(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ハイブリッド不織複合部品
(51)【国際特許分類】
B29C 70/82 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
B29C70/82
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018147322
(22)【出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-08-02
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オーガル, アーモル
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-34756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部品(200)を形成する方法(300)であって、
第1の融点を有する第1の熱可塑性物質(204)、前記第1の融点よりも高い第2の融点を有する第2の熱可塑性物質(206)、および強化繊維(102)を含む非圧密マット(110)を、前記第2の融点よりも高い第1の温度に加熱すること(302)と、
前記非圧密マットが加熱されている間に、前記非圧密マットを圧縮して、複合繊維強化圧密シート(100)にすること(304)と、
前記複合繊維強化圧密シートを、前記第1の融点より高く前記第2の融点より低い第2の温度に再加熱すること(306)と、
前記複合繊維強化圧密シートが再加熱されている間に、前記複合繊維強化圧密シートを所望の形状に形成すること(308)と
を含む方法(300)。
【請求項2】
前記非圧密マット(110)を加熱する前に、前記第1の熱可塑性物質(204)が、熱可塑性繊維(104)を含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
前記第2の熱可塑性物質(206)が、熱可塑性繊維(106)を含み、前記熱可塑性繊維が、前記第1の熱可塑性物質(204)および前記強化繊維(102)の中にニードルパンチされている、請求項1または2に記載の方法(300)。
【請求項4】
前記第2の熱可塑性物質(206)が、熱可塑性繊維(106)を含み、前記熱可塑性繊維が、前記第1の熱可塑性物質(204)および前記強化繊維(102)の中にステッチングされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記第2の熱可塑性物質(206)が、熱可塑性繊維(106)を含み、前記熱可塑性繊維が、前記第1の熱可塑性物質(204)および前記強化繊維(102)の中にニッティングされている、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記非圧密マット(110)を加熱する(302)前に、前記強化繊維(102)、前記第1の熱可塑性物質(204)、および前記第2の熱可塑性物質(206)をランダムな配向で混合して、前記非圧密マット(110)を形成することを、さらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記強化繊維が炭素繊維である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項8】
前記第1の熱可塑性物質(204)が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、前記第2の熱可塑性物質(206)が、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)である、請求項
1から7のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項9】
前記第1の熱可塑性物質(204)が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、前記第2の熱可塑性物質(206)が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項
1から7のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項10】
前記第1の熱可塑性物質(204)が、前記複合部品の少なくとも30体積パーセントを含み、前記第2の熱可塑性物質(206)が、前記複合部品の少なくとも1体積パーセントを含み、前記強化繊維(102)が、前記複合部品の少なくとも45体積パーセントを含む、請求項
1から9のいずれか一項に記載の
方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、熱成形部品に関し、より詳細には、異なる融点を有する第1および第2の熱可塑性物質で複合部品を形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
混合された強化繊維と熱可塑性フィラメントから作られた圧密マットからの部品の形成は、マットを熱可塑性フィラメントの融点まで加熱することを含む。しかし、熱可塑性フィラメントを含むマットは、成形段階の前の加熱段階の間に膨張し、バルクアップする傾向がある。このような膨張およびバルキングは、部品形成モールドを閉じるのを困難にするか、または不可能にさえすることがある。さらに、マットの膨張およびバルキングは、部品を形成するのに十分な圧力をもたらさない可能性がある。部品に加えられる圧力を増加させることによって、不十分な圧力を補うことは、部品のコアを崩壊させる危険性を増大させる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本出願の主題は、現在の技術水準に応じて、詳細には、現在利用可能な技術によってまだ完全には解決されていない従来のプロセスに伴う問題および不利な点に答えて開発された。したがって、本出願の主題は、先行技術の上記の欠点の少なくともいくつかを克服するシステム、装置、および方法の実施形態を提供するために開発されたものである。例えば、一実施態様によれば、異なる融点を有する第1および第2の熱可塑性物質で非平面複合部品を形成する方法が開示される。
