(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】コイル部品及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20221214BHJP
H01F 41/10 20060101ALI20221214BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01F27/29 F
H01F27/29 H
H01F27/29 123
H01F41/10 C
H01F41/04 B
(21)【出願番号】P 2018185571
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和寛
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-027029(JP,A)
【文献】特開2013-033871(JP,A)
【文献】特開2012-178532(JP,A)
【文献】特開2014-049528(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115024(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0307694(US,A1)
【文献】特開2017-157718(JP,A)
【文献】特開平11-283840(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217308(WO,A1)
【文献】特開2009-158735(JP,A)
【文献】実開昭56-114512(JP,U)
【文献】実開昭58-187116(JP,U)
【文献】実開平04-088014(JP,U)
【文献】特開平06-260342(JP,A)
【文献】特開平11-204346(JP,A)
【文献】特開2014-099587(JP,A)
【文献】特開2017-045903(JP,A)
【文献】特開2018-010990(JP,A)
【文献】特開2018-125397(JP,A)
【文献】特開2018-125398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
H01F 41/10
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻軸と、前記巻軸の軸方向の端に板状に設けられ、前記巻軸とは反対側の外面と、前記外面に設けられた溝部と、前記溝部の長軸と交わる第1側面と、前記第1側面に設けられた第1凹部と、を有する鍔部と、を含むコア部と、
絶縁被覆を有する導体が巻回された周回部と、前記導体が前記周回部から前記鍔部の前記第1側面に沿って引き出され、前記鍔部の前記溝部内に引き出された引出部と、を含むコイル部と、
前記鍔部の前記溝部内に前記第1側面から離れて設けられ、前記引出部の前記絶縁被覆が剥離された端部と半田部とを含む端子部と、を備え、
前記軸方向における前記外面から前記第1凹部の底面までの深さ寸法は、前記軸方向における前記外面から前記溝部の底面までの深さ寸法以上であり、
前記溝部と前記第1凹部の境界における前記溝部の底面と同じ高さでの前記第1凹部の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法は、前記溝部と前記第1凹部の境界における前記溝部の底面の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法より大きい、コイル部品。
【請求項2】
前記溝部と前記第1凹部の境界における前記第1凹部の空間部の前記第1側面に平行な面の断面積は、前記溝部と前記第1凹部の境界における前記溝部の前記第1側面に平行な面の断面積よりも大きい、請求項1記載のコイル部品。
【請求項3】
前記鍔部は、前記第1側面に隣接した第2側面及び第3側面を有し、
前記第1凹部は、前記第2側面及び前記第3側面に接し
、前記第2側面から前記第3側面にかけて設けられている、請求項
1または2記載のコイル部品。
【請求項4】
前記軸方向における前記外面から前記第1凹部の底面までの深さ寸法は、前記軸方向における前記外面から前記溝部の底面までの深さ寸法よりも大きい、請求項
1から3のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項5】
前記溝部は、前記溝部の前記外面の開口部において、前記第1側面に平行な方向の幅寸法が前記第1側面に垂直な長さ方向の一端から他端にかけて略一定である、請求項1から
4のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項6】
前記鍔部は、前記巻軸側に内面を有し、前記第1側面は前記内面と前記第1側面との隣接部であって前記引出部が引き出される部分に第2凹部を有する、請求項1から
5のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項7】
前記鍔部は、前記第1側面とは反対側の第4側面と、前記第4側面に設けられた第3凹部と、を有し、
前記軸方向における前記外面から前記第3凹部の底面までの深さ寸法は、前記軸方向における前記外面から前記溝部の底面までの深さ寸法以上であり、
