換駐車場および配車予定時間の決定により、配車装置1の駐車場予約部115は、各利用者の依頼に対応した駐車場の予約を行う(ステップS7)。詳細には、駐車場予約部115は、駐車場端末装置3に予約情報を送信する。駐車場端末装置3は、予約情報に応じて予約処理を行い、予約完了通知を配車装置1に対して行う(ステップS8)。なお、本例では、配車処理(ステップS4)において、駐車場の空き状況に基づいて乗換駐車場を決定している。このために、駐車場予約部115からの予約に応じて駐車場の予約が行えない状況は通常は起こらない。駐車場の予約ができない場合には、配車処理(ステップS4)を再度行えばよい。
【0046】
駐車場の予約の完了により、乗換駐車場および配車予定時間が確定するために、配車装置1の案内部113は、利用者端末装置2に乗換駐車場および配車予定時間を含む予約情報を通知する(ステップS9)。利用者端末装置2は、案内部113からの予約情報の通知に応じて予約情報を報知する(ステップS10)。報知の手法は、例えば画面表示や音声通知等であってよい。なお、予約情報を受け取った利用者が、予約の取り消しや変更を行うことができる構成としてもよい。この場合には、例えば、ステップS7からステップS10で説明した予約を仮予約とし、仮予約の取り消しや変更を行える変更受付期間内に利用者から、そのような申し出があった場合には、変更受付期間の経過後に配車処理をやり直す構成としてもよい。
【0047】
配車装置1の案内部113は、利用者への予約情報の通知後、利用日時が近づくと推奨出発時間を通知する(ステップS11)。利用者端末装置2は、配車装置1からの推奨出発時間の通知に応じて当該時間を報知する(ステップS12)。報知の手法は、例えば画面表示や音声通知等であってよい。推奨出発時間は、利用日時の例えば3時間前等に通知されてよい。推奨出発時間は、時間間隔をあけて繰り返し通知されてよい。
【0048】
すなわち、案内部113は、乗換駐車場、配車予定時間、および、出発地に基づいて求められる推奨出発時間を利用者に案内する。推奨出発時間を通知することによって、利用者は、適切な時間に出発地を出発することができるために便利である。案内部113は、乗換駐車場の位置と利用者の出発地との間の距離、および、配車予定時間を考慮して推奨出発時間を算出する。案内部113は、現在の道路の混雑状況や、過去の道路の混雑状況の履歴等の情報も考慮して推奨出発時間を算出してもよい。なお、案内部113は、予約情報を利用者に通知する際に、予約情報に推奨出発時間を含んで利用者に通知してもよい。
【0049】
図4は、配車装置1によって行われる配車処理の一例を示す図である。なお、
図4の配車処理は、
図3に示す配車処理(ステップS4)の具体例である。
【0050】
まず、配車処理部112は、各利用者の依頼に対して公共車の配車の可否を判断する(ステップS4-1)。乗員が極端に少ない状態で公共車の配車を行うと効率が悪い。このために、配車処理部112は、乗員が極端に少なくなる場合には、公共車の配車を行うことができないと判断する。以下に具体例を挙げて説明する。
【0051】
配車処理部112は、利用者の出発地から同じ地域の利用者を同一のグループとして分類する。ここで言う「同じ地域」は、同一の公共車を手配することができる利用者の居住地範囲であり、予め決められた範囲である。そして、配車処理部112は、同じ地域であると分類された各同地域グループについて、目的地、利用日、および、希望到着時間が同じと判断される利用者を同一のグループとする再グループ化を行う。なお、本例では、希望到着時間については、各利用者間で完全に一致していなくても、所定の時間差内であれば、同じ希望到着時間であると判断する。この再グループ化によって同じ公共車に乗ることができる乗員数を求めることができる。配車装置1は、この乗員数が所定数に到達しない場合に配車不可とする。
【0052】
なお、再グループ化によって、乗員数が1台の公共車の定員数を超えた場合、公共車の配車は可能と判断される。1台の公共車の定員数を超える乗員数が得られた場合は、これらの乗員は複数のグループに分けられ、複数準備される公共車に分かれて乗車することとする。乗員を複数のグループに分ける基準としては、例えば、出発地(例えば居住地)間の距離が用いられる。すなわち、出発地間の距離が近い者同士が同一のグループにされる。
【0053】
配車処理部112は、上述のように、公共車の配車不可とされる依頼を行った利用者に対して、利用者の予約が不成立であることを送信する。一方、配車処理部112は、公共車の配車可能と判断された依頼については配車処理を進める。
【0054】
配車処理部112は、公共車の配車可とされた各依頼について、乗換駐車場の候補地を検索する(ステップS4-2)。配車処理部112は、利用者ごとに、各利用者の出発地の情報に基づいて乗換駐車場の候補地を検索する。例えば、出発地から駐車場までの距離や、出発地から駐車場までの予想所要時間が予め設定された閾値より小さい駐車場が乗換駐車場の候補地として抽出される。
【0055】
なお、本例では、駐車場端末装置3から得られる駐車場の空き状況に基づいて、利用日時に空いていないと判断される駐車場は、乗換駐車場の候補地から外される。駐車場が空いているか否かについては、利用者が使用する自家用車の種類も含めて判断されてよい。駐車場によっては、駐車できる車種が限定されることがあるためである。
【0056】
配車処理部112は、ステップS4-1で同一の公共車に乗ることができると判断された各グループについて、先に抽出された各利用者の乗換駐車場の候補地に基づいて、グループの利用者全員を公共車に載せるために、公共車が通るべき駐車場の組み合わせパターンを全て求める(ステップS4-3)。本実施形態では、公共車の乗車定員が多くなく、乗換駐車場の候補地を抽出する際に一定の制限が加えられているために、全てのパターンを求めても処理負荷が大きくなることを避けられる。