【0004】
複合部品を形成する方法が、本明細書に開示される。本方法は、第1の熱可塑性物質、第2の熱可塑性物質、および強化繊維を含む非圧密マットを第1の温度に加熱することを含む。第1の熱可塑性物質は、第1の融点を含み、第2の熱可塑性物質は、第1の融点よりも高い第2の融点を含む。第1の温度は、第2の融点よりも高い。本方法は、非圧密マットを加熱しながら圧縮して、複合繊維強化圧密シートにすることを含む。本方法は、複合繊維強化圧密シートを、第1の融点より高く第2の融点より低い第2の温度に再加熱することと、再加熱しながら複合繊維強化圧密シートを所望の形状に形成することと、を含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例1を特徴付ける。
【0005】
強化繊維は、炭素繊維である。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例2を特徴付け、実施例2は、上記実施例1による主題をさらに含む。
【0006】
第1の熱可塑性物質は、複合部品の少なくとも30体積パーセントを含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例3を特徴付け、実施例3は、上記実施例1から2のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0007】
第2の熱可塑性物質は、複合部品の少なくとも1体積パーセントを含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例4を特徴付け、実施例4は、上記実施例1から3のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0008】
強化繊維は、複合部品の少なくとも45体積パーセントを含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例5を特徴付け、実施例5は、上記実施例1から4のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0009】
非圧密マットを加熱する前に、第1の熱可塑性物質は、熱可塑性繊維を含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例6を特徴付け、実施例6は、上記実施例1から5のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0010】
非圧密マットを加熱する前に、第2の熱可塑性物質は、熱可塑性繊維を含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例7を特徴付け、実施例7は、上記実施例1から6のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0011】
非圧密マットを加熱する前に、第2の熱可塑性物質は、熱可塑性粉末を含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例8を特徴付け、実施例8は、上記実施例1から6のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0012】
複合繊維強化圧密シートを複合部品に形成することは、スタンプ成形作業を含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例9を特徴付け、実施例9は、上記実施例1から8のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0013】
第1の熱可塑性物質は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、第2の熱可塑性物質は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリエーテルケトンケトン(PEKK)のうちの一方である。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例10を特徴付け、実施例10は、上記実施例1から9のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0014】
所望の形状は、非平面形状である。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例11を特徴付け、実施例11は、上記実施例1から10のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0015】
第2の熱可塑性物質は、熱可塑性繊維を含み、熱可塑性繊維は、第1の熱可塑性物質および強化繊維の中にニードルパンチされている。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例12を特徴付け、実施例12は、上記実施例1から11のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0016】
