IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図1
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図2
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図3
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図4
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図5
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図6
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図7
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図8
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図9
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図10
  • 特許-被測液体の定量充填装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】被測液体の定量充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/26 20060101AFI20221214BHJP
   G05D 7/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B65B3/26
G05D7/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019008721
(22)【出願日】2019-01-22
(65)【公開番号】P2020117255
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 英之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓也
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-096904(JP,A)
【文献】特開2003-292301(JP,A)
【文献】特開平01-226599(JP,A)
【文献】特開2004-118556(JP,A)
【文献】特開2008-196523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/26
G05D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプおよび流量計が配置される主配管ライン、当該主配管ラインに接続される端末配管ラインおよび端末配管ラインに配置される開閉バルブを備え、端末配管ラインに対応してメインプリセットカウンタを配置し、前記メインプリセットカウンタは下流側からの入力信号に応じて、ポンプの駆動および当該メインプリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、ポンプの駆動を制御するとともに下流側に流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されることを特徴とする被測液体の定量充填装置。
【請求項2】
ポンプおよび流量計が配置される主配管ライン、当該主配管ラインから多数に分岐して供給先に接続される端末配管ラインおよび各端末配管ラインに配置される開閉バルブを備え、当該端末配管ラインに対応して後設プリセットカウンタを配置し、前記後設プリセットカウンタは下流側からの入力信号に応じて、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに当該後設プリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら上流側からの流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに下流側後設プリセットカウンタに流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されることを特徴とする被測液体の定量充填装置。
【請求項3】
ポンプおよび流量計が配置される主配管ライン、当該主配管ラインから多数に分岐して供給先に接続される端末配管ラインおよび各端末配管ラインに配置される開閉バルブを備え、最上流側の端末配管ラインに対応してメインプリセットカウンタを配置し、当該メインプリセットカウンタの下流側に配置される他の端末配管ラインに対応して後設プリセットカウンタを配置し、前記メインプリセットカウンタは後設プリセットカウンタからの入力信号に応じて、ポンプの駆動および当該メインプリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、ポンプの駆動を制御するとともに下流側の後設プリセットカウンタに流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成され、前記後設プリセットカウンタは下流側からの入力信号に応じて、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに当該後設プリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら上流側からの流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに下流側の後設プリセットカウンタに流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されることを特徴とする被測液体の定量充填装置。
【請求項4】
メインプリセットカウンタは、後設プリセットカウンタから運転許可要請信号が入力すると運転許可信号を後設プリセットカウンタに出力する構成を有し、
後設プリセットカウンタは、スタート信号を発信する操作部を有し、当該スタート信号により上流側に運転許可要請信号を出力する構成と、上流から運転許可信号が入力されると対応する開閉バルブにバルブ開指令信号を出力する構成と、メインプリセットカウンタから運転許可信号が入力するまでに下流側の後設プリセットカウンタから運転許可要請信号が入力すると上流側から入力する運転許可信号を下流側の後設プリセットカウンタに出力する構成と、を有することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の被測液体の定量充填装置。
【請求項5】
