(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20221214BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A61F13/15 321
A61F13/15 141
A61F13/53 300
A61F13/15 340
A61F13/15 142
(21)【出願番号】P 2019025381
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敦史
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-102479(JP,A)
【文献】特開2017-214693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアセテート繊維からなる繊維集合体層と、前記繊維集合体層上に直接配置された吸水性繊維を含有する部材とを有する吸収性物品の製造方法であって、
セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、繊維集合体層を形成する第1工程;
前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる第2工程;
前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する第3工程;および、
前記繊維集合体層の薬剤水溶液が散布された面上に、前記部材を載置する第4工程を有
し、
前記第2工程における前記繊維溶剤の単位面積当たりの散布量は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも、幅方向中央領域の方が多く、かつ、
前記第3工程における薬剤水溶液の単位面積当たりの散布量は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも、幅方向中央領域の方が多いことを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記繊維集合体層は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域の密度よりも、幅方向中央領域の密度の方が低くなるように形成されている請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
セルロースアセテート繊維からなる繊維集合体層と、前記繊維集合体層上に直接配置された吸水性繊維を含有する部材とを有する吸収性物品の製造方法であって、
セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、繊維集合体層を形成する第1工程;
前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる第2工程;
前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する第3工程;および、
前記繊維集合体層の薬剤水溶液が散布された面上に、前記部材を載置する第4工程を有し、
前記第1工程において、前記繊維集合体層は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域の密度よりも、幅方向中央領域の密度の方が低くなるように形成されており、かつ、
前記第2工程における前記繊維溶剤の単位面積当たりの散布量は、前記幅方向両側縁領域よりも、前記幅方向中央領域の方が多い
ことを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記抗菌剤が、有機酸である請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記薬剤水溶液が、HLB値が8~15の非イオン性界面活性剤を含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項6】
前記薬剤水溶液が、さらにポリエーテル変性シリコーンを含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースアセテート繊維の繊維集合体層を有する吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
失禁パッド、使い捨ておむつ、生理用ナプキンなどの吸収性物品は、身体から排泄される尿、経血などの体液を吸収、保持する吸収体を有している。前記吸収体は、一般に吸水性樹脂粉末を含有しており、体液は吸収体内部において吸水性樹脂粉末に吸収されて保持される。
【0003】
このような吸収性物品として、セルロースアセテート繊維を使用したものが提案されており、例えば特許文献1には、吸収性物品は、特定の物性を有する吸水性樹脂粉末が配置された吸水層と、前記吸水層の下層に配置され、セルロースアセテート繊維を含む拡散層とを有する吸収性物品が提案されている(特許文献1(段落0124~0137)参照)。
