(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/24 20190101AFI20221214BHJP
【FI】
G07D11/24
(21)【出願番号】P 2018199756
(22)【出願日】2018-10-24
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】隅田 忍
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-186510(JP,A)
【文献】特開2018-092212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金処理の時に、入金対象の貨幣が投入される投入部と、
前記入金処理の確定前に、前記入金対象の貨幣を一時的に保留する一時保留部と、
前記入金処理が確定したことを受けて前記入金対象の貨幣を収納する収納部と、
前記入金処理を実行すると共に、前記収納部の前記貨幣を払い出す回収処理を実行する制御部と、
払い出す貨幣の基準量を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、少なくとも前記一時保留部に一時的に保留している前記入金対象の貨幣の量に基づき、前記入金処理が確定したことを受けて、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出
し、
前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記基準量の整数倍の前記貨幣を払い出す貨幣処理装置。
【請求項2】
入金処理の時に、入金対象の貨幣が投入される投入部と、
前記入金処理の確定前に、前記入金対象の貨幣を一時的に保留する一時保留部と、
前記入金処理が確定したことを受けて前記入金対象の貨幣を収納する収納部と、
前記入金処理を実行すると共に、前記収納部の前記貨幣を払い出す回収処理を実行する制御部と、
貨幣の回収量を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、少なくとも前記一時保留部に一時的に保留している前記入金対象の貨幣の量に基づき、前記入金処理が確定したことを受けて、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出
し、
前記制御部は、前記一時保留部に一時的に保留している前記入金対象の貨幣の量と、前記収納部に収納している前記貨幣の量との合計が、前記記憶部が記憶している前記回収量に到達したことを条件に、前記入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出す貨幣処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記一時保留部に一時的に保留している前記入金対象の貨幣の量と、前記収納部に収納している前記貨幣の量とに基づき、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出す請求項1
又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣の少なくとも一部と、前記収納部の前記貨幣の少なくとも一部とを払い出す請求項
3に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣であって、払い出さない貨幣を、前記収納部へ収納する請求項1~
4のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記入金処理を実行する操作者の権限を判定する認証部を備え、
前記制御部は、
前記操作者が所定の権限を有している場合は、前記入金対象の貨幣を払い出し、
前記操作者が前記所定の権限を有していない場合は、前記入金対象の貨幣を払い出すことを保留する請求項1~
5のいずれか1項に記載の貨幣処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記認証部が前記所定の権限を有している操作者を認証した後に、保留していた前記入金対象の貨幣の払い出しを行う請求項
6に記載の貨幣処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、払い出しを保留するときに、前記所定の権限を有している操作者に連絡を行う請求項
6又は
7に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有価媒体処理装置が記載されている。この有価媒体処理装置は、紙幣処理装置が受け付けない紙幣や、小切手等の有価媒体の入金処理を行う。紙幣処理装置が受け付けない紙幣には、紙幣処理装置がリジェクト紙幣と判定した「リジェクト券」、損傷度合いや汚損が激しい「損券」、及び、現在発行されている紙幣よりも発行された年代が古い「旧券」が含まれる。
【0003】
有価媒体処理装置は、入金処理時に、入金対象の有価媒体を装置内に取り込んで画像を取得すると共に、画像の取得後に入金対象の有価媒体を一時保留部に一時保留する。操作者が、有価媒体の券種(つまり、紙幣であれば金種や発行時期)及び価値(つまり、一部が破れて欠損している損券において、欠損の程度によって定まる価値)を手入力した上で、入金処理を確定させる操作を行うと、有価媒体処理装置は、入金対象の有価媒体を一時保留部から収納部へ搬送して、収納部に収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した有価媒体処理装置を含む貨幣処理装置は、収納部に収納している貨幣を装置外に払い出す回収処理を実行する場合がある。例えば、前記の有価媒体処理装置は、損券及び/又は旧券を収納する収納部が満量になる、又は、満量に近づくと、回収処理を実行する。尚、「収納部が満量になる」とは、収納部の収納量が、予め定めた収納可能容量になる(いわゆるフルになる)ことであり、「収納部が満量に近づく」とは、収納部の収納量が、収納可能容量よりも少ない量として予め定めたニアフルになる(以下、単に「ニアフルになる)と言う)ことである。
【0006】
ここで、入金処理中の貨幣処理装置が一時保留部内の入金対象の貨幣を収納部へ収納している途中に収納部がフルになる又はニアフルになることによって、又は、貨幣処理装置が入金対象の貨幣を全て収納部へ収納し終わった時に収納部がフルになる又はニアフルになることによって、回収処理が必要になる場合がある。貨幣を収納部へ収納している途中であれば、操作者は、入金処理を中断し回収処理を割り込みで実行する操作をしなければならない。収納部への貨幣の収納が完了した時であれば、操作者は、その完了直後に、回収処理を実行する操作をしなければならない。これらの場合、操作者による操作が面倒になってしまう。
【0007】
また、貨幣処理装置が、このような入金処理と回収処理との両方を実行する場合は、入金処理として収納部に入れた貨幣を、回収処理によって直ぐに収納部から出すことになる。貨幣処理装置が貨幣を搬送する動作が無駄になると共に、入金処理及び回収処理を含む処理全体の実行に必要な時間が長くなってしまうという不都合もある。
【0008】
ここに開示する技術は、貨幣処理装置における処理の効率化を図る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的に、ここに開示する貨幣処理装置は、入金処理の時に、入金対象の貨幣が投入される投入部と、前記入金処理の確定前に、前記入金対象の貨幣を一時的に保留する一時保留部と、前記入金処理が確定したことを受けて前記入金対象の貨幣を収納する収納部と、前記入金処理を実行すると共に、前記収納部の前記貨幣を払い出す回収処理を実行する制御部と、を備える。
【0010】
そして、前記制御部は、少なくとも前記一時保留部に一時的に保留している前記入金対象の貨幣の量に基づき、前記入金処理が確定したことを受けて、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出す。
【0011】
この構成によると、入金処理が確定したときに、本来は収納部に収納される入金対象の貨幣の少なくとも一部が、収納部に収納されずに払い出される。入金対象の貨幣が払い出されることは、回収処理によって貨幣が回収されることと等価である。入金処理が確定したときに収納部へ貨幣を収納することを省いて回収処理を行うことにより、貨幣処理装置の処理の効率化が図られる。