メインプリセットカウンタまたは後設プリセットカウンタは、電源遮断時の入力信号の状態および出力信号の状態を記憶するように構成され、起動時のこれら状態に応じてその後の処理を継続するように入出力信号を処理して一連の定量充填を継続するように構成されることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の被測液体の定量充填装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数に分岐する端末配管ラインを経由して規定量値の被測液体を製品タンク、液体ボンベ等の供給先に充填する被測液体の定量充填装置、特に各端末配管ラインの増設にも簡単に対応できる被測液体の定量充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵タンクに大量に貯留された洗浄溶剤のような被測液体を離れた位置に配置される多数の小タンク、ボンベ等の供給先に充填する際には、当該被測液体を各供給先の需要量に応じた規定量値だけ供給する定量充填装置が利用されている。この種の定量充填装置としては、当該装置のコストの低減を図るために、主配管ラインに配置された1台の流量計で一液種の被測液体の流量を管理する一液種多供給口バッチ制御システム(以下、バッチシステムという)が普及している。
【0003】
このバッチシステム51は、図11に示すように被測液体が貯留される貯留タンク52に接続される主配管ライン53、当該主配管ライン53に直列に隣接して配置されたポンプ54と流量計55、当該主配管ライン53から多数に分岐して供給先60に接続される端末配管ライン56および各端末配管ライン56に配置された開閉バルブ57を備えている。また、このバッチシステム51は前述の端末配管ライン56それぞれに対応して設けられたプリセットカウンタPCと、当該プリセットカウンタPCおよびポンプ54を作動させる統括制御部61とを有している。
【0004】
前記プリセットカウンタPCは、各端末配管ライン56に設けられた開閉バルブ57を作動させるもので、スタート信号を発信するスタートスイッチ(図示せず)を有し、当該スタート信号により当該プリセットカウンタPCに対応する開閉バルブ57を開放するように構成されている。また、このプリセットカウンタPCは流量計55からの計量信号を取得して計量値を演算し、当該計量値が後記規定量値に達すると、開閉バルブ57を閉止するように構成されている。
【0005】
前記統括制御部61は各プリセットカウンタPCからのスタート信号によりポンプ54を作動させるように構成されている。また、この統括制御部61はプリセットカウンタPCで計量値が規定量値に達したことが検出されると、ポンプ54を停止させ、定量充填を終えるように構成されている。さらに、この統括制御部61は複数のプリセットカウンタPCの定量充填を管理するとともに、複数のプリセットカウンタPCから同時にスタート信号を受けても、あらかじめ定められた優先順位で該当のプリセットカウンタPCを作動させ、他のプリセットカウンタPCを待機状態に保つように構成されている。
【0006】
当該バッチシステム51によれば、各端末配管ライン56に対応して配置されたプリセットカウンタPCの何れかからスタート信号が発信されると、当該プリセットカウンタPCに対応する端末配管ライン56の開閉バルブ57が開放される。当該スタート信号の発信にともなって、統括制御部61がポンプ54を駆動し、流量計55から発信される計量信号を当該プリセットカウンタPCに送信する。当該プリセットカウンタPCは、取得した計量信号から計量値を演算し、この計量値が規定量値になると開閉バルブ57を閉止する。同時に、統括制御部61がポンプ54を閉止して被測液体が当該プリセットカウンタPCに対応する端末配管ライン56の供給先60に定量充填される。また、統括制御部61は定量充填を行っている間、当該プリンセットカウンタPC以外が定量充填を行わない様に、当該プリンセットカウンタPC以外に対して、動作禁止信号を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-118556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記バッチシステム51では、前述したように各端末配管ライン56に接続された供給先60にその需要量に応じた規定量値の被測液体を充填できる。しかしながら、主配管ライン53の延長とともに端末配管ライン56が増設される場合、その都度統括制御部61に組み込まれた制御プログラムを修正しなければならないばかりか、統括制御部61自体が端末配管ライン56の増設毎に大掛かりなものとなっている。そのため、当該増設に際して、大きな増設費用と工事時間が必要になるという問題が生じている。また、当該統括制御部61では制御対象となるプリセットカウンタPCの数にも制限があり、増設できる端末配管ライン56も制限される。そのため、端末配管ライン56の数が増加すると、複数の統括制御部61が必要となるばかりか、これら統括制御部61を管理する制御も必要となり、当該バッチシステム51の構築コストが高くなってしまうという問題が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記問題をすべて解決するために発明されたもので、ポンプおよび流量計が配置される主配管ライン、当該主配管ラインに接続される端末配管ラインおよび端末配管ラインに配置される開閉バルブを備え、端末配管ラインに対応してメインプリセットカウンタを配置し、前記メインプリセットカウンタは下流側からの入力信号に応じて、ポンプの駆動および当該メインプリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、ポンプの駆動を制御するとともに下流側に流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されることを特徴としている。
【0010】
前述の構成によれば、メインプリセットカウンタに下流側からの入力信号がない時には、主配管ラインのポンプの駆動を制御するとともに当該メインプリセットカウンタが配置される端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御して被測液体の定量充填を行うことができる。また、当該メインプリセットカウンタの下流側から運転許可を要請する運転許可要請信号、ポンプを駆動するように指令するポンプ駆動指令信号等の入力信号が入力すると、ポンプを駆動するとともに、流量計の計量信号を当該メインプリセットカウンタの下流側に出力することができる。これにより、当該メインプリセットカウンタの下流側に後設プリセットカウンタを備える増設充填装置を接続でき、増設を考慮した定量充填ユニットを提供できる。さらに、当該メインプリセットカウンタの下流側に増設充填装置を接続しても、これら充填装置を統括制御する必要はなく、各端末配管ラインで定量充填を行うことができる。その上、当該統括制御部が不要なことから、主配管ラインから分岐する端末配管ラインを増設するに際して、統括制御部のような既設の装置の制御システムを変更する必要がなく、特別な増設費用や制御プログラムの変更に要する工事時間が不要となって、将来の増設を考慮した安価なバッチシステムを提供することができる。