第2の熱可塑性物質は、熱可塑性繊維を含み、熱可塑性繊維は、第1の熱可塑性物質および強化繊維の中にステッチングされている。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例13を特徴付け、実施例13は、上記実施例1から11のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0017】
第2の熱可塑性物質は、熱可塑性繊維を含み、熱可塑性繊維は、第1の熱可塑性物質および強化繊維の中にニッティングされている。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例14を特徴付け、実施例14は、上記実施例1から11のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0018】
本方法は、非圧密マットを加熱する前に、非圧密マットを形成するために、強化繊維、第1の熱可塑性物質、および第2の熱可塑性物質をランダムな配向で混合することを含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例15を特徴付け、実施例15は、上記実施例1から14のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0019】
複合部品もまた、本明細書に開示される。非平面複合部品は、ランダムに配向された強化繊維、第1の融点を含む第1の熱可塑性物質、および第1の融点よりも高い第2の融点を含む第2の熱可塑性物質を含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例16を特徴付ける。
【0020】
第1の熱可塑性物質は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、第2の熱可塑性物質は、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)である。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例17を特徴付け、実施例17は、上記実施例16による主題をさらに含む。
【0021】
第1の熱可塑性物質は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、第2の熱可塑性物質は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例18を特徴付け、実施例18は、上記実施例16による主題をさらに含む。
【0022】
第1の熱可塑性物質は、部品の少なくとも30体積パーセントを含み、第2の熱可塑性物質は、部品の少なくとも1体積パーセントを含み、強化繊維は、部品の少なくとも45体積パーセントを含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例19を特徴付け、実施例19は、上記実施例16から18のいずれか一つによる主題をさらに含む。
【0023】
圧密マットを形成する方法が、本明細書にさらに開示される。本方法は、第2の熱可塑性物質を第1の熱可塑性物質および強化繊維と混合して、非圧密マットを形成することを含む。第1の熱可塑性物質は、第1の融点を含み、第2の熱可塑性物質は、第1の融点よりも高い第2の融点を含む。本方法は、非圧密マットを第1の温度に加熱することを含み、第1の温度は、第2の融点よりも高い。本方法は、加熱しながら非圧密マットを圧縮して、複合繊維強化圧密マットにすることを含む。第2の熱可塑性物質は、部品の1体積パーセント~5体積パーセントを含む。このパラグラフの上記主題は、本開示の実施例20を特徴付ける。
【0024】
本開示の主題の説明された特徴、構造、利点、および/または特性は、1つ以上の実施形態および/または実施態様において任意の適切な方法で組み合わせられ得る。以下の説明では、本開示の主題の実施形態の完全な理解を伝えるために、多数の特定の詳細が提供される。当業者は、本開示の主題が、特定の実施形態または実施態様の特定の特徴、詳細、構成要素、材料、および/または方法のうちの1つ以上を用いずに実施され得ることを認識するであろう。他の例では、すべての実施形態または実施態様に存在しているとは限らない追加の特徴および利点が、特定の実施形態および/または実施態様において認識され得る。さらに、いくつかの例では、本開示の主題の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料、または動作が詳細に示されていないか、または記載されていない。本開示の主題の特徴および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または以下に記載される主題の実施によって知ることができる。
【0025】
主題の利点がより容易に理解され得るように、上で簡潔に記載された主題のより詳細な説明が、添付の図面に示される特定の実施形態を参照することによって提供される。 これらの図面は主題の典型的な実施形態のみを描写し、したがってその範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解して、主題が、図面を使用してさらなる具体性および詳細を伴って記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、ランダムに配向された強化繊維の断面図である。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、ランダムに配向された強化繊維と第1の熱可塑性物質の熱可塑性繊維の断面図である。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、ランダムに配向された強化繊維と、第1の熱可塑性物質および第2の熱可塑性物質の熱可塑性繊維の断面図である。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、熱に曝されている非圧密マットを伴った圧縮ツールである。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、圧密マットを伴った圧縮ツールである。
