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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】基板保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20221214BHJP
   B25J 15/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L21/68 D
B25J15/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018189767
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020061400
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 崇行
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-130254(JP,A)
【文献】特開2011-091276(JP,A)
【文献】特開昭63-079341(JP,A)
【文献】実開昭63-105334(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各基板の間隔を最小間隔である第1ピッチ又は最大間隔である第2ピッチに変更する基板保持装置であって、
複数の基板保持体と、
前記複数の基板保持体の各々に対応して各前記基板保持体を一方向に並ぶように支持する支持部と、
複数の前記支持部のうち前記一方向の一方側の端に配置された支持部に接続され、当該支持部を前記一方向の一方側および他方側に移動させる駆動装置と、を備え、
前記端に配置された支持部が前記駆動装置により前記一方向の一方側に移動された場合には、一の前記支持部に隣り合う他の前記支持部は、前記一の支持部と前記他の支持部との間隔が前記第2ピッチになった際に前記一の支持部に引っ張られて移動するように構成されており、
前記端に配置された支持部が前記駆動装置により前記一方向の他方側に移動された場合には、前記他の前記支持部は、前記一の支持部と前記他の支持部との間隔が前記第1ピッチになった際に前記一の支持部に押下されて移動するように構成されている、基板保持装置。
【請求項2】
前記一の支持部には係合部が設けられ、
前記端に配置された支持部が前記駆動装置により前記一方向の一方側に移動される際には、前記他の支持部は、前記一の支持部と前記他の支持部との間隔が前記第2ピッチになった際に前記一の支持部の前記係合部が前記他の支持部に係合することで前記移動を行うように構成されている、請求項1に記載の基板保持装置。
【請求項3】
前記一の支持部の前記係合部は、前記一方向の一方側に移動する際に前記他の支持部に引っ掛かるフック状に形成されており、
前記一の支持部と共に前記他の支持部を挟む別の前記一の支持部には、前記一の支持部が前記一方向の他方側に移動する際の干渉を回避するための切り欠きが設けられている、請求項2に記載の基板保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェハ等の基板を保持する基板保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体等の処理工程においてシリコンウェハ等の複数の基板がその厚み方向に所定の第1ピッチで並ぶように収納されているフープから、これらの基板を第2ピッチで収納するボートに移送することができる基板保持装置が知られている(例えば特許文献1参照)。前後の処理工程における必要性から第2ピッチは第1ピッチと異なるものであり、上記基板保持装置は基板の移送の際に、ピッチを変更して移送するように構成されている。
【0003】
特許文献1の基板保持装置においては、5枚の基板の間隔を変更するピッチ変換機構部3が設けられている。詳細には、基板を保持するエンドエフェクタの一端にエンドエフェクタ取付用板がそれぞれ取り付けられており、各エンドエフェクタ取付用板はピッチ変換用シリンダに連結されている。このような構成において、ピッチ変換用シリンダの伸縮動作によって、エンドエフェクタ取付用板を基板の厚み方向に往復動させることができるので、エンドエフェクタの間隔、つまり基板のピッチが変更されるようになっている。なお、ピッチは広ピッチおよび狭ピッチの2段階に変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-313865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の基板保持装置では、5枚の基板のピッチを変更することはできるものの、例えば10枚や20枚の基板のピッチを変更しようとする場合、それを実現する駆動力を上記ピッチ変換用シリンダのみに担わせる必要がある。そのため、ピッチ変換用シリンダの大きさが著しくなってしまい、構造が複雑化すると共に重量が上昇し、コストも上がる。