前記溝部と前記第3凹部の境界における前記溝部の底面と同じ高さでの前記第3凹部の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法は、前記溝部と前記第3凹部の境界における前記溝部の底面の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法より大きい、請求項1から
6のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項8】
前記鍔部の前記外面は長辺と短辺を有し、
前記鍔部の前記第1側面は、前記長辺と略平行である、請求項1から
7のいずれか一項記載のコイル部品。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項記載のコイル部品と、
前記コイル部品が実装された回路基板と、を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラムコアの巻軸に巻回された導線が鍔部の外面に設けられた溝内に引き出され、溝内に引き出された導線の端部が溝内に設けられた金属膜に半田で接合されて電極が形成されたコイル部品が知られている。例えば、導線と金属膜が半田で安定して接続されるよう、鍔部を半田槽に浸漬させた後、溝の延伸方向が接線方向となるようにドラムコアを所定の速さで回転させながらドラムコアを半田槽から引き上げる方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コイルの周回部から引き出される引出部を金属膜に半田接合する場合、半田接合前に、引出部の表面を覆う絶縁被膜を剥離する処理が行われる。絶縁被膜の剥離には、一般的に、フラックスが用いられるが、半田接合後に少量のフラックスの残渣が発生してしまっていた。フラックスの残渣が大量にあると経時変化による絶縁被膜の腐食などによって絶縁特性の低下などの要因となるため、フラックスの残渣は出来るだけ少ない方が好ましい。近年のコイル部品の大電流化に伴い、コイルの導体を太くして低抵抗化を図ることが行われている。導体が太い場合、導体の表面積は増大し、また、導体の表面を覆う絶縁被膜も導体に太さに応じて厚くなるため、絶縁被膜の剥離に用いるフラックスの使用量が増大する。このため、コイル部品にフラックスの残渣がより大量に発生し易くなり、経時変化による特性劣化など、信頼性の低下が懸念されている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、信頼性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、巻軸と、前記巻軸の軸方向の端に板状に設けられ、前記巻軸とは反対側の外面と、前記外面に設けられた溝部と、前記溝部の長軸と交わる第1側面と、前記第1側面に設けられた第1凹部と、を有する鍔部と、を含むコア部と、絶縁被覆を有する導体が巻回された周回部と、前記導体が前記周回部から前記鍔部の前記第1側面に沿って引き出され、前記鍔部の前記溝部内に引き出された引出部と、を含むコイル部と、前記鍔部の前記溝部内に前記第1側面から離れて設けられ、前記引出部の前記絶縁被覆が剥離された端部と半田部とを含む端子部と、を備え、前記軸方向における前記外面から前記第1凹部の底面までの深さ寸法は、前記軸方向における前記外面から前記溝部の底面までの深さ寸法以上であり、前記溝部と前記第1凹部の境界における前記溝部の底面と同じ高さでの前記第1凹部の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法は、前記溝部と前記第1凹部の境界における前記溝部の底面の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法より大きい、コイル部品である。
【0007】
上記構成において、前記溝部と前記第1凹部の境界における前記第1凹部の空間部の前記第1側面に平行な面の断面積は、前記溝部と前記第1凹部の境界における前記溝部の前記第1側面に平行な面の断面積よりも大きい構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記鍔部は、前記第1側面に隣接した第2側面及び第3側面を有し、前記第1凹部は、前記第2側面及び前記第3側面に接し、前記第2側面から前記第3側面にかけて設けられている構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記軸方向における前記外面から前記第1凹部の底面までの深さ寸法は、前記軸方向における前記外面から前記溝部の底面までの深さ寸法よりも大きい構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記溝部は、前記溝部の前記外面の開口部において、前記第1側面に平行な方向の幅寸法が前記第1側面に垂直な長さ方向の一端から他端にかけて略一定である構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記鍔部は、前記巻軸側に内面を有し、前記第1側面は前記内面と前記第1側面との隣接部であって前記引出部が引き出される部分に第2凹部を有する構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記鍔部は、前記第1側面とは反対側の第4側面と、前記第4側面に設けられた第3凹部と、を有し、前記軸方向における前記外面から前記第3凹部の底面までの深さ寸法は、前記軸方向における前記外面から前記溝部の底面までの深さ寸法以上であり、前記溝部と前記第3凹部の境界における前記溝部の底面と同じ高さでの前記第3凹部の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法は、前記溝部と前記第3凹部の境界における前記溝部の底面の前記第1側面に平行でかつ前記軸方向と垂直な方向の幅寸法より大きい構成とすることができる。