【0011】
また、本発明はポンプおよび流量計が配置される主配管ライン、当該主配管ラインから多数に分岐して供給先に接続される端末配管ラインおよび各端末配管ラインに配置される開閉バルブを備え、当該端末配管ラインに対応して後設プリセットカウンタを配置し、前記後設プリセットカウンタは下流側からの入力信号に応じて、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに当該後設プリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら上流側からの流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに下流側後設プリセットカウンタに流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、後設プリセットカウンタの下流側から入力信号がない時には、上流側にポンプを駆動するための信号を制御するとともに当該後設プリセットカウンタが配置される端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御して被測液体の定量充填を行うことができる。また、下流側から運転許可を要請する運転許可要請信号、ポンプを駆動するように指令するポンプ駆動指令信号等の入力信号が入力すると、上流側にポンプを駆動するための信号を出力するとともに、流量計の計量信号を下流側に出力することができる。これにより、当該後設プリセットカウンタの下流側に同一構造の後設プリセットカウンタを順次接続することができ、定量充填装置の増設を考慮した定量充填増設ユニットを提供できる。さらに、これら後設プリセットカウンタを順次接続しても、これらを統括制御する必要がないことから、主配管ラインから分岐する端末配管ラインを増設するに際して、統括制御部のような既設の装置の制御システムを変更する必要がなく、特別な増設費用や制御プログラムの変更に要する工事時間が不要となって、将来の増設を考慮した安価な定量充填システムを提供することができる。
【0013】
さらに、本発明はポンプおよび流量計が配置される主配管ライン、当該主配管ラインから多数に分岐して供給先に接続される端末配管ラインおよび各端末配管ラインに配置される開閉バルブを備え、最上流側の端末配管ラインに対応してメインプリセットカウンタを配置し、当該メインプリセットカウンタの下流側に配置される他の端末配管ラインに対応して後設プリセットカウンタを配置し、前記メインプリセットカウンタは後設プリセットカウンタからの入力信号に応じて、ポンプの駆動および当該メインプリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、ポンプの駆動を制御するとともに下流側の後設プリセットカウンタに流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成され、前記後設プリセットカウンタは下流側からの入力信号に応じて、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに当該後設プリセットカウンタに対応する端末配管ラインの開閉バルブの開閉を制御しながら上流側からの流量計の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、上流側にポンプの駆動を制御する信号を出力するとともに下流側後設プリセットカウンタに流量計の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されることを特徴としている。
【0014】
前述の構成を備える被測液体の定量充填装置によれば、主配管ラインの延長とともに端末配管ラインが増設されても、これに対応する後設プリセットカウンタを順次下流側に接続するだけで、各端末配管ラインで定量充填を行うことができる。そのため、端末配管ラインに対応して配置されるメインプリセットカウンタや多数の後設プリセットカウンタが接続されていても、これらを統括制御するような統括制御部が不要となる。これにより、当該統括制御部に組み込まれる制御プログラムの修正は不要となり、当該増設に際して特別な増設費用や制御プログラムの変更に要する工事時間が不要となって、将来の増設を考慮した安価な定量充填システムを構築することができる。また、統括制御部が不要となることから、制御上から後設プリセットカウンタの数に制限を受けないので、増設できる端末配管ラインが制限されることはない。
【0015】
また、本発明に係るメインプリセットカウンタは後設プリセットカウンタから運転許可要請信号が入力すると運転許可信号を後設プリセットカウンタに出力する構成を有し、後設プリセットカウンタはスタート信号を出力する操作部を有し、当該スタート信号により上流側に運転許可要請信号を発信する構成と、上流から運転許可信号が入力されると対応する開閉バルブにバルブ開指令信号を出力する構成と、メインプリセットカウンタから運転許可信号が入力するまでに下流側の後設プリセットカウンタから運転許可要請信号が入力すると上流側から入力する運転許可信号を下流側の後設プリセットカウンタに出力する構成と、を有することが望ましい。
【0016】
本発明は、上記構成によれば、複数の後設プリセットカウンタから同時にスタート信号が発信される場合がある。この場合、これら後設プリセットカウンタから上流側に運転許可要請信号が出力されるが、上流側から運転許可信号が入力するまでに下流側の後設プリセットカウンタから運転許可要請信号が入力すると、当該後設プリセットカウンタは定量充填を開始せずに、上流側からの運転許可信号を下流側の後設プリセットカウンタに出力する。これにより、複数のスタート信号が同時に発信されても、下流側の後設プリセットカウンタが優先されて定量充填を行うことができる。また、当該スタート信号の発信に対してあらかじめ後設プリセットカウンタの優先順位を決めておく必要もないので、これら後設プリセットカウンタを統括する統括制御部も不要となり、安価な定量充填システムを構築することができる。
【0017】
さらに、本発明に係るメインプリセットカウンタまたは後設プリセットカウンタは、電源遮断時の入力信号の状態および出力信号の状態を記憶するように構成され、起動時のこれら状態に応じてその後の処理を継続するように入出力信号を処理して一連の定量充填を継続するように構成されることが望ましい。これにより、定量充填中、または定量充填中の緊急停止や一時停止の状態で、突然の停電が生じても、当該停電前のプリセットカウンタの入力状態、出力状態を呼出して、その状態から中断された一連の定量充填作業を継続することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した本発明によれば、多数に分岐する端末配管ラインを経由して規定量値の被測液体を小タンク、ボンベ等の供給先に充填する被測液体の定量充填装置であって、各端末配管ラインの増設にも簡単かつ安価に対応できる被測液体の定量充填装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る定量充填装置に使用される後設プリセットカウンタの定量充填制御を説明するフロー図。