【0004】
また、セルロースアセテート繊維を消臭剤として使用することが提案されており、例えば特許文献2には、セルロースジアセテート繊維と縮合型タンニンとを含有することを特徴とする消臭材が提案されている(特許文献2(段落0023、0032)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-79324号公報
【文献】特開2016-187549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来、セルロースアセテート繊維の繊維集合体に消臭剤を付与することが行われている。ここで、セルロースアセテート繊維は水との親和性が低いため、薬剤水溶液をセルロースアセテート繊維の繊維集合体に散布した場合、この薬剤水溶液が繊維集合体内部に取込まれるまでに一定の時間を要する。そのため、吸収性物品の製造時に、薬剤水溶液が散布されたセルロースアセテート繊維の繊維集合体に、吸水性繊維を含有する部材を積層すると、薬剤水溶液が吸水性繊維を含有する部材に移行しやすい。その結果、セルロースアセテート繊維の繊維集合体に十分な薬剤を付与できないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、セルロースアセテート繊維の繊維集合体層を有する吸収性物品の製造方法において、セルロースアセテート繊維に十分に薬剤を付与することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吸収性物品の製造方法は、セルロースアセテート繊維からなる繊維集合体層と、前記繊維集合体層上に直接配置された吸水性繊維を含有する部材とを有する吸収性物品の製造方法であって、セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、繊維集合体層を形成する第1工程;前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる第2工程;前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する第3工程;および前記繊維集合体層の薬剤水溶液が散布された面上に、前記部材を載置する第4工程を有することを特徴とする。
【0009】
前記繊維溶剤は、セルロースアセテート繊維を溶解し得る溶剤である。このような繊維溶剤を繊維集合体に散布することで、セルロースアセテート繊維の表面を溶かすことができる。そのため、繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させることで、層内において繊維どうしが接触している部分が溶着される。このように繊維の一部を溶着することで、薬剤水溶液を散布した際に、繊維間の距離が狭くなることを抑制でき、薬剤水溶液の浸透速度を一層早めることができる。そのため、散布された薬剤水溶液が直ちに繊維集合体内部に取込まれることとなり、繊維集合体上に吸水性繊維を含有する部材を直接載置しても、薬剤水溶液が部材に移行することが抑制される。よって、繊維集合体に十分な薬剤を付与することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、セルロースアセテート繊維の繊維集合体層を有する吸収性物品の製造方法において、セルロースアセテート繊維に十分に薬剤を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の吸収性物品の製造方法は、セルロースアセテート繊維からなる繊維集合体層と、前記繊維集合体層上に直接配置された吸水性繊維を含有する部材とを有する吸収性物品の製造方法である。
【0013】
[吸収性物品]
前記吸収性物品は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートとバックシートとの間に配置され、吸水性樹脂粉末を含有する吸収体を有し、前記バックシートと前記吸収体との間に、前記繊維集合体層が配置されている。この繊維集合体層は、吸収性物品にクッション性を付与するとともに、吸収体の外面側に到達した体液を吸収、保持するために配置される。
【0014】
(繊維集合体層)
前記繊維集合体層は、セルロースアセテート繊維から構成されている。セルロースアセテート繊維は、セルロースを酢酸エステル化することにより得られる半合成繊維である。前記セルロースアセテート繊維としては、セルロースのヒドロキシ基の74%以上、92%未満が酢酸エステル化されたセルロースジアセテート繊維(エステル化度:2.22以上2.76未満)、セルロースのヒドロキシ基の92%以上が酢酸エステル化されたセルロールトリアセテート繊維(エステル化度:2.76以上)が挙げられ、セルロースジアセテート繊維が好ましい。なお、エステル化度は、セルロースにおけるグルコース単位当たりのアセチル基で置換されたヒドロキシ基の平均個数である。
【0015】
