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特許7194024パイプの接合装置、冷蔵庫の製造方法及び冷蔵庫
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】パイプの接合装置、冷蔵庫の製造方法及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   B21D 39/04 20060101AFI20221214BHJP
   F16L 13/16 20060101ALI20221214BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20221214BHJP
   F16L 33/20 20060101ALI20221214BHJP
   F16L 19/12 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B21D39/04 B
F16L13/16
F25D23/00 305D
F25D23/00 305J
F16L33/20
F16L19/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019000620
(22)【出願日】2019-01-07
(65)【公開番号】P2020108900
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】尾渡 謙児
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528748(JP,A)
【文献】特開平08-086388(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0093184(US,A1)
【文献】米国特許第04483056(US,A)
【文献】実開昭58-022582(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/04
F16L 13/16
F25D 23/00
F16L 33/20
F16L 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルにおいて、冷媒を流す2本のパイプを接合する際に、2本のパイプの接合部分を接合する接合部材を圧着する圧着装置を備え、
前記圧着装置は、圧縮空気を受ける第1部材と、前記圧縮空気の空気圧に押されることにより前記接合部材の圧着方向と直交する方向直進移動して前記接合部材を圧着する第2部材と、前記2本のパイプの前記接合部分の径小部を狭持する一方の部材と、前記接合部材の端部に当接して前記圧着方向に押し込む他方の部材と、を備え
前記一方の部材及び前記他方の部材は、前記第2部材の直進移動に伴ってそれぞれ回動軸を中心に回動可能に設けられた一対のレバー部材を有し、
前記一対のレバー部材は、互いに離れているパイプの接合装置。
【請求項2】
前記一対のレバー部材は、各前記回動軸よりも各前記レバー部材の基端側に位置し前記第2部材の先端側に当接する当接部を有し、
前記第2部材の先端側は、前記一対のレバー部材が回動する際に各前記当接部を相互に離れる方向に移動させる形状に設定されている、
請求項1記載のパイプの接合装置。
【請求項3】
前記他方の部材に当接した前記接合部材の中心から前記回動軸までの距離は、前記当接部から前記回動軸までの距離よりも長い、
請求項2記載のパイプの接合装置。
【請求項4】
前記接合部材は、ロックリングで構成された請求項1記載のパイプの接合装置。
【請求項5】
前記圧着装置は、記他方の部材が前記一方の部材に対して近付く方向に往復移動可能に支持する支持部備え、
記他方の部材が前記一方の部材に近付く方向に移動されると、前記ロックリングが挿入方向に押し込まれるように構成された請求項記載のパイプの接合装置。
【請求項6】
前記一方の部材のうちの前記支持部側の部分は、反支持部側の部分よりも幅狭な形状となるように構成された請求項記載のパイプの接合装置。
【請求項7】
前記他方の部材に設けられた駆動軸と、
前記一方の部材に設けられ、前記駆動軸が当たることにより2本のパイプの接合部分の径小部を狭持する1対の狭持部と、