図2】本発明の実施形態に係る被測液体の定量充填装置を説明する概略構成図。
図3】本発明の実施形態に係るメインプリセットカウンタの概略構成を示すブロック図。
図4】本発明の実施形態に係る後設プリセットカウンタの概略構成を示すブロック図。
図5】本発明の実施形態に係る定量充填装置に使用されるメインプリセットカウンタの定量充填制御を説明するフロー図。
図6】本発明の実施形態に係る定量充填装置に使用されるメインプリセットカウンタでの定量充填中の後設プリセットカウンタ発信信号確認サブルーチンのフロー図。
図7】本発明の実施形態に係る定量充填装置に使用される後設プリセットカウンタでの定量充填制御中の後設プリセットカウンタ発信信号確認サブルーチンのフロー図。
図8】本発明の実施形態に係る定量充填装置に使用されるメインプリセットカウンタの信号状態遷移図。
図9】本発明の実施形態に係る定量充填装置に使用される後設プリセットカウンタのスタート信号単独発信時の信号状態遷移図。
図10】本発明の実施形態に係る定量充填装置に使用される後設プリセットカウンタであって、スタート信号を同時発信する後設プリセットカウンタのうち最上流の後設プリセットカウンタの信号状態遷移図。
図11】従来の被測液体の定量充填装置を説明する概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態に係る被測液体の定量充填装置(以下、本充填装置という)を図面に基づき説明する。本充填装置1は、図2に示すように洗浄溶剤のような被測液体が貯留される貯留タンク2、当該貯留タンク2に接続される主配管ライン3、当該主配管ライン3に直列に隣接して配置されるポンプ4と流量計5、前記主配管ライン3から多数に分岐して供給先10に接続される端末配管ライン6および各端末配管ライン6に配置される開閉バルブ7を備えている。また、本充填装置1は前述の端末配管ライン6のうち、最上流側の端末配管ライン6aに対応して配置されるメインプリセットカウンタ8(以下、メインPCという)と、その他の端末配管ライン6それぞれに対応して配置される後設プリセットカウンタ9(以下、後設PCという)とを有している。
【0021】
前記メインPC8は、図3に示すようにメイン操作部8aと、メイン演算部8bと、メイン記憶部8cと、メイン表示部8dと、流量計5の計量信号および前記後設PC9からの入力信号を受けるメイン入力部8eと、前記ポンプ4と開閉バルブ7と前記後設PC9とに接続されるメイン出力部8fとを有している。前記メイン操作部8aは、スタート信号を出力するスタートスイッチ(図示せず)と、一時停止スイッチ(図示せず)と、非常停止スイッチ(図示せず)と、定量充填の規定量値を含む各種設定値を設定する設定モードを選択する設定モードスイッチ(図示せず)とを有している。
【0022】
前記メイン演算部8bは、電源投入と同時に動作する後記メインPC用定量充填制御プログラム(以下、メインプロブラムという)と、電源投入時のメイン入力部8eおよびメイン出力部8fの信号状態に応じて当該メインプログラムに戻るメイン復帰プログラム(図示せず)と、定量充填の規定量値を含む各種設定値を設定する設定プログラム(図示せず)とを有している。また、前記メイン記憶部8cは流量計5の計量信号から演算される計量値並びに定量充填に必要な規定量値を含む各種設定値を記憶するように構成されている。さらに、前記メイン表示部8dは設定モード選択時の設定モード表示、一時停止時、非常停止時の各表示並びに流量計5の計量信号から演算される計量値を表示するように構成されている。
【0023】
前記メイン入力部8eは、流量計5の計量信号および後設PC9からの各種信号を受信するように構成されている。また、前記メイン出力部8fは前述のポンプ4、メインPC8に対応する端末配管ライン6aに配置される開閉バルブ7それぞれにポンプ4の駆動、開閉バルブ7の開閉を制御する信号を出力するとともに、前述の後設PC9に前記流量計5の計量信号や後記運転許可信号を出力するように構成されている。これらメイン入力部8eおよびメイン出力部8fは、後記する後設入力部9eおよび後設出力部9fとともに、メインPC8または後設PC9での定量充填中、上流側からの信号待ち、定量充填の終了作業中等の状態にある時に起きる非常停止や急な停電等に対応できるようにそれぞれの電源遮断時の入力信号の状態および出力信号の状態を記憶する構成となっている。これにより、起動時に当該状態を判断して、メイン復帰プログラムおよび後記する後設復帰プログラムによりその状態に応じてその後の処理を継続するように入出力信号を処理して一連の定量充填を継続することができる。
【0024】
前記後設PC9はすべて同一構造をなしており、図4に示すように後設操作部9aと、後設演算部9bと、後設記憶部9cと、後設表示部9dとを有している。また、前記後設PC9は前記メインPC8または上流側の後設PC9、すなわち上流側からの各種信号および下流側の後設PC9からの各種信号が入力する後設入力部9eと、当該後設PC9に対応する端末配管ライン6に配置される開閉バルブ7および下流側の後設PC9並びに上流側のメインPC8または上流側の後設PC9(以下、これらを上流側という)に接続される後設出力部9fとを有している。
【0025】
前記後設操作部9aは、スタート信号を発信するスタートスイッチ(図示せず)と、一時停止スイッチ(図示せず)と、非常停止スイッチ(図示せず)とを有している。また、前記後設操作部9aは、図示はしないが、定量充填の規定量値を含む各種設定値を設定する設定モードを選択する設定モードスイッチを有しており、各端末配管ライン6,6aの供給先10で定量充填の規定量値を設定できるように構成されている。
【0026】
前記後設演算部9bは、電源投入と同時に動作する後記後設PC用定量充填制御プログラム(以下、後設プロブラムという)と、電源投入時の後設入力部9eおよび後設出力部9fの信号状態に応じて当該後設プログラムに戻る後設復帰プログラム(図示せず)と、定量充填の規定量値を含む各種設定値を設定する設定プログラム(図示せず)とを有している。また、前記後設記憶部9cは流量計5の計量信号から演算される計量値並びに定量充填に必要な規定量値を含む各種設定値を記憶するように構成されている。さらに、前記後設表示部9dは設定モード選択時の設定モード表示、一時停止時、非常停止時の各表示並びに流量計5の計量信号から演算される計量値を表示するように構成されている。なお、前述の後設演算部9bおよびメイン演算部8bは、高機能CPUであっても、また現場作業に適したプログラマブルロジックコントローラであってもよく、当該演算部8b,9bが高機能CPUで構成される時には、前述のメインプログラム、後設プログラムおよびメイン復帰プログラム、後設復帰プログラムおよび設定プログラムはメイン記憶部8c、後設記憶部9cで記憶される構成であってもよい。