前記セルロースアセテート繊維(モノフィラメント)の繊度は、0.1dtex以上が好ましく、より好ましくは0.8dtex以上、さらに好ましくは1.5dtex以上であり、16dtex以下が好ましく、より好ましくは12dtex以下、さらに好ましくは8dtex以下である。繊度が0.1dtex以上であれば、繊維集合体層のクッション性がより向上し、16dtex以下であれば繊維集合体層の風合いがより良好となる。
【0016】
セルロースアセテート繊維の断面形状は、特に限定されず、円型、楕円型、三角型、L型、Y型、X型、W型、八葉型、偏平型(ブ-メラン型、波型、まゆ型、直方体型など)、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。体液を吸収した後のドライ性を向上させる観点から、セルロースアセテート繊維の断面形状は、円型、楕円型が好ましい。
【0017】
前記繊維集合体層はセルロースアセテート繊維以外の他の繊維を含有していてもよい。この場合、繊維集合体層中のセルロースアセテート繊維の含有率は、50質量%以上、70質量%が好ましく、90質量%以上がより好ましい。なお、前記繊維集合体層は、セルロースアセテート繊維のみから構成されていることが最も好ましい。前記他の繊維としては、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維などが挙げられる。
【0018】
前記繊維集合体層の目付けは、20g/m2以上が好ましく、より好ましくは30g/m2以上、さらに好ましくは40g/m2以上であり、150g/m2以下が好ましく、より好ましくは135g/m2以下、さらに好ましくは120/m2以下である。目付けが、20g/m2以上であれば繊維集合体層のクッション性がより向上し、150g/m2以下であれば繊維集合体層の風合いがより良好となる。
【0019】
前記繊維集合体層の厚さは、1mm以上が好ましく、より好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは2mm以上であり、20mm以下が好ましく、より好ましくは17.5mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。厚さが1mm以上であれば繊維集合体層のクッション性がより向上し、20mm以下であれば吸収性物品が嵩張らず、着用感が良好となる。繊維集合体層の厚みは、シックネスゲージ(株式会社テクロック社製、SM-130)を用い、終圧が2.2N以下となるように厚みを測定する。アンビルと測定子は、測定対象との接触面が平らで直径10mmのものを用いる。
【0020】
前記繊維集合体層は、幅方向において、低密度領域と、前記低密度領域よりも密度が高い高密度領域とを有することが好ましい。繊維集合体層の幅方向中央領域を低密度領域とし、この低密度領域の幅方向外方を高密度領域とすることが好ましい。具体的には、繊維集合体層の一方の側端縁を0%、他方の側端縁を100%、幅方向中央部を50%とした時、25%~75%の範囲を低密度領域とすることが好ましく、35%~65%の範囲がより好ましい。
【0021】
前記繊維集合体層が低密度領域と高密度領域とを有する場合、これらの低密度領域と高密度領域との密度の比(高密度領域の密度/低密度領域の密度)は、1.2以上が好ましく、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.4以上であり、3以下が好ましく、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2以下である。1.2以上であれば排尿位置である繊維集合体層の幅方向中央部分における繊維量を減らし、体液の浸透性を向上させることができ、3以下であれば繊維集合層の側縁領域における嵩張りを抑えることができる。
【0022】
前記繊維集合体層は、構成繊維の接触点において、互いに固着されている。繊維の接触点で固着されていることで、繊維集合体層のクッション性がより向上し、また、体液を取り込む際に繊維間の空隙が維持され、体液の吸収速度が向上する。
【0023】
前記繊維集合体層は、構成繊維どうしの固着の度合いが低い第一領域と、前記第一領域よりも構成繊維どうしの固着の度合いが高い第二領域とを有することが好ましい。前記繊維集合体層の幅方向中央領域を第二領域とし、この第二領域の幅方向外方を第一領域とすることが好ましい。具体的には、繊維集合体層の一方の側端縁を0%、他方の側端縁を100%、幅方向中央部を50%とした時、10%~90%の範囲を第二領域とすることが好ましい。幅方向中央部分の繊維どうしの固着の度合いを高めることで、使用者の排尿部にあたる部分の体液の浸透速度を高めることができる。前記構成繊維どうしの固着の度合いは、後述する繊維溶剤の散布量を増減することで調整できる。
【0024】
なお、前記第二領域は、前記低密度領域を包含することが好ましい。
【0025】
前記繊維集合体層を構成する繊維は、抗菌剤もしくは消臭剤、または、抗菌剤および消臭剤の両方が付与されている。
【0026】