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトに構成され、低コスト化を実現することができる基板保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板保持装置は、各基板の間隔を最小間隔である第1ピッチ又は最大間隔である第2ピッチに変更する基板保持装置であって、複数の基板保持体と、前記複数の基板保持体の各々に対応して各前記基板保持体を一方向に並ぶように支持する支持部と、複数の前記支持部のうち前記一方向の一方側の端に配置された支持部に接続され、当該支持部を前記一方向の一方側および他方側に移動させる駆動装置と、を備え、前記端に配置された支持部が前記駆動装置により前記一方向の一方側に移動された場合には、一の前記支持部に隣り合う他の前記支持部は、前記一の支持部と前記他の支持部との間隔が前記第2ピッチになった際に前記一の支持部に引っ張られて移動するように構成されており、前記端に配置された支持部が前記駆動装置により前記一方向の他方側に移動された場合には、前記他の前記支持部は、前記一の支持部と前記他の支持部との間隔が前記第1ピッチになった際に前記一の支持部に押下されて移動するように構成されているものである。
【0008】
本発明に従えば、前記端に配置された支持部が駆動装置により一方向の一方側に移動された場合には、一の支持部に隣り合う他の支持部を、一の支持部と他の支持部との間隔が第2ピッチになった際に一の支持部に引っ張らせて移動させることができる。具体例を挙げると、駆動装置により1番上の支持部が上昇すると、そのフックが2番目の支持部に引っ掛かるので2つの支持部が一緒に上昇し出す。2番目の支持部が上昇すると、そのフックが3番目の支持部に引っ掛かり3つの支持部が一緒に上昇し出す。このように次々と下段の支持部が連鎖して上昇し、最終的には全ての支持部のピッチが第2ピッチ(最大間隔)となる。
【0009】
一方、前記端に配置された支持部が駆動装置により一方向の他方側に移動される場合には、他の前記支持部を、一の支持部と他の支持部との間隔が前記第1ピッチになった際に一の支持部に押下させて移動させることができる。具体例を挙げると、駆動装置により1番上の支持部が下降すると、2番目の支持部に接触して当該2番目の支持部を押下するため、2番目の支持部も下降する。そして、2番目の支持部が下降すると、3番目の支持部に接触して当該3番目の支持部を押下するため、3番目の支持部も下降する。このように次々と下段の支持部が連鎖して下降し、最終的には全ての支持部のピッチが第1ピッチ(最小間隔)となる。
【0010】
以上の構成によって、複数の支持部のピッチを変更するための駆動力を1つの駆動装置にのみ担わせる必要がなくなる。これによって、駆動装置の大型化を回避することができる。これに伴って、基板保持装置をコンパクトに構成することができ、当該基板保持装置の低コスト化を実現することが可能となる。
【0011】
上記発明において、前記一の支持部には係合部が設けられ、前記端に配置された支持部が前記駆動装置により前記一方向の一方側に移動される際には、前記他の支持部は、前記一の支持部と前記他の支持部との間隔が前記第2ピッチになった際に前記一の支持部の前記係合部が前記他の支持部に係合することで前記移動を行うように構成されていてもよい。
【0012】
上記構成に従えば、簡易な構成により、各支持部を連鎖させて一方向の一方側および他方側に移動させることが可能となる。
【0013】
上記発明において、前記一の支持部の前記係合部は、前記一方向の一方側に移動する際に前記他の支持部に引っ掛かるフック状に形成されており、前記一の支持部と共に前記他の支持部を挟む別の前記一の支持部には、前記一の支持部が前記一方向の他方側に移動する際の干渉を回避するための切り欠きが設けられていることが好ましい。
【0014】
上記構成に従えば、上記切り欠きが設けられていることで、一の支持部が一方向の他方側に移動する際に、上記別の一の支持部に対する干渉が生じることを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンパクトに構成され、低コスト化を実現することができる基板保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る基板保持装置を含む基板搬送システムの構成を示す図である。
図2】各基板保持体を支持する各支持部の構成を示す斜視図である。
図3】(a)は各支持部の間隔が第2ピッチとなった状態を示す図であり、(b)は各支持部の間隔が第1ピッチとなった状態を示す図である。
図4】基板を把持するための構成を示す斜視図である。
図5】各支持部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る基板保持装置について図面を参照して説明する。以下に説明する基板保持装置は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0018】
図1は基板保持装置100を含む基板搬送システム1の構成を示す図である。
【0019】