【0027】
前記後設入力部9eは、下流側の後設PC9および上流側からの各種信号を受けるように構成されている。また、前記後設出力部9fは当該後設PC9に対応する端末配管ライン6の開閉バルブ7にその開閉を制御する信号を、下流側の後設PC9に流量計5の計量信号や後記運転許可信号を、上流側に当該後設PC9および下流側の後設PC9からの各種信号を出力するように構成されている。これら後設入力部9eおよび後設出力部9fは、非常停止時や急な停電等に対応できるようにそれぞれの入力状態、出力状態を電源遮断の間も保持できるように構成されている。
【0028】
前記メインプログラムは、図5に示すように、次のP1~13のステップを実行する。
P1)メインPC用後設PC発信信号確認サブルーチン(以下、メインPC用サブルーチンという)を実行する。
P2)スタート信号の入力があるか否かを判断し、スタート信号の入力がない時、P1に戻る。
P3)後設PCへ運転中信号を出力する。
P4)バルブ開指令信号を開閉バルブに出力する。
P5)ポンプへポンプ駆動指令信号を出力する。
P6)流量計の計量信号を取得する。
P7)流量計の計量信号から計量値を演算する。
P8)計量値が規定量値に達したか否かを判断し、これが規定量値に達してない時、P6に戻る。
P9)ポンプへのポンプ駆動指令信号を停止する。
P10)バルブ閉指令信号を開閉バルブに出力する。
P11)後設PCへの運転中信号を停止する。
P12)表示部に計量結果の表示指令信号を出力する。
P13)エンド
【0029】
前記メインPC用サブルーチンは、図6に示すように次のQ1~13のステップを実行するように構成されている。
Q1)後設PCから運転許可要請信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、Q10にジャンプする。
Q2)後設PCへ運転中信号を出力する。
Q3)後設PCへ運転許可信号を出力する。
Q4)後設PCからポンプ駆動指令信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、Q8にジャンプする。
Q5)ポンプへポンプ駆動指令信号を出力する。
Q6)流量計から計量信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、Q1に戻る。
Q7)後設PCへ計量信号を出力して、Q1に戻る。
Q8)ポンプへのポンプ駆動指令信号の出力があるか否かを判断し、これがない時、Q6に戻る。
Q9)ポンプへのポンプ駆動指令信号を停止して、Q6に戻る。
Q10)後設PCへの運転中信号の出力があるか否かを判断し、これがない時、Q13にジャンプする。
Q11)後設PCへの運転許可信号を停止する。
Q12)後設PCへ運転中信号を停止する。
Q13)エンド
【0030】
前記後設プロブラムは、図1に示すように次のR1~18のステップを実行する。
R1)後設PC用後設PC発信信号確認サブルーチン(後設PC用サブルーチンという)を実行する。
R2)メインPCまたは上流側後設PC(以下、上流側という)への運転許可要請信号を停止する。
R3)上流側から運転中信号の入力がなくかつスタート信号の入力信号があるか否かを判断し、これがない時、R1に戻る。
R4)下流側後設PCへ運転中信号を出力する。
R5)上流側へ運転許可要請信号を出力する。
R6)後設PC用サブルーチンを実行する。
R7)上流側から運転許可信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、R6に戻る。
R8)当該運転許可信号の入力があると、バルブ開指令信号を開閉バルブに出力する。
R9)上流側へポンプ駆動指令信号を出力する。
R10)流量計の計量信号を取得する。
R11)流量計の計量信号から計量値を演算する。
R12)計量値が規定量値に達したか否かを判断し、これが規定量値に達してない時、R10に戻る。
R13)上流側へのポンプ駆動指令信号を停止する。
R14)バルブ閉指令信号を開閉バルブに出力する。
R15)上流側への運転許可要請信号を停止する。
R16)下流側後設PCへの運転中信号を停止する。
R17)表示部に計量結果の表示指令信号を出力する。
R18)エンド
【0031】
前記後設PC用サブルーチンは、図7に示すように次のS1~18のステップを実行する。
S1)メインPCまたは上流側後設PC(以下、上流側という)から運転中信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、S3にジャンプする。
S2)下流側後設PCへ運転中信号を出力して、S6にジャンプする。
S3)下流側後設PCへの運転中信号の出力があるか否かを判断し、これがない時、S6にジャンプする。
S4)スタート信号の入力がないか否かを判断し、これがある時、S6にジャンプする。
S5)下流側後設PCへの運転中信号を停止する。
S6)下流側後設PCから運転許可要請信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、S16にジャンプする。
S7)上流側へ運転許可要請信号を出力する。
S8)上流側から運転許可信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、S1に戻る。
S9)下流側後設PCへ運転許可信号を出力する。
S10)下流側後設PCからポンプ駆動指令信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、S14にジャンプする。
S11)上流側へポンプ駆動指令信号を出力する。
S12)上流側から計量信号の入力があるか否かを判断し、これがない時、S1に戻る。
S13)下流側後設PCへ計量信号を出力して、S1に戻る。
S14)上流側へのポンプ駆動指令信号の出力があるか否かを判断し、これがない時、S12に戻る。
S15)上流側へのポンプ駆動指令信号を停止して、S12に戻る。
S16)下流側後設PCへの運転許可信号の出力があるか否かを判断し、これがない時、S18にジャンプする。
S17)下流側後設PCへの運転許可信号を停止する。
S18)エンド
【0032】
上記本充填装置において、主配管ライン3から多数に分岐する端末配管ライン6の最上流側に対応して配置されたメインプリセットカウンタ8の電源が投入されると、復帰プログラムが作動する。これにより、新たな定量充填を開始できる状態に復帰し、図5に示すようにメインPC用サブルーチン(図6参照)が実行される。すなわち、後設PC9から運転許可要請信号が入力しているかが判断され、これが入力していない時には、後設PC9への運転中信号が出力されているか否かが判断される。当該時点にあっては、後設PC9への運転中信号の出力はないので(図8(a),(b)前半部分参照)、メイン操作部8aからのスタート信号を待つ。
【0033】