前記1対の狭持部における前記駆動軸が当たる部分に設けられ、曲面状の当接面を有する凹部とを備えた請求項または記載のパイプの接合装置。
【請求項8】
冷凍サイクルにおいて、冷媒を流す2本のパイプを接合する際に、2本のパイプの接合部分を接合する接合部材を圧着する圧着装置を用いて、冷媒を流す2本のパイプを接合する冷蔵庫の製造方法において、
前記圧着装置は、圧縮空気を受ける第1部材と、前記圧縮空気の空気圧に押されることにより前記接合部材の圧着方向と直交する方向直進移動して前記接合部材を圧着する第2部材と、前記2本のパイプの前記接合部分の径小部を狭持する一方の部材と、前記接合部材の端部に当接して前記圧着方向に押し込む他方の部材と、を備え
前記一方の部材及び前記他方の部材は、前記第2部材の直進移動に伴ってそれぞれ回動軸を中心に回動可能に設けられた一対のレバー部材を有し、
前記一対のレバー部材は、互いに離れている冷蔵庫の製造方法。
【請求項9】
冷凍サイクルにおいて、冷媒を流す2本のパイプを接合する際に、2本のパイプの接合部分を接合する接合部材を圧着する圧着装置を用いて、冷媒を流す2本のパイプを接合するように構成された冷蔵庫において、
前記圧着装置は、圧縮空気を受ける第1部材と、前記圧縮空気の空気圧に押されることにより前記接合部材の圧着方向と直交する方向直進移動して前記接合部材を圧着する第2部材と、前記2本のパイプの前記接合部分の径小部を狭持する一方の部材と、前記接合部材の端部に当接して前記圧着方向に押し込む他方の部材と、を備え
前記一方の部材及び前記他方の部材は、前記第2部材の直進移動に伴ってそれぞれ回動軸を中心に回動可能に設けられた一対のレバー部材を有し、
前記一対のレバー部材は、互いに離れている冷蔵庫。
【請求項10】
前記一対のレバー部材は、各前記回動軸よりも各前記レバー部材の基端側に位置し前記第2部材の先端側に当接する当接部を有し、
前記第2部材の先端側は、前記一対のレバー部材が回動する際に各前記当接部を相互に離れる方向に移動させる形状に設定されている、
請求項9記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記他方の部材に当接した前記接合部材の中心から前記回動軸までの距離は、前記当接部から前記回動軸までの距離よりも長い、
請求項10記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記接合部材は、ロックリングで構成された請求項記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記圧着装置は、記他方の部材が前記一方の部材に対して近付く方向に往復移動可能に支持する支持部備え、
記他方の部材が前記一方の部材に近付く方向に移動されると、前記ロックリングが挿入方向に押し込まれるように構成された請求項12記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パイプの接合装置、冷蔵庫の製造方法及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷凍サイクルにおいて、冷媒を流す2本のパイプを接続する場合、2本のパイプを接合させた部分を、例えばろう付けすることにより接合していた(例えば特許文献1参照)。これに対して、近年、ろう付けに代えて、ロックリングを用いて2本のパイプを接合する方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-138955公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロックリングを用いて2本のパイプを接合する場合、2本のパイプの接合部分に挿入したロックリングを、圧着装置によって圧着することにより、ロックリングを固定し、2本のパイプを接合している。上記圧着装置を駆動する駆動源は、油圧装置で構成されている。しかし、油圧装置は、油圧の専用設備が必要となり、工場内に導入するに際して、設備や装置が大がかりになり易く、改善の余地があった。