【0017】
上記構成において、前記鍔部の前記外面は長辺と短辺を有し、前記鍔部の前記第1側面は、前記長辺と略平行である構成とすることができる。
【0018】
本発明は、上記記載のコイル部品と、前記コイル部品が実装された回路基板と、を備える電子機器である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、信頼性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1(a)は、実施例1に係るコイル部品の斜視図、
図1(b)は、
図1(a)における樹脂膜及び半田を透視したときの斜視図である。
【
図2】
図2(a)から
図2(c)は、実施例1におけるドラムコアを示す図である。
【
図3】
図3(a)から
図3(c)は、実施例1に係るコイル部品の製造方法を示す斜視図(その1)である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施例1に係るコイル部品の製造方法を示す斜視図(その2)である。
【
図5】
図5(a)は、比較例に係るコイル部品の斜視図、
図5(b)は、
図5(a)における半田及び樹脂膜を透視したときの斜視図である。
【
図6】
図6(a)から
図6(c)は、比較例におけるドラムコアを示す図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、実施例2におけるドラムコアを示す図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、実施例3におけるドラムコアを示す図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、実施例4におけるドラムコアを示す図である。
【
図10】
図10は、実施例5におけるドラムコアの斜視図である。
【
図11】
図11は、実施例6におけるドラムコアの斜視図である。
【
図12】
図12は、実施例7におけるドラムコアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1(a)は、実施例1に係るコイル部品の斜視図、
図1(b)は、
図1(a)における樹脂膜及び半田を透視したときの斜視図である。
図1(a)及び
図1(b)のように、実施例1のコイル部品100は、ドラムコア10、コイル部40、及び端子部70a及び70bを備える。
【0023】
図2(a)から
図2(c)は、実施例1におけるドラムコアを示す図である。
図2(a)は、
図1(a)のA方向から見たときのドラムコア10の側面図、
図2(b)は、
図1(a)のB方向から見たときのドラムコア10の側面図、
図2(c)は、
図1(a)のC方向から見たときのドラムコア10の平面図である。
図2(a)から
図2(c)のように、ドラムコア10は、巻軸12と、巻軸12の軸方向の両端に設けられた板状の鍔部14a及び14bと、を含む。鍔部14aの厚さ寸法T1は0.15mm~0.55mmである。鍔部14bの厚さ寸法T2は0.2mm~0.7mmである。鍔部14bの厚さ寸法T2は、鍔部14aの厚さ寸法T1以上となっている。巻軸12は、例えば底面の輪郭が直線と2つの円弧で形成された柱状形状をしている。鍔部14aは、直方体形状をしている。
【0024】
鍔部14bは、側面20と、側面20と巻軸12を挟んで反対側に位置する側面22と、側面20及び側面22に隣接する側面24と、側面24と巻軸12を挟んで反対側に位置する側面26と、の4つの側面を有する。また、鍔部14bは、巻軸12が接続する内面28と、巻軸12が接続する内面28とは反対側の外面30と、を有する。鍔部14bの外面30には、溝部32a及び32bが設けられている。溝部32a及び32bは、側面20及び22と交差する方向に延びている。言い換えると、側面20及び22は、溝部32a及び32bの長軸と交わる側面である。一例として、溝部32a及び32bは、底面35に向かって幅が狭まるテーパ形状をしている。すなわち、溝部32a及び32bは、底面35と、底面35に隣接し、底面35に向かって溝部32a及び32bの幅が狭まるような2つの斜面37と、を有する。溝部32a及び32bの形状は、底面35と底面35に垂直に隣接する側面とから構成されることもでき、また底面35及び/又は側面は曲面であってもよく、溝状であれば任意の形状とすることができる。
【0025】