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、圧密マットである。
【
図7】本開示の1つ以上の実施形態による、圧密マットを伴う成形ツールである。
【
図8】本開示の1つ以上の実施形態による、形成された非平面複合部品である。
【
図9】本開示の1つ以上の実施形態による、複合部品を形成する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書を通じて、「一実施形態」、「実施形態」、または同様の用語への言及は、その実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書を通じて、「一実施形態では」、「ある実施形態では」という表現、および類似の言葉は、必ずしもそうではないが、すべて同じ実施形態を指すことがある。同様に、「実施態様」という用語の使用は、本開示の1つ以上の実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、または特性を有する実施態様を意味するが、そうでないことが明示的に示されていない限り、実施態様は、1つ以上の実施形態と関連付けられていてもよい。
【0028】
熱成形された構造または部品は、平面シートなどの熱可塑性材料を、曲げやすい成形温度または熱可塑性材料の融点より高い温度まで加熱し、次に成形ツール(モールドまたはスタンピングツールなど)を適用して、熱可塑性材料の平面シートを、より複雑な形状に形成することによって、形成された構造である。このプロセスは、単一の熱可塑性材料を利用する場合、比較的簡単である。
【0029】
近年、多くの用途が、複合繊維強化熱可塑性物質を利用している。多くの用途において、強化繊維は、熱可塑性物質を補強し、物理的特性を向上させる。強化繊維が熱可塑性物質に含浸または混ざり合うために、強化繊維は、熱可塑性フィラメント、繊維、ペレットまたは粉末と混合または混ぜ合わされて、平面シートに形成される。平面シートは、加熱されている間に圧縮されて、熱可塑性材料を圧密化し、ボイドを減少させ、その結果、平面シートの圧縮形態をもたらす。一貫した圧力および熱を複合繊維強化熱可塑性物質に加えることができるので、平面シートは比較的容易に形成することができる。
【0030】
圧密シートは、より複雑な成形ツール(スタンピングツールまたはモールドなど)によって成形され、より複雑な形状および構造を形成することができる。複合繊維強化圧密シートは、再び、曲げやすい成形温度または熱可塑性材料の融点より高い温度に加熱され、加圧下で成形ツールの複雑な形状に成形される。残念なことに、この第2の加熱プロセスにおいて、複合繊維強化圧密シートは、様々な問題をこうむる。複合繊維強化圧密シートが再加熱されると、熱可塑性材料が膨張し、複合繊維強化圧密シートは、例えば、ある形状にシートがスタンピングされるスタンピング作業などの成形作業中に部品が形成される前に、バルキングまたは不均一な膨張を受ける。一例によれば、バルキングおよび膨張は、モールドを閉じるのを困難にしたり、または最終構造を形成するための十分な圧力を生じさせない可能性がある。より高い圧力を必要とすることにより、製造コストが増加し、複数の積み重ねられたシートを利用するサンドイッチ構造の場合、コア崩壊が起こり得る。
【0031】
本明細書で説明される実施形態は、上記の問題に対する解決策を提供する。一例では、異なる融点を有する2つの熱可塑性材料が、複合繊維強化圧密シートに利用される。異なる融点では、複合繊維強化圧密シートが、第1の熱可塑性材料の融点より高いが第2の熱可塑性材料の融点より低い温度に再加熱されると、第1の熱可塑性材料のみが、バルキングおよび膨張を受ける。第2の熱可塑性材料は、バルキングおよび膨張を引き起こすのに十分な温度に達しない。第2の熱可塑性材料が、複合繊維強化圧密シートに分布していると、第2の熱可塑性材料の物理的特性、例えばその引張強度は、第1の熱可塑性材料のバルキングに対抗または制限する。
【0032】
十分な量の第1の熱可塑性材料があると、複合繊維強化圧密シートは、曲げやすく、成形ツールによって規定される平面または非平面形状に形成することができる。複合繊維強化圧密シート内に十分な量の第2の熱可塑性材料が分布していると、第2の熱可塑性材料の物理的特性は、第1の熱可塑性材料のバルキングおよび膨張に対抗または制限する。
【0033】
図1~
図3を参照すると、第1の熱可塑性繊維104および第2の熱可塑性繊維106と強化繊維102との混合が示されている。強化繊維102、第1の熱可塑性繊維104、および第2の熱可塑性繊維106が、
図3に示すように、非圧密マット110を形成する。言い換えれば、いくつかの実施態様において、非圧密マット110は、少なくとも強化繊維102、第1の複数の熱可塑性繊維104、および第2の複数の熱可塑性繊維106を含む。しかしながら、他の実施態様において、非圧密マット110は、強化繊維102、第1の複数の熱可塑性繊維104、および第2の複数の熱可塑性繊維106のみを含む。熱可塑性繊維として示されているが、マット110は、フィラメント、粉末またはペレットなどの、繊維以外の熱可塑性要素を含んでもよい。
【0034】