前記抗菌剤としては、セルロースアセテート繊維に抗菌性を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、有機酸が挙げられる。前記有機酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、乳酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、グルタコン酸、イタコン酸、2-メチレングルタル酸、アコニット酸、安息香酸、2-ナフトエ酸、没食子酸、フタル酸、イソフタル酸、デヒドロ酢酸などが挙げられる。これらの中でも、フマル酸、デヒドロ酢酸、安息香酸が好ましい。
【0027】
前記有機酸の水に対する溶解度(25℃)は、0.1g/100g以上が好ましく、10g/100g以下が好ましく、より好ましくは9g/100g以下、さらに好ましくは8g/100g以下である。溶解度が10g/100g以下であれば、繊維に付着した有機酸が、体液等に対して徐々に溶解するため、長期にわたり抗菌性を発揮できる。
【0028】
前記有機酸の付与量は、繊維集合体層100質量部に対して、0.0001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.001質量部以上であり、0.15質量部以下が好ましく、より好ましくは0.05質量部以下、さらに好ましくは0.015質量部以下である。有機酸の付与量が、0.0001質量部以上であれば繊維集合体の抗菌効果がより向上し、0.15質量部以下であれば有機酸濃度が高くなり過ぎることに起因する肌への悪影響を抑制できる。
【0029】
前記消臭剤としては、ポリフェノール化合物、シクロデキストリンが挙げられる。前記ポリフェノール化合物としては、松、ヒバ、ヒノキ、杉、茶、ツバキ、サザンカ、柿、竹、笹、セージ、タイム、ローズマリー、ユーカリ、ラベンダー、パセリ、リンゴ果実、ブドウ種子、マッシュルーム、藻類などの植物から得られた抽出物を用いることができる。植物抽出物としては、カテキン類、フラボン類の含有量が多い茶、ツバキ、サザンカ、柿、竹、笹、ユーカリ、ブドウ種子などの植物抽出物が好ましく、縮合型タンニンがより好ましい。
【0030】
前記消臭剤の付与量は、繊維集合体層100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。消臭剤の付与量が、0.01質量部以上であれば消臭効果がより向上し、50質量部以下であれば繊維集合体の風合いの低下を抑制できる。
【0031】
前記抗菌剤および消臭剤は、繊維集合体層の全体に均一に付与されていてもよいし、付与量が不均一であってもよい。具体的には、前記高密度領域における付与量を前記低密度領域における付与量よりも多くなっていることが好ましい。また、前記第二領域における付与量が、前記第一領域における付与量よりも多くなっていることが好ましい。
【0032】
(吸水性繊維を含有する部材)
前記繊維集合体上には、吸水性繊維を含有する部材が、繊維集合体層に接触するように配置されている。
【0033】
前記吸水性繊維は、セルロースアセテート繊維よりも親水性が高い繊維であり、具体的にはSP(溶解度パラメーター)値が11.4よりも大きい繊維である。前記吸水性繊維としては、セルロース繊維が挙げられる。
【0034】
前記吸水性繊維を含有する部材としては、セルロース繊維から構成されたティッシュペーパー、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末を含有する吸水層などが挙げられる。前記繊維集合体層と前記部材との組合せとしては、繊維集合体層とこの繊維集合体層を包むティッシュペーパー;繊維集合体層とこの繊維集合体層上に直接形成された吸水層;繊維集合体層とこの繊維集合体層上に直接配置された吸収体(吸水層をティッシュペーパーで包んだもの)などが挙げられる。
【0035】
(トップシート)
前記トップシートは、吸収性物品の最も着用者側に配置されるものであり、着用者の体液を速やかに捕捉して吸収体へと移動させる。前記トップシートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布が使用できる。トップシートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシートとして、表面を界面活性剤により親水化処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
【0036】
(バックシート)
前記バックシートは、吸収性物品の最も外面側に配置されるものであり、体液等が外部に漏れ出すことを防止する。バックシートに使用される不透液性シートとしては、例えば、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、不透液性シートに到達した体液が、吸収性物品の外側にしみ出すのを防止する。不透液性シートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0037】
(吸収体)
