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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】シートのしわ検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20221214BHJP
   B65H 43/04 20060101ALI20221214BHJP
   B65H 43/08 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B65H43/04
B65H43/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018156008
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2020030118
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】松尾 利香
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-365225(JP,A)
【文献】特開2007-071562(JP,A)
【文献】特開2016-080372(JP,A)
【文献】特開平09-133638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
B65H 7/00 - B65H 7/20
B65H 43/00 - B65H 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反から巻芯に多層に巻き替えられる透明で長いシートの巻きしわの有無を検出するシートのしわ検査方法であって、
原反から巻芯である紙管に空気と静電気を利用して巻き付け中の食品包装用の樹脂フィルム光線を斜め上方からLEDにより照射して樹脂フィルム上でハレーションを発生させる複数の照明ユニットと、この複数の照明ユニットの間でかつこれらの上方に位置し、複数の照明ユニットから光線が照射された巻き付け中の樹脂フィルムの表面を連続して撮像する撮像カメラと、これら複数の照明ユニットと撮像カメラとを制御するコントローラと、撮像カメラが撮像した樹脂フィルムの巻き付け開始部以外の検査領域の画像情報を用いて樹脂フィルムの巻きしわの有無を検出する検出手段と、撮像カメラが撮像した樹脂フィルムの画像を表示するモニターとを用い、
検出手段に、撮像カメラが撮像した巻き付け中の樹脂フィルムの検査領域の画素濃度からなる画像情報を濃淡処理して検出値に変換する機能と、変換された検出値と閾値とを比較する機能と、比較の結果、検出値が閾値以上の場合には、巻き付け中の樹脂フィルムに巻きしわが発生したと判定する機能と、比較の結果、検出値が閾値未満の場合には、巻き付け中の樹脂フィルムに巻きしわが発生していないと判定する機能とを実現させることを特徴とするシートのしわ検査方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻芯に巻かれる際のシートの巻きしわの有無を検出するシートのしわ検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来における樹脂フィルム1は、図2に示すように、ポリ塩化ビニリデン等により、透明帯状の薄膜に成形され、原反に巻回されるが、食品包装用に利用される場合には、巻替機で原反から巻芯である紙管2に多層に巻き替えられ、包装ロール体3となる(特許文献1、2参照)。この包装ロール体3は、製造直後には樹脂フィルム1の層間に空気が介在するので、透明性が低いものの、時間の経過に伴い樹脂フィルム1の層間から空気が外部に排出されると、透明性が向上する。
【0003】
ところで、樹脂フィルム1には図3に示すように、原反のしわや厚さ、巻替機の調整ミス等により、凹凸の巻きしわ(巻き皺)4の発生することが少なくない。この巻きしわ4、特に長い巻きしわ4をそのまま放置すると、樹脂フィルム1と被包装物(例えば、食品等)との接触面積が減少して密着不良を招いたり、巻きしわ4が原因となって樹脂フィルム1が瘤状に巻き替えられ、包装ロール体3が不良品となったり、あるいは包装ロール体3の外観の体裁が非常に悪化して品質低下を招くこととなる。
【0004】