【0012】
前記制御部は、前記一時保留部に一時的に保留している前記入金対象の貨幣の量と、前記収納部に収納している前記貨幣の量とに基づき、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出す、としてもよい。
【0013】
一時保留部に一時的に保留している入金対象の貨幣を収納部に収納したと仮定したときに、入金対象の貨幣の量と収納部に収納している貨幣の量とに基づいて、収納部がフルになる、又は、ニアフルになることを、事前に判断することが可能である。収納部がフルになる、又は、ニアフルになるのであれば、一時保留部の入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出すことにより、収納部がフルになる、又は、ニアフルになることを避けることができる。
【0014】
前記制御部は、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣の少なくとも一部と、前記収納部の前記貨幣の少なくとも一部とを払い出す、としてもよい。
【0015】
入金処理の実行の際に、収納部に収納している貨幣の少なくとも一部を払い出すことによって、収納部がフルになる、又は、ニアフルになることを避けることができる。貨幣処理装置における処理の効率化が図られる。
【0016】
ここに開示する貨幣処理装置は、払い出す貨幣の基準量を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記記憶部が記憶している前記基準量の整数倍の前記貨幣を払い出す。
【0017】
基準量の整数倍の貨幣を払い出すことによって、貨幣を所定枚数毎に束ねることができる(例えば100枚の紙幣を束ねた帯封紙幣にしたり、50枚の硬貨を包装した包装硬貨にしたりすることができる)。尚、払い出す貨幣は、一時保留部に一時保留されていた入金対象の貨幣のみであってもよいし、一時保留部に一時保留されていた入金対象の貨幣と、収納部に収納されていた貨幣との両方であってもよい。
【0018】
基準量の整数倍の貨幣を払い出すことで、端数が生じることなく、払い出された貨幣を、所定枚数毎にまとめることができる。払い出された貨幣を、例えば手元管理貨幣として管理する上で、有利になる。
【0019】
ここに開示する別の貨幣処理装置は、貨幣の回収量を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記一時保留部に一時的に保留している前記入金対象の貨幣の量と、前記収納部に収納している前記貨幣の量との合計が、前記記憶部が記憶している前記回収量に到達したことを条件に、前記入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出す。
【0020】
貨幣の回収を行うしきい値としての回収量を予め定めておき、入金対象の貨幣の量と収納部に収納している貨幣の量との合計が回収量に到達したことを条件に、入金対象の貨幣の少なくとも一部を払い出すことによって、貨幣の回収を適切に行うことができる。
【0021】
前記制御部は、前記一時保留部の前記入金対象の貨幣であって、払い出さない貨幣を、前記収納部へ収納する、としてもよい。
【0022】
払い出さない入金対象の貨幣を収納部へ収納することにより、当該貨幣を、貨幣処理装置において適切に管理することができる。
【0023】
前記貨幣処理装置は、前記入金処理を実行する操作者の権限を判定する認証部を備え、前記制御部は、前記操作者が所定の権限を有している場合は、前記入金対象の貨幣を払い出し、前記操作者が前記所定の権限を有していない場合は、前記入金対象の貨幣を払い出すことを保留する、としてもよい。
【0024】
前記操作者が所定の権限を有している場合は、入金対象の貨幣を払い出すことによって、貨幣処理装置から回収した貨幣を適切に管理することができる。
【0025】
入金処理を実行する操作者が所定の権限を有していない場合に、入金対象の貨幣を払い出すことを保留することにより、貨幣処理装置が処理をした貨幣を、厳正に管理することができる。
【0026】
前記制御部は、前記認証部が前記所定の権限を有している操作者を認証した後に、保留していた前記入金対象の貨幣の払い出しを行う、としてもよい。
【0027】
こうすることで、入金処理と、入金対象の貨幣の払い出しとをスムースに完了させることができる。
【0028】
前記制御部は、払い出しを保留するときに、前記所定の権限を有している操作者に連絡を行う、としてもよい。
【0029】
所定の権限を有している操作者は、連絡を受けることによって、貨幣処理装置において入金対象の貨幣の払い出しを実行することができる。貨幣処理装置の処理が速やかに完了する。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、前記の貨幣処理装置によると、処理の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、出納機の構成例を示す外観図である。
【
図2】
図2は、出納機の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、有価媒体処理ユニットの内部構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、回収設定テーブルを例示する図である。
【
図5】
図5は、有価媒体処理ユニットにおける紙幣の搬送経路を示す説明図である。
【
図6】
図6は、有価媒体処理ユニットにおける紙幣の搬送経路を示す説明図である。
【
図7】
図7は、有価媒体処理ユニットにおける入金処理及び回収処理に係る制御手順を例示するフローチャートである。
【
図8】
図8は、ターミナル部が表示する画面の遷移を例示する図である。
【
図9】
図9は、損貨・記念貨処理ユニットの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、貨幣処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、貨幣処理装置の一例である。
図1は、貨幣処理装置としての有価媒体処理ユニット600を含む出納機1の構成例を示している。出納機1は、例えば銀行等の金融機関の営業店舗に設置される。尚、貨幣処理装置は、出納機1の有価媒体処理ユニット600に限定されない。
【0033】
(出納機の構成例)
図2は、出納機1の構成を例示するブロック図である。出納機1は、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、バラ硬貨処理ユニット300、包装硬貨処理ユニット400、損貨・記念貨処理ユニット500、有価媒体処理ユニット600、及び、貨幣保管ユニット700、及び、これらの各処理ユニット100~700を統合制御する制御部8を含んで構成されている。
【0034】
バラ紙幣処理ユニット100は、入金口に投入されたバラ紙幣を、ユニット内の収納部に収納する入金処理や、収納部に収納しているバラ紙幣を、出金口に払い出す出金処理を行う。
【0035】
帯封紙幣処理ユニット200は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣を一つに束ねた帯封紙幣を作成しかつ、帯封紙幣をユニット内に収納すると共に、指定された金種及び束数の帯封紙幣を、ユニット外に出金する処理を行う。
【0036】
バラ硬貨処理ユニット300は、入金口に投入されたバラ硬貨を、ユニット内の収納部に収納する入金処理や、収納部に収納しているバラ硬貨を、出金口に払い出す出金処理を行う。
【0037】
包装硬貨処理ユニット400は、所定枚数(例えば50枚)のバラ硬貨を円筒形状に包装した包装硬貨を作成しかつ、包装硬貨をユニット内に収納すると共に、指定された金種及び本数の包装硬貨を、ユニット外に出金する処理を行う。
【0038】
損貨・記念貨処理ユニット500は、傷みや汚れがひどいため、バラ硬貨処理ユニット300で処理することができないバラ硬貨(損貨)、並びに、バラ硬貨処理ユニット300が処理対象としていない記念硬貨などをユニット内に収納する入金処理を行う。損貨・記念貨処理ユニット500は、有価媒体処理ユニット600の上面に配置されている。