一例として、溝部32a及び32bの深さ寸法は0.1mm~0.3mmであり、鍔部14bの厚さ寸法の1/2以下である。溝部32a及び32bが深くなるほど、鍔部14bが薄くなって強度が低下するため、溝部32a及び32bの深さ寸法は、鍔部14bの厚さ寸法の1/3以下が好ましく、1/4以下がより好ましい。溝部32a及び32bの開口部側及び底面側の幅寸法は、溝部32a及び32bの長さ方向の一端から他端にかけて略一定であり、開口部側では0.2mm~2.5mm、底面側では0.1mm~1.0mmである。
【0026】
鍔部14bの側面20及び22には、側面20及び22と外面30との隣接部に、凹部34a及び34bが設けられている。凹部34a及び34bは、鍔部14bの1対の側面24及び26の一方から他方にかけて延伸している。すなわち、凹部34a及び34bは、側面24及び側面26に接して設けられている。凹部34a及び34bの巻軸12の軸方向の深さ寸法は、例えば溝部32a及び32bの巻軸12の軸方向の深さ寸法と略同じである。なお、略同じとは製造誤差程度の違いを含むものである。
【0027】
ドラムコア10は、磁性体材料を含んで形成されている。例えば、ドラムコア10は、Ni-Zn系又はMn-Zn系のフェライト材料、Fe-Si-Cr系、Fe-Si-Al系、又はFe-Si-Cr-Al系などの軟磁性合金材料、Fe又はNiなどの磁性金属材料、アモルファス磁性金属材料、或いはナノ結晶磁性金属材料を含んで形成されている。フェライト材料で形成される場合、ドラムコア10はフェライト材料を焼結することで形成されてもよい。金属磁性粒子で形成される場合、ドラムコア10は金属磁性粒子を樹脂で固めることで形成されてもよいし、金属磁性粒子の表面に形成された絶縁膜が互いに結合することで形成されてもよい。
【0028】
図1(a)及び
図1(b)のように、コイル部40は、絶縁被膜48を有する導線46が巻回された周回部42と、導線46が周回部42から引き出される引出部44a及び44bと、を含む。導線46は、直径が0.05mm以上で、導体断面積が0.00196mm
2以上且つ0.0236mm
2以下であり、導体である金属線50の表面が絶縁被膜48で覆われている。絶縁被膜48で覆われた金属線50は、例えば銅、銀、パラジウム、又は銀パラジウム合金などで形成されている。絶縁被膜48は、例えばポリエステルイミド又はポリアミドなどで形成されている。
【0029】
引出部44a及び44bは、鍔部14bの側面20に沿って折り曲げられて引き出され、更に鍔部14bの外面30に沿って折り曲げられて、鍔部14bの外面30に設けられた溝部32a及び32b内に引き出されている。引出部44a及び44bのうちの溝部32a及び32bに挿入された端部は、絶縁被膜48が剥離されて金属線50が露出している。溝部32a及び32bの深さ寸法は、導線46が溝部32a及び32b内に収まるように、導線46の直径よりも大きい場合が好ましい。溝部32a及び32bの底面側の幅寸法は、導線46の直径の1.0倍より大きい場合が好ましく、1.2倍よりも大きい場合がより好ましく、1.4倍よりも大きい場合が更に好ましい。
【0030】
溝部32a及び32b内には、金属膜60a及び60bが設けられている。金属膜60a及び60bは、溝部32a及び32bの斜面37及び底面35を覆って設けられている。金属膜60a及び60bは、例えば銅、銀、パラジウム、又は銀パラジウム合金などの下地層上にニッケル層及び錫層のめっき層が設けられた積層金属層で形成されている。
【0031】
引出部44a及び44bの金属線50が露出した端部は、溝部32a及び32b内に設けられた金属膜60a及び60bに半田72によって接合している。これにより、端子部70a及び70bが形成されている。すなわち、端子部70a及び70bは、引出部44a及び44bの金属線50が露出した端部と、半田72と、金属膜60a及び60bと、で形成されている。半田72は、溝部32a及び32b内に埋め込まれていて、溝部32a及び32bの外側にははみ出していない。これは、半田72は、半田濡れ性の良好な金属膜60a及び60b上は濡れ広がるが、半田濡れ性が良好ではないドラムコア10上へは濡れ広がり難いためである。半田72は、鍔部14bの外面30と面一であるか、又は、外面30よりも少し盛り上がって形成される。
【0032】
鍔部14bの側面20及び22に設けられた凹部34a及び34bは、側面20及び22の外面30側に溝部32a及び32bと接して設けられている。これにより、端子部70a及び70bに接した溝部32a及び32bの断面積(
図2(a)の細かいハッチ部分に相当)よりも大きな断面積の空間(
図2(a)の粗いハッチ部分に相当)が、端子部70a及び70bと鍔部14bの側面20及び22との間に形成されている。すなわち、端子部70a及び70bに接した溝部32a及び32bの側面20に平行な面の断面積よりも、凹部34aとして側面20に形成された空間部の側面20に平行な面の断面積が大きくなっている。同様に、端子部70a及び70bに接した溝部32a及び32bの側面22に平行な面の断面積よりも、凹部34bとして側面22に形成された空間部の側面22に平行な面の断面積が大きくなっている。
【0033】
鍔部14aと鍔部14bの間に、コイル部40の周回部42を覆って樹脂膜74が設けられている。樹脂膜74は、鍔部14aと鍔部14bの間に収まっており、鍔部14a及び14bの外側には突出していないことが部品の小型化から好ましい。樹脂膜74は、フェライト粒子又は金属磁性粒子を含有する樹脂(例えばエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂)で形成されている。なお、樹脂膜74が設けられていない場合でもよい。