強化繊維102は、
図1~
図3において黒く描かれたランダムに配向された繊維である。強化繊維102は、炭素繊維または他の熱硬化性プラスチックを含む任意の複合材料で作ることができる。強化繊維102は、様々な長さおよび直径を有することができる。一例では、強化繊維102は、1インチ~10インチの長さであり、均一な直径を有する。他の例では、強化繊維102は、直径が不均一である。
【0035】
図1に示すようなランダムに配向された強化繊維102が、
図2に示すように、第1の熱可塑性繊維104と混合される。混合は、ランダムに配向された複数の第1の熱可塑性繊維104が、強化繊維102と混ぜ合わされ、結合され、または他の方法で統合されるようにして、起こり得る。第1の熱可塑性繊維104は、以下でより詳細に記載される第2の熱可塑性材料に対して低い融点を有する任意の熱可塑性材料組成物で作られている。第1の熱可塑性繊維104の融点が、第2の熱可塑性繊維106の融点よりも低い場合、第1の熱可塑性繊維104は、第2の熱可塑性繊維106よりも低い温度で溶融する。
【0036】
ここで
図3を参照すると、より太い線で描かれた第2の複数の熱可塑性繊維106が、第1の熱可塑性繊維104および強化繊維102と混合されている。第2の熱可塑性繊維106の相対的な量または体積は、第2の熱可塑性繊維104の相対的な量または体積よりも小さい。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性繊維106は、全体積の1パーセント~5パーセントである。第2の熱可塑性繊維106の量は、第2の熱可塑性繊維106が非圧密マット110にどれほど上手く分布するかによって、決まり得る。さらに、第2の熱可塑性繊維106の引張強度が高いほど、第1の熱可塑性材料のバルキングに対抗するのに必要な材料が少なくなる。すなわち、引張強度が高い材料ほど、複合繊維強化圧密シートが必要とする量は、少なくなる。引張強度の低い材料では、より多くの材料が必要となることがある。
【0037】
第1の熱可塑性材料の相対的な量または体積は、第2の熱可塑性繊維106の相対的な量または体積よりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性材料の量または体積は、複合繊維強化圧密シートを曲げやすくして、成形作業中に成形ツールの形状に成形するのに十分である必要がある。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性材料は、全体積の30パーセント~55パーセントである。残りの体積は、強化繊維102であってもよい。いくつかの実施形態では、強化繊維は、全体積の40パーセント~70パーセントである。
【0038】
強化繊維の様々な組み合わせが、本明細書に開示される範囲内に想定される。第1の例において、非圧密マット110は、50体積パーセントの複合繊維と、48体積パーセントの第1の熱可塑性材料と、2体積パーセントの第2の熱可塑性繊維106とを含む。第2の例において、非圧密マット110は、50体積パーセントの複合繊維と、48.5体積パーセントの第1の熱可塑性材料と、1.5体積パーセントの第2の熱可塑性繊維106とを含む。第3の例において、非圧密マット110は、45体積パーセントの複合繊維と、54体積パーセントの第1の熱可塑性材料と、1体積パーセントの第2の熱可塑性繊維106とを含む。
【0039】
様々な熱可塑性材料を、第1および第2の熱可塑性物質として利用することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の熱可塑性物質は、異なる熱可塑性材料である。いくつかの実施形態では、第1および第2の熱可塑性物質は、異なる融点を有する同じ材料である。例えば、第1の熱可塑性物質は、低い融点のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり、第2の熱可塑性物質は、高い融点のPEEKであってもよい。
【0040】
本開示で考えられている熱可塑性材料には、限定しないが、ポリアミド6(PA6)/融点223℃、ポリカーボネート(PC)/融点225℃、ポリエーテルスルホン(PES)/融点234℃~377℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)/融点265℃、ポリアミド6,6(PA6,6)/融点275℃、ポリフェニレンサルファイド(PPS)/融点285℃~320℃、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)/融点334℃、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)/融点337℃、またはポリエーテルイミド(PEI)/融点393℃が含まれる。融点は、一般的な参考のために提供されており、限定することを意味するものではない。
【0041】
図3に戻って、第2の熱可塑性繊維106が、様々な製造プロセスで第1の熱可塑性材料および強化繊維と混合されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性繊維106は、一様な分布を提供するように非圧密マット110の中にニードルパンチされる。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性繊維106は、一様な分布を提供するように非圧密マット110の中にステッチングされる。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性繊維106は、一様な分布を提供するように非圧密マット110の中にニッティングされる。
【0042】