【0039】
有価媒体処理ユニット600は、傷みや汚れがひどいため、バラ紙幣処理ユニット100が処理を行わないバラ紙幣、具体的には、バラ紙幣処理ユニット100がリジェクトしたリジェクト紙幣、損傷度合いや汚損が激しい損券、及び、現在発行されている紙幣よりも発行された年代が古い旧券の処理を行う。有価媒体処理ユニット600はまた、小切手や手形等の有価証券の処理を行う。さらに、この有価媒体処理ユニット600は、中央銀行から各金融機関に配送され、未だ市場流通していない官封券(いわゆる新券)の処理も行う。有価媒体処理ユニット600の構成の詳細は、後述する。尚、ここでは、有価媒体処理ユニット600が処理を行う紙葉類を有価媒体と呼ぶ。
【0040】
貨幣保管ユニット700は、紙幣や硬貨、又は、有価証券類等を保管する収納ドロワを複数備えている。操作者は、収納ドロワを開閉することによって、収納ドロワに紙幣等を収納したり、収納ドロワから紙幣等を取り出したりする。
【0041】
制御部8は、バラ紙幣処理ユニット100、帯封紙幣処理ユニット200、バラ硬貨処理ユニット300、包装硬貨処理ユニット400、損貨・記念貨処理ユニット500、有価媒体処理ユニット600、貨幣保管ユニット700を制御することによって、銀行の営業店舗における貨幣の出入の管理を行う。出納機1は、当該出納機1に収納されている紙幣及び硬貨だけでなく、営業店舗の金庫に保管している貨幣の在高、及び、担当者が手許で管理をする手許管理の貨幣の在高の管理も行う。
【0042】
出納機1はまた、第1ターミナル部41、第2ターミナル部42、プリンタ50、記憶部51、及び、通信部52を備えている。
【0043】
第1ターミナル部41は、包装硬貨処理ユニット400の上面に配置されており、第2ターミナル部42は、帯封紙幣処理ユニット200の上面に配置されている。第1ターミナル部41及び第2ターミナル部42は同じ構成を有している。第1ターミナル部41及び第2ターミナル部42はそれぞれ、例えばタッチパネル式の表示操作部を有し、操作者に向けて情報を表示すると共に、操作者の操作を受け付ける。表示操作部は、表示を行う表示部と、操作者の操作を受け付ける操作部とに分けてもよい。第1ターミナル部41及び第2ターミナル部42はまた、操作者の認証を行うために、カード情報を読み取るカードリーダを有している。尚、以下の説明において、第1ターミナル部41及び第2ターミナル部42を総称するときには、単にターミナル部4と呼ぶ場合がある。ターミナル部4は、認証部の一例である。
【0044】
プリンタ50は、例えば感熱式プリンタや、インクジェットプリンタによって構成され、取引を行う毎に伝票の印刷をしたり、各種のレシートの印刷を行ったりする。プリンタ50は、バラ紙幣処理ユニット100の上面と、バラ硬貨処理ユニット300の上面とのそれぞれに配置されている。
【0045】
記憶部51は、例えばハードディスクドライブや、不揮発性メモリによって構成されている。記憶部51は、出納機1に収納している紙幣及び硬貨の在高情報を記憶している。記憶部51はまた、営業店舗に設けられている金庫に保管している貨幣の在高、及び、手許管理の貨幣の在高の情報も記憶している。記憶部51はさらに、出納機1の各ユニットが実行した処理のログデータを記憶している。
【0046】
出納機1は、ネットワーク701を介して、管理コンピュータ53に接続されている。管理コンピュータ53は、出納機1の管理を行う。出納機1は、取引に関する情報を、管理コンピュータ53に出力する。
【0047】
通信部52は、ネットワーク701を通じて、出納機1と管理コンピュータ53との間の通信を行う。通信部52は、制御部8に対して、信号の授受可能に接続されている。
【0048】
管理コンピュータ53には、
図1に例示するように、スマートフォン54や、タブレット端末55のような携帯端末が通信可能に接続される。操作者は、スマートフォン54又はタブレット端末55を操作することによって、管理コンピュータ53を通じて出納機1の操作を行うことができる。
【0049】
(有価媒体処理ユニットの構成例)
図3は有価媒体処理ユニット600の内部構成図である。
図3では、図面左側の面が有価媒体処理ユニット600の前面となっており、図面右側の面が有価媒体処理ユニット600の背面となっている。
【0050】
有価媒体処理ユニット600には、有価媒体が投入される投入部610と、有価媒体を機外に払い出す払出部660とが設けられている。投入部610及び払出部660は、有価媒体処理ユニット600の筐体601の前面に設けられている(
図1も参照)。投入部610には繰出機構612が設けられている。繰出機構612は、操作者が投入部610に投入した有価媒体を機内に繰り出す。繰出機構612はまた、投入部610に有価媒体が束状態で投入されたときには、有価媒体を一枚ずつ機内に繰り出す。
【0051】
搬送部614は、投入部610から繰り出された有価媒体を、一枚ずつ搬送する。搬送部614には、撮像部616が設けられている。撮像部616は、機内に取り込んだ有価媒体の両面を撮像することによって画像データを取得する。
【0052】
搬送部614にはまた、一時保留部620が接続されている。一時保留部620は、撮像部616を通過した有価媒体を一時的に保留する。一時保留部620は、有価媒体をテープと共に、ドラム620aに巻き取るテープ巻取方式に構成されている。より詳細に、ドラム620aは正逆両方向に回転可能であり、ドラム620aはテープ及び有価媒体を巻き取ったり繰り出したりする。一時保留部620に送られた有価媒体は、一枚ずつ順次、テープと共にドラム620aに巻き取られて収納される。また、ドラム620aを逆転させると、有価媒体が一枚ずつ繰り出されて、搬送部614に送り出される。
【0053】
有価媒体処理ユニット600の筐体601内には、小切手等を収納する特定有価証券収納部630と、損券や旧券を収納する損券収納部640とが設けられている。ここでは、特定有価証券収納部630は、三つの収納部から構成されている。各特定有価証券収納部630は集積方式の収納部であり、搬送部614から特定有価証券収納部630に送られた小切手は、既に特定有価証券収納部630に収納されている小切手の上に積み重ねられるようにして収納される。また、特定有価証券収納部630は、収納された小切手を繰り出す機能を備えている。なお、特定有価証券収納部630は、小切手以外の手形等の有価証券を収納してもよい。
【0054】
損券収納部640は、第1損券収納部641と、第2損券収納部642とを備えている。第1損券収納部641は集積方式の収納部である。搬送部614から第1損券収納部641に送られた損券や旧券は、既に第1損券収納部641に収納されている損券や旧券の上に積み重ねられるようにして収納される。第1損券収納部641は、収納している損券や旧券を、搬送部614に繰り出すことができない。第2損券収納部642はテープ巻取方式の収納部である。より具体的に第2損券収納部642は、一時保留部620と同様に、正逆両方向に回転可能なドラム642aを有している。第2損券収納部642は、損券や旧券を、一枚ずつ順次、テープと共にドラム642aに巻き取って収納する。また、第2損券収納部642は、ドラム642aを逆転させることによって、損券や旧券をドラム642aから一枚ずつ繰り出して、搬送部614に送り出すことができる。
【0055】
有価媒体処理ユニット600の筐体601内には、新券を収納する新券収納部650が設けられている。ここでは、新券収納部650は、四つの収納部から構成されている。各新券収納部650に収納されている新券は、繰出機構により搬送部614に一枚ずつ繰り出される。
【0056】
払出部660は搬送部614に接続されている。搬送部614によって搬送された有価媒体は、当該払出部660で積み重なる。また、払出部660にはシャッタ661aが設けられており、操作者は、このシャッタ661aが開放状態となったときに、払出部660に集積されている有価媒体を取り出すことができる。
【0057】
払出部660には、新券収納部650に収納されている新券が払い出される他にも、後述するように、例えば回収処理時に、第2損券収納部642から繰り出された損券や旧券が、払出部660に払い出される。
【0058】
(有価媒体処理ユニットの入金処理)
次に、有価媒体処理ユニット600が行う有価媒体の入金処理、特に第1損券収納部641又は第2損券収納部642に収納される損券及び旧券の入金処理について説明をする。