【0034】
コイル部品100の高さHは0.8mm~4.5mm、長さLは1.6mm~7.0mm、幅Wは0.8mm~7.0mmである。なお、上記の高さHは、半田72の突出部分を含んだ値であり、半田72を省いた高さは0.75mm~4.3mmである。金属膜60a及び60bの厚さは0.05mm~0.2mmである。
【0035】
図3(a)から
図4(b)は、実施例1に係るコイル部品の製造方法を示す斜視図である。
図3(a)のように、例えば磁性粒子と樹脂を混合した複合磁性材料を金型に充填して圧縮成形することで、巻軸12と巻軸12の両端に設けられた鍔部14a及び14bとを有するドラムコア10を形成する。鍔部14bには、溝部32a及び32bと凹部34a及び34bとが形成されている。なお、溝部32a及び32bと凹部34a及び34bとは成形後の研削加工によって形成されてもよい。
【0036】
図3(b)のように、鍔部14bの溝部32a及び32b内に、例えばスパッタリング法を用いて下地層を形成した後にめっき法を用いて下地層上にめっき層を形成することで、金属膜60a及び60bを形成する。なお、下地層は、導電性ペーストを塗布することで形成してもよい。
【0037】
図3(c)のように、ドラムコア10の巻軸12に絶縁被膜48で被覆された導線46を巻回すとともに導線46の両端部に曲げ加工を施して、巻軸12に巻回された周回部42と周回部42から鍔部14bの溝部32a及び32b内に引き出された引出部44a及び44bとを含むコイル部40を形成する。なお、コイル部40は、別に準備され、ドラムコア10と組み合わされた後に曲げ加工などを行うこともできる。引出部44a及び44bのうちの溝部32a及び32b内に位置する端部にフラックス52を塗布する。
【0038】
図4(a)のように、引出部44a及び44bのフラックス52が塗布されている端部を半田と共に加熱し、フラックス52の作用により絶縁被膜48が剥離され金属線50が露出した部分を半田72によって金属膜60a及び60bに接合させる。これにより、端子部70a及び70bが形成される。半田72は、金属膜60a及び60bを濡れ広がって溝部32a及び32b内に充満する。半田72は、半田濡れ性が良好ではないドラムコア10には濡れ広がり難いため、溝部32a及び32bの外には広がり難い。引出部44a及び44bは、フラックス52が塗布されている端部を金属膜60a及び60b上に予め形成しておいた半田72を用いて加熱処理することで金属膜60a及び60bに接合されてもよいし、溝部32a及び32b内にフラックス52が塗布されている端部が引き出された後に鍔部14bごと半田槽に浸漬されることで金属膜60a及び60bに接合されてもよい。
【0039】
図4(b)のように、磁性粒子と樹脂を混合した複合磁性材料を鍔部14aと鍔部14bの間であって周回部42の外側に塗布し、その後に樹脂を硬化させることで樹脂膜74を形成する。
【0040】
図5(a)は、比較例に係るコイル部品の斜視図、
図5(b)は、
図5(a)における樹脂膜及び半田を透視したときの斜視図である。
図6(a)から
図6(c)は、比較例におけるドラムコアを示す図である。
図5(a)及び
図5(b)並びに
図6(a)から
図6(c)のように、比較例のコイル部品1000では、ドラムコア10の代わりに、巻軸92と鍔部94a及び94bとを有するドラムコア90が用いられている。鍔部94bには、凹部34a及び34bが形成されていない。鍔部94bの外面30に設けられた溝部32a及び32bは、鍔部94bの側面20から反対の側面22にかけて延伸している。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0041】
実施例1の製造方法で説明したように、引出部44a及び44bの端部を金属膜60a及び60bに半田接合するため、引出部44a及び44bの端部にフラックス52を塗布して半田接合時に絶縁被膜48を剥離する処理が行われる。大電流に対応すべく直径の大きな導線46を用いる場合、絶縁被膜48が厚くなるため、フラックス52の使用量が多くなる。このため、半田接合時の熱で気化されなかった液状のフラックス52及び/又は気化された後に冷却されて液化した液状のフラックス52が、導線46及び/又は溝部32a及び32b内などに付着し易くなる。フラックス52の残渣は、例えば空気中の湿度などによって時間の経過とともに引出部44a及び44bを伝って周回部42に移動することがある。これにより、周回部42の絶縁被膜48が薄くなったり又は除去されたりして、特性が劣化することがある。
【0042】
比較例では、溝部32a及び32bが鍔部94bの側面20及び22に凹部を介さずに直接接して設けられている。このため、端子部70a及び70bとコイル部40の周回部42との間の引出部44a及び44bを介した距離が短くなっている。よって、導線46及び/又は溝部32a及び32b内に付着したフラックス52の残渣が、時間経過と共に引出部44a及び44bを伝って周回部42に移動し易く、特性の劣化が起こり易い。
【0043】
一方、実施例1によれば、
図1(a)、
図1(b)、及び