係る点に鑑み、従来においては、包装ロール体3を製造したら、製造直後の包装ロール体3の周方向の巻きしわ4の有無を目視で検査し、包装ロール体3の樹脂フィルム1の周方向に長い巻きしわ4が存在する場合には、包装ロール体3を不良品として系外に排除するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004‐307173号公報
【文献】特開昭61‐37649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来における食品包装用の樹脂フィルム1は、以上のように紙管2に多層に巻き替えられた後、巻きしわ4の有無が目視により検査されるので、外周側や最外周の巻きしわ4を検出することができるものの、外部からの目視検査では、内周側の巻きしわ4の検出が困難であるという問題がある(図4参照)。特に、製造直後の包装ロール体3は、多層に巻き替えられた樹脂フィルム1の間に空気が介在し、透明性が低いので、紙管2寄りの内周側の巻きしわ4の検出、例えば紙管2に20m程度巻き替えられた樹脂フィルム1の巻きしわ4の検出が非常に困難である。
【0007】
係る問題を解消する方法として、従来、(1)製造された包装ロール体3を握り、この握った包装ロール体3の硬さから樹脂フィルム1の内周側の巻きしわ4を検出する方法、(2)包装ロール体3に赤外線等の長波長の光線を斜めに入射させ、反射光を測定して包装ロール体3の樹脂フィルム1の内周側の巻きしわ4を検出する方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、(1)の方法の場合には、包装ロール体3を握る必要があるので、検査要員の削減を図ることができず、しかも、例え作業用の手袋を嵌めていたとしても、食品衛生上の問題が生じるおそれがある。また、(2)の方法の場合には、製造直後の包装ロール体3の樹脂フィルム1間に空気が介在するので、不透明となり、樹脂フィルム1の内周側の巻きしわ4を高精度に検出することは容易ではない。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたもので、巻芯に巻かれるシートの内周側の巻きしわを検出することができ、検査要員を削減したり、衛生上の問題を排除することのできるしわ検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、原反から巻芯に多層に巻き替えられる透明で長いシートの巻きしわの有無を検出するシートのしわ検査方法であって、
原反から巻芯である紙管に空気と静電気を利用して巻き付け中の食品包装用の樹脂フィルム光線を斜め上方からLEDにより照射して樹脂フィルム上でハレーションを発生させる複数の照明ユニットと、この複数の照明ユニットの間でかつこれらの上方に位置し、複数の照明ユニットから光線が照射された巻き付け中の樹脂フィルムの表面を連続して撮像する撮像カメラと、これら複数の照明ユニットと撮像カメラとを制御するコントローラと、撮像カメラが撮像した樹脂フィルムの巻き付け開始部以外の検査領域の画像情報を用いて樹脂フィルムの巻きしわの有無を検出する検出手段と、撮像カメラが撮像した樹脂フィルムの画像を表示するモニターとを用い、
検出手段に、撮像カメラが撮像した巻き付け中の樹脂フィルムの検査領域の画素濃度からなる画像情報を濃淡処理して検出値に変換する機能と、変換された検出値と閾値とを比較する機能と、比較の結果、検出値が閾値以上の場合には、巻き付け中の樹脂フィルムに巻きしわが発生したと判定する機能と、比較の結果、検出値が閾値未満の場合には、巻き付け中の樹脂フィルムに巻きしわが発生していないと判定する機能とを実現させることを特徴としている。
【0014】
ここで、特許請求の範囲におけるシートには、食品包装用の柔軟な樹脂フィルムが含まれる。この樹脂フィルムの巻き付け終了部は、折り返して樹脂フィルム引き出し用の摘み片とすることができる。また、撮像カメラの画像情報には、少なくとも濃度等が含まれる。
【0015】
本発明によれば、巻き付け中のシートである樹脂フィルムの巻きしわの有無を撮像して自動的に検査するので、巻き付けられた多層の樹脂フィルムの外周側や最外周の巻きしわを検出することができる他、内周側の巻きしわを検出することができる。また、巻き付けられた多層の樹脂フィルムを握って検査する必要性がないので、検査要員の削減や作業時間の短縮が期待できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、巻芯である紙管に巻かれるシートの内外周のうち、少なくとも内周側の巻きしわを検出することができ、検査要員を削減したり、衛生上の問題を排除することができるという効果がある。また、紙管に空気と静電気を利用してシートである食品包装用の樹脂フィルムを巻き付けるので、樹脂フィルムを密着させ、包装ロール体の体裁を整えることができる。また、巻き付け中の樹脂フィルムを検査するので、樹脂フィルムの透明性に拘わりなく、樹脂フィルムの内周側の長い巻きしわを高精度に検出することができる。加えて、内周側の巻きしわの検出により、例えば紙管に20m程度巻き付けられた樹脂フィルムの長い巻きしわの有無も容易に判別することができる。
