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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】車両貸出システム、及び車両貸出方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20221214BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20221214BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20221214BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/30
G06Q10/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018175633
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020047019
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内富 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】中島 慶
(72)【発明者】
【氏名】福原 吉之助
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088130(JP,A)
【文献】特開平10-255191(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/140954(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識部と、
利用者が予定している貸出車両の使用態様であって、前記貸出車両を移動させずに使用する態様が含まれている予定使用態様を認識する予定使用態様認識部と、
前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定部と、
前記複数の貸出候補車両が待機している駐車スペースの使用予定を認識する駐車スペース使用予定認識部と、を備え、
前記貸出車両選定部は、前記駐車スペース使用予定認識部による認識結果に基づいて、待機している駐車スペースから移動する必要がない前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として優先的に選定する
ことを特徴とする車両貸出システム。
【請求項2】
前記複数の貸出候補車両の装備仕様を認識する装備仕様認識部を備え、
前記予定使用態様は、前記利用者による前記貸出車両の装備の使用を含み、
前記貸出車両選定部は、前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態と、前記装備仕様認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の装備仕様とに基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定することを特徴とする請求項に記載の車両貸出システム。
【請求項3】
複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識部と、
利用者が予定している貸出車両の使用態様である予定使用態様を認識する予定使用態様認識部と、
前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定部と、
前記複数の貸出候補車両が待機している駐車スペースの使用予定を認識する駐車スペース使用予定認識部と、
前記複数の貸出候補車両の装備仕様を認識する装備仕様認識部と、を備え、
前記予定使用態様は、前記利用者による前記貸出車両の装備の使用を含み、
前記貸出車両選定部は、前記駐車スペース使用予定認識部による認識結果に基づいて、待機している駐車スペースから移動する必要がない前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として優先的に選定し、前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態と、前記装備仕様認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の装備仕様とに基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定する
ことを特徴とする車両貸出システム。
【請求項4】
前記複数の貸出候補車両は電動車両であり、
前記車両状態認識部は、前記複数の貸出候補車両の状態として、前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量を認識し、
前記貸出車両選定部は、前記車両状態認識部により認識された前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量に基づいて、備えられた蓄電池の残容量が前記予定使用態様による使用が可能なレベルである前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両貸出システム。
【請求項5】
前記貸出候補車両の車室内の整頓状態を認識する車室内整頓状態認識部を備え、
前記貸出車両選定部は、前記車室内整頓状態認識部により認識された車室内の整頓状態が所定の整頓良好レベルに達していない前記貸出候補車両を除外して、前記利用者に対する前記貸出車両を選定することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の車両貸出システム。
【請求項6】
複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識部と、
利用者が予定している貸出車両の使用態様である予定使用態様を認識する予定使用態様認識部と、
前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定部と、