図4を参照すると、非圧密マット110は、熱に曝されている(矢印154によって表される)。非圧密マット110は、第2の熱可塑性繊維106の融点よりも高い第1の加熱温度に曝される。すなわち、熱源は、第1の熱可塑性材料の融点および第2の熱可塑性繊維106の融点の両方よりも高い温度に非圧密マットを加熱する。この第1の加熱温度において、第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性繊維106の両方が溶けて曲げやすくなり、圧密マットの形成を可能にする。
【0043】
ここで
図5を参照すると、非圧密マット110は、加熱されながら、圧縮ツール152によって圧縮される。熱および圧縮ツール152の圧力は、非圧密マット110を複合繊維強化圧密シート100に形成する。圧力ならびに第1の熱可塑性材料および第2の熱可塑性繊維106の両方を溶かすのに十分な熱で、シート100は、第1の熱可塑性材料204および第2の熱可塑性材料206の圧密混合物を強化する強化繊維102を有する圧密マットである。単純化のために平面シートとして説明し図示しているが、非圧密マット110は、加熱され圧縮されて、他のより複雑な形状にされてもよい。次いで、シート100を冷却し、安定した複合繊維強化圧密シート100が製造される。
【0044】
図6を参照すると、複合繊維強化圧密シート100が示されている。複合繊維強化圧密シート100は、シート全体に分布した強化繊維102を含む。複合繊維強化圧密シート100は、複合繊維強化圧密シート100全体に分布した第1の熱可塑性材料204および第2の熱可塑性材料206をさらに含む。大量の複合繊維強化圧密シート100が、迅速かつ効率的に製造され、平面または非平面の部品または構造の形成に利用される準備ができる。
【0045】
ここで
図7を参照すると、複合繊維強化圧密シート100は、再加熱される(矢印164によって表される)。しかしながら、再加熱プロセスでは、複合繊維強化圧密シート100は、第2の温度に加熱される。第2の温度は、第1の熱可塑性材料204の融点と第2の熱可塑性材料206の融点との間である。すなわち、複合繊維強化圧密シート100は、第1の熱可塑性材料204を溶かすまたは曲げやすくするのに十分な温度に加熱されるが、第2の熱可塑性材料206を溶かすまたは曲げやすくするのに十分な温度に加熱されない。
【0046】
再加熱プロセス中、第1の熱可塑性材料204は、曲げやすくなり、成形ツール162の力および圧力に応答して、成形ツール162の非平面形状に一致する。さらに、本明細書で論じられているように、第1の熱可塑性材料は、第2の再加熱温度で、膨張力を受け、バルキングする傾向がある。しかしながら、第2の熱可塑性材料206は、その融点よりも高い温度に加熱されないので、第2の熱可塑性材料206は、第1の熱可塑性材料204のバルキングおよび膨張に対抗または制限する。したがって、複合繊維強化圧密シート100は、第2の熱可塑性材料が存在しない複合繊維強化圧密シートが膨張する場合よりも、膨張が小さくなる。
【0047】
第2の温度に再加熱されている間に、複合繊維強化圧密シート100は、成形ツール162によって圧縮され、モールドされ、またはプレスされて、非平面形状になる。図示の実施形態において、複合繊維強化圧密シート100は、圧縮されて凹形状になっている。非平面形状は、多数の複雑な形状のいずれであってもよく、これらは明示的に論じられているが、本明細書において予期されている。その結果得られる非平面複合部品200は、その後、安定した温度に冷却される。
【0048】
成形ツール162は、単一の複合繊維強化圧密シート100を形成するものとして示されているが、いくつかの実施形態では、複数の複合繊維強化圧密シート100が、積層され第2の温度に加熱されて、サンドイッチ部品および単一の複合繊維強化圧密シート100の厚さよりも厚い部品を形成する成形作業を受ける。
【0049】
得られた非平面複合部品200を
図8に示す。非平面複合部品200は、第1の熱可塑性材料204および第2の熱可塑性材料206内に混ぜ合わされた強化繊維102を含む。非平面複合部品200は、強化繊維102、第1の熱可塑性材料204、および第2の熱可塑性材料206の様々な比率を含むことができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、強化繊維は、部品200の40体積パーセント~70体積パーセントである。いくつかの実施形態では、第1の熱可塑性材料は、部品200の30体積パーセント~55体積パーセントである。いくつかの実施形態では、第2の熱可塑性材料は、部品200の1体積パーセント~5体積パーセントである。
【0051】
ここで
図9を参照すると、方法300の一実施形態が示されている。方法300は、302において、第1の熱可塑性物質、第2の熱可塑性物質、および強化繊維を含む非圧密マットを、第1および第2の両方の熱可塑性物質の融点より高い温度に加熱すること、304において、非圧密マットを加熱しながら圧縮して、複合繊維強化圧密シートにすることを含む。第1の熱可塑性物質は、第1の融点を含む。第2の熱可塑性物質は、第1の融点より高い第2の融点を含む。306において、方法300は、第1の融点より高く第2の融点より低い第2の温度にシートを再加熱することを含む。308において、方法300は、複合繊維強化圧密シートが再加熱されている間に、複合繊維強化圧密シートを所望の形状に形成することを、さらに含む。その後、方法308は終了する。
【0052】