そこで、冷凍サイクルの2本のパイプを接合する構成でありながら、設備や装置を改善することができるパイプの接合装置、冷蔵庫の製造方法及び冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態のパイプの接合装置は、冷凍サイクルにおいて、冷媒を流す2本のパイプを接合する際に、2本のパイプの接合部分を接合する接合部材を圧着する圧着装置を備え、前記圧着装置は、圧縮空気を受ける第1部材と、前記圧縮空気の空気圧に押されることにより前記接合部材の圧着方向と直交する方向直進移動して前記接合部材を圧着する第2部材と、前記2本のパイプの前記接合部分の径小部を狭持する一方の部材と、前記接合部材の端部に当接して前記圧着方向に押し込む他方の部材と、を備え、前記一方の部材及び前記他方の部材は、前記第2部材の直進移動に伴ってそれぞれ回動軸を中心に回動可能に設けられた一対のレバー部材を有し、前記一対のレバー部材は、互いに離れているものである。
【0006】
本実施形態の冷蔵庫の製造方法は、冷凍サイクルにおいて、冷媒を流す2本のパイプを接合する際に、2本のパイプの接合部分を接合する接合部材を圧着する圧着装置を用いて、冷媒を流す2本のパイプを接合する冷蔵庫の製造方法において、前記圧着装置は、圧縮空気を受ける第1部材と、前記圧縮空気の空気圧に押されることにより前記接合部材の圧着方向と直交する方向直進移動して前記接合部材を圧着する第2部材と、前記2本のパイプの前記接合部分の径小部を狭持する一方の部材と、前記接合部材の端部に当接して前記圧着方向に押し込む他方の部材と、を備え、前記一方の部材及び前記他方の部材は、前記第2部材の直進移動に伴ってそれぞれ回動軸を中心に回動可能に設けられた一対のレバー部材を有し、前記一対のレバー部材は、互いに離れているものである。
【0007】
本実施形態の冷蔵庫は、冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルにおいて、冷媒を流す2本のパイプを接合する際に、2本のパイプの接合部分を接合する接合部材を圧着する圧着装置を用いて、冷媒を流す2本のパイプを接合するように構成された冷蔵庫において、前記圧着装置は、圧縮空気を受ける第1部材と、前記圧縮空気の空気圧に押されることにより前記接合部材の圧着方向と直交する方向直進移動して前記接合部材を圧着する第2部材と、前記2本のパイプの前記接合部分の径小部を狭持する一方の部材と、前記接合部材の端部に当接して前記圧着方向に押し込む他方の部材と、を備え、前記一方の部材及び前記他方の部材は、前記第2部材の直進移動に伴ってそれぞれ回動軸を中心に回動可能に設けられた一対のレバー部材を有し、前記一対のレバー部材は、互いに離れているものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態による冷蔵庫の正面図
図2】冷蔵庫の機械室を示す部分斜視図
図3】2本のパイプの接合部分の断面図
図4】2本のパイプの接合前の状態を示す断面図(その1)
図5】2本のパイプの接合前の状態を示す断面図(その2)
図6】パイプの接合装置の全体構成を示す図
図7】圧着装置の縦断面図
図8】圧着装置の斜視図
図9】圧着装置の分解斜視図
図10】圧着装置の第1加工部材の周辺を示す斜視図
図11】パイプ狭持部材の動作を示す上面図(その1)
図12】パイプ狭持部材の動作を示す上面図(その2)
図13】ロックリングの押し込みを開始する前の状態を示すものであって、パイプの接合部分の周辺を示す部分断面図
図14】駆動軸でパイプ狭持部材を駆動した状態を示す圧着装置の縦断面図
図15】ロックリングの押し込みを進行させた状態を示す圧着装置の縦断面図
図16】ロックリングの押し込みを完了させた状態を示す圧着装置の縦断面図
図17】第1加工部材、第2加工部材及び第2レバー部材周辺の部分上面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、1つの実施形態によるパイプの接合装置及び冷蔵庫の製造方法について、図面に基づいて説明する。まず、図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫の本体1は、断熱箱体で構成されており、この本体1の内部には、上段から順に冷蔵室2、野菜室3、製氷室4、小冷凍室5、冷凍室6が設けられている。冷蔵室2の前面部には、ドアとして例えばフレンチ型のヒンジ開閉式の冷蔵室用扉7、8が設けられている。尚、冷蔵室用扉7または冷蔵室用扉8の前面には、図示しない操作パネルが設けられており、この操作パネルに例えば各種の設定や選択を行なう操作部、必要な表示を行なう複数の表示部等が配設されている。