前記複数の貸出候補車両の装備仕様を認識する装備仕様認識部と、を備え、
前記車両は電動車両であり、
前記予定使用態様は、前記利用者が、前記貸出車両を移動させずに、前記貸出車両に備えられた蓄電池からの電力を使用する前記車両の装備を使用する態様であり、
前記車両状態認識部は、前記複数の貸出候補車両の状態として、前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量を認識し、
前記貸出車両選定部は、前記車両状態認識部により認識された前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量に基づいて、備えられた蓄電池の残容量が前記予定使用態様による使用が可能なレベルである前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定する
ことを特徴とする車両貸出システム。
【請求項7】
コンピュータにより実行される車両貸出方法であって、
複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識ステップと、
利用者が予定している貸出車両の使用態様であって、前記貸出車両を移動させずに使用する態様が含まれている予定使用態様を認識する予定使用態様認識ステップと、
前記車両状態認識ステップにより認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な状態となっている前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定ステップと、
前記複数の貸出候補車両が待機している駐車スペースの使用予定を認識する駐車スペース使用予定認識ステップと、を含み、
前記貸出車両選定ステップは、前記駐車スペース使用予定認識ステップによる認識結果に基づいて、待機している駐車スペースから移動する必要がない前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として優先的に選定する
ことを特徴とする車両貸出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両貸出システム、及び車両貸出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動車両の貸出を希望する利用者に対して、貸出可能な電動車両のバッテリ残容量と走行可能距離の情報を提供するようにした情報提供システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-31730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された情報提供システムによれば、利用者は、バッテリ残容量と走行可能距離を確認して、利用者の走行予定距離に適応した貸出車両を選択することができる。しかしながら、利用者による貸出車両の使用形態は多様化しており、走行中或いは停止中における利用者の使用形態に応じて、バッテリの消費量が変動する。そのため、走行以外の用途に使用される電力についても考慮して、貸出車両を選択できることが望まれている。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、利用者による使用態様に適合した貸出車両の選定が可能な車両貸出システム、及び車両貸出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1の構成として、複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識部と、利用者が予定している貸出車両の使用態様であって、前記貸出車両を移動させずに使用する態様が含まれている予定使用態様を認識する予定使用態様認識部と、前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定部と、前記複数の貸出候補車両が待機している駐車スペースの使用予定を認識する駐車スペース使用予定認識部と、を備え、前記貸出車両選定部は、前記駐車スペース使用予定認識部による認識結果に基づいて、待機している駐車スペースから移動する必要がない前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として優先的に選定する車両貸出システムが挙げられる。
【0007】
上記構成において、前記複数の貸出候補車両の装備仕様を認識する装備仕様認識部を備え、前記予定使用態様は、前記利用者による前記貸出車両の装備の使用を含み、前記貸出車両選定部は、前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態と、前記装備仕様認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の装備仕様とに基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定する構成としてもよい。
上記目的を達成するための第2の構成として、複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識部と、利用者が予定している貸出車両の使用態様である予定使用態様を認識する予定使用態様認識部と、前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定部と、前記複数の貸出候補車両が待機している駐車スペースの使用予定を認識する駐車スペース使用予定認識部と、前記複数の貸出候補車両の装備仕様を認識する装備仕様認識部と、を備え、前記予定使用態様は、前記利用者による前記貸出車両の装備の使用を含み、前記貸出車両選定部は、前記駐車スペース使用予定認識部による認識結果に基づいて、待機している駐車スペースから移動する必要がない前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として優先的に選定し、前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態と、前記装備仕様認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の装備仕様とに基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定する車両貸出システムが挙げられる。