【0059】
操作者は、ターミナル部4を操作することにより、損券又は旧券(以下、説明を簡単にするために紙幣と呼ぶ)の入金処理の実行を選択する。操作者はまた、入金対象の紙幣を有価媒体処理ユニット600の投入部610に投入する。このときに操作者は、入金対象の紙幣の特性に応じて、紙幣をキャリアシートに挟んで投入部610に投入することができる。キャリアシートは、図示は省略するが、紙幣を挟む2枚の透明又は半透明のシートによって構成された搬送補助シートである。操作者は、キャリアシートを利用しない場合は、投入部610に、紙幣を束で投入することも可能である。紙幣が束で投入されると、投入部610の繰出機構612は、前述したように、紙幣を一枚ずつ機内に繰り出す(つまり、連続入金)。操作者は、入金処理の実行を選択する際に、ターミナル部4を操作することにより、投入部610に紙幣を束で投入する連続入金を行うか、投入部610に紙幣を一枚ずつ投入する一枚入金を行うかを、選択してもよい。
【0060】
投入部610に紙幣を投入した後、操作者がターミナル部4を操作することにより「計数開始」を指示すると、有価媒体処理ユニット600は、入金処理を開始する。具体的に投入部610は、投入された紙幣を繰り出す。撮像部616は、紙幣の表裏両面を撮像する。一時保留部620は、紙幣を収納する(つまり、入金処理の確定前に、一時的に紙幣を保留する)。
【0061】
撮像部616が取得した画像データは、ターミナル部4に表示される。操作者は、入金対象の紙幣の券種を、ターミナル部4において手入力する。具体的に操作者は、当該紙幣の発行時期であるE券、D券、C券と、金種(つまり、万、5千、2千、千、5百、その他)との組み合わせを選択する(例えば、「D2千円券」や「C一万円券」等)。
【0062】
投入部610に投入した全ての紙幣について、操作者が情報の手入力を行って、入金処理の確定を選択すると、一時保留部620は、一時保留している入金対象の紙幣を繰り出し、搬送部614は、当該紙幣を、第1損券収納部641、又は、第2損券収納部642へ搬送する。第1損券収納部641、又は、第2損券収納部642は、入金対象の紙幣を収納する。例えば、第1損券収納部641は、C券を収納し、第2損券収納部642は、D券及びE券を収納する。記憶部51は、入金処理のログデータを記憶すると共に、記憶している第1損券収納部641、又は、第2損券収納部642の在高を更新する。記憶部51はまた、第2損券収納部642については、収納している紙幣の情報を、その収納順に記憶する。紙幣の収納順は、後述する指定回収時に利用される。こうして、有価媒体処理ユニット600の損券又は旧券の入金処理が完了する。
【0063】
尚、操作者が入金処理の確定を選択せずに、紙幣の返却操作を行ったときには、一時保留部620は、一時保留している入金対象の紙幣を繰り出し、搬送部614は、当該紙幣を、払出部660へ搬送する。入金対象の紙幣は、払出部660に返却される。
【0064】
(有価媒体処理ユニットの回収処理)
次に、有価媒体処理ユニット600が行う有価媒体の回収処理、具体的には、第1損券収納部641の回収処理、及び、第2損券収納部642の回収処理について、説明をする。回収処理は、例えば損券収納部640が満量になった(例えば、損券収納部640の収納量が、損券収納部640の収納可能容量に到達した(つまり、フルになった))、又は、収納可能容量に近づいた(例えば、損券収納部640の収納量が予め設定をしたニアフル(但し、ニアフルは収納可能容量よりも少ない)になった)ときに実行される。
【0065】
第1損券収納部641の回収処理時に、操作者は、ターミナル部4を操作することにより、第1損券収納部641の回収処理の実行を選択する。第1損券収納部641は、収納している紙幣を繰り出すことができないため、有価媒体処理ユニット600は、第1損券収納部641については、収納している紙幣を全て回収する全回収のみを実行することができる。有価媒体処理ユニット600は、第1損券収納部641の回収処理の実行が指示されると、筐体に設けられたロックを解除することによって、操作者が有価媒体処理ユニット600の筐体を開けることを許容する。操作者は、第1損券収納部641の内部を外に開放した上で、第1損券収納部641内に集積している紙幣を、手で取り出す。紙幣を取り出した後に、操作者が筐体を閉じることによって、第1損券収納部641の回収処理が完了する。
【0066】
第2損券収納部642の回収処理時にも、操作者は、ターミナル部4を操作することにより、第2損券収納部642の回収処理の実行を選択する。第2損券収納部642は、収納している紙幣を繰り出すことができるため、有価媒体処理ユニット600は、第2損券収納部642については、収納している紙幣を全て回収する全回収と、回収対象の券種及び枚数を指定する指定回収とのそれぞれを、実行することができる。
【0067】
第2損券収納部642の回収処理の実行を選択した後、操作者は、ターミナル部4を操作することによって、第2損券収納部642に収納している紙幣を全て回収する全回収、又は、第2損券収納部642に収納している紙幣の一部を回収する指定回収を選択する。指定回収を選択した場合、操作者はさらに、ターミナル部4を操作することによって、回収対象の紙幣の券種や金種、及び、その枚数を指定することができる。
【0068】
全回収又は指定回収が選択されると、有価媒体処理ユニット600は、第2損券収納部642に収納している紙幣を繰り出す。搬送部614は、回収対象の紙幣を払出部660へ搬送し、そこに払い出す。全回収であれば、第2損券収納部642から繰り出された全ての紙幣が回収対象の紙幣であり、指定回収であれば、指定された券種の紙幣が回収対象の紙幣である。尚、第2損券収納部642から繰り出された紙幣が、回収対象の紙幣であるか否かは、記憶部51が記憶している紙幣の収納順に基づいて判定する。搬送部614は、回収対象外の紙幣を一時保留部620へ搬送し、一時保留部620は、回収対象外の紙幣を一時保留する。回収対象の紙幣が全て、払出部660に払い出された後、一時保留部620は、(紙幣を一時保留しているのであれば)一時保留している回収対象外の紙幣を繰り出し、搬送部614は、当該紙幣を第2損券収納部642へ搬送する。こうして、第2損券収納部642の回収処理が完了する。
【0069】
有価媒体処理ユニット600から回収された紙幣は、手元管理紙幣として管理されたり、貨幣保管ユニット700に保管されたりする。回収された紙幣は、所定枚数(例えば100枚)で束ねた帯封紙幣に形成した方が、手元管理が容易になる。
【0070】
第2損券収納部642の紙幣を回収するときには指定回収が可能であるため、各券種について所定枚数を一単位とした回収を行うことができる。指定回収は、回収する枚数を指定することが可能であるから、回収した紙幣の管理が容易になる。
【0071】
(有価媒体処理ユニットの入金及び回収処理)
ここで、入金処理の確定後、一時保留部620に一時保留している紙幣を損券収納部640へ収納している途中に、損券収納部640がフルになる又はニアフルになると、有価媒体処理ユニット600の回収処理の実行が必要になる。同様に、損券収納部640への収納が完了したタイミングで、損券収納部640がフルになる又はニアフルになると、有価媒体処理ユニット600の回収処理の実行が必要になる。
【0072】
従来の有価媒体処理ユニットでは、損券収納部640がフル又はニアフルになると、操作者が、入金処理を中断しかつ回収処理を割り込みで実行する操作をしたり、入金処理の完了直後に、入金処理に続けて回収処理を実行する操作をしたりしていた。このような有価媒体処理ユニットの構成は、操作者による操作が面倒になってしまう。
【0073】
また、入金処理と回収処理との両方を実行する場合は、入金処理時に損券収納部640に収納した貨幣を、回収処理によって、直ぐに損券収納部640から回収することになる。有価媒体処理ユニット600の紙幣の搬送動作が無駄になると共に、入金処理及び回収処理を含めた処理全体に要する時間が、長くなってしまうという不都合もある。
【0074】
そこで、ここに開示する有価媒体処理ユニット600は、入金処理が確定したときに、入金対象の紙幣の少なくとも一部を、損券収納部640に収納せずに、一時保留部620から払出部660へ払い出すことが可能に構成されている。つまり、有価媒体処理ユニット600は、入金対象の紙幣について、損券収納部640に収納しないで回収することができる。