【0010】
また、野菜室3の前側には、ドアとして例えば引出し式の野菜室用扉9が設けられている。野菜室用扉9の背面部には、食品たる青果物つまり野菜や果物などを収納する収納容器(図示しない)が取付けられている。製氷室4の前側には、ドアとして例えば貯蔵容器(図示しない)が連結された引出し式の製氷室用扉10が設けられている。小冷凍室5の前側には、ドアとして例えば貯蔵容器(図示しない)が連結された引出し式の小冷凍室用扉11が設けられている。冷凍室6の前側には、ドアとして例えば貯蔵容器(図示しない)が連結された引出し式の冷凍室用扉12が設けられている。
【0011】
尚、冷蔵室2および野菜室3は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、例えば、冷蔵室2の維持温度は1~5℃に設定されており、野菜室3の維持温度はそれよりやや高い2~6℃に設定されている。製氷室4、小冷凍室5、冷凍室6は、冷凍温度帯、例えば-10~-20℃のマイナス温度帯の貯蔵室である。
【0012】
また、図2に示すように、冷蔵庫の本体1の底部背面側には、機械室15が設けられている。詳しく図示はしないが、冷蔵庫の本体1内には、周知構成の冷凍サイクル16が組込まれている。冷凍サイクル16は、コンプレッサ17、コンデンサ、絞り装置、エバポレータ等を冷媒を流すパイプ18により閉ループ状に接続して構成されている。
【0013】
さて、冷凍サイクル16において、冷媒を流す2本のパイプ18を接合する場合、例えば、図2において、A、B、Cで示す接合箇所で、2本のパイプ18を接合する場合、次に説明する方法で接合する。尚、接合箇所Aは、例えば防露パイプ18-1と、例えばコンデンサから導出されるパイプ18-2とを接続する部分である。接合箇所Bは、例えば前板パイプ18-3と、例えば蒸発パイプ18-4とを接続する部分である。接合箇所Cは、例えば前板パイプ18-5と、例えばコンデンサから導出されるパイプ18-6とを接続する部分である。
【0014】
本実施形態では、図3に示すように、2本のパイプ18a、18bを、接合部材である例えばロックリング19を用いて接合する。具体的には、図4に示すように、一方のパイプ18aの端部に、他方のパイプ18bの端部18b1を挿入する径大部18a1を形成しておく。径大部18a1の内径寸法d1は、他方のパイプ18bの端部18b1の外形寸法d2と等しいかまたは若干大きい程度の寸法に設定されている。
【0015】
ロックリング19は、短円筒状部材で構成されており、図4中の右半部の内径寸法d3は、他方のパイプ18bの端部18b1の外形寸法d2よりも若干大きい程度寸法であって、一方のパイプ18aの径大部18a1の外形寸法d4よりも若干小さい程度の寸法に設定されている。ロックリング19の図4中の左半部の内部は、上記内径寸法d3から少しずつ拡開するテーパー形状となるように形成されており、最左部の内径寸法d5は、一方のパイプ18aの径大部18a1の外形寸法d4よりも若干大きい程度の寸法に設定されている。
【0016】
そして、2本のパイプ18a、18bを接合する場合、図5に示すように、ロックリング19内に他方のパイプ18bの端部18b1を挿入し、その状態の他方のパイプ18bの端部18b1を一方のパイプ18aの径大部18a1内に挿入する。この状態で、ロックリング19を図5中の左方へ、即ち、挿入方向へ押し込むことにより、図3に示す位置へ移動させる。これにより、ロックリング19の押し込みによって、一方のパイプ18aの径大部18a1の内周部と他方のパイプ18bの端部18b1の外周部が圧着し、2本のパイプ18a、18bが機密に接合されるように構成されている。
【0017】
