(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
B60H1/00 102P
(21)【出願番号】P 2018228443
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】江川 翔
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 勝郎
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 亮太
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-149078(JP,A)
【文献】特開2015-174573(JP,A)
【文献】特開2007-001351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路、熱交換器及び該空気通路を開閉するドアを内部に有した空調ケースと、送風機を有し該空調ケースに接続される送風機ケースとを備え、該空調ケースが前記熱交換器の下部を支持する下部ケースと、該下部ケースの上方に組み付けられ前記ドアの回転軸方向に分割可能な
樹脂製の上部ケースとから構成され
、前記下部ケースが前記上部ケースの下端部に連結される車両用空調装置において、
前記空調ケースには、前記上部ケース、前記下部ケース及び前記送風機ケースそれぞれと接続し、前記空調ケースの壁面の一部を構成する中間部材を備
え、
前記中間部材は、樹脂製で形成され前記上部ケースと前記下部ケースとの連結方向に沿った板状であり、
前記上部ケースと前記下部ケースの連結方向に向かい合う前記上部ケースの第1壁部と、前記下部ケースの第2壁部とを有し、
前記中間部材が、前記上部ケースの前記第1壁部に開口した装着孔に装着され、前記中間部材が前記第1壁部と前記第2壁部とを接続する、車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用空調装置において、
前記上部ケースは、少なくとも2つ以上の分割ケース部からなり、前記中間部材が、前記分割ケース部のそれぞれに対して接続する、車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用空調装置において、
前記送風機ケースは、前記空調ケースに対して前記ドアの回転軸方向から接続され、前記中間部材は、前記空調ケース内に設けられる熱交換器に対向する壁面の一部であると共に、前記送風機ケース内からの通路に連なる開口部の一部を形成するように設けられる、車両用空調装置。
【請求項4】
請求項3記載の車両用空調装置において、
前記中間部材は、前記熱交換器に接続する膨張弁を収納する収納室の少なくとも一部を形成する、車両用空調装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記下部ケースは、前記送風機ケースの一部と一体に形成される、車両用空調装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記装着孔は、前記上部ケースの前記第1壁部の下端部から前記上方に向けて切り欠かれ、前記中間部材によって前記装着孔が覆われる、車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、熱交換器によって温度調整のなされた空気を車室内へと送風して車室内の温度調整を行う車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両に搭載され、車室内の温度調整を行うための車両用空調装置が知られており、この車両用空調装置は、例えば、特許文献1に開示されるように、冷却用熱交換器及び加熱用熱交換器の収納される温調ケースを有し、この温調ケースが樹脂製材料から形成され、上部ケース部材と下部ケース部材との分割構造からなると共に、この上部ケース部材が、左右に分割自在な2つの分割ケース部から構成されている。
【0003】
また、下部ケース部材は、温調ケースの側方に接続されるブロアユニット部の下部を構成するように一体的に形成されている。このように、温調ケースの下部ケース部材をブロアユニット部と共用化することで部品点数の削減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の車両用空調装置では、温調ケースを上部ケース部材と下部ケース部材とに上下方向へ分割した際、前記上部ケース部材の下方が大きく開口する構造となっている。そのため、上部ケース部材における下部の剛性が低く、しかも、ブロアユニット部と接続される一方の上部ケース部材は、その接続部位も開口しているためさらに剛性が弱くなってしまい成形時に変形しやすいという問題がある。