前記判断において、後設PC9から運転許可要請信号が入力している時、すなわち下流側の後設PC9のいずれかから定量充填のスタート信号が発信されている時には、後設PC9へ運転中信号が出力される(図8(a),(b)前半部分参照)。この時、前記後設PC9には運転中信号に続いて、運転許可信号が出力される(図8(c)前半部分参照)。
【0034】
この状態で、後設PC9からポンプ駆動指令信号が入力しているかが判断され、これが入力してない時には、ポンプ駆動指令信号が出力されているかが、また流量計から計量信号が入力しているかが判断される。当該時点では、ポンプ駆動指令信号が出力されてなく、計量信号も入力してないので、後設PC9からポンプ駆動指令信号が入力するのを待つこととなる。
【0035】
前記後設PC9からポンプ駆動指令信号が入力すると、ポンプ4にポンプ駆動指令信号が出力され、ポンプ4が駆動される(図8(d),(e)前半部分参照)。その後、流量計5の計量信号が入力しているのを待ち、この計量信号が入力すると(図8(f)前半部分参照)、後設PC9に出力される(図8(g)前半部分参照)。
【0036】
その後、後設PC9からのポンプ駆動指令信号の入力が停止すると、すなわち後設PC9側での計量値が規定量値に達すると(図9(n),(h)後半部分参照)、この時点ではメインPC8ではポンプ4への駆動指令信号が出力されているので、その出力が停止され(図8(d),(e)前半部分参照)、ポンプ4が停止する。この時、後設PC9からの運転許可要請信号の入力も停止するので、後設PC9では上流側へのポンプ駆動指令信号の停止に続いて、上流側への運転許可要請信号が停止する(図9(h)、(d)後半部分参照)。これにより、メインPC8は後設PC9への運転許可信号の出力を停止する(図8(c)前半部分参照)。この間、後設PC9から運転許可要請信号の入力が停止するので、これにともなって後設PC9への運転中信号の出力が停止し、下流側の後設PC9側での定量充填の終了にともなう処理が終了する。
【0037】
前記メインPC用サブルーチンが終了すると、図5に示すようにメイン操作部8aからのスタート信号を待ち、これが発信されると、後設PC9、開閉バルブ7、ポンプ4それぞれに運転中信号、バルブ開閉指令信号、ポンプ駆動指令信号が出力される(図8(h),(b),(i),(e)後半部分参照)。これにより、主配管ライン3のポンプ4とメインPC8aに対応する最上流側の端末配管ライン6aに配置される開閉バルブ7が開放され、貯留タンク2内の被測液体が当該端末配管ライン6,6aを通過してボンベ、小タンク等の供給先10に充填される。
【0038】
前記ポンプ4へポンプ駆動指令信号が出力された後、流量計5の計量信号が入力すると(図8(f)後半部分参照)、流量計5からの計量信号が取得され(図8(j)後半部分参照)、当該計量信号から計量値が演算される。同時に、当該計量値が規定量値に達したかが判断され、これが規定量値に達するまで、繰り返される。当該計量値が規定量値に達すると、ポンプ4へのポンプ駆動指令信号が停止し、続いてバルブ開指令信号が停止する、すなわちバルブ閉指令信号が出力される(図8(k),(e),(i)後半部分参照)。これとともに、表示部に表示指令信号が出力され、計量結果が表示される(図8(l)後半部分参照)。この時、メインPC8のスタート信号および後設PC9への運転中信号が停止し(図8(h),(b)後半部分参照)、メインPC8での一連の定量充填が終了する。
【0039】
前記主配管ライン3から多数に分岐する端末配管ライン6に対応して配置された後設PC9およびその下流側に接続される後設PC9では、メインPC8と同様に電源が投入され、定量充填できる状態に復帰すると、図1に示すように後設PC用サブルーチン(図7参照)が実行される。すなわち、上流側から運転中信号が入力しているかが判断され、これが入力してない時、下流側の後設PC9に運転中信号が出力されてないかが判断される。当該時点では、上流側から運転中信号の入力はもとより、下流側の後設PC9に運転中信号の出力もないので、直接に下流側の後設PC9から運転許可要請信号が入力しているかが判断される。
【0040】
前述の上流側から運転中信号が入力しているかの判断の際に、上流側から運転中信号が入力している時には、下流側の後設PC9に運転中信号が出力され(図9(a),(b)前半部分参照)、続いて前述した下流側の後設PC9から運転許可要請信号が入力しているかが判断される。当該判断の際に、下流側の後設PC9から運転許可要請信号が入力してない時には、すなわち下流側の後設PC9のいずれからも定量充填のスタート信号が発信されていない時には、下流側の後設PC9へ運転許可信号が出力されているか否かが判断される。当該時点にあっては、下流側の後設PC9への運転許可信号の出力はないので(図9(e)前半部分参照)、後設PC用サブルーチンを終了し、図1に示すように後設操作部からのスタート信号を待つ。
【0041】
前述の下流側の後設PC9から運転許可要請信号が入力しているか判断において、下流側の後設PC9から運転許可要請信号が入力している時、すなわち下流側の後設PC9のいずれかから定量充填のスタート信号が発信されている時には、上流側へ運転許可要請信号が出力され(図9(c),(d)前半部分参照)、上流側から運転許可信号が入力するのを待つ。
【0042】
上流側から運転許可信号が入力すると、下流側の後設PC9に運転許可信号が出力される(図9(e),(f)前半部分参照)。この状態で、下流側の後設PC9からポンプ駆動指令信号が入力しているかが判断され、これが入力してない時には、ポンプ駆動指令信号が出力されているかが、また上流側から計量信号が入力しているかが判断される。当該時点では、ポンプ駆動指令信号が出力されてなく、計量信号も入力してないので、下流側の後設PC9からポンプ駆動指令信号が入力するのを待つこととなる。
【0043】
前記下流側の後設PC9からポンプ駆動指令信号が入力すると、上流側へポンプ駆動指令信号が出力される(図9(g),(h)前半部分参照)。この時、上流側では当該信号を受けて、ポンプ4にポンプ駆動指令信号が出力されて(上流側がメインPC8の場合、図8(d),(e)前半部分参照)、ポンプ4が駆動される。その後、後設PC9では上流側からの計量信号が入力するのを待ち、この計量信号が入力すると(図9(i)前半部分参照)、下流側の後設PC9に出力される(図9(j)前半部分参照)。
【0044】
その後、下流側の後設PC9からのポンプ駆動指令信号が停止すると(図9(g)前半部分参照)、すなわち下流側の後設PC9側での計量値が規定量値に達すると(当該後設PC9に係る図9(n)後半部分を参照)、この時点では上流側へのポンプ駆動指令信号が出力されているので、その出力が停止される(図9(h)参照)。この時、上流側ではポンプ駆動指令信号の停止を受けて、ポンプ4に停止指令信号が出力され、ポンプ4が停止する。この間に、下流側の後設PC9からの運転許可要請信号の入力が停止するが、上流側への運転許可要請信号の出力は継続される(図9(c)、(d)前半部分参照)。また、上流側では前述のポンプ駆動指令信号の停止を受けて、当該後設PC9への運転許可信号および運転中信号の出力が停止する(図9(e)、(a)前半部分参照)。これにより、当該後設PC9は下流側の後設PC9からの運転許可要請信号の入力が停止していることから、前述の運転許可信号の停止を受けて、下流側の後設PC9への運転中信号および運転許可信号を停止し(図9(e),(b),(f)前半部分参照)、下流側の後設PC9での定量充填の終了にともなう処理が終了し、後設PC用サブルーチンが終了する。