【0008】
上記構成において、前記複数の貸出候補車両は電動車両であり、前記車両状態認識部は、前記複数の貸出候補車両の状態として、前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量を認識し、前記貸出車両選定部は、前記車両状態認識部により認識された前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量に基づいて、備えられた蓄電池の残容量が前記予定使用態様による使用が可能なレベルである前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定する構成としてもよい。
【0010】
上記構成において、前記貸出候補車両の車室内の整頓状態を認識する車室内整頓状態認識部を備え、前記貸出車両選定部は、前記車室内整頓状態認識部により認識された車室内の整頓状態が所定の整頓良好レベルに達していない前記貸出候補車両を除外して、前記利用者に対する前記貸出車両を選定する構成としてもよい。
また、上記目的を達成するための第の構成として、複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識部と、利用者が予定している貸出車両の使用態様である予定使用態様を認識する予定使用態様認識部と、前記車両状態認識部により認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定部と、前記複数の貸出候補車両の装備仕様を認識する装備仕様認識部と、を備え、前記車両は電動車両であり、前記予定使用態様は、前記利用者が、前記貸出車両を移動させずに、前記貸出車両に備えられた蓄電池からの電力を使用する前記車両の装備を使用する態様であり、前記車両状態認識部は、前記複数の貸出候補車両の状態として、前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量を認識し、前記貸出車両選定部は、前記車両状態認識部により認識された前記各貸出候補車両に備えらえた蓄電池の残容量に基づいて、備えられた蓄電池の残容量が前記予定使用態様による使用が可能なレベルである前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として選定する車両貸出システムが挙げられる。
【0011】
また、上記目的を達成するための第の構成として、コンピュータにより実行される車両貸出方法であって、複数の貸出候補車両の状態を認識する車両状態認識ステップと、利用者が予定している貸出車両の使用態様であって、前記貸出車両を移動させずに使用する態様が含まれている予定使用態様を認識する予定使用態様認識ステップと、前記車両状態認識ステップにより認識された前記複数の貸出候補車両の状態に基づいて、前記予定使用態様による使用が可能な状態となっている前記貸出候補車両を、前記利用者に対する貸出車両として選定する貸出車両選定ステップと、前記複数の貸出候補車両が待機している駐車スペースの使用予定を認識する駐車スペース使用予定認識ステップと、を含み、前記貸出車両選定ステップは、前記駐車スペース使用予定認識ステップによる認識結果に基づいて、待機している駐車スペースから移動する必要がない前記貸出候補車両を、前記利用者に対する前記貸出車両として優先的に選定する車両貸出方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
上記車両貸出システム、及び車両貸出方法によれば、車両状態認識部又は車両状態認識ステップにより、複数の貸出候補車両の状態が認識される。また、予定使用態様認識部又は予定使用態様認識ステップにより、利用者が予定している貸出車両の使用態様である予定使用態様が認識される。そして、貸出車両選定部又は貸出車両選定ステップにより、複数の貸出候補車両の状態に基づいて、予定使用態様による使用が可能な貸出候補車両が、利用者に対する貸出車両として選定される。これにより、利用者が予定している使用態様に適合した貸出車両を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】車両貸出システムの構成図。
図2】貸出候補車両情報の説明図。
図3】予定使用態様情報の説明図。
図4】貸出車両の選定処理のフローチャート。
図5】予約受付画面、及び予約完了画面の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1.車両貸出システムの構成]
図1図3を参照して、本実施形態における車両貸出システム1の構成について説明する。図1は、本実施形態における車両貸出システム1の構成と、利用者Puによる予約申込に応じて、車両貸出システム1が貸出車両の予約処理を行う状況を示している。
【0015】
図1には、車両貸出システム1が管理している貸出候補車両として、貸出候補車両70,80,90を例示している。車両貸出システム1は、カーシェアリングやカーレンタルにより貸出候補車両70,80,90を貸出すサービスを提供する。本実施形態における貸出候補車両70,80,90は、蓄電池72,82,92を動力源とする電動車両であり、ECU(Electronic Control Unit)71,81,91によって作動が制御される。貸出候補車両70,80,90は、貸出及び返却のための待機場所である駐車スペース75,85,95に、それぞれ駐車している。
【0016】
車両貸出システム1は、CPU(Central Processing Unit)10、メモリ30、通信部40等により構成されたコンピュータシステムである。通信部40は、通信ネットワーク100を介して、貸出候補車両70,80,90にそれぞれ搭載されたECU71,81,91、及び利用者Puが所持している通信端末50との間で通信を行う。通信端末50は、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ等の携帯型の通信端末である。