【0006】
その結果、上部ケース部材の変形に伴って、該上部ケース部材と下部ケース部材とを組み付ける際の組付性が低下すると共に、該上部ケース部材とブロアユニット部との組付性も低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、空調ケースの変形を抑制することで組付性の向上を図ることが可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の態様は、空気通路、熱交換器及び空気通路を開閉するドアを内部に有した空調ケースと、送風機を有し空調ケースに接続される送風機ケースとを備え、空調ケースが熱交換器の下部を支持する下部ケースと、下部ケースの上方に組み付けられドアの回転軸方向に分割可能な樹脂製の上部ケースとから構成され、下部ケースが上部ケースの下端部に連結される車両用空調装置において、
空調ケースには、上部ケース、下部ケース及び送風機ケースそれぞれと接続し、空調ケースの壁面の一部を構成する中間部材を備え、
中間部材は、樹脂製で形成され上部ケースと下部ケースとの連結方向に沿った板状であり、
上部ケースと下部ケースの連結方向に向かい合う上部ケースの第1壁部と、下部ケースの第2壁部とを有し、
中間部材が、上部ケースの第1壁部に開口した装着孔に装着され、中間部材が第1壁部と前記第2壁部とを接続する。
【0009】
本発明によれば、車両用空調装置を構成する空調ケースが、内部に設けられる熱交換器の下部を支持する下部ケースと、下部ケースの上方に組み付けられドアの回転軸方向に分割可能な上部ケースとから構成され、送風機を有した送風機ケース、上部ケース及び下部ケースをそれぞれ接続し、且つ、空調ケースの壁面の一部を構成する中間部材を備えている。中間部材が、樹脂製で板状に形成され上部ケースと下部ケースとの連結方向に沿って配置され、連結方向に向かい合う上部ケースの第1壁部の装着孔に中間部材を装着し、中間部材を介して上部ケースの第1壁部と下部ケースの第2壁部とを接続する。
【0010】
従って、空調ケースが樹脂製材料から形成された際、上部ケースと下部ケースと送風機ケースとを互いに接続する中間部材を設けることで、ドアの回転軸方向に分割可能で下部ケース側に開口した上部ケースの成形時に生じた変形を好適に抑制することができる。
【0011】
その結果、上部ケースの変形が抑制されることで下部ケース及び送風機ケースに対して上部ケースを接続する際に調整作業等を行うことなく、容易且つ確実に組み付けることができ、その組付性を向上させることができる。
【0012】
また、空調ケースにおいて、送風機ケースとの接続部位近傍の剛性が低くなりがちであるが、送風機ケースに対する接続部位の一部を中間部材で構成することで、接続部位近傍の剛性を十分に確保することが可能となり、空調ケースと送風機ケースとの組付性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、空調ケースを構成する上部ケース及び下部ケースと送風機ケースとを接続し、空調ケースの壁面の一部を構成する中間部材を設けることで、樹脂製材料からなりドアの回転軸方向へ分割可能な上部ケースを成形する際に生じた変形が好適に抑制される。その結果、上部ケースの変形を中間部材によって抑制することで、下部ケース及び送風機ケースに対して上部ケースを組み付ける際の組付性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る車両用空調装置の外観斜視図である。
【
図3】
図1の車両用空調装置から内外気切替ユニットの一部を取り外した状態を示す外観斜視図である。
【
図4】
図1の車両用空調装置から中間カバーを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る車両用空調装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1及び
図2において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る車両用空調装置を示す。
【0017】
この車両用空調装置10は、
図1に示されるように、内部に空気の各通路12を構成する空調ケース14と、該空調ケース14の幅方向側部に連結され、外気・内気を取り込む内外気切替ユニット16とから構成される。
【0018】