ここで、ロックリング19の押し込みを行う装置、即ち、圧着装置21について、図6ないし図17を参照して説明する。図6に示すように、圧着装置21は、増圧装置22から供給される例えば1MPaのエアー、即ち、圧縮空気によって駆動される。増圧装置22は、工場に配設されている工場エアー供給装置23から供給される例えば0.5MPaの工場エアーを入力し、これを増圧して上記1MPaのエアーを出力する。この構成の場合、圧着装置21、増圧装置22、工場エアー供給装置23は、パイプの接合装置を構成している。尚、増圧装置22には、複数の圧着装置21を接続することが可能なように構成されている。また、工場エアー供給装置23には、複数の増圧装置22を接続することが可能なように構成されている。
【0018】
図7図8及び図9に示すように、圧着装置21は、エアーシリンダ部24と、圧着加工部25とを備えている。エアーシリンダ部24は、圧縮空気、即ち、エアーを受ける(または溜める)第1部材である例えばエアーシリンダ26と、エアーシリンダ26内に図7図9中左右方向に移動可能に設けられたピストン27とを備えている。ピストン27は、エアーシリンダ26内に供給されたエアーにより左方へ移動駆動される。ピストン27の先端部は、エアーシリンダ26の左端部から外方へ突出されている。ピストン27の先端部には、断面三角形状の押圧体28が取り付けられている。ピストン27と押圧体28は、第2部材を構成している。
【0019】
尚、エアーシリンダ26内には、チューブ29、30、及び、圧着加工部25に設けられた切替バルブ31を介してエアーが供給される。切替バルブ31の継手31aに増圧装置22からチューブ32を介してエアーが供給される。
【0020】
圧着加工部25は、フレーム35と、第1レバー部材36と、第2レバー部材37と、第1加工部材38と、第2加工部材39とを有する。フレーム35は、設定距離で対抗する板状部35a、35bが右半部で連結され、更に、下面にグリップ部50が設けられた支え部材51が一体に連結された構成に形成されている。板状部35a、35bの外側に、エアーシリンダ26の左端部に突設された板状部26a、26bを重ねてねじで固定することにより、フレーム35にエアーシリンダ26、即ち、エアーシリンダ部24が取り付けられている。この取付状態では、エアーシリンダ部24のピストン27の先端部の押圧体28が、フレーム35の2枚の板状部35a、35b間に配置される。尚、前記切替バルブ31は、フレーム35の側面にねじ止めされた取付部材52に取り付けられている。
【0021】
第1レバー部材36及び第2レバー部材37は、フレーム35の2枚の板状部35a、35b間に配置され、第1レバー部材36及び第2レバー部材37の中央部よりも左側に形成された孔36a、37aと板状部35a、35bの左端部に形成された孔35c、35cに軸40、40を挿通させて軸支されている。第1レバー部材36及び第2レバー部材37は、軸40、40を支点として回動可能に設けられている。第1レバー部材36及び第2レバー部材37の右端部には、ローラ53、53が回転可能に設けられており、これらローラ53、53をエアーシリンダ部24のピストン27の押圧体28の斜面28a、28bに当接させている。押圧体28を左方へ移動させると、ローラ53、53間が拡開することにより、第1レバー部材36及び第2レバー部材37の右端部が離間するように回動する。
【0022】
第1レバー部材36及び第2レバー部材37の左端部には、二股部36b、37bが設けられており、二股部36b、37bの内側に第1加工部材38及び第2加工部材39を配置している。そして、第1加工部材38及び第2加工部材39の中央部右寄りに形成された孔38a、39aと、二股部36b、37bの先端部に形成された孔36c、37cに軸41、41を挿通させて軸支している。第1加工部材38及び第2加工部材39は、軸41、41を支点として回動可能になっている。
【0023】
また、第2加工部材39の右端部には、上下方向に貫通する孔39bが形成され、第1加工部材38の右端部には、筒部38bが上方へ突設されると共に上下方向に貫通する孔38cが形成されている。第2加工部材39の孔39bと第1加工部材38の孔38c内にガイド軸42が挿入されることにより、第1加工部材38及び第2加工部材39は、ガイド軸42に沿って上下方向に移動可能に設けられている。上記構成の場合、第1レバー部材36及び第1加工部材38が一方の部材を構成し、第2レバー部材37及び第2加工部材39が他方の部材を構成している。また、軸40、軸41等からなる軸支機構と、ガイド軸42等からなる上下スライド機構とが、支持部を構成している。