【0017】
メモリ30には、車両貸出システム1の制御用プログラム31、貸出候補車両情報32、及び予定使用態様情報33が保存されている。貸出候補車両情報32には、図2に示したように、車両貸出システム1が管理している複数の貸出候補車両毎に、符号32aで示した車両ID(identification)、符号32bで示した車種、符号32cで示した乗員数、符号32dで示した蓄電池残容量、符号32eで示した車両装置、符号32fで示した走行可能距離、符号32gで示した車両装備の使用可能期間、符号32hで示した駐車スペース使用予定、及び符号32で示した貸出可能期間等の情報が記録されている。
【0018】
車両IDは、各貸出候補車両を管理するために、車両貸出システム1により発行された識別情報である。車種は、貸出候補車両の種別(セダン、ハッチバック、ミニバン等)であってもよく、車名であってもよい。蓄電池残容量は、各貸出候補車両から送信される蓄電池の残容量の測定データに基いて記録される。車両装備は、貸出候補車両で利用者Puが使用可能な装備であり、電子機器の充電に利用可能なUSB端子、無線による通信ネットワーク100へのアクセスに利用可能なWiFi(登録商標)通信部、BD(Blu-ray Disc,Blu-rayは登録商標)の再生装置、オーディオ機器、ラジオ、空調装置等が含まれる。
【0019】
走行可能距離は、蓄電池の残容量と車種に基づく単位走行距離あたりの電力消費量とに応じて算出される。車両装備の使用可能期間は、蓄電池の残容量と車両装備の単位時間あたりの消費電力とに応じて算出される。駐車スペース使用予定は、駐車スペースへの他の貸出車両の返却等による使用予定を示しており、使用が予定されている場合には、使用予定時間までに駐車スペースを空ける必要がある。貸出可能期間は、予約が未だ設定されておらず、予約の申込が可能な期間を示している。
【0020】
予定使用態様情報33には、図3に示したように、車両貸出システム1への利用登録を行った各利用者毎に、符号33aで示した利用者ID、符号33bで示した貸出車両の予定使用期間(予約期間)、符号33cで示した希望車種、符号33d示した車両の移動、及び符号33eで示した予定使用態様等の情報が記録されている。
【0021】
利用者IDは、各利用者による貸出車両の予約を管理するために、車両貸出システム1により発行された識別情報である。予定使用期間は、利用者が申し込んだ貸出車両の予約期間である。希望車種は、利用者が申し込んだ貸出車両の車種である。車両の移動は、利用者による貸出車両での移動の有無を示している。車両の移動有りの場合は、利用者が貸出車両を移動目的で使用することを示し、車両の移動無しの場合は、利用者が貸出車両を移動せずに、停車した貸出車両を空間として使用することを示している。空間としての使用には、ワークスペース、休憩スペース、音楽鑑賞、映像視聴等の形態による使用が想定される。
【0022】
CPU10は、制御用プログラム31を読み込んで実行することにより、車両予約受付部11、車両状態認識部12、装備仕様認識部13、駐車スペース使用予定認識部14、予定使用態様認識部15、貸出車両選定部16、及び車室内整頓状態認識部17として機能する。以下では、図1に示した状況で、利用者Puが貸出車両の予約をする場合について説明する。
【0023】
なお、車両状態認識部12により実行される処理は、本発明の車両貸出方法における車両状態認識ステップに相当し、予定使用態様認識部15により実行される処理は、本発明の車両貸出方法における予定使用態様認識ステップに相当する。また、貸出車両選定部16により実行される処理は、本発明の車両貸出方法における貸出車両選定ステップに相当する。
【0024】
車両予約受付部11は、利用者Puの通信端末50から送信される予約申込情報を受信することによって、貸出車両の予約を受け付ける。車両状態認識部12は、貸出候補車両70,80,90のECU71,81,91から送信される蓄電池72,82,92の残容量の測定データに基いて、蓄電池72,82,92の残容量を認識して貸出候補車両情報32に記録する。
【0025】
装備仕様認識部13は、貸出候補車両70,80,90のECU71,81,91から送信される装備仕様データに基いて貸出候補車両70,80,90の装備仕様を認識し、貸出候補車両情報32に記録する。駐車スペース使用予定認識部14は、貸出候補車両70,80,90が待機している駐車スペース75,85,95の今後の使用予定を、車両貸出システム1に登録されている各貸出候補車両から送信される返却場所申請情報に基づいて認識し、貸出候補車両情報32に記録する。
【0026】
予定使用態様認識部15は、車両予約受付部11により受け付けられた利用者Puによる予約条件に基づいて、利用者Puによる貸出車両の予定使用態様を認識し、予定使用態様情報33に記録する。貸出車両選定部16は、車両状態認識部12、装備仕様認識部13、及び駐車スペース使用予定認識部14による認識結果に基づいて、予定使用態様認識部15により認識された利用者Puの予定使用態様での使用が可能な貸出候補車両を、貸出車両として選定する。
【0027】
車室内整頓状態認識部17は、貸出候補車両70,80,90の車室に備えられたカメラにより撮影されて、貸出候補車両70,80,90から送信される車室内の画像を受信して、貸出候補車両70,80,90の車室内の整頓状態を認識する。車室内整頓状態認識部17は、綺麗に整頓された状態での車室内の画像(予めメモリ30に保存されている)と、受信した現在の車室内の画像とを比較して、現状の貸出候補車両70,80,90の整頓レベルを評価する。この場合、比較した両画像の相違度合が大きいほど、整頓レベルは低くなる。
【0028】
また、他の構成として、貸出候補車両70,80,90の車室内に備えられたカメラではなく、利用者が、スマートフォンの内蔵カメラ等によって、使用終了時の貸出車両70,80,90の車室内を撮影し、撮影した画像を車両貸出システム1に送信するようにしてもよい。この場合、車室内整頓状態認識部17は、綺麗に整頓された状態での車室内の画像(予めメモリ30に保存されている)と、利用者が送信した使用終了時の車室内の画像を比較して、現状の貸出候補車両の整頓レベルを評価する。