空調ケース14は、例えば、上部に形成され略対称形状の第1及び第2分割ケース(分割ケース部)18、20からなる上部ケース22と、該上部ケース22の下部に連結される下部ケース24と、前記上部ケース22と前記下部ケース24とを接続する中間カバー(中間部材)26とを含む。
【0019】
そして、空調ケース14の内部には、空気の流通する通路12において車両のエンジン側となる車両前方側(
図2中、矢印A方向)にエバポレータ(熱交換器)28が設けられ、該エバポレータ28の下流側となる車両後方側(
図2中、矢印B方向)にヒータコア30が設けられている。
【0020】
また、上部ケース22の内部には、
図2に示されるように、エバポレータ28とヒータコア30との間にエアミックスドア32が設けられ、このエアミックスドア32は、例えば、大きな半径で湾曲した断面円弧状のプレートからなり、前記ヒータコア30側(矢印B方向)に向かって緩やかな凸状となるように形成される。
【0021】
そして、エアミックスドア32には、エバポレータ28に臨む内周面にラックギア34が設けられ、該ラックギア34が上部ケース22に支持されたシャフト36のピニオンギア38と噛合される。これにより、エアミックスドア32は、シャフト36の回転作用下に上部ケース22に設けられたガイド部40に沿って上下にスライドする。
【0022】
第1及び第2分割ケース18、20は、車両の幅方向(
図1中、矢印C方向)に分割可能に設けられ、前記第1及び第2分割ケース18、20の下端が開口し、その開口部に下部ケース24が装着されることで閉塞される。
【0023】
また、上部ケース22の上方(矢印D1方向)には、乗員の顔近傍に送風を行うベント送風口42と、該ベント送風口42と隣接して車両のフロントウィンドウ近傍に送風を行うデフロスタ送風口44とが開口している。一方、上部ケース22の車両後方側(矢印B方向)には、乗員の足元近傍に送風を行うフット送風口46が形成される。
【0024】
そして、上部ケース22には、ベント送風口42、デフロスタ送風口44及びフット送風口46に臨むようにそれぞれ開閉ドア(ドア)48a、48b、48cがそれぞれ設けられる。この開閉ドア48a、48b、48cは、幅方向(矢印C方向)に沿って延在し、上部ケース22の側壁に支持される回転軸50を介して回転自在に支持される。すなわち、開閉ドア48a、48b、48cの回転軸50の軸方向が空調ケース14の幅方向となる。
【0025】
さらに、上部ケース22には、
図2及び
図3に示されるように、内外気切替ユニット16側となる第2分割ケース20の側壁に該内外気切替ユニット16と接続される第1開口部52が形成され、該第1開口部52は、上下方向(矢印D1、D2方向)に長尺な断面略長方形状に開口し、且つ、車両用空調装置10を車両に搭載した際にエンジン側となる車両前方側(矢印A方向)に形成される。
【0026】
さらにまた、上部ケース22の車両前方側(矢印A方向)の前面壁54には、第1開口部52に臨む位置に中間カバー26の装着される装着孔56が開口している。
【0027】
装着孔56は、
図1~
図4に示されるように、上部ケース22の下端から上方(矢印D1方向)に向かって所定高さで切り欠かれるように形成され、第1及び第2分割ケース18、20に跨るように上部ケース22の幅方向(矢印C方向)に沿って延在している。換言すれば、装着孔56は、空調ケース14内に収納されるエバポレータ28に臨む位置に形成されている。
【0028】
下部ケース24は、空調ケース14の幅方向に沿って形成され、空調ケース14の下部を覆う第1ケース部58と、該第1ケース部58と接続され内外気切替ユニット16側に延在して該内外気切替ユニット16の下部を覆う第2ケース部60とを含み、前記第1ケース部58には、空調ケース14内に収納されるエバポレータ28の下端部が保持される。なお、エバポレータ28の上端部は上部ケース22の内部に保持されている。
【0029】
この第1及び第2ケース部58、60は、その上端が略同一高さとなるように形成され、前記第1ケース部58が、空調ケース14における第1及び第2分割ケース18、20の下端部に対して複数のクリップ62及びねじ部材64を介して固定される。一方、第2ケース部60は、後述する内外気切替ユニット16の第2切替ケース86の下端部に対して複数のクリップ62及びねじ部材64を介して固定される。
【0030】
また、第1ケース部58には、車両前方側(矢印A方向)に向かって所定高さだけ突出し、前記第1ケース部58の上端から下方(矢印D2方向)に向かって所定長さとなるように形成された第1突出部66が形成される。第1突出部66は、その中央に第1ケース部58の内部まで貫通した第1収納室68が形成され、エバポレータ28に接続された膨張弁70の一部が収納される。
【0031】