【0024】
第2加工部材39の左端部には、ロックリング19を押し込むための押圧部39cとガイド部39dが設けられている。第2加工部材39の左端部には、パイプ18を挿通させるための凹部39eが形成されている。第2加工部材39の中央部には、駆動軸43が下方へ向けて突設されている。
【0025】
第1加工部材38の中央部に形成された孔38dと、第2加工部材39の中央部に形成された孔39eとに収容されるように、コイルばね44が配設されている。このコイルばね44により、第1加工部材38と第2加工部材39は互いに開く方向に移動付勢されるように構成されている。尚、第1レバー部材36及び第2レバー部材37の孔36a、37aの左側に形成された孔36d、37dには、コイルばね45の両端部が収容されている。このコイルばね45により、第1レバー部材36の左端部と第2レバー部材37の左端部は互いに開く方向に付勢されるように構成されている。
【0026】
第1加工部材38の左半部には、溝部38eと受け部38fが形成されている。第1加工部材38の左端部には、パイプ18を挿通させるための凹部38gが形成されている。溝部39d内には、一対のパイプ狭持部材46、46が受け部39eの上に載置されるように配設されている。一対のパイプ狭持部材46、46は、ピン47、47によって回動可能に軸支されている。パイプ狭持部材46、46の先端部の対向する面には、パイプ18を狭持するための断面半円形の凹部46a、46a(図11参照)が形成されている。
【0027】
パイプ狭持部材46の右端部の対向する面には、右方(図11中左方)へ行くほど離間する傾斜面46b、46bが形成されており、これら傾斜面46b、46bには、駆動軸43が当接する曲面状の当接凹部46c、46cと、コイルばね48が収容される凹部46d、46dが形成されている。この構成の場合、図10に示すように、駆動軸43の下端部が溝部38dの上壁部38hに形成された孔38i内に挿入されている。第2加工部材39が第1加工部材38に近付く方向に移動すると、駆動軸43の下端部が、パイプ狭持部材46、46の傾斜面46b、46bの当接凹部46c、46c間に挿入されるように構成されている。
【0028】
上記構成の場合、第1加工部材38と第2加工部材39が最も離れた状態では(図7参照)、コイルばね48の付勢力でパイプ狭持部材46、46の先端部が狭持する方向に回動されて、凹部46a、46a内にパイプ18を狭持する(図11参照)。この後、第2加工部材39が第1加工部材38に近付く方向に移動すると、駆動軸43の下端部が、パイプ狭持部材46、46の傾斜面46b、46bの当接凹部46c、46c間に挿入される。すると、図12に示すように、駆動軸43の力でパイプ狭持部材46、46の先端部が狭持する方向に若干回動されて、凹部46a、46aによるパイプ18を狭持する力が大きくなり、最適な大きさの狭持力でパイプ18を狭持して固定するように構成されている。そして、上記構成では、当接凹部46c、46cの内面が曲面状であるので、駆動軸43の外周部が当接したときに、摩耗が生じ難くなり、耐久性を向上させることができる。
【0029】
次に、上記構成の圧着装置21によって2本のパイプ18をロックリング19を用いて接続する方法について、図13ないし図17も参照して説明する。まず、図5に示すように、2本のパイプ18a、18bを接合する場合、ロックリング19内に他方のパイプ18bの端部18b1を挿入し、その状態の他方のパイプ18bの端部18b1を一方のパイプ18aの径大部18a1内に挿入する。この状態で、ロックリング19を図5中の左方へ、即ち、挿入方向へ押し込むために、圧着装置21を用いる。
【0030】
この場合、パイプ18の接合を行う部分は、例えば、図2にて、A、B、Cで示すように、周囲に種々の物品が存在し、狭い空間となっている。これに対して、本実施形態の圧着装置21の先端部の第1加工部材38及び第2加工部材39の幅寸法、即ち、図17に示す幅寸法W1が、周知構成の圧着装置の先端部の幅寸法よりも狭く構成されている、即ち、細くなるように構成されているので、第1加工部材38及び第2加工部材39をパイプ18の接合を行う部分に容易に近づけることができる。
【0031】