【0075】
制御部8は、入金処理が確定したときに、少なくとも一時保留部620に一時保留している紙幣の量に基づき、一時保留している紙幣を損券収納部640に収納すると、損券収納部640がフルになる又はニアフルになることにより回収処理の実行が必要になり得る状況か否かを判定する。そして、制御部8は、その判定結果に応じて、入金対象の紙幣の少なくとも一部を、払出部660へ払い出すことを可能にする。
【0076】
入金処理の実行に続いて入金対象の紙幣の回収処理を実行するときには、一時保留部620に一時保留している紙幣を全て、払出部660に払い出してもよい。また、回収後の貨幣の管理を容易にするために、一時保留部620に一時保留している紙幣のうち、券種毎に、所定枚数の整数倍(尚、ここでいう整数には、1も含まれる)の紙幣を、払出部660に払い出してもよい。紙幣の回収枚数を設定するために、出納機1の記憶部51は、回収設定テーブルT1を記憶している。
【0077】
図4は、回収設定テーブルT1を例示している。回収設定テーブルT1は、券種毎に、払出部660へ払い出す紙幣の回収基準枚数(つまり、前記の所定枚数に相当)を定めている。回収基準枚数は、帯封紙幣を作成する紙幣の枚数に基づいて定めている。
図4に例示する回収設定テーブルT1は、各券種の回収基準枚数を100枚に定めている。尚、回収基準枚数は100枚には限らない。また、券種毎に、回収基準枚数を異ならせてもよい。
【0078】
有価媒体処理ユニット600はまた、入金処理の確定時に損券収納部640がフルになる又はニアフルになる、のではないときも、回収処理が可能に構成されている。具体的に有価媒体処理ユニット600は、少なくとも一時保留部620に一時保留している入金対象の紙幣の量と、回収設定テーブルT1とに基づき、券種毎に、回収基準枚数の整数倍の紙幣を回収することができる場合は、入金処理に続けて入金対象の紙幣の回収処理を行うことが可能に構成されている。
【0079】
さらに、第2損券収納部642は紙幣を繰り出すことができることから、有価媒体処理ユニット600は、入金処理の確定時に、一時保留部620に一時保留している入金対象の紙幣を払出部660に払い出すことに加えて、第2損券収納部642に収納している紙幣の一部も、払出部660に払い出すことができるよう構成されている。つまり、一時保留部620に一時保留している入金対象の紙幣と、第2損券収納部642に収納している紙幣との両方を回収する。一時保留部620に一時保留している入金対象の紙幣だけでは回収基準枚数の整数倍の紙幣を回収することができないときであっても、一時保留部620に一時保留している入金対象の紙幣と、第2損券収納部642に収納している紙幣とを合わせることによって、回収基準枚数の整数倍の紙幣を回収することができる場合がある。
【0080】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、有価媒体処理ユニット600における入金及び回収処理時の、紙幣の搬送について説明する。
図5の工程P1は、入金処理時の紙幣の搬送経路を示している。同図に矢印によって示すように、投入部610に投入された入金対象の紙幣は、撮像部616によって撮像された後、搬送部614によって一時保留部620へ搬送されると共に、一時保留部620に一時的に保留される。
【0081】
図5の工程P2は、入金処理の確定後、入金対象の紙幣を収納せずに回収するときの紙幣の搬送経路を示している。回収対象の紙幣は、同図に実線の矢印によって示すように、一時保留部620から繰り出された後、搬送部614によって払出部660に払い出される。回収しない紙幣であって、第1損券収納部641に収納される紙幣は、同図に破線の矢印によって示すように、一時保留部620から繰り出された後、搬送部614によって第1損券収納部641へ搬送されると共に、第1損券収納部641は当該紙幣を収納する。一方、回収しない紙幣であって、第2損券収納部642に収納される紙幣は、同図に一点鎖線の矢印によって示すように、一時保留部620から繰り出された後、搬送部614によって第2損券収納部642へ搬送されると共に、第2損券収納部642は当該紙幣を収納する。
【0082】
図6の工程P3は、入金処理の実行に続けて入金対象の紙幣の回収処理を実行するときに、第2損券収納部642に収納している紙幣の一部を回収する際の搬送経路を示している。工程P3は、
図5の工程P2に続けて行ってもよい。また、工程P3(及び後述の工程P4)は、
図5の工程P2の前に行ってもよい。
【0083】
図6の工程P3に実線の矢印によって示すように、第2損券収納部642から繰り出された紙幣のうち回収対象の紙幣は、搬送部614によって払出部660に払い出される。第2損券収納部642から繰り出された紙幣のうち回収対象でない紙幣は、破線の矢印で示すように、搬送部614によって一時保留部620へ搬送されると共に、一時保留部620は当該紙幣を一時保留する。
【0084】
図6の工程P4は、回収対象の紙幣が払出部660に払い出された後の紙幣の搬送経路を示している。
図6の工程P4に実線の矢印によって示すように、一時保留部620は、一時保留をしていた回収対象でない紙幣を繰り出し、搬送部614は、当該紙幣を第2損券収納部642へ搬送し、第2損券収納部642は、当該紙幣を収納する。
【0085】
入金対象の紙幣が、第1損券収納部641へ収納される紙幣である場合(前述したようにC券である場合)、第1損券収納部641は、収納している紙幣を繰り出すことができないため、入金処理に続けて回収処理が実行されるときには、
図5の工程P1と、必要に応じて工程P2とが行われる。この場合、入金処理の確定時に成立し得る回収条件として、以下の(1-1)~(1-5)を具体的に例示することができる。
(1-1) 一時保留部620に一時保留している紙幣の数が、第1損券収納部641のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
(1-2) 一時保留部620に一時保留している紙幣の数と、第1損券収納部641に収納している紙幣の数とを足し合わせると、第1損券収納部641のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
(1-3) 回収設定テーブルT1に基づき、一時保留部620に一時保留している紙幣に、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種が存在している。
(1-4) 一時保留部620に一時保留している紙幣から、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種を差し引いた後の紙幣の数が、第1損券収納部641のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
(1-5) 一時保留部620に一時保留している紙幣から、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種を差し引いた後の紙幣の数と、第1損券収納部641に収納している紙幣の数とを足し合わせると、第1損券収納部641のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
【0086】
有価媒体処理ユニット600は、これらの回収条件のいずれか一つが成立すれば、入金処理に続けて回収処理を実行可能にする。尚、回収条件(1-4)が成立しているときには、少なくとも回収条件(1-1)も成立していると共に、回収条件(1-3)も成立している。また、回収条件(1-5)が成立しているときには、少なくとも回収条件(1-2)も成立していると共に、回収条件(1-3)も成立している。
【0087】
第1損券収納部641のニアフル、又は、フルは、貨幣の回収を行うしきい値としての回収量の一例である。また、回収基準枚数も、貨幣の回収を行うしきい値としての回収量の一例である。
【0088】
入金対象の紙幣が、第2損券収納部642へ収納される紙幣である場合(前述したようにD券又はE券である場合)、第2損券収納部642は、収納している紙幣を繰り出すことができるため、入金処理に続けて回収処理が実行されるときには、
図5の工程P1と、必要に応じて工程P2,
図6の工程P3及びP4とを実行することができる。入金対象の紙幣が、第2損券収納部642へ収納される紙幣である場合、入金処理の確定時に成立し得る回収条件として、以下の(2-1)~(2-7)を具体的に例示することができる。