前記吸収体は、体液を吸収し得る。前記吸収体は、少なくとも一層の吸水層から構成される。吸水層は、吸水性材料として、前記吸水性樹脂粉末を含有する。前記吸水層は、吸水性材料として、さらに、吸水性繊維を含有してもよい。
【0038】
前記吸水性樹脂粉末としては、従来吸収性物品に使用されているものが使用できる。前記吸水性樹脂粉末は、特に限定されないが、アクリル酸を構成成分とする架橋重合体であって、そのカルボキシ基の少なくとも一部が中和されているものを使用することが好ましい。前記架橋重合体を構成するアクリル酸成分の含有率は、50質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。アクリル酸成分の含有率が前記範囲内であれば、得られる吸水性樹脂粉末が、所望の吸収性能を発現しやすくなる。
【0039】
架橋重合体のカルボキシ基の少なくとも一部を中和する陽イオンとしては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属イオン等を挙げることができる。これらの中でも、架橋重合体のカルボキシ基の少なくとも一部が、ナトリウムイオンで中和されていることが好ましい。なお、架橋重合体のカルボキシ基の中和は、重合して得られる架橋重合体のカルボキシ基を中和するようにしてもよいし、予め、中和された単量体を用いて架橋重合体を形成するようにしてもよい。
【0040】
架橋重合体のカルボキシ基の中和度は、55モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。中和度が低すぎると、得られる吸水性樹脂粉末の吸収性能が低下する場合がある。また、中和度の上限は、特に限定されず、カルボキシ基のすべてが中和されていてもよい。なお、中和度は、下記式で求められる。
中和度(モル%)=100×「架橋重合体の中和されているカルボキシ基のモル数」/「架橋重合体が有するカルボキシ基の総モル数(中和、未中和を含む)」
【0041】
前記吸水性樹脂粉末には、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物などの添加剤を含むことができる。前記吸水性繊維としては、例えば、パルプ繊維、セルロース繊維、レーヨン、アセテート繊維が挙げられる。
【0042】
前記吸水層は、吸水性樹脂粉末に加えて、繊維基材を含有してもよい。前記繊維基材としては、熱融着繊維などを挙げることができる。熱融着性繊維は、保形性を高めるために使用される。熱融着繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維や複合繊維などが用いられる。吸水性材料として、吸水性樹脂粉末のみを含有する吸水層は、薄型化が可能である。繊維基材を含有する吸水層は、体液の分散性に優れる。
【0043】
(吸収性物品)
前記吸収性物品の構成としては、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートとバックシートとの間に配置された吸収体を有し、前記バックシートと前記吸収体との間に前記繊維集合体層が配置されており、前記繊維集合体層が吸水性繊維から構成された不織布で包まれている構成;透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートとバックシートとの間に配置された吸収体を有し、前記バックシートと前記吸収体との間に前記繊維集合体層が配置されており、前記吸収体は吸水層と、この吸水層を包み込む吸水性繊維から構成された不織布から構成されており、前記繊維集合体層上に、吸収体が直接配置されている構成;などが挙げられる。
【0044】
次に、前記吸収性物品の具体例を、失禁パッドを例に挙げ、
図1、2を参照して説明する。
図1は、失禁パッドの平面図を表す。
図2は、
図1の失禁パッドのV-V断面図を表す。なお、図では、矢印Bが幅方向を、矢印Aが長手方向を示す。矢印A,Bにより形成される面上の方向が、平面方向である。
【0045】
図1、2に示した失禁パッド(吸収性物品)1は、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配置された吸収体5および包囲体6を有している。
【0046】
前記吸収体5は、第1基材52と第2基材53と、これらの間に配置された吸水層51から構成されている。前記吸水層51は、パルプ繊維と吸水性樹脂粉末から構成されている。前記吸収体5は、幅方向中央部に開口5aを有する。
図1、2では、吸収体として、平面視形状がひょうたん型の吸収体5を配置した例を図示しているが、吸収体の構成はこれに限られるものではない。
図1、2では、吸収体5が第1基材52と第2基材53と、これらの間に配置された吸水層51から構成されているが、第2基材53を配置せず、トップシート2と吸水層51とを直接接触させてもよい。また、
図1、2では、吸収体5が開口5aを有しているが、開口を有しなくてもよい。
【0047】