基板搬送システム1において搬送される基板としては、半導体ウエハ、半導体プロセスによって処理される薄型ディスプレイ(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)用のガラス基板が例示される。半導体ウエハとして、シリコンウェハ、シリコンカーバイドウェハ、サファイアウェハ等が例示される。
【0020】
基板搬送システム1は、基板を搬送するものであれば特に限定されない。基板搬送システム1は、例えば、半導体製造ラインにおいてシリコンウェハ基板をフープ2からボート3に搬送するものである。本実施形態の基板搬送システム1は、フープ2に収納されている円形の基板を搬出し、この基板をボート3に搬入する。フープ2には基板の搬入搬出を行うための開口部2aが形成され、ボート3にも基板の搬入搬出を行うための開口部3aが形成されている。フープ2およびボート3は、これらの開口部2a,3aが互いに対向するように配置されている。フープ2は、基板がピッチP1で鉛直方向に並ぶように当該基板を収納する。ボート3は、基板が第1ピッチP1よりも小さいピッチP2で鉛直方向に並ぶように当該基板を収納する。
【0021】
基板搬送システム1は、先端に基板保持装置100が取り付けられ、フープ2に収納されている基板をボート3に移送するロボット4と、このロボット4を昇降させる昇降台5と、基板保持装置100を含むロボット4および昇降台5を制御する図略の制御部とを備えている。
【0022】
ロボット4は、例えば産業用ロボットであり、このアームの先端部に基板保持装置100が装着されている。本実施形態において、ロボット4は、いわゆる水平多関節式ロボットであり、水平面内においてそのアームが動作する。ロボット4は、周知の水平多関節式ロボットで構成することができるため、これ以上の説明を省略する。
【0023】
基板保持装置100は、図2に示すように、上下方向(一方向)に並べられた5つの基板保持体10a~10eと、これらの基板保持体10a~10eの基端部を支持する支持機構12とを備えている。なお、以下では、便宜上、基板保持体10a~10eの基端部側から先端側に向かう方向を前方と記載し、その反対方向を後方と記載する。
【0024】
基板保持体10a~10eは、板状に形成され、前側が開口するU字状に形成されている。但し、基板保持体10a~10eの形状はこれに限定されるものではない。また、基板保持体10a~10eの基端部には切り欠き11が設けられている。さらに、基板保持体10a~10eの上面には、当該上面に固定され、後述の可動保持部材24(図4)と共に基板を把持する2つの固定保持部材(図略)が設けられている。可動保持部材24および固定保持部材は周知なものであるため、これ以上の説明を省略する。
【0025】
支持機構12は、上述の通り基板保持体10a~10eを支持すると共に、各基板保持体10a~10eが並ぶ方向(つまり上下方向)の基板保持体10a~10eの各間隔を変更するものである。本実施形態では、基板保持体10a~10eの各間隔は、最終的には、最小間隔である第1ピッチおよび最大間隔である第2ピッチの何れかに変更される。
【0026】
支持機構12は、基板保持体10a~10eの各々に対応して設けられて基板保持体を支持する支持部50a~50eと、上段に位置する支持部50eに接続されて当該支持部50eを上下方向に移動させる駆動ベルト23と、駆動ベルト23を移動可能に支持する一対の駆動軸22(図2下方の駆動軸は図略)とを有している。詳細は後で述べるが、駆動ベルト23により支持部50eが上下方向に移動すると、これに伴って、支持部50d~50aも上下方向に移動するようになっている。一対の駆動軸22のうち上記図略の駆動軸には当該駆動軸を回転させるための駆動モータ(図略)が連結されている。駆動モータの動作により一対の駆動軸22が回転して駆動ベルト23が回るようになっており、これにより支持部50eが上下方向に移動する。駆動軸22、駆動ベルト23および上記駆動モータが駆動装置に相当する。また、支持部50eの側方には駆動軸22を回転可能に支持する支持壁20が設けられている。この支持壁20には、支持部50eの上限位置を規制するための一対のガイド21が設けられている。
【0027】
支持部50a~50eは、厚板状に形成され、基板保持体10a~10eの延在方向と平行に延在するように配置されている。支持部50a~50eの後端には、フック状に形成された係合部51a~51eが設けられている。係合部51a~51eの本体部分は上下方向に延在し、爪部分は前方に突出している。
【0028】
また、各係合部の配置については、係合部同士の干渉を防止するため、以下のように設定されている。すなわち、係合部51dは係合部51eに対して前後方向と直交する方向の一方側にずれて配置され、同様に、係合部51cは係合部51dに対して前後方向と直交する方向の一方側にずれて配置されている。一方、係合部51bは係合部51cに対して前後方向と直交する方向の他方側にずれて配置、つまり係合部51bは係合部51eの直下に配置されている。また、係合部51aは係合部51bに対して前後方向と直交する方向の一方側にずれて配置されている。
【0029】