(2-1) 一時保留部620に保留している紙幣の数が、第2損券収納部642のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
(2-2) 一時保留部620に一時保留している紙幣の数と、第2損券収納部642に収納している紙幣の数とを足し合わせると、第2損券収納部642のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
(2-3) 回収設定テーブルT1に基づき、一時保留部620に一時保留している紙幣に、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種が存在している。
(2-4) 一時保留部620に保留している紙幣から、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種を差し引いた後の紙幣の数が、第2損券収納部642のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
(2-5) 一時保留部620に保留している紙幣から、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種を差し引いた後の紙幣の数と、第2損券収納部642に収納している紙幣の数とを足し合わせると、第2損券収納部642のニアフルに相当する、又は、ニアフルを超える、又は、フルに相当する、又は、フルを超える。
(2-6) 一時保留部620に保留している紙幣と、第2損券収納部642に収納している紙幣とを合わせると、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種が存在している。
(2-7) 第2損券収納部642に収納している紙幣に、回収基準枚数、又は、回収基準枚数の整数倍となる券種が存在している。
【0089】
有価媒体処理ユニット600は、これらの回収条件のいずれか一つが成立すれば、入金処理に続けて回収処理を実行可能にする。尚、回収条件(2-4)が成立しているときには、少なくとも回収条件(2-1)も成立していると共に、回収条件(2-3)も成立している。また、回収条件(2-5)が成立しているときには、少なくとも回収条件(2-2)も成立していると共に、回収条件(2-3)も成立している。
【0090】
回収条件(2-7)が成立しているときに回収処理を行うと、第2損券収納部642がニアフル等でなくても、第2損券収納部642の容量を増やすことができる。
【0091】
第2損券収納部642のニアフル、又は、フルは、貨幣の回収を行うしきい値としての回収量の一例である。また、回収基準枚数も、貨幣の回収を行うしきい値としての回収量の一例である。
【0092】
図7は、有価媒体処理ユニット600が実行する入金処理及び回収処理に係るフローチャートである。
図8は、入金処理及び回収処理の実行の際に、ターミナル部4が表示する画面の遷移例を示している。
【0093】
先ず、スタート後のステップS1で、制御部8は、操作者が認証操作を行ったか否かを判定する。認証操作は、操作者が、ターミナル部4においてIDを手入力することであってもよいし、ターミナル部4のカードリーダにIDカードを読み取らせることであってもよい。認証操作が行われていないときには、プロセスはステップS1を繰り返し、認証操作が行われれば、プロセスはステップS2に進む。
【0094】
図7のフローでは操作者が損券又は旧券の入金処理を選択したとする。ステップS2において、制御部8は、有価媒体処理ユニット600により、損券又は旧券の入金処理を実行する。有価媒体処理ユニット600における入金処理の動作手順は、前述した通りである。投入部610に投入された紙幣が全て、一時保留部620に保留されると、プロセスはステップS2からステップS3に移行する。
【0095】
ステップS3において制御部8は、操作者が入金確定の操作を行ったか否かを判定する。
図8のD1は、操作者が入金処理を確定させる画面を例示している。画面D1は、入金処理時に、有価媒体処理ユニット600に取り込まれた貨幣の情報を表示している。操作者が画面D1において「完了」ボタンを操作すると、入金処理が確定する。
【0096】
入金確定の操作が行われると、プロセスはステップS3からステップS4に進む。入金確定の操作が行われずに、操作者が紙幣の返却操作を行ったときには、プロセスはステップS10に進む。ステップS10において制御部8は、前述したように、一時保留部620に保留している紙幣を繰り出させると共に、当該紙幣を、搬送部614を通じて払出部660に払い出す。
【0097】
ステップS4において制御部8は、前述した回収条件(1-1)~(1-5)のいずれか、又は(2-1)~(2-7)のいずれかが成立したか否かを判定する。ステップS4の判定がYESのときには、プロセスはステップS5に進む。ステップS4の判定がNOのときには、プロセスはステップS11に進む。ステップS11において制御部8は、一時保留部620に保留している入金対象の紙幣を、一時保留部620から繰り出し、券種に応じて、第1損券収納部641又は第2損券収納部642に収納する。
【0098】
ステップS5において制御部8は、操作者が回収処理の実行を要求したか否かを判定する。例えば、前述した回収条件(1-1)(1-2)(2-1)(2-2)が成立している場合、ターミナル部4は、
図8の画面D2-1を表示する。画面D2-1は、一時保留部620に一時保留している紙幣を損券収納部640に収納すると、(損券収納部640がニアフル又はフルになるため)回収処理が必要になる旨を記載していると共に、操作者が選択操作をすることが可能な、「回収」ボタンと「収納」ボタンとを有している。操作者が「回収」を選択したときには、回収処理が要求されたことになる。操作者が「収納」を選択したときには、回収処理を行わずに、一時保留部620に一時保留している紙幣を損券収納部640に収納することが要求されたことになる。
【0099】
例えば、前述した回収条件(1-3)(2-3)(2-6)が成立している場合、ターミナル部4は、画面D2-2を表示する。画面D2-2は、一時保留部620に一時保留している紙幣を損券収納部640に収納すると、回収基準枚数に達する旨を記載していると共に、操作者が選択操作をすることが可能な、「回収」ボタンと「収納」ボタンとを有している。操作者が「回収」を選択したときには、回収処理が要求されたことになる。操作者が「収納」を選択したときには、回収処理を行わずに、一時保留部620に一時保留している紙幣を損券収納部640に収納することが要求されたことになる。
【0100】
画面D2-1又は画面D2-2において「回収」が選択されたときには、プロセスはステップS5からステップS6に進む。一方、「収納」が選択されたときには、プロセスはステップS5からステップS11に進む。
【0101】
ステップS6~ステップS9は、入金処理に続けて実行する回収処理に関係するステップである。先ずステップS6において制御部8は、入金処理を行っている操作者が、所定の権限を有しているか否かを判定する。所定の権限は、具体的には、出納機1において回収処理を実行する権限である。ステップS1における認証結果に基づいて、当該操作者が回収処理を実行する権限を有しているときには、プロセスはステップS6からステップS7に進む。操作者が回収処理を実行する権限を有していないときには、プロセスはステップS6からステップS8に進む。
【0102】
ステップS7において制御部8は、回収処理を実行する。ここでは、一時保留部620に保留している入金対象の紙幣の少なくとも一部を、第1損券収納部641及び第2損券収納部642に収納せずに、払出部660に払い出す回収処理が、少なくとも実行される。
【0103】
図8の画面D3は、回収処理の実行が選択されたときに、ターミナル部4が表示する画面を例示している。操作者は、この画面D3において、回収対象の券種を指定する。回収対象の券種を指定した後、操作者が「完了」ボタンを操作すると、ターミナル部4は、回収対象の券種、枚数、及び、金額を、画面D4において表示する。尚、図示は省略するが、操作者は、一時保留部620に一時保留している全ての紙幣を回収対象に指定することも可能である。画面D4において、操作者が「完了」ボタンを操作すると、入金対象の紙幣の少なくとも一部が払出部660に払い出される(