さらに、第1ケース部58と第2ケース部60との間には、両者の内部を互いに連通する略矩形状の第2開口部72が形成され、下部ケース24が空調ケース14の下部に接続された際、該第2開口部72の上部に第1開口部52が接続されることで、上下方向(矢印D1、D2方向)に沿って断面長方形状で単一の開口部74を構成する(
図2参照)。
【0032】
中間カバー26は、例えば、空調ケース14と同様に樹脂製材料から板状に形成され、装着孔56と同一形状で形成される。そして、中間カバー26は、その上端部が上部ケース22側に向かって突出し、溝状に形成された第1及び第2分割ケース18、20の下端に対して嵌合されると共に、その下端部が溝状に形成され下部ケース24における第1ケース部58の上端に対して嵌合するように設けられる(
図2参照)。
【0033】
すなわち、中間カバー26は、空調ケース14における車両前方側(矢印A方向)の一部を覆い、前面壁54と略同一面となるように構成されている。また、中間カバー26は、上部ケース22及び下部ケース24と同様の材質から形成されてもよいし、別の材質から形成されてもよい。
【0034】
また、中間カバー26の幅方向中央には、車両前方側(矢印A方向)に向かって所定高さだけ突出した第2突出部76を備え、該第2突出部76は、上下方向(矢印D1、D2方向)に長尺に形成され、その中央には第2収納室78が開口して空調ケース14の内部と外部とが連通している。
【0035】
そして、第2突出部76は、中間カバー26が上部ケース22の下端に対して接続された際、第1突出部66と上下方向に一直線状となるように形成され、その第2収納室78が第1収納室68と一直線状となることで一つの収納室を構成する。
【0036】
この第1及び第2収納室68、78には、エバポレータ28に接続された膨張弁70が収納され、外部に露呈した端面には図示しないエンジン側の配管が接続される。
【0037】
さらに、中間カバー26の幅方向に沿った一端部は、第2分割ケース20の第1開口部52の一部を構成している。
【0038】
内外気切替ユニット16は、
図1及び
図4に示されるように、外気・内気を取り込む一組の取り込み口80を有した第1切替ケース82と、該第1切替ケース82の下部に設けられるケース本体84と、該ケース本体84の下部に設けられ送風機(図示せず)の一部が収納される第2切替ケース(送風機ケース)86とを備える。
【0039】
そして、開口した第2切替ケース86の下部には、空調ケース14の一部を構成する下部ケース24の第2ケース部60が設けられ塞がれている。
【0040】
また、第2切替ケース86には、空調ケース14側となる側壁に第3開口部87が形成され(
図4参照)、この第3開口部87は、下部ケース24の第2開口部72の上方に形成され単一の開口部を構成し、且つ、空調ケース14の第1開口部52に対して接続される。これにより、内外気切替ユニット16の内部が、開口部74を通じて空調ケース14の内部と連通する。
【0041】
本発明の実施の形態に係る車両用空調装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、空調ケース14に対して中間カバー26を組み付ける場合について説明する。
【0042】
先ず、
図4に示されるように、第1及び第2分割ケース18、20からなる上部ケース22と、下部ケース24とを上下方向(矢印D1、D2方向)に離間させた状態とし、前記上部ケース22の下端に対して中間カバー26の上端部を嵌合させて複数のクリップ62を係合突起部88へと係合させる。
【0043】
これにより、中間カバー26が、上部ケース22の下端に対して接続された状態となり、幅方向に分割可能な第1及び第2分割ケース18、20の下端部に生じた変形が、幅方向に一体的に形成された中間カバー26によって好適に抑制される。
【0044】
次に、中間カバー26の接続された上部ケース22を下部ケース24側に向かって下降させ、前記中間カバー26の下端部を、前記下部ケース24における第1ケース部58の上端に対して嵌合させると共に、該下端に形成された係合突起部88が前記第1ケース部58のクリップ62に対して係合される。
【0045】
これにより、中間カバー26が下部ケース24の上端に対して接続され、且つ、該中間カバー26を介して上部ケース22と下部ケース24とが互いに接続された状態となる。
【0046】
この際、幅方向に分割可能な上部ケース22の変形が中間カバー26によって抑制されているため、前記中間カバー26を介して上部ケース22を下部ケース24に対して容易且つ効率的に組み付けることが可能となる。
【0047】