【0057】
駐車場の組み合わせパターンが全て求められると、配車処理部112は、全パターンの中から乗換駐車場の数が最小となる組合せパターンを抽出する(ステップS4-4)。抽出パターンが1つであれば、このパターンを配車パターンとする。なお、抽出されたパターンの中に複数の乗換駐車場がある場合には、乗換駐車場を回る順番を決めて配車パターンとする。乗換駐車場を回る順番は、効率良く回れる順番であればよく、例えば時間や距離に基づいて適宜決定されてよい。また、抽出パターンが複数ある場合においても、効率良く回れるパターンが抽出されればよいために、例えば時間や距離に基づいて効率が良いと判断されるパターンが1つ抽出される。そして、当該抽出されたパターンが配車パターンとされる。
【0058】
換言すると、配車処理部112は、同一の公共車に乗る利用者ごとの乗換駐車場の候補地により想定される乗換駐車場の組み合わせパターンの中から、目的地に向かう途中で停車する乗換駐車場の数が最小となるパターンを選択して乗換駐車場を決定する。これによれば、各利用者が利用する乗換駐車場の位置が遠くなり過ぎることを避けつつ、目的地に到着するまでに停車する乗換駐車場の数を極力減らして公共車を効率良く動かすことができる。
【0059】
配車処理部112は、配車パターンが決まると、これに基づいて、利用者ごと(依頼ごと)に乗換駐車場および配車予定時間を決定する(ステップS4-5)。配車予定時間は、希望到着時間が同一とみなせる利用者を同一グループとしているために、希望到着時間から推定して求めることができる。すなわち、配車処理部112は、希望到着時間に基づいて配車予定時間の推定を行う。例えば、配車処理部112は、希望到着時間により、乗換駐車場からの出発時間を推定し、当該出発時間から所定時間前(例えば数分前)を配車予定時間に決定する。なお、決定された配車パターンおよび配車予定時間は、ネットワークNを介して公共車端末装置4に対して送信され、公共車の配車予約が行われる。
【0060】
本例によれば、乗換駐車場の数を少なくして効率良く目的地まで到達することができる。ただし、配車パターンを決定する際に、乗換駐車場の数を減らすことを主目的とする替りに、例えば、乗換駐車場を回る時間を減らすことを主目的としたり、乗換駐車場を回る距離を減らすことを主目的としたりしてよい。
【0061】
<3.変形例>
図5は、配車装置1の変形例を示すブロック図である。
図5に示すように、変形例の配車装置1Aは、本実施形態の配車装置1の構成に加えて、施設処理部116を更に備える。施設処理部116は、CPUがプログラムにしたがって演算処理を実行することによって実現される機能部である。
【0062】
また、本変形例では、施設端末装置5が、ネットワークNに接続可能に設けられる。すなわち、配車装置1Aは、ネットワークNを介して施設端末装置5と通信可能に設けられる。施設端末装置5は、施設が有する端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ等であってよい。施設端末装置5は、1つでも良いが、通常は施設の数に合わせて複数存在する。施設は、例えば店舗、病院、美術館、水族館、動物園、遊園地等である。
【0063】
施設処理部116は、受付部111から利用者の施設に関する依頼情報を取得する。施設処理部116は、通信IF13およびネットワークNを介して情報を施設端末装置5に送信する。また、施設処理部116は、通信IF13およびネットワークNを介して情報を施設端末装置5から受信する。
【0064】
例えば、利用者は、公共車の利用依頼に合わせて、目的地に存在する施設の予約依頼を行う。この予約依頼が受付部111で受け付けられると、施設処理部116は、予約依頼を施設端末装置5に要求する。この要求に対して、施設端末装置5は、予約が完了した旨、又は、予約不可を配車装置1に送信する。施設処理部116が施設端末装置5から予約結果を取得すると、案内部113が予約結果を利用者端末装置2に送信する。利用者は、予約結果に基づいて公共車の依頼情報を変更するか否かを判断する。依頼情報を変更する場合には、利用者は、変更情報を所定期間内に利用者端末装置2を使用して配車装置1に送信する。これにより、配車装置1は、受付部111で変更情報を受け付け、変更情報に基づいて先に受け付けた依頼情報を書き換える。変更情報は、例えば、希望到着時間の変更である。利用者は、変更情報の入力時に、再度、施設の予約依頼をしてもよい。
【0065】
また、利用者は、公共車の利用依頼に合わせて、目的地に存在する施設の混雑状況の確認依頼を行ってもよい。確認依頼が行われた場合に行われる処理は、予約と確認との違いはあるが、予約依頼の場合と概ね同様である。
【0066】
変形例の構成によると、利用者が目的地で行く予定の施設の状態まで考慮して公共車の配車を行うことができる。このために、パークアンドライドシステムの利便性を向上することができる。
【0067】
<4.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0068】
以上においては、配車装置1が駐車場確認部114や駐車場予約部115を備える構成としたが、これらは必ずしも備えられなくてもよい。例えば、駐車場の状況確認や予約は、例えば利用者端末装置2等の別の装置で行い、配車装置1は、別の装置で行われた結果を利用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、1A・・・配車装置
111・・・受付部
112・・・配車処理部
113・・・案内部
114・・・駐車場確認部
115・・・駐車場予約部