図2(a)のように、端子部70a及び70bは、鍔部14bの側面20から離れて設けられている。鍔部14bの側面20には外面30側に、側面20に平行な面の断面積として比べると、端子部70a及び70bに接した溝部32a及び32bの断面積よりも大きな断面積の空間が形成されるような凹部34aが溝部32a及び32bに接して設けられている。すなわち、凹部34aとして側面20に形成された空間部の側面20に平行な面の断面積は、端子部70a及び70bに接した溝部32a及び32bの側面20に平行な面の断面積よりも大きくなっている。これにより、端子部70a及び70bとコイル部40の周回部42との間の引出部44a及び44bを介した距離を長くすることができる。また、引出部44a及び44bをフラックス52の残渣が伝わってきた場合でも、フラックス52の残渣を凹部34a内に溜めることができる。さらに、溝部32a及び32bが短くなるため、引出部44a及び44bの絶縁被膜48を剥離する領域が小さくなってフラックス52の使用量が低減するため、フラックス52の残渣の発生自体を低減できる。このようなことから、導線46及び/又は溝部32a及び32b内に付着したフラックス52の残渣が、引出部44a及び44bを伝って周回部42に付着することを抑制できる。よって、経時変化に伴う特性劣化を抑制でき、信頼性の低下を抑制することができる。
【0044】
図1(a)及び
図1(b)のように、凹部34aは、好適には、鍔部14bの側面20に平行な断面における巻軸12の軸方向と垂直な方向の幅寸法が、溝部32a及び32bの側面20に平行な断面における巻軸12の軸方向と垂直な方向の幅寸法よりも大きい。これにより、フラックス52の残渣を凹部34a内に多く溜めることができ、フラックス52の残渣が周回部42に付着することを効果的に抑制できる。
【0045】
図1(a)、
図1(b)、及び
図2(c)のように、凹部34aは、好適には、鍔部14bの1対の側面24及び26に接して設けられている。これにより、凹部34aの容積が大きくなるため、引出部44a及び44bを伝わってきたフラックス52の残渣を凹部34a内により多く溜めることができる。よって、フラックス52の残渣が周回部42に付着することを更に抑制できる。
【0046】
図1(a)及び
図1(b)のように、鍔部14bは、好適には、側面20に凹部34aが設けられることに加え、側面22に凹部34bが設けられる。すなわち、鍔部14bの側面22には外面30側に、側面22に平行な面の断面積として比べると、端子部70a及び70bに接した溝部32a及び32bの断面積よりも大きな断面積の空間が形成されるような凹部34bが溝部32a及び32bに接して設けられている。つまり、凹部34bとして側面22に形成された空間部の側面22に平行な面の断面積は、端子部70a及び70bに接した溝部32a及び32bの側面22に平行な面の断面積よりも大きくなっている。これにより、引出部を周回部から溝部32a及び32bに向かって引き出す方向を2方向に増やすことができる。このため、引出工程において、ドラムコア10の方向を整列する手順が簡略化でき生産性が向上する。また、例えばコモンモードチョークコイルなどのような2つのコイルがドラムコア10に巻回されているコイル部品にも対応することができる。
【0047】
図1(b)のように、好適には、溝部32a及び32bの長さ方向は鍔部14bの外面30の短辺と略平行な方向で、溝部32a及び32bの幅方向は鍔部14bの外面30の長辺と略平行な方向である。つまり、鍔部14bの側面20は、外面30の長辺と略平行な方向である。これにより、溝部32a及び32bの幅を大きくすることができるため、金属膜60a及び60bの面積を大きくすることができる。よって、金属膜60a及び60bがドラムコア10から剥がれることを抑制できる。なお、略平行とは、製造誤差程度の傾いている場合も含むものである。
【0048】
図1(b)のように、溝部32a及び32bは、好適には、溝部32a及び32bの鍔部14bの外面30への開口部において(すなわち、溝部32a及び32bの上部側において)、鍔部14bの側面20に平行な方向の幅寸法が側面20に垂直な長さ方向の一端から他端にかけて略一定である。これにより、引出部44a及び44bの端部を挿入するのに必要十分な幅を確保しつつ、鍔部14bの厚みが薄くなる領域を小さく抑えることができ、鍔部14bの強度低下を抑制できる。なお、略一定とは、製造誤差程度の違いを含むものである。
【0049】
鍔部14bの側面20及び22に垂直な方向における凹部34a及び34bの幅寸法は、フラックス52の残渣を多く溜める点からは広い方が好ましいが、広くなり過ぎると溝部32a及び32bの長さが短くなって引出部44a及び44bと金属膜60a及び60bとの接合強度が低下してしまう。したがって、鍔部14bの側面20に垂直な方向における凹部34a及び34bの幅寸法は、鍔部14bの側面20に垂直な方向における鍔部14bの幅寸法に対して、0.1倍以上且つ0.4倍以下が好ましく、0.2倍以上且つ0.3倍以下がより好ましい。
【実施例2】
【0050】
図7(a)及び
図7(b)は、実施例2におけるドラムコアを示す図である。
図7(a)及び
図7(b)のように、実施例2のコイル部品では、鍔部14bに設けられた凹部34a及び34bの巻軸12の軸方向の深さ寸法が、鍔部14bに設けられた溝部32a及び32bの巻軸12の軸方向の深さ寸法よりも深くなっている。実施例2のコイル部品のその他の構成は、実施例1のコイル部品と同じであるため、図示及び説明を省略する。