【0017】
また、紙管に巻き付けられた樹脂フィルムの巻き付け開始部には、必ず巻きしわが発生するが、この巻きしわの画像情報を用いないようにするので、樹脂フィルムの巻きしわの誤検出を防ぐことが可能になる。また、撮像カメラが撮像した樹脂フィルムの画像をモニターに表示するので、樹脂フィルムの巻きしわの有無を視覚的に把握し、樹脂フィルムのしわ検査に資することが可能となる。
【0018】
さらに、検出手段に、撮像カメラが撮像した巻き付け中の樹脂フィルムの検査領域の画素濃度からなる画像情報を濃淡処理して検出値に変換する機能と、変換された検出値と閾値とを比較する機能と、比較の結果、検出値が閾値以上の場合には、巻き付け中の樹脂フィルムに巻きしわが発生したと判定する機能と、比較の結果、検出値が閾値未満の場合には、巻き付け中の樹脂フィルムに巻きしわが発生していないと判定する機能とを実現させるので、樹脂フィルムの巻きしわを自動的、かつ高精度に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るシートのしわ検査方法の実施形態を模式的に示す全体説明図である。
図2】紙管に樹脂フィルムが巻き替えられた包装ロール体を模式的に示す斜視説明図である。
図3】包装ロール体の樹脂フィルムの外周側に巻きしわが存在する場合を模式的に示す斜視説明図である。
図4】包装ロール体の樹脂フィルムの内外周に巻きしわが存在する場合を模式的に示す端面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態におけるシートのしわ検査方法は、図1ないし図4に示すように、長い樹脂フィルム1の巻きしわ4の有無を検出する方法であり、巻芯である紙管2に巻き替えられる樹脂フィルム1用の複数の照明ユニット10と、この複数の照明ユニット10に照明された巻き替え中の樹脂フィルム1を撮像する撮像カメラ30と、これら複数の照明ユニット10と撮像カメラ30を制御するコントローラ20と、撮像カメラ30が撮像した樹脂フィルム1の画像情報に基づき、巻き替え中の樹脂フィルム1の巻きしわ4の有無を検出する検出手段40とを用いるようにしている。
【0021】
樹脂フィルム1は、防汚性や防湿性、密着性等に優れるポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等により、透明帯状の柔軟な薄膜に成形され、原反から筒形の紙管2に平巻方式で巻き替えられて食品包装用の包装ロール体3となる。この食品包装用の樹脂フィルム1は、過剰に伸びない45cm×50m、45cm×55m、45cm×100m、30cm×30m、30cm×100m、30cm×110m、22cm×100mの大きさとされる。
【0022】
紙管2は、例えば再生用紙がスパイラル巻きに巻装されることにより、防塵性や表面平滑性等に優れる細長い円筒形に形成され、巻替機に供給された後、外周面に長い樹脂フィルム1が空気と静電気とを利用して高速で多層に巻き替えられる。巻替機には、原反の残量と樹脂フィルム1の巻き替え量とを算出するエンコーダ等の測長器が選択的に装着され、この測長器の利用により、規定の長さの樹脂フィルム1の巻き替えが可能となる。
【0023】
複数(本実施形態では2ユニット)の照明ユニット10は、図1に示すように、巻替機に配設されて紙管2の外周面上方に所定の距離をおき斜めに並設され、紙管2に巻き替え途中の長い樹脂フィルム1の検査領域5に直線光の光線(図1の矢印参照)を均一に照射し、樹脂フィルム1を映し出すとともに、樹脂フィルム1上でハレーションを発生させるよう機能する。複数の照明ユニット10は、紙管2の径方向に所定の間隔をおいて配列され、制御用のコントローラ20に接続される。各照明ユニット10は、特に限定されるものではないが、低消費電力で長寿命のLEDを必要数備え、狭いスペースにも容易に設置可能とする観点から、小型のユニットに構成される。
【0024】