【0029】
[2.貸出車両の選定処理]
次に、図4に示したフローチャートに従って、車両貸出システム1により実行される貸出車両の選定処理について説明する。
【0030】
図4のステップS1で、車両予約受付部11は、利用者Puの通信端末50から、貸出車両の予約申込情報を受信したときに、ステップS2に処理を進める。ここで、図5は、利用者Puが、通信端末50により車両貸出システム1が提供する貸出車両の予約サイトにアクセスした際に、通信端末50のタッチパネル51に表示される予約受付画面52を示している。
【0031】
予約受付画面52には、予約条件として、予約希望日と時間、希望車種、車両の移動の有無、車両装備の予定使用態様等が示される。そして、ステップS2で、予定使用態様認識部15は、予約条件に基づいて、利用者Puによる貸出車両の予定使用態様を認識し、予定使用態様情報33に記録する。
【0032】
次のステップS3で、貸出車両選定部16は、利用者Puによる貸出車両の予定使用態様が、貸出車両により移動する使用態様であるか否かを判断する。そして、貸出車両選定部16は、貸出車両により移動する使用態様であるときはステップS4に処理を進め、貸出車両により移動する使用態様でないとき(停車状態で貸出車両を使用する使用態様であるとき)には、ステップS10に処理を進める。
【0033】
ステップS10で、貸出車両選定部16は、貸出候補車両情報32を参照して、以下の第1条件~第3条件を満たす貸出候補車両を貸出車両として選定し、ステップS5に処理を進める。
第1条件…利用者Puの予定使用態様に適合した装備を有している。
第2条件…蓄電地の残容量が、予定使用期間内での予定使用態様での使用が可能なレベルである。
第3条件…予定使用期間内に、貸出候補車両が待機中の駐車スペースを空ける必要がない。
【0034】
ここで、貸出車両選定部16が、車室内整頓状態認識部17により認識された車室内の整頓レベルが所定の整頓良好レベルに達していない貸出候補車両を除外して、貸出車両を選定するようにしてもよい。
【0035】
図5に示した例では、予定使用態様に、USB端子による充電、テレビの視聴、音楽の聴取、及び空調が含まれているため、第1条件により、これらの使用態様が可能な設備を有している貸出候補車両が抽出される。また、第3条件により、少なくとも予約条件により申請された予定使用期間中に、待機している駐車スペースへの他車両の返却が予定されていない貸出候補車両が優先的に抽出される。これにより、予定使用期間中における、駐車スペースに停車した状態での貸出車両の使用が確保される。
【0036】
一方、ステップS4では、貸出車両選定部16は、貸出候補車両情報32を参照して、以下の第4条件~第5条件を満たす貸出候補車両を貸出車両として選定し、ステップS5に処理を進める。
第4条件…利用者Puの予定使用態様に適合した装備を有している。
第5条件…蓄電池の残容量が、予定走行距離の走行が可能なレベルである。
【0037】
ステップS5で、貸出車両選定部16は、ステップS4又はステップS10で選定した貸出車両の予約情報を利用者Puの通信端末50に送信する。通信端末50は、図5に示したように、タッチパネル51に、予約内容を示す予約完了画面53を表示する。利用者Puは、予約完了画面53を視認することによって、自身の要望を満たした貸出車両が予約されたか否かを確認することができる。
[3.他の実施形態]
上記実施形態では、貸出候補車両として電動車両を示したが、貸出候補車両が、化石燃焼をエネルギー源とする車両やハイブリッド車両であるときにも、本発明の適用が可能である。この場合、車両状態認識部12は、例えば、化石燃料の残量を貸出候補車両の状態として認識する。
【0038】
上記実施形態では、貸出車両選定部16は、駐車スペース使用予定認識部14により認識された駐車スペースの今後の使用状況に基づいて、貸出車両を選定したが、駐車スペースの使用予定を考慮せずに、貸出車両を選定する構成としてもよい。
【0039】
上記実施形態では、車両貸出システム1を、利用者Puの通信端末50との間で通信を行うコンピュータシステムにより構成した。他の構成として、車両貸出システム1の構成の全部又は一部を、通信端末50により構成してもよい。車両貸出システム1の構成の全部を利用者Puの通信端末50により構成したときには、通信端末50が、各貸出候補車両から車両状態、装備仕様等を受信して、利用者Puの予定使用態様に見合った車両装備と蓄電池の残容量を有する貸出車両を選定する。
【0040】
上記実施形態では、車両貸出システム1のメモリ30に、貸出候補車両情報32と予定使用態様情報32を保存する構成を示した。他の構成として、貸出候補車両情報32と予定使用態様情報32を、車両貸出システム1を運用する車両貸出サービスの提供者と、利用者との間で、ブロックチェーンプラットフォームにより保存する構成としてもよい。この構成によれば、図4のステップS2,S4,S10の処理において、予定使用態様情報33及び貸出候補車両情報32の履歴を、ブロックチェーンの仕組みを用いて簡単に参照することができる。
【0041】
なお、図1は、本願発明の理解を容易にするために、車両貸出システム1の機能構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両貸出システム1の構成を、他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図4に示した各構成要素の処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…車両貸出システム、10…CPU、11…車両予約受付部、12…車両状態認識部、13…装備仕様認識部、14…駐車スペース使用予定認識部、15…予定使用態様認識部、16…貸出車両選定部、17…車室内整頓状態認識部、30…メモリ、31…制御用プログラム、32…貸出候補車両情報、33…予定使用態様情報、50…利用者の通信端末、70,80,90…貸出候補車両、71,81,91…ECU、72,82,92…蓄電池、100…通信ネットワーク、Pu…利用者。
図1
図2
図3
図4
図5