そして、まず、図7に示すように、第2加工部材39のパイプ狭持部材46、46によって、一方のパイプ18aのうちの径大部18a1のすぐ下の部分を狭持する(図13)参照。この後、エアシリンダ部24を駆動してピストン27の押圧体28を左方へ移動させる。これにより、図14に示すように、第2加工部材39の駆動軸43の下端部が、パイプ狭持部材46、46の傾斜面46b、46bの当接凹部46c、46c間に挿入される。これにより、図10及び図12に示すように、駆動軸43の力でパイプ狭持部材46、46の先端部が狭持する方向に若干回動されて、凹部46a、46aによるパイプ18を狭持する力が大きくなり、最適な大きさの狭持力でパイプ18が狭持固定される。
【0032】
この状態で、エアシリンダ部24を駆動してピストン27の押圧体28を更に左方へ移動させる。これにより、図15に示すように、第2加工部材39が更に下方へ移動し、第2加工部材39の押圧部39cがロックリング19を下方へ押し込んでいく。この後、図16に示す位置まで、エアシリンダ部24を駆動してピストン27の押圧体28を移動させると、第2加工部材39の押圧部39cによるロックリング19の下方への押し込みが完了する。この構成の場合、第2加工部材39の押圧部39cによるロックリング19を下方へ押し込む力は、例えば120kg程度となるように構成されている。具体的には、図14に示す長さ寸法L1と長さ寸法L2の比を調節することにより、上記120kg程度の大きさの押し込む力が発生するように構成されている。本実施形態では、例えば、L1=81.85mm、L2=62.53mm程度に設定されている。
【0033】
上記したように、ロックリング19の下方への押し込み操作が完了することにより、図3に示すように、ロックリング19を用いた2本のパイプ18a、18bの接合が完了し、2本のパイプ18a、18bが気密に接合される。この後、エアーシリンダ部24の駆動を停止すると、コイルばね44、45の付勢力により、第2加工部材39が上方へ移動し、元の位置に戻ることから、第2加工部材39の駆動軸43の下端部も、上方へ移動し、パイプ狭持部材46、46の傾斜面46b、46bの当接凹部46c、46c間から抜ける。この結果、一方のパイプ18aからパイプ狭持部材46、46ひいては第1加工部材38を取り外すことができ、圧着装置21をパイプ18の接合箇所から退避させることができる。
【0034】
このような構成の本実施形態においては、2本のパイプ18の接合部分に挿入した接合部材例えばロックリング19を押し込んで圧着する圧着装置21を、工場エアー供給装置23及び増圧装置22からのエアーの力で駆動するように構成した。即ち、圧着装置21は、圧縮空気を受けるエアーシリンダ26と、前記圧縮空気の空気圧に押されることによりロックリング19の挿入方向、即ち、圧着方向に移動してロックリング19を圧着する押圧体28とを備えるように構成した。この構成によれば、圧着装置21を工場エアー供給装置23からの工場エアーの力で駆動できるので、油圧装置が不要になり、大がかりな設備や装置を不要にすることができ、設備や装置を改善することが可能になり、設備コストを大幅に低減することができる。
【0035】
また、本実施形態では、圧着装置21は、2本のパイプ18a、18bの接合部分の径小部、即ち、径大部18a1の直ぐ近くの部分を狭持する一方の部材、即ち、第1加工部材38及び第1レバー部材36と、ロックリング19の端部に当接して挿入方向に押し込む他方の部材、即ち、第2加工部材39及び第2レバー部材37とを備えた。そして、圧着装置21は、第2加工部材39が第1加工部材38に対して近付く方向に往復移動可能に支持する支持部、即ち、軸40、軸41、ガイド軸42等の軸支機構及び上下スライド機構と、第1レバー部材36及び第2レバー部材37の反圧着側の端部に設けられ、エアーシリンダ部24により移動駆動される押圧体28に当接する当接部である例えばローラ53とを備えた。更に、圧着装置21において、押圧体28がローラ53を押すと、第2加工部材39が第1加工部材38に近付く方向に移動してロックリング19を挿入方向に押し込むように構成した。圧着装置21を上記したように構成したので、圧着装置21を簡単な構成にて容易に実現することができる。
【0036】