前記失禁パッド1は、吸収体5のバックシート側に包囲体6を有している。包囲体6は、セルロースアセテート繊維の繊維集合体層61とこの繊維集合体層61を包むティッシュペーパー62から構成されている。また、前記繊維集合体層は、構成繊維の接触点において、互いに固着されている。そして、セルロースアセテートの繊維集合体層には、抗菌剤および/または消臭剤が担持されている。
【0048】
トップシート2の幅方向Bの両側縁には、失禁パッド1の長手方向Aに延在するサイドシート7が接合している。サイドシート7は、液不透過性のプラスチックフィルムや撥水性不織布等により構成される。サイドシート7には、失禁パッド1の幅方向内方端に起立用弾性部材8が設けられている。失禁パッド1の使用時には、起立用弾性部材8の収縮力によりサイドシート7の内方端が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより尿等の排泄物の横漏れが防止される。
【0049】
[製造方法]
前記吸収性物品の製造方法は、セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、繊維集合体層を形成する第1工程;前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる第2工程;前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する第3工程;および、前記繊維集合体層の薬剤水溶液が散布された面上に、前記部材を載置する第4工程を有することを特徴とする。
【0050】
(第1工程)
前記第1工程では、セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、繊維集合体層を形成する。
【0051】
セルロースアセテートトウは、セルロースアセテート長繊維の繊維束である。前記セルロースアセテートトウは、フィラメントの本数が、3,000本以上が好ましく、より好ましくは5,000本以上であり、1,000,000本以下が好ましく、より好ましくは900,000本以下である。
【0052】
トウの開繊方法としては、例えば、トウを複数の開繊ロールに掛け渡し、トウの進行に伴って次第にトウの幅を拡大して開繊する方法、トウの緊張(伸長)と弛緩(収縮)とを繰返して開繊する方法、圧縮エアーを用いて拡幅・開繊する方法などを用いることができる。トウの開繊幅は任意であるが、通常、繊維集合体層の幅である100mm~300mm程度とすることができる。また、トウの開繊度合いを調整することにより、繊維集合体層の目付けを調整することができる。
【0053】
前記繊維集合体層は、バックシート上に直接形成してもよいし、形状安定性を高めるためのシート材上に形成してもよい。また、繊維集合体層は、接着剤を用いて、バックシートまたはシート材に固着することが好ましい。
【0054】
前記繊維集合体層は、幅方向にわたって密度が均一となるように形成してもよいし、密度が不均一となるように形成してもよい。例えば、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域の密度よりも、幅方向中央領域の密度の方が低くなるように形成してもよい。
【0055】
(第2工程)
前記第2工程では、前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる。
【0056】
前記繊維溶剤は、セルロースアセテート繊維を溶解し得る溶剤である。このような繊維溶剤を繊維集合体に散布することで、セルロースアセテート繊維の表面を溶かすことができる。そのため、繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させることで、層内において繊維どうしが接触している部分が溶着される。このように繊維の一部を溶着することで、薬剤水溶液を散布した際に、繊維間の距離が狭くなることを抑制でき、薬剤水溶液の浸透速度を一層早めることができる。
【0057】
前記繊維溶剤としては、例えば、トリアセチンが挙げられる。前記繊維溶剤の散布量は、0.1g/m2以上が好ましく、より好ましくは0.2g/m2以上、さらに好ましくは0.5g/m2以上であり、5g/m2以下が好ましく、より好ましくは3g/m2以下、さらに好ましくは1.5g/m2以下である。散布量が、0.1g/m2以上であれば繊維溶剤を均一に散布することができ、5g/m2以下であれば繊維集合体層の風合いの低下を抑えることができる。
【0058】
前記繊維溶剤は、前記繊維集合体層の全体に均一に散布してもよいし、不均一となるように散布してもよい。前記繊維溶剤の単位面積当たりの散布量は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも、幅方向中央領域の方が多くなるように散布することが好ましい。幅方向中央領域の散布量を多くすることで、この領域における繊維どうしの固着の度合いを高めることができる。こうすることで、幅方向中央領域における薬剤水溶液の散布量を増加させた場合でも、薬剤水溶液の浸透速度の低下を抑制できる。
【0059】