【0051】
実施例2によれば、凹部34aの巻軸12の軸方向の深さ寸法が、溝部32a及び32bの巻軸12の軸方向の深さ寸法よりも大きい。これにより、凹部34aの容積が大きくなるため、引出部44a及び44bを伝わってきたフラックス52の残渣を凹部34a内に多く溜めることができる。よって、フラックス52の残渣が周回部42に付着することを更に抑制できる。
【0052】
フラックス52の残渣を多く溜める点から、凹部34a及び34bの巻軸12の軸方向の深さ寸法は、溝部32a及び32bの巻軸12の軸方向の深さ寸法の1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、2.0倍以上が更に好ましい。一方、凹部34a及び34bが深くなり過ぎると、鍔部14bの凹部34a及び34bが設けられた部分における強度が低下してしまう。したがって、凹部34a及び34bの巻軸12の軸方向の深さ寸法は、鍔部14bの厚さの0.6倍以下が好ましく、0.5倍以下がより好ましく、0.4倍以下が更に好ましい。
【実施例3】
【0053】
図8(a)及び
図8(b)は、実施例3におけるドラムコアを示す図である。
図8(a)及び
図8(b)のように、実施例3のコイル部品では、鍔部14bに設けられた凹部34a及び34bの側面はテーパ形状となっている。すなわち、凹部34a及び34bは、鍔部14bの側面20及び22からみてテーパ面を有する形状となっている。凹部34a及び34bの巻軸12の軸方向における最深部分の深さ寸法は、例えば溝部32a及び32bの巻軸12の軸方向の深さ寸法よりも深くなっているが、溝部32a及び32bの巻軸12の軸方向の深さ寸法と略同じ場合でもよい。実施例3のコイル部品のその他の構成は、実施例1のコイル部品と同じであるため、図示及び説明を省略する。
【0054】
実施例3によれば、凹部34a及び34bは、鍔部14bの側面20及び22からみてテーパ面を有する形状となっている。これにより、凹部34a及び34bにおける鍔部14bの厚さを確保しつつ、凹部34a及び34bの容積を大きくできる。よって、鍔部14bの強度の低下を抑えつつ、フラックス52の残渣を凹部34a及び34bに溜めることができ、フラックス52の残渣が周回部42に付着することを抑制できる。
【0055】
また、凹部34aの側面がテーパ形状となっていることで、導線46を鍔部14bの外面30に引き出すために行う曲げ加工が容易となる。
【実施例4】
【0056】
図9(a)及び
図9(b)は、実施例4におけるドラムコアを示す図である。
図9(a)及び
図9(b)のように、実施例4のコイル部品では、鍔部14bの側面20及び22と外面30との隣接部に凹部34a及び34bが設けられていることに加え、側面20及び22と内面28との隣接部に凹部36a及び36bが設けられている。凹部36a及び36bの巻軸12の軸方向の深さ寸法は、一例として凹部34a及び34bの巻軸12の軸方向の深さ寸法と略同じであるが、異なっていてもよい。鍔部14bの側面20及び22に垂直な方向における凹部36a及び36bの幅は、一例として、鍔部14bの側面20及び22に垂直な方向における凹部34a及び34bの幅と略同じであるが、異なっていてもよい。凹部36a及び36bは、凹部34a及び34bと同様に、鍔部14bの1対の側面24及び26の一方から他方にかけて延伸していてもよいが、少なくとも引出部44a及び44bが引き出される部分には設けられている。実施例4のコイル部品のその他の構成は、実施例1のコイル部品と同じであるため、図示及び説明を省略する。
【0057】
実施例4によれば、鍔部14bの側面20は、内面28と側面20との隣接部であって引出部44a及び44bが引き出される部分に凹部36aを有する。これにより、引出部44a及び44bを伝わってきたフラックス52の残渣を周回部42に到達する前に凹部36aに溜めることができる。よって、フラックス52の残渣が周回部42に付着することを更に抑制できる。
【0058】
凹部34a及び34bと凹部36a及び36bとは共にフラックス52の残渣を溜める機能を有するが、凹部36a及び36bは補助的な役割であることから、凹部36a及び36bの巻軸12の軸方向の深さ寸法を凹部34a及び34bの巻軸12の軸方向の深さ寸法よりも浅くしてもよい。これにより、凹部34a及び34bと凹部36a及び36bが設けられた部分での鍔部14bが薄くなることを抑制でき、鍔部14bの強度低下を抑制できる。また、鍔部14bの強度低下の抑制の点から、凹部36a及び36bの鍔部14bの側面20及び22に垂直な方向における幅寸法は、凹部34a及び34bの鍔部14bの側面20及び22に垂直な方向における幅寸法よりも小さくしてもよい。
【実施例5】
【0059】
図10は、実施例5におけるドラムコアの斜視図である。なお、
図10では、金属膜60a及び60bで領域が画定される端子部70a及び70bも図示している。
図10のように、凹部34a及び34bは、鍔部14bの1対の側面24及び26の一方から他方にかけて延伸していない場合でもよい。この場合でも、実施例1と同じ理由により、フラックス52の残渣が周回部42に付着することを抑制できる。
【実施例6】
【0060】