また、本実施形態では、第1加工部材38及び第2加工部材39における2本のパイプ18の接合部分に近付けて狭持する部分の形状を、従来周知の構成(即ち、油圧装置により駆動する圧着装置における第1加工部材及び第2加工部材に相当する構成)よりも、細くするように構成した。即ち、図17に示す第1加工部材38の幅寸法W1を、従来周知の構成よりも幅狭に構成したので、第1加工部材38及び第2加工部材39、即ち、圧着装置21をパイプ18の接合を行う部分(図2中のA、B、Cで示す箇所)に容易に近づけることができる。
【0037】
また、本実施形態では、図17に示すように、第1加工部材38の右半部(即ち、支持部側の部分)の幅寸法W2を、他の部分(即ち、反支持部側の部分)の幅寸法W1よりも狭くなるように構成した、換言すると、支持部側の部分は、反支持部側の部分よりも幅狭な形状となるように構成したので、第1加工部材38を軽量化することができる。そして、第1加工部材38や第2加工部材39を軽量化することにより、圧着装置21全体の重心がグリップ部50側に、即ち、持ち手側に来るようになるので、圧着装置21の取り扱い操作がし易くなる。
【0038】
また、本実施形態では、第2加工部材39に駆動軸43を設け、この駆動軸43が当たることにより2本のパイプ18a、18bの接合部分の径小部、即ち、パイプ18aの径大部18a1の直ぐ近くの部分を狭持する1対の狭持部である例えばパイプ狭持部材46、46を第1加工部材38に設け、1対のパイプ狭持部材46、46における駆動軸43が当たる部分に、曲面状の当接面を有する凹部である当接凹部46c、46cを設けた。この構成によれば、駆動軸43の外周部がパイプ狭持部材46の当接凹部46cに当接したときに、摩耗が生じ難くなり、耐久性を向上させることができる。
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態に加えて以下のような構成を加えても良い。
【0039】
上記実施形態においては、接合部材としてロックリング19を用いたが、これに限られるものではなく、他の接合部材例えば幅方向から押圧して固定する接合部材を用いるように構成しても良い。また、上記実施形態では、機械室15内の3か所の接合箇所A、B、Cの2本のパイプの接合を圧着装置21によって実行するように構成したが、冷凍サイクル16の他の2本のパイプの接合を圧着装置21によって実行するように構成しても良い。
【0040】
例えば、コンデンサから導出されるパイプと防露パイプを接合する部分、コンデンサから導出されるパイプとデリベリパイプを接合する部分、防露パイプとドライヤーから導出されるパイプを接合する部分、コンデンサから導出されるパイプとドライヤーから導出されるパイプを接合する部分、コンデンサから導出されるパイプと蒸発パイプを接合する部分、防露パイプとコンデンサから導出されるパイプを接合する部分、前板パイプと蒸発パイプを接合する部分、前板パイプとコンデンサから導出されるパイプを接合する部分等に適用しても良い。また、パイプの材質としては、例えば、鉄製のパイプと鉄製のパイプとの接合、鉄製のパイプと銅製のパイプとの接合、銅製のパイプと銅製のパイプとの接合等に適用しても良く、また、他の金属製のパイプの接合に適用しても良い。
【0041】
また、上記実施形態においては、大型の家庭用冷蔵庫に適用したが、中型の家庭用冷蔵庫や小型の家庭用冷蔵庫に適用しても良い。また、家庭用冷蔵庫に代えて、業務用冷蔵庫に適用しても良い。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
図面中、1は本体、2は冷蔵室、3は野菜室、4は製氷室、5は小冷凍室、6は冷凍室、15は機械室、16は冷凍サイクル、17はコンプレッサ、18はパイプ、19はロックリング、21は圧着装置、22は増圧装置、23は工場エアー供給装置、24はエアーシリンダ部、25は圧着加工部、28は押圧体、31は切替バルブ、35はフレーム、36は第1レバー部材、37は第2レバー部材、38は第1加工部材、39は第2加工部材、40は軸、41は軸、42はガイド軸、43は駆動軸、44はコイルばね、45はコイルばね、46はパイプ狭持部材、47はピン、53はローラである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17