撮像カメラ30は、図1に示すように、特に限定されるものではないが、例えばノイズの少ない高感度で小型のCCDカメラ、あるいは簡素な構成で安価な小型のCMOSカメラ等からなり、紙管2の外周面直上に所定の距離をおき設置され、制御用のコントローラ20に接続されており、複数の照明ユニット10から光線が照射された巻き替え中の樹脂フィルム1の検査領域5を連続して撮像するよう機能する。
【0025】
撮像カメラ30は、巻替機に配設されて複数の照明ユニット10の間に位置し、しかも、複数の照明ユニット10の上方に位置する。この撮像カメラ30のレンズは、樹脂フィルム1の巻き径が大きくなるにつれて樹脂フィルム1の検査領域5のピント合わせ位置が手前にずれる場合等には、焦点深度の大きいタイプが使用される。
【0026】
撮像カメラ30は、必要に応じ、紙管2に巻き付け開始端部が巻き付けられた樹脂フィルム1の巻き付け開始端部以外の部分を撮像するよう制御される。これは、紙管2に静電気で巻き付けられた樹脂フィルム1の巻き付け開始端部には、必ず巻きしわ4が発生するので、巻きしわ4検出の必要性が低いからである。また、撮像カメラ30は、樹脂フィルム1の巻き替え位置が移動するような場合には、必要に応じ、紙管2の外周面に対して昇降可能に設置される。
【0027】
検出手段40は、同図に示すように、例えば専用の検査ソフトがインストールされたパーソナルコンピュータ等からなり、コントローラ20と、撮像カメラ30が撮像した樹脂フィルム1の検査領域5の画像を表示するモニター41とにケーブルを介して接続される。
【0028】
係る検出手段40は、例えば、撮像カメラ30が撮像した巻き替え途中の樹脂フィルム1の検査領域5の画像情報(画像の中で測定された光学濃度等)を前処理(例えば、画像の濃淡処理等)して検出値に変換する機能と、変換された検出値と予め設定された閾値とを一定時間比較する機能と、一定時間比較した結果、検出値が閾値以上の場合には、巻き替え中の樹脂フィルム1に長い巻きしわ4が発生したと判定する機能と、一定時間比較した結果、検出値が閾値未満の場合には、巻き替え中の樹脂フィルム1に長い巻きしわ4が発生していないと判定する機能とを実現する。
【0029】
この機能を実現する際、検出手段40は、紙管2に巻き付け開始端部が巻き付けられた樹脂フィルム1の巻き付け開始端部以外の部分の画像情報を用いるのが好ましい。これは、紙管2に静電気により巻き付けられた樹脂フィルム1の巻き付け開始端部には、必ず巻きしわ4が発生するので、巻きしわ4検出の必要性が低く、しかも、誤検出のおそれがあるからである。また、検出値と比較される閾値は、実用上問題となる巻きしわ4の長さを考慮して設定される。
【0030】
上記構成において、原反から紙管2に透明の樹脂フィルム1を巻き替え、この巻き替え時の巻きしわ4の有無を検出する場合には、巻替機に紙管2を供給し、複数の照明ユニット10と撮像カメラ30とをそれぞれ起動し、原反の樹脂フィルム1の端部を巻き付け開始端部として紙管2の外周面に静電気を用いて巻き付け、その後、原反と紙管2とをそれぞれ回転させ、紙管2に長尺の樹脂フィルム1を徐々に巻き替えて多層の包装ロール体3とする。
【0031】
この際、樹脂フィルム1は、巻き付け開始端部に必ず巻きしわ4が発生するが、巻き付け開始端部以外の部分に長い巻きしわ4、短い巻きしわ4、微細な巻きしわ4が周方向に発生することがある。この巻きしわ4は、全体的に動く場合、幅方向の同じ位置に重なることはないという特徴を有する。また、巻き替え中の樹脂フィルム1の検査領域5は、複数の照明ユニット10に照明され、かつ撮像カメラ30に連続して撮像されることにより、撮像カメラ30が撮像した画像がモニター41に表示され、画像情報が検出手段40に連続して出力される。
【0032】
次いで、検出手段40は、撮像カメラ30が撮像した巻き替え途中の樹脂フィルム1の検査領域5の画像情報を前処理して検出値に変換し、変換された検出値と予め設定された閾値とを一定時間比較する。この際、検出値は、樹脂フィルム1の検査領域5に凹凸の巻きしわ4が存在し、光線の透過量が少ない場合には、画像情報の画素濃度が高くなるので、値が高くなり、樹脂フィルム1の検査領域5に凹凸の長い巻きしわ4が存在し、光線の透過量が非常に少ない場合には、画像情報の画素濃度が非常に高くなり、値がきわめて高くなる。これに対し、樹脂フィルム1の検査領域5に巻きしわ4が存在しない場合には、光線の透過量が多くなり、画像情報の画素濃度が低下するので、値が低くなる。
【0033】