また、支持部50dの後端の少なくとも一部は、係合部51eの爪部分の上面が支持部50dの下面に当接可能な位置(係合可能な位置)まで延在している。以下同様に、支持部50cの後端の少なくとも一部は、係合部51dの爪部分の上面が支持部50cの下面に当接可能な位置まで延在している。支持部50bの後端の少なくとも一部は、係合部51cの爪部分の上面が支持部50bの下面に当接可能な位置まで延在している。支持部50aの後端の少なくとも一部は、係合部51bの爪部分の上面が支持部50aの下面に当接可能な位置まで延在している。なお、一の支持部の係合部が係合するものが他の支持部に相当する。例えば、支持部50dは、支持部50eの係合部51eが係合するので、一の支持部である支持部50eに対する他の支持部であるが、それだけではなく、当該支持部50dの係合部51dが支持部50cに係合するので、他の支持部である支持部50cに対しては、一の支持部ということになる。
【0030】
ここで、支持部50cの後端には、支持部50eの係合部51eが下方に移動する際の干渉を回避するための切り欠き52eが設けられている。以下同様に、支持部50bの後端には、支持部50dの係合部51dが下方に移動する際の干渉を回避するための切り欠き52dが設けられている。支持部50aの後端には、支持部50cの係合部51cが下方に移動する際の干渉を回避するための切り欠き52cが設けられている。
【0031】
以上のような構成において、基板保持体10a~10eの各間隔を第2ピッチ(最大間隔)に設定する場合には、駆動ベルト23により支持部50eを上方に移動させる。これにより、一の支持部と他の支持部とは、一の支持部と他の支持部との間隔を第1ピッチ(最小間隔)から第2ピッチの間で変化させながら最終的に第2ピッチとなる位置まで移動する。詳細には、駆動ベルト23の動作により支持部50eが上方に動き出すと、その途中で支持部50eの係合部51eが支持部50dの後端に係合するため、支持部50dも上昇する。そして、支持部50dが動き出すと、支持部50dの係合部51dが支持部50cの後端に係合するため、支持部50cも上昇する。同様にして、支持部50b,50aも上昇する。以上の次第で、図3(a)に示すように、次々と支持部が連鎖して上昇する構成になっており、最終的には全ての基板保持体の間隔が第2ピッチとなる。
【0032】
これに対して、基板保持体10a~10eの各間隔を第1ピッチに設定する場合には、駆動ベルト23により支持部50eを下方に移動させる。これにより、一の支持部と他の支持部とは、一の支持部と他の支持部との間隔を第1ピッチから第2ピッチの間で変化させながら最終的に第1ピッチとなる位置まで移動する。詳細には、駆動ベルト23の動作により支持部50eが下方に動き出すと、その途中で支持部50eが支持部50dに接触して当該支持部50dを押下するため、支持部50dも下降する。そして、支持部50dが動き出すと、支持部50dが支持部50cに接触して当該支持部50cを押下するため、支持部50cも下降する。同様にして、支持部50b,50aも下降する。以上の次第で、図3(b)に示すように、次々と支持部が連鎖して下降する構成になっており、最終的には全ての基板保持体の間隔が第1ピッチとなる。
【0033】
続いて、基板の把持および基板の把持を解放する構成について説明する。
【0034】
基板保持装置100は、図4に示すように、可動体16、付勢部材18、および押し戻し部材60を備えている。可動体16は、前後方向に延びる棒状の本体部16aと、この本体部16aに設けられて本体部16aが延びる方向と直交する方向に延びる棒状のレバー部16bとを有している。支持部50a~50eには、可動体16の本体部16aを案内するガイド溝57が形成されている。このガイド溝57は各支持部の前端から内側に向けて当該支持部の肉厚部分が切り欠かれて形成されている。
【0035】
本体部16aの後端部はガイド溝57内に配置され、本体部16aはガイド溝57に案内されて基板を把持する位置に向かう方向、および基板を把持する位置から離れる方向に移動する。本体部16aの前端は可動保持部材24の後端に取り付けられている。これにより、可動保持部材24は可動体16と共に前後方向に移動するようになっている。また、レバー部16bは、後述するように押し戻し部材60によって後方に押し戻される。
【0036】
付勢部材18は可動体16を前方に向けて付勢する。これにより、可動保持部材24が基板に接触してこの基板を押圧把持する。付勢機構18としては、例えば圧縮コイルを用いることができる。なお、この場合、押し戻し部材60は切り欠き11内においてレバー部16bに接触しない位置に退避される。
【0037】
支持部50a~50eは、レバー部16bの移動を規制するストッパ6を備えている。ストッパ6は、支持部50a~50eの前面から前方に突出するように側面視L字状に形成され、レバー部16bと当接するように配設される。このような構成において、基板保持体上に基板が配置されていない場合には、可動体16は、基板を把持する位置よりもさらに前方に移動し、レバー部16bがストッパ6に当接するため、可動体16のそれ以上の前方への移動が規制されている。
【0038】