図5の工程P1参照)。また、ステップS7において制御部8は、第2損券収納部642に収納している紙幣の一部を、払出部660に払い出すこともある(
図6の工程P3参照)。
【0104】
ステップS7において制御部8は、必要に応じて、一時保留部620に保留している入金対象の紙幣の少なくとも一部を、第1損券収納部641又は第2損券収納部642に収納する(
図5の工程P2参照)。回収対象ではない紙幣を損券収納部640に収納することによって、有価媒体処理ユニット600は、紙幣を適切に管理することができる。さらに、ステップS7において制御部8は、第2損券収納部642から繰り出しかつ、一時保留部620に一時的に保留した紙幣を、第2損券収納部642に再収納することもある(
図6の工程P4参照)。
【0105】
従って、ステップS7においては、(1)一時保留部620に一時保留している紙幣の一部が払出部660に払い出される、(2)一時保留部620に一時保留している紙幣の全てが払出部660に払い出される、(3)一時保留部620に一時保留している紙幣の一部又は全部と、第2損券収納部642に収納している紙幣の一部又は全部とが払出部660に払い出される、ことになる。
【0106】
ステップS7において、回収対象の紙幣が全て払出部660に払い出されると、ターミナル部4は、払出部660から紙幣を取り出すこと促す画面D5(
図8参照)を表示する。操作者は、画面D5に従って、払出部660から紙幣を取り出す。
【0107】
入金処理が確定したときに損券収納部640へ紙幣を収納することを省いて回収処理を行うことにより、有価媒体処理ユニット600の処理の効率化が図られる。また、損券収納部640がフルになる、又は、ニアフルになることを避けることができる。さらに、操作者は、入金処理の途中に回収処理を割り込みで実行したり、入金処理の完了直後に回収処理を実行したりする操作が不要になるため、操作者の操作が簡略化する。
【0108】
ステップS8において制御部8は、出納機1が設置されている営業店舗の出納係へ通知する。出納係への通知は、例えば、管理コンピュータ53を通じて出納係のスマートフォン54やタブレット端末55に対して行ってもよい。尚、ステップS8の通知は、出納係に限らず、回収処理を実行する権限を有する者に行ってもよい。
【0109】
ステップS8において通知を受けた出納係は、出納機1のターミナル部4において認証操作を行う。ステップS9において制御部8は、出納係の認証が行われたか否かを判定する。認証が行われていないときには、プロセスはステップS9を繰り返す。認証が行われたときには、プロセスはステップS9からステップS7に進む。この場合ステップS7においては、出納係が、前述した回収処理を行うことになる。
【0110】
入金処理を実行する操作者が回収処理の権限を有していない場合に、有価媒体処理ユニット600が入金対象の紙幣を払出部660へ払い出すことを保留することにより、貨幣を厳正に管理することができる。また、入金処理を実行する操作者が回収処理の権限を有していない場合に、回収処理を実行する権限を有している者(出納係を含む)に連絡を行うと共に、出納係等の操作によって、入金対象の紙幣の払い出しを可能にすることにより、有価媒体処理ユニット600の入金及び回収処理が速やかに完了する。
【0111】
このように、ステップS2において入金処理、つまり、入金対象の紙幣を一時保留部620に一時的に保留した後、入金対象の紙幣を損券収納部640に収納する前に、ステップS7において回収処理を実行することにより、一時保留部620と損券収納部640との間で、紙幣を無駄に搬送することを回避することができる。入金処理と回収処理とを含む処理の全体に要する時間を短縮することができる。
【0112】
払出部660に払い出された紙幣は、手元管理される。回収基準枚数の整数倍の紙幣を、払出部660に払い出すようにすれば、端数が生じることなく、払い出された紙幣を、基準枚数毎にまとめることができる(つまり、帯封紙幣を作成することができる)。払出部660に払い出された貨幣の手元管理が容易になる。
【0113】
操作者は、回収した紙幣を、例えば貨幣保管ユニット700に収納(つまり保管)してもよい。出納機1は、ステップS7の回収処理に続いて、貨幣保管ユニット700への紙幣の収納処理を実行してもよい。出納機1は、回収処理と貨幣保管ユニット700の収納処理との間で明細データを連携すれば、貨幣保管ユニット700の収納処理を実行する際に、操作者が明細を入力することを省略することができる。出納機1の操作性が向上する。
【0114】
ステップS7の回収処理を行わずに、ステップS11において入金対象の紙幣を損券収納部640に収納しようとした場合、一時保留部620に一時保留していた紙幣を損券収納部640に収納している途中で、又は、一時保留部620に一時保留していた紙幣を損券収納部640に収納し終わったタイミングで、損券収納部640が、フル又はニアフルになる場合がある。ステップS12において、制御部8は、損券収納部640がフル又はニアフルになったか否かを判定する。尚、ステップS12の判定は、ステップS11の収納を実行している最中、及び、収納が完了した直後に行われる。損券収納部640がフル又はニアフルになっておらず、ステップS12の判定がNOのとき(つまり、損券収納部640がフル又はニアフルにならずかつ、紙幣の収納が完了したとき)、損券収納部640の回収処理が不要であるため、プロセスは終了する。一方、ステップS12の判定がYESのとき、つまり、一時保留部620に一時保留していた紙幣を損券収納部640に収納している途中で、又は、一時保留部620に一時保留していた紙幣を損券収納部640に収納し終わったタイミングで、損券収納部640がフル又はニアフルになったときに、プロセスはステップS13に進む。
【0115】
ステップS13において制御部8は、(操作者が回収処理の実行に係る操作したことを受けて)第1損券収納部641又は第2損券収納部642の回収処理を実行する。
【0116】
第1損券収納部641の回収処理を実行する場合は、前述したように、第1損券収納部641は全回収のみが可能であるため、有価媒体処理ユニット600は、筐体に設けられたロックを解除することによって、操作者が有価媒体処理ユニット600の筐体を開けることを許容する。操作者は、第1損券収納部641を外部に開放した上で、第1損券収納部641内に集積している紙幣を、手で取り出す。
【0117】
第2損券収納部642の回収処理を実行する場合、図示は省略するが、操作者は、ターミナル部4において、第2損券収納部642に収納している紙幣を全て回収する全回収か、又は、第2損券収納部642に収納している紙幣の一部を回収する指定回収か、のいずれかを選択する。指定回収を選択した場合、操作者は、回収を行う券種及び枚数を指定することができる。全回収又は指定回収が選択されると、有価媒体処理ユニット600は、前述したように、第2損券収納部642に収納している紙幣を繰り出して、払出部660に払い出す。このときに、第2損券収納部642から繰り出された回収対象外の紙幣は、一時保留部620に一時的に保留される。一時保留部620は、回収対象の紙幣が全て払出部660に払い出された後、回収対象外の紙幣を繰り出し、搬送部614は、当該紙幣を第2損券収納部642に戻す。
【0118】
尚、
図7のフローでは省略しているが、ステップS13の回収処理を実行する際にも、ステップS6及びS7と同様に、制御部8は、操作者が、回収処理を実行する権限を有しているか否かを判定する。操作者が権限を有しているときには、制御部8は、ステップS13の回収処理をそのまま実行する。操作者が権限を有していないときには、制御部8は、ステップS8及びS9と同様に、出納係への通知と、出納係の認証とを行って、ステップS13の回収処理を実行する。
【0119】
ステップS13の回収処理が終了すれば、プロセスはステップS14に進む。一時保留部620に一時保留していた入金対象の紙幣の収納が完了していないとき、制御部8は、ステップS14において、中断していた入金対象の紙幣の収納を行う。一方、入金対象の紙幣の収納が完了しているときには、ステップS14における収納を省略して、プロセスは終了する。
【0120】