また、前記繊維集合体層の密度が不均一である場合、前記繊維溶剤の単位面積当たりの散布量は、繊維集合体層の密度が低い部分の散布量を、繊維集合体層の密度が高い部分の散布量よりも多くすることが好ましい。具体的には、前記第1工程において、前記繊維集合体層を、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域の密度よりも、幅方向中央領域の密度の方が低くなるように形成した場合、前記第2工程における前記繊維溶剤の単位面積当たりの散布量は、前記幅方向両側縁領域よりも、前記幅方向中央領域の方が多くなるように散布することが好ましい。
【0060】
(第3工程)
前記第3工程では、前記第2工程で前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する。前記薬剤水溶液は、抗菌剤および/または消臭剤を含有する。
【0061】
前記薬剤水溶液中の抗菌剤の含有量は、水100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。抗菌剤の含有量が、0.001質量部以上であれば付与された薬剤水溶液が少量であっても繊維集合体に抗菌効果を発現させることができ、50質量部以下であれば抗菌剤が過剰量になることに起因する肌への悪影響を抑制できる。
【0062】
前記薬剤水溶液中の消臭剤の含有量は、水100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。消臭剤の含有量が、0.01質量部以上であれば付与された薬剤水溶液が少量であっても繊維集合体に消臭効果を発現させることができ、50質量部以下であれば薬剤水溶液の粘度を抑え、繊維集合体層に浸透させやすい。
【0063】
前記薬剤水溶液は、さらに界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を含有することで、繊維集合体に付与された薬剤水溶液が、繊維集合体に浸透する速度を速めることができる。前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤が好ましい。前記抗菌剤として有機酸を用いた場合、薬剤水溶液は酸性となり、アニオン性界面活性剤では、イオン化割合が低くなり、界面活性が低下する傾向がある。また、吸収性物品では吸水性樹脂粉末が配置されるが、カチオン性界面活性剤では、この吸水性樹脂粉末とアンモニウム塩を形成してしまう。
【0064】
前記非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン型、多価アルコール型などが挙げられる。前記ポリオキシアルキレン型としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレン/プロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。前記多価アルコール型としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエステルエーテル、脂肪酸ジアルキロールアミドなどが挙げられる。前記非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0065】
前記非イオン界面活性剤のHLB(Hydrophile Lypophile Balance)値は、8以上が好ましく、より好ましくは8.5以上、さらに好ましくは9以上であり、15以下が好ましく、より好ましくは13以下、さらに好ましくは12以下である。HLB値が、8以上であれば薬剤水溶液中での分散性がよく、15以下であれば繊維集合体に対する薬剤水溶液の浸透速度が向上する。本発明においてHLB値は下記のGriffin式により算出する。
HLB値=20×{(親水部分の分子量)/(全分子量)}
【0066】
前記薬剤水溶液は、抗菌剤として有機酸を含有し、かつ、前記界面活性剤としてHLB値が8~15の非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。有機酸は親水基を有しているため、界面活性剤のHLB値が8~15であれば、有機酸の分散性が一層向上する。
【0067】
前記薬剤水溶液は、前記抗菌剤および/または消臭剤、ならびに界面活性剤に加えて、さらにポリエーテル変性シリコーンを含有することが好ましい。前記ポリエーテル変性シリコーンを含有することで、繊維集合体に付与された薬剤水溶液が、繊維間に液膜を形成することを抑制できる。そのため、繊維集合体に対する薬剤水溶液の浸透速度を一層早めることができる。前記ポリエーテル変性シリコーンは、シリコーンの主鎖および/または側鎖にアルキレンオキサイドが導入された化合物である。
【0068】
前記ポリエーテル変性シリコーンのHLB値は、7以上が好ましく、より好ましくは8以上であり、12以下が好ましい。HLB値が、7~12以上であれば薬剤水溶液に対する分散性と繊維間の液膜に対する開裂性が良好である。
【0069】
前記繊維集合体層に、薬剤水溶液を散布する方法は特に限定されず、例えば、薬剤水溶液を繊維集合体に吹き付ければよい。前記薬剤水溶液の散布量は、薬剤の濃度に応じて適宜調節すればよいが、通常、繊維集合体100gに対して薬剤水溶液を1~30gである。