なお、空調ケース14に対する中間カバー26の組み付け方法は上述した場合に限定されるものではなく、例えば、空調ケース14の上部ケース22と下部ケース24とを予め組み付けた状態で、両者の間に開口した装着孔56に対して中間カバー26を車両前方側から嵌め込むように装着して固定するようにしてもよい。
【0048】
また、上部ケース22の下端に対して中間カバー26を車両前方側から装着して接続した後に、前記中間カバー26を前記上部ケース22と共に下部ケース24側に向かって下降させ、該中間カバー26の下端を、前記下部ケース24における第1ケース部58の上端部に対して嵌合させた状態で接続するようにしてもよい。
【0049】
一方、中間カバー26の設けられていない空調ケース14の第1分割ケース18側及び車両後方側(矢印B方向)においては、開口部74が設けられていないため車両前方側の前面壁54と比較して成形時に生じる変形が小さい。そのため、空調ケース14の第1分割ケース18側及び車両後方側では、上部ケース22と下部ケース24とがクリップ62やねじ部材64を介して直接接続されている。
【0050】
次に、上述したように空調ケース14に対して中間カバー26の装着された車両用空調装置10の動作並びに作用効果について説明する。
【0051】
図示しないコントローラからの制御信号に基づき、内外気切替ユニット16の送風機(図示せず)が回転駆動することで取り込み口80の一方から外気又は内気が内部へと吸い込まれ、第1切替ケース82、ケース本体84、第2切替ケース86へと流れた後に、開口部74(第1~第3開口部)を通じて空調ケース14内へと導入される。
【0052】
この外気又は内気からなる空気は、空調ケース14内においてエバポレータ28を通過することで冷却された後、ヒータコア30を通過した空気と混合されることで所望の温度へと調温され、ベント送風口42やデフロスタ送風口44等を通じて車室内へと送風される。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、車両用空調装置10を構成する空調ケース14が、幅方向に分割可能な第1及び第2分割ケース18、20からなる上部ケース22と、該上部ケース22の下方(矢印D2方向)に設けられ、送風機を有した内外気切替ユニット16に接続される下部ケース24とを備え、前記上部ケース22と前記下部ケース24との間には、車両前方側となる前面壁54に第1分割ケース18と第2分割ケース20とに接続されるように幅方向に延在した中間カバー26が装着される。
【0054】
従って、樹脂製材料からなる第1分割ケース18と第2分割ケース20の成形時に生じた変形が、両者に跨るように中間カバー26を装着することで好適に抑制される。そのため、上部ケース22と下部ケース24とを接続する際に調整作業等を行う必要がなく、該上部ケース22と下部ケース24とを容易且つ確実に接続でき、空調ケース14の組付性を向上させることができる。
【0055】
また、空調ケース14において、内外気切替ユニット16の接続される第1及び第2開口部52、72近傍の剛性が低くなりがちであるが、前記第1開口部52の一部を中間カバー26で構成することで、開口部74近傍の剛性を十分に確保することが可能となる。そのため、第1開口部52を有した第2分割ケース20の成形時に生じた変形を中間カバー26によって好適に抑制することで組付性を高めることができる。
【0056】
さらに、中間カバー26が、分割可能な第1及び第2分割ケース18、20に対してそれぞれ接続されているため、上部ケース22に対して組み付けた後に生じる応力を好適に両者へと分散させることが可能となる。
【0057】
さらにまた、下部ケース24を、空調ケース14の下部を覆う第1ケース部58と、内外気切替ユニット16の下部を覆う第2ケース部60とから一体に形成することで、製造コストの削減を図りつつ、一体成形によって成形の融通が効かなくなることを、上部ケース22の一部を中間カバー26として別部材にすることで、前記上部ケース22側で好適に解消することができる。
【0058】
またさらに、中間カバー26を、第2分割ケース20における第1開口部52の開口高さと略同一高さまで設けることで、前記第1開口部52近傍の剛性を効果的に高めることができる。
【0059】
なお、本発明に係る車両用空調装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0060】
10…車両用空調装置 14…空調ケース
16…内外気切替ユニット 18…第1分割ケース
20…第2分割ケース 22…上部ケース
24…下部ケース 26…中間カバー
54…前面壁 56…装着孔
58…第1ケース部 60…第2ケース部
74…開口部