前述した入金処理及び回収処理を実行すると、制御部8は、これら入金処理と、回収処理とのログデータを、記憶部51に記憶させる。記憶部51は、入金処理のログデータと、回収処理のログデータとを分けて記憶してもよい。記憶部51はまた、入金処理のログデータと、回収処理のログデータとを互いに紐付けて記憶してもよい。例えば、入金処理のログデータと、回収処理のログデータとについて共通の連携番号を付与してもよい。また、記憶部51は、入金処理と回収処理とをまとめた一つの「入金及び回収処理」として、ログデータを記憶してもよい。前述したように、回収した紙幣を貨幣保管ユニット700に収納する場合は、回収処理のログデータと収納処理のログデータとを互いに紐付けて記憶してもよい。
【0121】
制御部8はまた、回収処理を行ったときには、プリンタ50を通じて、回収レシートを発行する。回収レシートには、例えば、タイトル、回収日時、操作者のID、及び、回収金額(合計金額、及び/又は、券種別金額)を印字してもよい。回収レシートは、有価媒体処理ユニット600から回収された紙幣に添付され、当該紙幣と共に保管される。
【0122】
(他の実施形態)
尚、前記の構成では、有価媒体処理ユニット600は、回収対象の紙幣を払出部660に払い出しているが、例えば、有価媒体処理ユニット600が、その筐体に着脱可能な回収箱を有するよう構成し、回収対象の紙幣を回収箱内に収納するように構成してもよい。
【0123】
また、ここに開示する技術は、有価媒体処理ユニット600に適用することに限らない。ここに開示する技術は、出納機1の他のユニットに適用することもできる。以下においては、損貨・記念貨処理ユニット500に、ここに開示する技術を適用した例を説明する。
【0124】
(損貨・記念貨処理ユニットへの適用例)
図9は、損貨・記念貨処理ユニット500の外観を例示している。損貨・記念貨処理ユニット500は、筐体501の上前部に開口502が形成されている。シャッタ503は、この開口502を開閉する。
図9は、シャッタ503が開いている状態を示している。
【0125】
開口502が開いていると、第1載置領域504及び第2載置領域505が外部に露出する。操作者は、第1載置領域504及び第2載置領域505のそれぞれに、硬貨を載置することができる。第1載置領域504及び第2載置領域505は共に、複数の硬貨を載置することが可能である。第1載置領域504に載置される硬貨の種類、及び、第2載置領域505に載置される硬貨の種類はそれぞれ、任意に設定される。例えば第1載置領域504に損貨を載置し、第2載置領域505に記念貨を載置するようにしてもよい。第1載置領域504は、投入部兼一時保留部に相当する。第2載置領域505も、投入部兼一時保留部に相当する。
【0126】
第1載置領域504の下側には、第1収納部506が設けられている。第1収納部506は、図示は省略するが、第1載置領域504に載置された硬貨が落下することにより、当該硬貨を収納する。第1収納部506はまた、前方に引出可能に構成されている。第1収納部506を前方に引き出すと、第1収納部506に収納している硬貨を回収することができる。第1収納部506は、回収処理時以外の時は、ロック機構によって引き出すことができない。
【0127】
第2載置領域505の下側には、第2収納部507が設けられている。第2収納部507は、図示は省略するが、第2載置領域505に載置された硬貨が落下することにより、当該硬貨を収納する。第2収納部507も、前方に引出可能に構成されている。第2収納部507を前方に引き出すと、第2収納部507に収納している硬貨を回収することができる。第2収納部507も、回収処理時以外の時は、ロック機構によって引き出すことができない。
【0128】
図示は省略するが、シャッタ503の内面には、カメラが設置されている。カメラは、第1載置領域504に載置した硬貨、及び、第2載置領域505に載置した硬貨を全て、撮像することができる。
【0129】
損貨・記念貨処理ユニット500において入金処理を行うときに、操作者は入金対象の硬貨を、第1載置領域504及び/又は第2載置領域505に載置する。その後、シャッタ503が閉じると、カメラが第1載置領域504に載置した硬貨、及び/又は、第2載置領域505に載置した硬貨を撮像する。画像データは、ターミナル部4に表示され、操作者は、ターミナル部4において、入金対象の各硬貨の情報を手入力する。第1載置領域504及び/又は第2載置領域505に載置した全ての硬貨について、操作者が情報を手入力しかつ、入金処理の確定を選択すると、損貨・記念貨処理ユニット500は、第1載置領域504に載置されている硬貨を、第1収納部506に収納し、第2載置領域505に載置されている硬貨を、第2収納部507に収納する。
【0130】
ここで、入金処理が確定したときに回収条件が成立すれば、制御部8は、回収処理への移行を可能にする。ここにおける回収条件は、第1載置領域504に載置している硬貨と第1収納部506に収納している硬貨とを足し合わせると、第1収納部506のニアフルになる(ニアフルを超えることを含む)、又は、フルになる(フルを超えるときを含む)ことである。操作者によって回収処理の実行が要求されると、制御部8は、シャッタ503を開けて、操作者が、第1載置領域504に載置している硬貨を取り出すことを許容する。第1収納部506に収納する前に、入金対象の硬貨の回収を可能にすることによって、第1収納部506がフルになる、又は、ニアフルになることを回避することができる。損貨・記念貨処理ユニット500の処理の効率化が図られると共に、操作者の操作が簡略化する。
【0131】
尚、制御部8は、このタイミングで、第1収納部506のロックを解除することにより、第1収納部506に収納している硬貨の回収も可能にしてもよい。
【0132】
第2載置領域505に載置している硬貨についても同様に、入金処理が確定したときに、第2載置領域505に載置している硬貨と第2収納部507に収納している硬貨とを足し合わせると、第2収納部507のフルになる、又は、ニアフルになるときには、制御部8は、回収処理への移行を可能にする。操作者によって回収処理の実行が要求されると、制御部8は、シャッタ503を開けて、操作者が、第2載置領域505に載置している硬貨を取り出すことを許容する。制御部8はまた、第2収納部507のロックを解除することにより、第2収納部507に収納している硬貨の回収も可能にしてもよい。
【0133】
尚、ここに開示する技術は、複数のユニットによって構成される出納機1に適用されるだけでなく、単一の装置によって構成される各種の貨幣処理装置に対して適用することも可能である。
【0134】
また、前記においては、損券収納部640の収納容量や、帯封紙幣や包装硬貨を作成する貨幣量(帯封紙幣であれば100枚、包装硬貨であれば50枚といった、回収基準量)に基づいて、貨幣の回収の要否を判断しているが、これらとは異なり、予め任意に定めた、貨幣の回収のためのしきい値としての「回収量」に基づいて、貨幣の回収の要否を判断してもよい。例えば、一時保留部620に一時的に保留している入金対象の貨幣の量と、損券収納部640に収納している貨幣の量との合計が、記憶部51に記憶している回収量に到達したこと(回収量を超えたことを含む)を条件に、貨幣の回収を行ってもよい。有価媒体処理ユニット600は、回収を行うときには、例えば、一時保留部620に一時的に保留している入金対象の貨幣を少なくとも含む、前記回収量分の貨幣を払い出してもよい。有価媒体処理ユニット600はまた、操作者によって指定された枚数の貨幣の回収を行うようにしてもよい。
【0135】
前記回収量は、貨幣の発行時期(C券、D券、及びE券)毎に、及び/又は、金種(万、5千、2千、千、5百、その他)毎に、定めてもよい。例えば有価媒体処理ユニット600において処理をすることが多いD券及びE券は、回収量を100枚とし、有価媒体処理ユニット600において処理をすることが少ないC券は、回収量を50枚としてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 出納機
4 ターミナル部(認証部)
41 第1ターミナル部(認証部)
42 第2ターミナル部(認証部)
51 記憶部
500 損貨・記念貨処理ユニット(貨幣処理装置)
504 第1載置領域(投入部、一時保留部)
505 第2載置領域(投入部、一時保留部)
506 第1収納部(収納部)
507 第2収納部(収納部)
600 有価媒体処理ユニット(貨幣処理装置)
610 投入部
620 一時保留部
640 損券収納部
641 第1損券収納部(収納部)
642 第2損券収納部(収納部)
8 制御部