【0045】
前記後設PC用サブルーチンが終了すると、図1に示すように上流側への運転許可要請信号への出力が停止され(図9(d)前半部分参照)、後設操作部9aからのスタート信号を待つ。当該スタート信号が発信されると、下流側の後設PC9へ運転中信号が出力され(図9(k),(b)参照)、下流側の後設PC9側でのスタート信号が遮断される。すなわち、下流側の後設PC9から出力される運転許可要請信号が遮断される。また、前記下流側の後設PC9への運転中信号に続いて上流側へ運転許可要請信号が出力され、前述の後設PC用サブルーチンが再実行される。これにより、前述の下流側の後設PC側でスタート信号が遮断されるまでに、下流側の後設PCから同時にスタート信号が出力されるような場合があっても、後述するように、スタート信号を発信する後設PC9のうち、下流側の後設PC9から発信されるスタート信号を優先させて、定量充填を行うことができる。
【0046】
前記後設PC用サブルーチンの再実行が終了すると、上流側から運転許可信号が入力されるのを待ち、当該運転許可信号が入力すると、開閉バルブ7、上流側それぞれにバルブ開指令信号、ポンプ駆動指令信号が出力される(図9(e),(l),(h)後半部分参照)。この時、上流側ではポンプ駆動指令信号を受けて、ポンプ4に駆動指令信号が出力されてポンプ4が駆動される。これにより、当該後設PC9に対応する端末配管ライン6に配置される開閉バルブ7が開放され、貯留タンク2内の被測液体が主配管ライン3から当該端末配管ライン6,6aを通過してボンベ、小タンク等の供給先に充填される。
【0047】
前記ポンプ駆動指令信号が上流側に出力されるにともなって、上流側からの流量計5の計量信号が入力すると(図9(i)後半部分参照)、これが取得され(図9(m)後半部分参照)、当該計量信号から計量値が演算される。同時に、当該計量値が規定量値に達したかが判断され、これが規定量値に達するまで、繰り返される。当該計量値が規定量値に達すると(図9(n)後半部分参照)、上流側へのポンプ駆動指令信号、開閉バルブ7へのバルブ開指令信号が順に停止するとともに、後設表示部9dに表示指令信号が出力され、計量結果が表示される(図9(h),(l)、(o)後半部分参照)。この時、後設PC9のスタート信号および下流側の後設PC9への運転中信号が停止し(図9(k),(b)後半部分参照)、後設PC9での一連の定量充填が終了する。
【0048】
前述の後設PC用サブルーチンの再実行を、図10に基づいて説明する。上流側からの運転中信号の入力がなく、また下流側からの運転許可要請信号が入力してない状態(図10(a),(b)前半部分参照)、すなわちメインPC8はもとよりいずれの後設PC9もスタート信号が発信されてない状態で、2台の後設PC9から同時にスタート信号が発信される。この時、これら後設PC9のうち、最上流の後設PC9(以下、最上流PCという)から上流側に運転許可要請信号が出力されても、上流側から運転許可信号が最上流PC9に入力するまでに、下流側の後設PC9から運転許可要請信号が入力することがある(図10(c)参照)。この時には、最上流PC9は定量充填を開始せずに、上流側から運転許可信号が入力しても、この運転許可信号は下流側の後設PC9に出力される(図10(e),(f)参照)。その後、下流側の後設PC9からポンプ駆動指令信号が入力すると、これが上流側に出力される(図10(g),(h)参照)。これにより、複数のスタート信号が同時に発信されても、最上流PC9では後設PC用サブルーチンで説明したように上流側から入力する運転許可信号および流量計5の計量信号が下流側の後設PC9に出力され(図10(e),(f),(i),(j)参照)、下流側の後設PC9のスタート信号が優先されることとなり、下流側の後設PC9が優先されて定量充填を行うことができる。
【0049】
また、優先された下流側の後設PC9での定量充填が終了する時に、下流側の後設PC9からの運転許可要請信号は停止するが、上流側への運転許可要請信号は継続して上流側に出力されて上流側からの運転許可信号が継続して入力している(図10(c),(d),(e)参照)。そのため、最上流PC9からは図1に示すように直ちに上流側へポンプ駆動指令信号が出力されるとともに、当該最上流PC9に対応する端末配管6の開閉バルブ7にバルブ開指令信号が出力され(図10(h),(k)参照)、開閉バルブ7が開放されて、被測液体の定量充填を開始することができる。
【0050】
前記開閉バルブ7の開放にともなって、上流側から流量計の計量信号が入力すると、これが取得され、この計量信号から計量値が演算される(図10(i),(m)参照)。この計量値が規定量値に達すると(図10(n)参照)、前述したように上流側へのポンプ駆動指令信号の出力が停止されるとともに開閉バルブ7へのバルブ開指令信号が停止、すなわちバルブ閉指令信号が出力される(図10(h),(l)参照)。これにより、ポンプ4が停止するとともに、開閉バルブ7も閉止される。また、上流側への運転許可要請信号の出力も停止されるので、上流側からの運転許可信号も停止され(図10(d),(e)参照)、最上流PC9での一連の定量充填を終えることができる。
【0051】
以上説明したように、本発明はポンプ4および流量計5が配置される主配管ライン3、当該主配管ライン3に接続される端末配管ライン6aおよび端末配管ライン6aに配置される開閉バルブ7を備え、端末配管ライン6aに対応してメインPC8を配置し、前記メインP8は下流側からの入力信号に応じて、ポンプ4の駆動および当該メインPC8に対応する端末配管ライン6aの開閉バルブ7の開閉を制御しながら流量計5の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、ポンプ4の駆動を制御するとともに下流側に流量計5の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されることを特徴としている。
【0052】
本発明は、前述の構成により、メインPC8に下流側から入力信号がない時には、主配管ライン3のポンプ4の駆動を制御するとともに当該メインPC8が配置される端末配管ライン6aの開閉バルブ7の開閉を制御して被測液体の定量充填を行うことができる。また、当該メインPC8の下流側から運転許可を要請する運転許可要請信号、ポンプ4を駆動するように指令するポンプ駆動指令信号等の信号が入力すると、ポンプ4を駆動するとともに、流量計5の計量信号を当該メインPC8の下流側に出力することができる。これにより、当該メインPC8の下流側に後設PCを備える増設充填装置(図示せず)を接続でき、増設を考慮した定量充填ユニットを提供できる。また、これら充填装置を統括制御する必要はなく、各端末配管ライン6aで定量充填を行うことができる。また、当該メインPC8および増設充填装置を統括制御する必要がないことから、主配管ライン3から分岐する端末配管ライン6を増設するに際して、統括制御部のような既設の装置の制御システムを変更する必要がなく、特別な増設費用や制御プログラムの変更に要する工事時間が不要となって、将来の増設を考慮した安価な定量充填システムを提供することができる。