検出手段40は、一定時間比較した結果、検出値が閾値以上の場合には、巻き替え中の樹脂フィルム1の検査領域5に長い巻きしわ4が発生したと判定し、この判定により、樹脂フィルム1の巻き替えが中断され、樹脂フィルム1が系外に廃棄される。これに対し、一定時間比較した結果、検出値が閾値未満の場合には、巻き替え中の樹脂フィルム1に長い巻きしわ4が発生していないと判定し、樹脂フィルム1の巻き替え終了後の包装ロール体3が良品として取り扱われる。
【0034】
なお、巻き替え中の樹脂フィルム1の検査領域5に長い巻きしわ4が発生したと判定された場合、樹脂フィルム1の巻き替えを中断しても良いが、樹脂フィルム1の巻き替えを継続し、樹脂フィルム1の巻き替え終了後の包装ロール体3を不良品として系外に排出することができる。
【0035】
上記によれば、包装ロール体3の製造後や製造直後ではなく、包装ロール体3の製造途中の樹脂フィルム1の巻きしわ4の有無を継続して撮像し、自動的に検査するので、包装ロール体3の外周側や最外周の長い巻きしわ4を検出することができる他、紙管2寄りの内周側の長い巻きしわ4を容易に検出することができる。この検出により、例えば紙管2に20m程度巻き替えられた樹脂フィルム1の長い巻きしわ4の有無も容易に判別することができる。また、包装ロール体3を握ってその巻き硬さの強弱から巻きしわ4の有無を検査する必要が全くないので、検査要員の削減や作業時間の短縮を図ることができ、しかも、食品衛生上の問題が生じるおそれがない。
【0036】
また、巻き替え中の樹脂フィルム1を検査するので、樹脂フィルム1の透明性に拘わりなく、樹脂フィルム1の内周側の長い巻きしわ4を高精度に検出することが可能となる。また、撮像カメラ30が撮像した樹脂フィルム1の検査領域5の画像をモニター41に表示するので、巻きしわ4の有無を視覚的に把握することができ、検査の便宜を図ることが可能になる。
【0037】
例えば、樹脂フィルム1の巻き替え終了端部を折り返して樹脂フィルム1の引き出し用の摘み片6とする場合、例え樹脂フィルム1の折り返された摘み片6を検出手段40が巻きしわ4と誤検出しても、モニター41の表示を活用すれば、検出手段40の誤検出を正すことができ、包装ロール体3の誤った不良品認定を有効に防止することが可能となる。また、巻きしわ4が原因となり、樹脂フィルム1が瘤状に巻き替えられ、包装ロール体3が不良品化するのを有効に防止することができる。さらに、紙管2に空気と静電気とを利用して樹脂フィルム1を巻き付けるので、樹脂フィルム1を密着させ、包装ロール体3の体裁を整えることができる。
【0038】
なお、上記実施形態では原反から紙管2に透明の樹脂フィルム1を巻き替えたが、原反を省略し、紙管2に樹脂フィルム1を巻き付けても良い。また、上記実施形態では単一の撮像カメラ30を使用したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、巻替機における樹脂フィルム1の巻き替え部が狭い場合には、紙管2の軸方向の斜め上、横、斜め下等に複数の撮像カメラ30を並べて使用しても良い。
【0039】
この場合、樹脂フィルム1の幅方向全ての結果を集合させ、樹脂フィルム1の幅方向全体に発生している巻きしわ4の比率を求め、巻きしわ4の検査結果としても良い。また、動画による連続撮像ではなく、撮像カメラ30で静止画像を連続撮像して樹脂フィルム1の検査領域5に巻きしわ4があるか否かを検出しても良い。
【0040】
また、検出手段40には、撮像カメラ30が複数の場合、各撮像カメラ30が撮像した巻き替え途中の樹脂フィルム1の検査領域5の画像情報(例えば、画素濃度等)を前処理して検出値に変換する機能と、変換された検出値を加算する機能と、加算された検出値の合計値と予め設定された閾値とを一定時間比較する機能と、比較の結果、検出値の合計値が閾値以上の場合には、巻き替え中の樹脂フィルム1に長い巻きしわ4が発生したと判定する機能と、比較の結果、検出値の合計値が閾値未満の場合には、巻き替え中の樹脂フィルム1に長い巻きしわ4が発生していないと判定する機能とを実現させることができる。さらに、検出手段40に、紙管2に巻き替えられた樹脂フィルム1の巻き付け終了部以外の部分の画像情報を利用させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るしわ検査方法は、樹脂フィルムからなるシートの製造分野で使用される。
【符号の説明】
【0042】
1 樹脂フィルム(シート)
2 紙管(巻芯)
3 包装ロール体
4 巻きしわ
5 検査領域
10 照明ユニット(照明手段)
20 コントローラ
30 撮像カメラ(撮像手段)
40 検出手段
41 モニター(画像表示手段)
図1
図2
図3
図4