【0070】
前記薬剤水溶液は、前記繊維集合体層の全体に均一に散布してもよいし、不均一となるように散布してもよい。前記薬剤水溶液の単位面積当たりの散布量は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも、幅方向中央領域の方が多くなるように散布することが好ましい。幅方向中央領域の散布量を多くすることで、排尿部における抗菌剤および/または消臭剤の付与量を多くすることができる。
【0071】
また、前記薬剤水溶液の単位面積当たりの散布量を、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも、幅方向中央領域の方が多くなるようにする場合、前記第2工程において、前記繊維溶剤の単位面積当たりの散布量を、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも、幅方向中央領域の方が多くなるようにすることが好ましい。具体的には、前記第2工程における前記繊維溶剤の単位面積当たりの散布量は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも幅方向中央領域の方が多く、かつ、前記第3工程における薬剤水溶液の単位面積当たりの散布量は、前記繊維集合体層の幅方向両側縁領域よりも幅方向中央領域の方が多いことが好ましい。薬剤散布量の多い部分について、繊維どうしの固着度合いを高めることで、薬剤水溶液が多くなっても繊維集合体層の表面で薬剤水溶液が滞留することを抑制できる。
【0072】
(第4工程)
前記第4工程では、前記繊維集合体層の薬剤水溶液が散布された面上に、吸水性繊維を含有する部材を載置する。
【0073】
前記部材は、セルロースアセテート繊維よりも親水度が高い吸水性繊維を含有する。そのため、薬剤水溶液が繊維集合体表面に滞留している状態で前記部材を載置すると、薬剤水溶液が部材に移行してしまう。しかしながら、本発明の製造方法では、薬剤水溶液が界面活性剤を配合しており、繊維集合体層に散布されると直ちに繊維集合体層に取込まれる。そのため、前記部材を載置しても、薬剤水溶液が部材に移行することが抑制される。
【0074】
前記部材としては、ティッシュペーパー、吸水層などが挙げられる。よって、第3工程の具体例としては、繊維集合体層をティッシュペーパーで包む工程;繊維集合体層上に吸水層を形成する工程;繊維集合体層上に、吸水層をティッシュペーパーで包むことで形成された吸収体を配置する工程;などが挙げられる。
【実施例】
【0075】
前記吸収性物品の製造方法の態様としては、下記の態様1~3などが挙げられる。
【0076】
(態様1)
セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、ティッシュペーパー上に繊維集合体層を形成する第1工程;
前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる第2工程;
前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する第3工程;
前記繊維集合体層を前記ティッシュペーパーで包み、包囲体を形成する第4工程;
バックシート上に、前記包囲体を配置する第5工程;
前記包囲体上に、吸収体を配置する第6工程;および
前記吸収体上に、トップシートを配置する第7工程を有する吸収性物品の製造方法。
【0077】
(態様2)
セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、バックシート上に繊維集合体を形成する第1工程;
前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる第2工程;
前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する第3工程;
吸水層をティッシュペーパーで包み吸収体を形成し、前記繊維集合体層の薬剤水溶液が散布された面上に、この吸収体を載置する第4工程;
前記吸収体上に、トップシートを配置する第5工程を有する吸収性物品の製造方法。
【0078】
(態様3)
セルロースアセテートトウを開繊し、セルロースアセテート繊維を捕集して、バックシート上に繊維集合体を形成する第1工程;
前記繊維集合体層に繊維溶剤を散布し、乾燥させる第2工程;
前記繊維集合体層の繊維溶剤が散布された面に、抗菌剤および/または消臭剤を含有する薬剤水溶液を散布する第3工程;
前記繊維集合体層の薬剤水溶液が散布された面上に、吸水性樹脂粉末とパルプとを含有する吸水層を形成する第4工程;
前記吸水層上に、トップシートを配置する第5工程を有する吸収性物品の製造方法。
【符号の説明】
【0079】
1:吸収性物品、2:トップシート、3:バックシート、5:吸収体、51:吸水層、52:第1基材、53:第2基材、6:包囲体、61:繊維集合体層、62:ティッシュペーパー、7:サイドシート、8:起立用弾性部材