上の説明では、「上方に」、「下方に」、「上の方の」、「下の方の」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「の上に」、「の下に」などの特定の用語が、使用されていることがある。これらの用語は、相対的な関係を扱う際に、説明が明確になるように、該当する場合に、使用される。しかし、これらの用語は、絶対的な関係、位置、および/または方向を意味するものではない。例えば、ある物体に関して、「上の」表面は、単に物体をひっくり返すことによって、「下の」表面になることができる。それにもかかわらず、それはなお同じ物体である。さらに、用語「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」、およびそれらの変形は、他に明示的に指定されていない限り、「含むがこれに限定されない」を意味する。列挙された項目リストは、他に明示的に指定されていない限り、項目のいずれかまたはすべてが相互に排他的および/または相互に包含的であることを意味するものではない。また、用語「a」、「an」、および「the」は、他に明示的に指定されていない限り、「1つ以上」を指す。さらに、「複数」という用語は、「少なくとも2つ」と定義することができる。
【0053】
さらに、本明細書において、ある要素が別の要素に「結合」している例は、直接的および間接的な結合を含むことができる。直接的な結合は、ある要素が別の要素と接触して結合されていることとして、定義することができる。間接的な結合は、互いに直接接触していないが、結合された要素の間に1つ以上の追加の要素を有する、2つの要素の間の結合として、定義することができる。さらに、本明細書で使用される場合、ある要素を別の要素に固定することは、直接的な固定および間接的な固定を含むことができる。さらに、本明細書で使用される場合、「隣接する」は、必ずしも接触を意味しない。例えば、ある要素は、接触することなく、別の要素に隣接することができる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という語句は、項目のリストとともに使用される場合、リストされた項目のうちの1つ以上の項目の種々の組み合わせが使用されてもよく、かつリストの項目のうちの1つのみが必要とされればよいことを意味する。項目は、特定の物体、物事、またはカテゴリであってよい。言い換えれば、「少なくとも1つ」は、項目の任意の組合せまたは項目の任意の数が、リストから使用されてよいが、リストの項目のすべてが必要とされなくてもよいことを意味する。例えば、「項目A、項目Bおよび項目Cの少なくとも1つ」は、項目A;項目Aと項目B;項目B;項目Aと項目Bと項目C;または項目Bと項目Cを意味することができる。場合によっては、「項目A、項目B、および項目Cの少なくとも1つ」は、例えば、限定しないが、項目Aが2つ、項目Bが1つ、および項目Cが10;項目Bが4つと項目Cが7つ;または他の何らかの適切な組み合わせを意味することができる。
【0055】
他に指示がない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書において単にラベルとして使用され、これらの用語が参照する項目に順序的、位置的、または階層的な要件を課すことを意図しない。さらに、例えば「第2の」項目への言及は、例えば「第1の」もしくはより低い番号の項目、および/または例えば「第3の」もしくはより高い番号の項目の存在を必要としないし、または排除もしない。
【0056】
本明細書で使用される場合、指定された機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、さらなる変更の後に指定された機能を実行する可能性を単に有するのではなく、実際に、何の変更もなしに指定された機能を実行することができる。言い換えれば、指定された機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、指定された機能を実行する目的で特に選択され、作製され、実装され、利用され、プログラムされ、および/または設計されている。本明細書で使用する「構成された」とは、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアがさらなる変更なしに指定された機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアの既存の特性を示す。この開示の目的のためには、ある特定の機能を実行するように「構成された」と記載されているシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、追加的または代替的に、その機能を実行するように「適合された」および/または「動作可能である」と記載されてもよい。
【0057】
本明細書に含まれる概略フローチャート図は、一般に、論理的フローチャート図として示されている。したがって、示された順序およびラベル付けされたステップは、提示された方法の一実施形態を示す。例示された方法の1つ以上のステップまたはその一部と、機能、論理、または効果が同等である他のステップおよび方法が、考えられてもよい。さらに、使用されているフォーマットおよび記号は、方法の論理的ステップを説明するために提供されており、方法の範囲を限定するものではないと理解される。フローチャート図には、様々な矢印の種類および線の種類が使用されていることがあるが、対応する方法の範囲を限定するものではないと理解される。実際、いくつかの矢印または他の連結物が、方法の論理的なフローのみを示すために、使用され得る。例えば、矢印は、図示された方法の列挙されたステップの間の、明示されていない持続時間の待機期間または監視期間を示すことができる。さらに、ある特定の方法が行われる順序は、示されている対応するステップの順序に厳密に従うこともあれば、従わないこともある。
【0058】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0059】
条項1.