一方、基板の把持を解放する場合は次の通りである。押し戻し部材60は、シリンダ等のアクチュエータの動作によって切り欠き11内において前後方向に移動可能に構成されている。アクチュエータの動作により押し戻し部材60が後方に移動することで、当該押し戻し部材60がレバー部16bに当接し、その後レバー部16bが付勢部材18の付勢力に抗して後方に移動する。これに伴って、可動保持部材24が後方に移動することで、基板の把持が解放される。
【0039】
以上のように、本実施形態の基板保持装置100によれば、駆動ベルト23により1段目の支持部50eが上昇すると、その係合部51eが2段目の支持部50dに引っ掛かるので2つの支持部50e,50dが一緒に上昇し出す。さらに1段目の支持部50eを上昇させると2段目の支持部50dの係合部51dが3段目の支持部50cに引っ掛かり3つの支持部50e,50d,50cが一緒に上昇し出す。このように次々と下段の支持部が連鎖して上昇し、最終的には全ての支持部の間隔が第2ピッチとなる。
【0040】
一方、駆動ベルト23により1段目の支持部50eが下降すると、1段目の支持部50eが2段目の支持部50dに接触して当該2段目の支持部50dを押下するため、2段目の支持部50dも下降する。そして、2段目の支持部50dが下降すると、2段目の支持部50dが3段目の支持部50cに接触して当該3段目の支持部50cを押下するため、3段目の支持部50cも下降する。このように次々と下段の支持部が連鎖して下降し、最終的には全ての支持部の間隔が第1ピッチとなる。
【0041】
このような構成によって、複数の支持部のピッチを変更するための駆動力を1つの駆動装置にのみ担わせる必要がなくなるため、当該駆動装置の大型化を回避することができる。これに伴って、基板保持装置100をコンパクトに構成でき、当該基板保持装置100の低コスト化を実現することができる。
【0042】
(他の実施形態)
図5は支持部の変形例を示す図である。図5に示すように、支持部70e,70d,70cは、他の部分よりも厚みのある押下部71e,71d,71cをそれらの後端に備えている。隣り合う押下部同士は、紐などで構成される接続部材72により連結されている。押下部同士が接触している状態で、接続部材72は弛みを有している。つまり、押下部が移動すると、接続部材72の上下方向(一方向)における長さが変化するようになっている。なお、図5では3段の支持部を例示しているが、支持部の段数はこれに限られるものではない。
【0043】
このような構成において、駆動ベルト23により上段の支持部70eが上昇すると、支持部70dが接続部材72を介して引っ張られて上昇する。支持部70dが上昇すると、支持部70cが接続部材72を介して引っ張られて上昇する。このように、一の支持部と他の支持部との間隔が第1ピッチと第2ピッチとの間で変化しながら、次々と下段の支持部が連鎖して上昇し、最終的には全ての支持部の間隔が第2ピッチとなるようになっている。一方、駆動ベルト23により上段の支持部70eが下降すると、支持部70dが支持部70eの押下部71eに押下されて下降する。支持部70dが下降すると、支持部70cが支持部70dの押下部71dに押下されて下降する。このように、一の支持部と他の支持部との間隔が第1ピッチと第2ピッチとの間で変化しながら、次々と下段の支持部が連鎖して下降し、最終的には全ての支持部の間隔が第1ピッチとなるようになっている。
【0044】
このような構成によって、上記実施形態と同様に、複数の支持部のピッチを変更するための駆動力を1つの駆動装置にのみ担わせる必要がなくなるため、当該駆動装置の大型化を回避することができる。これに伴って、基板保持装置100をコンパクトに構成でき、当該基板保持装置100の低コスト化を実現することができる。
【0045】
この他にも、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で次のような種々の変形も可能である。
【0046】
上記実施形態では、基板保持体の段数、つまり支持部の段数を5段(支持部50a~50e)として構成したが、段数はこれに限定されるものではなく、例えば10段や20段の支持部を設けて構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、上段の支持部50eを上下方向に移動させる駆動装置として、駆動ベルト23を用いたが、駆動装置の構成はこれに限定されるものではなく、例えばシリンダ等の他の駆動装置を採用してもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態では、U字状に形成された基板保持体を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば矩形状に形成された基板保持体や円形状に形成された基板保持体を採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10a~10e 基板保持体
22 駆動軸
23 駆動ベルト
50a~50e 支持部
51a~51e 係合部
52c,52d,52e 切り欠き
70c~70e 支持部
72 接続部材
100 基板保持装置
図1
図2
図3
図4
図5