図11は、実施例6におけるドラムコアの斜視図である。なお、
図11では、金属膜60a及び60bで領域が画定される端子部70a及び70bも図示している。
図11のように、実施例6のコイル部品では、鍔部14bの側面20及び22の外面30側に、凹部38が設けられている。側面20に設けられた凹部38の側面20から最も遠くて端子部70a及び70bが設けられた溝部32a及び32bと境界となる側面20に平行な面の断面形状が、端子部70a及び70bが設けられた溝部32a及び32bの凹部38と境界となる側面20に平行な面の断面形状と等しくなっている。側面20に設けられた凹部38は、側面20に平行な各面に分解したときの各面の断面形状が側面20と各面との距離が近いほど大きな面積の断面形状となり、各面を繋げて形成される面がテーパ状になる断面形状に形成されている。また、側面20に設けられた凹部38は、側面20に平行な各面を繋げて形成される面が溝部32a及び32bの底面35及び斜面37にそれぞれ連続するテーパ状の平面となっている。なお、側面22に設けられた凹部38も、側面20に設けられた凹部38と同様の形状をしているが、ここでは説明を省略する。
【0061】
凹部38は、端子部70a及び70bが接した溝部32a及び32bの底面35から側面20及び22に向かってテーパ状に凹んだ面を有する形状である。また、凹部38は、端子部70a及び70bが接した溝部32a及び32bの斜面37から側面20及び22に向かって広がるようにテーパ状に傾斜した面を有する形状である。実施例6のコイル部品のその他の構成は、実施例1と同じであるため、図示及び説明を省略する。
【0062】
実施例6によれば、鍔部14bの側面20に設けられた凹部38は、側面20に最も遠く溝部32a及び32bと境界となる側面20に平行な面の断面形状が、溝部32a及び32bの凹部38と境界となる側面20に平行な面の断面形状と等しくなっている。そして、凹部38は、側面20に平行な各面の断面形状が側面20と各面との距離が近いほど大きな面積の断面形状であり、各面を繋げて形成される面がテーパ状になる断面形状に形成されている。この場合でも、実施例1と同様に、端子部70a及び70bとコイル部40の周回部42との間の引出部44a及び44bを介した距離を長くすることができる。また、引出部44a及び44bをフラックス52の残渣が伝わってきた場合でも、フラックス52の残渣を凹部38内に多く溜めることができる。さらに、引出部44a及び44bの絶縁被膜48を剥離する領域が小さくなってフラックス52の使用量が低減するため、フラックス52の残渣の発生自体を低減できる。したがって、導線46及び/又は溝部32a及び32b内に付着したフラックス52の残渣が、引出部44a及び44bを伝って周回部42に付着することを抑制できる。
【実施例7】
【0063】
図12は、実施例7におけるドラムコアの斜視図である。なお、
図12では、金属膜60a及び60bで領域が画定される端子部70a及び70bも図示している。
図12のように、実施例7のコイル部品では、凹部38aは、端子部70a及び70bが接した溝部32a及び32bの底面35から鍔部14bの側面20及び22に向かって階段状に凹んだ面を有する形状である。その他の構成は、実施例6と同じであるため説明を省略する。
【0064】
実施例6のように、凹部38は、鍔部14bの側面20に平行な各面を繋げて形成される面が溝部32a及び32bの底面35及び斜面37にそれぞれ連続するテーパ状の平面となる形状を有していてもよい。実施例7のように、凹部38aは、溝部32a及び32bの底面35が階段状に凹んで形成されていてもよい。
【0065】
なお、実施例1から実施例5において、実施例6及び実施例7と同様に、凹部34aのうちの溝部32a及び32bの底面35と鍔部14bの側面20との間に位置する部分が、溝部32a及び32bの底面35よりも凹んだ形状となっていてもよい。
【実施例8】
【0066】
図13は、実施例8に係る電子機器の断面図である。
図13のように、実施例8の電子機器800は、回路基板80と回路基板80に実装された実施例1のコイル部品100と、を備える。コイル部品100は、半田72が回路基板80の電極82に接合することで、回路基板80に実装されている。
【0067】
実施例8の電子機器800によれば、回路基板80に実施例1のコイル部品100が実装されている。これにより、信頼性の低下が抑制されたコイル部品100を有する電子機器800を得ることができる。なお、実施例8では、回路基板80に実施例1のコイル部品100が実装されている場合を例に示したが、実施例2から実施例7のコイル部品が実装される場合でもよい。
【0068】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 ドラムコア
12 巻軸
14a、14b 鍔部
20、22、24、26 側面
28 内面
30 外面
32a、32b 溝部
34a、34b 凹部
35 底面
36a、36b 凹部
37 斜面
38、38a 凹部
40 コイル部
42 周回部
44a、44b 引出部
46 導線
48 絶縁被膜
50 金属線
60a、60b 金属膜
70a、70b 端子部
72 半田
74 樹脂膜
80 回路基板
82 電極
90 ドラムコア
92 巻軸
94a、94b 鍔部
100、1000 コイル部品
800 電子機器