複合部品を形成する方法であって、
第1の熱可塑性物質、第2の熱可塑性物質および強化繊維を含む非圧密マットを第1の温度に加熱することであって、第1の熱可塑性物質は、第1の融点を含み、第2の熱可塑性物質は、第1の融点よりも高い第2の融点を含み、第1の温度は、第2の融点よりも高い、加熱することと、
非圧密マットが加熱されている間に、非圧密マットを圧縮して、複合繊維強化圧密シートにすることと、
第1の融点より高く第2の融点より低い第2の温度に複合繊維強化圧密シートを再加熱することと、
複合繊維強化圧密シートが再加熱されている間に、複合繊維強化圧密シートを所望の形状に形成することと、を含む方法。
【0060】
条項2.
強化繊維が、炭素繊維である、条項1に記載の方法。
【0061】
条項3.
第1の熱可塑性物質が、複合部品の少なくとも30体積パーセントを含む、条項1に記載の方法。
【0062】
条項4.
第2の熱可塑性物質が、複合部品の少なくとも1体積パーセントを含む、条項1に記載の方法。
【0063】
条項5.
強化繊維が、複合部品の少なくとも45体積パーセントを含む、条項1に記載の方法。
【0064】
条項6.
非圧密マットを加熱する前に、第1の熱可塑性物質が、熱可塑性繊維を含む、条項1に記載の方法。
【0065】
条項7.
非圧密マットを加熱する前に、第2の熱可塑性物質が、熱可塑性繊維を含む、条項1に記載の方法。
【0066】
条項8.
非圧密マットを加熱する前に、第2の熱可塑性物質が、熱可塑性粉末を含む、条項1に記載の方法。
【0067】
条項9.
複合繊維強化圧密シートを複合部品に形成することが、スタンプ成形作業を含む、条項1に記載の方法。
【0068】
条項10.
第1の熱可塑性物質が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、
第2の熱可塑性物質が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリエーテルケトンケトン(PEKK)のうちの一方である、条項1に記載の方法。
【0069】
条項11.
所望の形状が、非平面形状である、条項1に記載の方法。
【0070】
条項12.
第2の熱可塑性物質が、熱可塑性繊維を含み、熱可塑性繊維が、第1の熱可塑性物質および強化繊維の中にニードルパンチされている、条項1に記載の方法。
【0071】
条項13.
第2の熱可塑性物質が、熱可塑性繊維を含み、熱可塑性繊維が、第1の熱可塑性物質および強化繊維の中にステッチングされている、条項1に記載の方法。
【0072】
条項14.
第2の熱可塑性物質が、熱可塑性繊維を含み、熱可塑性繊維が、第1の熱可塑性物質および強化繊維の中にニッティングされている、条項1に記載の方法。
【0073】
条項15.
非圧密マットを加熱する前に、強化繊維、第1の熱可塑性物質、および第2の熱可塑性物質をランダムな配向で混合して、非圧密マットを形成することを、さらに含む、条項1に記載の方法。
【0074】
条項16.
ランダムに配向された強化繊維、
第1の融点を含む第1の熱可塑性物質、および
第1の融点よりも高い第2の融点を含む第2の熱可塑性物質を含む、複合部品。
【0075】
条項17.
第1の熱可塑性物質が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、第2の熱可塑性物質が、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)である、条項16に記載の複合部品。
【0076】
条項18.
第1の熱可塑性物質が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、第2の熱可塑性物質が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、条項16に記載の複合部品。
【0077】
条項19.
第1の熱可塑性物質が、部品の少なくとも30体積パーセントを含み、第2の熱可塑性物質が、部品の少なくとも1体積パーセントを含み、強化繊維が、部品の少なくとも45体積パーセントを含む、条項16に記載の複合部品。
【0078】
条項20.
圧密マットを形成する方法であって、
第2の熱可塑性物質を第1の熱可塑性物質および強化繊維と混合して、非圧密マットを形成することであって、第1の熱可塑性物質が、第1の融点を含み、第2の熱可塑性物質が、第1の融点よりも高い第2の融点を含む、形成することと、
非圧密マットを、第2の融点よりも高い第1の温度に加熱することと、
非圧密マットが加熱されている間に、非圧密マットを圧縮して、複合繊維強化圧密マットにすることと、を含む方法。
【0079】
本主題は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。記載された実施形態は、すべての点において、例示的なものにすぎず、限定的なものではないと、みなされるべきである。特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に入るすべての変更は、その範囲内に含まれるべきである。