【0053】
また、本発明の定量充填装置はポンプ4および流量計5が配置される主配管ライン3、当該主配管ライン3から多数に分岐して供給先に接続される端末配管ライン6および各端末配管ライン6に配置される開閉バルブ7を備え、当該端末配管ライン6に対応して後設PC9を配置し、前記後設PC9は下流側からの信号に応じて、上流側にポンプ4の駆動を制御する信号を出力するとともに当該後設PC9に対応する端末配管ライン6の開閉バルブ7の開閉を制御しながら上流側からの流量計5の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、上流側にポンプ4の駆動を制御する信号を出力するとともに下流側に流量計5の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成であってもよい。
【0054】
上記構成によれば、後設PC9の下流側から信号の入力がない時には、主配管ライン3のポンプ4の駆動を制御するとともに当該後設PC9が配置される端末配管ライン6に配置される開閉バルブ7の開閉を制御して被測液体の定量充填を行うことができる。また、下流側の後設PC9から運転許可を要請する運転許可要請信号、ポンプ4を駆動するように指令するポンプ駆動指令信号等の入力信号が入力すると、上流側にポンプ4を駆動するための信号を出力するとともに、流量計5の計量信号を後設PC9の下流側に出力することができる。これにより、当該後設PC9の下流側に同一構造の後設PC9を順次接続することができ、本定量充填装置1の増設を考慮した定量充填増設ユニットを提供できる。また、これら後設PC9を順次接続しても、これらを統括制御する必要がないことから、主配管ライン3から分岐する端末配管ライン6を増設するに際して、統括制御を行うために、既設の装置に組み込まれる制御システムを変更する必要がなく、将来の増設を考慮した安価な定量充填システムを提供することができる。
【0055】
本発明のもう一つは、ポンプ4および流量計5が配置される主配管ライン3、当該主配管ライン3から多数に分岐して供給先に接続される端末配管ライン6,6aおよび各端末配管ライン6,6aに配置される開閉バルブ7を備え、最上流側の端末配管ライン6aに対応してメインPC8を配置し、当該メインPC8の下流側に配置される他の端末配管ライン6に対応して後設PC9を配置し、前記メインPC8は後設PC9からの入力信号に応じて、ポンプ4の駆動および当該メインPC8に対応する端末配管ライン6aの開閉バルブ7の開閉を制御しながら流量計5の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、ポンプ4の駆動を制御するとともに下流側の後設PC9に流量計5の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成され、前記後設PC9は下流側からの入力信号に応じて、上流側にポンプ4の駆動を制御する信号を出力するとともに当該後設PCに対応する端末配管ライン6の開閉バルブを制御しながら上流側からの流量計5の計量信号を取得して被測液体の定量充填を行うか、上流側にポンプ4の駆動を制御する信号を出力するとともに下流側の後設PC9に流量計5の計量信号を出力するかの何れかを行うように構成されている。
【0056】
上記構成により、主配管ライン3の延長とともに端末配管ライン6が増設されても、これに対応する後設PC(図示せず)を順次下流側に接続するだけでよい。そのため、端末配管ライン6,6aに対応して配置されるメインPC8や多数の後設PC9を統括して制御するような統括制御が不要となるので、既存の装置内の制御プログラムの修正は不要となる。また、当該増設に際して特別な費用や制御プログラムを変更するための時間が不要となって、将来の増設を考慮した安価な定量充填システムを構築することができる。また、統括制御が不要となることから、制御上後設PC9の数に制限を受けないので、増設できる端末配管ライン6が制限されることはない。
【0057】
本発明に係るメインPCは、後設PCから運転許可要請信号が入力すると運転許可信号を後設PCに出力する構成を有し、当該後設PCはスタート信号を発信する操作部を有し、当該スタート信号により上流側に運転許可要請信号を出力する構成と、上流から運転許可信号が入力されると対応する開閉バルブにバルブ開指令信号を出力する構成と、上流側から運転許可信号が入力するまでに下流側の後設PCから運転許可要請信号が入力すると上流側から入力する運転許可信号を下流側の後設PCに出力する構成と、を有することが望ましい。
【0058】
この構成によれば、複数の後設PC9から同時にスタート信号が発信されて、これら後設PC9のうち、最上流の後設PC9から上流側に運転許可要請信号が出力されても、上流側から運転許可信号が入力するまでに下流側の後設PC9から運転許可要請信号が入力することがある。この場合、上流の後設PC9は定量充填を開始せずに、上流側からの運転許可信号は下流側の後設PC9に出力される。これにより、複数のスタート信号が同時に発信されても、下流側の後設PC9が優先されて定量充填を行うことができる。また、当該スタート信号の発信に対してあらかじめ後設PC9の優先順位を決めておく必要もないので、これら後設PC9を統括する統括制御も不要となり、安価な定量充填システムを構築することができる。
【0059】
また、本発明に係るメインPC8または後設PC9は、電源遮断時の入力信号の状態および出力信号の状態を記憶するように構成され、起動時のこれら状態に応じてその後の処理を継続するように入出力信号を処理して一連の定量充填を継続するように構成されてもよい。この場合、定量充填中、または定量充填中の緊急停止や一時停止の状態で、突然の停電が生じても、当該停電前のメインPC8および後設PC9の入力状態、出力状態を呼出して、その状態から中断された定量充填を継続することができる。
【0060】
なお、本発明の実施形態に係る定量充填装置1は一液種多供給口の装置について説明されているが、これを並列に配置してこれらの供給口をそれぞれ共通の供給先とすることにより、複数液種多供給口の装置とすることができる。また、本発明の各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…定量充填装置、
2…貯留タンク、
3…主配管ライン、
4…ポンプ、
5…流量計、
6,6a…端末配管ライン、
7…開閉バルブ、
8…メインプリセットカウンタ、

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11